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練馬大根ブラザーズ#9

「メンバー離脱は突然にの巻」

ある夜突然,ヒデキの畑に天下の練曲通信社のドナベナベが絵に描いたようなうまい話を持ってきた.暴言や捏造や御用記事でおなじみの男の言葉など絶対に信用ならないマコはイチローに助けを求めに行くが,一人残ったバカなヒデキはあっさりドナベナベのドーム建設計画に心を奪われてしまう.根も葉もない風評を流して周囲の土地の買収を既に終了しているドナベナベは,2人でドームを建ててコンサートし放題という甘言でヒデキを自分の味方につける.そんな口約束が果たされる保証などどこにもないのだと,ドームの夢に惑わされてしまった愚かなヒデキにはわからない.

がらがらと崩れた末に別のものに変わっていく「練馬大根」.これまでは1話完結ながらも緩やかにキャラを壊しながら作ってきた本作ですが,今回からは連続モノとしてクライマックスに達するための道を走り始めます.そもそもこの練馬大根どもは,叶いもしない夢とごく緩い仲間意識と一方通行の恋愛感情で結ばれたモラトリアム続行中のダメ人間の集まり.しかし,一緒にいるからといって3人がまったく同じように考えているわけではありません.何を犠牲にしても優先したいことは3人3様で,その食い違いがラストの夕焼けへと続いていきます.
なお今回は作画がかなり乱れてるんですけども,そもそも毎週ミュージカルをやるという暴挙に挑戦した時点でこうなることは見えていたからそんな自爆を今更責める気にすらなれません(苦笑).どうかしている作品を見る方もやっぱりどうかしているわけであり,こんなものをわざわざ見ている自分を含めて全てを笑う.これは大人が浦沢作品やキッズ向けバカ作品を楽しむ際には必須のテクニックとなりますんで,皆様方にもぜひとも覚えて帰っていただきたいところです.

前半.話が大きく動いたのは夜.断固断行の凄い堅物,日本の首領である金色のライオンの指示により,練馬の例の計画ってのが動き出して練馬大根ブラザースが気の毒にも巻き込まれていくのがここから先のお話.今晩もイチローはバイトに出ており,ヒデキとマコとパンダだけが例のステージの上で寝ております.恋も寝言も夢もすれ違うヒデキとマコ.一度ふられた程度ではまったく諦めない往生際の悪さが2人の魅力です.
そんな夢を破るのが大根土鍋のいい香り.勝手に畑の大根を煮て近づくのがこれからの敵となる奸物,練曲通信社代表のドナベザワナベオ略してドナベナベ.名前とかナベとか新聞とかオレンジジャケットが物語る通りにナベツネをインスパイアするってことは,日テレに喧嘩売ってるような気がするんですがテレ東としてはどうなんでしょうか.しかも他局のボスの口が間に合わなくて動いていないのはどうなんでしょうか(笑).
ドナベナベの評判の悪さはあのマコさんも知るところ.口が悪くて愛もないのに殴るおっさんの襲来をマコさんはイチローに言いつけに向かい,取り残されたのはヒデキのみ.…頭のちゃんと動かない子を一人詐欺師の前に置き去りにした,この失策が今後の崩壊を導く引き金! 無駄に年を食ってしまったヒデキは成人だからどんな契約も簡単には反故にできない.まさにそれを狙っていたドナベは,妙にフレンドリーな態度でバカを懐柔していくのです.
さて,大失策を犯したことに気づいていないマコさんが向かったホストクラブの前では,今まさに公僕がさらにダメになる道を粛々と歩んでおりました.練馬区民のカラクリは逃避の末にイチローに入れ込み,素寒貧でもなお遊びたいがためについに借りちゃいなマネーに手を出した! 登場当初は強面の変態であったカラクリも今や立派なダメ公務員.この調子で確実に転落の道を歩んでいけば,金のために罪を犯す最低公務員にレベルダウンする日も間近です.
イチロー目当てのマコとカラクリ.他のホストは眼中になく,お目当ての彼を挟んで言葉と視線の刃をがちがちとぶっつけあうからおっかない.しかしカラクリの足元からは懐かしいあの芳香が.パンダは笹ばっかり食っているのでいい匂いがしそうですが,実際はしばらく洗ってない犬の臭いがするらしいですよ.しかしそんな臭さもカラクリにはフェロモンですね毛を触られただけで色っぽくはあはあ.パンダはカラクリを辱めるためだけにここに来たようで,随分な暇な奴ですな.
そして時は無駄に経過.2人のプリンセスはホストクラブの魔力でいい感じに酒が回ってダメなのがさらにダメダメに.けれど都合よく取り出された広報誌・練曲だよりによってさすがの酔いもわずかに醒めます.ヒデ兄ちゃんの丹精込めた大根畑にはパンダペストや天然ボケ痘やピロピロ菌がいるという.これは嗜好品は野菜ではないとかいうレベルのデマではなく,まさに根も葉もない! …天然ボケ痘だけは出てもおかしくない気はするわけですが(笑)ヒデキたちが地域コミュニティから浮いているのにつけこんだ,あまりにもひどい虚報です.
練曲だよりのデマに踊らされた畑の周辺住人たちは,不安な気持ちをつけこまれて住居ごと土地をドナベナベに売却.畑の周辺を防衛隊も含めて綺麗にしたあとで今まさに本丸であるヒデキの畑が堕とされそうになっているのだと,今更マコは思い出したのでありました.遅! イチローはマコに連れられて無理やり早退.今日のドンチャン騒ぎのツケは結局イチローのツケに変わってしまいましたとさ.
ヒデキの目はどうしようもなく曇っているからわかりやすい詐欺師すらも区別できない.最初はもちろん畑を売ることなんかおことわり.けれど偉そうな奴に親しくされて,仲間以外の誰にも本気にしてもらえない自分の野望を誉められた上に一緒にやろうだなんて言われたならば,ヒデキの心はまさに赤子の手をひねったようにくにゃっと変節.女子ソフトチームとお金を持つドナベナベと手を組みさえすれば,ヒデキの土地とドナベの金で念願のドームがおっ建ってコンサートもし放題!…という夢を目の前に吊り下げされ,ヒデキはあっさり堕ちてしまいます.

