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焼きたて!!ジャぱん#66

「手にしてしまえば世界は狭まるの巻」

「焼きたて9」の第7回戦.蒸しパンテーマの下呂での闘いがついにはじまる.最強のスーパーベーキングパウダーで挑むパンダに対し,和馬が投入したのは自ら育て続けた生地そのものだった.古い生地を新しい生地に繰り返し加える老麺法によって生み出された,中華蒸しパンを作るには最高級の材料だ.
パンダは見事3度の爆発を起こし,突き立つトリプルアルプス蒸しパンを完成.それを喰った黒柳は魔術的なパンに対して奇術的なリアクションを返した.温度差によって完成する複数回の爆発は蒸しパン職人の夢.けれど和馬はトリプル笹で,そんな魔術を打ち砕く.

ゴールデンに投入するにはあまりにも挑戦的でそのまま作ったら叱られる原作をここまで必死にアニメ化してきた「ジャぱん」.関係各所の努力もあって今やすっかりゴールデンタイムの顔となりましたが,ここまでこの時間帯で原作をできるだけ矯めずによくやってきたもんだと思います.
サンライズの同テーマ作品としては偉大なる「味っ子」があるわけですが,アニメ化によって原作を越えた熱血リアクションアニメに昇華していったアニメ「味っ子」に対し,原作の「ジャぱん」はアニメ「味っ子」のような熱血リアクションものを一歩引いたところから見て笑う性悪な批判者.で,そんな根性曲がりの原作から生まれたアニメは…やや矯正されたけどもやっぱりひねてるんだよなぁ(苦笑).

前半.蒸すことによって何度も爆発し綿菓子のような仕上がりとなるらしいパンダの蒸しパン.常識ではありえない複数回の生地の爆発の原理も気になるところですが,これに対する和馬の奇手が実に印象的.和馬が持ち込んだ秘策は生地そのもの.パンダがSBPを配合して持ち込んだのと同じように,和馬は生地そのものを持ち込んだ!
もちろんこれはただの生地じゃない.老麺法で和馬が人知れず長期に渡って育て続けた凄い生地.…モナコカップに出たり日本を漫遊したりしている和馬が一体いつこの生地を育てていたのかは大変気になるところですが,状況からすれば和馬が留守の間は木下がずっと店で面倒を見ていたのではないかと.木下のコピー能力なら生地の維持くらいは十分可能でしょう.後輩の生地をひたすら育て続けなければならない不条理とか屈辱はまた別の話として(笑).そしていつの間にか抗争に介入したり銃痕つけてみたりと立派な天職に巡り合っている店長が語る老麺法の秘密.生地の4分の1を常に残して新しい生地に加え続けることにより,秘伝のタレのように生地が良くなり,ベーキングパウダーに負けないキメ細やかな生地が完成するのです.
和馬の凄い生地は負けられないこの勝負に投入されるにふさわしいもの.けれどパンダの3度の爆発も未だに恐ろしい.敵対組織との抗争だって平気な顔でくぐり抜けそうな店長すらも動揺させる,パンダこと模糊山の叶えたパン職人の夢.店長や模糊山がまだ新人であった頃に模糊山が語っていた,1度しかはじけない風船を何度もはじけさせるという途方もない発想.あの頃はただのホラ話だったけれど,今パンダの手の中でそれが現実に! 蒸すことで見事3回の爆発を起こした模糊山の蒸しパンの姿ははじけて突き立つ夢のトリプルアルプス! 普段目にする蒸しパンに比べると,鋭く切り立つパンの様子は豪放というよりは繊細に見えますね.
先に完成したパンダのパンを食らうのはもちろん審査員の黒やん.見ただけで凄いのが来ると予測しながらも義務以上の欲求でもってパンを食む! 沈黙はプレリュード.その側で静かに確実に進む導火線の炎は黒やんの体に見る間に近づき,「パンダのパンはなんちゅうパンだー!」と叫んで爆発とともに射出!さらに空中で爆発! 爆発!
リアクションとしてはネタも理解しやすいし無駄に派手だし特に文句はないのですが,キングオブアホのやらかすこととしては実際に爆破されたのがダミー人形黒やんXであったことが物足りない(苦笑).もちろん本人を射出すれば間違いなく生首…ではなく炭のかけらとなったに違いないけれど,でも,リアクションってそういうもんだろ(笑)?
ダミーを爆発させたりミニマム黒やんを降らせたり山の天辺に突如出現してみたり,テンコーさんやカッパさんのようなイリュージョンを演じることでアルプス蒸しパンの魔術的な技法を讃えてみせる黒やん.山からたったか戻ってくるところがやっぱりキングオブアホだ….
ありえないはずの3度の爆発を現実にしたタネは中の具となる栗きんとんにつけた温度差.栗きんとんを部分的に冷やすことによってそれを包む生地に温度差をつくり,オーブンの中で生地の遅れて暖まった部分が後から爆発したわけです.こうして生み出された蒸しパンは大変に繊細で柔らかな山を作り,黒やんは山の頂上に突如出現したのでありました.
…けれど,この魔術を目にしても和馬はまったくくじけない.蒸しパンそのものの技法だけなら恐らくは模糊山の圧勝.しかしこれは地域振興の目的を持ち,心安らぐパンを要求されている勝負.ゆえに和馬が選んだのは…笹! 蒸篭の中から香るのは,黒やんを死に追いやるトリプル笹の香り!

