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デジモンセイバーズ#10

「それと喧嘩はさすがに無理だろの巻」

トーマの自宅に招かれたチカとおつきのマサル.チカは大邸宅の豪華ぶりに飲まれ,兄のマイペースな野卑っぷりが心底恥ずかしくついには怒り出してしまった.しかもチカが怒りに任せて叫んだ兄の行く先を呪う言葉が,ちょっとズレながらも無理やりに現実になっていく.滑って転んでぶつかって看板に当たって,箸から落ちる気の毒なマサル.もちろんこれはマサルに取り憑いた透明なデジモンの仕業なのだが,チカが叫んだ言葉の先がまずかった.この先マサルは車に追われて,タンカーに轢かれなければならないのだ.

現代には珍しい漢気を強く打ち出すだけでなく,打ち出してしまうことの滑稽ぶりからも決して目を背けない「セイバーズ」.懐古趣味的に登場人物が燃えに燃えまくる作品は現代でも意外といろいろあるもんですが,その手の作品はツッコミを視聴者に任せてしまう純粋で無責任なボケ不条理モノになってしまうことが多い.自分は作中でも適度なツッコミがぜひ欲しいので,無駄に燃えているバカを「お前はバカか」と冷静に諌めてくれる本作のリズムが大好きだ(笑).

先日の誕生日以来大門家と縁のできたトーマは,本日はチカさんを自分の御殿にご招待.凄いお坊ちゃんである彼の家は実に広くて豪華.そこにマサルつきでお邪魔することになったチカさんは,いかに自分たちとトーマがかけ離れているかを思い知ります.…特に兄貴のダメっぷりはいつもの通りで(苦笑)それが妹からすれば情けない.兄は兄なりに妹のことを心配しているんですけどね.
滅茶苦茶ハイソなトーマの家.海外での暮らしをそのまま日本に持ち込んだんだろうけれど,そんな文化に縁のなかったチカにはたかがお食事も巨大な壁.ついでに兄貴とアグモンが泣きたくなるほど卑しくて….所詮獣であるアグモンは仕方ないとしても,喧嘩しか能のないマサルが実になんともならない.フィンガーボールの水を無頓着に飲んで「お前も飲め」とか言い出すバカに「やめてよ!」と叫ぶチカ.好きな人の前でここまで辱められれば怒る気持ちもわかるけれど,シャンデリアが明滅するのは怒りの表現じゃないのです.
自分も恥ずかしくダメ兄貴はもっと恥ずかしく,そして叫んだのは…「マサル兄ちゃんなんか,道で滑って転んでぶつかって看板に当たって橋から落ちて,車に追っかけられて,タンカーに轢かれちゃえばいいのよ!」…壮絶な捨て台詞を残して場から離脱.ここでは全員が逃げるチカさんに注目しているわけですが,その隙にこっそりとマサルの背中に何かが憑いて,ここから不運がはじまります.
逃走するチカを追おうとするマサルの足元に背中に憑いた何か.それはバナナの皮を足元に置き,マサルはアグモンを巻きこんですっ転ぶ.この段階からアグモンはマサルにデジモンが憑いていることを嗅ぎつけているわけですが,結構後まで無視されてるのがいかにも情けない弟分だ(苦笑).透明な謎のデジモンをアグモンが殴ってやろうと思っても,避けられて気持ちよく兄貴の頬に入る悲惨ぶり.誰もアグモンの頑張りを理解してくれないところが子分の悲しさというか何と言うか…(笑).
先日の一件以来完全にチカさんの味方となったトーマから,君は人の気持ちに鈍感すぎると説教を垂れられながらも妹を探しはじめるマサル.トーマにはチカさんの気持ちはよくわかるものの,マサルにはなんで妹がいきなり怒り出したのかすら見当もつかない.この時はまだ例の呪詛が本当になるなんて思っていなかったからこそまだ気楽だったわけですが…例の透明デジモンが路上に仕掛け,マサルはまんまと看板に当たる.
さっきの捨て台詞通りに不幸が起きていることに気づいたトーマ.けれどさすがに次は難しいと判断します.なんせ予言通りにマサルに不幸が襲うなら次は橋から落ちねばならないけれど,橋がない….ここでちゃんとあの長台詞をガオモンが覚えてるのが律儀だ(笑).川すらないから成就するわけないとマサルは完全に舐めているわけですが,透明デジモンが箸を転がしてマサルはそれに乗って転び…「箸から…落ちた!」…相当苦しいダジャレによる実現です!
苦しすぎるものの例の捨て台詞が次々に実現される原因はデジモン.アグモンがさっきからずっと主張しながらもスルーされていた現実をようやく裏付けてくれる素晴らしき科学の力.基地のセンサーに未知のデジモン反応が出たことから,ようやく本作らしい展開に転がっていきます.もちろんマサルは取り憑かれた被害者なので,トラブルを持ち込みやがってと自動的に加害者扱いするのはやめてください.…まあ,普段が普段だから気持ちはわかるけど(苦笑).
さっきまでマサルを襲っていたのは「彼の間抜けな失敗」ではなく仕組まれた事故.…マサルが間抜けであることは本人以外全員が納得するところなので抵抗は無駄(笑).「誰が間抜けだ!」と怒るマサルに「そんなことは些細なことだ」と真顔で応えるトーマのスルーが見事すぎ.実に根性の悪い愉快犯的な流しっぷりです.

