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桜蘭高校ホスト部#1

「何かが違う天然ルーキーの巻」

良家の子女のみが集う超上流校,私立桜蘭学院.そこに成績のみで特待生として入学した庶民,藤岡ハルヒはどうしようもなく浮いていた.静かに勉強できる場所を探したハルヒが開いた音楽室の扉の向こうには,見目麗しい物好き集団,桜蘭高校ホスト部が勢ぞろい.ハルヒが運悪く800万円の壷を割ってしまったのをいいことに,彼らはハルヒをホスト部の雑用係にしてしまう.
学校の制服すら買えないド貧民の上に,見た目にもこだわりがないダサいハルヒ.しかしその素顔が中性的な美少年であったため,ホスト部ほぼ総出のお色直しの末,雑用係から正式なホストへと一気に格上げされたのだった.

現在ヒット中の少女漫画を原作として,あの五十嵐監督神がボンズとともに取り組む期待の新作「ホスト部」.監督神のことだから絶対生真面目にコメディをやってくれるはずだと放映前から大変楽しみにしていた作品です.1話を見る限りその魅力は美麗な作画と冴え渡る演出に負うところが圧倒的に大きく,ぜひとも動く映像を見ていただきたくてたまらない,逆に言えば文章レビューではろくに魅力を伝えられない可能性が高い作品であるわけですが(笑),原作を読む限り殿にツッコんでいくのは大変に面白いはずなので,いつものようにファンの皆様の広い心に思いっきり甘え,まったく身も蓋もない感じでいってみたいと思います.
1話はこの先物語を回していくための舞台作りが中心.舞台設定や主要キャラの性格や魅力が手際よく紹介されていきます.ちなみに今回最も魅力溢れるシーンは池のシーンでも追放シーンでもラストの笑顔でもなく,あの「うざい」でしょう.間違いなく.

