第11回しりとり竜王戦・予選
言葉を使った芸人同士の総合格闘技である「しりとり竜王戦」.久々に放映がありましたのでまずは前半のレビューをお送りしたいと思います.初回放映時に感じた凄さはやはり間違いなかったようで、今回でついに11回目を数える超長期企画となりました.ちなみに過去の履歴についてはこちらなどをどうぞ.
ここ最近の戦績は四天王が自爆する場合を除けば比較的予定調和.初期の「しりとり」は先のまったく見えない面白さが売りだったけれど,現在は桁違いの四天王をいかに他の参加者が揺るがすことができるかがポイント…という考え方につい囚われてしまうことこそ,四天王以外の名人を萎縮させる大きな原因なのかもしれません.
今回の出場者は板尾(130R),高橋ジョージ,井上(次長課長),山里(南海キャンディーズ),河本(次長課長),山根(アンガールズ)、大島(森三中)、有野(よゐこ)。4強の中でもまさに最強の板尾永世竜王と、前回調子を崩した波のある有野名人が参加.しりとりの「常識」に挑む他の名人達はなかなか大変なわけですが,そんな中でも,ある意味破れかぶれでとんでもない輝き方を見せる奴はいます(笑).
司会はいとう,勝俣,MEGUMIで,採点と御題には渡辺と千原が入ります.そしてしりとりビューティこと野村アナが記録.稀代のツッコミではないけども,やっぱり誰もから守られる役割なんだろうか.
Aブロック予選は板尾・高橋・井上・山里.芸人の間になぜか挟まった高橋・「ロード」・ジョージの浮きっぷりが凄いことになってます.…本当になんでこんな仕事受けたんだろう(笑).ちなみにロードは全13章でございます.あまりの緊張にえづく山里や,泣き虫をなんとかしろ貪欲になれと戦う前から審査員をコーチ気分にさせる井上が最も恐れているのは,「独りしりとり」という公開拷問を潜り抜けてきた板尾永世竜王の豪腕.事前の意味のないコメントからしてもう自由自在だもんなぁ….
1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「ちょいワルな言葉」.「うがい薬だが飲む」からスタート.
例文が既に微妙な気がするんだけどまあそれはともかく,いつものように速攻をかけた板尾の「ムツゴロウだが双子だ」も迷走.場を引っ掻き回す? 続く高橋,段取りがよくわかっていないようでまごまごした後,「駄菓子屋だが,…腹いっぱい食べる」とこれは意外といい.続く井上は「留守番電話だが,たいした用事をいれない」とあまりに控えめ.もうちょっと悪くてもいいんじゃないのか? 今回最もテーマに沿っているのは山里で,「妹だが,敬語」は味わい深い.敬語で話しかける兄でもいいし,敬語で話しかけなきゃならない妹でもいい.そして流れを受けた板尾の「子守唄だが,大音量」ははじまったと審査員も大絶賛! どうしてこう黒いんだろう(笑).高橋の「生まれつきだが,裸んぼう」は前のが凄すぎてかすんでしまうけど悪くはない.正直,順序に負けている気がする.井上の「梅,だが,木ごと食ってやった」はたどたどしい.そして審査員のフォロー解釈がなければ趣旨がわからない程度に迷走.で,山里は緊張して「貴乃花だが,寄りきれた」とこれはなんだか勢いのみ.全体的にずれてしまったこの状況下,板尾の「タンバリンをプレゼントしたのだが,丁重に返した」は着実にテーマに当たっている.それに比べて高橋の「楽しみにしてたのだが,帰ってきた」はやっぱりずれてる.難易度が高いからなぁ.このあたりでプレッシャーに敗北した井上は,「たくさんのひとにみまもられたの,だが,しななかった」…それのどこがちょいワルなのか? そして井上ホントに大丈夫か(苦笑)? 山里の「誕生日だが,バイトを入れた!」は勢いもあってテーマにも沿っていて良い.で,そんな勢いの尻馬に乗る板尾の「誕生日だが,バイトを殴った!」と見事なインスパイアでさすがは永世竜王.ずるいぞ.
初戦ということと競技自体の難易度の高さから今ひとつハジケきらない弱い展開で終了.難しい内容でもプレッシャーのかかる状況でも,そこそこ以上の回答を常に心を揺らさず出し続ける実力という点では,板尾を別格とすれば3人の中では山里が最も力があると言えそう.
