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R'sM 2005年アニメ大賞

いよいよ今日で2005年終了.自分にとって今年は闘神士や式神とともに爆走した短く珍しい1年であったわけですが,このサイトの本領は絶対にシリアスではないので(笑),昨年同様,今日は自分を気分良く笑わせてくれた方の素敵な作品どもを讃えておこうと思います.この1年,主にここで長文あるいは短評で触れたアニメから,私的なベスト3を部門ごとに選出.見ていないあるいは触れていないあるいはシリアスなアニメは評価対象から外れます.昨年度の結果については,R'sM 2004年アニメ大賞にありますよ.
ちなみに昨年度最強のギャグアニメは「ボーボボ」.次が「クロ高」.テクニックよりはノリ重視.しっかり組み立てた高度なネタよりは一瞬で爆笑できる直球を高く評価します.あと,本人にはたぶん笑わせる気がないけれどその無様さが面白いものに関しては,自分の中にその作品・キャラに対する愛がなければギャグとしては扱いません.本当に好きだからここで取り上げたのであって,決して他意はないのです(笑).

<ツッコミ部門>
愉快なだけではともすればダレていく作品に絶妙のタイミングで冷や水をぶっかけ,同時に視聴者の代弁をしてくれた優れたツッコミベスト3.彼ら,彼女らの献身のおかげで作品は無事に進行していきます.

 1.ビュティ(ボボボーボ・ボーボボ)
 2.アルテッサ(ふしぎ星のふたご姫)
 3.河内恭介(焼きたて!!ジャぱん)

2年連続不動の首位として選ばねばならなかったビュティさん.彼女の存在を外してしまうと即座に作品全体が崩壊するほどの重要な役を軽やかに勤め上げたその力量を讃えたい.程度の差はあるものの自分以外は全てボケていて,その全員がツッコミを待っているという過酷な状況をよくぞ乗り切ってくれました! これほどのツッコミには,これから先も滅多にお目にかかることはできないだろうなぁ.
2位3位はいかにもツッコミらしい仕事をしていた2人を選んでみました.隙あらばボケる周囲を正して真面目に話を回そうとしていた正統派のアルテッサと,視聴者にとって説明不足の内容をより明らかにするという己の役割を十二分に自覚しながらツッコんでいた技巧派の河内はともに素晴らしかった.河内は最近あまりにも自分の役割を自覚しすぎているので,もうちょっと真面目にツッコンでいたら2位だったんだけどね(苦笑).
4位以降,今年やたら豊漁だった新作ギャグアニメよりバク(おねがいマイメロディ),藤崎真菜(おねがいマイメロディ)とアミ(アニマル横丁)を.「ボーボボ」ほどひどい状況ではありませんが,それでも周囲に無駄にボケ倒されることによる心労が思いやられます.コントとしての型がしっかりできている「アニ横」よりも,あまりになんでもありすぎの「マイメロ」のほうが難易度は高そうだ.話が大きくシリアス方向にずれて行ったので印象は薄くなりますが,キャプテンブルーJr(ビューティフルジョー)や高嶺清麿(金色のガッシュベル!)も忘れてはならないツッコミです.

<ボケ作品部門>
キャラレベルではなく作品そのものがおかしくなってしまい,ひたすらにボケ続けた作品について特に表彰します.どんなに無茶でもきっとこの楽しさを理解してくれるはず,という視聴者に対する作り手の無謀な信頼がなければ制作不可能な作品はこちら.

 1.ボボボーボ・ボーボボ
 2.おねがいマイメロディ
 3.らいむいろ流奇譚 X CROSS

首位は本年有終の打ち切り(笑)を喰らった「ボーボボ」に差し上げたい.こんなものをアニメ化してそれを喜んで見る人間が結構いたという状況自体がかなりスケールが大きく病の重いボケでした.深い読み込みのできない子どもを除けば,見る側もわざとボケて楽しんでいたわけで,その共犯者意識の高さは他の作品が追従できるレベルではありません.というかあんまり追従しないほうがいいです.
2位は凄まじい大暴れを見せつけたルーキー「マイメロディ」に差し上げたい.他のギャグアニメで凄い方向に鍛えられた脚本家たちが織りなした物語はもう無茶苦茶で,そんな危険物をあえて放置したスポンサーの力量も讃えられるべきです.3位は,心底書いておけばよかったと後悔した怪作「らいむ」に.もちろん普通のアニメとしては豪快に落第しているわけですが,あまりの愉快展開に毎回笑っていました(苦笑).ちょうど初代「シスプリ」もこんな感じだったなぁ.
4位以降,高い完成度なのににやにや笑える「吟遊黙示録マイネリーベ」と「ぱにぽにだっしゅ!」,そして「スクールランブル」.女性向けだろうと男性向けだろうと面白いものは面白いんだけど,萌えと笑いのブレンド具合が異常だった「マイネ」は特に愉快でした.「いちご」の愉快さについては当サイトでも割と必死に語ってきたつもりですが,音楽は使いようによっては凶器に変わることは皆様に覚えておいていただきたい.あまりに堂々とした超理論で見ている人間を呆然とさせた「アクエリオン」,ゴールデンタイムに持ってくること自体が相当の大冒険だった「ガッチンポー」,へたれっぷりが突き抜けてむしろ芸になった「スピードグラファー」も忘れられない.

<ボケキャラ部門>
笑いの花であるボケ.それぞれの強みを生かしながら高度な技術力で画面を縦横無尽に駆け回った脅威の花たちをピックアップ.今回も激戦となったこの部門,いつの世もどんな世界にも,空気をちっとも読んでくれない困った奴はいるものです.

 1.マイメロディ(おねがいマイメロディ)
 2.首領パッチ(ボボボーボ・ボーボボ)
 3.オルフェ&ルーイ(吟遊黙示録マイネリーベ)

今年を代表する大ボケはやはりマイメロさん! あまりにも激しいマイペースぶりはまさに暴力.その重症ぶりは周囲のボケがあえてツッコんでやらねばならないほど.「マイメロ」という作品そのものがマイメロさんを中心としたボケ曼荼羅になっていると考えれば,その中心に位置する神を首位に置きたかった気持ちもご理解いただけるのではないかと思います.それほどまでに,このクリーチャーの抱えたボケは高くて深い.
2位は首領パッチ.今年も相変わらず自分勝手にボケてハジケまくってくれました! 昨年の首位で作品中最強のボケが今回2位に甘んじてしまったのは,実際にマイメロさんと並べたら首領パッチがツッコミに回るんじゃないかと思ったから(笑).3位は「マイネ」の誇るWボケ.人外が有利なこの部門に美青年が2人並んでいるだけでも愉快でたまりませんが,シリアスな中で互いに高めあう凄いボケは視聴者の思考を麻痺させて余りあるほどのものです.
4位以降.グリニデ様(冒険王ビィト)の暴力ボケは短期間ではありましたが「ビィト」という作品の格を引き上げるほどのものでした.一条さん(ぱにぽにだっしゅ!)のやりたい放題はテンションは違うけど首領パッチと同タイプ.作品中の笑いを一手に担ったボケプロデューサの不動GEN(創世のアクエリオン)の働きも素晴らしかった.塚本天満(スクールランブル)蘭堂りの(極上生徒会)は物語の中心として十分な愛らしい天然ボケぶりが素敵.イヨ(アニマル横丁)は全てわかっていてボケる確信犯だから手に負えない.暗黒シリアスな状況でも常にボケ続けて視聴者の心を救ってくれたテル(陰陽大戦記),高貴ゆえに軽くボケると悪目立ちすることがよくわかった真紅(ローゼンメイデン・トロイメント),そしてこれから先の活躍が楽しみなソルティ(ソルティレイ)と,特に目立った面子を選んだだけでかなりの数となりました.

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今年のギャグアニメ界では,「ボーボボ」の終了と「マイメロ」の台頭が大きかったですね.超高スピード,高密度,バラエティ味に富んだ「ボーボボ」は度重なる特番と不思議な延長の末に終了.とんでもない原作と浦沢御大というカリスマの元でやりたい放題を貫いた本作らしく,全ての面で他のギャグアニメとは段違いの世界を見せてくれました.ただしあまりに先鋭すぎる芸風は万人受けするとは到底言い難く,特にキャラクターのアクの問題はいくら作画を可愛らしくしても解消しきれるものではないし,そもそもこの濃すぎるアクがなければ「ボーボボ」ではないし(苦笑)…ともかくギャグアニメとしては大傑作です.
濃いキャラの方がギャグには有利なんですが,あまりに濃いと万人受けしない.だからといって薄いキャラには濃いギャグはできない.この背反する問題を独自の手法で突破したのが「マイメロ」です.デザインはサンリオ由来で愛らしく薄いわけですが,その性格設定を極度に濃くすることで薄くて濃いキャラクターを作り出した功績は大きい.見た目では一般受けしながらも内容は現代の笑いの最も濃い部分を爆走するという「ボーボボ」にはできなかったことをやってみせた野心作なので,今年だけでなく,来年の爆走ぶりも楽しく見守りたいですね.
昨年の「ギャラクシーエンジェル」や「シノブ伝」と同傾向の,萌えるギャグも今年は好調でした.台頭した「マイメロ」やハイレベルに作りこんだ笑いを提供してくれた「スクールランブル」,そしてオタク以外は全員置き去りの豪快な「ぱにぽにダッシュ」.これらの作品はハイレベルな画が笑いを支えていることも共通してますね.これらの作品から萌え・オタク要素をなるべく外して一般受けを強めていくのが「アニ横」や「ケロロ」.彼らの目指す遥か先には「ドラ」や「サザエ」の領域があります.
また昨年と同様,作品そのものが何かをやりすぎて天然ボケと化した怪作もいくつか出現しました.特にもはや美青年Wボケにしか見えない「マイネリーベ」や,テンションが上がりすぎてわけわからん状態に陥った「アクエリオン」は凄かった.あらゆる面で申し分ないのに,なんだってこんなことになっちゃったんだろう…(苦笑).逆に「らいむ」や「いちご」は,他はともかく笑いだけは妥協なく素晴らしすぎました.この2作は初代「シスプリ」の正統後継と言えそうだけど,あんまり言われたくないですか(笑)?
そして,シリアス作品に時折挟み込まれるギャグ回のレベルの高さに驚いた年でもありました.「ビィト」「ローゼンメイデン」「陰陽」「NARUTO」などはベースがシリアスとは思えないほどに壊れたところを見せてくれてびっくり.こんなことが時折起きるからギャグ以外のチェックも怠ることができないんだよなぁ.楽しいけれど大変です.

1強が全てを染め上げた昨年に比べると,今年は実力伯仲の鍔迫り合いが何度も見られた面白い年でした.年間を通し途切れることなく花咲いた笑いの色が,それぞれに違っていたのもうれしかった.予期せぬ状況に対する驚きこそが笑いの根本.先行者を乗り越えて未知の領域に切り込んでいこうとする魂こそが笑いには何より大切だと思うので,来年もそんな冒険心に溢れた素晴らしい作品が沢山見られることを期待したいと思います.とりあえず新年からは「練馬大根」と「おゆい」をマークだ!
それでは皆様,よいお年を.

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帰省はじめましたとか12月終了アニメ雑感とか

慌しい年末の日々を皆様いかがお過ごしですか? 自分は今月も,レビュー以外の記事どころかレビューの書き方までもちょっぴり忘れるくらいに忙しかった.その間にはカウンターが50万突破とか3年目突入とか,結構いろいろあったんだけどね.ちなみに,年賀状に関してはきっぱりと諦めて実家に帰省しましたんで関係者はよろしくお願いします.限界でした.ごめんなさい(苦笑).
そんな合間でも横の拍手とかお便りは割と楽しみにさせていただいておりますが,折角25日に長めのコメントを戴いたようなのに文字化けしちゃってしょんぼり.一体なんて書いてあったんだろう….

帰省ツアー用写真から1枚先行.北海道の冬空の上!

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さて,ここで12月終了アニメ雑感をやっておきます.数字は私見:一般:電波.

銀盤カレイドスコープ 4:2:3
題材、キャラクター、放映時間帯からすればきっとたぶん萌えアニメのはずなんだけど…最も大切な画の力がまったく足りていないってのはどういうことだ(苦笑)。恐らくは原作由来で話は相当面白く、ラブコメ具合も今時のアニメとしては恥ずかしくなるほど古くてこっ恥ずかしくて楽しい。くるくる変わるタズサの表情も、異様に軽くて重いピートの描写も素晴らしく、奇しくも世間はスケートフィーバーの真っ只中と時期にまで恵まれたってのに! この手の作品の肝とも言える作画が足を引っ張ってくれたのがどうしようもなくやるせない。作画だけ良くて話がメタメタなアニメに比べれば絶対マシなのは間違いないんだけど、この画では見続けてもらうこと自体が難しすぎる。作っていた人たちの精一杯の努力も理解できるから、なおさらに悔しい!

ぱにぽにだっしゅ! 4:3:4
誰よりもどこまでもやりっ放し。そして空白恐怖のように背景にあしらわれる大量の情報! 異常も恒常的なら正常だから、溢れんばかりのイカれたエピソードには何の意味もない。ただひたすら可愛らしい女の子とネタだけに注力することによって完成したのは、前代未聞のおかしくかわいい空洞。これは、オタク向け萌えコメディの1つの究極形と言えるでしょう。描き手が本当に描きたいものだけに注力させ、それ以外は全力で手を抜くことで生まれた高品質かつ芸のある画面も素晴らしかった。ただし本作の面白みの源は一人前のオタクであっても把握し切れないほどの暴力的なサイズのネタ元やお約束であり、その断片すらもあらかじめ知識として持たない普通の人には、ちーっとも面白みが伝わらないだろうなぁ(笑)。でも、最初から一般受けは狙ってないんだからいいよね。

ガン×ソード 3:3:2
冷静な計算の上でリアルにバカをやるとどうなるか、そこをひたすら真面目に突き詰めてみた意欲作。特に画と音楽が抜群に素晴らしく、気を抜くとギャグになりそうな状況をシリアスに縛り付ける役目を果たしてくれました。終盤、これまでの登場人物が群れ集って1つの塊になる様子は痛快だったし、復讐というどうしようもなくネガティブな動機で動く主役を、ラスボスを生理的に気持ち悪くすることで正当化するというとんでもない剛腕ぶりも実に面白かった。こうなるともったいないのが中盤までのテンポの遅さや、必要ない方向へのまともさ。終盤のスピード感が早くから出ていれば、魅力的な敵役ももっと生きたのではないかと思います。何はともあれ、薄っぺらい理想を吹き込まれた小僧に主役としての地位を最後まで奪われず、見事本懐を遂げられるバカでよかった!

大晦日までにはなんとか今年分の大賞をアップしたいなぁ.強すぎる「ボーボボ」が見事有終の美を飾るのか,それとも突出した新鋭がその座を奪い取るのか,書いてみないとわからないので,お楽しみに(笑).

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焼きたて!!ジャぱん#58

「愛を食わせる技術と才能の巻」

焼き立て9の3回戦.敵は芸能生活で性格を歪めたCMAPの残り3人だ.彼らの料理の腕は確かなもので,完熟マンゴーカレーパンの出来は申し分なし.けれど和馬も負けてはいない.新人戦のときに河内が苦しめられたあの現象を再現した上,新たな道を作り出す.
一足先に完成したサンピエール側のカレーパンは,事前にマレーバクを空輸せねばならないほどの予測された通りの完璧な美味さ.けれど河内はほんのちょっとだけあきらめていない.パン作りの天才である和馬ならそれを越えるパンを作ってくれるに違いない.たぶん.きっと!

主にリアクションを見るためのアニメ「ジャぱん」.今回は後編なのでちゃんと「主役の」黒やんが見られるはず…と思ったら,なんで謎の獣医がこんなに出張ってるんだろう(笑)? 目の前にマレーバクというそのものずばりの患畜がいるのに,どうして上に乗ってる人間の方を見るのか.やっぱりアレか? 黒やんは珍獣ってことなのか?

前半.焼き立て9の3回戦の調理は中盤から終盤へ.生の完熟マンゴーの美味さを生かすために作られているはずの和馬のパン…のはずなのに,その生地ときたらどろどろのぐちゃぐちゃ.新人戦で敵の策略で似たような目にあわされた河内にとっては,まさにトラウマが蘇りそうな光景! しかし和馬ときたら仕事の終わった河内は客席でゆっくりしろときれいな顔で言う始末.河内の場合は生地にグルテンを壊す酵素を混入されて,いくらこねても生地がまとまらずに苦しんだわけですが,和馬は果物の酵素がグルテンを壊すことを理解した上でわざと混ぜています.新人戦のときに仲間をひどい目に遭わせた技術で,サンピエールを倒すつもりのようですね.
しかし和馬が何を狙っているのか,河内はもちろんとして敵の司令塔も理解していない御様子.確かに和馬の行動はパン作りの基本からは大幅に外れていますが,プロの職人がわざとやってるんだから素人の失敗と一緒にしちゃいけません.そんなわけで具体的にはわかんなくてもとりあえずハッタリをかましておく河内の行動は正しいけれど…パン職人としてはかなり情けない(苦笑).
もちろん料理アイドルの作る正統派のパンだって並の出来ではなく,千祭の太陽の手を越える炎の腕やら洋食の天才成美が作り出す最高のカレーやコーンフレークは確かに怖いし,高級テクニックを見事にコーディネートした要の知識も並ではない.ただしこれらは正統派ゆえに見るだけで味も想像できるので,食ってみるまで味の想像がつかない異端の天才・和馬と比べるのは酷というもの.一見そうは見えませんが,料理の技術と才能の両方で和馬の方が既に上なのです.ちなみに汗をかかないので太陽が上昇し続ける千祭君は,一度病院に行ったほうがいいと思います.料理以前に熱射病で倒れるぞ.
てなわけでまずはCMAPパンの試食開始.焼きたてのカレーパンをぱくりと食べればあふれ出る本能のままのリアクション!…かと思ったら,意外と冷静にパンの美味さをたたえ始める黒柳.こんな地味さではいくら素晴らしくても美味くはないのかな?と思ったら,リアクションのネタは既に空輸されて仕込まれていたのでありました.その美味さはまさに,予測通りの素晴らしさ!
要の眼鏡を奪う臨時リアクション要員のマレーバク.そしてユーモラスな外見の珍獣の名を河内に10回唱えさせ,その名がカレーパンと似ていることを無理やり示そうとする黒やん! …字面だともうちょっと似てるんだけど,発音されるとどうしようもなく似てねえなあ(笑).しかしそのリアクションの大きさはわざわざこのためだけに県外から動物を空輸した黒やんの行動に現われているんだから文句を言うな.この借り出しと空輸の費用はやっぱしパンタジア持ちなのだろうか?
ご満悦でバクにまたがる審査員と「バクー」と鳴くバク.初見の視聴者には到底料理を評価しているようには思えない珍妙な光景にさすがにびびる河内.CMAPの技術と才能は和馬ですら勝てないほどのものなのか…って,そんなわけ,ない.些細なことでも動揺して対戦を煽る役の河内であっても,これまでの和馬の戦歴を知っているからこそ希望をどうしても捨てられない.作っている最中がどんなに目茶苦茶でも,最終的には凄いパンに仕上げてくるその技術と才能こそ,和馬が主役である理由そのものです.

