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金色のガッシュベル#136

「怒り昂ぶる最強の術の巻」

ファウードの封印を解いた上で魔界に帰す.皆を救うためのたった1つの方法を実現するため,ガッシュたちはモモンの頑張りのおかげでついにファウードの転送装置の前にまで到達した.待ち受けていたのはガッシュやウマゴンと因縁の深いアースとカルディオたち.誇り高くリオウの計略には乗りそうにもないアースと,仲間をバカにしていたカルディオたちは,装置を動かしてファウードを魔界に帰そうとしている.ファウードの存在を許せないのは両者ともに同じ.ならば,ガッシュの目指す最高の未来も受け入れてもらえるはずだ.

ファウード復活まであとわずか.残された半夜を全力で突っ走る「ガッシュ」.仲間の危機と世界の危機の両方を救うために必死だった彼らが,ついに最初の関門をクリアしようとする重要で記念すべき回…のはずなのに,作画が大変に悲惨なことに(苦笑)! 特に冒頭.せっかくの見せ場だってのに,お前は一体誰ですか.作り手はそんなに清磨のことが嫌いなんだろか(笑).とはいえ話や演出はオリジナル味溢れて面白い回だったので,ここは皆様の脳内で補正をしっかりかけていただくべく,以降の感想では作画についてはあえて一切触れずに書いてみようと思います.

アリシエたちに先導されてファウードの口から侵入して数時間.ついにファウードの転送装置の場所まで到着したガッシュたち.エルの躾によってようやく戦力になってくれたモモンの頑張りもうれしかったけれど,そんなうれしさをしみじみと味わう間もなく新たなトラブルが彼らの前に迫る.転送装置の扉の中の強い2体の魔物.ようやくたどり着いた主役たちを待っていたのは…カルディオとアースたち.石板魔物編からファウード編本編までの間に因縁のできている相手です.
バオウの使い手としてガッシュたちを警戒していたアースと,ウマゴンと同じ馬型で氷という対極の属性の持ち主であったカルディオ.ザルチムははじめのうちは彼らの存在に気づいていましたが,ガッシュたちの突入後はすっかり失念しちゃってたようですね.バレバレで突入してひどい目に遭ったガッシュたちの陰で,気配を消してここまで首尾よく侵入していたらしい2体には,ダメージの気配がないってところがどうにもずるい.
ガッシュたちに敵意を向ける彼らに対抗するにはどうしたってパートナーが必要なんだけど,疲労困憊の彼らは未だに夢の中.清磨に至ってはこの生命の危機に穏やかな夢なんか見ています.桜振り込む学校の教室で,問題の意味がわからないとくじける鈴芽に教える自分の夢.答えを出すことを前提に問題が作られているからこそ,落ち着いて読み込みさえすれば問題のほうが意味や答えを教えてくれるもの.問いという前提状況さえよく理解していれば,必ず解は導かれるはずです.その解がちょっと見には無茶で無理そうなものでも,あるいは本当に大きな代償を支払うようなものであっても…,
そんな平和な夢の中,桜吹雪は本当の吹雪に変わる.なんせ夢の外ではカルディオの凍気が,寝てる連中も引っくるめてガッシュたちに襲いかかってます.パートナー不在のウマゴンは大変に格好悪くまた可愛らしいわけですが(笑)そんなのに怯えてしまった過去の自分が嫌なカルディオ大暴れ.いち早く目の覚めたエルがモモンの術で凍気の進みを遅くしてくれなければ,ここで一巻の終わりだったところ.
モモンとエルの時間稼ぎの間にパートナー全員睡眠状態から回復.ガッシュたちはアースの方をよく知っているので,たぶん事情を話せばわかってもらえるんじゃないかと予測して早速攻撃開始.数々のバトルを乗り越えた今,術なしでも結構強くなったガッシュですが,未だに彼らの最高の術は魂の説得のまま.どんな術よりも気力の消耗が少なく,かつ成功した場合には敵が消えるだけでなく味方が増えちゃったりする素晴らしい術です.
カルディオの凍気に対抗するべく,ウマゴンはディオエムル・シュドルクで炎を放って立ち向かう.以前の対決では最後の最後でカルディオがウマゴンの目に怯えてしまって引き分けたわけですが,あれほど仲間を嫌っていたはずのカルディオとサウザーは,今はアースたちを大切な仲間と考えているので心の闘いも互角! …これまたいきなりのカルディオたちの転身ぶりにびっくりですが,彼らがある意味甘い方向へと転換したその顛末については次回でも紹介されますんでお楽しみに.ただし,カルディオたちが背負っているものをウマゴンたちも背負っています.仲間と世界をともに背負った炎と氷の勝負は拮抗して互角.
そんな互角の壁を切り裂いて攻めに転じたのがアース.攻撃の主力であるガッシュのパートナー,清麿を沈黙させようとするのは実に正しい選択.清麿も説得攻撃を仕掛けるものの,アースは必死すぎて話を聞いてくれない.ここでろくにガッシュを見ないでラウザルクをかけ,強化されたガッシュがすぐさま清麿のフォローに回っているところが実に息が合っていてよろしい.純粋な力勝負なら今ならば互角.しかしこの状況…問いをしっかり眺めてみれば,そこにはこの戦いを解くためのヒントが隠れているもの.今のアースには,パートナーのエリーがいない.

