ボボボーボ・ボーボボ#71
「目指す高みはまだ遠くの巻」
ツルリーナ3世との死闘もついに終盤へ.確かに毛玉を奪おうとする3世は強大だが,自分以外をゴミ扱いするような奴にボーボボが負けるはずもない.人間の素晴らしさを見せ付けるべくボーボボが放った「鼻毛初人間超特急」は,人の一生に訪れる節目を利用したハジケで3世を苦しめる.誕生,命名,入学,卒業…常人にはありえない人生に強制的に巻き込まれ,苦しめられ,寿司を食わされる3世.ろくに抵抗もできず人間の作り出す無限のエネルギーを浴びた3世.しかもボーボボ曰く「こんな人生送ってる奴はいねえ!」理不尽極まる猛攻の末,ボーボボは人間の素晴らしさを3世にぶつけて撃破.ここに3世世代編は幕を閉じる.
大人の理解を拒否する滅茶苦茶なものを素晴らしい技術力で作品に仕上げている「ボーボボ」.3世世代編のクライマックス自体は前回分で終了しているので,今回は実質次回へのツナギ.このあたり,原作だとマンガならではのコマの広さを生かした大技が連発されるわけですが,その広さを狭いテレビの枠の中でどうやって表現するか,という演出点ではいつもよりちょいと劣るかも.原作をそのまま絵にしちゃっていてごちゃごちゃしてるんだよね.…でもまあ今回の最注目点はそこじゃない.新皇帝決定戦へと繋がるラストで出てきた最終兵器.元々男性声優に関しては豪華極まる本作にさらに加わる超強力声優! ついに来るべき人が来た(笑)!
今回のアバンは本編でいろいろあるので極力シンプル.ボーボボと首領パッチの荒野の決闘,しかし結局やられるのは見守っていたはずの田楽.いつもなら天の助の役割なんだけど,あまりに天の助だとお約束すぎてダメってことなんだろう.
前半は最終決戦.これまでボーボボから毛玉を取り上げるために2つの真拳を使って頑張ってきた3世.しかしボーボボには精神攻撃も丸呑みも効かないどころか余計タチの悪いハジケに繋がってしまうという悪循環ぶり.なんせ相手は最強の主役,勝敗は既にはっきり見えてるわけですが,高すぎるプライドが邪魔をして未だ地に倒れることのできない不憫な皇帝のためにも,ボーボボたちは最後のハジケで引導を渡してやるのです.
前回までであれほどひどい目に遭わされながらもまだボーボボたちをゴミ扱いしようとする3世.…田楽が「犬だよ」って言い張って場の空気の読めてないところが地味におかしい.首領パッチも天の助も人間じゃないのに(苦笑).しかし,ゴミ扱いする人間に翻弄される今の3世は,まさにボーボボの言うとおり「クズ以下」.その傲慢さへの罰として,ボーボボは3世に人間の素晴らしさを鼻毛真拳超絶奥義・鼻毛初人間超特急で知らしめることに.ラスボス戦でおなじみの同一テーマによるハジケコンボがスタートだ!
ボーボボの示す人間の人生では,どうやら歯科医院で赤ん坊が誕生するらしい.首領パッチの抜歯から勢い良く誕生したボーボボ.…首領パッチと天の助だけでなく,ボーボボが人間なのかどうかも相当怪しい(笑).生まれた子どもにもちろん命名.赤ちゃんがトランポリンで跳ねて3世の体に張られた名前を取っていく,というどの宗教のどの宗派でも実行できない珍妙な光景が炸裂.名は体を示す,というわけでアクロバティックだと武闘派な名前もついてくる.乳児段階であの体のキレならば,将来はさぞ素晴らしい戦士となるに違いない.
