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第11回しりとり竜王戦・本戦

この記事は第11回竜王戦,準決勝以降の記事です.予選の様子は2つ前の記事か以下のリンクでどうぞ.
 R'sM: 第11回しりとり竜王戦・予選
勝ち残ったのは板尾(130R)・山里(南海キャンディーズ)・有野(よゐこ)・大島(森三中).比較的順当な勝ち残りぶりの中で別の輝きを見せるのはやはり1回の大当たりでここまで来た大島か.見た目と性別を武器にしたあの凄まじい台風ぶりは滅多に見られるようなものじゃなかったわけですが(笑)準決勝以上は余程の運がなければ勢いで勝ち残るのは大変難しい.相手は強くなるし自分に回ってくる回数が増えるしプレッシャーはハンパでないし,本戦ではしりとり能力よりも精神的な安定ぶりのほうが実は重要じゃないかと思うんだ.

準決勝第1試合は板尾対大島,常に最強の板尾永世竜王に立ち向かうのは女流の大島.永世竜王と女流が闘うのは8回の藤崎以来か? テーマがツボに入れば間違いなく板尾といい勝負のできる大島ではあるものの,そのツボの範囲はごく狭い.ツボとテーマの距離次第で勝負は決まります.

準決勝第1試合の競技は「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
テーマは「うさん臭い言葉」.千原の「9・1・7のダブルプレーですよ」からスタート.

レベルの高い例題にも臆することなくいつものように板尾先行.「四葉のクローバーはね,もれなく差し上げますよ」…誰が何のためにそう言っているのか仔細は不明なんだけど,その曖昧さが謎めいている.これに歯向かう大島の「よーいどんで,どっちが綺麗になるか競争しよっ?」は実に状況がわかりやすい上に大島なんでちょっぴり痛々しい(笑).ただし,テーマからはややずれている.板尾は長考して「ヨン様カレンダーは一人1枚ですよ」,大島は「よってたかって何よ…抱けばいいでしょ」と特に大島は土俵際で必死に粘ったんだけど両者今ひとつ.大島はやっぱりうさん臭いというよりは痛々しい(笑).でもこういう勝負に対する執念を誰かさんは学ぶべきです.板尾はまた長考して「よーい,スタートストップ!」と間がない.演技が面白くて引きずられてしまうな.それに対して大島は「普通のホルモンバランスってわかりますか?」とモノを売りにかかります.司会のいとうも喫茶店の勧誘だと良いフォローを入れてますね.これに対抗するのが板尾の「カレンダーを先に買ってください!」.自分が先に出したヨン様カレンダーをたぶん継承してる(笑).そうか.カレンダーでおばちゃんを集めたのか….大島の「いらいらするときは,このサプリメントを飲んでください」は相変わらず喫茶店.勧誘ビジネスで押し切るつもりです.そして続く板尾の妙手.「胃がまだ残ってるよね」…怖い.ここまで自分が展開してきたおばちゃんの勧誘だけでなく,大島の喫茶店会話の奥にも潜む暗いものをするりと見せてくるわけです.そして大島の「ネイチャー・アクア・パフュームで作られている浄水器です」としてセールスは続く.流れは悪くないんだけど,板尾のあの黒い1手で一気に背景にされてしまったのが厳しい.そして最後の板尾は「…」…時間切れ!

審査員も騒然となるとんでもないラスト(笑).なんで永世竜王は最後に3点あげたんでしょうか.フェミニストとかそういうの? 大島は中盤からでも永世竜王の前で自分の世界を頑張ってつくったところは偉かったけど,その業績をあの黒い一手が一気に背景に変えてしまったのが勝負のポイントではないかな.
結果は板尾19点,大島13点で板尾が決勝進出.予選で見せた輝きは間違いなく本物だったので,敗北にめげず,また大島がこの舞台に上がってくれる時を楽しみにしたいと思います.

準決勝第2試合は有野対山里.奔放なようで結構器用で相手としりとりで会話したがる有野に対するのは,手堅く安定した手でここまで来た山里.…まさかあれほどの変態だとは思いませんでした! もちろん読み返すと有野も相当アレなんですけども,山里の性癖には審査員ドン引きです(苦笑).

準決勝第2試合の競技も「しりとりセンスマッチ」.
テーマは「エロティックな言葉」.渡辺の「蜜のお引っ越し」からスタート.