後半.いつものようにハイペースでテンション高く描写された対戦もついにクライマックスへ.和馬が差し出したトリプル笹の中華まんは,匂いからして見事に笹.しかしパンダの蒸しパンを目にしたときとは異なり,黒やんが笹3枚は勘弁しろなんて考えてるってことは喰う側には味の予測も準備もできてないご様子.河内じゃあるまいし和馬のパンに限って笹3枚のわけがない!
黒やんは予測不能の中華蒸しパンをぱくりと食い.またもや動きが止まった…と思ったら至近距離で見るにはあまりにもインパクトのある顔に変化! 老麺だから能面の白い顔.周囲をビビらせつつも悠々と敦盛をやる変態審査員.人生の無常を舞う彼は完璧なトランス状態で,内容もどうせ人生太く短く50年ってな歌だからこの人たぶん死ぬ気です.黒やんのリアクションによる命の危機はここ最近のお約束なので,もう「なんやてー!」とかわざわざ言わなくていいよ河内(苦笑).
ここまでが老麺法に対するリアクションなら,ここから先はトリプル笹に対するリアクション.見栄を切る黒やんの舞台からはみるみるうちに竹が伸び.それを見事一刀に切り捨てたなら,穂先たちは黒やんの左右に伸ばした腕と肩と頭にぷすぷすと突き刺さる(笑).「笹が刺さった」というぶっちゃけ書くのもアホらしいリアクションですが,その刺さった姿は水芸の様にさも似たり.で,実際水芸です…真っ赤な.
和馬のトリプル笹の1つ目は笹茶.しかも地元の温泉で煮出した地元の笹だろうからその味わいはきっと土地の結晶.さらに蒸すときにも笹を加えてこれで2つ目.そして3つ目は…血液が笹の効果でさらさらに! 素材ではなく喰った奴の健康を3つ目にしてるのはかなり苦しいですが(苦笑)さらさらになるのはちとまずい.さっき刺さった笹のおかげで,溢れる黒やんの血がもう止まらない! …モナコカップ編でおなじみの通りリアクションとはいえ人間は大量に血を流すと死にますんで「そういうことじゃな」で済ませられる範囲じゃないぞ和馬(苦笑).
てなわけで今回の勝者はパンタジア! 技術的レベルではトリプルアルプスが圧倒的に上であったわけですが,その技術も使いどころを誤ればむしろ逆効果というのが敗北の理由.柔らかすぎたアルプスは,朴訥で主張の強い和風の食材に合わせるにはあまりに繊細すぎたのです.それに比べれば笹は和菓子にもよく添えられる相性の良い素材.和馬は技術面の不利を素材で完全にひっくり返してみせました.ちなみに後で血を流す黒やんが死にかけてますが全員スルー.黒やんの生死など河内の職人としての腕前くらいにどうでもいいみたいですね.

己の叶えた夢に酔って溺れ肝心なことを忘れたがゆえに敗北した模糊山.手の届く範囲を世界の全てだと思い込むような人の愚かさゆえに,トリプルアルプスから離れることができなかったがゆえの納得の敗北.そしてそんな人の愚かさを知った模糊山は,なぜか本物のパンダになりました(笑).パンも食ってないのに香りだけでここまでやるなんて偉いなぁ.で,自分との戦いに負けたパンダは水乃とともにこの場を去り,後には勝者と観客と出血多量で死にそうな審査員だけが残されます.もうすぐ終了するということで作品に課せられる制約は相当緩くなっているはずですが,結構痛そうな描写の原作を水芸にアレンジして無事放映した回避技術はなかなかだよなぁとか思いつつ,次回に続きます.

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