ここまではちょっと痛くて周囲から間抜けと思われる程度で済んでいるマサルのアクシデント.しかしもし,さっきの予言が最後まで成就されられてしまうとかなり困った事態となります.残ったプログラムは「車に追いかけられて,タンカーに轢かれてしまえ」…いくら喧嘩番長でも下手すると前ので死にますし,生き残っても次ので死にます(苦笑).命の危機なこの状況でも妹の名誉を守ることに必死のマサルは,チカがデジモンを操っているわけがないと強く強く主張.バカだけれどいい兄貴です.
ともかく妹の無実を証明したいマサルは基地から出てチカを探しに行こうとするものの,部屋から出た直後に台「車」に追われて事態は深刻.残るはもう絶対死ぬタンカーのみで,しかも20万トン級のタンカーが制御不能で基地の方向に突っ込んでくるって無茶苦茶だ(苦笑).あの透明デジモン,ゲートを使って瞬間移動したのだろうか?
基地の命はあと10分.最優先するべきはもちろんタンカー乗組員の安全ですが,衝突される10分後を思うと気が重い.しかしここでマサルが待ったをかけて,自分の喧嘩は自分でカタをつけると寝ぼけたことを言い出しました.「これは俺とタンカーのタイマン勝負だぜ!」…いくらなんでもその喧嘩を買うのは無理だろと全員の意見は一致しているわけですが,バカは仲間を置き去りに,一人基地の外へと飛び出していきます.
マサルのバカっぷりに関しては既に絶大なる定評がありますが,今回はバカなりの計算があるのだろうというのが仲間たちの感想.基地にいれば迷惑をかけると判断して子分すらも置き去りにした漢気はわからなくもないけれど,それ以上にバカだバカだわかりやすいバカだと全員から絶賛されるマサルって…(苦笑).残るはあと10分.いくら基地が助かっても主役が死んでは本作の継続が危ぶまれますんで,マサル込みで事態をなんとかせねばなりません.
兄貴のためにチカを探したアグモンは割とすぐに発見.彼女は自分に恥をかかせたバカ兄貴を許すつもりなど欠片もないわけですが,さすがにタンカーに轢かれかかっているとなれば話は別のはず…なんだけど,割に頑固なチカはマサルが大ピンチだと知っても未だ他人事.確かに事件をチカがなんとかできるわけもないのだけれど.
それでもチカが来ないとだめだと必死なアグモン.妹以上にマサルを慕っているちょっと情けない弟分は,どうやら言葉の呪いを真に受けてしまったご様子.大事な兄貴をどうにか救うため,チカにどうしても来てもらわねばならない!という単純思考.…貧しい頭なりに必死に説得するけなげな姿が,ついにチカに状況のヤバさを悟らせます.
妹は兄のことが嫌いなわけではありません.超活動的でトラブルを巻き起こしやすいバカではあるけれど,妹に対する心遣いは人一倍.だから今日はちょっと恥ずかしくて怒鳴っただけで,決して本気じゃなかったと泣き出すチカ.そんなチカに向かって,兄貴は強くてかっこいいんだ!とアグモンは無邪気に強く主張します.
もちろん言われなくたって,チカの方がよく知ってます.異変があれば登校途中に小学校に寄り道し,誕生日の代役もわざわざ準備.今日だって一緒に来たのはチカを守るためのはず.父不在の大門家でマサルが彼なりに代役を務めようとしてるってことは,同じ家族にはよくわかるのです.
そしてバカで一本気なマサルは人気のない港で両手を広げ海を見て,それを狙うようにタンカーが急激に接近.このままではタンカーに轢かれるという珍しい死に様をさらしてしまうわけですが,いくら妹が叫んだってそこから動くような兄貴ではない.それはチカが一番良く知っているはず…というのが遅れて参上したトーマのウインクつきのコメント.女性に対しては相変わらずの大サービスぶりです(笑).
