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デジモンセイバーズ#1

「喧嘩はいつでも命がけの巻」

人が暮らすこの世界に憧れて逃げ出した別の世界の生物は,海の見える公園で天下一の喧嘩番長に出会った.相手が強ければ人数どころか種族すら問わない喧嘩バカの大門マサルは,異世界からやってきた謎の生物と素手の喧嘩を繰り広げ,ついにはその生物を自分の子分として従える.謎の生物ことアグモンは変な女に追われていて,マサルは子分を庇って逃亡.しかしひどく腹を減らせたアグモンが食べられるのは特定のエサだけだとその変な女に教えられ,仕方なくマサルは変な女の基地にエサを貰いに出向くのだった

このサイトにとってはずっとおなじみであった「ガッシュ」の後継作品となる「セイバーズ」.「デジモン」シリーズは90年代終盤から00年代初頭を代表する東映のキッズ向け傑作シリーズで,特に当時小学生だった少年たちには多大なる影響と共有できる世代の記憶を残した作品です.前シリーズは連続して数年を走り,コンテンツとして息が切れたところで「ガッシュ」に代わり,そして3年を経て再びここで復帰したわけですね.
キャラデザインなどは一新していますがモンスターデザインや基本的世界設定に関しては旧来と同じ路線で,あえて大看板を背負って立つご様子.当時は漫然と飲み込んでいた小学生が口やかましい中高生になっていることがいろんな意味でおっかない気がしますが(苦笑)本来卒業していて当然な連中にはあえて媚びず,しかしただのアニメとしての完成度ではなく,栄光ある「デジモン」シリーズに名を刻める物語をぜひ追求していただきたい.
てなわけで1話は…冒頭の斬新具合がすげえなぁ(笑).わざわざ前に出すぎる主役というのはなかなか珍しい逸材なので,ぜひ陽性の主役として,決して挫けることなくどこまでも拳をふるいまくるといいと思います.さらに主役が凄まじい行動力で圧倒するので見逃しがちになりますが,ちゃんとあちこちに繊細な伏線が張られている感じです…これ,時間はかかるだろうけど先々いい感じに転がっていきそうな気がするな.

この世界とは別の世界からやってきたモノたちが人間社会にちょっぴり異変を起こす時代のお話.別の世界をデジタルワールド,そこに住むモノたちをデジタルモンスターとかデジモンとか言うんだけどまあ細かいことは後でやるから置いておこう.物語はデジモンを捕まえたりしてる施設から,仮称ラプター1が脱走したところからはじまります.ラプター1を追いかけるDATSという組織は完全な秘密組織ってわけではなく,エージェントの権限は封鎖している警察よりも強いご様子.現実の各種組織と一体どんな連携してるんだろう….
舞台は横浜の港湾地区.ラプター1を追う藤枝ヨシノは見えない相棒とともに移動中.彼女が見たのは公園で倒れ伏す被害者ども.それにこの惨状の中で生き残ったらしい紅いジャケットの少年が,仮称ラプター1と交戦中っていうか喧嘩? 目の前のなんだかよくわからんモノに真正面から喧嘩を売るこの少年は,自称日本一の喧嘩番長,大門マサル…いくら東映でも,この時代にか(苦笑)?
行動が異常過ぎるこの少年に対し,ラプター1の方も妙にノッてしまっておかしなことに.一介の民間人がモンスターと素手で戦闘するのは,モンスターを管理する組織からすれば悪夢のような光景のはず.一歩間違えば死んでもおかしくないですからね.しかしそんな危険から一歩も引かずに男と男の戦いを繰り広げるマサルの神経がよくわかりません.ド偉く太いのか,あるいはとっくの昔にブチ切れてしまっているのか….
てなわけで頭の悪い民間人と同じくらい頭の悪いラプター1のタイマンは気迫で続行! クロスカウンターの画の頭の悪さが素晴らし過ぎる(笑).パンチを完全に見切ってみたり即座にキックで反撃してみたり.お互い種族に対しての疑問を欠片も抱くことなくリアルファイトに勤しむ2人…ただし,ここでマサルのパンチがラプター1にダメージを与えているのは,それなりに特殊な才能らしい.
結果,太陽が落ちるまで拳を握り殴り合って,傷だらけのーままでやるじゃん,となんか友情が芽生えてしまったラプター1改めアグモンと大門マサル.互いに一人前の男として認めあった2人はそのまま流れで兄弟の契りを結びます.マサルが兄でアグモンが弟.前作が電脳世界に対する洞察をベースにした割と理系の作品だったのに比べると,本作があまりにも違いすぎるのが異様におかしい.…これは旧作の知識がないと笑えないかもな.
ようやく事態が沈静化したところでついに介入してくるのが,呆れて見守ってしまったDATSのヨシノ.彼女はララモンという彼女のモンスターをどこからか呼び出し,アグモンの確保にかかろうとします.彼女たちに捕まると処分されてしまう.これは子分の大ピンチ! ゆえに兄貴は2体のモンスターの攻撃が激突した隙に弟分を連れて逃走.バトルバカですが意外と面倒見のいい男です.
一人と一匹が逃げ込んだのは横浜の名所の1つである某灯台.夜になっても外は警察がうろうろしていて,ろくに出歩くこともできない.さっきマサルの子分になった寸詰まりの間抜けなモンスター,アグモン自身にも施設から逃げてきた以外の心当たりもなく…けれど兄貴は決して弟を見捨てない.乗りかかった船は,たとえ泥舟だろうとなんとかするのが男の心意気!
そして子分の腹具合だって,何とかするのが兄貴の心意気.なんせマサルはモンスターからすればうまそうなため(笑)このままでは理性を失った弟に食われかねない.お尋ね者の子分とついでに自分の危機を救うべく食料調達に出かけるマサル兄貴は,「絶対そこを動くなよ!」と弟に厳命した上,コンビニへと買出しに出かけます.
ところであの変な生き物は一体何を食べるのか.よくわからないのでとりあえず食い物をいろいろ買ってみたマサルの籠に,勝手にコーヒーゼリーを入れてくるのがさっきの女.彼女はただコーヒーゼリーを堪能しに来たわけではなく,完全にマサルの個人情報を把握した上でラプター1についての自供を求めにきたご様子.彼女はDigital Accident Tactics Squadの隊員で,ついでにアグモンに食えるエサはDATS基地に行かねば手に入らない.…つうかお前,あれをカエルと間違うのにはかなりの無理が…(苦笑).

