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機動警察パトレイバー#5

「自分のケツは自分で拭けの巻」

秋の気配も色濃い富士山麓で,自衛隊は極秘裏に1機のレイバーを追っていた.97式やヘリを大量に投入しさらには火器まで使いながらも,人工知能によって無人コントロールされるTYPE-X10は停止しない.ついには力及ばぬ民間の地へと逃げ出した暴走レイバーを止めるため,極秘のうちに第2小隊が招聘される.自衛隊は自分たちでも止めきれなかったような軍用機の出どころを隠し,警視庁にその後始末を押しつけようとしているのだ.

当時のアニメとしては革新的だった「パトレイバー」.もちろんSF仕立ての作品は大量にあったわけですが,いくつかの特定テーマやアイデアを柱として物語が展開するものがほとんどであり,本作のように特段の柱もなく,オムニバス的に物語が続くというのはロボットの出るテレビアニメとしては大変に珍しかったし,今でもやっぱり珍しい.これだけの話の幅を可能にしたのは,複数の趣味の異なるスタッフが立ち上げ段階から一緒に活動してきたからでしょうね.
てなわけで前回の怪獣退治なノリに引き続く今回,特車二課は富士の裾野でミステリアスな事件に挑むことになります.…まあ,ちゃんと間抜けなオチはつくんだけど(笑).今回は今をときめく高松監督の演出回で,大変深刻な状況が転がるように間抜けな方向に向かっていく様がとても愛らしい.

前半.秋の気配の富士山麓.登山道なんかは人気もなくてあんなこともこんなこともやり放題…っていうか,なんか前回と状況が大変よく似てるのな(苦笑).秋の山には普通なら熊とか出るわけですが,この時代には毛有毛現が出たりレイバーが出たりとなかなか難儀.しかも今回のゲストは謎のレイバー・TYPE-X10.さらに追跡する大量の陸自のヘリつきとくればデートの甘さなんか吹っ飛びます.この事態,恐らくは前回よりもずっと社会的に危険です.
もちろんそんなことが起きているとは知らない特車二課は今日も元気に埋立地で待機任務中.競馬の予想をしたりトマトの脇芽を摘んだりと勤務中とは思えない活動に勤しむ彼らを呼び出す1本の電話….本庁のお荷物をわざわざ御殿場あたりまで出張らせる理由は,視聴者的にはどう見ても冒頭のアレにぶつける以外は考えられないものの,作中のキャラたちはそんな事情はわからないままに出動することになります.
ここで巧妙なのが1号機トリオのトマト畑でのささやかな描写.ひろみの警官としての適性話の一環で,遊馬が「素手で倒せるんじゃないか」とかさらりとうかつな発言をするわけですが(笑),この部分が今回の真のオチになっているところ.状況を知っている視聴者が当然読んでいる展開をデコイにして,さらに先に繋がっていくのが小気味いい.
後藤隊長すら東名高速で御殿場インターに向かえ程度の情報しかないままで出動する第二小隊.しかも緊急出動なのにサイレンなしの極秘出動…って,あの馬鹿でかいレイバーキャリアはサイレンなしでも十分目立つと思うがどうか? 彼らが目指すのは国道138号.現在は路面の亀裂が原因という名目で封鎖中の….
国を揺るがす大事を隠蔽するため,第2小隊に限らず現場には事情がまったくわからない.山梨県警も上からの指示で国道を閉鎖しているものの,彼らはその原因となったはずの道路の亀裂なんか見ちゃいない.あからさまな嘘で閉鎖された山中湖付近に関する情報は,二課に残った南雲隊長でも探れないほどの情報統制がされている….道路封鎖がされる前に二課はここに極秘理に呼び出され,警察内部であっても山中湖一帯に関わる事件の情報が一切流れない,この一帯で何か,表に出せないことが起きているのは明白です.
さて,その明白な理由である逃走中の大型レイバーは現在も逃走中.陸自97式の火力にすら耐えてあっさり蹴散らすスーパーマシン.前回の謎の生物とは勝負にならないほどの強さを持つ,偉大なるTYPE-X10.こんな堅くて強そうな奴,正直あの細くて柔らかそうなイングラムじゃ勝負にならない気がします.普通の警官が横綱を取り押さえにいくようなもんだからなぁ….
しかもこの横綱の中身は空.自衛隊が秘密裏に開発した人工知能搭載型の無人機が暴走してこんな状態に陥っているだなんて,なんて豪快な不祥事! イングラムを含め通常のレイバーにも人工知能は搭載されてるんですが,それらは動作学習の補助に過ぎないはずで,自律行動しているX10の中身とは制御のレベルが違います.しかもこのレイバー,都市制圧モードなる洒落にならないステータスで暴走中.…そんなモードを搭載しちゃうだなんて,心底嫌な自衛隊だ(苦笑).
自分たちの不始末を自分たちで片づけることもできず,ついには取り逃がした上に特車二課に押しつけるというもうどうしようもない自衛隊.道に沿って御殿場に向かうという情報のみを警察に与え,自分たちは無関係を決め込むために塗料弾を放って型番を隠蔽しちゃうんだから本当に最悪.…ちなみにこの暴走状況,劇場版1冒頭と比べるとその重みがあまりに違いすぎてそっちの面でもファンの笑いを誘います.

