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桜蘭高校ホスト部#6

「学び鍛えて師匠を越えろの巻」

ホストとして女の子を喜ばせる方法を学びたいと,初等部の少年,鷹凰子嗣郎が一応キングである環に弟子入りを志願してきた.ハニー先輩と違い本当に幼い彼は,子供の無垢な目と遠慮のない舌で部の営業を妨害しまくる.けれど一刻も速く女の子を喜ばせたいという強い気持ちに嘘はない.既にホスト部にはハニー先輩というショタの大家はいるものの,少年はそのキャラからしてやんちゃ系で行くがよろしかろうと大騒ぎするホスト部に少年は幻滅.これであいつが喜ぶわけがないと部を逃げ出してしまう.

毎度ハイレベルな大騒ぎを繰り広げ,きちんとできていて当たり前という状況に突入しつつある「ホスト部」.スタートからラストまで一定以上の品質を保つことは滅多にできることではなく,さすがにやや息切れしてきた今ですらもこの品質ってのは驚異的.実にいいもん見せてもらってますよ.
独特で憎めないキャラ設定や,美麗な作画に冴えた演出…と本作を褒める言葉はいろいろありますが,今回は声優の面で聞き所満載.ゲスト,やんちゃ系の少年にキャスティングされた竹内氏の演技が凄い.今でこそ女性キャラも目立ってますが元々は活発な少年役の大家.しかも最も得意とするきかん坊で一本気な少年ではなく,気は強いけれど初々しさと品の良さを感じられる少年の演技が素晴らしい.特に不自然さを感じさせないたどたどしさの表現は必聴です.

前半.今回のゲストとなる初等部の嗣郎少年.顧問教師に見込まれるほどのピアノの才能の持ち主のようですが,時間がないらしい彼は今すぐ何かをなんとかしたい様子.将来女にもてるのでは回りくどくて間に合わないって,なんだってこんな幼いのに生き急いでいるかについてはこの先で明らかになっていきます.…そんな作品じゃないと知っていても,音楽室に少年と教師が2人きりって無駄にどきどきしますな(笑).
彼が目指したのはあの南校舎の最上階,使われてない音楽室…今日はアラビアの王宮仕様のおなじみホスト部! 視聴者的にはこの少年の選択は間違っているとしか思えないわけですが(笑)嗣郎少年は環のことをキングと読んでみたり弟子入り志願してみたりと間違い放題.環はキングというよりは殿だし,殿と言うよりはバカ殿なのに….
てなわけで環には謎のお弟子ができたものの,この弟子がびっくりするほどできてない.師匠である環の接客だけでなくホスト部全体の営業を妨害しまくり.環が接客しているお嬢さんのことを鮒呼ばわりって,唇が個性的なチャーミングなお嬢さんに少年,それはないだろう(笑).でも露骨に持ち上げまくっていた環が釣られて墓穴を掘ってるのがなお悪い(苦笑).「子どもは素直」とか「仮に鮒だとしてもそれは美しい鮒で…」とかはちっともフォローになってねえ.環自身の本質が実に天真爛漫で正直なのが悪い方に転がってます.まあ,この程度の転がりはいつもですけどね!
純真でストレートな少年からすればホスト部は魔窟.絶好調で美形兄弟ホモ芸を披露中のキンカンヨーカンな双子,初等部の癖になぜか高等部の制服を着て,でかい高等部の仲間を連れている奴,そしてオカマ.…ハニー先輩とハルヒさんがその外見と真実によって著しく誤解されております(苦笑).少年,ハルヒさんは状況的にはオカマとは逆ベクトルの存在だよ….
少年の目は純真で,少年の魂は純粋で,その魂のままに行動する彼は接客業には明らかに向いてない.預けられた食器セットをいきなり落としてその罪を詫びようともしない上に,10万の損失を食らわせたハルヒをけなす彼はあまりにもひどく,さすがの師匠も怒りました.…恐らく弟子入りしてから1時間程度の話じゃないかと思いますが,それだけの時間で牢に入れられるような嗣郎少年を弟子に取った環はさすがです(笑).
天井から降りてくる檻のことはまあ金持ちの道楽とスルーするとして,あっと言う間に嗣郎少年を見損なった環師匠.環が彼を認められるのはキングと呼んでくれること…ではなくてホストになりたいという熱意のみ.檻の中でホストになりたいと絶叫し「時間がないんだよぅ…教えてくれよぅ…」と弱音を吐く少年.竹内氏のこのあたりの言いっぷりが実にいい感じです.
女の子を喜ばせるためならばあの環のことを「天才」と呼ぶことすら厭わない捨て身の嗣郎少年の態度に環の心はまたもぐらぐら.普段,仲間からはまったく褒められていないがゆえの誉められることへの飢えっぷりがおかしい…(笑).その本気を認めた環はお前は俺に似ていると嗣郎少年に対し失礼なことを言い,女を喜ばせることができないホストはホストではないと,少年ホスト再建計画を実行します.
女性を喜ばせるためにはまず自分が輝かねばなりません.そして自分を輝かせるには,自身の資質を十二分に生かさねばならないのです.現在のホスト部は王子,ワイルド,ロリショタ,小悪魔,クール,優等生天然と完璧な布陣を誇るわけですが,ここに少年をどう加えるかが問題.なんせショタ席にはハニー先輩(最上級生)が鎮座してますんで,ここに少年を足すのはかぶるよなぁと常識的な判断を下す一同のところに出現する,ホスト部の誇る強力モーター!
せり上がりが設置されていることについては金持ちの道楽とスルーすることにして,マニアなかえでさんは一同のキャラ分析の鈍さをばっさりと斬る.ショタは年代あるいは容姿の嗜好を示すだけのアバウトな定義であり,そこに性格その他のサブタイプが加わることでより詳細に分類することができます.ハニー先輩はロリショタの王道だが,少年が属すのはやんちゃ系!
やんちゃの基本は半ズボンと膝や頬に傷.そして走って豪快に転んで「別に…どうってことない」と強がってみせる仕草.よく正統派のロリショタとコンビを組まされ時にはカップリングされる対の典型で,確かに今のホスト部にはいない.少年の演技っぷりにパーフェクツ!とれんげが哄笑するという状況の狂いっぷりに,この人たちは阿呆だと今更気がついた嗣郎少年はついに魔窟より逃走….気になるのはなんで彼があれほど一生懸命だったのか.喜ばせたかったアイツって誰?