以上のような成り行きでマサルを連れて謎のDATS基地に戻ったヨシノ.マサルが目にしたのは実にSFのセットっぽい基地と,人間たちと一緒に働く子分と似た感じのデジモンたち.隊長は貫禄あるおっさんの薩摩さん.でも首に小さいデジモン,クダモンを巻いているので.たぶんそのまま外に出ると一般人は即座に離れていくんじゃないかと思います.
この組織が人間とデジモンが手を取り合ってデジモン犯罪に挑む組織であったり,この世界ともう1つの世界の壁が崩れて調和が乱れそうであったりとかはもうどうでもよく,マサルが欲しいのは子分のエサのみ.けれどそのエサは子分を捕まえるための協力と引き換え…ってな理論は当然気に食わない! どうも子分の類は人を傷つける危険な存在らしいけど,だからって頭ごなしに押さえつけるのは勘弁ならない!
兄貴としては弟分を自分が売ることはできない.アグモンは何もしていないとマサルは信じているし,こっちに憧れて出てきた田舎モノを何も聞かずに強制送還だっておかしい.だから協力はしないけど暴れないようにはするからエサはよこせ!というのが結論が…気持ちいいくらいに筋の通ったわがままだなあ(苦笑).
そこに急を告げる報せが.埠頭近くのハンバーガーショップが謎生物に教われたという連絡に,そりゃあれの仕業だろうとマサルは責められてしまって早速真偽を確かめにいくことに.さくっと移動して隠し場所に行くものの,そこにはアグモンの姿がない….で,ここのマサルの思考パターンが実に面白い.逃げた弟分が悪いのではなく,ついてなかった自分が悪いと即座に自罰している.これは相当の親分肌でしかも自分に対する理想がかなり高いタイプみたいだ.このタイプ,勝手に自分で重荷を背負って最後には動けなくなることがあるんだけど,この先大丈夫か?
夜を揺るがす爆発音,明るく舞い上がる火の粉.弟の仕業かとあわてて現場に出るマサルが狼藉を止めるために叫んで呼んでいると…あんまり雰囲気読んでない感じで間抜けなアグモン登場! 食べ物探してゴミ箱かぶって抜けなくなった…って,お前は野良犬か(苦笑).
主役としてゴミあさりはどうなのかってなことはさておき,今ここで起きている事件は冤罪.真の下手人は炎の鳥型モンスター,コカトリモン! 着せられた濡れ衣にはしっかりお返ししなきゃいけないし,その上相手は無駄に強そう.マサルが見上げなければならないほどの巨大な凶鳥は…きっと彼が出会った中でも,ぶっちぎりで強そうな喧嘩相手だ(笑)!
巨大な鳥モンスター対バカ少年&小さいモンスター.普通この状況で組みつきに行く奴はどうかしているわけですが,マサルはどうかしているので迷わない.アグモンもちゃんと兄貴を小さな炎で援護.悲しいくらいにフォーメーションがおかしい…(笑).強いモノに挑む快楽に正直なバカは「男の喧嘩は常に命賭け!」と凄く頭の悪い主張全開.でももしこのテーマで最後まで貫けたなら,本作は実に珍しい作品になるはずです.
運悪く爆発にやられてアグモンが吹っ飛び,兄貴は弟の側にあわてて走ります.倒れたアグモンの姿に怒りをほとばしらせるマサルの拳はコカトリモンの頬に見事ヒットする…だけでなく,これまで感じたことのない奇妙な感覚が波紋のように広がって,拳に宿り….
この拳に宿ったなにかこそ「デジソウル」.そしてたまたま居合わせた釣りのおっさんの導きにより,拳のデジソウルをデジヴァイスでアグモンに与えてデジタルチャージで進化! この下りの詳しい説明については次回以降をお楽しみに.原理は不明ながらもアグモンはでかいジオグレイモンとなり,コカトリモンを焼いて倒し,卵に戻したのでありました.

折角かっこいい恐竜型のでかいモンスターになったのに,すぐに縮んで間抜けな弟分に戻ってしまうアグモン.彼はすっかり腹が減っている上に無実で潔白.ハンバーガーショップを襲った奴はさっきの化け物で,さらに公園で不良を倒したのは…やっぱりマサル(笑).まあ,このようにして,この手の召喚モノとしては実に珍しい,成り行きや愚かさではなく,はっきりとした意志で最前線に出て行く召喚士が誕生したのです.
結果的に最前線でひどい目に遭う召喚役の主役はよく目にするし,マサルのような突出するバカは脇役としてはよく目にします.しかしこの完全な脇役属性を主役に据えるには,これまでの蓄積だけではきっと無理のはず.ではマサルは一体どんな手段で,この先主役になっていくんだろうか….うまく回ればいい熱血具合の娯楽作になるはずと楽しみにしつつ,次回に続きます.

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