焼きたて!!ジャぱん#57
「司令塔はパシリの別名じゃないの巻」
パンタジア対サンピエールの最終決戦,焼きたて9の3回戦,負け続きのサンピエールが送り込んだのは1回戦で和馬たちが下した坪塚の所属していた料理アイドル集団CMAPの残り3人だった.腕や目は確かなのだがチームワーク皆無のCMAPは,完全な分業制で決戦に挑んでくる.
舞台は宮崎の西都.名産は河内に路上でリアクションを取らせるほどに美味い完熟マンゴー.和馬たちはパンタジアのためだけでなく,元仲間にバカにされた坪塚の名誉のためにも本気で闘う.
冷静なウンチクをバカリアクションに乗せて視聴者の頭に送り込むことでおなじみの「ジャぱん」.笑いだけ取ればいいのならネタ元の都合とか本筋の物語とかを完全無視すればいいのであり,実際原作はその方向に爆走しているわけですが,より多くの人の目にふれるゴールデンタイムのアニメとなればひたすら笑いだけを追及するわけにもいきません.例えばスポンサーの都合なんてのはアニメでは大変色濃く出るもので,新製品に合わせて話を展開させるのは必然であり絶対条件! ただし,スケジュール合わせでいろいろ予定が狂って大変なのはわかるけれど,もうちょっと注意してくれるとよかったんだけどなぁ(苦笑).
前半.冒頭から改心した坪塚による主役どものマッサージシーンと,本作のサービス精神は相変わらず不思議なところを迷走しているようで何よりです(笑).前々回で坪塚がリアクションの末に身につけた毛針治療も,月乃さんが受けてくれないんじゃがっかりだ! 闘いの中で料理の楽しさや仲間のうれしさを再確認させてもらった坪塚はすっかり和馬たちになつき,必死の努力で維持してきたCMAPの地位もあっさりとquit.なんせCMAPの中はどうしようもなくどろどろで,とても料理が楽しめるような環境ではないのです.
そんな楽しくなさそうなCMAPが所属するジャングル事務所で打ち合わせをする雪乃たち.CMAPの残りの面子は眼鏡の要にヤンキーの千祭にナルシストの成美.共通点がまるでなく見るからにチームワーク皆無.この面子に不思議カタカナの坪塚が加わってたんだから,異常に濃いグループだったのか.しかもCMAPで在り続けるには間断ない後ろ暗い努力が必要なようで,こんな嫌なグループの中では純真な料理少年が変な方向にねじまがったのもいたしかたなし.もちろんアイドルの仕事としてファンにはこんなどろどろ具合は見せないんだろうけど…嫌だなぁ.こんな情緒不安定ユニット(苦笑).そりゃ坪塚も戻りたくないわけだ.
そんなグループ内の小競り合いを一瞬で収めてしまうのがラスボス・霧崎会長.坪塚の敗北はグループの芸能界での敗北に繋がると,ばらばらのままのCMAPの目を見事同じ目標に向けさせます.そうすりゃお互いの視界に仲間の姿も映らないですからね.ただしこの3人はどうしたって勝手でわがまま.まとめることなど無理なのかと思ったら,霧崎会長はまとめること自体をあっさり放棄.パンづくりを食材選択と食材調理とパン製作の3段階に分け,それぞれの段階で分担すればいいのだと素敵なアイデアを出してきます.…実際のパン工房では分業は当然のことで,各段階ごとに職人が違うことには違和感はないけれど,このシステムだと全体をコーディネートできる奴がいないのが厳しい.本来はそこを坪塚が担当していたのかな.
さて! 焼きたて9の次の舞台は宮崎県の西都と決まり,早速現地でどでかい埴輪にお出迎えされるパンタジア一行.特産はハウスの中で大切に育てられた最高級のフルーツの女王,完熟マンゴーでございます.…うまそうだ.直販でも3個7千円するというとてつもない女王ぶりを見せるマンゴー様を,直販所のおばちゃんのご好意で試食させていただいた河内は…大変にわかりやすくウーマンゴ!と踊りだしました(笑).さすがに原作どおりのリアクションは無理だったようで何よりですが,浣腸マンゴーなのでケツにマンゴーが刺さってるのが面白いやら裂けそうやら(苦笑).でもそのリアクション,折角マンゴーを育てた農家の人には商品が喰えなくなるので大概にするべきです.お子さん達もそのマンゴーは本当に高価だしでかいので真似するのはやめとけ.