後半.理由もわからず呼び出され,富士の裾野で延々と待ち続けた第2小隊についに入った任務指令は,当然ながらあの暴走レイバーを止めること! しかも例の行動モードのためにレイバーを見たら攻撃してくるというおまけ情報つき.ただしレイバー運用のプロ集団の端くれである彼らからすれば,ささやかなおまけ情報でも状況を把握するには十分な量.通常のレイバーではありえない機能を持つそれを作って暴走させたのは,どう考えたって自衛隊!
内々に処理しようとしたのを失敗したときの保険として,自分たちが事前に呼び出されたのだと理解した一同.火器を積んだ軍用機を警察の機体で止めさせようだなんて無茶にも程があるわけですが,それを今まさに押しつけられようとしているわけです.特に直接敵に立ち向かわねばならないフォワードの負担は大きすぎる…でも,遊馬は命令するだけで拭うのは自分じゃないかと抗議するのは下品だよ野明(苦笑).しかもこの部分もただの軽口で終わらずに,きちんとオチに繋がっていくんだから心憎いよなぁ.
いくら怖くても勝ち目がなくても,警官としてあんな危ないものを御殿場で野放しにするわけにはいかないから,2機のイングラムで自衛隊の尻拭いを開始.対象は山中湖の非常線を楽々と突破して138号で御殿場へと接近.第2小隊は広い造成地をこの先のバトルの舞台に選び,デッキアップして待ち構えます.ちなみに軍用機と戦えることに太田は仕留めてやるとハイテンション.本当に前回とよく似た状況だ…(苦笑).
わずかな指示から状況を完全に掴んだ第2小隊の前についに出現した,ド派手な色の未知のレイバー.この数時間ずーっと起動中だなんて一体どんなヤバげな動力を積んでいるのやら(苦笑).自らをオトリとして敵を造成地に誘い込み,2体でなんとか動きを止めて沈黙させたいわけだけど,さすが横綱一筋縄ではいきません.なんせイングラムのリボルバーカノン程度じゃ蚊が止まったようなもの.むしろ向こうの砲撃のほうがずっとずっと厳しい.
搭乗者の泡食った姿が見えそうな,実に人間らしい柔軟な走りっぷりで砲撃の中を逃げ惑うイングラム.指揮車からの,相手に弾を使わせろという指示なんかまともに聞く余裕なんかありゃしない.そして香貫花は,太田の銃に関しては一切期待してはならないことを早急に認めるべきではあるまいか.
相手の砲撃そのものは間一髪でかわせたものの,背後に着弾したことによる衝撃波の発生で倒れる2号機.これを守るために1号機が前に出て敵レイバーを体で止めて,さらに持ち直した2号機の追い討ちによってようやく相手を倒す! てなわけで2機がひたすら粘った結果,ついに敵の名が明らかになります.はげたペイントの下には自衛隊の試作機という出自を示す「X10」の文字がくっきりと.これが明らかになれば社会問題化は確実! これまでひどい目に遭わせてくれた自衛隊に嫌がらせする素敵なチャンスの到来です(笑)!
太田はいつものように無駄弾を撃ち終わって弾切れに.野明も相手の砲撃を避けるだけで精一杯…というところでX-10はついに弾切れ,飛び道具さえなくなれば,2対1ならさすがに鎮圧できるかな?と思ったけれど,相手は横綱なのでまったく動きを止められない.一時的に動きを止めることはできたとしても,民生機と違ってあまりにも頑丈な機体は足を折ることすら難しい.
こりゃやっぱり普通に正面から止めるのは無理だから,なんとか中から止めるべき,という遊馬の意見.…そして絶対このコメントを待っていたに違いない後藤は「篠原,やってくれる?」と無情にも言いだしっぺにふりました(苦笑).「遊馬さんの方が素手でやりあうことになりましたね!」とひろみも応援してくれてます.さあ,ここは頑張れ傍観者!

イングラム対軍の暴走レイバーというバレバレで予想されていた構図が一転,遊馬対軍の暴走レイバーという構図に切り替わってしまったあたりが当事者には大変お気の毒.X10にイングラムで組み付く野明も確かに危険ではありますが,生身で暴走軍用レイバーに乗り込むハメに陥った奴に比べれば桁違いに安全だ(苦笑).命の危機を何度も感じつつようやく敵機に乗り込んだ遊馬は,持ち前のレイバー知識で機体を把握してようやく鎮圧.好き勝手なことを言っていると必ずやしっぺ返しを喰らうという教訓をその身で示してくれてお疲れ様(笑).
そう.適当に口だけで他人を動かして尻拭いをさせていれば,必ずやどこかでその代償を支払うハメに陥るのです.夕方.暴走レイバーを止めた一同は東京に戻るわけですが,彼らはあのレイバーを止めただけで証拠隠滅していません.上からは破壊せよと命令を受けていたものの…「しょうがないだろ,頑丈で壊れなかったんだから!」.壊せなくてもあの機種名くらいはいくらでも隠せたはずなんですが,そんな命令は受けてないから慰謝料代わりにそのまま放置(笑).責任からは逃げようがないという教訓らしきものに笑いつつ,次回に続きます.

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