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焼きたて!!ジャぱん#55

「ゴミにしないでリサイクルの巻」

パンタジアの独立を賭けた大舞台,「焼きたて9」の初対戦場は青森・大間.サンピエール側の坪塚が2種類の生地を準備したのに対し,パンタジア側の和馬は河内の焼いたクソまずいパンをゴミ袋に入れる始末.しかしこの奔放さこそ和馬のパン作りのスタイルであることを黒柳はよく知っている.
先に完成したのは坪塚のパンのスーパートロあぶり.努力と勝利でトップアイドルに上りつめた坪塚の作ったパンにより,黒柳の髪は金色に輝き,その芸風は溢れる気だけで地割れを起こすような他社の世界的なスーパーヒーロー風に変化した.彼にここまで危険なリアクションを取らせたのはパン生地の歯切れの良さ.アイドル離れした超絶技法を見せつけた坪塚だが,和馬たちの表情は未だに明るい.

モナコカップに比べるとかなりのスピード感で原作を消化していく「ジャぱん」.実際前回は消化するだけで一杯一杯な感じであったわけですが,今回は急ぐがゆえのスピード感をうまく使って強引にいろんなものを乗り越えていく様子がなかなか見ごたえがあります.特に中盤のオラ対冷蔵庫の戦いなんて,バトル映像と説明用の図と溢れるパンウンチク台詞がごちゃまぜになって,もう何アニメなんだかわかんねえ(苦笑).そんな中,気の毒なのは周囲に翻弄されて流されていく河内.パン馬鹿である和馬にはデリカシーってものが足りません.

前半.青森の大間でアイドルと戦う和馬たち.ただしアイドルとはいえ腕は確かなので勝つのは容易ではなく,しかし負ければ職人としての名に大きな傷がつくという面倒な敵.逆にサンピエールにとっては負けたって痛くないからちょうどいい刺客.そんな難敵に挑む和馬が持ち出す秘密兵器が河内のクソまずいパンに大間町ゴミ袋だったりするので慣れてないアイドルはさすがにふざけんなと怒ります.けれど皆様ご存知の通り,和馬はクレイジーではありますが決してふざけているわけではありません.
入社試験からモナコカップまでの実に長い付き合いで,和馬が物凄いパン馬鹿であり,だからこそパンに関しては常に真剣であることを良く理解しているリアクション馬鹿の黒やん.懲りない遅刻や素っ頓狂な行動で生真面目な黒やんを苦しめてやまない和馬だけれど,彼が作り出すパンは本物だと信じているから坪塚を追い返す.ただしどれだけ信頼していても生ゴミジャぱんが出てきたら黒やんはどうするんだろう.和馬が作ったパンだから…どんな見た目だろうと喰うしかないのか(苦笑).
まずいパン作りの天才である河内を擁したパンタジア側は,黒やんの心配も知らずに茶碗蒸しパンづくりに励む.和馬の厳しい要求に答えてクソまずいパンを作り上げた職人河内は…ノリツッコミをかます余裕すらないほどに落ち込んでおります(笑).そりゃもうキャリアを全否定されたようなものなので涙ぐんだりしていると狭いキッチン内では大変に邪魔です.
和馬はゴミ袋に入れたまずいパンを真っ二つにした上でくりぬき,カナヅチで皮を叩いて固め,ゴミ同然のパンに命を吹き込もうとする.その様子を見守る店長や月乃の横に,なぜか選手の河内の姿が! …役目を果たしたあとは大変に邪魔だったので観客席に追放されちゃってるのが情けない.変に落ち込まず一緒に作業をすれば,ヘタレの地位から抜け出すこともできただろうに,自分でその道を塞いでいるから始末に負えません(笑).
ダメ河内にはぜひ努力家の坪塚の爪の垢を飲ませてやりたい.アイドルとして芸能界の生存競争を生き抜いてきた坪塚は,料理だけでなくバラエティだってなんだって我慢しこなしてきたのです.カタカナ多用の不思議少年というキャラクターすら徹底した矯正の賜物.料理の楽しさを伝えたいだけだった少年は,その思いだけで普通の会話すら出来ないほどの商品に生まれ変わったのでありました.
だからこそ坪塚は,和馬のナチュラルっぷりが許せない.本当の料理とはどのようなものか教えてやるんだとカタカナ混じりで宣言し,持てる限りの技術を尽くして大間のスーパーマグロを使ったパン,スーパートロあぶりを完成させます.ペストリー生地にアボカドをつなぎにトロを乗せてあぶったように見えるこのパンに,どれほどの威力が潜んでいるというのか.
坪塚にカタカナで急かされてパンを喰ったスーパー審査員の黒やんの髪は金色に進化! 溢れる気もまた金色で,これは見事な他社由来のリアクション(笑).なんたって掲載誌も製作会社も局も違うもんなぁ….スーパートロあぶりからスーパークロヤブリでスーパー黒柳という毎度のひどいダジャレも楽しく,凄まじい気の放出によって地面が割れて飛んだり観客が風に押されたりと大間の会場は大変なことに.黒やんのリアクションに観客が巻き込まれて怪我をしたときのために,パンタジア側で保険料を支払ったりもしてるんだろうなぁ….何はともあれ,黒やん的には素晴らしい出来栄えにオラ感動したぞ!な状態です.
しかしこの出来栄えを理解していない馬鹿こそが,和馬のお墨付きなクソまずいパン職人の河内.そんな馬鹿をスーパー黒やんの気合とウンチクが一気に襲う! リアクションに巻き込まれた河内の体は冷蔵庫…フリーザーに変わり.どんどん言訳できない領域に近づいていきます(苦笑).頭上には舞空術で宙に留まるスーパー黒柳.これほど洒落にならないリアクションに身を張っているのも,坪塚のパンが本当に凄いから.
スーパートロの使用がとても目立つけど,このパンの本当の凄さは土台の生地の方にあり,そのウンチクがスーパー黒柳と河内フリーザーの間で披露されます.要するに坪塚が2種類の生地で作った蜂の巣ペストリーが配合が難しくて噛み切り易い素晴らしい生地であった,ということを説明したいだけなのに,説明と解説図と意味不明の大バトルが相まって何が何やら(笑).バトル描写は気合が入った目を奪われる力作なんだけど,ぶっちゃけその画と説明内容に何の関係もないところが大馬鹿だ….
空気量の多いシュー生地とペストリー生地を混ぜて作られた蜂の巣ペストリーは配合の難しい幻の生地.そんな配合ぶりを表現したいがために小学館に集英社を,あるいはサンライズに東映を混ぜたのかは定かではありません.何はともあれ一瞬の幻覚によってバカな河内もやっと納得.これでは自分のクソまずいパンを使うパンタジアは勝てないと思ってしまうわけですが,その凄さを目前にしたっていつものように,和馬たちは楽しそうに新作パンを完成させます!