後半は終盤の畳みかけがすごいぞ! 仲間よりも恋よりもドームを建てることに執着していたヒデキはドナベナベの甘言にもう夢中.懐柔されて手をとりあってドームっちゃうつもりで胸いっぱいに夢一杯.泡食ってマコが止めにきたって時すでに遅し.あいつは狸なのだと急いで怒って諌めても,すっかりナベの虜となったヒデキはドナベとともに退場….こと頭の弱さに関しては定評のあるヒデキだから,あれは騙されてるとわかってないというのが残された連中の意見の一致するところ.その様子を目先のニンジンにひかれて走る駄馬と評するカラクリに対し,イチローはいつも自分たちのためにヒデキは必死だったと反論.ヒデキの無駄な努力は常に練馬大根ブラザーズのため.目先の欲に無軌道に従っているわけではなく,ドームのための手段を選んでいないだけなのです…駄馬だけど.
ヒデキに置いていかれたマコさんは,あれだけうざくてもいなくなれば寂しいものらしくすっかりすねている仕草が愛らしい.でも,ヒデキは抜けても仲間なんだから,政治的に怪しそうで黒幕が後ろにいそうな危険人物のところにおいておくわけにはいきません.ドーム建設は3人の約束,3人で力を合わせて建てると誓い合ったこと!…特にイチローは,ドームを3人で建てることに随分と深い思い入れがあるみたいですね.ヒデキはドームを建ててコンサートができれば良くて,イチローの場合は3人でドームを建てなきゃダメなのか.
何はともあれヒデキは悪に捕まっているから,悪を懲らしめてついでにお金を奪っちゃおうといつもの犯罪者の論理を振り回すマコにツッコミを入れずにいられない公僕のカラクリ.とはいえ目下ダメ人間への道をひたはしる女であるなら一足飛びに堕とすのも簡単.イチローがパンダをぺとっとつけたなら,カラクリの理性と本能が激闘&本能勝利.一度覚えた毛皮と肉球の快楽にはもはや逆らえない堕ちた淑女は,画面を散々占拠した上できっぱりさっぱり練馬大根の臨時メンバーとして「参戦いたし,ます!」
…練馬大根どものくだらないモラトリアムを閉じる終末の使者だったはずなのに,ついに法や国家を捨ててバカどもの一員にまで堕ちたカラクリ.怖い学校の先生がバカな生徒と一緒に暴れ出したようなもんだからこれは大変に面白い.登場当初の浮きっぷりは改善されてないというか改善する気もないだろうけど(笑)自分たちと一緒にバカをやってくれる先生というのは,もちろん生徒は呆れてしまうけど,それでもなんだか妙にうれしいものだったりするわけですよ.
てなわけで愛と平和のために戦う自己完結のバカ警官を加えた3人はおやっさんの前でレンタルプリーズを絶唱し,カラクリのセクシーさによっておやっさんは凄いの出しちゃう.さすがは人妻好み.未熟なマコの肉体よりも完熟なカラクリのほうがお好みです.…ビジュアル的には圧倒的にこの3人が勝利してるんだけど,歌声ではやっぱり一味足りない.ヒデキというかシゲルの歌唱力の凄さ,声の分厚さ,艶っぽさを逆に感じてしまうなぁ.
