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桜蘭高校ホスト部#8

「あなたが僕らの弱点ですの巻」

ハルヒの御要望にお答えして本物の沖縄の海にやってきたホスト部.ただし環の父心によって今回はホスト部の出張営業となり,ハルヒの水着姿はなし.それでも鳳家のプライベートポリスに捏造された潮干狩りは海の幸満載で,ハルヒは珍しく満面の笑みを浮かべていた.
男装こそしているが,本来は可愛らしいお嬢さんであるはずのハルヒ.しかしそのマイペースぶりはヒロインにはあまりにも似つかわしくなく,まるで弱点など見当たらない.けれど女の子たちを守るためにたった一人で男二人と戦おうとするのは無理で,環は無防備すぎるハルヒに腹を立てる.

毎回必ずどこかに見所が見つかることがうれしい「ホスト部」.やや低調かなと思える回でもきっちり目玉は入れてあるので,そこに集中すればきちんと乗り切れてしまうあたりがうれしいんですが…今回はわざわざそれを探す必要なし! 絵コンテに連名で五十嵐監督神が入っている威力は絶大です.些細なシーンにも美しいレイアウトが施され,ここぞというシーンでは実に情感溢れる画面展開を見せる傑作回.オチも含めて,見終わった後には環の好感度が一気に上昇すること請け合いです.あ,あとカニがやたらと美味そうなのも必見(笑)

前半.まだ梅雨にも入っていないってのに,前回はプールで今回は海.水着大サービス回が続くんだけど…あんまりサービスになってないのが本作らしい.前回,本物の海なら行ってもいいかもとハルヒが口を滑らせて,早速双子が水着とともに誘いに来ているわけですが,序盤のこのあたりから既に映像が大変に美しい.大きく動かない分,レイアウトの美しさが際立ってますね.
ハルヒさんのつるぺたボディには胸のなさをフォローするフリルつきのセパレート水着がぜひともお勧めなわけですが,相変わらず激しい保護者ぶりを示す環によって脳内妄想とともに打ち上げられる双子.自分以外には水着姿など決して見せたくないという不純な父心の発動により,折角の海もサービスなしに化けるのです.
てなわけで今回の舞台は沖縄.庶民のハルヒさんにはパスポートがないだろうという金持ちどもの精一杯の心遣いによって沖縄.桜蘭の普通の生徒にとっては,国内リゾートなんてちょっと近所のプールに遊びに行くようなものだと思うと…大変にやりきれない気分だ(苦笑).さらに前回と違うのは,ホスト部だけでなく客まで同伴させたこと.通常営業ではハルヒは決して水着にはなれない!という環の計略です.…海辺のホスト部,磯できらきらと頭の悪いツーショットタイムに勤しむ環が見事だ(笑).お嬢さん方,それはそんなに楽しいですか?
もちろんハルヒにも固定ファンはいるわけですが,今日のハルヒは当然泳げない.けれどお嬢さん方に対しては「泳いできなよ.折角可愛い水着着てるのに…」と見事な天然タラシっぷりがこれまた素晴らしい(笑).環脳内劇場には夕暮れを2人でお散歩する甘ったるい妄想に満ち溢れているわけですが,そんな妄想に溺れてもにょもにょしている間にハルヒさんがもっと男前になっても知らないぞ(苦笑)?
ハルヒの今日の楽しみは,ハニー先輩と一緒の潮干狩り.前回の非礼を詫びるプライベートポリスたちの計らいによって,成果はちょっとした海鮮市場状態に(笑).見た目の豪華さや美しさにはまったく心を動かされないハルヒさんでも,おいしいものだけは話が別.カニ満載の成果にハイテンションとなった上,「今夜の晩御飯は大漁ですよー!」って一体誰に向かって叫んでいるのか,本人もよくわかってないに違いない(苦笑).
さて,でっかいカニの大好きなハルヒは,大変男前なのでムカデ程度には動揺しません.女の子たちが引き潮のように引く中で,ひょいと掴んで草むらに投げちゃいます.元々冷静な上にかなり合理的な考え方をするハルヒは,普通のお嬢さん方から比べれば規格外にタフなのです.
果たしてこの男前に弱点は存在するのだろうか…ってなわけで双子がハルヒの弱点探しゲームを本人の知らぬところで勝手に提案.随分と悪趣味な遊びなわけですが,双子の口車に乗せられて環以下ハルヒと鏡夜以外の全員が弱点探しすることに.しかも胴元の鏡夜ときたら,景品としてファン垂涎の逸品・中学時代の生写真をご提供することで一同の意欲を煽ります.…わざわざ弱点探しを促すあたり,鏡夜もハルヒについてはきちんと掴んでおきたいようですね.
人間誰しも苦手なもの,怖いものってのはあるはずなんですが,男前のハルヒは完璧です.双子プロデュースのホラー演出程度では無反応.怖くない理由が「見たことない」ってのはこれまた剛毅だ.ハニー先輩プロデュースの暗所&閉所恐怖はハルヒさんよりもハニー先輩の方が危険で…面堂ですか(笑)? モリ先輩の先端恐怖に至っては銛とモリをひっかけた地口なので怖くも面白くもない(苦笑).
日中どれだけ頑張っても結局弱点は見つからず,美少女で美少年で賢くて怖いものなしのハルヒはパーフェクト過ぎてヒロイン失格.パーフェクトなおバカさんである環が午後一杯かけて蛇をバケツ一杯集めるという小学生ぶりを示しているのとは大違いです(苦笑).しかもこの蛇,青大将にしては特徴的な模様があるし警戒音を出してるしここは沖縄だし…間違ってハブ集めちゃうあたりもさすがはキングオブバカであります.
ただし男前のハルヒさんは,あまりにも恐れを知らなすぎる.一緒に行動していたお客さんたちが悪いナンパ男たちに絡まれたのを救うため,ウニをぶつけたりして一人で頑張ってしまうのはまずい.うざい野郎どもに迷惑だと言い切るあたりは立派なんですが,どれだけ行動が正しくても,その正体はただの女子であるため海に追い詰められて…落とされてしまいました.
力及ばず海に落とされたハルヒを救ったのは,大事な娘の危機を見つけてすぐさま飛び込んだ環.気絶して沈む彼女を海中でしっかり助けて夕日の中から戻ってくるこのあたり,環が二枚目の本領を発揮しています.特に海中で助けるシーンでは,環の腕の動きが実に美しい.
暴漢に襲われ海に落とされ…けれどハルヒはちっとも恐れていない.明らかな力量差で負けてしまった上に下手すれば命の危機だってあったかもしれない状況でも脅えないハルヒの,ついに環が怒り出します.武道の達人でもない癖に女一人でなんとかできるだなんて思うなと,頭の上から本気で叱る環はギャグもナルも抜きで本気.たぶんハルヒに自分がどう見えるのかすら忘れているんじゃないかと思われます.
そしてそんな環を下から睨むハルヒもまた真剣.これまで一緒にやってきた仲間のはずなのに,自分が女だからって客を守るところでだけ特別扱いされても困る…ってのがハルヒさんの言い分かな.ゆえに迷惑は謝るけど間違ったことはしていない!と意地を張ってしまって決裂.「間違いを認めるまで,お前とは口をきかん!」と殿がとんでもない公約を打ち出して内戦状態に.…ただし,どれだけ殿が正しくても,殿が殿である限りあんまり勝ち目はない気はするな(苦笑).

