« 金色のガッシュベル#126 | トップページ | 焼きたて!!ジャぱん#48 »

アストロ球団#7

「真の入団試験の巻」

ロッテ対アストロ戦,5回裏.カミソリの竜の殺人X打法の餌食となり肋骨を折られた球一は意識を失う.他の超人たちも既に満身創痍.特に外野の球七の手は既にバットすら握れぬほど.そんな手をバットに縛りつけてまで打席に入りひたすらに前進し続ける球七の悲壮な姿に,他の超人も闘う意志を取り戻す.球八の気迫の篭った打球は,モンスタージョーの体ごと電光掲示板へと突き刺さった.
朦朧とした夢の中,球一は会ったことのない男に出会う.青年たちを血みどろの道に招いた張本人は,新投法のヒントを球一に与えて消えていく.目覚めた球一はすぐさま球二とともに,新魔球の完成を急いだ.

血まみれのデビュー戦をのた打ち回る「アストロ」.技とチームワークを破られて,前回どん底まで落ちたアストロ球団の反撃がここからはじまるわけですが,その最中,真の意味での人間と超人の選別が行われます.超人にはガッツだけで死線を越えるほどの常識ハズレの能力が期待されていて,逆に言えばそれを出来ないものは超人ではない.そして超人でないものは,アストロに居ることはできないわけです.主役は球二.彼が見せる生き様と魂の継承こそが最大の見所になります.

前半.ロッテにいいように攻められ破られ潰されて2時40分.殺人X打法のおかげでエースの球一は意識を喪失.死んではいないものの肋骨が折れた以外にもヒビもあちこち入っているということで,普通なら間違いなく病院直行のところをベンチに寝かせるだけの仲間たち.…球一の力に対する信頼がよほど深いのか,単に動転しているだけか.
もちろんひどい目に遭っているのは球一だけでない.特に球七は顔の形が変わるほどのダメージを受けながら,それでも闘志だけは相変わらず衰えず燃え盛る.この球七の必死さの意味を理解しているのは弟だけ.同じ痣を持った運命の6人も,心はばらばら.今の彼らにその運命の証は何も答えない….
球七の打順.もはやその真紅の手を隠す余裕もなくなった球七は,バットに効かぬ手をぐるぐると縛り付ける.あからさまなスタンドプレーとロッテはバカにするけれど,球七の様子を見れば彼にそんなことをやる余裕なんかないってことは自明.やせ我慢もここまで来れば超人レベル.己の命を削って進もうとする球七の姿に…球二はひどく感銘を受けます.
意地で立った打席.放たれた長打.しかし球七にはもう走る力がなくアウト.…痛みで朦朧とした球七には審判の声が聞こえなかったのか,なおも1塁を目指す切ない姿! 仲間たちの消えそうな闘志に火をつけるための必死のアストロガッツは,ついに激しい炎になる!
兄の悲劇を目にして最も発奮したのはもちろん弟の球八.「男なら…」と無骨な声でソロを取り,モンスタージョーを潰す! 気が短くて積極的な兄の影に隠れてしまいがちだけど,球八もまた一人のアストロ戦士.復讐心を叩き込んだ打球は,モンスターごとボールを電光掲示板へと叩きつける!
何の小細工もない力の爆発であるからこそ,超人の恐ろしさを心底感じるこのシーン.マンガやアニメなら単に爽快感を感じるだけの描写で済むだろうけど,下手に実写でリアルな分だけ,爽快感よりも怖さを感じるところが面白い.この超人ホームランはジョーを再起不能にしたと思われるので,兄の恨みは弟が見事晴らしたと言えるでしょう.…もうちょっと早く晴らしてやれば,なおよかったのに(苦笑).
その頃.意識を飛ばした球一は内的宇宙を漂流中.その中で出会うのは本作の元凶.巨人軍のユニフォームを身につけた,超人たちを死地へと招いた妄執の源,あるいは死神.彼は弱った球一の休息を許さず,再び死地へと送り出すための呪いを与えます.ピッチングには肩だけでなく,強靭な背筋や腰の捻りも必要…という沢村のアドバイス.でも,さすがに肩なしは無茶だろ(苦笑).
とはいえ球一は常人でなく超人.左肩がだめならば…というわけで骨折しながらも新投法のアイデアが降りてきてしまったので目覚めるしかない.再びの闘志とともに目を開く球一は,痛む体もそのままに新魔球の特訓に挑戦.試合中に! 重傷なのに! しかも結局左肩もかなり使っている投法だったりするもんだから,見ているほうは気が気ではない(苦笑).球を右で一度宙に放り,落ちてきたのを今度は左で指で支えてそのまま放る.風の如き右から左への超投法.名づけて当時の時事ネタ,スカイラブ投法!