後半.焼きあがった円筒型・大きなペンキャップのようなパンに3つの穴を小さなのこで開け,和馬の新作ジャパン・ハニワジャぱんが完成! ちょうど3つの穴が顔型になっているので納得のネーミングなわけですが,判定が終わったCMAPは折角の和馬の工夫をくどくどと罵倒.審査が終わって暇だからって,敵をけなすのに全力を使うアイドルグループってどうなんだ(苦笑).
いかにもハニワな和馬のジャぱん.しかしこの形態は見た目だけを重視したものではありません.これこそが,中の生マンゴーをこぼさず食べてもらうための和馬ならではの心遣い.指示の通りに頭からがばっと食えば,黒やんとバクは夢の扉の向こうに強制連行.予測された行動ではない,本能のままのリアクションが炸裂します!
がばっと食った直後から動かなくなる黒やんとバク.さすがは採点慣れしているだけのことはありこの段階で歓声を上げる河内の慣れっぷりが微笑ましい(笑).なんせ一人と一匹は物言わぬハニワへと変化.本作はパンの美味さで人が死んだり歴史が変わったりするアニメなので硬直程度はどうってことないんだけど,一応呼ばれた獣医が…またあなたですか(苦笑)?
サンデー本誌読者にはおなじみの獣医さんが犬とともに再登場! で,マレーバクじゃなくて黒やんのほうを真っ直ぐに見にいく獣医.やっぱしそっちが珍獣で間違いないのか.他人のアニメに乱入した上に黒やんのリアクションを補完する謎の獣医.野暮を承知で言わせてもらえば絶対音感で心の声は聞こえるはずがないので,今獣医に聞こえている声は獣医の幻聴と思われます.俗に言う紺屋の白袴って奴ですか?
獣医の聞いた黒やんの心の声曰く,この勝負はパンタジアの勝ち! わけわからん過激な行動を取ればとるほどうまいという黒やんの法則に狂いはなく,河内のハッタリもちゃんと真実になってよかった.もちろんさっき怒鳴り散らしたことなんか,忘れたふりしているに決まっているじゃないですか(笑).けれど本作をこれまで見ていないCMAPが異議の声を上げるのも当然.特に謎の獣医の存在に関してはこれまで見ていた人間からしても説明しにくいもんなぁ(苦笑).結局獣医はパンの美味さについて黒やんの心の声を代弁することで,己の正当性を主張することになります.
和馬が生の果物果汁を生地にまぜ,わざとどろどろにしたのは…グルテンを破壊することで新食感パンを完成させるため! 確かに普通のパンにはならないけれど,どろどろのままでイースト菌による生地の発酵がすすむため,パンケーキの柔らかさとてんぷらのカリカリ感の両方を備えたパンワッフルになるのです! これは新人戦のときに河内が知って作っていれば勝負に勝てたかもしれないような素敵な技術.和馬が新人戦の頃よりも確実にレベルアップしていることを示すいい証拠なんだろうなぁ.
マイナーな新技術を提示されたことによって自分たちが負けたことを改めて知らされたCMAP.獣医曰く,勝負を決めたのはLOVE.生のマンゴーの美味さを生かすことと,食べる人のことしか考えずに作り出したハニワには,素材や地域に対する愛がたっぷり詰まっておりました.それに比べるとCMAPのパンは勝負に勝つためのパンで,メインはカレーであって完熟マンゴーではありませんからね.それに比べれば和馬のこの地域に対する愛は西都を救っちゃうほどに深く,その深さをアイドルどももバクの喰いさしによって身をもって味わうことになります.黒やんのトークを代理した獣医の大活躍の末,CMAPどもは自らハニワとなってその美味さを心底味わうことになったのでありました.
敵までもリアクションに巻き込んだパンタジアは完勝.その上で敵のことを気遣う余裕まで見せる和馬はまさに最強なわけですが,地元の人と触れ合えば人間に戻れるんじゃないかな?と適当なハッピーエンドに持ち込もうとする冠だって相当強い.元に戻れるといいんだけど….まあ,多少無理があってもハッピーエンドっぽくなればとりあえず今回は終われるし,次回には誰もハニワのことなんか覚えてないから大丈夫でしょう(笑).このシリーズは原作では特にやりっぱなしが度を越していくんだけど,アニメではどこまで行くんだろうなぁとか思いつつ,年明けスペシャルの次回に続きます.

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焼きたて!!ジャぱん#57

「司令塔はパシリの別名じゃないの巻」

パンタジア対サンピエールの最終決戦,焼きたて9の3回戦,負け続きのサンピエールが送り込んだのは1回戦で和馬たちが下した坪塚の所属していた料理アイドル集団CMAPの残り3人だった.腕や目は確かなのだがチームワーク皆無のCMAPは,完全な分業制で決戦に挑んでくる.
舞台は宮崎の西都.名産は河内に路上でリアクションを取らせるほどに美味い完熟マンゴー.和馬たちはパンタジアのためだけでなく,元仲間にバカにされた坪塚の名誉のためにも本気で闘う.

冷静なウンチクをバカリアクションに乗せて視聴者の頭に送り込むことでおなじみの「ジャぱん」.笑いだけ取ればいいのならネタ元の都合とか本筋の物語とかを完全無視すればいいのであり,実際原作はその方向に爆走しているわけですが,より多くの人の目にふれるゴールデンタイムのアニメとなればひたすら笑いだけを追及するわけにもいきません.例えばスポンサーの都合なんてのはアニメでは大変色濃く出るもので,新製品に合わせて話を展開させるのは必然であり絶対条件! ただし,スケジュール合わせでいろいろ予定が狂って大変なのはわかるけれど,もうちょっと注意してくれるとよかったんだけどなぁ(苦笑).

前半.冒頭から改心した坪塚による主役どものマッサージシーンと,本作のサービス精神は相変わらず不思議なところを迷走しているようで何よりです(笑).前々回で坪塚がリアクションの末に身につけた毛針治療も,月乃さんが受けてくれないんじゃがっかりだ! 闘いの中で料理の楽しさや仲間のうれしさを再確認させてもらった坪塚はすっかり和馬たちになつき,必死の努力で維持してきたCMAPの地位もあっさりとquit.なんせCMAPの中はどうしようもなくどろどろで,とても料理が楽しめるような環境ではないのです.
そんな楽しくなさそうなCMAPが所属するジャングル事務所で打ち合わせをする雪乃たち.CMAPの残りの面子は眼鏡の要にヤンキーの千祭にナルシストの成美.共通点がまるでなく見るからにチームワーク皆無.この面子に不思議カタカナの坪塚が加わってたんだから,異常に濃いグループだったのか.しかもCMAPで在り続けるには間断ない後ろ暗い努力が必要なようで,こんな嫌なグループの中では純真な料理少年が変な方向にねじまがったのもいたしかたなし.もちろんアイドルの仕事としてファンにはこんなどろどろ具合は見せないんだろうけど…嫌だなぁ.こんな情緒不安定ユニット(苦笑).そりゃ坪塚も戻りたくないわけだ.
そんなグループ内の小競り合いを一瞬で収めてしまうのがラスボス・霧崎会長.坪塚の敗北はグループの芸能界での敗北に繋がると,ばらばらのままのCMAPの目を見事同じ目標に向けさせます.そうすりゃお互いの視界に仲間の姿も映らないですからね.ただしこの3人はどうしたって勝手でわがまま.まとめることなど無理なのかと思ったら,霧崎会長はまとめること自体をあっさり放棄.パンづくりを食材選択と食材調理とパン製作の3段階に分け,それぞれの段階で分担すればいいのだと素敵なアイデアを出してきます.…実際のパン工房では分業は当然のことで,各段階ごとに職人が違うことには違和感はないけれど,このシステムだと全体をコーディネートできる奴がいないのが厳しい.本来はそこを坪塚が担当していたのかな.
さて! 焼きたて9の次の舞台は宮崎県の西都と決まり,早速現地でどでかい埴輪にお出迎えされるパンタジア一行.特産はハウスの中で大切に育てられた最高級のフルーツの女王,完熟マンゴーでございます.…うまそうだ.直販でも3個7千円するというとてつもない女王ぶりを見せるマンゴー様を,直販所のおばちゃんのご好意で試食させていただいた河内は…大変にわかりやすくウーマンゴ!と踊りだしました(笑).さすがに原作どおりのリアクションは無理だったようで何よりですが,浣腸マンゴーなのでケツにマンゴーが刺さってるのが面白いやら裂けそうやら(苦笑).でもそのリアクション,折角マンゴーを育てた農家の人には商品が喰えなくなるので大概にするべきです.お子さん達もそのマンゴーは本当に高価だしでかいので真似するのはやめとけ.
リアクションという名目で路上で悪ふざけを演じる河内と傍観者たちのところにやってきたのが,同じくマンゴーを使おうと思っているCMAP.確かに道の真ん中でリアクション取るような奴はバカですし,坪塚のカタカナは意味わからんけれど,かつての仲間をバカにして疑うような奴には負けられません.あまりの人格の腐りっぷりに,いつも柔和な和馬自ら叩き潰すと宣言! 根本的には彼らをそんな風にした芸能界が悪いのかもしれないけれど,もう曲がってしまった性格だって,やっぱり誰かが叩き直さなきゃいけないわけです.

後半は決戦前半まで.パン作りはうまいかもしれないけれど芸能界的にはぽっと出の新人に過ぎない和馬に喧嘩を売られて怒る大御所CMAP.確かに「ジャぱん」は変なダジャレだけど,和馬だけの責任ではないのであんまり責めないでやってください(苦笑).ちなみに彼らが選んだパンはマンゴーカレーパン.完熟マンゴーという高級食材を惜しみなく投入すればきっと美味いに違いなく名物にもなるはずというのが眼鏡の要の判断.彼らは人生の厳しさや辛さをカレーで教えてくれるようですが,君らみたいな性格破綻者に,他人に教える余裕などそもそもないぞと言ってあげたい.
緊縮財政でおなじみのパンタジア側の今回の宿は奈木荘(なきそう).ぼろいのはいつものことなんですが,部屋中に埴輪一杯という前衛的な内装が大変に印象的.宿というよりは埴輪置き場の中に無理やり宿泊している感じ.完熟マンゴーの素材としての凄さを河内の身を持って知った和馬は,余計な手を加えず生で食べさせたいと考えています.どれほど恥ずかしいリアクションが出ようとも,きちんと素材を味見した上で調理法を選択している時点で和馬たちのほうが優れてますね.しかしパンに生マンゴー載せるのは黒やんに怒られるので,何らかの方法で調理をせねばなりません.
マンゴーという使い慣れない素材の正体を知るために,ワッフル生地で冷凍マンゴーを挟むパンを試作してみる和馬たち.作るときにはちゃんと調理車で着替えて作ってるんだけど,試食は再度着替えてわざわざ宿でやっているあたりが面白い.ちなみに試作パンの出来は明らかにダメ.微妙に汁が出て食感が悪くなってたり,ワッフルの甘みとマンゴーの甘みが喧嘩をしたり,喰おうとするとマンゴーがぼたぼた落ちて死ぬほど食べにくかったり….これじゃ味の解決ができても,手に取ってもらえないパンになってしまいます.
けれどさすがは本職.問題がわかれば対応策だってすぐに出せるのがプロというもの.いくら課題が難しかろうと,あっさり諦めるようなバカは絶対プロではありません.汁の染み出しは業務用のショックフリーザーで解決できるし,それ以外の弱点についても和馬が埴輪ジャぱんで解決だ! …焼きたて9には地域振興の使命があるので,地元にこだわることは高得点に繋がるわけですが,素材以外で地元へのこだわりを見せる方法がここで披露されるわけです.生地とマンゴーの甘みの違いも生地側に果物果汁を練りこむことで解決可能.てなわけで今回の河内には,宮崎のフルーツをせっせと集める役が与えられます.ただの傍観者にならずにすんでよかったね!
そして迎えた第3回戦当日…なんだけど,いきなりテロップが「第2回」になっているのでDVDでは直してください(苦笑).やっぱり前回の話はいきなり差し込まれたんだろうなぁ….灼熱の宮崎.炎天下で汗もかかない千祭はまあどうでもいとして,舞台となるトレーラーの上では早速3回戦の調理開始.観客席には既に役目を果した選手達の姿も見られます.…要が本当に司令塔だったのに比べると,河内はまさにただのパシリなので同類にはならないわけですが.
CMAPが作るのはもちろんカレーパン.しかも宮崎牛のデミグラスソースを使ったカレーということで,地元対策も味の対策も万全です.確かにカレーパンは辛ければいいってもんではないし,CMAP成美の洋食カレー作りの腕も並ではない.けれど,パンタジア側には本当のパン作りの天才,和馬がいる! ちなみに生の果汁を直接パン生地に練りこむとグルテンが全滅してぐしゃぐしゃになっちゃうわけですが,そんな行動にだって天才ならではの狙いがある…のだと思いたい(笑)! 新人戦で雪乃の妨害を受けて生地を台無しにされたあの日の河内を越えていく,次回に続きます.

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金色のガッシュベル#137

「絶望と希望の夜明けの巻」

ファウード復活まで残るは5時間.清麿は転送装置の学習と操作に全力で取り組んでいる.モモンとサンビームには封印の場所までの最短距離を割り出させ,ガッシュたちには休息を命じ,アースを辞書代わりにしてタイマー機能までも明らかにした.ただしこのタイマーはファウードが目覚めたあと90分間は機能しないし,それを動かすためにはロックを外さねばならない.封印が解かれてからファウードを足止めできれば最良の結果が導かれるよう,清麿は死力を尽くす.

激動の夜明けを迎えるために,最後の夜を静かに駆け抜ける「ガッシュ」.ギャグとシリアスがどんなときでも共存していることが本作の最大の特徴なわけですが,大きな闘いの決着には純粋な力よりも情や知略が圧倒的に勝るというのもかなり目立ったポイントで,ファウード編の今後を大きく方向づけるのも今回前半の清麿の頭の凄い頑張りだったりします.前回の魂の説得の際に上がりに上がったテンションのまま,死にそうな病人に頭突きを食らわせたりと大活躍(笑).物語や演出の品質は相変わらず高値安定の上に,前回と違って画が大変良いところも大変にうれしい.

封印を解かなければ呪いを受けたパートナーは死に,封印を解けばファウードが暴れて世界が滅ぶ.どちらのエンディングも迎えたくないガッシュたちがようやく転送装置に到着したのは真夜中で,残るはたった5時間.最後の最後でアースたちに襲われはしたものの,魂の説得で術を節約した上に仲間にできたんだから実に効率的.割と術を無駄遣いしがちな彼らとしては上出来です! 特にありがたかったのはアースが転送装置の使い方を知っていたこと.いくら清麿でも教師なしであの装置を完璧に把握するのは相当骨が折れたはず.もちろん本人は気合で押し切るつもりだったんだろうけど….
そんなわけで今回は清麿の頭脳が珍しく大活躍するわけですが,その活躍のはじまりが病気の子どもに対する本気のヘッドバットというのは,頭の使い方としては大変に間違っていると思います(笑).追い詰められてわけわからん状態ゆえの奇行だと思いたいけども,ぶちぎれると相手構わず噛み付く自制心のなさは,ガッシュよりもずっと子どもじゃないか.これから救おうって相手を昏倒させてどうするよ….
この頭突きで一応気持ちが落ち着いたのか,モモンとサンビームに封印の場所までの最短時間を割り出してもらい,その他の面子には飯食って寝とけと指示を出す清麿.ここで,仕事柄速度や距離のことはプロだと引き受けてくれるサンビームが頼もしい.とんでもない話にいい大人が生真面目につきあってくれているのがうれしいぞ.それに対して,ただの休息にそこまで気合を入れなくてもよさそうなのがガッシュとウマゴン.確かにこれも戦いだけど,そんなに気合を入れちゃ眠れなくなるぞ(笑).
残り時間わずかとはいえ順調に行動しているガッシュたち.しかしその順調さはついさっき仲間になったばかりの連中にはわからない…というわけで,アースは清麿に現状について確認します.全てを救うには,ファウードにある機能がついていなければならないものの,魔界から人間界にファウードを「無人で」送り込めたということは,その機能もきっとついているはず,というのが清麿の読み.…実際,欲しい機能はちゃんとついていたので結果的には良かったんですが,もし特殊なプロトコルの遠隔コントロール装置しかついていなかったら一体どうするつもりだったのやら(苦笑).
ファウードの転送装置にハッキングをかける清麿の後ろで,ガッシュたちはせっせと休息中.さっきの頭突きで昏倒したままのエリーはそのまま就寝.夜明けまでは意識があっても苦しいだけなら,いっそ意識が吹っ飛んでいたほうが幸せかも.そして,そんなエリーのことが気がかりなサウザー.ストイックなキャラに似合わぬ甘さをサンビームが気分良く茶化してますが,気を抜くとエルさんにでれでれしているような奴に言われたくはない(笑).
仲間なんか大嫌いだったはずのサウザーとカルディオを変節させたのは,ここに来る最中にアースたちに出会ってしまったこと.偶然出会って早速競争者として戦おうとしたときに,王になるよりもずっと重要なことのために必死で呪文を放つ小さな姿を見てしまったから.エリーは言葉ではなく,その態度で小僧っ子たちを見事魅了して見せたわけですね.特に同じ年頃の妹がいるサウザーは悲壮な2人を見逃すことはできず,ついでに自分自身の家族も守りたかったのでここまで護衛してきたのでありました.…もし,ガッシュたちに出会わなければアースはサウザーたちの目前でエリーを殺す覚悟でファウードを転送させようとしたはず.そのとき,サウザーはそれをどんな風に受け止めるつもりだったんだろうか.
魔物同士の王を巡る戦いも一時休戦.静かな夜は更けて時は過ぎていく.そんな夜を爛々とした目でハッキングしつつ過ごす清麿.ファウードの操作という特定領域に限られますが,まったく別の言語体系を1時間でほぼマスターした天才は夜明け前にシステムの奥底に進入.タイマー機能を見つけただけでも凄いのに,それを動かすために必要な条件を明らかにしたのが素晴らしい.
エネルギーチャージに5時間必要だから,ファウード起動後,90分間はどうしてもファウードは人間界に留まる.そして機能を動かすには,その機能にかけられたロックを外さねばならない.…ファウード起動後の90分の足止めを思えば,ロックを外す程度はまだまだ容易いことのはず.アースに口だけじゃないよな?と挑発し,そのままタイマーを動かすべくロック解除に挑む.ファウードの鍵に直行するには40分が必要だから,残り3時間で操作を完結させねばなりません.彼の大活躍はまだまだ続きます.

そして約束の夜明け.白んでくる空を前にして気ばかり焦っているのが囚われたティオたち.あのガッシュたちのことだから約束を破るとは思えないけれど,それでも来ないとどうしようもなく不安.…そんな不安を和らげてくれるのが,つい昨日仲間になったばかりのリーヤの言葉だというのが予想外にうれしい.やる奴だから必ず来る.だから信じて待つしかない.
見た目ではわからないですが,実は敵側のリオウやザルチムも夜明けは随分と不安のはず.なんせ敵が思惑通りに攻撃に加わってくれないと全てを失敗するはずなのに,その力を持つ者たちは未だに姿を見せていない.ティオたちと同じく,リオウたちもガッシュたちの到着を心待ちにしているわけです.けれど時は待ってはくれません.近づく夜明けに対し,封印解除の準備を開始します!
ファウードを復活させるため,足りない一体分のディオガ級の力は全員で補う覚悟でリオウの合図に従い術を一斉に放つ.特に呪いを受けたものは日の出の後で封印が解けていなければ死ぬので,死ぬ気で気合を入れること.…自分たちが今世界を壊そうとしているのだと理解しているリィエンは,エリーと同じように自分の命を捨ててもいいと考えているけれど,ウォンレイは悲壮な覚悟でリィエンの命を守ろうとします.大切なパートナーの命を守ろうとする者,パートナーの意志で世界を守ろうとする者,そして両方を失うことが許せず第3の道を探った者…強く濃い魔物とパートナーの絆を利用し翻弄したリオウの呪いは,どうあっても許してはおけません.
太陽はついに姿を見せ,まぶしい破滅の瞬間が訪れる.まずはディオガ級4発.さらに4発,そしてザルチムとリオウも加わってディオガ級が10発.大迫力の最強術の連打でも1体分の力が足りずに封印は壊れず,このままでは今まで守りきった大切な命が失われてしまう!と思ったそのときに登場するのが真の主役.誰もが絶望しそうなこの瞬間に夜明けの太陽に飛び込んだ,希望の光!
誰一人死なせないために.ハッキングを終了させてからぎりぎりに駆けつけてくれたガッシュたち! 最強術を放つアースの横でザグルゼムを連鎖させ,とどめのバオウ・ザケルガを絶叫する清麿! 全てを救うために放たれた巨大な金色の龍は,ファウードの封印を解き,戦いを新たな場面へと導きます! ガッシュのパートナーが天才で本当に良かったなぁ….