後半.夜は鳳家の別荘で,潮干狩りの成果を生かしたカニパーティ.大量のカニを剥いて食うのは無口にはなりますが大変うれしいイベントであり,ついでにハルヒさんの私服は愛らしいピンクのドレスで幸せ倍増であるはずなのに,晩餐の雲行きは屋敷の外の天気のような嵐模様.…ホスト部の中心にいる2人が静かに大喧嘩している影響はかなり大きい.
ハルヒさん&ピンクのフリル.それは自称父である環の目から見れば特に可愛くて,普段ならすぐさま抱き着いてすりすりしてうざがられる状況なのですが(笑)今日は喧嘩しているので我慢しなけりゃなりません.…この喧嘩,普段からあまり構われたくないハルヒには大変有利で,逆に構いたくて仕方ない環には圧倒的に不利なんだよなぁ.
刺々しい空気の中でばきりぱきりとカニの関節を壊してすするハルヒの迫力は凄まじく.「このカニは,うまいカニ」だなんて似合わないダジャレの破壊力も抜群.負の感情のストレスを大食いで解消しようとするのは実に女性的で,何かを壊して解消しようとするのは実に男性的で.ともかく,このシーンのカニの映像は見事としか言いようがありません(笑).ぷりぷりしてるなぁ….
黙々とストレスを解消するハルヒに向かって,いくらなんでも食い過ぎと環がつい口出したのを刺々しく茶化すハルヒ.あまりにも腹を立てすぎて冷静に自分の行動を見返す余裕もなく,環の言葉に聞く耳を持たないハルヒの前から仕方なく環は退場.鏡夜もこれに付き合います.
怒りをぶつけるべき対象が目の前から消えれば,盛んに燃える怒りもやや収まるもので,ここでようやく,ハルヒさんには他人の言葉を聞く耳と冷静な頭が戻ってきます.自分の能力不足で怒られたのだと思い込んでいるハルヒの誤解を解いてくれたのは,環と同じように感じていた双子やハニー先輩たち.殿があれほど怒ったのは,力不足で迷惑を被ったからではないのです.
双子たち曰く,今日の行動については正直反省してほしい.…可愛いハルヒさんがかける迷惑ならば,正直どうってことはないわけですが,勝手に危険な目に遭われるのは大変に困ります.迷惑をかけたことではなく,皆を心配させてしまったことが問題なのだと優しく教えてくれるハニー先輩はあんな見た目だけどやっぱり先輩だ.環があれほど怒ったのは,本気で心配だったから….
ここまで聞いてようやく自分が何をしたのかを理解したハルヒは「ごめんなさい」とあっさり謝罪.部分的に融通は効かないものの実に可愛いこの娘.でも,皆でぎゅうとやったら中身が出ちゃう(笑).さっきたらふく腹に詰めたカニが内部から反乱を起こして洗面所直行.さらに,リバース対象を「もったいない」と称するなど,ヒロインの行動としては完全に失格しております(苦笑).
遠く雷鳴が鳴りはじめる中,駆け込んだ手近な洗面所は鏡夜の部屋.普段は最も理性的な彼ですが,フィルターとなる眼鏡のない目は野性的で尖った雰囲気を放っております.外の連中と違ってハルヒさんの心配はしていなかったという鏡夜.しかし双子の行動やお嬢さん方に対するアフターケアについてわざわざ報告してハルヒの反省を促そうとしているあたり,彼なりに心配して,そして腹を立てているに違いない(苦笑).
お嬢さん方へのお詫びの花代は計60万という大金.それは自分が持つと答えるハルヒに対し,鏡夜は部屋の電気を消した上にハルヒをベッドに押し倒す.その花代,体で払ってもいいと脅す鏡夜はいつもと違う.本作とは思えない程に暗く冷たい空気の中で,無防備なのはハルヒのミスだと上から言う鏡夜.…普通のお嬢さんならば身を堅くして動けなくなるか,あるいは無様に暴れるか…しかし,ハルヒは本当に男前です.