2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「金八先生の寝言」.「もう送る言葉ないよ」からスタート.
なんかまた例文が微妙な気がするけどまあいいとして,やっぱり板尾が回答権を奪って「四十パーセント」と素敵な一撃.先生の癖に,どうやら進学率じゃなくて視聴率らしいですよ? 高橋の「隣の人と,仲良く,ね」は先生らしいけど愉快さは薄い.勝負の前にプレッシャーに負けていることでおなじみな井上の「狙ってから,鼻を殴りなさい」は…この高ストレスの状況に変な攻撃性が出てきたとしか思えない(苦笑).安定した山里は「いいか,ルージュは薄めにしなさいこのバカチンが!」…下手にまともな金八知識があることがマイナスに働いている気がする.板尾の「ガールフレンドなんか,たいがいにしなさいよ」は微妙.高橋は呟いて悩んだ上に,「よろしく!と言ったら,矢沢じゃなく裕也だよ」と細かい話なんだけど微妙.今回もテーマが難しい.井上の「他所は他所!うちはうち!」や山里の「違う,竜馬先生はそんなこと言わない!」も今ひとつハジケきらず,このまま緩い流れが続くのか…と思ったところでさすがは永世竜王.板尾の「乾先生は同性愛者です」って凄いよ! いけしゃあしゃあと大嘘だよ(笑)! このでかすぎる波に巻き込まれた高橋の「するめは,ほんとは噛んじゃいけません…あ!」冷静さを失った結果「ん」がついたので減点3.すっかり壊れてしまった井上の「すきまをみつけて,はいりなさい!」はうわ言のようだがそれがむしろ夢っぽくって深い.やたら歯切れのいい山里の「いいねぇ,ゆず胡椒ですか!」は夢に聞こえないところが面白い.そして板尾の「カルシウム取るとね,いいことありますよ」で終了.緩いなあ.
基本的には低調ながらも,ときどき板尾名人が大当たりを出すという展開で2戦ともに終了.どんな問いでも安定した回答ができる板尾永世竜王恐るべし.結果,板尾23点,山里13点で勝ち抜け.井上は12点でかなり健闘したものの,あのコメントを聞く限り既に限界を越えているようなので敗退でOK(苦笑).そして最後に自爆した高橋は5点.結構頑張ったんだけど,何よりも板尾の直後って場所があまりに辛すぎました.
Bブロック予選は有野・大島・山根・河本.お父さんのお古のスーツがつんつるてんな山根.その手足の長さをより引き立たせる格好だったりするので,天然のように見えてよく計算している気がする.河本はいつもならきっちり当ててくる上に波に乗ると怖いんだけど,なんだか今日は顔色がおかしい.大丈夫? 前回今ひとつだった有野は今更ながら雰囲気の違いに戸惑ってみたり.で,今回の参加者中唯一の女流なんだけど女流に見えにくい大島は,返事ができないほどに緊張.しかしまさか彼女が女を武器に大暴れを見せるとは,この時点では誰も気づいていなかったのでありました(笑).
1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「切ない言葉」.「ビールかけだが誰もかけに来ない」からスタート.
