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練馬大根ブラザーズ#12

「ここで歌っていいですか?の巻」

これまでヒデキの畑を狙ってきたドナベナベとユーケルは,時の総理大臣大泉のチルドレンだった.任期とかの都合で事を急ぐ大泉は国会議事堂ビームで2人を焼いて解任し,ヒデキとマコは彼らの突然の死にショックを受ける.大泉は練馬の民営化を断行し,軍や警察を大根畑に投入.一人で畑を守るイチローを街頭テレビで見た逃亡中のヒデキとマコは,何よりも愛するイチローのために勝ち目のない戦場へと舞い戻る.畑と仲間を守るために戦う練馬大根ブラザーズと,民営化ならぬMINEIKAのためにチルドレンどもを投下する総理大臣.練馬区の畑の真ん中で,パンダとライオンは血で血を洗う激闘を繰り広げるのだった.

たった1クールに時代と目茶苦茶を詰め込んで前のめりに倒れていく「練馬大根」もようやく最終回.監督や御大の真骨頂に達するにはあまりにも短いシリーズでしたが,最後まで歌って踊ったんだから目標完遂と言っていいんじゃないかな.最終回はメンバー総出で大バトル.この総出っぷりがなかなか徹底していて,まさかあいつらまで一緒に戦うことになるとは思いませんでした(苦笑).この世知辛い世の中で大人はいつまで夢を見てバカを続けることを許されるのか…本作がぼんやりと呟いてきたうわ言にも一つの結論が語られているような気もしますが,たぶん考えすぎの気の迷いに違いない.

前半はオープニングなしで前回の続きから.どっかで凄く聞いたことある曲調のバラードを流しつつ,夕焼け空の中をやってきたニュースとかでおなじみの建物こと国会議事堂型飛行機.それを飛ばせたのはもちろんあの人.国は私のものでおなじみ,現総理大臣の大泉首相でございます! …もちろん首相の名前はかの大泉学園から取ったものであり,現実とは何の関係もないんだよね(笑)? 首相が好きなあの歌をやるなら,曲のサビに無茶な超高音が欲しかったなぁ….
例の金ライオンバッチでモロばれしていた通り,ドナベナベもユーケルも首相シンパの大泉チルドレン.ラスボス大泉がマドンナどもを従えているのがいかにもらしいですが,「マドンナ議員」って言葉は本当のマドンナに大変失礼ではないかと思う今日この頃です.特に見た目とか失礼じゃないか? 任期もラストな大泉首相は無駄に拙速で,成果が出せないチルドレン2人はあっさりビームで解任粛清….自分の子分を人間扱いしない非情なやり方にさすがの練馬大根ブラザーズも驚きます.しかもこの総理は「練馬を,民営化します!」とかほざきやがってわけがわからない.
たとえその正体が総理の手先であったとしても,マコもヒデキも2人が消えたのが大変に悲しい.マコさんは公園の端に金魚のお墓なユーケル墓をつくり,ヒデキは野球場のホームベースの上にちんまりとドナベの墓を作ります.公園があって野球場があって…となるとつい連想してしまうのはやっぱり石神井公園かな.自分たちをどうやら騙そうとしていたドナベだけれど,ドームを建てる夢については自分と同じものだったんじゃないかと感傷に浸るヒデキはバカゆえに純真.
さてその頃,ひとりぼっちで可哀想なイチローを励ますためにパンダはカラクリに練馬大根コスプレセットを贈呈.いくら愛するものの頼みでも公僕がギャングにクラスチェンジは無茶.でも本作は無茶と冗談でできているので(笑)パンダに着せられてしまえば変態らしくその気になっちゃう.あれだけ生真面目で空気読めない奴がここまで堕ちるとは…警官としては失格でも,女性としては圧倒的に可愛い.おばさんだけど(笑).てなわけでステージのすみっこで膝を抱えてずんどこなイチロー誘ってオープニングなどおっぱじめてみようとするも,タイトルのシルエットの時点で退場.底無しです.
国の横暴と通じ合わない気持ちに落ち込むしかない練馬の空には,再び国会議事堂が飛来.例のバラードとともに軍と警察を動かしてまで民営化を断行!…明らかに民営化というよりは弾圧とか押井守に見える政府の方針.確かに痛みは伴っているように見えますが,方向性は間違ってます.
あっと言う間に戒厳令下に置かれた練馬区.たぶん既に始まっていてもう遅い戦争の中,一民間人で地主のヒデキと元アイドルのマコは段ボール箱で潜伏.しかしテレビが彼らをあっさり燻り出す.画面の中には,あの場に留まってしまった哀れなイチローの姿が! 数で押し潰される元仲間&折角育てた大根.ドームを建てることやデビューすることに目がくらみ,3人なりに積み上げてきた大切なものが今まさに失われそうになっている…となれば,助けにいかなきゃ主役じゃない!
超アイドルの地位よりもドームよりも大切なのはイチロー.夢がどれだけ叶っても,あいつがいなきゃ意味はない.…特にマコさんにとってイチローは練馬や大根やパンダよりも愛の対象.最終回だからとヤバい画も交えて大変に個人的な情愛を熱唱です.ヒデキは自分のことも顧みずもっと人類愛を歌えとかぬかしてますが,そもそも自分たちの卑小な欲のために犯罪すら厭わないお前らには人類愛はまったく似合わないし,必要ですらないと思うよ(苦笑).
官警の端くれであるカラクリはイチローを助けたいけれど国には手が出せない.イチロー自身もぱしーっと向かい来る敵の頬を叩く魅了攻撃を繰り出すものの,離れて放水されてしまうと手が届かないからもうだめっぽ…というとこでやってくる,本作主役のバカ2人! 「よくも俺のイチローをいじめ嬲ってくれたな!」ってなヒデキのおふざけとともに,練馬大根ブラザーズは立ち位置が間違ってるのを地味に修正しつつここに復活(笑)! 本作は深夜ではあるけれどその構造は監督や御大が得意とするキッズアニメそのものなので,少なくとも最終回には再結成させなきゃだめ(苦笑).相変わらず一方通行の愛情と緩すぎる友情で結ばれている3人だけど,絆の強さは絆の有無に比べれば小さい.今ここで3人でいることが何よりも重要!
舞台に主役が全員揃ったならば,敵もラスボスが出てこなきゃなりません.総理は例の議事堂機で空から攻撃し,民営化ことMINEIKAの真髄について語ります.MINなでEーかんじにIーきぶんでKAいかんを味わう,それがMINEIKA.…「EーかんじにIーきぶんでKAいかんを味わう」あたりは練馬大根ブラザーズはその体現者だと思うんですが,「MINなで」を満たすのが難しい.ヒデキたちはドームこそが「MINなで」の条件と考えていたのかな.でもこんなアバウト極まる方針を一刻の首相に全力で語られても国民は解釈に困るばかりだよ….
どうやらMINEIKAにはこの畑が不可欠らしく,ライオンの皮を着て名札のヤバい(笑)子飼いの刺客を送り込みます.ライオンの威を借るチルドレンなので着ぐるみのセレクトはもっともなんだけど,シゲルに「ライオンだー」と言わせたいだけのような気もするなぁ…(苦笑).ほんとにほんとにライオンは,大して強くはなさそうだけど数だけは多くて実に厄介.しかし練馬大根ブラザーズにだって野生の獣はちゃんといる.4人目のメンバーであるパンダが大量に増殖しライオンたちに襲いかかる! ライオン対熊.大根畑の争奪戦はまさに弱肉強食!