ちなみに不在が寂しいヒデキときたら,天下の練曲通信社でドーム模型を拝見中.夢が小さいながらも目の前にあるのは実に蠱惑的.理想のままの素敵なミニチュアを目の前にすれば,ついつい土地譲渡契約書にサインしてしまいたくなる気持ちは…わからんな(笑).どんな状況でも契約書は熟読すべきものであるし,可能ならば持ち帰って後日再度お伺いするべき.でも,そんなまっとうな理屈を自分の苗字すらわからなくなってるような奴にわかれというほうが無理だもんなぁ(苦笑).
何はともあれ今まさに訪れている練馬大根畑の危機.一筆入れて判を押せば本作終了という瀬戸際で,強襲し銃撃し恐喝しちゃう戦闘機! 凄いよおやっさん.戦闘機でヘリじゃないのにホバリング可能だなんて凄すぎだよ(笑)! しかしすっかり夢の虜なヒデキはドナベナベをかばってしまう.襲う気満々のマコさんたちの前に金を両手に姿を現し,そのまま回収されて大根畑には戻るのだけど….
いつもの3人が再び揃った大根畑.もちろん彼らの心は変わらないまま…のはずなのに,一つ狂った歯車は脆い絆を壊してしまう.ヒデキが持って来たのは真札ではなく裁断された練曲だより.いくら先制攻撃されたとしても,ドナベを救うために仲間を騙す片棒を担いだヒデキの覚悟は悲しいほど本物.これまでならば勢い余って仲間を攻撃するくらいは軽くスルーされてきたはずなのに,ヒデキはそれをわざわざ拾って自身の行為を正当化するための赦免状として使います.…そんなことをわざわざするような気の小さい男ではなかったはずなのに!
追って来たドナベナベは女子ソフト選手満載のバスで畑に乗りつけ,打球で舞台を混乱させている間に同志ヒデキを回収.いくらカラクリのキャッチが素晴らしくても,絶対に手放してはならないボールだけが逃げてドナベとともに逃げて行く! もちろんバスは言葉じゃ止まらないだけでなく,戦闘機の爆撃でだって止まらない.むしろバスから放たれた練曲だよりに視界を封じられた戦闘機が落下して爆発炎上! …おやっさんこと本作の神こと監督が貸してくれた特別な品物が,まさかカラクリとパンダのヨリを戻すためだけに使われただなんて,そんな間抜けな話って(苦笑).

仲間の乗った機体の落下に心揺らされたヒデキはさすがにたまらずバスを降り,マコとイチローの無事な姿を確認し…安心します.夕焼けの下,炎上する機体の前で自分のことを不安そうな目で見ている2人と,後ろで自分に向かって手を差し伸べるドナベナベ.自身を求める2つのちょうど中間にいるヒデキは…真っ赤な空の下,ドナベのバスへと走りだします!
練馬大根ブラザーズの目的は,ドームを建ててコンサートをやってスターになること.そしてドーム建設を仲間よりも恋よりも優先したヒデキは止める言葉も振り切って出奔! 毎度ノーマネーでフィニッシュな練馬大根ブラザーズでは,きっとドームなんか建設できるわけがない.だからといってドナベについたって,ケツの毛までむしられてほうり出されるのがオチだろう.…それじゃ,夢を叶えるには一体どうすればいい? ドナベナベのことがもし片付いたとしても,この先何をどうしたって叶わない夢だと諦めるしかないのか? 夢が叶う道はどこかにあるのかそれともないのか.先の見えない今だからこそ,どうにも切ない次回に続きます.

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