3世を巻き込みつつも続いていく人生.次は小学校に入学なんだけど,なぜか宇宙の小学校でランドセルから勉強ミサイルとか撃ってみるそんな児童たち.当然天の助は一緒にやられておいしくなってます! どうやら小学校という名の戦闘機関に所属させられた児童たちの巣立ちの日,卒業式では3世も宇宙人も倒れ伏す大惨事.小学校から宇宙戦争だなんて人生送っている奴はフィクションの中にしかいないわけですが,こうやって見ると子どもの人格を激しく曲げそうだ.
そんな殺伐とした小学校時代を通り過ぎて中学生は勉強.受験戦争ど真ん中は,サメの群れのど真ん中.あんな場所からどうやって試験会場に行くつもりなんだろう(苦笑).さらに人生も佳境の反抗期へ.3世にはんこー期なのではんこを押す不良ボーボボたち.痛い.そのベタすぎるダジャレが胸に痛いぞ(笑)! ここまでのハジケ中,ハジケの中に組み込まれてしまってろくに抵抗もできないかわいそうな3世….やられる声がひたすら悲痛です.
人生は新たな段階へ.不良は更正し就職面接に.しかし粗暴さが直りきっていないのか部屋の窓ぶち破って到着する不良上がりのボーボボを,元気1点買いで採用したダメ会社は当然2日後に倒産.…まあ,そりゃそうだろう.切れかかっている電球のように,この不条理な世界の中でときどきちゃんと繋がるまっとうな論理.ボーボボの再就職先は寿司屋さん.客の3世は強制的にたらふく食わされた上…「バトル中に寿司食う奴があるかー!」音楽とともに「…」の間が絶妙! この時折繋がって光るまともな論理がたまらない!
3世がいくらボーボボを脅しても,一度生まれてはじまった人生はもう止まらない.人は恋に落ちてそして別れ,首領パッチの目は相変わらず着ぐるみを見分けられない節穴であり,そんな節穴の傷心旅行に巻き込まれて電車の車窓から引きずられる気の毒な3世.さらに電車はトランスフォームで傷心ロボに変化「みんな,傷つけばいいんだ!」とどっかの主役みたいなことを言いながら首領パッチ地上に向けて乱射(笑).
ここまでの展開は全て,ヘッポコ丸の言うとおり3世を傷つけるためだけの「茶番劇」だから,どう頑張っても人間の素晴らしさとか力とか無限のエネルギーは伝わってくるはずもない.人の妄想の強さとか強引なこじつけの恐ろしさとかならまだわかるんだけど(苦笑).で,ここに来てここまでの長いハジケの大前提を豪快にぶっ壊すボーボボ.「こんな人生送ってる奴はいねえ!」…自分で投げた(笑)!
けれど普通なら1撃で戦闘不能になりそうな猛攻にも,高いプライドゆえに耐えてしまった不幸な3世.しかしボーボボは容赦なしに「決着をつけるとき」に突入.人は人と触れ合った数だけ強くなれるというお題目のもとにフィニッシュブロー,「人間って素晴らしい!」を放つボーボボ!…背景が全然人間じゃないのはお約束(苦笑).ある時点でどれだけ高い場所に到達しても,時が過ぎればその頂点はもっと高い場所への道の途中へと変わる.それこそが人の歴史であり,笑いの歴史.人は歩んできた道のりで強くなる…というわけで,ついに3世撃破!
2つの真拳を使いこなすとはいえ強いばかりで面白さの深みには欠けた3世はついに行動不能.青の世界に2人残留していたり,OVERが魚雷さんに戻らなかったりと問題もやや残っているものの,とりあえずこれで3世世代編も終了.天の助がOVERにやられてんのは,いつものことで特に問題にはならないよな(笑).
後半は新たなるステージへ! 3世を叩きのめしたボーボボたちは,その激闘の傷を癒すため,飛行機上に教習場・飛行機の上自動車学校をつくってみました,…勝負に無関係な軽いハジケでリラックスってことだろうけど,敵がいないハジケは無軌道すぎて妄想とか白昼夢に限りなく近いぞ.ボーボボ教官が教える不器用そうな天の助と,そもそもカルメンと仮免を勘違いしてコースで踊ってるバカ.「情熱進行」はまあいいとして「故郷オーライ」はわかってる奴にはたまらない.カルメンてめえは故郷に帰れ(苦笑)! 免許のための必死で踊り狂うカルメンこと首領パッチ,でもコースの上で天の助の車に突き飛ばされて落下.