リィエンたちを縛っていた呪いは解け,仲間たちの命は救われて…しかしここから世界の危機がはじまります! この洒落にならない状況でファウードの?門に潜り込むパピプリオたちが浮いていておかしいんですけども,本作ならではの面白展開はこのシリアスな状況でもちゃんと炸裂してくれるはずなのでお楽しみに(笑)! 崩れる遺跡.土煙の中から延びる巨大な巨人の両手.スタンバイからついに起動する魔導巨兵ファウード…命を賭けた時間稼ぎのはじまる,次回に続きます.

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金色のガッシュベル#136

「怒り昂ぶる最強の術の巻」

ファウードの封印を解いた上で魔界に帰す.皆を救うためのたった1つの方法を実現するため,ガッシュたちはモモンの頑張りのおかげでついにファウードの転送装置の前にまで到達した.待ち受けていたのはガッシュやウマゴンと因縁の深いアースとカルディオたち.誇り高くリオウの計略には乗りそうにもないアースと,仲間をバカにしていたカルディオたちは,装置を動かしてファウードを魔界に帰そうとしている.ファウードの存在を許せないのは両者ともに同じ.ならば,ガッシュの目指す最高の未来も受け入れてもらえるはずだ.

ファウード復活まであとわずか.残された半夜を全力で突っ走る「ガッシュ」.仲間の危機と世界の危機の両方を救うために必死だった彼らが,ついに最初の関門をクリアしようとする重要で記念すべき回…のはずなのに,作画が大変に悲惨なことに(苦笑)! 特に冒頭.せっかくの見せ場だってのに,お前は一体誰ですか.作り手はそんなに清磨のことが嫌いなんだろか(笑).とはいえ話や演出はオリジナル味溢れて面白い回だったので,ここは皆様の脳内で補正をしっかりかけていただくべく,以降の感想では作画についてはあえて一切触れずに書いてみようと思います.

アリシエたちに先導されてファウードの口から侵入して数時間.ついにファウードの転送装置の場所まで到着したガッシュたち.エルの躾によってようやく戦力になってくれたモモンの頑張りもうれしかったけれど,そんなうれしさをしみじみと味わう間もなく新たなトラブルが彼らの前に迫る.転送装置の扉の中の強い2体の魔物.ようやくたどり着いた主役たちを待っていたのは…カルディオとアースたち.石板魔物編からファウード編本編までの間に因縁のできている相手です.
バオウの使い手としてガッシュたちを警戒していたアースと,ウマゴンと同じ馬型で氷という対極の属性の持ち主であったカルディオ.ザルチムははじめのうちは彼らの存在に気づいていましたが,ガッシュたちの突入後はすっかり失念しちゃってたようですね.バレバレで突入してひどい目に遭ったガッシュたちの陰で,気配を消してここまで首尾よく侵入していたらしい2体には,ダメージの気配がないってところがどうにもずるい.
ガッシュたちに敵意を向ける彼らに対抗するにはどうしたってパートナーが必要なんだけど,疲労困憊の彼らは未だに夢の中.清磨に至ってはこの生命の危機に穏やかな夢なんか見ています.桜振り込む学校の教室で,問題の意味がわからないとくじける鈴芽に教える自分の夢.答えを出すことを前提に問題が作られているからこそ,落ち着いて読み込みさえすれば問題のほうが意味や答えを教えてくれるもの.問いという前提状況さえよく理解していれば,必ず解は導かれるはずです.その解がちょっと見には無茶で無理そうなものでも,あるいは本当に大きな代償を支払うようなものであっても…,
そんな平和な夢の中,桜吹雪は本当の吹雪に変わる.なんせ夢の外ではカルディオの凍気が,寝てる連中も引っくるめてガッシュたちに襲いかかってます.パートナー不在のウマゴンは大変に格好悪くまた可愛らしいわけですが(笑)そんなのに怯えてしまった過去の自分が嫌なカルディオ大暴れ.いち早く目の覚めたエルがモモンの術で凍気の進みを遅くしてくれなければ,ここで一巻の終わりだったところ.
モモンとエルの時間稼ぎの間にパートナー全員睡眠状態から回復.ガッシュたちはアースの方をよく知っているので,たぶん事情を話せばわかってもらえるんじゃないかと予測して早速攻撃開始.数々のバトルを乗り越えた今,術なしでも結構強くなったガッシュですが,未だに彼らの最高の術は魂の説得のまま.どんな術よりも気力の消耗が少なく,かつ成功した場合には敵が消えるだけでなく味方が増えちゃったりする素晴らしい術です.
カルディオの凍気に対抗するべく,ウマゴンはディオエムル・シュドルクで炎を放って立ち向かう.以前の対決では最後の最後でカルディオがウマゴンの目に怯えてしまって引き分けたわけですが,あれほど仲間を嫌っていたはずのカルディオとサウザーは,今はアースたちを大切な仲間と考えているので心の闘いも互角! …これまたいきなりのカルディオたちの転身ぶりにびっくりですが,彼らがある意味甘い方向へと転換したその顛末については次回でも紹介されますんでお楽しみに.ただし,カルディオたちが背負っているものをウマゴンたちも背負っています.仲間と世界をともに背負った炎と氷の勝負は拮抗して互角.
そんな互角の壁を切り裂いて攻めに転じたのがアース.攻撃の主力であるガッシュのパートナー,清麿を沈黙させようとするのは実に正しい選択.清麿も説得攻撃を仕掛けるものの,アースは必死すぎて話を聞いてくれない.ここでろくにガッシュを見ないでラウザルクをかけ,強化されたガッシュがすぐさま清麿のフォローに回っているところが実に息が合っていてよろしい.純粋な力勝負なら今ならば互角.しかしこの状況…問いをしっかり眺めてみれば,そこにはこの戦いを解くためのヒントが隠れているもの.今のアースには,パートナーのエリーがいない.

問題を解くための鍵は隠されているけれど,落ち着けばしっかりと見えてくるものです.清麿は本作最強のカリスマであるガッシュとともに,アースたちに対し本格的な魂の説得を開始します.もちろん聞いちゃうと負けるアースは目的の達成のために邪魔者は消すと聞く耳を持たない.目の前の部屋の中にはファウードを帰還させる装置が確かにあって,アースたちは今すぐそれを起動させてファウードを魔界に帰そうとしている.つまり,ここは目的地に間違いなく,しかもアースたちの目的はガッシュたちの目的の半分と一緒だということが明らかになったわけです.
しかも彼らは,ファウードを魔界に戻せば呪いが解けないため,リオウの呪いを受けたものたちが死ぬことまでも知っている.その上で,世界を救うためには呪われた者たちの命を捨てるというのがアースたちの判断.あのときガッシュが一人でクリアした究極の2択で,世界の側を選択して行動していたわけです.自分たちの力では蘇ったファウードに勝てるはずもないから,この機に乗じて一気に勝負を決めようとしています.
もちろん3つ目の選択肢を選んでいるガッシュはその選択を止めねばなりません.ファウードの封印を解いてから魔界に帰すという最良の方法を提案するも,アースのマントの下には最後の武器が.世界を選ぶという選択は呪いをかけられている当人の選択でもあるのだと,大事に抱えていた呪われたエリーの姿を見せます.自らを犠牲にしても世界を救おうとする小さくて強い意志にひたすら従って,アースたちはは今,ここにいるわけです.
けれどそれは間違っているのだと,自分でしっかり悩んで結論を出した今のガッシュはよく理解しています.世界のために個人を切り捨てることなどあってはならない.たとえそれでいいと当事者が言ったとしても,それで沢山の命が救えるのだとしても,ちょっとした理由づけで命を失うことによる心の痛みを薄れさせることができるとしても! 王を目指そうとするものならば,自分のパートナーを,仲間を切り捨てることを選んではならない.…清麿の説得がはじまります.
小さな子どもの自己犠牲なんて絶対に許せないから,「御意のままにじゃねえ! 従ってんじゃねえぞ!」と強くアースを一喝.さらにガッシュがカルディオを退けたのに合わせ,アースの懐,エリーのところへと潜りこみます.普通のバトルならエリーから本を奪って勝負がつくところなんですが,この闘いはそれ以上の成果を求めるものだから説得続行.弱りながらも毅然として自らを犠牲にする気満々のエリーに対し,最良の結論をぶつけてアースたちの覚悟をぶち壊しにかかります.
エリーの命を救ってファウードも確実に魔界に帰すことができると,強大な魔物に気合だけで迫る清麿.毎度ながら,ぶちぎれた時の彼はとんでもない怖いもの知らずです.帰還装置の動かし方がわかるんだな?とただの人間は魔物を恫喝.魔界の文字の読み方だって5分でマスターしてやると豪語して,ある機能を働かせて皆を助けてやると怒気を孕んだ口調で言い切ってみせる.「それを見極めてからでも,遅くはないだろう.くそったれが!」

ザルチムがアースたちを再発見しながらも,リオウの判断でガッシュたちとの接触を見逃したために訪れたこの結果.あのときリオウがザルチムを向かわせて全員を捕らえていれば,あんな明日にはならなかったはずで….未だに囚われたままのティオたちが流れ星に願いを乗せていた頃,魂の説得で最後の試練を突破したガッシュたちは夜明けに向けて最後の努力を続けていました.特に清麿にとっては,今この場こそが彼自身の能力の最大の見せ所.全てを救うというガッシュの選んだ道を歩むには,ここで立ち止まることは決して許されない! …夜明けには1つの結論が待っている.穏やかに緊迫して大技が炸裂する,次回に続きます!

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第12回しりとり竜王戦・本戦

この記事は第12回竜王戦,準決勝以降の記事です.予選の様子は前の記事か以下のリンクでどうぞ.
 R'sM: 第12回しりとり竜王戦・予選
勝ち残ったのはほっしゃん。・板尾(130R)・山根(アンガールズ)・千原弟(千原兄弟).ベテラン2人と若手2人のこの舞台では,結果としては順当にベテランが若手を叩いていきます.自分自身の中にはない言葉がテーマとなった場合にどのようにしのぐか,そしてしりとりは本当に言葉と言葉だけで戦うようなものなのか.勝負的には今一つ煮えきらない準決勝も含め意外と見所満載です.

準決勝第1試合はほっしゃん対千原.予選ではテーマに恵まれて勢いに乗ったほっしゃんと,勢いに乗った若手の陰で確実に点を重ねていた千原の対戦.予選の結果だけならほっしゃん有利にも見えるけれど,本当の実力差は同じ土俵の上に上がらなければわからない.不得意なテーマをどうこなすかとか,ぎりぎりの状況でもルールを忘れずにいられるかとか(笑)!

準決勝第1試合の競技は「しりとりセンスマッチ」.テーマに合った言葉でしりとり.
テーマは「ジェントルマンな言葉」.「ワンちゃんからお先に」からスタート.

そもそも何が紳士なのかを探るところからはじめなければならないこのテーマ.続く言葉が思いつかずしばしお見合いを続ける2人.結局一応スロー判定を使ってほっしゃんが辛そうに先行し,「ニシンは逃がしてあげなよ」…紳士への道は遥かに遠い(笑).千原は長考の末に「ようこそ,校長室へ」ってどんな校長だ.マイネか.ほっしゃんは「ヘクトパスカルを,あなたに」と一杯一杯.いとうもいらねーよ!と無情に突っ込む.千原の「西日暮里から,失礼します」は…どうにもならないなあ(苦笑).少なくとも西日暮里は紳士じゃないもの.では紳士は一体どのような言葉を使うのか? この問いについに手を届かせたのがほっしゃんの「スカイマークエアライン」! でも「ん」がついたのでいきなり3点減点だ(笑)! 高級そうなカタカナという突破口に目がくらみ,足元の穴に落ちてしまって勿体無い.そしてああカタカナか,と気づいた千原が出したのは「スティッグマイヤー・リサ」…永世竜王の予告をなぜかひっくり返して使うという千原の巧みなテクニック.ただし,カタカナならなんでもいいってもんじゃねえ(苦笑).ほっしゃんの「サーティイヤーズオールド」も同じ! もうちょっと紳士について真面目に考えるべきなんだけど,千原の「飛びますよ,飛びますよ」とかは考え過ぎで迷走しちゃって,ほっしゃんの「ヨークシャテリアを彼に」もやっぱり迷走.ただし無理を重ねた回答そのものが醸し出す独特のおかしさが場に深く漂っているから,今なら何を言っても通ってしまうハイな状態.千原が「蒙古斑が,スペードの形をしてるんです」というテーマ無視の回答を繰り出せば,ほっしゃんは「スカイマークエアラインズ」とさっきの失敗を複数形でリカバーする.千原の「素敵なイブクイーンですね」というのはカタカナは入っているけど紳士ですか? ほっしゃんの「寝返りするなら手伝うよ」は紳士というより高齢者介護ではありませんか? 千原の「夜店で,チーズフォンデュ屋をやってます」に至っては,それは紳士のやることですか?

たとえ厳しいテーマでも,粘りに粘ることで稀に開ける不思議な世界があります.テーマにはまったく合ってないんだけどなぜか面白いという集団しりとりハイを巻き起こした終盤がやはり素晴らしかった! そのきっかけになったのはほっしゃんのスカイマークに違いないけれど,「ん」を回避するのは基本中の基本だしなぁ….
結果,ほっしゃん10点,千原14点で千原が決勝進出! 惜しかったのはやはり「スカイマーク」.あれを回避できていればきっと決勝進出だったはずですが,そこを避け切れない,あるいは減点された分をその後取り戻すことができなかったことこそ,ほっしゃんがしりとり新人であった確かな証拠ではないかと思います.

準決勝第2試合は板尾対山根.こちらも前の戦いだけ見れば勢いがあるのは明らかに山根.しかし,勢いというのは回答との相性に大きく左右されるもの.自分の中からテーマに合致する言葉を見つけることができればいいですが,できないときにはそこに近づくための努力を必死で続け,それができない時にはそのまま泥の底に沈むしかない.風はいつも追い風ではないのです.

準決勝第2試合の競技も「しりとりセンスマッチ」.
テーマは「頭のよさそうな言葉」.「恋人は数学」からスタート.

早速先行する板尾は「くの一の恋文は,シェイクスピアだね」と微妙な回答.山根の「根っからの,活字好き」はそろそろと賢い世界を手探りしています.それに比べると板尾の「きりんはね,…足していっても面白くないんだ」はいきなりとんでもないレベルに回答を引き上げる妙手.解釈に関しては審査員と視聴者にゆだねてしまう,いかにもベテランらしい強い手です.けれどそんな技術を持ち合わせていない山根は「大好き,勉強」と80キロの直球.彼なりのペースで賢さを表現するつもりのようですが,しりとりは短時間で上り詰めないと試合が終了してしまいます.山根の理解できる賢さは小学生レベルのもの.そこでわざわざ板尾は「ウルトラマンてね,結構バカだよ」と山根の切り開いた領域を踏み荒らす.それでもペースを守ろうとした山根は「夜中まで,勉強したこと,ありません!」と小学生の道を歩んだけれど見事に「ん」をつけて3点減点だ(苦笑).向かい風の中で必死でテーマをこなしていた山根にとっては最悪の失敗で,ここで勝敗が決してしまいます.板尾の「よしなよ,都立だよ」は中学生くらいだろうか? しかし良い.山根は「予想してました」とようやくテーマに合った解答を繰り出すけれど既に遅い.おかげで余裕のできた板尾は「誰にぬかしていうんだ,おう」とか言いかけて仕切りなおす.基本ルールすら意のままに変えるその様はまさに永世竜王.「誰に…誰に抜かしていやがるんだ,を,英訳してやろうか」…英語を使えばいいってわけじゃないんだけどなぁ(苦笑).ラストの山根は「閣下と呼びなさい」それは深緑の知将ですか?

向かい風の中を勝手に爆走した板尾竜王に比べると,必死で歩むばかりだった山根にはやはりこの舞台と相手はあまりにも重すぎた.「ん」で自爆したのも痛かった….
結果,板尾6点,山根0点で板尾永世竜王が決勝進出! 山根名人は,乗せれば抜群に強いところは初期の有野名人と同じタイプだと思うのですが,回を重ねるごとに有野竜王は様々な局面に対応するための器用さをも身につけていきました.…今回は発揮できなかったけども(笑).勝ち続けるためには勢いだけでなく耐えてこなす技術も重要なので,ぜひ今度の参加のときまでにじっくり研究してきてほしいです.

決勝は千原対板尾.準決勝は結果としては順当なものに.ぎりぎりのラインで安定していたベテランたちが最後の舞台で演じたのは,しりとりを越える新たなる世界.板尾対有野が見せた凄まじい空中戦とはまた違う,ささやかな寸劇が連続して展開します.にやにやと力の有り余る板尾永世竜王に挑んだ千原.2人はそれぞれ,詐欺師の仮面をつけました.

決勝もしりとりセンスマッチ.テーマは「詐欺師っぽい言葉」.
千原の「πは割り切れます」からスタート.

2人のキャラからすると最適のテーマによって場に火がついた! もちろん先攻する板尾は「スペースシャトルはね,これがあるから帰ってきたんですよ」…たぶん会社を騙しに行ってるぞこの詐欺師! それに対する千原は「予言しましょうか?」と街角で小さく稼ぐ.板尾は長考の末に「科学的に,根拠のある,一方通行」と行政機関を騙しに行けば,千原は「嘘じゃないってほんとに5億入るんだから」と地元の名士を垂らしこむ.スケール感は違うけど,いずれ劣らぬ詐欺師ぶり! 板尾の「ラッパのマークのね,モデルになったラッパです」は折角の大スケールがちょっと小さくなってしまって勿体無い.千原の「好きなんだ! 君と君が」は実にわかりやすい結婚詐欺.そして本当の詐欺師は絶対にそんなことは言わない(笑).板尾の「蛾次郎さんどうですか,つけ心地は」…実名を出されてしまうと大変にツッコミにくいんですが,司会席がしばらくの間小声で笑っていたことだけは記しておきます(笑).千原の「晴れてるでしょ?」は天候操作装置ですか? 2人の詐欺師合戦はさらに強く熱を帯びていきます.板尾の「4日後に,笑ってください」は逃げ切るには絶妙の期間.千原の「伊藤家の食卓でも今度やる,とか言ってたよ?」は奥様方がころりといきそうな素晴らしい殺し文句! 地味に「よ」攻めを喰らう板尾は「4年前は,確かに,あたし男だったよ」とカミングアウトで「よ」を戻したものの,千原は全てを締めくくるべく「容赦ないんですね.警察って」と詐欺師として逮捕されてみせました!

2人の詐欺師が見せた激しい演技合戦は実に見事.文字だけでは伝わらない詐欺師の仮面のつけっぷりが堂に入ってました.たった一言でその周囲の状況を全て暗示してみせた2人の演者に拍手を送りたい.
結果.千原12点,板尾11点で第12回竜王は千原名人! 師匠越えの2度目の優勝の勝因となったのは,激しい演技合戦の中でも安定して点を取り続けたことでした.凄まじい回答は出せなくても,1答たりと大きく外さなければ永世竜王にだって勝てるというのがこの試合の面白さ.そんな強さは何度も参加することによって初めて身につけられるものだから,ぜひ準決勝に進んだ有望な若手には次回もこの舞台を踏ませてあげてください.そして,新しい強いベテランを番組で育成していただきたいと思います!

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第12回しりとり竜王戦・予選

剥き出しの言葉同士のどつき合いが奇跡を生む「しりとり竜王戦」.すっかり芸人にとっての大舞台として評価されるようになった「しりとり」も今回で12回目.やってることはただのしりとりなんだけど,面白さのおかげでここまで長い企画になると異様な箔がついちゃうもんだなぁと感慨深い.ちなみに過去の履歴についてはこちらなどをどうぞ.これまで,本当にいろいろなことがあったんですよ.
この「しりとり」界に燦然と輝くのはやはり板尾永世竜王という一等星で,そんな永世竜王とは少し違う色で輝くのが有野名人.板尾と似たような光を放ちつつも力を増しているのが千原弟,という布陣.…なんか一人忘れているような気がするんだけどそれは気のせいってことで!というのも今回のテーマの1つです(笑).あのガワには絶対呪いがかかっていたに違いない.
「しりとり」は勢いに乗って激しくハジケていくことも大切なのですが,それ以上に重要なのは難しいテーマにもじっと耐えて小当たりを出し続けること.得意なネタで大暴れするのは当たり前のことで,どんな苦しい状況に追い込まれても耐え続けるお笑い持久力こそ,実力者とそうでないものを分ける最も大きなポイントです.