後半.和馬が完成させたのは茶碗蒸しそのもの.厳かな器だと随分誉められているけれど,表面の風合いからすると信楽あたりか.フランスパンの表面がこげや火割れ,ひっつきなんかに見えたのかな.で,この器こそ河内が作ったあのクソまずいパンのなれの果て.液体を入れるためにまずいパンの中身をくりぬいてカナヅチで叩いて固め,生地への液体の浸透を止めたわけです.しかも普通の皮では割れたり壊れたりするから水分を与えた上に生地自体にも水分を多く含ませて皮を分厚くするという工夫までした和馬はさすがは天才! …でも,別にパンに水分を与えるのにゴミ袋を使う必然性はないんじゃないか(苦笑)!
修行の足りない頃の河内のクソまずいパンですら素材として見事にリサイクルしてみせた和馬に死角などない.それはパンの中身に関しても同じこと.「スーパー黒柳のおっ,お兄さん」を「スパ黒」と略してまでスパ早食いを要求する和馬の誘いに乗って黒柳は茶碗蒸しを口にして…リアクションなしでパンタジアの勝利を告げる!
坪塚やそのファンの女の子のみならず,黒やんのリアクションを大変楽しみにしていた視聴者すら敵に回してしまいそうないきなりの勝利宣言.坪塚はカタカナ混じりにオブジェクションしてくるわけですが,実は黒やん,既にリアクションを見せていました.スーパーに金色に逆立っていた髪の毛はさらに細かく尖ってウニへと変化.どうやらこいつはスーパー黒柳2(笑).店長曰く,黒やんはアホで見栄っ張りのクソ野郎でも身内びいきをするような卑怯者ではありません.…あと,パンタジアの連中は失礼です(苦笑)!
鋭く尖ったウニ頭はパンタジアの勝利に不本意な坪塚を説得.茶碗蒸しの容器は潰して焼くことによって味が凝縮されていること.さらに中身の茶碗蒸しには冠が調達した青森県の誇る究極の卵・身土不二が使われていること.地元の名産をきっちり使ったパンタジアに比べ,坪塚がつなぎに使ったアボカドはマグロとの相性の良さはともかくとして,寒い青森では商売レベルの栽培をされているわけがない….
それでも敗北を認めない坪塚は審査員の手から茶碗蒸しパンをもぎ取って一口.それによって河内のまずいパンの中身がどこに消えたのかまで明らかになります.喰った坪塚が放った無数の髪の毛針は哀れな河内の体に突き刺さり,水木先生リスペクトの美味さ表現を「いい表現だなっ,坪塚」と歯切れ良く黒やんが誉めました(笑).リアクションは著作権的に微妙であるほど素晴らしいってことなのか?
まずいパンの中身の生地は細かく刻んでウニクルトンへと姿を変え,茶碗蒸しの中の具としてしっかり格納されている.元まずいパンの全体が茶碗蒸しパンへとレベルアップして変身したのだからパンタジアの優位は揺るがず,完璧なるパンタジアの勝利がここに確定!

坪塚にはふざけているようにしか見えなかった和馬の態度こそ,今回の勝利を導いた力の源.たとえ最良の素材を買い占められようと,クソまずいパンから勝機を見つけ出したのは和馬の奔放な心構えがあったからこそ.料理とは何事にも囚われずに楽しくやるもの.…それは,競争の中で生きてきた坪塚の失ってしまった心構え.今のままでは料理の楽しさを伝えるどころか最も楽しい部分を失ったのと同じだと気がついた坪塚は,ついに和馬をリスペクトしてお友達になってくださいと申し出たのでありました.
どんな苦境でも笑顔のままで乗り越える強さは,心の通じ合う仲間たちの存在から生まれます.…今回は仲間のはずなのにひたすらプライドを貶められた気の毒な奴も出たけれど,あのクソまずいがなければ勝てなかったんだからいいじゃないか(苦笑).ラストの針刺さりまくりの河内と黒やんが微笑ましい.さて,次回は黒やんがいきなり変調? リアクションの取れない黒やんなんて,「なんやて!」のない河内みたいなもんで存在価値を認めなくていいよね? 次回に続きます.

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