焼きたて!!ジャぱんですよ#63
「史上稀に見るすごい出オチの巻」
「焼きたて9」の5回戦で実の兄と対決した冠はジャム勝負に引き分けてしまった.後継者問題は一番いい形で決着したため文句なしだが,次の対戦は一気に2枚のパネルが与えられる重要なものとなってしまう.この戦いにサンピエールは権利をクリアした上でなんと桃屋の人を投入.しかも第6戦の舞台は海苔で有名な十六島,さらにチャンスパネルなので勝者にはパネルを1枚プラス.サンピエールが圧倒的に優勢なこの状況で,桃屋の人は和馬たちにその実力の片鱗を見せる.ごはんですよトーストによって和馬が発した超絶リアクションは,ついにフィクションの殻を破り現実までもを侵すのだった.
原作を読んだ段階で「さすがにこれは無理だろ」と思っていたネタにも果敢に挑む無謀な「ジャぱん」.過去のリアクションの中では大麻ジャぱんが最もきわどいネタじゃないかと思いますが,今回のリアクションはそれすら越える凄まじい迷惑のかけっぷり.歴史改編によって作品世界中の時間の流れをひっくり返した大麻ジャぱんに対し,パンにごはんですよを乗せた奴は作品世界の外側にあるタイトルに影響を及ぼしちゃったからさあ大変.
これをわざわざやろうとした奴も相当どうかしてますが,許可した奴もやっぱりどうかしています.ある意味アニメの歴史に残る偉業の達成は,褒めてやったほうがいいんでしょうか.それとも怒ってやったほうが本人たちのためになるんでしょうか…(苦笑).
前半.和馬不在の第5回戦は接戦の末になんとか引き分け.明らかに格上であった堤相手に引き分けに持ち込めたのは相当な健闘であったわけですが,いつだって冷静に場を見ている冠は結果に憂鬱.ちなみに後継者問題については1名を除けば満場一致で前回の結論に満足です(笑).和馬がさらっとひどいこと言ってんなぁ….店長の意志はまあどうでもいいとして,このままじゃサンピエールを倒したとしてもパンタジアが組事務所みたいになりかねないんだけどそれはいいの?
冠を憂鬱にさせるのは引き分け時のルールと勝負の流れの変化.引き分けた場合次回は一度に2つパネルが取れる上,連勝を崩されたことによって場の流れは明らかにサンピエールに傾いている.回を重ねるごとに敵の刺客は強さを増しているから,重要な次の戦いには絶対とっておきの超強敵が来るはず!というのが冠の読み.しかし現実は冠の予想を軽く上回ってくるんだからラスボス霧崎恐るべし.病から復活した上にどこまでも楽天的な和馬は心強いけれど,そんな和馬すら狼狽させる恐ろしい未来が会場に待っていたのです.
てなわけで第6回戦の収録開始,パンタジアの3人とお茶の間を驚愕させる強敵のその姿は!CMで見たことのあるあの人だ(笑)! 相手は誰だろうと関係ないとか言ってられない対戦相手は桃屋の人.影すらついてないあのキャラクターそのままで,山崎パンの牙城に乱入! 桃屋の,そして山崎パンの懐の深さはかのサンリオ以上ではないかと思います(苦笑).
桃屋の人こと三木のり平は日本の英雄.特に説明しなくても視聴者はその凄さを嫌ってほどに知っている.作中人物に権利関係を心配されるほどの大物の登場はまさにサプライズ.たぶんそこらの作品内CMよりもずっと効果的じゃないかと思います.放送打ち切り覚悟の大技を繰り出せるのもこの時期だからってことなんだろうけど,何はともあれともかく無茶苦茶です.
この人が出てきたら予想される次の課題はアレしかなく,案の定次の舞台は島根県の十六島.日本有数のノリ産地が舞台な上にさらに乗ってくるのが焼きたてチャンス.星つきパネルを引いた場合,勝者にはもれなくもう1枚パネルをプレゼントという限りなく後づけのインチキルールがパンタジアを襲う! パネルの選び方でこれまでの苦労が水の泡となる大ピンチ.最悪だ….
ぽっと出の和馬たちなんかとはキャリアの違う大ベテランとよりによってノリで闘わねばならない上に,試合に負ければ最悪パネルを5枚も取られる大ピンチ.しかも新参の食品関連キャラクターに容赦ない追い討ちをかけてくるところもさすが大御所.ジャぱんに興味を持ったというのり平は自己紹介がわりにごはんですよトーストを差し出します.…和馬たちの後にあるアニオタ刑事のパネルがどうしても気になる…(笑).
