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桜蘭高校ホスト部#16

「素直な感謝は何より強くの巻」

ハルヒがアルバイトしているペンションに配達にやってきた,彼女の中学時代の同級生である荒井君.俺たちだけのお姫様のはずのハルヒに男の影があったことにショックを受ける環たちだが,彼は中学時代にハルヒにふられていた上に,今日もさらに駄目押しされてしまうような気の毒な男だった.
とりあえず敵でないことがわかった荒井君.しかし光だけは彼を受け入れず侮辱するような言葉ばかりを吐き,ついにはハルヒに平手打ちされてしまう.幼稚すぎる独占欲を発揮する光のことを心配する馨は,光のためにハルヒにデートを申し込む.

物語全体の中でも結構重要な軽井沢編の後編をシリアス目に描く「ホスト部」.自分は原作の中ではこの話が一番好きで,いかにも少女漫画らしい,ダイナミックな感情の動きを表現する後半の展開がうまくいくかどうかで今後の出来も占えるんじゃないかと思ってたんですが…これはかなりいい感じじゃないか?
終盤は原作に比べるとずっとシンプルに整理されてるんですが,話の余韻を生かすならばこっちが正解.広い紙面全体で楽しさを表現できるマンガと違って,アニメは1シーンごとに深く集中する質のものです.狭い画面の中で重要なことを全て表現するためには,それ以外を極力切り捨てる必要があるのは当然.賑やかな原作から取り出されたエッセンスは,華やかさを捨てて真っ直ぐに心に響きます.