後半.折角叩きのめしたアストロのエースが妄執によって復活してしまったわけですが,用意周到なロッテの爆弾はまだ終わっていない.最後の秘密兵器は…ピッチャー・カミソリの竜! ピッチャー殺しをピッチャーに据え,バッターまでぶっ壊そうという計画だ! 打順は球三郎.凄い展開で蘇った彼には生前から心眼が備わっていたわけですが,その眼で見通した竜の球には,打ちごろのスローボールのはずなのに恐ろしい気配が.
手を出したその球には危険な高速回転がかかっていて,すぐさまバットを放さなければ恐らくバットをよじ登って球三郎を襲っていたはず.ろくに戦力の残っていないアストロの場合,アウト1つと大怪我を天秤にかければアウトを選んで当然.続く球七以下の打者も,バットに巻きつきよじ登る毒蛇のような恐怖の正体がわからず手を出すことができない.球五の指示に従って耐え難い野次にも耐える超人たち.けれどこのままでは,怪我はしないけれど勝つこともできない….
竜の秘球・殺人L字投法を破らなければアストロの勝利はありえない.それだけは常人の目にも明らか.…だからこそ思いつめた球二は,その身を蛇の前に差し出すしかない.白いハチマキを締め死地に向かうその背には,決死の覚悟が滲む.何よりも大切なチームの勝利のために,球二はその体で突破口を開いてみせます.それがたとえ,どれだけ無謀なことだとしても.
竜の球は球二のバットをよじ登り,手元までせり上がったところで跳ね上がって頭を襲う! その回転の威力に吹っ飛んで倒れる球二! 流れる血,駆け寄る仲間たち,哄笑する竜…大惨事の中,初めてこの試合の主役となった球二は,なおもふらふらと立ち上がる.
「勝負はまだついてへん」と球二は諦めない.けれどその眼は既に見えていない.球二のどれだけの叫びも振り回すバットももはや意味はない.危険球をもろにうけてしまった彼の命の火は,悪魔の息吹によって吹き消される寸前….そして,彼はチームメイトに本当を話して去っていくのです.
「超人じゃありゃしまへんねん…」 貧乏寺の坊主で終わるという己の運命を切り開くため,大嘘をついてアストロ球団にもぐりこんだ球二.掌の痣もただの刺青で,彼自身は並よりは上の野球センスを持つ,常人.球二にとっては一生を賭けた大芝居.けれど,中身は小市民であった彼が命までここで賭けてしまったのは…球団に対する狂おしいほどの愛情ゆえに.
ただの大芝居のはずが,いつしかアストロ球団に魅入られてしまった球二.しかしただの人である彼に今できることは,危険な球に手を出して,仲間にヒントを与えることしかなかった.残った未練はミットとともに,自分を常に信じてくれた純真な球太に受け渡し,そのまま…球二の命の火は消える!
ついに出た死者.常人には耐え難いこの戦場に,超人ではない球二はとうとう殺されてしまいます.確かにシュウロの言うとおり,超人ならばこの逆境をはねのけて当然だけど…もっと早くに誰かが球二のことに気がついていれば,あるいはシュウロが同行していれば,沢村の妄執が球二の掌に本当に宿っていれば! こんなことにはならなかったはずなのに! 次回に続きます.

|

« 金色のガッシュベル#126 | トップページ | 焼きたて!!ジャぱん#48 »

「レビュー◆アストロ球団」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5112/6301731

この記事へのトラックバック一覧です: アストロ球団#7:

« 金色のガッシュベル#126 | トップページ | 焼きたて!!ジャぱん#48 »