のり平のトーストを食べたのは和馬.しかし彼はトーストに対してなんのリアクションも取っていない…わけじゃない.わざわざ多大なる迷惑をかけつつも外部から招集した凄いゲストの実力は半端ではなく,今までの敵で最強と判断するに相応しいリアクションが巻き起こっていたのでありました.巻き戻せばタイトルが「ジャぱんですよ!」に変わってる….アイキャッチやテレビ欄や原作18巻や当時の連載誌でもやっぱり「ですよ」がついていたのです.わざわざ全部タイトル替えるだなんて,なんてスケールでかい上に無駄に迷惑なリアクション! 原作のときもびっくりしたけど,まさかアニメでこれをやるとは…各方面に考えられないほどの迷惑をかける,これが今の「ジャぱん」という作品の実力というか覚悟というかバカぶりです!
後半.前半終盤の展開でパンタジアの面々は視聴者ともども度肝を抜かれたわけですが,それでもバトルから逃げるわけにもいきません.十六島にはもうやっぱしノリしかなく,敵はタイトル替えるほどのノリのスペシャリスト.しかしそれでも和馬は大バカなのでそれほどくじけず,前向きに勝利の道を探します.この勝負はパン勝負だからノリで負けてもパンで勝てばいい,という和馬の考え方は間違ってはいないんですが,黒やんが今回のパン作りに特に要求しているのはインパクト.見た目だけであまりにもインパクト溢れるあの人に勝つのはかなり難しいはず.
しかし,そこまでは考えてない和馬たちはまずは勝負のためにノリを手に入れるべく港へ.このあたりで採れる筆海苔は100グラム数千円から2万円の超高級食材.羽織にできるほど丈夫で硬いこのノリをごはんですよ並に柔らかくしなければ,そもそもパンと組み合わせることができない…と思ったら,和馬がぺぷみコーラを出してきました.なるほどこっちの権利はだめでしたか(笑).病に倒れた前回分の活躍を取り戻すべく,今回の和馬は実によく活躍しています.
コーラの炭酸の力で柔らかくする,肉の煮込み料理でよく使われるコーラ煮のテクニックをノリ相手に再現する和馬.現地のおっさんに頼んで鍋やコンロをちょちょいと調達してみせるあたりがおかしいけどリアル.大体ああいうものは港には装備されているものです.黒いノリを黒いコーラで煮るという奇行レベルの路上クッキング.地元の子にまで笑われながら和馬謹製のノリが完成し,嫌がる河内に食わせたならば…権利はダメだった割に無駄にノッてるなぁ(笑).
あたかも計ったようにさっきの女の子がいきなり海で溺れているのはリアクションの前兆.本作はおいしさを表現するためには幼女を海に落とすことすら厭いません! 素人では溺れるから助けにいけないところに颯爽と飛び込んでいく,河内のリアクションであるぺぷみマン! …リアクションそのものも相当どうかしてますが,ぺぷみマンのテーマ曲が無駄によく出来ていて素晴らしい.きっとここにしか使えないだろうに(苦笑).サメだって倒して女の子を助けちゃう河内ぺぷみマン.オリジナルと同じく「しゅわー」しか言えないスーパーヒーローのこの河内,和馬にとってはなんだかうざい.和馬にとって河内はヘタレで当然であり,無駄にヒーローらしいのは許せないってことなのかな(笑).
本日の宿は冠の家庭の危機も終わったのでいつものボロ宿に戻って苦露荘.掛け軸までも真っ黒だと河内はひたすら文句をたらたら.冠にとってはこの河内はいつものようにうざい.冠にとって河内は別に喋らなくてもいいものであり,無駄にぺらぺら喋るならしゅわーの方が随分マシってことなんだろうなぁ(苦笑).
コーラ煮すればパンに合うやわらかいノリができることはわかったから,今度はパンをなんとかするしかない.あのスペシャリスト相手では間違いなくノリ単体で勝てないからこそ,今のリードを守るには得意なパンの工夫で押し切るしか選べる手段がないのです.パンの天才である和馬は割に調子がいいようで,次の工夫,ご飯並みにふっくらした生地の作り方についても既に着想があるようですが,そんなぽんぽん思いついたネタであの影のない人にどこまで食らいついていけるかは微妙.トータルの成績では追われるものですが,この戦いに限ってはパンタジアはかなり格下の挑戦者であることをもう少し自覚するべきではないかと思います.
翌日のステージは人で満杯! 十六島周辺の人々をここまで煽り立てるごはんですよの無料配布恐るべし(笑).さらに熱狂はのり平さんのロッカーぶりで最高潮へ.桃屋さんになんて無茶なことをさせてるんだと狼狽しそうにもなりますが,元々CMで様々なコスプレを見せてくれていた彼にとっては普段と何も変わらないのかもしれません.
常に自然体でここまで歴史の荒波を乗り越えてきた超ベテランキャラは,歴史の浅いパン宣伝キャラたちに果たしてどんなことを教えてくれるのか.生春巻き程度でパンタジアは桃屋に勝てるのか.そして製作者のやりっぱなしは果たして許してもらえるのか? さらにきわどいリアクションが待つ,次回に続きます.
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