金色のガッシュベル#130
「最後の鍵は影の弱虫の巻」
ファウードへと潜入した直後,キースとブザライに襲われたガッシュとキャンチョメ.一時は全滅しそうになったガッシュたちだが,キャンチョメの新術・ディマブルクの効果によって命を繋ぐ.これまでの術の応酬によって心の力が尽きかけているのは敵味方ともに同じ.そんな中,本体の心を受けて動くキャンチョメの分身たちは,見事な連携でブザライとキースを翻弄し,ガッシュがブザライにザグルゼムを当てる隙を作り出す.
敵の2体はザグルゼムを喰らい,ガッシュに残った呪文はとどめのバオウ・ザケルガのみ.しかしキースとブザライに挟まれてしまっては,ディオガ級の呪文を打ち砕き2体を倒す電撃の連鎖を組むことができない.
誰もに愛される名脇役の晴れ舞台を最高の品質で飾る「ガッシュ」.前回のアレンジぶりも見事だったけれど,今回のクライマックスは物語の盛り上がりと相まってまた一段と素晴らしい! 視聴者だけでなく,作り手にも愛されているなぁ,キャンチョメ.原作ではちょいとわかりにくかった分身連携も動画の力で大変わかりやすくなっているのがうれしい.折角の見せ場でも容赦なく入る笑いも合わせて,実に見ごたえのある良い回です.
ファウードを見つけて侵入した直後にいきなり全滅しかけるガッシュとキャンチョメたち.あまりのペース配分のできてなさにちょっぴり呆れてしまうものの,これは最初に強敵をぶつけて完膚なきまでに叩き潰す,という敵の戦略がハマったのだと思ってあげたい.元々ガッシュたちに残された時間はわずか.定められた時間までにリィエンたちを救いファウードを止めねばならないけれどなかなか前途多難です.
しかしキャンチョメの新呪文・ディマブルクは相当の優れもの.決定的な攻撃力こそないものの,高い防御力と応用の幅の広さが素晴らしい.パートナーにキャンチョメを適切に扱える頭脳さえあれば,どんな魔物にだって勝てそうな気がする.本体と分身の関係はパートナーと魔物の関係にも似ていて,キャンチョメが強い心を持ち続ける限りどんな強い呪文を前にしてもへこたれることはない!
体力と心の力が尽きかけたガッシュが効果的には動けない今,キースとブザライに立ち向かうのはキャンチョメ一人きり.しかし5体の分身には怯えがなく,その身を盾として,さらにちょこまかとかわして敵の術を無駄に消費させていく.気がつけばブザライはディオガ級の技が残り1撃,キースは通常の技が残り1撃いけるかどうかという心の力の消費ぶり.…とはいえ心の力が残っていないのはガッシュたちも同じ.わずかな呪文をいかに効果的に使うかがこのバトルの最大のポイントとなります.
戦場だけ見れば丈夫で気合溢れる5体の分身を有するキャンチョメが最も有利.しかしその脇を見れば,分身を作り出している本体とパートナーは未だに立てないほどのダメージを食らったまま.これに気づいたキースは呪文なしで動けない本体を狙うわけですが,大切な相棒を守るために鉄の男が立ち上がる!
根本的にギャグキャラなので大変に丈夫な体を持つけれど,さすがに魔物の攻撃を喰らっても平気なほどに人間離れはしていない.それでもキャンチョメを抱えて逃げてみせる世界のヒーロー・鉄のフォルゴレ! もちろん限界ぎりぎりのやせ我慢だけど,キャンチョメにとってどれほどうれしいことか.ディマブルクのような魔物の精神状態が重要な意味を持つ術の場合は,その効力に影響が出てきそうなほどの素晴らしいフォローです!
仲間が自分の目の前で消えるのは嫌だ.そんな本体の強い心を受けたキャンチョメの分身5体とブザライの戦いでは目まぐるしくも見事な分身コンビネーションが炸裂.ブザライの両手の動きを分身2体で封じ,残る3体のうち2体が勢いをつけて1体が頭突きを放つ.キースが介入して1体の分身を攻撃するも,これも他の分身とのコンビネーションによって吹っ飛ばす.…このあたり,原作だとさすがにわかりにくい描写になってましたが,アニメは実にわかりやすく描きなおしてくれてます.分身たちが時々怖がりながらも,攻撃の瞬間には厳しい顔を見せてくれるのが頼もしい.
ブザライへのとどめは分身3体による集中頭突き! 怖い相手の顎に向かって見事に攻撃を入れて見せるキャンチョメの雄姿.ここまでの戦いではろくに戦力にもなれずに来たキャンチョメとフォルゴレにとって,まさに念願叶った晴れ舞台.もちろんここまで見事な働きを無にするような奴は主役ではなく,即座に清麿が命じガッシュの放ったザグルゼムが動きの止まったブザライにヒット!
