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陰陽大戦記#50

「共に戦う仲間たちにさよならの巻」

伏魔殿の中,天地宗家は極神操機と白虎たちとともにウツホのもとにたどり着く.燃える都の奥で待ち受けていたウツホは,2人の宗家に己が滅びを望む理由を見せる.騙されて幽閉された千二百年,ウツホが見てきたのは自然を壊す人間の邪悪な姿.人間を絶望と考えたウツホは,この世もろとも,全ての人を消し去ろうとしていた.
けれど人も式神も,滅びることを望んではいない.宗家たちは全ての命を守るために戦いを挑もうとするが,ウツホは式神との契約に介入する.白虎たちから名が剥がされようとしたときに打ち込まれた助けは,ようやく追いついた頼もしき仲間たちのものだった.

ヤクモの五行柱とウツホの無の均衡がついに崩れていく「陰陽」.キッズアニメの常として始まったときから終わりは常に見えているものなんですが,今はその終幕に上手に着地させるための最後の詰めの真っ最中.王道に見えて無茶苦茶やってきた気がする本作でも,今回の流れはまさに王道そのもの.驚きには欠けるんだけどお約束だからこそのテンションの高まりはなかなか.特に式神と闘神士の関係については,今回が総決算.これまで宗家たちに支えられ,支えてきた仲間たちにとっては最後の見せ場…になるんだろうか?

前半.現世に訪れている力の均衡による最後の静けさ.これまでギャグパートを担当してきたボート部も,ここまで事態が深刻化すると1名を除いてボケる余裕もないようで.リクのことが心配で笑顔になれないモモと,そんなモモを支えてやろうとするリュージ.なんかすっかり居ついてしまっている妖怪のトラジとともに,嵐の前の静けさと感じているリナ.過去を捨てたリクが帰る場所は,ここしかないんだけれど….
伏魔殿ではリクとユーマの宗家コンビが意外にさくっとウツホの近くに到着.極神操機が示すウツホを示す色は赤と青の混合である紫.天と地の封印にも使われた力と同源ってことか? 神流は天地に反する緑だけど,実際はウツホに反する色でもあるのか.宗家たちは神操機で扉を開き,待っていた妖怪を白虎で切り刻んで進撃.硬めの結界すらも2体の白虎でぶち破り,ついにウツホのもとに到着します.
神流が整えていた美しい都の姿は既になく,かろうじて燃え残った屋敷の前には小さな人影が.彼こそがこの崩壊を招いた張本人のウツホ.いきなり式神をふっとばすわ宙を自在に飛んで宗家に迫るわと,人かどうか怪しい能力を発揮しまくり.人間の姿ではあるけれど,出生不明の彼は「人」なんだろうか?
これまで戦った誰よりも強い相手を前に,いきなり理由を聞き始めるのが天流宗家.「なぜ,世界を滅ぼそうとしているんですか」…この状況でも崩れないマイペースぶりに,さすがのユーマも驚いてます.自分たちの非はあっさり認めて謝罪して,しかし関係ない人に危害を及ぼすのは許せない,という趣旨はミカヅチの前でリクが初めて宗家の役目を果たしたときと同様.リクの場合,責任を負って自分が滅ぼされるあたりまでは許容範囲な気がするなぁ….
そんな生真面目な責任者にウツホが見せるのは,過去の戦乱.千二百年,人が自然を壊していく歴史を眺めてきて,人間こそ太極に巣食う邪悪,絶望であると断ずるウツホ.だから神流を含めて全ての人間を消さねばならない,という展開は東方先生っぽいですがわからないでもない.けれど本当に人間だけを憎むなら,自然や式神たちを無に巻き込む必要はないはず.一見理屈立っているように見えて,実際はリクが33話でキレたときの心とそう変わらないんじゃなかろうか.
もちろんウツホにそれをさせるわけにはいかない宗家たち.特に「地上にいる全ての命は守る」とユーマが言い切ったことに,今度はリクが驚く.通ってきた道はかなり違ったけれど,今の2人は間違いなく同じ方向を目指している.みんなの笑顔や式神を守るため,宗家たちは世界を守る道を選びます.
宗家たちは受け入れられない要求を突っぱね,ウツホは報復に滅びを加速.これまでの均衡が破れて無に飲み込まれていく五行柱と,その下の現世のものたち.ミカヅチビルや天神町も例外ではありません.さらに伏魔殿ではミカヅチ戦での介入のようにコゲンタとランゲツの身からその名,「契約」を引き剥がそうとするウツホ.己の存在理由を奪われる力に必死で耐える白虎たちを救ったのは…神流討伐隊の4組だ!

