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機動警察パトレイバー#7

「仕込まれた毒を猛毒をもって制すの巻」

特車二課第1小隊に試験配備で新レイバーがやってきた.レイバーメーカーとしては後発のトヨハタオート製のSRX-70は,特に火器の充実した新鋭機.しかしあまりにも良い導入条件と引き換えに,メンテナンスを全てメーカーが行うという条件をつけられたところがどうにもきな臭い.確かに現行の97式改とは比較にならないほど良い機種ではあるけれど,警察がこれを使い続けることは果たして許されるのか.

レイバーと第2小隊を軸として近未来の日常を描き出す「パトレイバー」.ナンセンスコメディから近未来にかこつけた社会風刺,そしてシリアスなロボットバトルと本作がやれることの幅は実に広いわけですが,その中でもいくつか軸となるテーマがあります.本作が新型機の導入からはじまることに象徴されるように,絶え間無い技術革新による現在の陳腐化は本編全体を貫く大テーマの1つ.てなわけで脚本も伊藤氏です.
誰にも平等に時は過ぎ,本人たちの意向とは無関係に何かが終わって行きます.イングラムの登場によって97式に程なく訪れるはずの「終わり」.今はまだその時ではないと現場が突っぱねることもできるけれど,いつかはそうできないときが来るのは間違いなく,それはイングラムですらも例外ではなく….あ,もちろん今回はまだそんなメランコリックな話ではありません(笑).南雲隊長は可愛くて,太田って,本当に厄介.

前半.ある話を聞きつけた第2小隊の面々は休日の夕方に職場に集合.南雲隊長は御機嫌.それもこれも第1小隊に配置されることになった試作新型機,SRXー70のため.今や陳腐化しつつある97式改に代わって導入されそうな新しい機体がどんなものなのか,当事者じゃなくたって気にかかるもの.唯一そんなことを気に留めていなかったのはアルフォンス磨きに夢中な野明で,こいつ,余程他のことに興味がないに違いない.
仮納品されてきたSRX.鋭角的でスマートな機体に42ミリオートカノンとバルカン砲までも搭載.…でもバルカン砲はやりすぎだ(笑).こんなのを警察が抱えておく意義があるかどうかすら微妙ですが,火器大好きな太田はともかく大喜び.撃たせてもらうためならば後藤にも南雲にも喜んで頭を下げまくりそうな見境のなさが大人げない….威嚇するのも警察の仕事のうちでしょうが,いかにも戦う気満々なこの新型機をあまり好きになれない野明.そしてそれ以上にこの機体が気に入らない後藤.彼が気にしているのは見た目ではなく背景.導入の経緯の問題を鋭敏に嗅ぎ取っている御様子.
徹夜で初期設定を完了させて,翌日にはもうテストを開始.なかなかの強行にさすがの整備班もぐったりで,それにつきあってしまった第2小隊もうとうと.制服姿の時はあまり気にならないけれど,私服姿はやっぱり当時流行した服装だから,色とかちょっとレトロだよなぁ.
で,恐らくそんな若造たちの徹夜にはつき合わなかったに違いない後藤は,例の機体のきな臭さの正体を明らかにするためにおやっさんからいきさつを聴取.後発メーカーのトヨハタが急遽導入を決めたあの機体は,正式導入までの使用料無料の上にメンテまでメーカーがフルに請け負うって条件がどうにも怖い.…この手の話については第2小隊に専門家がいるわけですが,そっちは勝手に動くからいいやと放置しているあたりがらしいですね.
後藤の読みは正しくて,専門家である篠原の御曹司は野明との会話をきっかけに動きはじめます.サービスシーンである野明の着替えと会話内容のメカメカしさが実にミスマッチ(笑).話題はSRXの火器.軍用レイバーも製造している菱井インダならばともかく,前身は部品メーカーであるトヨハタオートには火器のノウハウがない.なのにバルカン砲まで破綻なく搭載できたのは一体なぜか.…テストでは順調に動いていたから技術力はある.ではその技術力は一体どこから来たのか?という謎に引きずられて遊馬は野明を置き去りに(苦笑).
第2小隊が嗅ぎまわりはじめたことを知らない第1小隊は,嬉々として新型機の運用を開始.やってることはいつものレイバー喧嘩の仲裁ですが,97式改に比べればパワーも機動力もそして火力も段違い.下手すれば自分より強い相手を止めるのと,圧倒的優位から止めに入るのでは精神的な余裕はかなり違うはず.頭上に空砲を撃ち,「まだ非常識な喧嘩続ける?」と勧告して喧嘩終了.スマートに事を収められたしのぶはとてもうれしそう.
普段からパソコンいじりを趣味にしている人にはおなじみの通り,古い機種から新機種に乗り換えた時には素敵な爽快感があるものです.これまでできなかったことが圧倒的な短時間で可能になったときの驚きや喜びと同種のものを,新型に乗った五味丘も感じている様子.…そして,はじめて第2小隊に憎さを感じると言う姿もどこまでもこの人はさわやか.こんないいものを使っていたのかと第2小隊に嫉妬するほどの満足感はよくわかるんですが…SRXはやっぱりきな臭い.
出動を終えて戻ってきた機体を早速取り囲む,メーカーから派遣されてきた整備員たち.確かにメーカーメンテは契約条件に入ってはいますが,本来は警察の外に出してはならないデータを民間に吸い上げられてしまうのは危険だとシゲにもわかる.後藤の懸念はあっという間に,特車二課全体が共有する問題に変わっていくのです.