後半! 獣には獣で対抗する練馬大根ブラザーズ.しかしいくら熊でもパンダはあまりにも小さくふわふわのぽわぽわでラブリーだからライオンに勝てない.…これはパンダを愛するカラクリにはあまりにも酷な光景! がちがちのつまらない脇役を無駄に柔軟な変態に変えてくれたダーリンたちが倒れることで,ついにカラクリのリミッターが飛びました(笑).刑事でポリスな立場をかなぐり捨てて,ただのカラクリとなって恋人を苦しめるライオンを一気に砲撃! …その白と赤と青と黄を基調にしたパワードスーツと「覚えていますか」が他作に喧嘩を売っている上に組み合わせを間違ってるあたりもやりたい放題だ(苦笑).
普通ならライオンの着ぐるみがカラクリのまっとうな火力に勝てるわけがないんですが,彼女の背後がびんぼっちゃまでガラあきだったためにまたも大ピンチ.せっせと戦況をひっくり返しても結局数の差で押しつぶされてしまう練馬大根ブラザーズ.彼らに残された最後の手は…ヒデキが空に差し上げるNNBのカード! 金を借りてやるから助けにこいと,将来的なコストを支払うことで召還するのはあの金貸しダンサーズ! …てっきりこいつらラストは敵だと思っていたので,いきなり味方の切り札になったところに普通にびっくり(笑).でもその強さによって借金の怖さは間接的に表現されている気もするからまあいいか.ちなみに有名な会社ほど,追い込みってきついらしいよ?
ダンサーズの助力によって戦況大逆転,ヒデキは練馬を畑を舐めるなと空の総理を挑発.総理も総理でMINEIKAの暁には大根畑を毎年お参りすることを公約したりしやがるのでわけがわからん.…お参りしたいのでMINEIKAって,分けてお参りする例の場所を練馬区に作るという本当にヤバゲなネタじゃないよな(笑)? 畑に並んで育てられ社会を支える大根は,雲の上の政治家たちから見ればどうでもいい我ら一般人みたいなものかな.その大根の業績を称えるべく巨大なお大根様を崇める建物に参拝するのは,当の大根から見ればそんな施設は浅薄な人気取りだし無駄.むしろ大根は肥料とか土とか空気が欲しいです.
ヒデキの畑に作られそうなのは宗教施設でドームじゃない.宗教と政治の関係なんてのはまあこの際どうでもいいとして,その施設じゃコンサートなんかできそうにもない! 打たれ強さとバカでおなじみの練馬大根ブラザーズ,畑に勝手に生息して今ここで食客としての役割を果たそうとするパンダ隊.そんなパンダへの愛ゆえに主義すら曲げる年増の変態カラクリ.そして金のためなら何だってやる傭兵金貸しダンサーズ! イカれたレギュラー全員がついにライオンを倒そうとしたとき,総理のマジヤバなボタンによって発車されたミサイルによって,畑は紅蓮の炎に包まれた….
数の力をやっとひっくり返せたはずなのに,その喜びは炎の中で燃えかすに.舞台&自宅であったステージまでもがが炎上し,これまで地道に積み上げた夢は国の力で燃え落ちていく.やりたかったのは3人でドームをおっ建ててコンサートをやってビッグになる,たったそれだけのこと.なのに周囲は全力で邪魔する.ビッグになるのが嫌だから邪魔されるなら話もわかるんだけど,お大根様を拝める施設は3人の夢には何の関係もないじゃないか!
この世界の理不尽に打ちのめされる練馬大根ブラザーズ.目の前で燃える夢にヒデキは「なんでだー!」と絶叫…どうしてやりたいことを邪魔するのだろう.歌う場所を焼くんだろう.確かにギャングではあるけれど,ここまでされることなんか,これまで一度もやりたくてもできなかったってのに! さらにビームに撃たれたカラクリがライオンになって寝返ったりドナベやユーケルが突如復活して襲いかかったり.こいつはさすがに打つ手なし…?
しかしまだレギュラーは一人残っている! 担当した作品には必ず顔を出すおかしい方のナベシン監督ことおやっさんが,建物の一部とともに(笑)ご登場! …あまりにも戦況がごろごろ転がっていたのですっかり忘れていましたが,そもそも練馬大根ブラザーズはおやっさんという神の手を借りなければまったくの無力.しかし首尾よくレンタルできれば,何よりも強くなるのが本作のお約束! 歌う元気を失ったヒデキたちに金のマイクを差し出す監督.「お前らのシャウト,最高だぜ.歌え!」

