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アストロ球団#8

「たかが1つの勝利のためにの巻」

カミソリの竜の殺人L字投法の秘密を明らかにするためだけに球二は命を捧げ,偽の痣をつけた常人はアストロ球団の一員として死ぬ.その悲しみが呼んだ雷雨の中,残された球太の真の力が覚醒する.落雷を受けた動かないはずの手にはボール型の痣が.これが球二の魂を継ぐ2代目球二の誕生した瞬間だった.
球二の死で目覚めたのは球太改め2代目球二だけではない.球三郎は竜の投法の弱点を見つけ,超人殺しをキャッチャー殺しへと変えた.最後には逃げの一球を値千金のホームランとして竜をマウンドから引きずり下ろす.

奇行・流血は言うに及ばず,ついに生き返らない死者の出る事態となった「アストロ」.そもそもプロの球団とたった6人で野球をやっている時点で相当おかしかったんですが,カミソリの竜の球によって人が死んでるのに試合が続いてしまうというこの事態こそが最高にクレイジー! …状況そのものから香る血生臭い狂気こそが原作由来の本作の華.確かにこれを描きたいなら,必殺技の豪華なCGよりも,どれだけ激しく流血しても放映可能な時間帯を確保するほうがずっと重要だ.

前半は覚醒と仇討ち.まだ最初の試合の中盤だってのに、カミソリの竜の殺人L字投法によって本当に死んでしまった球二! なけなしのメンバーがいきなり1人死ぬというあまりにもどぎつい味付けに超人たちと視聴者呆然。救急車や警察を一刻も早く呼んでほしいんだけど、きっとこの島にはそんなものを期待しちゃダメなんだよなぁ。
超人ではない者の苦悩を抱えてここまで来た哀れな犠牲者は死の直前、自分を慕ってくれた球太にミットを託していたわけですが、球二の死に残された少年は絶叫。その声は雷雲を呼び、野球はできないけれど側面支援で頑張りますーという温和な少年だったはずがいきなりバット持って敵のところに殴りこもうとする逆切れぶり。そしてそれを必死で止める仲間たち…って、竜は不幸な事故とかではなく意図的に殺したんだから全員でバット持って殴りかかったっていいのに! この世界、なんとなく野球にさえなっていれば何してもいいパラレルワールドなんですよね?
己の無力を嘆く球太。超人野球をやる能力さえあれば、野球にかこつけて竜に復讐することもできるわけで。「超人の力が欲しい!」と激しい憎悪と欲望で突き出した動かぬ左手に落雷! あわや2人目の被害者が!と思われたところ、これが強力なショック療法となって球太の動かないはずの手が動くようになり、その掌には宿命のボールの痣が! …たしかに常人が超人のふりするのは、無理だ! きっと球二が欲しかったであろう痣を持っていたのは球太。突然の嵐はいきなり去って、晴れ渡る空の下で新たな超人が見出されたのです。
8回裏2アウト,アストロの攻撃は死人が出てもしばしの中断があった程度でまだ続く。続くバッター、球三郎はその美しい顔に傷をつけてご登場.恐らくは大変に短い休憩中に、カミソリの竜を倒すために地下で特訓を行ってきたのでありました。しかも真剣で! 憎き敵に一球報いるためなら怪我するくらいは安いものって思想はもう慣れてきたのでいいんですけども、病院も警察もないのに真剣はある巌流島は、一体どんな治外法権のキリングフィールドなんだろう(苦笑)。
…まあともかく,向かってくる殺人球に対し球三郎は,握りを変えて鐘突きのようにバットのヘッドを突き出す! 這い上がる蛇の如き竜の球の頭をぶん殴ってその流れをあらぬ方向に変えたなら,超人殺しのはずの危険な球はあっという間に味方殺しへと変化.これぞ,球三郎が奏でる球二の死に捧げる鎮魂歌.人を呪わば穴二つ,どころではなく,投げれば投げるほど味方キャッチャーが潰れていくという,別の意味の魔球が完成してしまいます.
フルメンバーを揃えてきたロッテだって,当然ながらそんなに沢山キャッチャーはいない.しかも竜が球三郎と対峙する一投一投はそんな貴重なキャッチャーを軒並み倒して残るはたった一人に.このままでは捕手不在になるからとさすがの金やんも竜の投法を止め,球種を変えてまともな球を投げさせたなら…これを待っていた球三郎はものの見事に打ち返す! ひたすら捕手を潰し倒したのは竜の逃げの1球を狙ってのこと.球二への弔いの花火,値千金の逆転ホームランが見事に舞い上がったのでありました.
殺人L字投法がなければ並以下の投手と評価された竜は,冷静な金やんにマウンドから蹴り出されて,彼の元々の立ち位置であるショートへと戻します.下手な情を見せずにチームが勝つための判断を冷静に下す金田.勝負のためには壊れた道具に余計な愛着は残さないあたり,さすがはプロの勝負師と尊敬したいところですが,これはカミソリの竜にとっては過去の惨めな父の姿を思い起こさせます.
今の竜と同じように,勝つために野球から切り捨てられた竜の父親.しかしそれでも野球にすがらずにはいられなかった父の情けなさと執着を見て,竜は…きっと大好きだったはずの野球の全てを憎んで,ここにいる.竜はショートへと下り,その怒りはいよいよ深くアストロ球団に向けられていきます.
さて,死んでしまった球二の穴を急遽埋めることになったのが超人として目覚めた球太は,前回肩をぶっ壊した球一とともに新魔球のために特訓.たとえどれほどきつくても,未練を残して死んだ球二のためにも新しいキャッチャーはひたすら頑張る.死んだ球二が悔しがってのたうち回る程に….死人すら安心させまいとするこの漢ぶりこそ本作の内を流れる怨念の水の本性.そこに足を浸した球太は「がんがん行きまっせー! 球一はん!」とまるで球二の居場所や存在を己の中に奪うかのよう.まるで球二の死などないかのように,不在の道化を演じる球太は,チビ球二へと姿を変えたのでした.