問題を解くための鍵は隠されているけれど,落ち着けばしっかりと見えてくるものです.清麿は本作最強のカリスマであるガッシュとともに,アースたちに対し本格的な魂の説得を開始します.もちろん聞いちゃうと負けるアースは目的の達成のために邪魔者は消すと聞く耳を持たない.目の前の部屋の中にはファウードを帰還させる装置が確かにあって,アースたちは今すぐそれを起動させてファウードを魔界に帰そうとしている.つまり,ここは目的地に間違いなく,しかもアースたちの目的はガッシュたちの目的の半分と一緒だということが明らかになったわけです.
しかも彼らは,ファウードを魔界に戻せば呪いが解けないため,リオウの呪いを受けたものたちが死ぬことまでも知っている.その上で,世界を救うためには呪われた者たちの命を捨てるというのがアースたちの判断.あのときガッシュが一人でクリアした究極の2択で,世界の側を選択して行動していたわけです.自分たちの力では蘇ったファウードに勝てるはずもないから,この機に乗じて一気に勝負を決めようとしています.
もちろん3つ目の選択肢を選んでいるガッシュはその選択を止めねばなりません.ファウードの封印を解いてから魔界に帰すという最良の方法を提案するも,アースのマントの下には最後の武器が.世界を選ぶという選択は呪いをかけられている当人の選択でもあるのだと,大事に抱えていた呪われたエリーの姿を見せます.自らを犠牲にしても世界を救おうとする小さくて強い意志にひたすら従って,アースたちはは今,ここにいるわけです.
けれどそれは間違っているのだと,自分でしっかり悩んで結論を出した今のガッシュはよく理解しています.世界のために個人を切り捨てることなどあってはならない.たとえそれでいいと当事者が言ったとしても,それで沢山の命が救えるのだとしても,ちょっとした理由づけで命を失うことによる心の痛みを薄れさせることができるとしても! 王を目指そうとするものならば,自分のパートナーを,仲間を切り捨てることを選んではならない.…清麿の説得がはじまります.
小さな子どもの自己犠牲なんて絶対に許せないから,「御意のままにじゃねえ! 従ってんじゃねえぞ!」と強くアースを一喝.さらにガッシュがカルディオを退けたのに合わせ,アースの懐,エリーのところへと潜りこみます.普通のバトルならエリーから本を奪って勝負がつくところなんですが,この闘いはそれ以上の成果を求めるものだから説得続行.弱りながらも毅然として自らを犠牲にする気満々のエリーに対し,最良の結論をぶつけてアースたちの覚悟をぶち壊しにかかります.
エリーの命を救ってファウードも確実に魔界に帰すことができると,強大な魔物に気合だけで迫る清麿.毎度ながら,ぶちぎれた時の彼はとんでもない怖いもの知らずです.帰還装置の動かし方がわかるんだな?とただの人間は魔物を恫喝.魔界の文字の読み方だって5分でマスターしてやると豪語して,ある機能を働かせて皆を助けてやると怒気を孕んだ口調で言い切ってみせる.「それを見極めてからでも,遅くはないだろう.くそったれが!」

ザルチムがアースたちを再発見しながらも,リオウの判断でガッシュたちとの接触を見逃したために訪れたこの結果.あのときリオウがザルチムを向かわせて全員を捕らえていれば,あんな明日にはならなかったはずで….未だに囚われたままのティオたちが流れ星に願いを乗せていた頃,魂の説得で最後の試練を突破したガッシュたちは夜明けに向けて最後の努力を続けていました.特に清麿にとっては,今この場こそが彼自身の能力の最大の見せ所.全てを救うというガッシュの選んだ道を歩むには,ここで立ち止まることは決して許されない! …夜明けには1つの結論が待っている.穏やかに緊迫して大技が炸裂する,次回に続きます!

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