今回の出場者は板尾(130R),ほっしゃん。,渡辺(ジャリズム),中田(オリエンタルラジオ),山根(アンガールズ),千原弟(千原兄弟),藤原(ライセンス),有野(よゐこ).今回はいつもなら1人は解説席にいるはずの四天王が戦場に揃い踏み.強すぎる板尾永世竜王を追う有野八段が永世竜王の名に挑む大一番だからかな? 実力者が半分以上という過酷すぎるこの場所で,若手たちは凍えずに耐えることはできるのか.
司会はいとう.判定はいとう・勝俣・MEGUMI.記録は野村アナというおなじみ磐石の布陣です.

Aブロック予選は板尾・ほっしゃん・中田・渡辺.意外としりとり初登場のほっしゃん.頑張ろうと思ったらかみそり負けしましたなどと緊張感のなさをアピールするあたりが逆に緊張の証拠.こんな厳しい舞台はそうはないですからね.それに対していかにも「しりとり」初心者らしいふるまいを見せるのが中田.いい大人に「はやくおうちにかえりたい」と思わせるほどに,この舞台は大きなものになっちゃってるわけです.ここでウケが取れれば今後別の仕事にも繋がっていくかもしれないから頑張れ! そんな初々しい新人どもに対してベテランの渡辺は妙な雰囲気を漂わせています.自分のために優勝とか新人潰しとかいかにもな挑発行為が憎たらしいんだけど…あんまりやりすぎると今度は審査員の心証に影響しそうだから適度なところで慎むべきです(笑),そして板尾竜王.最強らしく「リサ・スティックマイヤー」を回答に入れると予告将棋してみせる余裕ぶり.この場所でこれをやっても背伸びをしている感じがまったく感じられないことこそ,最強が最強たる所以です.

1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「思わず泣けてくる言葉」.「息子だが帰省したら女」からスタート.

相変わらずの速攻をかけるのはもちろん板尾永世竜王.でも「中村俊輔似の一人息子がいるのだが…昨日死んだ」と初手から殺すのは間違ってる(苦笑).じわじわと盛り上がって最終的に殺してしまうから受け入れられるのであって最初から殺してどうする.審査員もさすがに動揺したらしく,ここでいとうが手元のベルのガワを下にいる渡辺のところに落としてしまいました.…まさかこれが呪いのガワだとは(笑).ほっしゃんは「ダッチワイフを買ったのだが,京都製」と初心者らしい迷走.それは顔が京人形ってこと?それても任天堂? 呪いのガワを拾った渡辺は「異星人に会ったのだが,京都弁だった」と前の今ひとつの回答を継承してしかも中途半端.最初から一杯一杯の中田は「タキシードを着ていったのだが,全裸にさせられた」といかにも辛い状況を回答.1順して板尾,「田んぼに稲が実ったのだが,おばあさんがいなくなった」…審査員は稲がもったいない程度の洞察しかしてくれていませんが,彼の前の回答を考えると,このおばあさん,収穫を待たずに死んでるよね(苦笑)? ほっしゃんは「タートルネックを集めているのだが,俺はカメじゃない」と己のキャラを上手に生かした良い回答.こういう回答が出せるテーマは,回答者と相性がいいってこと.さて,呪いのガワを持った渡辺は「いいジャブを入れたのだが…殺してしまった」ととりあえず殺せば泣けてくる戦法.でも思わず泣かせるためのネタなんだから,おちゃめにおどけて見せるのは間違いだ.中田の「滝に3年間打たれたのだが,その帰りにAVを借りた」はしみじみと泣ける.煩悩の消し難さを示すこの良回答を継承した板尾は「滝に3年間打たれたのだが,4年目もそこにいる」とさらにテーマを深める.折角の良回答の印象を上塗りする.若手潰しはここまでやらなければ! ほっしゃんの「ルールブックをよく読んだのだが,グローブ忘れた」は肝心のものがない台無しの悲しさ.長考した渡辺は「タイタニックを見たのだが,沈まない」…それは別の映画じゃないのか? 中田は苦悩の末に「インドア派だが,帰る場所はどこにもない」としみじみとした悲しさで終了.

初戦はとんでもない大当たりは出ないながらも見所のある戦いとなりました.新人であるほっしゃんも中田もかなりの健闘を見せたと思いますが,呪いのガワを拾ってしまった渡辺が今ひとつ.そもそも悲しいネタをやるときにおどけるなんて,回答以前に間違ってます.

2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「サンタクロースのそりを引っ張るトナカイの一言」.
「スノーモービル」からスタート.

第1回答者の座を珍しく板尾竜王以外の名人が先取.ほっしゃんは例題を継承して「ルート変更!」.これも彼の妙な愛らしさが生きる相性の良いテーマのようです.続く渡辺も「後確認します!」と流れを継承するんだけど…ほっしゃんと違ってあんまり可愛くないのがな(苦笑).中田は「酢豚を優先的に配っていきます」と余程緊張しているのか凄い方向に迷走.確かに調理品は足が速いけど.板尾の「スノーモービルをこのうちにあげるの?」は例題継承なんだけど不思議と可愛い.そしてあげるくらいならサンタはそりから乗り換えるべきではないのか.ほっしゃんの「農家はもうええでしょ」はたぶんかなりの問題発言で審査員爆笑.差別しないでプレゼントあげてくださいよ! 渡辺の「4ヶ月前に出発はないでしょ!」…たぶん酢豚は腐るよね.そして中田の「夜中出発すると到着は朝になりますがいいんですか!」と妙にキレてる.サンタがまだ行きたくないとかごねているに違いない.板尾のトナカイは「鹿賀丈史さんの家は,今年も留守ですね」とストーキングの片棒を担ぐ.ほっしゃんのトナカイは「ネックレスて…」と関西弁でサンタのやることに文句つけまくり.渡辺のトナカイは「てゆーか,正月どうします?」と馴れ馴れしく.サンタも帰省するのかな? 中田のトナカイは「酢豚のパイナップルが袋に残っていたんですがどうしましょうか」と酢豚にこだわりすぎ.パイナップルくらいは喰っちゃっていいですよもう(苦笑).板尾の「鹿賀丈史さん帰ってきましたよ!」はどこまでも板尾トナカイのイメージで! 鹿賀が特別扱いされているのは,未だにサンタを信じているからだったらイイナ! 最後のほっしゃんトナカイの「よしんば喜んだとしてもですね!」もおかしい.結構いい年行ってるんだろうなぁ….

2戦とも大爆発の連鎖はないものの小当たりが多かった印象.2つ目のテーマのほうがやりやすかったかな.新人とは思えぬ堂々とした打ちっぷりをみせたほっしゃんといつも通りのマイペースな強さを見せた板尾竜王の印象が強く.中田は一杯一杯で渡辺はガワに呪われました(笑).結果.板尾11点,ほっしゃん12点でなんとほっしゃんが永世竜王を上回って勝利! ガワを拾って呪われた渡辺は9点と沈み,中田はこの厳しい相手の中で最後まで頑張っただけでも誉めてやりたい(苦笑).もう酢豚のことは忘れていいぞー.

Bブロック予選は藤原・山根・千原・有野.初登場の藤原はもちろんがちがち.それに比べると2回目の山根は前のときよりもやはり安定しています.激しい緊張を強いる舞台だからこそ場数を踏むことが重要なので,今後もぜひ新人に何度もこの舞台を踏ませていただきたい.でも,負けて見る楽しさはあんまり学ばない方がいいと思う(苦笑).ベテランでも安定した千原は腰のタグのちくちくを気にしてリラックス.有野は柄にもなく緊張していると新人をダシにして無駄にアピール.…でも,あんまり緊張していなくても口で散々言っているとやっぱり緊張してしまうものなので,アガリ症なら余計やめといたほうがいいと思います(笑).

1戦目は「しりとりツバメ返し」.「~だが~」でしりとり.
テーマは「スケールの小さな言葉」.「宝くじを買っただけだが眠れない」からスタート.

回答者によって適性が大きく分かれるこのテーマに対し,有野は「イゴール・ボブチャンチンが食事中だったのだが,タマネギをよけていた」と無難な手を打つ.新人の藤原は「大したことではないのだが,昨日泣いた」と早速思い切りずれてるな.大したことないことが何かをちゃんと説明しないと,テーマに合った回答にならない.千原の「たけしさんを見かけたのだが,2キロほど離れていた」は…よく2キロ先の人の顔が見分けられたなぁ(笑).このテーマに最も合致していそうな山根は「タイ人なのだがそれを隠したがる」と初答はややすべる.…なんか犯罪がらみでスケールでかそうな気もするし.有野の「留守中に泥棒に入った話をしたのだが,お母さんにおこられた」と無邪気に黒いけれど,本当にスケールのちっちゃい人間の場合は藤原の「たこ殴りにしてやろうと思うのだが,それは想像のお話」のように行動にも移せないものですよ.千原の「シースルーを着ているのだが,…いろいろ着てる」確かに(笑)!と審査員も共感を寄せる.しかしそれ以上の回答を出した山根の「ルームサービスが届いたのだが,怖くて,部屋を空けられない」.共感を通り越してなら頼むなと審査員を怒らせるなんて,素晴らしい! これに比べると有野の「胃カメラを飲む日だったのだが,怖くていけなかった」はいいんだけど弱い.藤原の「沢山の人に聞いてもらいたいのだが,俺は痔だ」については,沢山の人にわざわざ小さなことを聞いてもらう面白さをねらったのだろうけど,わかりにくい.それに比べれば千原の「だっふんだー!と言いたいのだが,だっふん…ぐらいで止まってしまう」は似たようなことを言っているのだけれどわかりやすい.最後を飾るのは山根の「うんこをしたあと,ウォシュレットしたのだが,すごい,拭く」…ちっちゃい!

これも小当たりが連発する展開となりましたが,中でも山根がいいと勝俣が賞賛.本人のスケールがちっちゃければ,そうでない人よりもちっちゃい言葉やちっちゃい状況をより多く考えつけるわけですね.苦し紛れでない回答を常に思いつくことができるというのは大変に有利なわけです.

2戦目は「しりとりイマジネーション」.テーマのイメージでしりとり.
テーマは「ロッキー10のサブタイトル」.「熟年離婚を乗り越えて」からスタート.

これは誰にとっても平等にやりやすいテーマ.千原の「手に職をつける」から飛ばしてくるぞ! つうか,もう手に職ついてるよね(笑).山根は対応しきれず「ルンメニゲ」と苦し紛れ.有野の「ゲロまみれロッキーの巻」は無邪気なんだけど弱い.そして藤原.「きっと,嫁は,エイドリアンだと思う」…やっぱりパンチが頭に来たか! 実際脳を頻繁に揺らすのは非常に危険なので,頭の怪我というのは本当に気をつけるべきです.千原の「打たれすぎたのか」はそんな前の回答を説明するもの.さっきの回答で崩れた山根は持ち直し,「勝ち負けにこだわらない!」ととんでもない手を打ってきた(笑)! やっぱり10ともなれば勝敗はどうでもよくなるものなのか.でも,それをサブタイトルにするのはどうだろう(苦笑).有野の「異種格闘技・ロッキー対手品師」に関しては,ロッキーが手品のタネにパンチを入れれば勝てると思います.藤原の「心配しないでください」…そんな風に言われるとあなたのことが余計心配になります.千原の「怒りの就職活動」は気の毒でおかしい.世の中殴り合いで解決することはそんなにないですからね.調子のいい山根はその勢いのままに「宇宙へ」! やっぱり宇宙人と闘うのか,それとも隕石でも壊すのか.そんな大スケールの映画を見せられたあとでは,有野の「屁が出ちゃった」はものたりない.藤原の「沢山の息子」は一体どんな事情でそれをサブタイトルに選んだのやら.千原の「こうなったらいつまでも」については10まで来ているので迷惑で,この迷惑ぶりを繊細に捉えた山根の「もう終わり!」は素晴らしい! あまりに長いシリーズは,やはり終わるべきですよ.有野の「リスと闘う」はたぶん1撃でクリアーなのですが動物愛護団体とのセカンドバトルが恐ろしい.最後,藤原の「うまい話に乗る」…生活大丈夫?

ついに出た大当たり! 審査員も視聴者もその愉快さに満足です.ロッキーは不満かもしれませんが….でも勝俣,「怒りのアフガン」はランボーでロッキーじゃないぞ(苦笑).2テーマともに対応ができた山根の風の掴みっぷりが素晴らしかったのと,後半だけなら千原の印象が良かったですね.結果,山根15点,千原9点で決勝進出! 有野と藤原はともに6点とふるいませんでした.全体を通すとちっちゃいという難しいテーマの前半にどこまで対応できたかが勝敗を分けた印象.そんなわけで折角の大一番に挑んだ有野が予選で敗退するという大番狂わせ.きっと,緊張してるとか自分で無駄に盛り上げてたせいだよなぁ…(苦笑).

以上予選で勝ち残ったのはAブロックほっしゃん・板尾,Bブロック山根・千原.この4人で本戦が行われたわけですが,その顛末については次のしりとり記事に続きます.

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アストロ球団#18

「1つの思いは9倍にの巻」

9回裏同点2死満塁.対ビクトリー戦最高の舞台に戻ってきた球五.グラウンドに立てる体ではない球五と,力をほぼ使い果たした球四郎の対決は静かなものだった.2ストライク3ボールのフルカウント,誰だって勝負をしたいそんな場面で,球五は最後まで球を選び,押し出しの1点でアストロ球団は勝利する.
敵軍の将である球四郎は責任を取って自害しようとするが.9人目の超人がそれを止めた.生者との約束を守ることが死者への供養になるのだと諭されて,ここまで迷走した球四郎はついに正道に戻るのだった.

主に野球と同じような器具を使ったなんとなく野球っぽい格闘技「超人野球」もついにゲームセット.様々な思いをこめながらも熱く別れを演じる「アストロ」.テレ朝の最深夜帯に相応しい血みどろ番組も今回で見納めです.原作と同様に道の途中の最終回は感動的なオリジナル展開で幕を降ろすわけですが…ここまで無理に本気で見てきたんだから,シリアスなシーンで大爆笑してもきっと許してもらえるよね? シリーズ全体を通してあまりのどうしようもなさに呆れて失笑したことなら何十回もあったけど,心の底から気持ち良く笑えたのは今回がはじめてです!

前半.9回裏の超重要局面にいきなり戻ってきた球五.ここまでの血なまぐさい展開を吹き飛ばすほどのさわやかさは,彼の空気読まないぶりを見事に示してくれてます.本来ならここまでやっと生き延びてきた奴が立ってこそ美しい最後の舞台なのだけど,そこに計算外が戻って来てなんとなく完結していくだらだら感が,妙にリアルで本作には不似合いです.
とはいえ球五も地味だけど超人なので野球に関しては至って真面目.たとえ死んでも打者を帰すと決意しているし,対する球四郎もこの舞台の最高ぶりにすっかり当てられているよう.2人分の命を支払ってようやく超人野球の楽しさに目覚めた球四郎.同類扱いされるのを嫌がっているけれど,その痣と心は偽りようがありません.
しかしさっきの球一との決戦で全力を出し切って,慣れぬ左手と激戦による疲労ですでに出がらし状態の球四郎の球はどうしようもなく荒れまくる.カウントは1ストライク3ボール.もちろんバリバリの病み上がりである球五の体もとっくに限界を越えていて,バットを振った瞬間に意識が飛んでしまいそうな重体ぶり.一番いいのは2人でさっさと病院に行くことだと思うんだけど,さすがに最終回にその選択肢はないもんな.
そして,どんなに苦しい目に遭おうとも,男なら常に勝負を捨ててはなりません.たとえ体が限界でも,情に流されることなく常に冷静に勝利を拾おうとするその心こそ球五の最大の武器.球四郎に2アウトまで追い詰められても,仲間から重すぎる期待を寄せられても,それでもなお冷静に野球をし続ける魂が勝負の行方を定め,その結末が生き残った全員を救うことにもなったわけです.だって,アストロもビクトリーも延長したら全員死ぬもの.きっと.
全員が見守る球四郎渾身の1投,「我が野球人生に悔いなし」とまで気合を入れた球五の晴れ舞台は…球四郎の球を限界まで見極めて,打たず,そのままフォアボールで押し出しの1点が入ってアストロ球団の勝利! 他の超人たちなら絶対に真っ向勝負するところ,空気を読まない球五は最後まで場の雰囲気に流されなかった.格闘技を選べと追い詰められた状況で,最後まで格闘技ではなく野球を選んだ球五はきっと今このグラウンドの上で誰よりも強い.いや,グラウンドの上だけでなく,雰囲気に飲まれて病院送りになったり死んでしまった奴らよりも….
そして,まさかそんな形で勝負がつくとは思っていなかった球四郎は思わず倒れる.フォアボールで押し出しの1点で敗北というこの状況は,投手にとっては心底痛い.きっと生まれてはじめての完璧な敗北の衝撃に絶叫し血の涙を流す球四郎.しかも敗北すれば自分が散々バカにして,しかも叩きのめされたアストロと一緒に野球をやらなきゃならない.ただ,さすがに仲間の弔いも終わっていない今,すぐに仲間になるのは酷だから…と球一が与えたわずかな猶予に,球四郎は最後のあがきをはじめます.
球四郎のここまでの戦いは,己を呼ぶ運命から逃れるためのものでした.沢村の妄執に巻き込まれ,何をやっても人並み以上の超人としての能力を生まれながらに与えられたアストロ超人たち.球一たちはあまり気にしていないけれど,卓越した才能で何をやっても最終的に成功してしまうということは,裏返せば何もかも出来て当たり前であり,それは特段誉められるようなことではないということ.特に超人としての完成度の高い球四郎の場合,どんな成功もそれは超人の力ゆえのもので,球四郎自身が頑張った成果ではない…いくら周囲から完璧だと思われても,彼の心は常に認められない空しさで満ちていたはずです.
けれど,アストロたちは同じ超人として,球四郎を初めて地に伏させて,空の高さを教えてくれました.超人にも無理なことはある.この敗北は,完璧で安定してゆえに空しかった世界に刻まれた大きなヒビ.そのヒビから己の世界をぶち破ることによって球四郎は新たなる誕生を遂げることができたはずだけれど…その誕生に巻き込んで命を落とさせ,選手生命を失わせた男たちのことを考えると,球四郎は強い自責の念に駆られてしまうわけです.
ここまでの責任を取るために,大門のように腹を割いて詫びようとした球四郎.それを寸前で止めるのが,アストロ9・球九郎! 目の前で知ってる奴が割腹自殺しようとしているというとんでもない状況でも相当冷静な彼もまた,空気を読まない技術を身につけているようです.スマートな球九郎は腹を切っても誰も喜ばないのだと球四郎をひたすらに諭します.こういう言葉を,あのときの大門に誰かかけてやることができればなぁ….今生きている球四郎のために4人は全てをかけて,散っていった.だから4人が命を賭けた大切な命を自ら絶つのは間違っている! 生きている人間との義理を通し,苦しくても恥ずかしくてもどん底から立ち上がって前に向かい歩むことこそ,死者に義理を通すこと.大門もバロンもこの奈落の底から球四郎が這い上がることを信じて死んで行ったのだから.