言葉だけでなくその言いぶりも重要なのだと示す渡辺の例題を受けたのは山里.「鍾乳洞でそこまで?」は穴があって湿っているからエロだ(笑).有野の「出目金をそんな風に使っちゃうんだ」は一体どんな状況なのか.その言いぶりだと横から見ている第3者か? ともかくマニアです.山里は長考して「丹頂鶴,そういわれたときもあったな」…視聴者,審査員含め誰にも理解されない領域に鶴は羽ばたいていきました(笑).頭が赤くて首が長いから,わからなくもないけどわかりたくもない.有野の「雨漏りも手伝ってるよ」は湿っていてムードあふれ直前よりも圧倒的にわかりやすく,官能小説と審査員も絶賛.で,山里の「四つんばいにライドオンタイム」…それはわかりやすすぎる(笑)! わかるかわからないかの際がエロスなんだけどなぁ.有野はしばし考え「無理な体勢で68手目」とこれも比較的直球.山里の答えをややはぐらかすことで,きっちり点を稼いできます.あまりのわかりやすさが不評だった山里.「面と向かっては言えなかったけど,あれはもう,冬瓜だな」…また丹頂鶴並にわかりにくい(苦笑)! 何が冬瓜なのか教えてください.これを改良したのが有野の「奈良漬も乗せる」.素材は似たような感じなんだけどわかりやすく改良.理解できるかできないかのぎりぎりのラインこそ,上品な大人のエロスです.何はともあれあまりに自分の回答が理解されにくいことに気づいた山里は,「ルール? ベッドの上で?」と再び直球に戻る.これを改良したのが有野の「電話?出なくていいね」.ネタの冷静な跳ね返しぶりが怖い! そして山里の「ねえ,今日からそれをエクスカリバーって言っていい?」は,ようやく皆にもわかる比喩となりました(笑).真剣な顔でこんなこと言ってるってところも面白い.で,エクスカリバーに対する有野の返事が「いいよ,じゃあそれは爪楊枝ね」.…爪楊枝並ですか.意地が悪いなぁ(笑).山里の「寝返りもプレイに使うからね」はまた意味がよくわからない.そしてラスト,有野の「姉さんも入るかい」…姉萌え来た(笑)!

審査員は山里ド変態と絶賛.何をどう間違ってあんなわかりにくい比喩になったのかはあんまり理解したくないところですが,ともかく相方の静ちゃんの将来が他人事ながら大変に心配です.そして未熟で荒れっぱなしの山里の回答を受け,常に手堅い答えを打ち返した有野はやはり凄かった.有野本人にとってはやや苦手なテーマでも,ここまできっちり点を重ねられればたいしたもの.
結果は12対22で有野の勝利! 山里はこんなところで性癖をバラされるわ負けるわと踏んだり蹴ったり(苦笑).そんなわけで,ここでしりとり界の頂上対決の実現が確定します!

決勝は板尾対有野,永世竜王対7段の問答無用の頂上決戦! 誰もが夢見る超絶バトルが今ここに.どのジャンルでもゆるぎのない板尾とここまでの経験で幅広い対応能力を身につけた有野の対決は,まさに山中で仙人が遊ぶが如くの凄まじい空中戦となりました.

決勝もしりとりセンスマッチ.テーマは「場が盛り上がる言葉」.
千原の「うわっ,おしっこから虹出てる」からスタート.

もちろん回答権を取ったのは板尾.「ルーマニア国境って太ってー」…それ盛り上がるの? それに応える有野は「鉛筆全然減らへんわ」…それ盛り上がるの? さらに板尾の「和歌山って過ごしやすいわぁ」…ねえ,それ本当に盛り上がるの(笑)!? しょっぱなから地に足がついてない凄まじい応酬! 有野の「笑うとこいっこもなかったけど,まだ帰りたくない!」はまるでここまでの応酬をまとめたかのようで微笑ましい.板尾の「イメルダ夫人,かわいい!」は…勢いだけだとわかっていても,単語や言いぶりに逆らえねえ(苦笑)! これを跳ね返す有野は「イメルダ夫人,まだ怒って!」と微笑ましく反射.続く板尾の「テルテル坊主さんです!どうぞ!」に至っては,もはや状況がわからない.ゲストか? 宴会芸か? 有野の「ソープランド,朝までハシゴだ!」はさっきのエロを継承している.板尾の「タイの国王の息子だったのぉ?」に関しては,確かにそれで盛り上がるのは板尾だけだたぶん(笑).有野の「のっぺらぼうに顔書いてるんだ」は一見わかりにくいようで,実際はテルテル坊主へと繋がるんじゃないか? 板尾の「ダイナマイトだけど,受け取ってね!」は間違いなく勢いだけ.有野の「ネコ轢いたけど,へっちゃら!」も勢いだけ…でも,微妙に状況がリアルなので有野の回答のほうがヒきます(苦笑).板尾の「らくだの鍋しかないですけどぉ,ごゆっくりぃ」は不条理.既に面白ければ何を言っても良い空間と化している.そんな中で有野は「リムジン乗してやるから,運転しろよ」とテーマのある周りをさっとかすめる.板尾の「よっ! 家族!」はこの状況でなければ絶対出て来ない部類の奔放な1手.この奔放ぶりにはさすがの有野もついて行けず,「喰いねえ喰いねえ,ポッキー喰いねえ」とテーマの周囲をくるりと回る.板尾の「え? ネイティブアメリカン来た!」はまた板尾さんしか盛り上がらない言葉じゃないですか? そして有野の「助けてーって,聞こえなかった?」はむしろ場が冷めませんか(苦笑).

なんてハイレベルで奔放な打ち合い! しりとりの熟練者のみが覗ける凄まじい世界はまさに桁違い.だってどの回答も普通に考えれば失敗のはずなのに,どうしても面白いんだから! 審査員席でもこの対戦を見直したいと皆絶賛.まさに神の一戦となりました.…こんな恐ろしい戦いは滅多に見られないですよ!
結果.板尾30点,有野19点で第11回竜王はやはり板尾永世竜王となりました.しかし勝利そのものよりも,あの2人が言葉だけで作り出した奇妙で素晴らしい世界そのものを讃えたい.独りしりとりがアレだったように,板尾竜王ですらも今回のような境地にはたった一人では至ることができないわけです.独りじゃないって,本当に素敵なことだよね.

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