後半.新型機のキナ臭さはメーカーメンテによって決定的に.どう見てもあれは整備ではなくデータ泥棒に間違いないわけですが,折角の新機種に喜ぶ南雲隊長の耳にこんな話を入れるのは酷ってもの.とぼけてごまかしていられるうちに内々にあの機体を退場させられればいいと後藤は思っていたはずですが…この状況で一番来てほしくない奴が隊長室に参上.勝手に泳がせていた遊馬が勝手に成果を南雲の前でぶっちゃけちゃって台無しに(笑).折角の風邪のふりも空振りで,隠していたこともバレてしのぶさんに怒られる….そんな事情を察せない遊馬には,後々地味に手痛い罰が待っていそうな気がするな(苦笑).
遊馬が調べてきたのはトヨハタオートの出自.自動車部品メーカーは表の顔で,その実態は多国籍企業のシャフトエンタープライズの隠れ蓑である可能性が高い.トヨハタが持っていないはずの火器の技術は,軍需にも食い込んでいるシャフトからもたらされたものに違いない….ここまで調べてきたまでは偉いんですが,そこから先の詰めがあまりにも甘すぎるのがさすが若造(笑).わざわざシャフトがネガティブな印象の強い特車二課を宣伝ネタにするわけがない.彼らの狙いがここで蓄積されたデータそのものだってことは既に明らかなのです.
甘い遊馬と違って事情を把握した南雲隊長は課長の元へ談判に.シャフトがトヨハタを隠れ蓑にして手に入れようとしているのは,この先SRXに蓄積されるであろうデータそのもの.警察という職業柄,この先実戦や射撃を含めた多彩なデータが蓄積されることは明らかで,そのデータはシャフトの元で軍用レイバーのデータとして還元される可能性が高い….
考えすぎと課長は言うけれど,現場でそのデータを集めてしまう隊員や隊長たちにとっては洒落にならない.自分たちの行動が他国の力や企業の利益に変換されるだなんて知ってしまったら,今までと同じように運用することなんかできない.自分たちは警察で,正義の味方の端くれなのです.
「『善悪はそれを用いる者の心にあり』,科学者がよく使う詭弁です!」と斬って捨てる南雲隊長.世間ではよくありがちなことだとしても,知っていて片棒を担ぐことはできないというこの矜持は,彼女の几帳面さと若さゆえのものでしょう.しかしレイバーはただでは動かない.ゆえにデータの供与もやむなしと判断した課長が言う「プライドでレイバーは動かんよ」もまた真実で….
上司経由で上層部に訴えることはできず,もし話が通ったとしても折角の新レイバーを失うことになるのが見えていて,南雲隊長は一人で海を見ています.第2小隊の汚名を雪ぐためにも新機種はぜひとも欲しい.しかし軍用レイバーに自分たちのデータを転用されることは職業倫理的に許されない.…選ぶべきは利? それとも理? 折角の喜びを台無しにされ,大きな課題を突きつけられたしのぶは海に石をけり落とします.
けれど落ち込んでも事件は待ってくれません.港の倉庫街で発生した事件に第1小隊はSRXで出張るはずが…南雲隊長は旧来の97式改に変更! 利ではなく理を取った南雲隊長の決断に,整備班も搭乗員も喜んで従います.最新鋭に比べればスペックが相当劣っているものの,自分たちが手塩にかけたレイバーで出る一同の決断がうれしい.しかも有能だし無駄に弾も撃たないし隊長は美人だし,本当に第1小隊っていい組織だよなぁ.
今はまだ,覚悟を決めれば多少の力量差は経験と気力で覆せる時期.敵テロリストが使う菱井のヘラクレスの力は半端ではないものの,エリート部隊はきっちりとこれを片づけます.確かに新鋭機ほどの動きはできないけれど,乗る者の力量が違いすぎるから第2小隊のフォローだって必要なし.精鋭部隊の誉れは伊達じゃないのです.

後ろ暗いところが明らかになり,結局返品されることになったSRX.南雲隊長が課長や本庁すら倒してしまった裏技は…なんと太田! SRXの正式導入とSRXパイロットへの太田の人事異動を天秤にかけることによって,新機種の導入を身を持って止めた彼女の機転恐るべし.もちろん上層部からの覚えは悪くなるでしょうが,ここ以上の左遷場所もなさそうだからこそ可能な大技です(笑).
有能で生真面目で,時に実に大胆.南雲隊長の笑顔は実に愛らしく,後藤が構いたくて仕方ない気持ちはよくわかります.毒も使いようによっては薬なわけですが,隊員たちの知らぬところで第1小隊を救った切り札の太田は…やっぱりうざい(苦笑).この撃ちたがりの馬鹿の面倒を見ねばならない第2小隊の隊員たちの苦労を案じつつ,次回に続きます.

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