後半.さて,まあ当然の話なんだけどここまでやってもプロ参入はやっぱり無理でした(苦笑).確かに野球と超野球では球技と格闘技でジャンル自体が違いますからね.でも,あの偉そうだった川上監督から頭を下げられてしまっては,超人たちもそれ以上のことは要求しにくい.けれど野球をすることでしか真の意味では生きられない超人にとって,日本国内でのハイレベルのプレイを拒否されるのはどうにも辛い.30年早すぎたと言われても,日本でもアメリカでもプレイできない超人たちには何も出来ない….
とはいえ悲しいことの裏には少しくらいはうれしいこともあるものです.超人野球関係での死者は3人となったわけですが,その墓石たちが球四郎と球九郎,そして球一たちを1つに結びつけてくれました.己の小さな世界に別れを告げた球四郎は,球九郎の計らいもあってあるべき場所へと戻っていきます.ここに集うのは,たかが球遊びに命を賭け,球遊びの中で生きる馬鹿者たちばかりです.
そんな馬鹿者たちを率いてきた…というか猛獣の前に置いて自分はいつもいなかったシュウロのご様子なのですが.ビクトリー戦勝利の際にはあれほどご満悦だった彼にも,球界からのこの仕打ちはさすがに堪えているようです.もうこの際アフリカ行っちゃうしかないかなーとか考えている,そしてアフリカに行ったときにもきっと選手を置き去りにするに違いない(笑)シュウロの前に姿を現す,アストロナイン!
巨人戦,そして日本球界制覇という夢を叶えてやれなかったと珍しく己の責任を感じているシュウロに対し,らしくないぞと声をかける超人たち.どんな状況でも諦めず,真正面から立ち向かう,仲間を信じて命を預け,絶え間ぬ努力で勝利を掴む.1つのボールで思いをつなぎ,辛いときにもアストロガッツで切り抜ける.男ならグラウンドで死ぬことこそ本望.それはこの9人,最後まで一連托生だ! という趣旨の9人によるリレーコメント.卒業式の答辞を見せた彼らは,恩師…というかこの責任放棄甚だしい迷監督に,感謝の礼を捧げる! …シュウロはただ感謝するのではなく,すまなかったと本気で詫びてほしいぞ(苦笑).
沢村の妄執に巻き込まれ,紆余曲折の末についに完成したアストロ球団.あの日シュウロに託された一試合完全燃焼という沢村の執念も,実に多大な犠牲の末に今ここに現実のものとなりました.しかもそんな祟神・沢村を生んだ巨人軍は実に小粋な計らいをしてくれます.公式の試合ではないけれど,多摩川グラウンドでの非公式戦を準備してくれました!
沢村という大投手の妄執から生まれた9人の気の毒な青年達は,艱難辛苦の末に野球なしでは生きられない体となりました.初代球二との出会い.盲目の青年を選手として受け入れたこと.同じ超人が敵として襲ってきたときの怖さ,育ての父と袂を分かち旅立ったあの日.時には敵,そして味方となりながら9人が紡いできたこれまでの日々は,まさにこの1戦のためにあったわけです.しかし…その開始を目前として,彼らは唐突に消えてしまいます! 金色の輝きの向こう,誰知らぬ空の彼方へと….
そして! ここまで何度となく超人たちを置き去りにして迷惑をかけてきたシュウロは,ついに置き去りを食らいました(笑)! 見事成長して卒業した生徒達に先生はもう不要だと考えるか,もういなくても勝てるから置き去りにされたのかは定かではありません.何はともあれ,これまでのシュウロのひどい仕打ちをやり返すかのように見事に消えてしまった30年早すぎた9人.彼らはどこに消えてしまったのか.

そして現代.アストロ超人どもがお世話になったあの定食屋は未だに潰れず残っていました.「一定食完全満腹」を旗印としているようですが,さすがに老いの威力は大きいようです.どこかで聞いた歌声のミュージシャンが喰いにきているなぁ(笑).新聞には野球世界統一戦開催の知らせ.世界一を決めるこんな大きな祭りの場に,あの9人がいればきっと喜んで参加して,敵味方ともぼろぼろになりながら勝ってくれただろうに.
あの日,願いが叶う直前に消えてしまった9人.彼らが沢村から譲り受けて育てた野球に対する強い妄執は,未だ時空のどこかをさ迷っているはずです.沢村一人の思いが9倍となり,その思いがさらに多くの思いを生み…そのようにして魂,あるいは野球に対する妄執は野球界を脈々と流れていくのかもしれません.いつか彼らがここに戻り,一試合完全燃焼の大願を成就させるまで,この悲しくておかしな呪いは世界に流れ,人々を野球に向かってひたすらに動かし続けるのでしょう.

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焼きたて!!ジャぱん#56

「どうしてわざわざ危ないほうにばかり行くのか?の巻」

パンタジア対サンピエールの最終決戦,「焼き立て9」の初戦に茶わん蒸しパンで見事勝利した和馬たち.サンピエールが送り込んだ次の刺客は焼きそばパンのときに修行させてもらった恩師・中華と殺人拳の達人,劉さんだ.対戦の舞台は黒豚で有名な大口,さらに課題は中華まんとサンピエール側が明らかに有利.けれどこの戦いで本当に大変なのは和馬たちではなく司会兼審査員の黒柳.彼はひょんなことから感電してしまい,味を感じることができなくなってしまっていた.

原作側の大暴れっぷりにアニメ制作側は相当頭を悩ませているに違いない「ジャぱん」.モナコカップの決勝の時点で相当の挑戦ぶりだったわけですが,この地方取材編ではかなり積極的に第3者を巻き込んでいるため版権的に大変難しいネタ連発.ついでにタイアップのこともあるからここはオリジナルの腕の見せ所!というわけで,かつての登場人物を無理やり起用してつないできました.でも,いくら面白くするためとはいえあんなものを食わされる黒やんがすごくかわいそうです(苦笑).

前半.前回初戦を見事に勝利で飾った和馬たち.とはいえ本作ではパンのうんちくとか勝負の結果とかシリアスなストーリーとかは全てどうでもよく,大切なのは面白いリアクションだけであることは皆様ご存じの通り.そういう意味では現在堂々の主役を務める黒やんを襲うアクシデント.冒頭から大サービスのあとうっかりドライヤーで感電してしまう黒やん.…シャワーシーンがサービスってことは,彼はヒロインなんでしょうね.
とりあえず1勝した和馬たちの次の相手は,あの懐かしい劉さん.焼きそばパンを作ったときに,和馬と河内がお世話になった恩人です.相変わらず麺職人と暗殺者の両面でご活躍中らしい劉さん.とりあえずギャラさえ良ければなんだっていいんだね.そんな彼が選んだ対戦場所は九州の大口.しかも課題は「中華まん」.麺だけでなく中国料理ならなんでもござれの劉さんは,この課題に限っては最強の敵に違いない!
そんな強敵の恩人に勝たねばならない和馬たちは早速現地を視察.この地で有名なのは黒豚で,特に中華の点心には最適な素材…サンピエール側には素材・料理人・課題の3つが既に見事に揃ってる.こんな都合のいい話,絶対偶然じゃありえない(苦笑).
さて,この地で作る料理人だけでなく,食ってリアクションせねばならない主役もまた同じ牧場に視察に来ていました.毎度ながら配慮の足りない河内はさくっと失言するわけですが,今日の黒柳は意外とローテンション.いつもなら物凄い勢いで否定してカス呼ばわりしてくれるはずなのに….でも,普段から黒やんのハードなツッコミを期待して安心してボケるのは人間として間違ってるぞ河内.
とってもおいしい大口の黒豚.早速試食したパンタジアの3人はあまりのとろけるうまさに3匹の豚に.いつも過剰なリアクションばかりを目にしているので,この直球な美味さの表現が逆に新鮮です.で,パンタジア側は実にあっさりこれをメイン素材として採用することを決定.豚ならば,マグロのように季節で供給不足になることは考えにくいってのもあるんでしょうね.
特に料理しなくても素人リアクションで豚になるくらいの豚肉,これをプロの黒やんが食べたならどんな天変地異が起きるか!…と期待されるところなんですが,なんとノーリアクション! 主役の魔法少女がいきなり変身できなくなってるクラスの異常事態に動揺する和馬たちと,慢心を諌める言葉を適当に吐いてそそくさと立ち去る黒やん.確かに慢心は命取り.いくら大丈夫だと思っても,濡れた手でドライヤーなんか絶対触っちゃいけません(苦笑).
自分の身に起きた異変に気がついた黒やんは絶叫しつつ町を走り,料理屋で勝手に料理を喰い,民家で勝手に料理を喰い,なぜかちゃんこまで勝手に喰い,最後にはブタの餌まで喰う.あの動揺っぷりを見るときっと代金は支払っていないであろう連続食い逃げ犯は,電撃によってまったく味を感じない体になってしまったのでしたとさ.正直,黒やんから鋭敏な味覚とリアクションを取ってしまったら本作では河内より役に立たないので,かなり切実な存在の危機です.
けれどこんなときだってうまいパンさえ食えばなんとかなる.それも本作のお約束.大変なことになった黒柳を救うため,最高に美味い和風ジャぱんまんを作ると和馬は約束してくれます.時空を揺るがし人の生死を左右するほどの和馬のパンなら,ちょいとお留守になった味覚を連れ戻す程度なら簡単のはず.

後半.相変わらず経費節減に励むパンタジア側の宿は「打芽荘」.ぼろぼろ民宿の中で新作について考える3人ですが,今回は相手も黒豚を使って普通の中華まんよりも確実に美味いものを作ってくるだろうから,勝つにはさらに特別な工夫が必要です.他に大口名産の金山ねぎや,ちょっと足を伸ばして最高級の薩摩ぶしなども調達.この段階でちゃんと酒も購入してありますね.地元の名品を揃えまくって具材に関しては勝つための工夫はほぼ完了.けれどこれは腐ってもパンアニメ.和馬は生地のほうをなんとかしなければなりません.
蒸すことを前提とする中華まんの生地を,ねっとりではなくパンのようにもちっとさせたい和馬.けれど中華まんの生地は中力粉で,もちっとしたパンは強力粉.粉の種類からして違うのでそれをもちっとさせるのはかなりの工夫が必要なのに,和馬にはその方法が見つからない.「ないんかい!」と自分のことを棚に上げてツッコむ河内がなんか腹立つなぁ…(苦笑).
対戦までにはあと半日もないけれど,このままでは勝敗はともかく黒やんが潰れてしまうので更なる具材を探しに行こうとする冠に引きずられるやる気のない河内.疲れで腰が痛くて動けない…と怠けることこそ今回の河内の最大の仕事になっていますから,冠も心置きなく出番を削ってやってください(笑).和馬は腰を鍛えればいいということに気づいて,ここに和馬のジャぱんまんのレシピが完成します!

そしていきなり2回戦開始.さすがはタイアップ話だけのことはあり,売り出すタイミングが重要なのです.ちなみに黒やんの鋭敏な味覚とリアクションは未だに戻ることなく,腰痛いで一仕事した河内は対戦前から観客席に放逐されました(苦笑).食材買って新作のヒントになっただけでお役御免って,パン職人の仕事じゃないぞ.
劉さんの見事な暗殺拳による調理.こんなド迫力で家庭的料理を作られても困るのが普通で,歓声を上げている観客はどこかおかしいと思います.和馬たちは集めた材料を使って最高の具材を作った上に,和馬が気にしていた記事の工夫も腰を鍛えることでクリアするはずなんだけど,河内はバカだから具体的にはわかんない! …調理の役にも解説の役にも立たない凄いカスっぷりがどうしようもなく情けない.でも,河内の真の役目は「なんやて!?」だからまあいいか.ちなみに和馬は生地を手延べ麺のように扱って腰を鍛えたのでありました.
双方ともにあっと言う間にパン完成.そのまま試食して勝敗まで決まってしまうだなんて,本作としては異例のハイテンポ.サンピエール側は満漢全席まん.中華の達人ならではの技量がよく生かされた一品.けれど肝心の審査員が今回は壊れていますので,特別審査員としてマイスター霧崎…のペットの孔雀のくーさんが呼ばれました!さすがにそれは敷居が高すぎるので,黒やんはせめて人間をブッキングしてください(苦笑).実に豪快な特別審査員が出した評価は全開で満点.確かに鳥が鳥を出すわけにはいかないし.
しかし,恐らくは相当おいしいであろう満漢全席まんであっても黒やんの味覚は戻らない.リアクションに値する水準が途方もなく引き上げられたってことだから,むしろ余計なリアクションが出なくていいような気もするんだけど,双方がなんとなくうまいものを作ってきたときに比較評価ができないからダメか.かくなる上は司会者兼審査員を引退するしかないとまで思い詰める黒やん.たった1試合で引退って,たぶんテレビの歴史に残りますよ!
しかし歴史と引き換えに黒やんに引退されてしまっては,今後の目処が立ちません.本作のヒロインを救うべく和馬が繰り出した四角い和風ジャぱんまん.最高級の材料と腰がどうとやらで作られたパンさえ食えば,黒やんの問題程度は全て解決!
食った直後に襲う落雷.天変地異はリアクションの基本技! 感電して切れた黒やんのリアクション回路が,パンの威力によって復旧.もちもちした生地のうまさに力士にぱふぱふされる幸せそうな黒やん.ぱふぱふ・わふわふ・和風和風で和風ジャぱんまん!と折角復旧しても相変わらずダメすぎるリアクション.しかし問題は駄洒落ではなく,ぱふぱふが他社の名作由来であること.余程元に戻れたのがうれしかったのか,著作権的に微妙な方向に爆走だ!
本当は女性にぱふぱふされたかった,と河内に文句をつけつつ手を伸ばす黒やん.麦藁帽子に赤いシャツ,そして伸びる手はやっぱりゴムゴムだよなぁ…(苦笑).前回のアレにわざわざ引き続いてやるなんてサンライズは余程集英社が好きでたまらないようですが,それを小学館原作のアニメでアピールしていいのか? 一応フォローするとすれば,黒やんが演じているのは手伸びマンなので,海賊なんかじゃないはずです.
黒柳の味覚を復活させるほどに素晴らしい和馬のじゃパン.ダシの旨みも見事な薩摩ぶし,発祥地の貫禄を見せつける芋焼酎,手延べされたことによってもちもちとなった特製生地.この旨さを黒やんは大絶賛して,割とあっさりパンタジア2勝目!
ちなみに黒やんの評価を分けたのは使用した地元素材の数.和馬たちがちゃんと複数集めてきたのに対し,劉さんは1種類しか使わなかったので負けましたとさ.それに,「焼きたて9」がパンの勝負である限り,生地に対し特段の工夫のないただの中華まんには勝ち目がなかった気もします.
ただし劉さんの中華まんは中華まんとしては最高級のものだから,と普段なら口にしない敗北者側のパンまで食いたがる,異様なテンションの黒やん.これは雷でリアクション回路が復旧したときに復旧しすぎたのか,あるいは錯乱したときに豚のエサなんか食ったのがまずかったのかは定かではありません.
本作の本来の面白さはバカなことを冷静に,覚めた目線でやるところであって,今回みたいに勢いだけで持っていくのはちょっと違うんじゃないか? ただし,直後のCMのタイミングは最高だったよ!とか讃えつつ,次回に続きます.

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アストロ球団#17

「明日はうずきの先にしかないの巻」

13対15,7回裏の二死満塁.球一との対決で限界を越えた球四郎の右手が死んだ.しかし超人は効き手がバカになった程度で試合を放棄することは許されないので,急ごしらえの左投手となった球四郎.球の荒れるピッチャーを支えるためにビクトリー守備陣も奮闘する.特にバロンは捨て身の守備で球四郎を支えるが,このプレイがまたも悲劇的な結末を導く.起死回生の同点ホームランを放ったバロンはホームに戻ったのと同時に倒れた.ここまでビクトリーの連中を叱咤激励してくれた頼もしい男は,球四郎の懇願も聞かずに黄泉路へと旅立つ.

長い長い激戦もついに終盤.クライマックスへと達する「アストロ」.その終わりを飾るかのように,病院送り程度は普通で死者まで出ちゃってる壮絶すぎる戦いに,更なる血の花が捧げられることになります.視聴者に大きなインパクトを与えるには「死」というのは実に効果のある要素・状況ではあるんだけど,そしてそれがたかが野球の試合で連発されるところが本作の最高の醍醐味でもあるのだけれど!…でも,本当にそれでいいんだろうか? バロンほどの漢をこんなことで失うだなんて,そんな贅沢なことを許してもいいのか?

前半はやや光が見えたと思ったらやっぱり暗転.前回ラストで無理させまくった右腕がやっぱりぶっ壊れた球四郎.いくら天才でも相手が全員超人で,息抜く暇が一切ないというのは相当に厳しかったようです.包帯の下の右腕ではブス色のボロ雑巾のように変わっていて,もはや痛みすら感じない.普通の選手ならとっくの前に担架で運び出されるところなんだけど,超人にそんな甘いことは許されない! 超人が退場する時は,少なくとも意識が混濁してなけりゃいけません(笑).
球一は苦しむ球四郎に球を投げ,まだお前には左手があると諭す.そしてこの程度で挫折するようでは,これまで完全燃焼して燃え尽きて行った仲間たちに示しがつかないと….血染めのボールに込められてきた氏家の青春や球五の真剣勝負の精神,ダイナマイト拳が球四郎に寄せた殉心に,球三郎が見せた自己犠牲の姿,そして…大門の悔恨と贖罪.全ては未だボールの中に渦巻いている.
敵の喝によって持ち直した球四郎は,慣れぬ左手で凄まじい球を投げる! なんせ急ごしらえなので球は荒れまくるものの,ようやく真の仲間となったビクトリー守備陣がフォローしてくれます.孤高の男がついに仲間に頼るようになったということで球四郎はまさにツンデレであり(笑),そんな彼の魅力に心揺るがされたチームメイトたちも頑張る.特にすっかりオカマの仮面をかなぐり捨てたバロンに至っては,球六の打球をベンチに転がり込んでまでキャッチしてアウトにするというファインプレー.…ただし,この1つのアウトを得るために,バロンはとんでもない代償を支払うことになります.
8回裏.安定しない急造の左投手・球四郎のために1アウト満塁で打順は球一.試合終盤の両チームの激突をテレビで見守っているのは…峠会長とシュウロ.可愛い孫の人間的成長のために,峠会長が旧知のシュウロと組んで超人どもを真正面からぶっつけたことが明らかに.川上監督と峠会長のタッグがシュウロに挑んでいたのかと思ったら,実際は峠会長とシュウロが沢村の妄執を継ぐグルだったわけですね.まあ,そんなことはともかくとして,シュウロは監督なんだからそこでのんびりしてないで今すぐ帰れ(苦笑)! こんな喰えないおっさん2人にダシにされた川上監督が大変可哀想な気がしてきました….
球一が逆転の1打を放って9回表は15対16のアストロリード.最終回に挑む一同はもちろんぼろぼろ.ここで延長なんかになってしまうと,たぶん両チームとも全員死ぬんじゃないか(苦笑).そんな中でも最も死に接近しているのがさっきファインプレーを見せたバロン.確かに超人から勝利をもぎ取るためには命を賭ける必要があり,仲間たちも本当に死んでいったのは間違いないけれど,彼の進む道が黄泉路となってしまうからやりきれない.それでも逆転の花道を作ることに命を賭けたのは,球四郎に心底惚れていたからなんだろうなぁ….
アストロ超人側もすっかり限界に達しているものの,気合の残っている球一の球はバロンのスイングよりも速い.超人の限界は彼らが死に絶えるとき.それまではのたうち回って勝利を追及する精神こそアストロガッツというもので.そんな度を越えた野球バカに勝負を挑んだバロンの打球は空高く舞い上がり.球七が不死鳥となって宙に舞っても届かない! 折角球団歌をバックに飛んだのに,鉄壁を誇ったこの壁もすっかりインフレーションに置いていかれてます.何か新しい守備技を編み出さないと,次の試合からはここに立たせてもらえないかもしれないぞ?
見事なホームランで3塁までをぐるりと回ったバロンは…ホーム直前で止まる.あと1歩で球四郎のキスが待っているのに,鼻と口から溢れ出す鮮血! さっきベンチにつっこんだ段階で打ち所が相当悪かったバロンは,そのまま大門が既に去った道を後追いすることに.もちろん立て続けに師匠的存在を失いそうな球四郎は大慌て.死ぬことは許さんという最高の言葉で引きとめようとするけれど,超人でないバロンに力は既にない.
常に1番を目指してきた理論家のバロン.しかしその追求も天然の超人である球四郎には叶わなかった.生まれ持った才能は残酷で,仕方なくバロンは頂点の熱気を観察することに人生の目標を切り替えた.…精神的に未熟な大将を観察しているうちに,彼を導くことに面白さを感じるようになって…今.
バロンが最後に指導するのは,己の生まれを肯定すること.他の人々よりも恵まれた能力を持っているからこそ,ある特定の人生を歩まねばならないのを認めるということ.敷かれたレールを否定することで力を奮ってきた球四郎だけれど,彼が本当の力を発揮できる場所はレールに乗った先にしかない.呪われた痣の誘いに従って自分のために人生を歩めと激励して,ついに2人目が最後の時を迎えます.
目の前が真っ暗になったバロンが詠んだ辞世の句.「露と落ち露と消えにし我が身かなみやこのことは夢のまた夢」ただし大部分盗作とこんなときでもユーモアを忘れないバロンの逝きっぷりはたまらなくかっこ良く,しかしそんな面白さも絶命という事実を和らげるどころか,むしろその悲しさを煽るだけ.球四郎がいくら頼んだって時はもう戻らない.一人の超人を目覚めさせるために,2人目の貴重な命が失われます,