有野の「妹なのだが喧嘩に勝てない」はテーマをきっちり押さえた模範解答.で,問題は続く大島.「一瞬で,好きになったが,箸の持ち方で,醒めた」…緊張で声が震えてる? でも,女を押し出すネタを選んだその判断は間違っていない.山根の「楽しい家庭なのだが,会話が成立していない」は黒くて良い! 笑顔には絶対狂気が漂っているに違いない.ここまでは割と快調だったんだけど,河本の「犬を飼ったのだが,逃げた」…河本どうした? 有野の「タラちゃんなのだが,毛が生えている」は圧倒的な脳内ビジュアルの勝利.しかしそのビジュアルをぶっ飛ばす大島!「ルミちゃんの子だが! 私の子でもある!」…略奪愛を求める女妄想ストーカーの図が浮かんできて怖い! この怖さに比べると,山根の「ルールを守ったのだが,後で怒られた」は決して悪くないが普通.河本の「たくあんを,沢庵を食べたのだが,歯がとれ,かけた」は内容はアレだわ噛むわと散々なことに.なんでこんなに河本はおかしくなってるんだろう.熱でもあるのか? 有野の「宝くじを買ったのだが,去年のだった」は審査員席からそれは売ってないとツッコミが.そして今最も光り輝く大島! 「たまに,殴られるのだが! 嫌いになれない!」…強い! 大島自身が作りだした風は,回答を重ねるごとに強まってついには台風に! この台風の前では山根の「一番に戻ってきたのだが,まだ準備ができていなかった」はどうしても弱く,河本の「たこ焼きを食べたのだが,タイヤキの味がしてならない」に至っては…やっぱり熱がひどいのか? ここで試合慣れしている有野は正道に戻って,「今から帰ると留守電に入れたのだが,自分で再生した」とまともな回答で風をそらそうとする.けれど自家中毒で悪化の一途を辿る大島の風はもはや止まらない! 「助けてと叫んだのだが! 男の力にはかなわない!」…大島の口からこれが出ているって事実が,ともかく最高に切ない(苦笑)! 山根は順序に負けて「一生かけてやりとげたのだが,誰も,認めない」は悪くないけど弱く見え,顔色のおかしい河本に至っては「一生会わないって誓ったのだが! 愛には勝てない!」と他人パクって一杯一杯って…本当に顔色がおかしいぞ.
大島の凄さには全員びっくりなんですが,それ以上に河本のあまりのダメぶりが大変に気がかりです.テレビなんか出てないで,もしかしてすぐ病院行ったほうがいいんじゃないのか? 大島が紡ぐ外見にハンディを背負う女ならではの見事なポエムはそれ以外の全ての回答の印象を吹き飛ばすほど強烈.典型的なノセると怖い天然タイプです.
2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「あまり知られていない妖怪の名前」.「うしろスキップ」からスタート.
久しぶりに2人の手が同時に…あんまり上がってないんだけどたまにはスロー再生を使って結局有野から.「プリン揺らし」は彼の持ち味である可愛らしさがよく出た回答.このファンシーな流れの中で,大島は長考の末にすごい顔で「死ぬかもしれない」…持ち味は出てるけど,ビジュアルが思いつかない(苦笑).このテーマは言葉としての面白さもさることながら,そこから妖怪の具体的な姿や生態を他人の脳内で再構成できるかが大きな鍵なので難易度がやや高い.大島の周囲に吹いていた風はここで消滅.山根の「胃腸弱し」は自分自身の見た目のイメージを生かした手.見るからに調子悪そうな河本の「執行猶予」は,やっぱり薬とか飲むべきじゃないか.有野が言い出した「横はめばばあ」って,想像を変な方向に持っていくと確かに怖い(笑).大島の「アメリカもどき」は典型的ヤンキーなのか,蜃気楼のように洋上に浮かぶ巨大な大陸なのか.ともかく言葉のインパクトが弱い.山根の「キクラゲ飛ばし」くらいの身近さがこの題にはやはり好ましく,河本の「四国の女」は悪くはないんだけど関東ローカルで良かった(苦笑).有野の「名前忘れ」はすぐ傍にいそう.大島の「レレレの王子」は,水木じゃなくてなんで赤塚なのかがよくわからない.山根の「仁丹こぼし」は田舎の祖父の持ち物風はアイテムの選択が実に良い.この題で,民話に近い世界を狙うのは正しいな.で,河本は悩んで「しょっつる鍋こぼし」…いくら調子が悪いからって,だから他人のをそのままパクルのはダメだよ(笑).有野の「司会者妬み」は実際芸能界にはよく出るらしい.そして大島の「ミロだけ飲むぞ」という迷走で終了.
今回はリアルな田舎を思わせる山根がやや良く,有野はマイペース,大島からはさっきの勢いが消え,河本は…本当に大丈夫か? 難しいテーマで全員崩れた中でも,自分のネタを千原に指摘されるまで忘れていた河本は本当に大丈夫か(苦笑).結果,有野24点,大島21点で決勝進出.山根の20点は惜しかったけれど,前半だけで20点稼いでいる大島台風には追いつけませんでした.そして本当に具合の悪そうな河本は11点.はやく帰って寝たほうが….本気で心配です.
以上予選で勝ち残ったのはAブロック板尾・山里,Bブロック有野・大島.この4人で本戦が行われたわけですが,その顛末については本戦記事に続きます.
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