そんなおふざけの真っ最中にやってきたのが新たな雑魚.謎の刺客・空ニャンが毛狩りした奴隷に自転車飛行機漕がせてやってきた! もちろん3世に比べればあまりにも小物なので,良いおもちゃとして復帰した首領パッチとともに一緒に遊び始めるボーボボと天の助.どうやらこの小物は何かの参加資格を得るためにわざわざこんな死地に踏み込んでしまったようでとてつもなくお気の毒.そんな空ニャンのパラシュート真拳で背中にパラシュートをつけられたことで,3人は飛行機の上には凄い風圧があることを思い出したらしく(笑)今さら飛ばされております.…そこはツッコミのビュティさんやヘッポコ丸ですら,今更のことなのでスルーしてたんだけどなぁ.ちなみに天の助のパラシュートはお約束のように他の2人よりも増量.飛行機の上をパラシュートつけたまま自転車で戻ってきてみたり噛んだガムで足を補強してみたりと適当すぎるボーボボたち.天の助もパラの増量でリアクションを満喫しているご様子です.
とはいえいつまでも小物で遊んでいても話は進まない.まずはパラシュートのお礼とばかりに奥義,強風・凧揚げ大会決行をお見舞いするボーボボ.飛んでいきそうな凧ボーボボに飛行機の上から引っ張られることになった空ニャン,さっきまで味方だった風は完璧に敵へと変わり,身動き取れなくなっているところに久々に己の真拳,神無月で介入してみようとするヘッポコ丸.…でも,未熟な彼の技は失敗して天の助のところへ(苦笑).とはいえ技を食らうのは天の助にとってもおいしいので,失敗したのに頭をなでられるヘッポコ丸.天の助師匠は後輩を誉めて伸ばすタイプなんだろうなぁ.
そして空ニャンに迫る退場の時間.ボーボボはアフロの中の田楽をぶつけて空ニャンの態勢を崩し,奥義によって強制的にスカイダイビング結婚式を敢行.新郎の手には鉄球,傍らにはオレンジでトゲトゲの新婦,全てが完璧に整っているはずのスカイダイビング結婚式なんだけど,パラシュートをつけわすれた2人はともに新たな人生へ急速落下! 毎度ながら,ボーボボが一番極悪だ….そして登場から退場まで15分かからなかった小物の狙いについて説明してくれるのは親切なモグラ.今,ボーボボの首はマルガリータ帝国,新皇帝決定戦のチケットとなっているのだ!
そんなわけで10月改編を乗り切っちゃいそうな新章突入! マルガリータ帝国で50年に一度行われるという頂上バトル.でもこの世界の50年って実際はどの程度の長さなのやら.参加資格は隊長幹部クラスということで,ボーボボ組にも該当者がいたようです(笑).もちろん自分の首がチケットなんだからボーボボも殴りこみする気満々.さらにこの好機に立ち上がるかつてのライバルたち.OVER,必殺5人衆,詩人,J,ギガ,獄殺3兄弟,絶望君,カツ,プルプー,ハレクラニ,宇治金TOKIO,レム,ランバダ,カンピョー君,そして新たなる敵…っていうか千葉繁!うわまた凄いのが来ちゃったぞ(笑).
この濃いアニメに果たして千葉氏の個性はなじむことができるのか? そして待つのは4世.さっきやられた3世よりも弱いはずなんだけど対抗策はあるのか? 高みを目指すボーボボのハジケ道はうれしいことにまだ途中,お楽しみはこれからだ! ビュティさんとパチ美のヒロイン頂上決戦にぼんやり期待しつつ,次回に続きます!
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