後半.魔窟から逃走した弟子の事情を調べるべく,ホスト部はその総力をあげて初等部に潜入することに.まあ,ロリショタのハニー先輩が選抜されるのは予定調和なわけですが,ハルヒさんに中等部の女子制服を着せて潜入させてどうしようってのか…って,もちろんハルヒさんの可愛い姿を見るためだけの意図しかない(苦笑).高等部から入ってきた上に普段は男子制服のハルヒさんの幻の過去の姿を捏造してみたかった男心はわからないでもないですが,当人にとってはいい迷惑.
というわけでホスト部一同揃って初等部に侵入.特殊潜入舞台の意義がなくなったところで先生来襲! あわてて隠れざわめく一同に向かって「お口にチャック!」と動作つきで諌めるハルヒが可愛らしいなぁ(笑).このざっくりした彼女の子ども時代は一体どんな姿だったのやら….さらに重要な物証を発見したのは鏡夜.ピアノの連弾をする笑顔の嗣郎少年と見知らぬ少女の写真を見つけたあとは,もう後半なのであっさりと少年の事情が明らかになります.
嗣郎少年の意中の人はあの少女,神城雛.彼女の奏でるピアノの音色をじっと目を閉じて味わっているあたり,片思い街道を探索中のご様子.しかも初等部生徒の証言によれば彼女はもうじきドイツへと引越しの予定.1話完結なのであんまりひねってはおりません.嗣郎少年が雛嬢のために魔窟に踏み込んだことは明らかで….事情のバレた嗣郎少年を肩に担ぎ上げて持って行く環師匠.彼には教育が必要です.
個人的な事情を探られた少年はもちろん怒るわけですが,状況を把握した環師匠は「馬鹿はお前だ!」と一喝.彼女を喜ばせたいという気持ちは間違っていないものの,ここで学べるのは不特定多数のお嬢さんを喜ばせる方法と先輩たちの変態ぶりだけ.少年が今すぐに学ばねばならないのはたった一人を喜ばせる何か.ホストとしてではなく,一人の男として向き合うための何か!「お前が目指すのは,一人前のホストじゃなくて,一人前の男だろう…!」…音楽が無駄に高尚で盛り上がり最高潮.作品ぐるみで説教をぶちかます環を持ち上げまくりです.
もう時間がないってのに既にあきらめムードの嗣郎少年.けれど今更彼女のピアノを聴いたって,少年本人はともかく彼女の心がどうなるってもんでもないから…環が出したのがグランドピアノ.一応音楽室だからピアノがあるのは当然です(笑).しかも華麗に弾きこなしてみせるあたりがさすがはキング.普段はうざくて面白すぎるオバカさんでおもちゃな彼ですが,総合的なスペックはホスト部内では最も優れていそうだ.…少年が好きなのは聞くだけのピアノではなくピアノを弾く彼女の笑顔.ゆえに少年は師匠から学ばねばなりません.彼女と一緒に弾くための連弾曲を!

1週間後.ホスト部の総力を結集し,神城雛嬢のためだけに準備された特別な音楽会.もちろんメインは1週間の修行の果てに雛嬢の隣に座れるようになった嗣郎少年.まだ幼い2人のハーモニーは美しく響き,別れる直前で2人は結びついたのでありました.…弟子の一途に人を恋うところは自分も似ているのだと環は主張し,ハルヒさんにいいとこを見せまくったあたりがきっと頂点! そして! ここまで徹底して持ち上げたからには一気に落とさねばなりません(笑)!
環の特訓により雛嬢とうまくいったはずなのに,なんとホスト部に居ついてしまった嗣郎少年! しかも師匠の客も根こそぎ奪う極悪ぶり! あの師匠にしてこの弟子あり.「あんたほんとにそれでもホストキング?」とか言われてしまうわハルヒにも見損なわれるわと環は毎度ながら悲惨なことに(苦笑).…どこまでも持ち上げられる能力と,どこまでも落とせる上に落としてもあんまり可哀想でなく面白いという性格を兼ね備えた環は,コメディの主役としては大変に魅力的なキャラクターだと思いつつ,次回に続きます.

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