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桜蘭高校ホスト部#11

「落下する黒魔術部の怪人の巻」

兄を探して高等部をさ迷ううちにホスト部に保護されることになった謎の幼女.金髪で純真無垢な彼女が探していた兄こそが,ホスト部の隣で活動している黒魔術部の部長,陰鬱の塊である猫澤先輩だった.実は先輩は王子のような容姿の持ち主なのだが,明るい光が苦手で黒装束で暗所に引きこもっているから,逆に暗いのが嫌いな妹と顔を合わせることすらできないのだ.このままでは兄と出会えない気の毒な霧美嬢のため.ホスト部は専門家の手を借りて猫澤先輩のキャラ改造に挑む.

毎回平均以上の品質で楽しませてくれる素晴らしい「ホスト部」.そろそろ1クール終了ということで制作現場の方もスケジュールが詰まってきそうな時期と思うのですが,最大の美点であるキレ良く美しい映像は今回も健在.作り手たちの作品に対する献身ぶりは相当のはずなので,ぜひお体など壊さないようご自愛ください(笑).贅沢にも物足りないのは,1話を完璧に越える回が未だにないってことなんですが,それは監督神自身でなきゃ無理そうだしなぁ….次クールの後半でさらに面白くなるようなことになったら間違いなく傑作認定です.
今回は猫澤先輩を落とす脇役回.隣室に潜む変人の首魁が兄貴として漢気を見せるようなそうでもないような….敵は光とかれんげさんとかで,自分より遥かにでかい怪物と素手で殴り合いするのに比べたら全然マシなんだから,妹のために頑張れ兄貴(笑).

前半.作中の時間は現実と似たような同じ速さで流れ,今はあじさいの咲く季節.そこに登場した今回のお客様は金髪の美少女…っていうか一人で歩かせているのはちょいとまずいんじゃないかって程度の美幼女です.彼女がてくてくと探すのは怪物を倒してくれる素敵な王子様なお兄ちゃま.しかし目指す場所の隣の部屋を開いてしまったことにより,ホスト部一同が巻き込まれていくことになります.迷い込んだのは桜蘭ホスト部警察.迷子の子猫ちゃんを出迎えたのは,少女漫画によくいるタイプの皆様です(笑).
幼女にも当然優しい環は子猫ちゃんに「どこから来たのかにゃ?」と尋ねるわけですが,その返事が斜め上を吹っ飛んでいきます.「ぎゃくはーれむ!」…天使のような彼女の口から出てくる腐った言葉は止まらない.ホスト部を見て「わーい! ここしゅちにくりんだー!」って下手に正確なのがアレだ(笑).「めがねきゃら」に「ろりしょた」,「すといっくけい」に「きんしんそーかん」に…「がりべん」.ハルヒさんが不本意なオチにされたところで残るは環.本来はオチを担当するはずの殿に対して幼女は「きんぱつだからおにいちゃまー!」…あれ?
本人の知る限り一人っ子のはずの殿なのに,いきなり金髪の妹さんができてしまいました.彼女のお名前は切り身ではなく霧美さん.うりゅっと滲む幼女の涙にあっさり釣られ,うりゅっと来た殿は急遽彼女のお兄ちゃまに就任.精神年齢が似たり寄ったりなのか,随分楽しそうに一緒にくるくる回ってやがるなぁ…(苦笑).でも霧美さんの本当のお兄ちゃまは,高等部にちゃんと在籍してすぐ傍にいるのです.