前半.冗談みたいな豪奢な校舎と笑いさざめく上流の者どもの間で,ごく普通の庶民で主役な藤岡ハルヒは完璧に浮いておりました.冴えない私服にぼさぼさ髪で眼鏡のハルヒは,このハイソでスタイリッシュで作り物みたいな学園の中ではあからさまな異分子.勉強しようにもろくに居所がなくて仕方なく開いた音楽室の扉こそが,この先に待つ全ての珍騒動を封印していた蓋.ハルヒが開いたその中には…見目麗しい大バカと物好きたちが待ち構えていたのでありました.
私立桜蘭学院は現実離れした超上流校.そこに通うのは金と暇を持て余した上流階級の子女ばかりであり,その暇つぶしの一環として設立されたのがこのホスト部.…なんで生徒が音楽室を占拠してるのかとか,そもそも超上流校の癖にホスト部の設立が認められるってどうなのかとかツッコみたい部分は多々あるわけですが,そんな状況なんかよりも滔々と楽しげに語りまくる金髪美青年のほうがよっぽどおかしい(笑).良家の子弟ってのはこれまた随分とイタいものであるようです.金髪の変人に同じクラスの小悪魔な双子,クールな眼鏡,ショタ一直線の少年とぬぼっとした青年のコンビ.それぞれ魅力に溢れる,本作のメインキャラ一同です.ちなみにこの時点の電球は1つ.
成績のみで特待生としてこの学校に入ったハルヒは学校唯一の庶民であり,このイカれた環境に飛び込む図太い神経を持つ学校一の貧乏人な勇者.…下賎の民とか大貧民とか,確かに事実とすればそうなんでしょうが,金髪美形の変人に楽しげに言われると大変に腹の立つコメントばかり.ハルヒは一刻も早くこの異常な状況から逃げ出したいけれど,男色家扱いの上に在籍するホストどもにおもちゃにされ,しまいには変人の金髪に間近に迫られ,あわてて後ろに下がったところでさっきから異様に目立っていた壷にひっかかって…割れた!
迫られて逃げようとしたハルヒが落として割ってしまったルネの花瓶.お値段は800万円からスタートの予定.…もちろん庶民が弁償できる額ではなく,あっという間に事態は泥沼.金がなければ体で払えというわけで,例の金髪の変人から「今日から君はホスト部の犬だ!」とあまりにもご無体なご命令….ただ静かに勉強したかっただけなのに,なんだってこんなひどい目に遭わねばならないんでしょうか.そりゃ真っ白になって気絶しても仕方がないというものです.
音楽室を優雅なティールームにして営業するホスト部を構成するのは,6人のホスト+新入りの犬.金髪美形の変人が部長でキングな須王環.禁断の兄弟愛を売り物にするのがハルヒと同じクラスの双子,常陸院光・馨兄弟.大変に愛くるしい上に秀才の上に3年生という反則ショタな埴之塚光弘と,そのハニー先輩の保護者として寡黙を売りにする銛之塚崇.そしていかにも腹黒そうで最初に電球を光らせていた鳳鏡夜…というのが6人のホストで,そこに一介の庶民であるハルヒが加わったわけです.
こんな珍妙な6人に取り囲まれることになった子豚こと雑用係のハルヒ.買ってきたコーヒーがインスタントコーヒー=「庶民コーヒー」であったがために異様なまでに場が盛り上がったり,とても最上級生には見えないハニー先輩に気に入られてうさちゃんを押し付けられてみたり,「君,パスポート持ってる?」とお前逃げたら国内にはいられないと思えと鏡夜にじんわり脅迫されてみたり….ちなみにうさちゃんを押し付けようとしたハニー先輩が,ハルヒの顔を見て電球をつけておりますね.その直後に席でころころ転がる様子がどうにも異様に可愛いなぁ(笑).
ホスト部の6人にとってハルヒは目新しくて面白いおもちゃ.特に金髪バカの環はおもちゃに夢中で猫まっしぐら.中身重視で外見を気にしないハルヒを気の毒がった上,いい男は女を喜ばせることが全てと己のポリシーを聞かれてもいないのに立て板に水で語りまくり.正直この部の存在意義すらさっぱりわからんハルヒには,ナルシシズムに満ちた意味不明の妄言を吐きまくって止まらぬこのノンストップ馬鹿のことが迷惑で面倒で…「うざい」.下から覗きこんで己の美を主張しようとした環のことを,たった一言でいきなりぶった切ったのでありました(笑).
どうやら異様に打たれ弱いらしい環はずっぽり落ち込んで,ここが本作の今回の見せ場です(笑).さっきの高慢なバカがしょんぼりすねるバカに変わってしまいます.ハルヒのちょっとしたフォローで元の姿に戻るところも含め,とても同一人物とは思えないほどに可愛らしい.…ついでにこの人が天然で,しかも本性が悪い奴ではないってことも察することができますね.本当に悪い奴はこんなスネ方しませんからね(苦笑).
発言にまったく遠慮のないハルヒは実に図太い勇者なのですが,一流のお嬢様方の接客に従事するにはビジュアル面があまりにも弱い.しかしハルヒの眼鏡の下の素顔は馬鹿にしていた環を驚かせるほどの中性的な美形.かくしてホスト部の手によって,子豚は美少年に化けたのでありました.ちなみに双子がハルヒを着替えさせようとしたところでライトをつけております.かくしてハルヒは雑用係からホストへと格上げ.100人の指名客が出来れば壷代の800万はチャラとなります!…一人8万円?