後半.ユーマがウツホのもとへ先行したあと,ソーマやナズナたちは奮戦の末に場の妖怪をほぼ撃退し,宗家たちの後を追ってついに追いつく! ろくな道標もなしにここに辿りついたのは,テルの鼻で辿ってきたのか,遠目から見て一番燃えていたのか.もちろんウツホは初顔合わせ.大降神できる闘神士にも怖い相手だけれど,己の命を投げ打った姿に感銘を受けたソーマは,ヤクモのためにも頑張ると決意しています.助けてもらった礼を言うリクに「何を言っているのですか」と応えるテル.仲間がこんなところに来てくれただけで宗家たちはうれしく,仲間たちも宗家たちの役に立てることはうれしい.
ウツホ対神流討伐隊の前座は,ウツホが呼び出した式神たち.赤い目でウツホの意のままに操られる中には見覚えのある連中が多数.これまで贅沢に使い捨てられてきた式神たちの最後の見せ場…の割には,十把一絡げにやられちゃってるのが切ないな(苦笑).必殺技を駆使して,闘神士のいない式神たちを蹴散らす天地の4人.ソーマとナズナの天地コンビも良いコンビネーションを見せているけれど,テルとムツキの究極コラボがおいしいところを持っていく! イソロクがエビヒコを振り回して式神を吹っ飛ばす超打法発動! こんな状態ですら笑いが取れるテルたちって,やっぱりいいなぁ…(笑).
しかしウツホが操る式神は尽きることなく,4組はさすがに辛い…と思ったら,無理やり宗家の白虎たちも復帰.今は回復を待つ余裕は存在しない.今ある力のありったけを発揮する以外にリクたちの選べる道はない.それをわかっている式神たちは意地を見せ,宗家たちも応えて極神操機の本領を発揮.五行奉神剣と爆砕爪拳壁で,雑魚をまとめて吹っ飛ばす!
無を降ろすウツホを止めるために総力を集中する伏魔殿の闘神士たち.未だウツホには誰一人触れることもできないけれど,無は速度を上げて地上を飲み込んでいく….天流の社を守る青い結界もどこまで耐えられるのか.まずは先生が耐えられず,いきなり糸を噴き出してます.これは闘神士・巫女としての素質の差が出ているのか,それとも先生は妖怪に近いためなのかは不明(笑).リクのことを思って恐慌状態のモモと,それでもリクを信じるリュージ.今,ボート部の存在は重要です.たとえ天流の闘神士たちが記憶を落としたとしても,ボート部の記憶で埋められる部分はかなりありますからね.

迫る無の下で伏魔殿での戦いは続く.宗家の式神たちが加わっても敵式神は尽きない.次々に式神を使い捨てにした上に「望まぬ契約が式神を苦しめている」と自分のことを思い切り棚に上げるウツホ.闘神士と交わした契約を忌まわしきものとして,その苦しみから解放してやろうとするだなんて自分勝手も甚だしい.どう見ても式神にひどいことをしているのはウツホだよなぁ….
もちろんそんな誘いに式神たちが従うわけもない.式神の気持ちを代表するのがコゲンタの叫び.「苦しい目にも辛い目にも遭ったさ! だがなぁ,乗り越えてきたんだ!」 リクだけではなく「こいつら」と越えてきた1年近くの紆余曲折.人の心の機微まではよく理解できない式神のコゲンタでも,今リクたちが守ろうとしている「みんな」の意味は理解できる!
思わずウツホに直接斬りかかるコゲンタを止めて守るリク.ウツホが人かどうかは怪しいものの,コゲンタを名落宮に落とさぬためにその身で式神を守ります.力ではなく信頼で結ばれた闘神士と式神の間には,望まぬ契約など存在しない.共に戦うことは式神の望み! …同じ願いを絆として結ばれたこの6組の姿は,ウツホには憎くてたまらない.
わがままなウツホは目の前の神聖な契約をおもちゃにする.まずはホリンの名を掴んで操り,ナズナを襲わせ…けれど苦しむナズナの前で,ホリンは正気を取り戻してともに泣く.自分の呪縛に屈せず,己の感情を示す式神が気に入らないウツホは,ホリンの名をそのまま握りつぶす! ろくな抵抗もできずにあっけなく消えてしまうホリンと,闘神士としてのナズナの記憶….
ウツホの介入は止まらない.次に狙われたのはフサノシン.名を奪われ無理やり大降神させられて,それでも必死で支配に抗うフサノシン.ソーマたちの応援を受けてウツホに向かったところを,これもまた気に食わないウツホはその名を潰し,フサノシンを消す….ナズナが最後に言い残した言葉すらも失って倒れるソーマ.強い絆の強さがなければ,ウツホの支配に抵抗することも出来ない.ウツホを止められるのが極の力を持つものだけというのは,この抵抗力の問題なのか.
二人の仲間を次々に失った現状で,ユーマは鏡合わせの印をリクに提案.ムツキとテルは印を成立させるまでの間,サポート役を務めます.頼もしい仲間たちを交えたウツホ封印作戦決行! …でも,その封印によってここまで事態がややこしくなったんだから,本当の解決方法はこれではないのだろうけど.
宗家たちの封印の儀式をその身で守るイソロクとエビヒコ.これ,本来はナズナとソーマが担当するべき役目のはずで,なんでこの二人が務めているのかは不明だけども(笑)最後まで見せ場を奪っていくテルたちが悲壮ながらも楽しいのでまあよし! 鏡合わせの印がはじまるなかで,白虎たちを狙う攻撃を食い止めるイソロクとエビヒコ.しかしそれは,式神の存在と引換の鉄壁の守り.使命を果し再会を誓って消えていく式神たちと,記憶を失う前に熱い友情を再確認する闘神士たち.でもこれ,本来はナズナとソーマが…(苦笑).

守りたかったものを守りきれない天地の宗家たち.渾身の鏡合わせの印はついに成立.しかしウツホによって封印の陣が動かされ,逆にリクたちが封印されかかるところを手荒い爆撃で助けてくれたのは第三の男,神流のマサオミ! 前回の悲劇をさらに乗り越えてきた彼らの登場で,ついに3極神操機揃い踏み.今回で闘神士の式神たちのドラマはかなり描ききったので,次はまた闘神士たちのドラマに戻るんでしょう.最後の最後で張られた伏線,謎の小屋の住人あたりもそろそろ明らかになるのかな? 天流の隠し神操機の行く末もなんとなく気になるぞ.残るは2回.そこにはどんな大団円が待っているのか.次回に続きます!

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