てなわけで霧美さんを呼ぶ不気味な声とともに今回の主役登場.ホスト部に通じる暗黒の扉の向こうから,見慣れぬ金髪の誰かがひょいと顔を出しております.一体誰なのかと思ったら…例の過剰な黒装束を装着して完成! 猫澤梅人先輩! 部の醸しだす不気味な雰囲気ゆえに,ホスト部からも警戒される黒魔術部の部長でございます.チャームポイントは手に装着した猫型呪い人形ベルゼネフ.明るい光が大の苦手で,自分の金髪にすら耐えられない徹底した隠花植物です.
この丑三つ時な兄と正午な妹にお仕えするのがメイドの呉竹と秘書の角松.特に呉竹さんは明らかに主人たちをおもちゃにしている(笑).暗いのがダメな妹と明るいのがダメな兄は正反対ゆえに呉竹曰く「猫澤家のロミジュリ」.ただし問題なのは部屋の明るさの問題だけでなく,陰々鬱々とした猫澤先輩の様子が幼児には無駄に怖すぎるんだ…(苦笑).
メイドの呉竹曰く,猫澤家はトカレフ王朝の系譜に属する由緒正しき家系.そりゃロマノフだろうと環がツッコんでいるものの呉竹はナチュラルに無視(笑).何百年かに一度闇に魅入られた運命の子が生まれるという言い伝えがあったりなかったりするらしい…って一体どっちだ.何はともあれ猫澤先輩は闇を偏愛し.ゆえに肖像画でのみ兄の姿を知る霧美さんはまさかこの黒くて不気味なのの中の人が自分の兄だとは思っていないという悲劇.
王子な兄を求める霧美さんを慰めるため,呉竹は王子物語を供給しまくり.しかしネタが尽きたので王子キャラの出る少女漫画にまで手を広げたことが冒頭の奇跡を招いたのであります(苦笑).ぎゃくはーれむもしゅちにくりんも少女漫画で覚えたらしい霧美さん.少女漫画中で逆ハーやら酒池肉林やらがストレートに台詞として語られるとは思えないので,きっと呉竹が朗読の際に余計なコメントをたっぷりかぶせているに違いない(笑).
王子様を求める霧美さんの願いはもちろん兄もよく知っている.しかし彼の努力の方向ときたら妹が闇を愛するように毎晩お祈りを捧げるという明後日ぶり.そりゃ何もせずに逃避しているようなものなので,兄はまともな努力をする必要があるでしょう.なんせ霧美さんはすっかり環を自分の兄と信じ込んでいて,このままじゃ完全に取られてしまいそう.…噛みあわない兄妹の様子に,兄弟はどこの家でも問題だと言う鏡夜.そしてそれを見る環.鏡夜がここで一体どんな気持ちで呟いているのかについては今後触れてくれるといいな.
しかし噛みあわなくても兄弟姉妹がいることがうらやましい,一人っ子の上に親にすら頼れない不器用なハルヒさん.今,彼女の筋金入りの配慮と孤独を知っているのはあの嵐の時に雷からハルヒを守った環のみ.そんなハルヒが仲良くできない2人の姿に心を痛めているのなら…環はこの問題を解決しなくちゃなりません..
俺はお兄ちゃまではないと霧美さんに宣言し,本当のお兄ちゃまに逢わせるための大計画をぶち上げる殿.目指すは霧美さんに兄と一緒にいられる幸せを提供すること! もちろん可憐な霧美さんにはこれ以上辛い思いはさせず,その分猫澤先輩にひどい目に遭ってもらいます(苦笑).てなわけで猫澤先輩の「キャラ設定改革計画」が発動.もちろん主担当はこの分野のプロ.キャラ設定を語らせれば並ぶものなしの病の重いマニアが,高笑いと強力モーターとともに入場だ(笑)!

