« 桜蘭高校ホスト部#10 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#11 »

機動警察パトレイバー#10

「色とりどりのクール・ビューティの巻」

クリスマスイブに来日していた香貫花の祖母,レイ・クランシー.若き日のある思い出を追う彼女は,香貫花にわずかな伝言を残してホテルから失踪する.一刻も早く祖母を探したい香貫花.しかし頃を同じくして起きた事件のために捜査を断念せざるを得ない.事件の現場は東京テレポートへと繋がる橋の上.不法に持ち込まれた軍用レイバーと謎の白い顔のレイバーが狙っているのは,特車二課のイングラムだった.

シリアスからナンセンスパロディまで独自の世界観の中できっちりこなす「パトレイバー」.なんでもこなすお手本である彼らが今回演じるのは2話連続のどシリアス.これまでのおかしな雰囲気はどこへやら,なかなか見ごたえのある重厚なドラマがクリスマスの東京を舞台に展開されます.懸命に走った1クールのラストを飾るのは,近未来と過去の入り交じる女性たちの物語.橋を封鎖しているのはこっちが元祖なのでお間違えなきよう(笑).
脚本は伊藤和典,演出に高松信司,そして絵コンテにあの滝沢敏文という実に渋い1話.洒落にならない事件の中で,それぞれに何事かを心に秘める女性たちの麗しさやカッコ良さなんかも余さずにお楽しみください.お勧めはしのぶと不破の探りあいかな.

前半.それは時を経て色あせたクリスマスイブ.ノイズ交じりのレコードの音色のように,懐かしい名画のように感傷的.ツリーの下の軍人と女たち,そして紅いワインに,紅い傘.若い彼女の目は自分を害するものに揺るぐことはなく,むしろそれを振り払い踏みしだくほどに強く.その切れ長の双眸も美しい黒髪も,そして強さすらもたった一人の男のためのものであり…けれど男は彼女の元から飛び立ってしまう.
ホテルでのうたた寝で古い涙の夢を見ていたのは香貫花の祖母,レイ・クランシー.彼女の来日を支えるのはもちろん孫娘である香貫花なんですが,ヤボ用で2時間程度外出したのが,実はまずかった.華やぐクリスマスの銀座を背景に出かける香貫花…の後の方にダーティペアがいるな(笑).これはまだそういうことに大らかだった時代ならではのお遊びですね.もちろん華やかな街の裏側では,とある陰謀が特車二課を狙って動いています.
まさか今回がそんなシリアスな話とはまったく知らない特車二課では,準待機の寂しいものたちが寄せ集まって屋上でクリスマスパーティ中.この寒風の中,コタツやら電飾やらをわざわざセッティングする根性が無駄な若さの発露だな(笑).本質的には大変に寂しいパーティに進士と香貫花は不参加.進士はもちろんあの多美子さんと一緒だろうし,香貫花も祖母が来ていてうらやましい.ここで香貫花がわざわざ宴会用の酒を届けに来たと遅れて来た後藤に聞いて,あわてて後を追う遊馬がまた若い(笑).恋をするにはおっかない完全武装の薔薇ですが,傍らにいるちっちゃいのに比べれば明らかに追う価値があるのです.
香貫花をホテルまで追いかけた遊馬とそれを追いかけた野明が直面することになったのは,香貫花の祖母の失踪事件.「50年のクリスマスを探しにいく」という意味深なメッセージのみをホテルに残して行方不明.手がかりになりそうなことと言えば,若き祖父との写真が消えていることくらいで….もう,ここに帰ってこないのではないかと不安がる香貫花.いつも冷静な彼女にしては相当動揺しているわけですが,こんな時ですら事件は彼女たちを待ってくれません.
事のはじまりは午後の銀座の路上,そして本格的に動き出したのは夕焼けの中.青いワゴンで港に乗りつけ,入港する船を見守る眼鏡の男は,当時同時期にメディアミックスしていたコミック版の読者にはすっかりおなじみの顔.「パトレイバー」という作品に独自の悪の魅力をもたらした男の右腕です.夜,闇に乗じて凪いだ港に上陸したのは,丸っこくてマッチョな軍用レイバーたち.海から生まれるように上がってくる複数の機体も十分不気味ですが,最後の1機は青い体に白い仮面の巨大な異形….軍用機ブロッケンと実験機ファントム.亡霊の名を持つレイバーたちは,海上の橋にとり憑きます.
亡霊の影は動揺している香貫花すら侵食.すぐにでも祖母を探しに行きたい彼女たちに下されるのは,無粋な後藤からの待機命令.心配で気が気ではないけれど,個人的な事情で警察官としての職務を放棄することはできません.どれほどお荷物部隊となじられようとも彼らはまっとうな警察官であり…それは香貫花も同じ.ゆえに警官としての誇りをかけて祖母の件を後回しにする彼女の姿が,野明と遊馬にはなんだか辛い.
その頃,亡霊に憑かれた橋の様子を探るために渡ろうとする無謀なパトカーがおりました.しかし警察無線が通じなくなるのと同時に,見慣れぬレイバーに車ごと掴まれてしまいます.もちろん人間サイズの拳銃が通じるはずもなく警察は軽く蹂躙されて….日本警察に正面から喧嘩を売るこの行動を淡々を見守っているのが例の眼鏡の男.これが彼流のクリスマスパーティの招待状で,差出相手は…第2小隊.