後半.運命の悪戯によって借金背負ったホストとなったハルヒさん.もちろん庶民どころか普通の高校生にホスト経験なんかあるわけないから,ごく普通の会話をするのが関の山.…しかしハルヒはここでは特別.お嬢様方にとっては見たことも聞いたこともない庶民の暮らしは耳新しく,その上幼い頃に母を失っている薄幸ぶりのフレーバーまで加わったなら,淡々と語られただけでもお嬢さん方はもう夢中.母の残したレシピを頼りに料理をやっちゃういじましさすら,天然ゆえに見事に輝くテクいらずのスケこましっぷりです.うん.料理できるのはやっぱしポイント高いよね.
しかしそんな天然ルーキーの存在を憎んでやまないお嬢さんが一人.環のお得意様である綾小路姫は,そこらの馬の骨であるハルヒのことに環がやたら夢中になっているのがどうにも気に食わないご様子です.なんせ環のバカは,ハルヒのご挨拶の笑顔が可愛いだけで抱きついて振り回してますからね.彼のハルヒに対する執着はちょいと異常…というかその「お父さん」って何だよ(苦笑).そして,バカに振り回されるハルヒを救ったモリ先輩は,その途中で電球を灯らせることになります.これでついた電球は5つ.残るはニブチンでバカでマヌケなたった1つ.
たかが庶民なのに学院女子憧れの対象に寵愛されるハルヒのことを気に食わない彼女は,女の子らしい陰険な攻撃に走りました.ハルヒのカバンは中身をぶちまけられて池の中.しかしタフなハルヒの場合は,イジメられたことよりも暮らしを支える財布の方がずっと大切.部活サボって食費の入った財布を捜し池を浚っていたところを,例の馬鹿に見つかってしまいます.…青空の映る池の中,一人で水の中のハルヒをごく自然に手伝ってくれる環.自ら水も滴るいい男とか平気で言っちゃう凄いバカですが,困っている人には自分が濡れるのも構わず手伝ってくれる…結構なお人よし.青空の中で財布を捜す2人の様子や,笑う環が実に美しい.このあたり,全てに色がついているアニメだからこその美しさがあります.
折角イジメてやった綾小路姫にとって,環の助けはまさにヤブヘビ.折角困らせてやったのにそれを大好きな人が救ってしまったら逆効果もいいところ.ゆえに彼女は,さっきの顛末をハルヒに話させた末に環の手をわずらわせるなこのクソ庶民がという主旨のイヤミを実に回りくどくハルヒにぶつけます.しかしここでカウンターとして発動するハルヒの天然かつストレートな物言い.「それはつまり…焼きもち」…なんで格下の庶民に上流の自分が焼きもちなんか焼かなきゃいけないのか!
本当のことを言われてかっとなって思わず巻き込んで倒れこみ,ハルヒが乱暴したと大嘘を叫ぶ綾小路姫とそれに呆然としているハルヒ…の頭に花瓶の水をかける双子と,歩み寄って綾小路姫に引導を渡す環.被害者ぶる姫の様子は見苦しい.きれいだけれど店の客にはふさわしくないと,折角のお得意様に入店禁止を宣告! ここは女性を喜ばせることを目的とする部ではありますが,環は奴隷ではなくこの店のキング.ちなみに彼にここまで強い態度を取らせた根拠は,ハルヒが「そんな男じゃない」から.…まあ,間違いではないか.そして対応を誤り店内でもめごとを起こしたハルヒにはノルマ千人を追加オーダー.「期待してるぞ,天然ルーキー」

こうしてただの庶民の特待生は,借金と不始末の代償に1100人の指名客を取らねばならない気の毒なホストへと転がり落ちたわけですが,ここに至って実に今更な事実が判明します.濡れた服を着替えるハルヒにタオルを届けに行った環が見たのは,細見でボーイッシュだけれど間違いなく女の子の体! 女子の制服だってきちんと似合う,中性的な美少女だ! …生来の大雑把さゆえに誤解を解かずにここまで来てしまったハルヒさんの性別に激しく動揺する環.でも,これは実はかなりの高得点.可愛い女の子だと知らないままで手伝ってくれたり信じてくれたりしたからこそ,ただの物好きで迷惑でうざい変態扱いだった環の株が,さっきハルヒの中で一気に上昇したわけですからね.…真っ赤になってうろたえる環がこれまた異様に可愛いな(笑).
完全に環のペースからはじまったものの.ハルヒの正体によってパワーバランスは見事大逆転.しかも図太いハルヒさんときたら,ホストのお仕事になぜか面白味を発見してしまったご様子.「今度から,俺って言おう!」と美少女はにっこりと笑い,こうしてどうにも鈍い連中が織り成すおままごと風味のホスト部内恋愛コメディがはじまるわけです.…いやぁ,ここまで完璧な1話は滅多にないよなぁと感動しながら,次回に続きます.

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