後半.どうやらCM中から既にはじまっていたらしい猫沢先輩改造計画.この短時間で先輩の暗黒レベルは漆黒の闇から蝋燭の明かりつき程度には改善されたわけですが,まだまだどうしても暗黒王子.黒い薔薇をいくら撒き散らしても「あたかも呪われし蝋人形のような禍々しさでー」とか言うような奴はまだ洗脳が解けてないか真のラスボスに支配されてるに違いないぞ(苦笑).当然れんげさんは出来の悪い生徒を激しく叱責の上口答えを許さずに折檻!
王子には影は多少は欲しいもの.ゆえに全然ないように見える殿は欠陥品なんだけど(笑)オカルトやホラーは今時流行らない.書記のモリ先輩が黒板に記すNGワード,蝋人形やドクロやバンパイアや花子ちゃんや呪いのビデオや毒リンゴはまあいいとして,冥府十神とかトオルちゃんとか閣下とかカーマスートラは出てきた文脈が大変気になります.特にラストが…(苦笑).
猫澤家の呪いなんか気にもせず強力モーターをぶん回す女傑,れんげさん.そのスパルタぶりはまさに鬼.光がダメな彼をなんとかするべく懐中電灯の光を当てるという特訓には「イビルビーム」ってな仰々しい名までついております.でも暗い中で眩しい光を見せるのは逆効果でしょう.本来は全体的に少しずつ明るくしていくみたいなのがいいと思うんだけど…それじゃ時間がかかり過ぎて1話で収まらないか(苦笑).
一応事前に体質チェックはしたらしく,猫澤先輩が光がダメなのは深刻な体質問題ではなく単に根性の問題.でも,その怯えっぷりは恐怖症に片足突っ込んだレベルに見えるので,フィクションの中の人が気合でしのいでいた話と混同してほしくはないなぁ(苦笑).エドガーだって気合で十字架をしのいでた…って,これまた白泉社の超大御所をネタにしてる.対象年齢高めのギャグですな.
今回のメインヘタレ役は猫澤先輩が担うわけですが,本作の誇るヘタレキングもちゃんと仕事はしております.練習相手がくまちゃんじゃちょっと…という先輩のクレームからはじまる心眼物語.心の目で見れば何だって己の愛する別モノに見えるということを証明するべく,お手本として水着のマネキン人形に愛を語ることになってしまった殿.これがまた大変やりにくいわけですが,それでも凄い根性とか凄い演出とか凄い背景で無理やりに心眼を開きます.…まあ,傍で見ていると大変気持ち悪くって,ハルヒさんに嫌がられてしまうわけですが…(苦笑).
猫澤先輩の必死の努力の傍で,霧美さんはちょくちょくホスト部に襲来中のようです.しかもがりべんに少女漫画を音読させるという幼児ならではの暴君ぶり.実に面白くなさそうに棒読みしてるあたりからすると.そんな漫画は好きではないらしいハルヒさん.しかしそんなハルヒさんが逆ハーで酒池肉林の少女マンガの主役をやっているという倒錯ぶりが楽しかったりするわけですよ.
しかも霧美さん,がりべんを追って黒魔術部に来てしまいました.暗い部屋が怖い彼女を慰めてくれるのは偽りの兄である環.太陽の下で妹をあやす彼の姿は,猫澤先輩の理想とする姿そのもので…目の前にある手の届かない理想にくじけながらも発奮し,素敵な王子様のお兄ちゃまとして懐中電灯を自ら手に取るその漢気をぜひとも認めていただきたい!
光なんか怖くない!と気合で己の顔を懐中電灯で照らす猫澤先輩! 彼としては一足飛びの大進歩で偉業の達成であるわけですが,本作のヘタレ係とは持ち上げられるほど手ひどく落とされる残酷なシステム.全てが解決して感動のラストが訪れるわけがありません.懐中電灯で人の顔を下から照らしたら,普通は凄く怖くなるんです(苦笑).
懐中電灯で下から照らされた兄の顔に,言葉にできないほどの恐怖を感じた霧美さんは大泣きの上逃亡.いくら頑張っても落とされるという残酷なシステムについにくじけた猫澤先輩は兄の座を環に譲ろうとまで思い詰めてしまう.相思相愛のロミジュリというよりは陰からヒロインに恋慕するオペラ座の怪人である先輩に対し,落とされることにおいては超一流の環が喝を入れます.「あの子が本当に逢いたいのは,あんただろ!」
本当に大切ならば死ぬ気の根性を見せてこそ兄貴というもの.たったの1話のヘタレ役すら耐えられず音を上げるだなんてまさに論外.大切な娘…のつもりだけど実際は赤の他人のハルヒのために物凄く高いところから毎回落とされてる環に比べたら,猫澤先輩は覚悟がまったく足りてない!
大切なのは,自分の身を顧みず全てを投げ出す真摯な覚悟.その覚悟が発動する瞬間は直後に訪れます.中庭に出た妹が出会ってしまったのは,デブの野良猫.普通ならばどうってことない邂逅ですが,猫澤家にとっては話が別.猫澤家は猫が大の苦手! …真逆のはずの兄と妹を繋ぐ唯一の共通点が弱点ってのは皮肉ですが,今こそが死ぬ気で意地を張れる最後のチャンス!
妹の危機に光を恐れることすら忘れ,窓をぶち破って飛び出していく兄は,猫が怖くて動けない妹の前に出ます.その凛々しい姿はまさに夢に見た王子様のお兄ちゃま.霧美さんが求めてやまなかった本当の理想がここにいて,ついに彼女は兄を発見したわけです.怖い猫から自分を助けてくれた強くて素敵なお兄ちゃま,なんだけど…ただしこのお兄ちゃまは大変に光に弱く,妹を救った後はそのまま前のめりに倒れ,豪快にオチていくのです…(苦笑).

数日後,素晴らしいフリーフォールっぷりを体現した今回の主役は最後まで役目を果します.一生分の光を浴びて結局特訓前に戻ってしまった猫澤先輩.1話を経ても表面的にはまったく改善してないっていうかむしろ悪化するのがヘタレの真骨頂.コメディの主役はこうでなきゃいけないわけですが,辛い辛い1話をまっとうした猫澤先輩には素晴らしいご褒美が用意されておりました.
霧美さんは助けにきた王子様と黒装束の不審者を結びつけることに成功! 偉大なる呪い人形ベルゼネフのご加護によってついに出会うことができた2人.もう霧美さんは闇だって怖くないはず.だって闇の中には,自分を本気で助けてくれる王子様がいるわけだから….さて,たった1話のヘタレ役で猫澤先輩は素晴らしい幸福を手に入れたわけですが,シリーズ全体を通して落とされまくている本来のヘタレ役には,ラストにどんなご褒美が待っているのだろう.…個人的には結局ご褒美なしってオチが好みなんだけどな(笑).次回に続きます!

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