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焼きたて!!ジャぱん#61

「異常事態が呼び込むピンチ!の巻」

「焼きたて9」で冠と橋口組後継者の地位の押しつけあいをやるために,冠の異母兄である堤がやってきた.パン職人としての自分の今後がかかった勝負に冠の心中は複雑だが,和馬たちは彼のためにも頑張るつもりだ.けれど次の勝負の舞台は堤が圧倒的に有利な信濃町で,作るのもパンに塗るジャムのみ.ジャムの本場であるオーストリアの料理を極めた堤に勝つことは並大抵のことではない上に,河内と違って頼りになる和馬までもが熱を出して倒れてしまう.

敵側が圧倒的に有利な状況でも和馬の凄い着想で切り抜けてきた「ジャぱん」.今回は焼きたて9シリーズからレギュラーに昇格した冠君の家庭の事情がメイン.にこやかな言葉のナイフで主に河内を容赦なく切り刻むことでおなじみの冠.モナコカップでも彼の判断がなければ既にパンタジアは完全にサンピエールに吸収されていたはずで,分野を問わない博識ぶりと冷静で大胆な判断力には定評があります.彼の質の良い知識が天然の和馬を脇からしっかり支えてくれたことに間違いはありませんが,今回はいつもとは構図が逆に.手ごわい敵に挑む冠を和馬はしっかりサポートするべきなんだけど,その和馬を思わぬ事態が襲ってしまってさあ大変! …その傍らで動きは一番楽しく描かれているんだけど,本当に河内って勝負の役に立たないな(苦笑).

前半.パンタジアに次の戦いの始まりを告げたのはいかにもその筋のお兄さんたちの来襲.堅気の仕事場に白昼堂々押しかけるだなんて余程のことがなければ起きない異常事態です.で,この事態を腕力でなんとかしちゃおうとするのが松代店長.パン作りのために鍛えられた体もパン作りで鍛えられた胆力も無駄にリアルファイトに向いていて,得物を持ったチンピラ程度では話にならないのでありました.鍛え上げたパン職人がごろごろしていそうなお店には,殴り込みなんかかけないほうが身のためです.
そんな殴り込みが来ていることを脇役和馬に教えられた主役の冠は眺めていたニュースもそのままに外へ.そして,自分たちのボスがヤクザより怖いという事実を改めて実感することになります.1発で仕留められない時はお前が死ぬとか平気で言っちゃう店長の化け物ぶりが実に恐ろしい(苦笑).
暴力を前にその凶暴な本性を惜しげもなく剥き出しにする店長に対し,冠が見せたのは今まで隠してきた彼の背景.若き秀才としておなじみの彼が黙っていた現実は,押しかけた極道さんたちに「ぼっちゃん」呼ばわりされる立場であったということ.もちろん夏目漱石じゃありません.彼は橋口組の組長の息子.昔はともかく今の極道に頭脳は重要で,どんな鉄火場でも冷たく大胆な手を打てる冠の才能は,パン業界以外,例えば橋口組の跡取りとしても必ずや輝くに違いない.
わざわざ極道がパンタジアに押しかけたのも冠が後継者候補になってしまったから.もう一人の候補は冠の異母兄である堤.彼は最近日本に戻ってきたオーストリアの宮廷料理人.一流の職人として料理の道を歩む堤もパンの道に生きる冠も組長なんかになりたくはなく,後継者の押し付け合いレースを「焼きたて9」の場で争うことになったのでありました.
血の半分繋がった兄と将来をかけて闘うことになってしまった冠.…日本最大級の組織の長が完璧に罰ゲームにされちゃってるのがなんだかな(笑).目端の利く冠は自分が逃げればパンタジアに迷惑がかかると考えて,負けたら素直にその罰ゲームに従う覚悟.もちろん勝てば何の問題もないけれど,いくらカラ笑いしても気分が晴れることはありません.一見軽そうに見えますが彼のパンに対する姿勢は実に真面目であり,しかも相手が有能なシェフともなれば万が一のことを考えないわけにはいきません.
そんなわけでついつい気弱になってしまう冠に,脇役の和馬は「河内はともかく俺がついてる!」とさらりとひどいことを言って力づけた上に場を和ませます(苦笑).河内が全然役に立たないのは当たり前として,あの和馬が冠をヤクザになんかさせないと頑張ってくれれば勝機だって見えてくるはず! …しかし,どんな凄い宮廷料理人でも日本の素材には慣れていないに違いないなどと河内が珍しくいいことなんか言ったおかげで,事態はあっという間に暗転してしまいます.人間,慣れないことはするもんじゃありません(苦笑).
「焼きたて9」の次の舞台は外国人の軽井沢,日本のヨーロッパ信濃町! しかも作るのはパンなしでジャムのみ.パンタジアの主力である和馬はパン作りの天才ですが,新人戦で焼きそばパンを作ったときに露呈したとおりパン以外の調理に関してはからっきしもいいところ.その上兄が宮廷料理人となったオーストリアの誇る食品こそがジャム.体験ツアーまであって幼稚園児でも作れるくらいってんだから本場中の本場であり,まさに絵に描いたような苦境に冠はずっぽり沈みます.ただし,本当の苦境の前兆は隣でくしゃみしていたわけですが….
そんな憂鬱な中で,はじめましてとご挨拶する兄の堤.弟を天才と誉めた上にわざわざ持参したパン・ベルリーナを差し出します.それを河内が喰ったなら…そのまま白鳥の湖に! ベルリーナでバレリーナなのであんまりヒネリはないわけですが,異様にいい動きでリアクションしてくれていて実に面白い.河内をくるくる回すほどに本場のジャムとは美味いものであり,オーストリア文化を学ばぬ者が作るジャムはただの果物の煮汁だと静かに激しく挑発する堤.なんせこの兄貴,幼い頃から出来の良すぎる弟の影に隠れてしまって,極度の劣等感と憎しみをその身に抱えた怨念深い相手でありました.
負けたときのペナルティの重さと敵の強さばかりを味わったあと,舞台の信濃町に移動した冠たち.外国人の軽井沢と称されるほどの美しい避暑地に入ったら,珍しく河内が下調べなんかしてきたもんだから大変なことに.ジャムに使うなら大黄と呼ばれ古来から漢方薬として使われてきたルバーブがいいんじゃないかという河内の下調べは大正解なんだけど,さっき寒気を感じていた要の和馬が倒れてしまいました! ああ,だから慣れないことなんかするもんじゃない(苦笑)!