畑もステージも焦土と化し,ヒデキたちに残ったのはただの歌だけ.しかしその歌は神に愛され望まれたもの.アカペラで全ての力を込めてシャウトしたなら,その歌は人の心に届く! 金では買えない果てしない夢を求めてここにいるだけじゃないか.その行為がどれだけ無駄で滑稽でも,こちとら好きでやっているんだ文句があるか!
…卑小すぎる夢は歌に乗り飛翔して,その衝撃は練馬の悲傷を見事に払う.見下ろす者の目線では分からない些細で重要な現実が人の心を正気に戻します.歌はいいもんで,夢もいいもんで,それを一方的にくじくのは悪いことっぽい.3人を逮捕するために出てきたカラクリがついには取り込まれてしまったように,3人の夢を潰そうと頑張ってきたこの世界も,ついに彼らの存在意義を考えはじめたようです.
本作は愚かな大人のモラトリアムの物語.数々の障害によってその続行が毎度妨害されまくってきたわけですが,12話かけてなんとか世界から手にいれたのは「とりあえず今はまだいいかな?」程度のごくわずかな許容と猶予.けれど世界から否定されまくるところから始まった彼らにすれば,この許しにはステージ兼自宅を失っただけの価値があったはずです.たぶん.きっと.
この先世界がカラクリのように彼らの存在を許すようになるかどうかは見えないけれど,ここには畑もダイコンも仲間も夢もあり,そして世界が与えてくれた時間がある.その時間が無駄に終わるのかはたまた花を咲かせる肥料になるかはわからないけれど,練馬大根たちはまだまだここで,あがいていけるのです.

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