ガッシュに残るのはバオウ・ザケルガのみ.キャンチョメには大ダメージの攻撃呪文はない.残る1撃で確実に2体をバオウで倒さなければ負けるというこの状況.…けれど,さすがは戦い慣れしてカンのいいキース.ザグルゼムの連鎖の特性を既に見抜いていた彼は,ガッシュたちをブザライと挟む位置取りをして,さらにブザライはディオガ級の技を放つ準備をはじめます.キースのザグルゼムを使って強化しなければ,ディオガ級の術は間違いなく防げない.ブザライとガッシュの間にキースを挟みたいけれど,その連鎖のラインが揃わない!
バトル終盤.両者とも術が尽きかけていますが,位置取りの良さによってキース側が有利.誰かがキースの場所を動かすための時間は既になく,このままではブザライの大技を喰らうのみ.けれど,今日のキャンチョメは決して諦めない! 時間がないなら作ればいいと分身5体がブザライの術の盾になる! 問題を解決するための時間が足りなくても,積極的に時間を作ることによって問題解決が可能になる…問題と時間の関係は,次回でより大きく取り上げられるファウード編のテーマの1つだったりします.
さらに前回から仕込まれていた伏線大公開.逆転の鍵はキースの後の岩陰に.怖がりの1体が登場直後からずっと隠れたままでした! ちゃんと分身の数を数えていると気がつくネタなんだけど,わざわざ数える奴はあんまりいないよね.結構な要なんだけど妙にほのぼのとしているのは,さすがはキャンチョメ(笑).5体の分身は盾として頑張り,残った伏兵の1体がキースを掴んでブザライの前に投げ,勝利へと繋がる連鎖のラインがついに整う.ここまでのお膳立てを頑張ったのは,今はフォルゴレの背にいる本体.ぼろぼろで動けないけどこの場にいる誰よりも強い!
「最高だぜキャンチョメ!」…キャンチョメたちの大活躍で整えられた舞台に上る主役達.ここで失敗すれば番組タイトルが泣くとばかりに気合を入れなおし,全力のバオウ・ザケルガをキースに放つ! 電撃の龍はキースを食い,さらに強化されてブザライの技を喰いに行く! …実際ザグルゼム1回では強化は不足気味.けれどここまでキャンチョメの計算を超えた頑張りを目にしてしまったら,ガッシュたちだって計算を超えないわけにはいかない.とびきりの心の力でついにバオウはブザライの術を粉砕して終着点に激突.ブザライは消滅!
しかし,爆風が去ってもガッシュたちの目前にはキースが立っている.バオウに食われてまだ立てる,途方もないタフぶりを見せるキース.いや,さすがに膝は笑ってるんだけど(笑).ガッシュは清磨が当然のように倒れていて無力.キャンチョメたちにも敵を倒すほどの余力はない….てなわけでキースの勝手な言い分でこのバトルはうやむやの中で終了に向かいます.なんだってキースはわざわざガッシュたちの前まで行ったんだろうか.ふつーに撤退してれば,あんな苦しい言い訳しなくて済んだのに(苦笑).
敵の目前で急にいも天が食いたくなったと宣言するキースと,それを聞いてあっけに取られる清磨たち.このままなら自分が勝つけどいも天が食いたいので見逃してやると勝手に恩を売りつけて撤退! …ああ,清磨にザケル1発分の心の力が残っていれば,ツッコんだ上に倒せたのに! とはいえキースが無駄にあがかなかったおかげで,ガッシュもキャンチョメも魔界に戻らずに済んだのは事実.また,ファルゴレが天国に行かずに済んだのも事実.
ファウード編本編の大変厳しいオープニングが終了し,ほっとした途端にボケ放題の仲間たちは,場面と役目をわきまえすぎです(笑).特にフォルゴレ,たぶんこの作品は人間が死んでも生き返ることはできなそうなので,笑いが取れるとしてもボインの美女のほうには行っちゃだめだ(苦笑).まさに紙一重の生死に「あっぶねえなぁ」と引率役の清磨はこぼすわけですが…実際,人の生き死にってのは本当に紙一重のものなんですよ.あ,モモンはここでガッシュたちに合流しています.
さて,分断された2組のうちのもう1組,ウマゴン・ティオたちとエルチームの動向ですが,少女の姿の魔物に攻撃を食らい,それに反撃しております.可愛い少女に見えても魔物は魔物.角でどつくウマゴンは決して間違ってません.しかしそのウマゴンを動揺させる少女魔物の名は…チェリッシュ! 一応仲間のはずのテッドがずっと探していた魔物の名! しかし,ここには互いの事情を話しあう余裕などない.
攻撃慣れしてはいないものの,ギガ・ラ・セウシルでは反射できないほど大きな術を準備しはじめたチェリッシュたち.サンビームは攻撃が来る前にウマゴンの炎で妨害しようとするも,もっと衝撃的な見知った顔が炎を防ぐ.術を発揮しないままでチェリッシュたちを撤退させたのは…ウォンレイだ!
事前情報である程度覚悟はしていても,救い出すべきウォンレイたちが実際に敵側に回っている光景は実に厳しい.味方が一丸となって敵に挑めた石板魔物編とは違い,敵味方に分かれた今回の状況は遥かに厳しい.果たすべき目標と,目の前に積まれた障害,そしてタイムリミット…果たしてリーダーはどのような決断を下すのか.次回に続きます.
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