後半.9回裏.大門が死のうとバロンが死のうと試合中断なしというのが超人野球の忌まわしいたしなみ.警察は一体何をやってるんでしょうか.野球しか能のないアストロ超人にとって敗北はすなわち存在そのものを否定されること.対して一流のハグレ者を率いた球四郎にとっても,多大なる犠牲に報いるには勝利しかない.互いに意気あがるこのクライマックスに水を差してくれるのが…残る1人! 最後の打席,折角の絶好球を痣のうずきで邪魔されるなんて,球八は実に気の毒です(苦笑).
アストロ超人たちの痣は9番目が同じ球場にいることによって激しく反応.とはいえもうすぐ決着がつく(か延長で全員が死ぬ)という瀬尾際に9人目にしゃしゃり出てこられても困るわけで,新戦力を押し付けあうアストロとビクトリーは男気溢れてるんだか何なんだか.何はともあれこのドームに9人揃ったことを喜ぶ祟神・沢村は己の像に雷を落とし,それがきっかけとなって全員のうずきが止まったのでプレーを再開.明らかに荒神である沢村を鎮めるためにシュウロが必死に悲願を叶えようとした気持ちはわからないでもないですが,…だったらとっととベンチに戻れ.今すぐ戻れ.
続くバッターは兄の球七.左打席に立って走る距離をわずかでも短くし,球二のヒットで進塁するときにもサーカスでの経験を生かして大回転進塁.球三郎のバントは今最も機動力の落ちている球四郎に処理させることによって塁をさらにせしめて1アウト満塁.そして続くのは…球一だ! ここでやらねば男がすたる.最後のエース対決だ!
気合の入った2人の勝負,意地の張り合いに競り勝ったのは球四郎.なんせ死人2人に再起不能2人を背負っているので球一とは背後霊の量が違います.
同点・9回裏2アウト満塁.そんな晴れ舞台に戻ってきたのは…再起不能のはずが無理やり起きてきた球五! 中盤からのいいところはずーっと寝ていたために一切噛めなかった気の毒な男が,ここに至って雰囲気も読まずに復帰です! …今となっては球九郎と似たようなもんじゃねえのかと思えてしまったりするわけですが(笑)ご本人がまだ自分は燃え尽きていないとさわやかにおっしゃるもんだから仕方がない.直前の対戦で燃え尽きかけた球四郎に対し,雰囲気の読めてない球五はどんな形でとどめを刺すのか.試合の結果はいかに! …次回,最終回に続きます!

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金色のガッシュベル#135

「笑顔のために意地を張ろうの巻」

ザルチムとウォンレイによって分断されたガッシュたち.アリシエたちを肝臓に置き去りにして,ガッシュ・ウマゴン・モモンの3組は血管通路よりファウードを魔界に帰すための手掛かりがある部屋を目指す.けれど,魔物の気配に敏感なモモンは弱虫の嘘つきで,手掛かりとなる大きな魔物の気配から逃げようとするばかり.そんなモモンを涙ながらに叱る,パートナーのエル.散々逃げてきたモモンが役に立てるのは今しかない,勇気を出すのだと説得する.

たった3組で巨大な体内の探索を続行する「ガッシュ」.前回クライマックスのシリアスな余韻を崩さぬように,割と真面目に展開します.今年度に入ってからCMのタイミングから作画の品質まで様々なものに改良が加えられた本作ですが,キッズ向けの長期シリーズだからこそ,3話1ユニットを基本として小エピソードを完結させるという方針もその1つ.今回は新エピソードの初回ということで,原作から主に愉快な部分をさくっと削ぎ落として展開します.前回ラストの余韻をそのまま生かすにはこの構成が正解で,特に後半でのモモンの頑張りは心に染みます.

アリシエとリーヤを盾として,ガッシュ以下計6名は肝臓から血管通路へと脱出.もちろん味方を見殺しにしたのではなく,最良の結末を向かえるためにやむをえず前進したということは仲間なら皆知っている…もちろん,ウォンレイも.リィエンのことさえなければ裏切るはずもなかった彼だからこそ,捕らわれても闘志を失わない仲間の心はよくわかる.けれど,ウォンレイには弱ったリィエンを死なせることだけは決してできない.その覚悟は堅く,悲壮です.
ザルチムたちの手に落ちたのはティオ組,キャンチョメ組と倒れたリーヤ組.いかにも弱そうでも封印を解くための力になるかもしれないからと生かされるのはありがたい話なので,「うんこったれ」とか連呼して無駄にヒートアップしちゃだめですよ.特にティオ(苦笑).ここは全力で休息して心の力の回復を待つのが大切.回復役が本当に役に立つのは,きっとこの先でしょうからね.
一方,戦略的撤退を継続するガッシュたちは血管に沿った細い通路を徒歩にて移動.肝臓で吸収されたエネルギーが運ばれる血管の脇道は,ファウードの全身を巡っているので実に便利.ウマゴンの呪文の効果も消えたので,彼らは細く長い通路をひたすら進んで行きます.ファウード内を直立した人体内部と主に同構造と考えれば,ちょっとした山越え並みの高低差を越えなければならないはずなので探索者にとってはかなり厳しいはず.さすがに気圧差まではないようで何より.
ここで目指す場所に導いてくれる指針こそが魔物の気配に敏感なモモン.ただしここまでの色々で,特に怒りもせずに嘘つきモモンの指さす方向とは逆向きを選ぶ清麿が実にクールだ.ファウードを魔界に帰す機構は敵にとっても重要のはずで,そのヒントを得られそうな場所は強い魔物が守護している可能性が高い.そしてモモンは強く魔物のいる方向は怖いので指ささない上に嘘をつくと鼻の下が伸びるので(笑)清麿は確実に強い魔物のいる部屋を目指せる,というわけです.特にツッコミもせずそのまま利用しているのは,やっぱり省エネだよね.
ただし2択3択なら嘘を確認するのも楽だけれど,ガッシュたちが次に入った場所は血管が集中している場所.さらに彼らにはいちいち確認している時間はなくてどうしよう,というときに愛の鞭をふるったのがエル! モモンの頬にビンタをかまし,このどうしようもない魔物に渾身のお説教を食らわせます.
これまで魔物とろくに闘ったこともない彼女にとって,ここ数日のあまりに無茶苦茶な大冒険の連続は当然どうしようもなく怖いはず.けれど,それでも必死で弱虫を叱ります.ここにいる誰だって,でかい魔物や強大な敵が怖くないわけがない.しかしそれ以上に,何の罪もない人たちが死んでしまったり,ファウードが動き出して人間界を蹂躙することのほうが恐ろしい.今は逃げることのほうが逃げないことよりも怖いから,アリシエのように勇気を出しなさいと諭すのです.「逃げることは,今までもう,散々やってきたでしょう?」
…全てを救うためには,今モモンが怖い方向へと導かねばならない.怖いのは誰だって一緒.でも皆を助けられるのはモモンしかいない.だから「わかったよ,エル」と涙を流してモモン改悛.ようやくこのチームのために動くことを決意してくれます.…という大変に良いシーンなのでモモンが喋ったことにツッコミ入れてる場合じゃないですよ.折角の見せ場が台無しじゃないですか(苦笑).
時は無情に進んで既に夕方.翌日の朝にはファウードが目覚めるということで,それを狙ってここまで頑張ったリオウにとっても正念場の一夜が訪れます.ただしガッシュたちのおかげで貴重な力を直前で失ってしまったのは手痛い.一応ティオたちはリオウ側の手に落ちたけれど,どう考えてもあの2人の魔物にそんな凄い力があるとは思えないもんなぁ.可能性があるとすればティオの怨念ぶつけ技だけど,ウォンレイがいるとやりにくそうだ.ましてや嫌がらせ専門のパピプリオが役に立つわけもないし….ところでそこのお2人さん,精神的に,そして衛生的にも大変ヤバイものの真下でお弁当喰っていませんか(笑)?

さて,チームのために頑張るモモンは怖くても魔物の気配のある方向へと先導.決してパピプリオたちが待ち構えているとある門の方向ではなく,ファウードを帰すために必要な情報を得ることができる,重要な部屋へと到達することに成功します! 巨大な魔物が規則正しく臓器を叩くファウードの心臓.いかにもヒントがありそうな重要な部屋に来ることができて大喜びする一同.特にモモンは,よくぞ絶え間ない恐怖に打ち勝ってくれました.
心臓をぶっ叩く巨大な魔物のじいさん.ファウードの中心で重要な役目を果たしてるんだからそれなりに事情を知っているのかと思ったら,…まあ,ウンコティンティンと似たようなもんでそう賢くはない(苦笑).とはいえ情報を求めている今の清麿にとってどんな些細なことも重要.心臓のじいさんはファウードを魔界に帰す装置の場所なんか知らないどころか,魔界からの移動も知らないことだって情報には違いない.
ファウードのコントロールルームがやっぱり脳味噌であることはわかったけれど,しかしそこへの行き方なんか心臓叩き係にわかるわけがない! …実に「あの爺さん,役に立たん」であり努力するキャラを決して甘やかさない見事な展開なわけですが(笑)それでも諦めない主役にはちゃんとした報いがあるものです.諦めないガッシュの尋ねに心臓が教えてくれたのが,すぐ近くにある背骨のモニター室.ひたすら探していた情報の宝庫に,ガッシュたちはついに到達します.
神経の集中する背骨にあった,全身の状況を把握できるモニタールーム.怪我したときのために恐らく清麿は未だに医学書を読み続けているはずですが,その成果はここでも生かされます.ファウードが人体に近い構造であり,かつ清麿が人体構造をよく把握しているからこそ,文字の読めない内部構造図も楽に把握し記憶することができるわけです.経路図からはコントロールルームのある脳への途中に壁があることがわかりますが,清麿が本当に探していたのは脳への通路じゃない.さすが追い詰められているだけあって,ときどき天才かどうか怪しい清麿の頭脳も絶好調.
清麿が探しているのは現在のエネルギー供給図.心臓のじいさんが移動したことを知らなかったということは,移動させるための装置は後づけされたものだろう.しかし移動には大量のエネルギーが必要だから,構造図にないエネルギーの集中部分こそ移動装置の在処に違いない! ちょうど移動装置を人体に発生した腫瘍のように考えたわけですね.しかし,らしくない見事な頭脳プレーを見せた清麿にはついに限界が訪れます.
移動装置の場所をモモンに記憶させて案内してもらうことはできそうだから,可能ならば今すぐにでもその装置のところに向かいたい.…しかしここまでの30時間,肉体と精神の両面で消耗しきった清麿は限界.ガッシュのカリスマに支えられていても,このグループの実質のリーダーは清麿.ただの少年が大人数の生死を無理やり背負ってきたわけですからね.モモンはそんな限界のリーダーや仲間たちに10分ぐらい休んでくれと心遣いして…いかにも彼らの仲間らしく,見事に意地を張ってみせます.
長い坂道をたった一人で,ここまでひたすら逃げてきた分を取り戻すかのように,モモンは眠っている仲間たちを小さな体で全て背負って上っていきます.気の遠くなるような長い長い階段は,やっぱりこの魔物をつくった魔物たちが利用したものなんだろうか.自分の弱さを内心謝り,それでもエルが大好きだと独白するモモン.魔物とパートナーの間に築かれる絆は様々な形をしていますが,このペアの場合はエロガキとお母さんって感じなのか.悪い子だって母の泣き顔は見たくないし…「笑ってくれたら,うれしいな」.
けれどさすがに5人を一人で運ぶのは大変で,バランスを崩してしまうモモンを支えてくれたのは…ガッシュとウマゴン! 一足早く目覚めた2人は,一生懸命頑張っていたモモンをしっかり支えてくれます.こんなうれしい仲間の手だって,逃げてしまえばきっと手にできなかったものに違いない.
3人の魔物の頑張りで一同はついに目指す場所に到着.けれどその中からは強大な魔物2体の気配が….出会う相手を言葉と信念で魅了して引き込むのもまた1つの戦いであるわけですが,扉の向こうの相手はそれが通用する相手かどうか.そして,今は眠る頭脳担当の本領が発揮されるのも実はここから先! 次回に続きます.

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ボボボーボ・ボーボボ#77

「そのまま真っ直ぐ突き抜けろ!の巻」

ハイドレート率いる裏マルガリータの魔手は,封印からの解放を求めて地上の真拳使いをかき集めようとしている.ボーボボと戦う3ぶくろは闇皇帝の力を受けてパワーアップ.3ぶくろ2へと姿を変えた.その適当な見た目に反して3ぶくろ2の闇の力はなかなか強く,しかも先に城に入った裏マルガリータの連中が生贄盤に真拳使いを次々埋め込んでいるから時間もない.一気に勝負を決めようとしたボーボボは結果的に田楽と融合.マジカルガール・スーパー田ボが登場する.
むしろ別番組の方が似合いなほどにキュートな田ボ.しかしその半分は極悪非道のボーボボだ.ドリーム絵本パラダイスに3ぶくろ2とついでに首領パッチと天の助を招いた彼女は,次々に難題を繰り出して3人を苦しめる.最終問題は似顔絵ロジック.これは田ボに新たなる力を与えるための試練だった.手にいれた新超絶奥義で3ぶくろ2を倒す田ボ.さすが半分はボーボボだけのことはあり,敵にも味方にもまったく容赦がない.

長い長いバカ騒ぎもついに終着点…なんだけど最後までオーバーランしちゃう暴走機関車「ボーボボ」.理解できるものだけに開かれた笑いの殿堂もついにお開き.あの原作をここまで愉快にアニメ化したその力量は,ギャグアニメの歴史に何か凄いものをを残したはずなんですが,実際に何を残したのかについては後世の評価を待ちたいし,実際に待つ価値のある快作ではないかと思います.
最終回くらいは,どうしようもなくハジケたサブキャラと毎週のように登場する濃すぎる敵を相手にしてもかろうじて(笑)埋もれなかった主役・ボーボボの万能相方ぶりを称えたい.全員のボケるきっかけを作りつつ自身もボケるというテンションだけではできない難しい役柄を見事に演じた子安氏がいなければ,本作はここまでの完成度を得る前に力つきていたに違いない! ボーボボ,これまで本当にありがとう! 好きなのは天の助だけれど!(笑)

最終回のアバンは世界中のラブコールに答えて帰ってきた僕たちの天使…かと思ったら実際は田ボのふりした首領パッチ.あまりの無理ぶりに「誰だよ」とツッコむビュティさんの可憐な職人ぶりも今回限りと思うと寂しい限り.
田ボのふりした首領パッチは急激に落ちるナックルカーブシンカースライドフォークという魔球であったために田楽のバットを逃れるものの,下でホームベースになっていた天の助には吹っ飛ばされる.でも人も死なないし血も出ないからいいや(笑).そして続けて登場する真のアイドル…サービスマン.この下品な芸も今回で見納めと思ってもやっぱり腹立たしいのですがどうしたらいいですか?

前半.12人の真拳使いを生贄に,闇の世界から解き放たれることを狙うハイドレート率いる裏マルガリータ.とはいえその闇の手先を順調に片付けているのが我らがボーボボ.3ぶくろはついに残り1つ,西村知道ことタコチュー袋のみ.そんなボーボボ大活躍な状況を台無し画で妨害するのが首領パッチ.たぶんこの先主役になれないゆえの嫌がらせだと思いますが,最終回くらい我慢しとけよ(苦笑).
ハロンオニに続いて闇拳を差し出し,闇皇帝の力を分けてもらう3ぶくろ.田楽や天の助がまぜっ返しているけどそれはまあどうでもいいとして,闇継承の儀は見事に成って3ぶくろは3ぶくろ2に変身!…これまたずいぶんとシンプルなお姿に(笑).原作の荒れた絵だと確かに手抜きだったけど,アニメは下手に絵が整っているから,普通にシンプルなデザインに見えかねないのがもったいないなぁ.
そしてただの手抜きに対し異様なプレッシャーを受けるボーボボたち.3ぶくろ2のフォルムは全人類に長期戦を予感させる.そう,作者に物語を紡ぐ力があるならば,たとえ鉛筆書きだったとしても!背景が真っ白だったとしてもコミケ休載したとしても連載は続くんだ.恐ろしいことに!
お前時間ないんだろ的な適当デザインの口から来るのは,コネクティック・タイプS-308改ディストラクションA,という仰々しいけど要するにビーム.コケ脅しとしてスルーすることも可能なんですが,笑いとして盛り上がらないので強いということにしてみるボーボボたち.例えるならば…というダメージランキングでさらに笑いを取るつもり.例えるならばTVのリモコン権剥奪とかぬはぬ波の間くらいに,あるいはこんにゃくくらいにと一応順序のあるボーボボたちに比べると,首領パッチの比喩はレベルが違う.ともかく喉笛の「天ぷら」…ってさすがはおやびんでレベル高すぎ.ボーボボたちの回答をフリとして扱う手慣れたテクニックはさすがは弟子持ちのベテラン.素晴らしい.
そんなわけで折角のネタ披露の機会ではありますが,いつまでも3ぶくろ2と遊んでいるわけにもいきません.なんせ他の真拳使いはあっという間に闇のとりこに.文字盤は4時まで埋まってしまいます.このままではいいところが見せられないと悟った主役は魅惑のフュージョンで己の凄さを見せつけることを決意.この素敵な見せ場を攻撃側としてご一緒できるのはたったの一人.今回は変な化粧に魚を添えた田楽が出陣し,お久しぶりの田ボさん登場!