後半は遠すぎる勝利へついに.球二という存在を飲み込んで,球太は2代目球二となってマウンドへ! ここまで野球なんか全然やったことのない球太がいきなりプロと戦うってのは相当に無茶なんですが,その無茶を実現してこその超人だということはご存知のとおり(笑).9回表10対11,ロッテに残るはあと1人.もちろんここで出てくるのは,ユニフォームを投げ捨てるカミソリの竜! 彼の中に渦巻くのは,彼の親と彼の心と運命を縛ってやまない野球への怒りと恨みと愛着のみ.
向かい合う球一と,竜.放たれたのは新魔球スカイラブ! 急激のホップの直後に落ちる重すぎる球を,さすがの竜も打つことができない! 人の血と命を練って作られた,かすっただけで火がつきそうなほどの魔球に触れた竜に起きた化学反応.例の球団歌が朗々と流れる中,竜の背中に浮かび上がった宿命のボールの痣! …こんなところに7人目が! 野球という業に縛られた彼もまた球一たちの魂の兄弟.しかし今や敵同士の2つの魂は,一試合完全燃焼という題目の通りに正面から激突する!
超人という2つの金剛石は勢いのままに激突.全てを背負った球一の最後の1投.しかしもう相当前に限界を迎えていた球一は調子を崩し,沈まない球を放ってしまう.これを竜が打って,球一にぶつけないわけがない.だから他の超人たちは球一を守るために全員マウンドに駆け寄る.死んでもいいと互いに腕組み,球一を守ろうとする超人の壁! …あまりに無茶苦茶な展開によってついに生まれたチームワークよりも濃く熱いものに照らされて輝くボール.一人きりの竜には…打てない!
ついに試合終了! 途中でピッチャーの肩が壊れたり選手がホームランに巻き込まれたり死人が出たり雷が落ちたりキャッチャーが軒並み潰されたりした結果,アストロ球団,勝利! あまりにも重過ぎる代償を支払って彼らが手に入れたのは,たった1つの勝利.人の命より重いわけのない勝利にひたすら喜べるこの異常な心情こそ,彼らが超人であるという証なのかもしれません.
実にいろいろあったものの,ファンだけでなく他球団の選手や関係者の心すらも揺り動かした超人野球はひとまず終了.とりあえず一番悪いのは試合会場に行かなかったシュウロと断じてみたい(苦笑).はためく球団旗の下で1つのチームとなった6人を招くのは,次なる血の道.それは食えない策士であった金田にすらも立てない地獄道! そこに踏み込もうとする6人の戦士と竜の痣に反応する謎の男の正体も気がかりです.勝利をろくに味わう暇もなく,次回に続きます.

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