「鏡夜先輩はしませんよ」と黒くて大きな瞳で真っ直ぐに.しかもその理由も鏡夜にメリットがないからだなんて,自己卑下にも程がある言葉をさらっと言ってのける美少女.その言葉に感動したのかあきれ返ったのか,実際に鏡夜もそれ以上はしない.しかもこれは環へのフォローとして鏡夜が教育してくれているのだと解釈されちゃ,その信頼を破るわけにもいかない(苦笑).…実際は鏡夜にメリットがないというハルヒの解釈は大間違いで,むしろやっちまったことから発生するデメリットがメリットに及ぶかという問題.鏡夜の心次第でメリットはデメリットに打ち勝つわけですが,今のところ,ハルヒさんよりは殿たちとの友情の方が大切な御様子.
さて,あまりにもヤバげなこの状況で,鏡夜と入れ替わることになったのがなんと環! 暗い部屋に2人きり…って,お父さんには刺激の強すぎる状況にさすがに動揺しないほうがおかしいわけですが(苦笑),環の中では未だに喧嘩は続いていることもあってこの素晴らしい部屋を退場しようとしたところで響く雷鳴!
弱点をいくら探しても出てこない男前なハルヒのはずが,響く雷鳴に挙動不審となって環の裾を掴むわ箪笥の中に用事を見つけるわと異様な行動取りまくり(笑).「そんなところに用のある子はいません!」とボケがツッコまねばならないほどの動揺ぶりに,環はこれまで見えなかったものに気づきます.…雷鳴のなかのここからのシーンは今回の白眉.切なくて幸せな救いの姿が描かれます.
雷がダメで,しかもその状況をたった一人で常に乗り切ってきたハルヒ.頼れる者はいなくて当たり前だったから,助けを呼ばねばならないということすらわからなかった.別に男勝りに無茶をしていたわけではなくて,他人にどうやって頼ればいいのかすら知らなかったというハルヒの事情を知って…敗北を宣言する環.そしてこっちにこいよと箪笥に篭る娘を誘います.
響く雷鳴に背を押され,目の前の人の胸元に飛び込むハルヒ.あれば欲しかった救いの手に自分からしがみつくハルヒと,それを大らかに受け入れる環の姿がとても美しい.怖さから逃れるために抱きしめていいものをはじめて知って,ぎゅっと握る小さな手を背に,「これからは俺がいる」と誓う環.男前過ぎてヒロイン失格だったハルヒの悲しさが明らかになる素敵なシーン.やはり彼女こそが,本作の誇るヒロインなのです.

恐怖の雷が終わって月が出た頃,ようやくホスト部の皆が2人…というかハルヒさんの身を心配して部屋にやってきました.環相手じゃ間違いなんか起こりそうにもないという鏡夜の予想というか信頼を遥かに越える状況が扉の向こうに(笑)! …開けたらハルヒさんが目隠し状態.そういや本作って,環を持ち上げるだけ持ち上げておいて地の底に叩き落すフリーフォールだったなぁとここに来て思い出しました(苦笑).一応ハルヒさんを雷から守るための環の懸命な努力であったわけですが,SMで変態プレイで目隠しで「最低!」
こうして環の立場が地の底に埋まったままでエンディングへ.雷について他の誰にも話していないあたり,環のハルヒへの配慮はなかなか見上げたものであるわけですが,垂涎の生写真を手に入れるチャンスと引き換えにハルヒの弱点を守った優しさを当のハルヒが無視しちゃうってどういうことだ(苦笑).でも,あれはSMじゃないと環が必死であればあるほど面白いからまあいいや(笑).やっぱり高いところから落としてこそ殿だとつくづく納得しつつ,次回に続きます.

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