マジカルガール・スーパー田ボさんは本作中でも最強キャラの一人.別番組に行ったほうが良さそうな素敵なキュートさと,他人の言うことをまるで聞かない傍若無人唯我独尊ぶりでおなじみです.そんな彼女の放つ鼻毛真拳超絶マル秘奥義・田ボのドリーム絵本パラダイスは絵本の世界を体験できるということで実に彼女のらしいファンシーな技なわけですが…田ボの半分はやっぱりボーボボなので,例えばボーボボに人の一生とか1週間とかすごろくとかに巻き込まれたのと一緒.巻き込まれたものは味方だろうと誰であろうと,フィニッシュまで好きなように嬲られます(苦笑).
田ボの絵本,「ものおもう田ボちゃんの傷心旅行」は最初から子供を置いて行くアダルトなコンセプト.そんな悲しい夢世界の水先案内人を首領パッチと天の助が強制参加で務めます.芸人に特定テーマの面白コーナーを連続でぶつけるわけだから当然ボーボボチームからの参加者も必要なんだけど…他人事ながら,あんなドSの企画に巻き込まれるなんて大変に気の毒(苦笑).
早速絵本の中で旅に出た田ボの前にはややこしい迷路が.これは絵本というよりゲームブック.実際に原作もゲームブックになっていて,掲載紙がとても楽しいことになってたんだよな(笑).しかも制限時間は2秒で強制的に罰ゲーム発動.デフォルメ変形して愛らしいとはいえ凶悪極まりない田ボがアタックをかけてくるから参加者はやりきれない.下手に可愛いから反抗だってしにくいし…..
本の中の探索者の苦境はまだまだ続く.今度は森の中で迷子になった田ボを救うための迷路登場.熊に会わないように出なきゃいけないけれどむしろ熊のほうがマシというベタな展開.邪神とかルシファーとか魔人ブーとか,東映的にも精一杯の大冒険が展開しております(笑).しかも折角ゴールしたって田ボさんのやりたい放題は止まらない!
次の難関はお弁当を取ったわんちゃん探し.…あの田ボさんから弁当を取り上げるなど並の犬には絶対無理なわけだから,実際に犬が木の幹で隠行してても仕方ないよね(笑)! 回答者のふがいなさに泣きたい田ボさんですが,むしろ回答者の方が一杯一杯にも見えるけど…でも,あの程度の裏が読めなかったんだから仕方がないよね(笑)!
このままでは殺されると察した3ぶくろ2と首領パッチと天の助の間には呉越同舟のチームワークが成立.大変に前衛的なスタイルの田ボさんを使った間違い探しは3人がかりで見事にクリア! そして,生き延びることに必死な人外たちの必死の努力に「ちっ」と舌打ちする田ボ.ここはちゃんと失敗してもらわなきゃ,折角与えてやっている生と死の間を漂う仕打ちに対するリアクションを取る機会がなくなるじゃないですか(笑).
見た目はともかく,確かに半分はボーボボでできているからその責めには容赦のない田ボ女王様.3人の下僕の悪戦苦闘の末にたどり着いた彼女が出会ったのは誰!という最終難関の大きな似顔絵ロジック! 原作でも丸々1ページ使ってやらかしたわけですが,アニメでもそのまんまやっちゃった(笑).最後の責苦を避けるべく,ドンパッチと天の助のバカ2人がこれを必死で解くものの,横からずるい3ぶくろ2が回答を奪って田ボに提出.しかしそんなズルが認められるわけないというか,そもそも田ボさんのプレイから逃れることができるわけないというか….
ここまでの絵本こそが封印の鍵,それを下僕どもに解かせたことにより,田ボ女王様はご褒美として新たなる力をいただきます.新必殺技・鼻毛真拳新超絶奥義,エメラルド・ハートは当然のように功労者のはずの3ぶくろ2を倒す.下僕にとって綺麗な女王様にいたぶられるのは最高の悦楽のはずなので,彼もきっと満足に違いありません.たとえその女王様の半分が男で半分は犬であったとしても(笑)!

後半.悶絶プレイで3ぶくろ2を仕留めたボーボボたち.しかし闇の魔の手は勤勉であり,例の真拳集めの時計は既に6時へ.瞬く間に侵攻する裏の魔手にはとんでもない追い風が吹いてます.天の助とハンペンの食バトルとかはもうどうでもよく,あっという間に文字盤が埋まっていく方が大変だ.ついに時計は11時となり,封印を解くにはあと1人という大ピンチ.ボーボボたちは最終決戦の舞台となる城内に入ります…ピザ屋として! キザとして! 出張ホストとして(笑)! 何というか,こんなときまで本当によくやる奴らです(苦笑).
必要な真拳使いはあと1人…というところで大ピンチなのが軍艦.本作の初期のボスであった彼もまた真拳使いなわけですが,現在の存在感の薄さ軽さを示すかのごとくその声は聞こえぬほどのささやきに.真拳使いどもを血祭りに上げまくったのはもちろん闇マルガリータ四天王の残る2人なので,一番悪いのはあのときマニア心に負けてバッチをやってしまった首領パッチと確定(笑).
封印解除の残る1人として持っていかれそうになる軍艦.それを防ぐべく投入された身代わりがブタの花子で,ボーボボのおかげで入替成功.しかしこのブタは予想外の実力者であり,「使え!俺のオーラ!」とかっこよくその秘められた力を解放しちゃったもんだから封印の文字盤がここに完成!
地の底より…つくし召還! 天の助召還! そして,真打である巨大なる浮遊城・ヤミキング召還! 折角のボーボボたちのここまでの努力もすごいスピードで無駄になりつつ闇皇帝再来.状況は転がるように…どころか崖から落ちるように悪化していきますが,声だって凄い超豪華なラスボスの登場からこの先の凄いバトルを思えば誰だって心が躍るはず! ちなみに「△○□-!」は横書きだと大変説明がしずらいです(笑).
時を経て表の舞台に戻ってきた闇皇帝とその僕と居城.しかもこの城は生きているからハイドレートと動く城.不気味と言われれば花を差し出す程度の自意識まであるわけですが,相手は自分の姿におびえる少女ではなくボーボボさんなので(笑)返答にバズーカを食らいましたとさ.本作にとって友情なんてものは前フリでありトッピングに過ぎない.ふざけながらもギャグ以外の全てをダシにして切り捨てる本作の本質は,どこまでもクールでドライです.
封印を解くために囚われた真拳持ちの12人はエネルギーをほぼ吸い取られたダシガラ状態.キャラそのものが大変にゆるーい感じとなっております(苦笑).あまりにほわほわで誰だかわからんダシガラはうっとうしいだけだし,本来のラスボスであるツルリーナ4世に至っては既に逃亡しているわけですが(笑)何はともあれ,自分たちより目立って暴れているハイドレートたちを主役は許すことができません!
ハイドレートの復活を祝う曇天に上るアドバルーン.その上には3バカ見参! 世界を闇から守ろうとする彼らの主張は「ぎょうざ食え」.…それは今わざわざここで訴えるようなメッセージか(苦笑)? もちろんこの薄っぺらい主張は大失敗で,早速ラスボスに握りつぶされるかと思ったら,彼はバナナだったのでつるりと滑って逃げました! なんでバナナがぎょうざ食えを訴えたのかはよくわかりませんが,流行の食物ネタに乗りたかったという説が有望です.
ラスボスが好き勝手に暴れたことにボーボボの中のアレキサンダーさんはかんかんで,そしてアレキサンダーさんの怒りはボーボボの怒り! アレキサンダーさんの存在価値は不明! ボーボボは天の助の中から奇跡の大脱出を遂げ,とりあえずハイドレートぶっ潰すと改めて宣言.そして,そんな主役のところに集まってくる頼もしい仲間とかつてのライバルたち.…まあ,中には頼りにならなさそうなのも混じっているものの,たとえどんな格下でも生きている使い捨ての盾としては使えるんだからそんなに露骨に嫌がっちゃだめですよボーボボさん(笑).
なぜかカンピョーさんをリーダーとして結成される闇対抗組織.ここまでボーボボたちの前に立ちふさがってきた最強の男たちも同じ敵を前にしてついにあっさり手を結ぶ! 軍艦のリーゼントを架け橋に,最強の敵,ハイドレートの待つ浮遊城へ.そこで彼らを待つものとは…最終回!

西暦300X年.人類の毛の自由と平和を守るために立ち上がったボボボーボ・ボーボボ.実に長い間マルガリータ帝国最強軍団を散々もて遊んできた彼の冒険も,アニメではここでおしまいです.最初の頃はどうなることかと思いましたが(笑),素晴らしい底力を見せた制作スタッフの皆様方の尽力により,視聴者,特に幼児と小学生を熱狂させる素敵な作品に化けてくれました.結局やれるだけやりっぱなしで終わってしまうんだけど,「ボーボボ」なんだから別にいいよね.彼らはこれからもアニメ終了という枠すらもぶち破り,どこまでも人類の毛の自由と平和を守るべく前進していってくれるに違いない.世界をその手で救うまで,そのまま突っ走れ! 天の助(笑)!

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アストロ球団#16

「死が開く真の戦いの巻」

アストロとビクトリーのデスマッチ5回表.真実を知った大門はついにヌンチャクではなくバットを握った.超人球三郎の兄,戦いの天才が挑む真っ向勝負に対し,球一はアストロシフトで鉄壁の守備を敷く.けれど大門は消える魔球を打ち鉄壁をその底から抜いて美しいホームランを描いた.正々堂々の勝負に勝った大門は,ここまでの愚かな行為の責任を取るべく陰腹を切っており,最高の勝負を見せた直後に絶命していた.
己の罪を命とホームランで贖った大門の死に様に,敵味方の誰も,あの球四郎までもが感銘を受ける.力でも恐怖でもないもので,大門は両チームをさらに成長させる

漢の流す血と汗でいつも満杯でおなじみの「アストロ」ですが,今回でビクトリー戦最大の転機を迎えます.きっかけは前回後半で球六がぶっちゃけた伊集院家の真実.とんでもない思い違いをやらかしてしまった兄は弟の心も振り切って黄泉路へと爆走.いくら取り返しがつかなくても…逆に取り返しがつかないからこそ,そんな風に帳尻を合わせるのはどれだけ感動的でも間違っている.

前半.球四郎がアストロ潰しの目安としていた4回は終わって5回の表へ.最大の計算違いはアストロ超人の体が思った以上に丈夫だったことだろうか.超人全体によく効いたのは氏家の特攻くらいで,未だに球五以外は生きて動いているもんな.さらにそんなダーティプレイの原動力であった大門の心は球六のファイン暴露によってがたがたに.雰囲気をあえて読まない男・バロンの登場も手伝って,この場にはデスマッチの存在する余地が消えてしまったわけです.
そんな雰囲気の変化を如実に反映するのが大門の得物.おなじみのヌンチャクを置いてバットを握る! 反則上等のこの男には普通の野球道具はどうにも似合わないわけですが,デスマッチを否定し超野球をやろうとしていたアストロにとってはこれぞ思想の勝利の瞬間.喜びつつも「アストロシフト!」の一言で球一の背後に完成するすさまじい防御陣…なんだこの面白い画は(苦笑).
球八の頭上には球七が乗って長打対応,さらに1,2塁間は球三郎,2,3塁間を球六の分身でカバー.確かにこれができるなら9人はいらないかもなあというかむしろ不在の球五の立場がない(笑).こんな愉快な背景で男と男の掛値なしの勝負に挑む球一と大門.そして折角の愉快守備ですら,足元から見事に抜いてホームランとする大門渾身の打球! 折角の必殺守備が1球すら持たないというとんでもないインフレーションの末に大門の勝ち.しかし….
勝負には負けたものの思想面では大門を転ばせたために大勝利の球一は負けてもなおすがすがしく,「やられたぜ!」などと感嘆.己の打球の行方をじっと見て…呆然としているように見える大門.ビクトリー最強の武闘派がまともに野球をやったということで敵も味方もなんだかうれしい気分なわけですが,そんな雰囲気に赤い水が差されます.大門は…バッターボックスに立ったまま,死んでいる!
陰腹を切っていた大門.前回の球六の暴露によって己の罪に気づいてしまったこの男は,思想的な敗北と同時にその命までも断っていました.大門という男の存在意義と欲望と正当性を根こそぎぶっ壊されたことによって,生きる理由が失われたゆえの悲劇.アストロとビクトリーの両軍にとって衝撃的な転機が,もはや何も映さない大門の目から涙のこぼれた瞬間から,はじまります.
あのバロンですら茶化せない,仲間の死.その崇高な死に様に何も感じないのかといきなり球一は球四郎に呼びかけるけれど,それよりももっとちゃんと監視しとけとか医者を呼べとか,そういうことを言うべきじゃないか(苦笑). 球四郎も球四郎でそういう当たり前のところにはまったく頭が行っていないけど,球一の訴える大門の死に感じるもののほうはあるようです
ビクトリーのユニフォームと,陰腹を切った腹のあいだにおさまっていた血に濡れた詫び状.見えない球三郎の代理として,球七が涙ながらに文面を読み上げます.嫉妬と思い違いで父を殺め暗黒に足を踏み込み,犠牲者を出した罪を拭うために一命を奉じてお詫びする.勘違い男の命1つで全てが贖えるわけもないのにそれでも自刃を選ぶのは愚かな自己満足の極みであり!…それゆえに,悲しい.
憑き物と一緒に落とされて死んだ大門が血の滲む遺言に残したのは,あまりにも似合わないまともな言葉.球四郎には正々堂々と最後まで戦えと,球三郎へは兄として何もして…と詫びる言葉を.紅い紙に残されたその声こそが,デスマッチという一つの思想が完全に崩れた音でもありました.
血に染まって読めない詫び状も,そもそもその紙面すら読めない球三郎には自在に読める.最後に己の兄が戻ってきたことを深く感じ「満足したね」と弟自ら抱えて退場.球三郎の腕の中で,勝手な兄は静かに冷たくなっていきます.二十にしてはや心朽ちたり…と思っているのはお前だけだろうに,道ふさがると思ったのもお前だけだろうに.どうしてようやく咲いた花は実も残さずに散るのか.
自分で集めた選手達を駒として扱っている球四郎にとっても,武術の達人であった大門は特別な相手.完璧超人がそれなりの敬意を示したのは大門とバロンだけでしたからね.けれど負けず嫌いの球四郎は「挫折と敗北は何の教訓にもならん」と死者を愚弄し,思想の戦いに負けまいと必死.大門は自分自身に負けたのであり,デスマッチが負けたわけではないと懸命の抵抗を見せているあたりが既に負けているんだけどね.
逆に思想的には既に勝利しているアストロは球四郎のみっともない抵抗に激しく怒り,より一層の猛攻でビクトリーを揺さぶります.あっという間にビクトリー守備陣はぼろぼろに.それでも自説を曲げまいと必死の球四郎も,ここまで炎上してしまうと意地の張りようもありません.ビクトリーの連中だって,この期に及んで未だに自分たちを道具扱いする球四郎のことなんかいっそ裏切っちゃえばいいのに.
そんな往生際の悪すぎる球四郎に完璧なる止めを刺すのが,同じチームでありながらも違う思想で生きているバロン.普段の安定した精神状態ならここまで打ちこまれることはないに違いない球四郎をオカマ言葉で軽く揺さぶったあと,「意味もクソもあるかー!」とオカマな仮面を引き剥いで,球四郎の顔に拳を放とうとする! でも寸止め.球四郎は天才であるがゆえに察しも良く,殴らなきゃわからねえガキではない.だから,言葉を使ってもうアストロには通用しないデスマッチ思想の鎧を脱がせます.
球四郎も他のビクトリーの仲間達も,そして敵のアストロたちも同じ場所に同じ高さで立っていて,球四郎一人が高いところにいるわけではないこと.威厳と権威を振り回しても人はついてこないということ.バロンの教えは球四郎に敗北をはっきりと教えるもの.ここまでされてついに敗北を悟った球四郎は仲間達と同じ場所へと降り,ダブルプレーで走者を一掃.
大門の死は,アストロの1試合完全燃焼という思想の正しさの証,球四郎は数少ない友とも師とも呼べる男に敬意を表し,謹んでデスマッチを返上して試合を進めることとなります.…まあ,デスマッチを返上しても野球ではなく「超野球」なんだけど(苦笑).悔し紛れに死者に唾を吐きかけるような真似はやめ,対等の敵であるアストロを倒すためにも右腕に包帯を巻く.大門の死は,球四郎を大きく成長させる!

後半.勝つために包帯を巻いた右腕で剛球を投げる球四郎.アストロ超人でもかすりもしないようなファイナル大魔球が炸裂しながら7回へ.対するアストロはさすがにダメージの蓄積が表に出てきました.確かに新技とか打たれ強さとかを磨くのも大切だとは思うんですが,それ以上に基礎的な体力づくりをもっと頑張っておくべきだったんじゃないだろうか.相変わらず球一は後半はどんどん一杯一杯.さすがは1球ごとに球の軽くなる男です.
既に息も絶え絶えの球一の前に立つバッターは球四郎.でも,とうとう球一の球はキャッチャーの元に届かないほどにへろへろ球へと変化したので,備前長船を片手に球四郎はマウンドに登ります.しかし情けないと振り回したりすることはなく,わざわざ指先のしこりを日本刀で切り押してくれる.…これはありがたいような,むしろ素人治療じゃ危ないから女医さんのところでちゃんと処置を受けたほうがいいような(苦笑).
互いに完全燃焼することこそが,死んだ大門への一番の供養だと考えた両軍はあっという間にヒートアップ.特に無駄な球七のフライトは雰囲気に流されたんだろうけどやりすぎで,おかげでアキレス腱が切れました.気持ちはわからないではないけれど,やっぱしこれはダメだよなぁ….アストロは劣勢.バロンは見事な空中回転によって華麗に大逆転の3点をゲットし,球六のアンドロメダも包帯巻き球四郎の球の重さにはかなわない.
異様に重い球四郎の球はスピンボールの一種.投げている者の腕をぶっ壊しかねない恐ろしい球の前に立つのは球一.先に塁に出た仲間を返すため,ここ一番のジャコビニで球四郎に挑む! さすがは主役だけあって球四郎の球を打ち返すことには成功したんですが,バロンのその身を張ったフォローによって走者一掃には至らず満塁.…でも,やっぱりやってることが無茶すぎた.球一との対決で限界を越えた球四郎の右腕は…動かない!
13対15でビクトリーのリード.7回裏の二死満塁.ついにクライマックスを迎えるこの闘いは,一体どんな終幕に至るのか.そして試合終了までには,峠会長と和んでいるシュウロはちゃんと帰ってくるのか! 沢村の妄執に踊らされる青年達の明日はどっちだ.次回に続きます.

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12月上旬アニメ雑感

長かった秋もついに終わって急に寒くなってきた昨今,皆様いかがお過ごしですか? 自分は…通勤長いのってかなり辛いな(苦笑).電車2本を乗り継いで毎朝通っているんですが,事前にiPodビデオで録画を見る仕組みを作っておかなかったら今頃未見の海を漂っていたに違いありません.投入した金額はそれなりだったけど,長時間の電車移動のある暮らしには便利な仕組だったりしますので,ボーナスで一式どうぞ.

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久しぶりに,書いてないけど見ている番組について雑感を.

<日曜>
 ◎マイメロ
 ○エウレカ,Canvas2,ぱにぽに
 △はっぴいセブン

「マイメロ」は作り手の間違った方向への気合が素晴らしい.主に幼児と女の子の魂を掴んで離さないクリーチャー,萌えたい少年・青年どものニーズに的確に応える愛らしいキャラクター,そしてひねたマニアやいい大人の視聴に耐える不条理ギャグぶりと死角なし.波はありますが,あらゆる世代に楽しんでもらえる作品の正解例です(笑).「エウレカ」は良質なジュブナイルをなおも継続中.敷居の高い導入部分は表面的なかっこ良さで乗り越えさせて,大きく話が動き出したあとは内的なかっこ良さで引っ張るのと同時に,表面的なかっこ良さの無意味さを示していくんだな.「Canvas2」は,ともすれば軽くなりがちな内容を地に足をつけてじっくり描写してくれるのがうれしい.実写にも耐えると思う.「ぱにぽに」は楽しいけど情報量が,情報量が…(苦笑).「はっぴいセブン」はお約束の塊として堅調.性格違いを含めてキャラ数が多いけど,かなり書き分けは健闘しているんじゃないかな.

<月曜>
 ○うえき,ガンソード

「うえき」はバトルモノでは王道のトーナメント展開中.けれど大味な力押しで全てが決まるのではなく,適切で的確な組み合わせが勝利に繋がるところがいかにもサンデー原作らしくて楽しい.「ガンソード」はクライマックス間近.燃える要素はてんこもりでも,全体に流れる妙に醒めた雰囲気が邪魔して発火には至らない.それを押しが弱いと考えるのか,それとも本作なりの味と考えるのかは人それぞれかも.

<火曜>
 ◎カペタ
 ○アカギ,BLEACH,ガラスの仮面
 △アニ横,ガンパレ

「カペタ」面白い! 原作の繊細な絵柄をアニメに持ってきたところも結構凄かったんだけど,色がついて動くことによって原作よりも圧倒的にわかりやすくなってます.情が先行する原作がより客観的な方向に整理されているところも好ましい.「アカギ」は他作にはない圧倒的な熱さがいい.淡々としたようで熱いナレーションはお手本にしたいくらいだ.「BLEACH」は絶賛インフレ中.剣みたいなものによるバトル描写は見事な密度.ただしさすがはインフレ真っ最中で物語の停滞ぶりが気になる.「ガラスの仮面」は中盤をすっ飛ばして2人の王女編へ.ここはかなりの気合で描かれそうなので楽しみです.「アニ横」は毒にも薬にもならないところが素晴らしい.「ガンパレ」はやっぱり系列他作を知っていると見続けていられるんだけど,ないとあまりにも辛いなぁ.