後半.亡霊に関して登場した新キャラ,城東署の松井さん.四角くて穏やかで有能な刑事なんですが,あの後藤と知り合いであったばっかりに毎度貧乏くじを回されて大変に気の毒(笑).彼が伝えるのは東京テレポートとの連絡途絶.交通だけでなく電話もネットも無線も切れているあたりがただ事ではない.秘密裏に送り込まれた警察のハイジャック専門部隊すら行ったきり音信不通,戻ってこない….
てなわけでこの事件をなんとかせよと白羽の矢が立ったのが特車二課.このお荷物部隊が指名されたのは,今回の件にECMによるジャミングといういかにも自衛隊が出張ってきそうなものが関わっているから.警察上層部の縄張り意識としては自衛隊に基地から出てこられては大変困るので,警察が抱えている最大戦力を投入することにした御様子.…確かにパトカーが何台あったって,レイバー相手じゃ歯が立たないもんな.
話を聞いた南雲隊長が独自のルートで実際に自衛隊に探りを入れてみたところ,この好機を見逃さず彼らも既に動き出していることを確認.南雲のプライベートの友人である自衛官の不破隊長も初登場.しのぶと良く似た有能な雰囲気を漂わせる,眼鏡の印象的な女性.職務的にはしのぶよりもさらに男っぽいけれど,性格的にはしのぶの方が男勝りな感じがするな.
クリスマスだってのにプレゼントのかわりにトラブル満載になってきた特車二課.先に出るのは第1小隊ですが,相手が自衛隊とやれるほどの装備と武力を持つというなら程なく第2小隊にお鉢が回ってくるに違いない.そのときに隊員たちがいつもと同じように戦えればいいんだけれど….大問題は香貫花の祖母の失踪事件.このままでは2号機の指揮が大変に不安.ゆえにこの件については…後藤が貧乏くじ係にさくっと回してくれました(笑).
貧乏くじが仕事をするのはまあ当然の話として,今回は祖母が見つかるまでの間,皆で絶不調の香貫花をフォローしなければなりません.後藤がおやっさんに無理を言って整備員のシゲを借り出したのは,進士を香貫花のために回してやるため.早く香貫花を復調させなきゃ,宇宙人の侵略を真に受けるようなバカが野放しになってしまって大変に危険なわけですよ(苦笑).
当たって欲しくない予測ばかりが大当たり.先に有明へと向かった第1小隊は橋の上の亡霊にまったく歯が立たずに全滅.毎度の噛ませ犬ぶりが気の毒であるわけですが,レイバーを沈黙させられただけでなくしのぶまで襲われてもう大変.通信の断絶は作戦失敗の証拠.約束の時間に信号弾が上がらないことを確認し,今度は第2小隊が亡霊退治に向かいます.
他の通信手段は途絶するのでハンドマイクとスピーカーによる音声通信を指示した上,ついに橋を渡り始める第2小隊.まるで本作らしからぬ緊迫感の中,慎重にパーティ会場へと歩みを進める1号機が見たのは…悲惨な光景.先に進んだ第1小隊の1号機はクリスマスらしく科刑にされている.そしてもっと洒落にならないのが,後に残していた2号機の発砲音! 犯人たちしか知らぬことですが今回は2対5.数的に特車二課が圧倒的に不利な上に分断されて,しかも相手は軍用.この戦力差をひっくり返すには,いくら嫌でも自衛隊の手を借りねば無理じゃないのか.
あわてて2号機のところに戻ろうとする1号機を挟撃する,西ドイツの軍用レイバー・ブロッケン.2機の膂力はイングラムがまともに組み合って勝てるようなものではない.さらに同じく孤立している2号機のところにも2機のブロッケンが.香貫花の指示が遅れてしまったために後から組み付かれ,銃を失いながら振りほどいても不利はひっくり返らない.…2号機の元には敵のボス,青い亡霊が.怪物は羽根を広げて紅い目を光らせ…ビームを放つ!

放映当時でも既に風化しつつあった歴史ですが,50年のクリスマスとは朝鮮戦争ではないかという榊の指摘は大当たり.恐らくは米軍が関連してると踏んだ後藤は貧乏くじ松井に気の毒な進士を組ませて米軍駐屯地に派遣しておりました.折角のクリスマスに仕事をするハメとなった進士は妻から相当の暴力を振るわれたようでぼろぼろ.そこらの鬱屈した感情がついつい過激な方向に溢れ出て,まともに取り合ってくれない事務官たちを脅す様子が怖いのなんの(苦笑).
米軍の持つ資料から香貫花の祖母,レイ・クランシーの行方を捜す松井たち.彼女がまだ上村レイであった頃に暮らしていたのは,基地の町である立川.実際に彼女は高尾行きの黄色い特別快速で立川へと向かい,昭和記念公園から米軍の飛行機が飛び行く様を眺めていました.彼女が探している50年のクリスマスは,ここにあるようです.
…その頃,絶不調の孫娘は未知のレイバーに襲われ大ピンチ! なんせ奴ときたら軍用レイバーの子分を引き連れている上に,SFみたいなビームを撃って2号機の右腕を落としやがるわけですよ.普通に仰天する状況なんだから今回精神的に弱い香貫花には刺激が強すぎ…痛恨の運転ミス! どう考えても勝てないこの状況をどうやってひっくり返すのか.そして例の眼鏡の男たちの正体と目的とは何か! 緊迫の次回に続きます!

|

« 桜蘭高校ホスト部#10 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#11 »

レビュー◆機動警察パトレイバー」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5112/10663886

この記事へのトラックバック一覧です: 機動警察パトレイバー#10:

« 桜蘭高校ホスト部#10 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#11 »