リアクションという名目で路上で悪ふざけを演じる河内と傍観者たちのところにやってきたのが,同じくマンゴーを使おうと思っているCMAP.確かに道の真ん中でリアクション取るような奴はバカですし,坪塚のカタカナは意味わからんけれど,かつての仲間をバカにして疑うような奴には負けられません.あまりの人格の腐りっぷりに,いつも柔和な和馬自ら叩き潰すと宣言! 根本的には彼らをそんな風にした芸能界が悪いのかもしれないけれど,もう曲がってしまった性格だって,やっぱり誰かが叩き直さなきゃいけないわけです.
後半は決戦前半まで.パン作りはうまいかもしれないけれど芸能界的にはぽっと出の新人に過ぎない和馬に喧嘩を売られて怒る大御所CMAP.確かに「ジャぱん」は変なダジャレだけど,和馬だけの責任ではないのであんまり責めないでやってください(苦笑).ちなみに彼らが選んだパンはマンゴーカレーパン.完熟マンゴーという高級食材を惜しみなく投入すればきっと美味いに違いなく名物にもなるはずというのが眼鏡の要の判断.彼らは人生の厳しさや辛さをカレーで教えてくれるようですが,君らみたいな性格破綻者に,他人に教える余裕などそもそもないぞと言ってあげたい.
緊縮財政でおなじみのパンタジア側の今回の宿は奈木荘(なきそう).ぼろいのはいつものことなんですが,部屋中に埴輪一杯という前衛的な内装が大変に印象的.宿というよりは埴輪置き場の中に無理やり宿泊している感じ.完熟マンゴーの素材としての凄さを河内の身を持って知った和馬は,余計な手を加えず生で食べさせたいと考えています.どれほど恥ずかしいリアクションが出ようとも,きちんと素材を味見した上で調理法を選択している時点で和馬たちのほうが優れてますね.しかしパンに生マンゴー載せるのは黒やんに怒られるので,何らかの方法で調理をせねばなりません.
マンゴーという使い慣れない素材の正体を知るために,ワッフル生地で冷凍マンゴーを挟むパンを試作してみる和馬たち.作るときにはちゃんと調理車で着替えて作ってるんだけど,試食は再度着替えてわざわざ宿でやっているあたりが面白い.ちなみに試作パンの出来は明らかにダメ.微妙に汁が出て食感が悪くなってたり,ワッフルの甘みとマンゴーの甘みが喧嘩をしたり,喰おうとするとマンゴーがぼたぼた落ちて死ぬほど食べにくかったり….これじゃ味の解決ができても,手に取ってもらえないパンになってしまいます.
けれどさすがは本職.問題がわかれば対応策だってすぐに出せるのがプロというもの.いくら課題が難しかろうと,あっさり諦めるようなバカは絶対プロではありません.汁の染み出しは業務用のショックフリーザーで解決できるし,それ以外の弱点についても和馬が埴輪ジャぱんで解決だ! …焼きたて9には地域振興の使命があるので,地元にこだわることは高得点に繋がるわけですが,素材以外で地元へのこだわりを見せる方法がここで披露されるわけです.生地とマンゴーの甘みの違いも生地側に果物果汁を練りこむことで解決可能.てなわけで今回の河内には,宮崎のフルーツをせっせと集める役が与えられます.ただの傍観者にならずにすんでよかったね!
そして迎えた第3回戦当日…なんだけど,いきなりテロップが「第2回」になっているのでDVDでは直してください(苦笑).やっぱり前回の話はいきなり差し込まれたんだろうなぁ….灼熱の宮崎.炎天下で汗もかかない千祭はまあどうでもいとして,舞台となるトレーラーの上では早速3回戦の調理開始.観客席には既に役目を果した選手達の姿も見られます.…要が本当に司令塔だったのに比べると,河内はまさにただのパシリなので同類にはならないわけですが.
CMAPが作るのはもちろんカレーパン.しかも宮崎牛のデミグラスソースを使ったカレーということで,地元対策も味の対策も万全です.確かにカレーパンは辛ければいいってもんではないし,CMAP成美の洋食カレー作りの腕も並ではない.けれど,パンタジア側には本当のパン作りの天才,和馬がいる! ちなみに生の果汁を直接パン生地に練りこむとグルテンが全滅してぐしゃぐしゃになっちゃうわけですが,そんな行動にだって天才ならではの狙いがある…のだと思いたい(笑)! 新人戦で雪乃の妨害を受けて生地を台無しにされたあの日の河内を越えていく,次回に続きます.
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