<水曜>
 ○NARUTO,ARIA
 △シャナ,アイシールド21

「NARUTO」はアニメオリジナル.他愛ないお約束話が多いんだけど画や動きがいいので楽しい.この先に待つ因縁に満ちた本筋を中和するためにもこのくらいの明るさは必要のはず.「ARIA」は実に手堅く展開.ただし,完成度の比較的高い原作にアニメ制作側で手を入れすぎているような気もする.「シャナ」はいかにも今時のジュブナイルらしく,よくわからん用語がごろごろ出てきたり現実のすぐ裏側に非現実があったり.相当わかりやすく翻訳してくれてはいるんだけどね.「アイシールド」は原作はもっと先鋭的なんだけど,アニメでは懐かしさすら覚えるようなベタな描かれ方がされていて勿体無い.もっと繊細に尖ってくれたほうがいいのに.

<木曜>
 ○舞-乙HiME,ビィト,ソルティレイ
 △ローゼンメイデン

「舞-乙HiME」は高く安定.前作で見知った顔が前作やチャンピオンとは違う役を演じているのが面白い.はちきれそうな足が可愛い….「ビィト」は実は凄く面白くなってるんだけど,この面白味を共有してくれる人はいるのだろうか(苦笑).新キャラもようやく旧メンバーになじんできていい感じ.「ソルティレイ」は尻上がりに良くなっているどころか安定しはじめたからびっくり.てっきり腰砕けるかと思ってたんだけど,この安定感はAICの力なのか? 「ローゼンメイデン」は美麗な作画とキャラの魅力が素晴らしい.話をどう落としていくのかで最終評価が決まるなぁ.

<金曜>
 △ケロロ軍曹

「ケロロ」は相変わらず揺るぎもしないほどに安定.ここまでキャラが見事にこなれると,何年だって作り続けていけそうな気がする.

<土曜>
 ◎蟲師,
 ○銀盤カレイドスコープ
 △武龍,シュガシュガルーン,ふたご姫

「蟲師」は気合の篭った原作の再現が見事.ただしあまりに見事すぎて寸分違わぬあたりが大問題.原作読んでしまうとそれでいいやと満足してしまいかねないってどうだろう.「カレイド」は相変わらず毎回面白くなり続けているのが凄いや.キャラの魅力もたっぷりでとても楽しい.「武龍」は何よりもプロレスに対する敬意が物凄くうれしく(笑)そして声優の熱演が素晴らしい.「シュガルン」は特段の破綻もなく安定.学園モノの醍醐味であるクラスメイトたちのキャラ立ちも順調.「ふたご姫」は手堅い迷走.結構とんでもない展開のはずなんだけど,ベースのテンションが割と低いせいで大暴走に見えないのが勿体無いかも….

とりあえずこんな感じ.落ち着いて感想を書く時間が欲しいなぁ.

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アストロ球団#15

「優しい嘘は破られての巻」

アストロ対ビクトリーのデスマッチは続く.球五が敵の罠にはまって戦線離脱.猛るアストロは野球道を外れかけるものの,球八の叫びがそれを引き戻した.ビクトリーの陣営にも大きな動きがあり,ダイナマイト拳の代わりにバロン森が入る.自己愛と耽美な雰囲気に満ちた優男の加入に動揺するビクトリーだが,彼の目や頭脳は球四郎も認める超一流のものだ.
大門との真っ向勝負を避けた球一.しかし続く球四郎に見事に打ち取られてしまう.一挙に4点を奪われたその裏,球三郎は純白のユニフォームで兄との最後の勝負に挑む.

ここまでの血塗られたデスマッチに大きな転機が訪れる「アストロ」.ビクトリーを率いる球四郎の意向でここまで殺し合い風味が大変に強かったわけですが,前回の球八の叫びがきっかけとなったかのようにトンデモ野球方向へと路線が修正されていくことになります.その流れを加速させるのは新規参入のバロン森の実に楽しそうな大サービスぶりと,球六が暴露する事の真相.…特に後者は,ここまでの因縁の1つを完全に終結させるもの.真実にはそれほどの力があります.

前半.妄執を昇華させて記憶喪失になる奴が出たり次々に女医さん送りになる奴が出たり,精神と肉体の両面に厳しい戦場に登場する新キャラクター.金髪をなびかせたオネエ言葉の耽美極まりない美青年,バロン森.今アストロドームにいる選手どもは球五を除いてどいつもこいつも正常ではないわけですが,これまた極端すぎる奴を呼び込んだもんだなぁ…(苦笑).スカウトマン球四郎の慧眼に感服したいところです.
花も咲かないどころか死臭漂う荒野に飛び込み,値がつけられないほどの生き方を模索するべく登場した華麗なる男の第一印象は…もちろん「気持ち悪い」で敵も味方も全員一致.汗血生臭いとビクトリーのベンチに香水を撒き散らしたり,余程自信があるのか公衆の面前で全裸を颯爽と披露しまくったりと大暴れのバロン役の役者根性が素晴らしい(笑).そんな新たなるチームメイトの爆走ぶりに,汗と血の中で生きている大門はさすがに閉口しています.
ただしあの球四郎が見込んだ男だけのことはあるので,バロンを舐めてはいけません.「投げてちょうだい!」とか言うし球一の球に対しては1テンポ遅れてバットを振ってくるしでズブの素人っぷりを恥ずかしげもなくさらしているけれど,球四郎が見込んでいるのは彼の野球理論.たとえアウトを取られても,たった3球でも球一の球が急激に軽くなっていくという弱点を的確に見抜いてしまうのだからたいしたもの.
その上,オネエ言葉と柔和な笑顔の裏にある真の姿は大門に勝るとも劣らぬ漢ぶり.大門以外の全員の武器バットを集めて一気に膝でへし折り,「ええかげん目ぇさまさんかい!」とビンタをぶちかます! 野球にかこつけて相手を潰す球四郎や大門の思想を,卓越した逸材のすることではないとばっさり否定.その気合の凄さによって,球四郎が集めたスペシャリストどもにまともな野球をさせてしまうのです.
バロンのショックはビクトリーに実に良く効き,得点を無視していた連中もまともなプレイで塁に出始めます.ただしバロンの思想を受け入れていない大門の得物は未だにヌンチャクのまま.達人である彼の「無意無感有耳音の極」の前には,球一の新作魔球・ファントム魔球すらも無意味のはず.…球三郎が周囲が見えなくても行動できるように,総帥である大門もまた目に頼らずとも音や気配だけで周囲を察することが可能.球一の新魔球の特徴は「消える」ことで,これは目の見えない相手には効果がないわけです.折角の新作で勝ちたい気持ちはわかるけれど,今回ばかりは相手が悪いのだと球三郎が必死で引きとめ….
その助言を受けて球一は苦悩の敬遠.逃げではなく駆け引きであり,勝利に徹してこそ一流の男なのは間違いないし,投げたら絶対打たれてその結果球一はものすごく落ち込んで役立たずになったに違いないんだからこれが正解.下手に相手の土俵に踏み込むことなくまとも野球をやることこそ,今は倒れた球五のやろうとしていたことのはず.とはいえ一試合完全燃焼はハリボテかと大門に愚弄されるわ仲間の球七には怒られるわとやっぱり散々.でも,その程度でここまでひどいことを言われたら,プロ野球選手は全員人間扱いされないと思うぞ(苦笑).
さてその頃,謎の矢文で呼び出されたシュウロは球四郎の祖父である峠会長と面会などしておりました.いくら探していた九人目の超人の情報がもらえるからって,試合中に選手を放り出してのこのこ出かける監督は本当にひどい奴だと思います(笑).最後の一人,火野球九郎はサンフランシスコにスポーツ留学中.右手の甲には超人の証であるボールの痣が確認され,その略歴を見る限り球四郎型のバランスの取れた超人のようです.
わざわざ峠会長がシュウロにこんな情報を流したのは,自分の孫である球四郎を打ち負かしてもらいたいから.愛人の子という生まれと超人の証である痣によって峠家の鼻つまみ者扱いされてきた球四郎.だから,超人に対する憎しみまでも計り知れない.…実際に超人だと判明したあとは,彼の卓越した能力だって超人だからと軽んじられるようなこともあったかもしれないな.
生まれも才能も並でなかったからこそ,真の仲間もライバルも得ることができなかった孫を救うためにアストロをぶつけたかった峠会長.でも,本当に球四郎のビクトリーを倒したいなら,試合中に敵軍の監督を呼び出すのはやめるべきだと思います(苦笑).案の定球一は球四郎に打たれて一挙に4点とか取られているし….
アストロドームでは球三郎がシャワールームで覚悟を決める.バロンに続いてまたも野郎の肌が画面一杯で,一体誰に対するサービスなんだろう(笑).最初から兄の心が収まるならば自分の命などどうでもよかったことを思い返して,真っ白い死装束をまとってバッターボックスへと向かおうとする球三郎.…初代球二のような犠牲は絶対に出したくはない.当然仲間は彼の死なんて望んでいないわけですが,球三郎はただの真剣勝負だと優しくたばかって戦場へと向かいます.

後半.バッターボックスに入った伊集院球三郎は,兄・伊集院大門と激突する覚悟を固めます.勝負は球四郎の球を球三郎が打った瞬間からはじまる…はずが,そうなる前にいきなり3塁から球二がホームベースに突っ込んできた! 狙っていたのは得点ではなく球三郎の足.初代を失った二代目は誰よりも仲間が大切で,だからこそ鬼となって球三郎の進塁を妨害したわけです.2度とあんな悲しい目に遭いたくないからこそ,優しい球二も味方を傷つける修羅へと変わり,球三郎をバットで打ち据えようとするほどの必死ぶり.
そんな球二の必死にさらにかぶせてくるのが球六! 球四郎に殴りこまれたことによって修羅の道に戻されてしまった彼ですが,割と速いうちからアストロに味方することを覚悟していたようで,ビクトリーのキーマンである大門のことを独自に調べていたようです.本家で球三郎とすれ違ったのは,ちょうど内偵を進めている最中だったわけですね.
球三郎がどれほど傷つけられても守り通し,球六が暴露する血塗られた真実とは…球三郎の父こそ先代総帥であり,大門は勘違いで自分の父を殺していたということ.知らないことは恐ろしい.真実はなんておぞましい.大門の世界は全て裏返り,しかもその証拠は自分が身につけた帯の中に納められていた.こんな近くで真実が常に寄り添っていただなんて,なんて滑稽なことだろう.息子の誕生を祝うメッセージを添えた父と大門の写真を入れた御守袋を,どんな気持ちで彼の帯の中に仕込んだのか.そして勘違いで自分の息子に殺されたあのとき,どんな気持ちを抱いたのだろうか…大門は絶叫します!
大門と球三郎,2人の父である伊集院千岩.彼は先代総帥を卑怯な手で殺めた後ろめたさから自分の子ではない球三郎を溺愛し,それが高じて後継者を決めたがゆえに全てが狂ってしまった….大門にとっては真実は猛毒.もはや戻れぬことをしてしまったからこそ,どんな言い訳もその毒を中和することはできない.実の父を手にかけた息子にはもはや戻るべき道はなく,妄執は逆向きに彼の心を押しつぶしていくのです.
全てを知ってなお正面からぶつかる兄と弟.大門はビクトリーの仲間どもを使った人間ナイヤガラで球三郎を止める所存.1塁を目指して進む球三郎に次々に炸裂するその道の一流選手たちの猛攻撃! しかし凄いのはそんな技を習得させた大門でも習得したビクトリーどもでも面白映像を平気な顔で繰り出す制作側でもなく,どれほど痛めつけられても兄への償いのためにあえて血みどろの道を行こうとする球三郎の精神.一試合完全燃焼のために兄の妄執をあえてその身に受けて,全てを昇華させる心積もりです!
球三郎のあまりにも苛烈な自己犠牲の姿勢は,ついに大門の頑な心を打ち壊します.「優しさなどでは,人は救えん.余計に相手を惨めにさせることもあるのだ」と語る彼の目には理性が戻っている.狂乱していてはわからない己の罪も,正気に戻れば誰より深く身に染みる.妄執の夢の中にいるうちは生きてくれると思ったからこそ,球三郎は兄に真実を伝えたくなかったのだけど,優しい夢は醒めて現実へ….次回に続きます.

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金色のガッシュベル#134

「出会ったばかりに全てを託しての巻」

ファウード内,肝臓の部屋でザルチムたちの拘束を受けることになったガッシュたちだが,呪いの効果を気力で乗り越えたアリシエによって戒めを解かれた.既に縛られたティオとキャンチョメたちを除いて戦いは仕切り直しに.ただしガッシュ側は攻撃のための術が尽きかけている.ウォンレイも敵のままで,ウマゴンは心が乱れてろくに戦うこともできない.
術なしで涙を流しながら戦うウォンレイ.呪いに苦しめられる大切な人を守るには封印を解く力となるしかない.そんなウォンレイを攻撃するリーヤ.ウォンレイと同じ立場でありながらも,リーヤは呪いに苦しむアリシエとともに戦う.

笑いも悲劇も人一倍のテンションで展開する「ガッシュ」.ついに対決することになったかつての仲間はどうしようもなく気の毒で,けれどそこに同情していては最良の結末は得ることができない…というわけで既にボロボロのアリシエがもう一頑張りする羽目に.あれだけ辛そうでも術を放つアリシエの根性はさすがなので,清磨たちは彼の諦めの悪さをよくよく見習っておくべきです.この先に待つ長丁場で力尽きそうな瞬間は必ず訪れるはずですが,それでもなお諦めない粘り強さは何よりも重要.いや,ほんとに.

ファウード中,肝臓の部屋でザルチムに捕まったガッシュたちを救ったのはアリシエの一撃.並の体力ならば倒れている状況でもほとんど気力と意地だけで術を放つ彼の持久力は素晴らしい.体調が正常ならあのシェリーと正面から闘っても容易に倒れることはなさそうだから,まともなバトルなら間違いなく強敵だったに違いない.しかしそんな有利不利すらもひっくり返すのがリオウの呪いであり,ファウードという特殊な状況であるわけです.
アリシエと同じことはウォンレイにも言えます.術なしでも十分に闘える彼の強さも相当のもので,頼もしい攻撃手であることは既に皆様ご存知のとおり.けれどリィエンを人質に取られた彼は,どれほど辛い目に遭おうとも彼女のためだけにしか行動できない.リィエンにアリシエ並みの強さがあればこうはならなかったんだろうけど,今更誰にもどうにもできないし….
肝臓での闘いは仕切り直し.呪いの効果でアリシエは指一本動かすのすら辛いけど,なんせガッシュ側には攻撃呪文が足りないのでもう一頑張りしなくちゃなりません.一応主役なんだからもうちょっと意地で頑張るのかと思ったら,今の清麿にはザケルガ1発が精一杯.しかもそのなけなしの術をリィエンを救いたい一心でウォンレイが体で防いじゃったもんだからいきなり打つ手なし.さすがは序盤.主役は役に立ちません.
攻撃手段を失ったガッシュたちに代わってウマゴンとサンビームがウォンレイに挑む.ウマゴンの炎は広範囲に持続してダメージを与えることができるからかなり強いんだけど,仲間であった頃のウォンレイの姿なんかをつい思い出して乱れてしまう心が弱い.心の乱れは炎の乱れへと繋がってウォンレイの攻撃を受けてしまうことに.もちろん呪文なしだから致命傷には至らないものの,肉体的な痛みよりは仲間に蹴られたという事実そのものが痛くてたまらない.
攻撃に躊躇のないウォンレイには,生身でも戦闘センスがあるガッシュが呪文なしで立ち向かうしかない.もちろんこれは人一倍友情に篤いガッシュにはあまりにも酷.なんせ敵は泣きながら殴りかかってきます.…ガッシュ側にもう少しだけ強い覚悟があればこの段階で展開が変わってくるはずなんですが,それが足りないゆえに手を出せない展開がどうにも甘くてもどかしい.
ウォンレイとリィエンはきっともっとずっと辛い.リオウの呪いに巻き込まれてしまったあの日から,ウォンレイとリィエンの状況はひたすらに悪化するばかり.最初はリオウに敵対しようと思っていたとしても,大切な人がじわじわと悪化していく状況がウォンレイから平常心や反骨心を奪ってしまった.…自分のパートナーが死にかける程度で仲間を信頼する心をなくしてしまうだなんて,ウォンレイの心は実に甘くて弱い.
そんな甘すぎる者たちを叱咤するかのように立ち上がるアリシエは,情け容赦なしに術なしのウォンレイを術を使って吹っ飛ばす.彼らが守りたいのは世界と仲間の両方を守りたいガッシュの志.ウォンレイと同じ立場に置かれても冷静な上に容赦もない彼らは強い.

ウォンレイとは敵対中のガッシュたち.しかし彼らがリィエンのことを考えていないわけがない.リィエンの呪いを解いてからファウードを魔界に帰すなどというまどろっこしいことに必死になっているのは,リィエンを助けたいからに他ならない.しかも一応あの清磨が必死で言うんだからそれなりの実現可能性があることだって,仲間だったウォンレイには理解できるはず.…それでも味方に戻れないのは,リィエンがあまりに弱っているからなのでしょう.ディオガ級の力をこれ以上1体でも失えないリオウがリィエンを殺すことは考えられないけれど,ガッシュたちが万に一つ失敗したときのリスクが怖い.今の彼には,一人を守ることを考えるだけで既に限界です.
影使いのザルチムは巨大な影の剣を作り出して振り下ろし,必死のアリシエはリーヤを盾に変えて皆を守る.とっくの昔に限界を越えているからふらふらで,そんな苦しい中でも今はお荷物の清麿たちにここから逃げろと説得を開始.囚われたティオやキャンチョメたちは力を求めるリオウにとって利用価値のあるものだし,ついでに言うならザルチムの態度からファウード内の探索に大きな意味があるのも間違いなし.そして…「僕はもう,長く持ちそうにない!」
最善の道だとわかっても仲間を置いて先に行くのは辛いこと.特にこれまでの戦いで,仲間を守るために力を尽くしてきたガッシュのような魔物ならばなおのこと.それでも,アリシエの助言に従うと即決したガッシュ! 術のない無力な自分たちが今できるのは逃げることだけと,目的のために一時的に情を抑えるこんな態度は今まで決して見られなかったもの.慣れない態度を即刻選ばねばならないほどに,ガッシュはどうしても両方が救いたいわけです.リーダーの決断は絶対でアリシエとリーヤを盾にガッシュたちは退避を開始.そしてわずかな希望を繋ぐため,アリシエとリーヤは残る力の全てで3組を守ります!
リィエンと同じくファウードの封印を解くまでは体力の回復はないはずのアリシエ.けれど過酷な状況で家族を守り暮らしてきた彼には,厳しい環境によって鍛え上げられた素晴らしい持久力がありました.毎日5時間かけて水を汲みに行く暮らしだって,家族の笑顔があるならば幸せ.…だからこそ,たとえ自分の命が尽きたとしても,ファウードの復活だけは決して許してはならない.アリシエの覚悟は最初から命がけです.
命がけで粘るアリシエとリーヤの盾を前に,ウォンレイはひたすらにリィエンの苦境を大義名分にして振りかざし頼るしかない.悲しいけれどリィエンはアリシエのようには強くない.だからこそ愛しくてたまらないから攻撃が止むことはなく,ついにアリシエたちには限界が訪れる.辛くても逃げてくれた3組の希望の光たちの名を叫んで,自分が力尽きたあとの全てを託して倒れていく.出会ったばかりの2人なのに,ガッシュたちへの信頼はなぜこれほどまでに深いのだろう.

仲間と分断されながらも肝臓から血管通路へと逃走するガッシュたち.リィエンと世界の両方を救うにはあまりにも頼りない3組ですが,無茶でも3組でなんとかしなきゃ,信頼して任せてくれたアリシエとリーヤに合わせる顔がないってもんで! ウマゴンという足とモモンというセンサーをどのように使って活路を見つけ出すのか.次回に続きます.

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