基地で判明した今回の敵デジモンの正体はソウルモン.小さくて透明なのでレーダーにも引っ掛からない面倒な敵に対する「姿が見えればあんな奴一発なのに…」というヨシノさんの大変ワイルドなコメントはマサル化の兆し?それとも単にメッキが剥げてきただけ(笑)? 何はともあれこのことは,10話をかけて組織が主役の個性に感化され,受け入れはじめた証拠なのは間違いなさそう.
要するに透明なデジモンのやらかしている無邪気な悪さであって,呪いとか魔法とかオカルトではない.ゆえにトーマは主役を轢かせないことを請け負った上で,「…来るなら来い!」と目の前で無駄に頑張るバカに「君はバカか」と冷たい言葉を浴びせます(笑).この間がともかく絶妙で,彼のツッコミとしての素晴らしい才能に感服です.ボケとの温度差が際立っているのがまたいいよなぁ….
論理的思考のできない人間はこれだから困ると言うトーマの種明かし.敵は透明になるだけだけでそれ以上のことはできないから,要するにタンカーの舵をこっちに向かって切っているだけ.だから舵にいるソウルモンさえ回収してしまえばこの不幸も終わる! ヨシノがボートで一同に合流し,ここからは待望の喧嘩の時間です.
これはもちろん自分の喧嘩と,マサルはタンカーへの突入役に立候補,妹の言葉を勝手に使って泣かせた相手に対しては.とびきりの鉄拳をお見舞いせねばなりません.お前の分までぶん殴ってきてやると約束して喧嘩に向かうマサルに,こうなるだろうと読んでいたトーマは何かを渡します.それは有史以前からのあらゆるオカルトを破壊してきた究極の宗教,科学という名の魔法.
ボートでタンカーに接近し,ヨシノが作った侵入ルートをよじ登って侵入し操舵室に殴り込むマサルとアグモン.中ではひとりでに動いている舵だけがあって,ここに敵がいるのは間違いない.ただし透明で見えないけれど…これを解決するスーパーウェポンがマサルの手に! デジモンだけに着色する脅威のスプレー.…仰々しい渡され方からするとちょいと拍子抜けな感じはしますが(笑)これさえあればあんな奴一発だ!
敵を視認したマサルは,これまでの痛みとか妹の悲しみとか仲間や自分の狼狽を全部ひっくるめた上にさらに利子をつけてソウルモンをぶん殴る.それをきっかけにソウルモンは巨大化するものの,マサルもアグモンをジオグレイモンに進化させてさらに追い詰める.敵が見えた段階で敵の運命は決まったようなもの.意外と凶暴だった巨大な敵の手を掴んで振り回し,メガバーストで仕留めるジオグレイモン.主役は轢かれずに済みました!

一件落着して戻ってきた夕方.妹に「ありがとうな,チカ!」と感謝してしまうマサルが実に能天気.実際はチカが事件の原因を作ってしまったわけですが,そこを度外視して感謝しているのは,妹のせいでなかったからこそ,心置きなく殴りに行けたからなのかな.そこに無事にいてくれるだけでうれしい人たちって,確かにいるもんな.
ただし色々と気になることは残っています.例えばガオモンには分からなくてもアグモンには分かったソウルモンの存在.デジモンによって他のデジモンに対する感度の良し悪しがあったりするんだろうか? …さらにトーマは浮かない顔.なぜデジモンは人の願いを叶えるのか.そこには人間の思念が深く影響するのではないのか…ってなわけで,これまで丁寧にわかりやすく撒かれてきた伏線を回収する時が近づいてきたようです.特番による1週の休みの後,次回に続きます.

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