後半.和馬は急性の扁桃炎ということで3,4日の休養が必要になってしまいました.これでは「焼きたて9」の収録には和馬は間に合わないってことだから,さすがの冠も今回ばかりはやばいかもと覚悟を決めはじめてしまいます.しかし勝負をしないわけにもいかないので翌日にはちゃんとルバーブ畑で材料調達.材料の試食&リアクション係と化した河内にルバーブを食わせたら,あまりの甘酸っぱさに大黄こと大王となりました.しかも河内なので王様というよりは明らかにバカ殿にであり,こんなアホにつき合わねばならない冠は実に大変です(苦笑).
大黄の冠をかぶったバカ王様に問われた冠が申し上げる勝つための秘策は,食材を真空の中で沸騰させる氷温濃縮機の使用.生の風味に近い状態で調理ができるという優れた機械の名がすぐ出てくるところはさすがは冠なわけですが,しかしそれでも今回の相手にはまだかなわない.またも弟の前に姿を現した堤.河内は変な生き物なのでまあいいとして,兄が見せる手の内には溶岩石があり,それを見ただけで何をしようとしているのかを察知する冠.彼が作るのはジャムフォンデュ.暖かいジャムに違いない!
元々出来立ての温かいジャムは大変にうまいものである上に,焦げ付きのない溶岩石でそれを作られたら氷温ジャムは決して勝てない.だから冠は必死で酒屋を巡り,なんとしても兄の上を行くジャムをつくるためにあがきます.河内が酒屋の棚をひっくり返すことで発見された長野の至宝,岐阜のイメージが流れ込む貴腐ワインがあれば温度差すらもひっくり返せると思えたのもつかの間!またもやってきた堤が手にした酒は長野産のカルバドス.兄は燃えるジャム,ジャムフランベをやるつもりだ….
ちなみに2人の兄弟が是が非でも継ぎたくない橋口組では,この料理勝負が兄が弟を潰すためにわざわざ仕掛けたものであることが明らかにされています.冠の出来が良すぎて常に劣等感ばかり抱かされてきた兄は,自分が絶対勝てる場所で全力で弟を叩きのめしたいくらいに憎しみを煮えたぎらせてしまったようです.…気持ちはわかるが大人気ないなぁ(苦笑).実際に2人の父であり作者に大変良く似た組長も,別の業界で一流となった息子をこの世界に引き込むことに疑問を抱いているようです.

ことごとく自分の上をいく兄の凄さに冠は珍しくべっこりへこむ.和馬不在の逆境で精一杯頑張った自分の計画が全て直後に潰されちゃ,いくらタフな精神でも折れるというもの.ここまで見事なタイミングで弟を襲った堤は,恐らく冠たちの後をぴったりつけてきたんじゃないかと勘ぐりたいぐらいです(苦笑).兄の執拗な精神攻撃にすっかり落ち込んで今日の宿,苦紗荘に入った冠たち.軽いけど真面目な秀才の冠と熱血だけど大変なバカである河内にできることはなく,このまま負けるしかないかと思われたそのとき! それじゃだめじゃと病人和馬がやって来た! 天才でありかつバカでもある和馬は諦めることを知りません.このふらふらなリーダーは,どのようにして敗北寸前のチームを立て直すのか? 次回に続きます.

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