前半.前回ラストで訪れた衝撃.ハルヒにホスト部以外の男友達がいた! しかも中学時代の同級生! 突然のライバルの出現を環も双子も激しく警戒.しかもハルヒときたら環には更なる追撃を食らわせます.光と馨は同じクラスの同級生で…環は「知り合いの人」(笑).確かに先輩と言ってはダメと言ったけど,なんて無造作に人の心を抉るんでしょうかこの子は.
桜蘭では激しく浮いているけれど,ごく普通の庶民なハルヒさんは中学時代の友達ともちゃんと交流がある御様子.自分たちの知らない情報を目の前にぶら下げられたソフト部ならぬホスト部の半分くらいは興味津々.子どもみたいにすねてる光と,折角作ったしおりでハムスターのおうちを作っている幼児な環だけが浮いてます(笑).あのしおりで墓穴掘ったのは間違いないもんなぁ….
完全な部会者である荒井君から見れば,部内のハルヒにとっては迷惑なホスト部もなかなか面白く,それ以上に異世界に旅立ったハルヒが元気だったことがうれしくて,そして自分に微笑んでくれる彼女はやはりとても可愛い.…そんなさわやか片思いぶりすら気に入らない光.「あからさまにハルヒに気があんじゃん!」と嫌味を言いまくるわけですが,これが意外な方向に話を転がしていきます.人のいい荒井君ったら,気があったのは本当でしかもふられたとカミングアウト!
ふったハルヒ本人すらびっくりの悲惨な1年前の夏.まだ中3であった2人はただの同級生.しかし荒井君はハルヒが好きだった…という前提からはじまる笑い話.桜蘭の特待生枠を受けると聞いて駆けつけた荒井君.好きゆえに同じ高校に行きたかったわけですが,「早く言ってくれればよかったのに!」とつい期待しそうな返答をよこすハルヒさんは罪作り.荒井君は一緒にいたいだけで,桜蘭の試験を受けたいって話じゃないんだ…(苦笑).
受験についてもひどく真っ直ぐに語る,ハルヒさんのそんなところも実に好ましいんだろうけれど,あまりに真っ直ぐで雰囲気を察してくれないのは困ってしまう.ハルヒさんは桜蘭の試験を受けるならと確認に行こうとするのを慌てて止めて,思いっきりの勇気で「つきあってほしいんだけど!」と軌道を修正しようとするも! 「うん…私も願書の締め切り確認したいし,一緒に職員室にいこ?」…玉砕でございます(笑).
1年前の勘違いを今更に気がつかされたハルヒは愕然.さすがにそれはひどすぎて,先輩方に責められるのも無理はない.しかも適度に慰めたりごまかしたりせずに,「ごめんなさい!」と追い討ちまでかけるハルヒは鬼で,それにも耐えてしまう荒井君は実にいい人です.どこまでも遠く真っ直ぐなハルヒさんの目が好きな彼のことをなぜか異様に殿は気に入り,うちの子のことをここまで!と感動しております.でもって「安心しろ! 君の雄姿は忘れない!」
その負け犬ぶりが明らかになったことですっかり彼と仲良くなってしまう現金なホスト部.ハルヒさんの庶民中学校時代の話はどれも興味深く,京都の話などで盛り上がるわけですが…双子はそこに混ざらない.もっと正確に言うならば,光が強硬に荒川君を嫌っており馨がつきあっているという格好.しかも単に混ざらないだけでなく,遠くからひたすら口撃を加えるんだから性質が悪い…というか,正直大人気なさすぎです.
ハルヒに相手にされてない,ハルヒの中にお前の居場所はないと荒井君にひたすらに厳しい言葉をぶつける光.あまりの失礼ぶりに切れたのは…荒川君ではなくハルヒさんの方.前の同級生の名誉のため,今の同級生を平手打ち!「人の友達にこれ以上失礼なことするなら,許さないから!」
…まさか叩かれるとは思っていなかったに違いない光は呆然.他の奴なんてどうでもいいだろと呟いて,「お前の友達は俺らじゃんか!」と捨て台詞残して部屋へとこもる(苦笑).…この幼稚な独占欲は懐かしい1話の綾小路姫以下であり,「まだまだ世界が狭いなぁ」と環にすら呆れられてしまう.いつもはバカにされるのは殿の役目なんだけど,人間的な度量に関しては無駄に環の方が大きいんだよね.
独占欲をコントロールできずにぶつけてしまって叩かれた光.顔向けできないほどに子どもっぽくて,そんな光の傍にいてくれる馨の方がずっと大人.何もかもそっくりで区別できないのが売りのはずなのに,自制心とか心遣いの面に決定的な違いがあったわけです.しかもそれはかなり根深いもので….
1年越しでふられた上に,奇妙な騒動に巻き込まれた気の毒な荒井君をホスト部一同がお見送り.人のいい彼はさっきの無礼も許してくれて,さらに光も彼に謝って一件落着…ってわけでもない.真実を見るハルヒには,「馨,なんで光のふりしてるわけ?」と当然バレてます.ごめんなさいすらできない困った兄弟をそのままにしてもおけないし,馨はハルヒに「明日1日,僕とデートしてくんない?」とにっこり頼みます.

後半.人付き合いに多大な問題を抱えた光をなんとかするために,馨がお膳立てしたのがハルヒとのデート.風邪を引いたふりでハルヒのエスコート役を押しつけてしまうのです.うまくやらなきゃ口聞かないぞと脅したり,これまでちゃんと他人とつきあったことないだろう?とためになるアドバイスをしてみたり…明らかに馨の方が大人.「お互いの気持ちとかは,言わなきゃ相手には伝わらない.でも…」
軽井沢市街でのデートでは,ハルヒさんがやたら可愛い.常陸院メイドのドレスアップによって,付けツインテールにキャミも大変に愛らしく…それを見守るハメになった殿は超可愛い!と大暴れ(笑).なんだってハルヒの初デートを光に譲り,それを影から見守らねばならないのかと言えば…光に自覚を持たせるためなのです.
これまで2人きりで好き勝手にやってきた常陸院の双子,特にお子様な光は感情だけで突っ走ることしか知らず,好意の示し方がわからない.よくハルヒばかり見ていたのは光のわかりやすい興味と好意の表れであったわけですが,感情を押しつけるやり方しか知らないために,環に呆れられるような大変情けない状態に陥ったわけです.
おもちゃじゃなくて本当の友達が欲しいなら,相手を尊重する付き合いを学ばねばならない,という馨の意見の正しさは全員が納得するところ.家柄が良すぎて似すぎていて,どうしても孤立せざるを得なかった光にとっては,他人のことを思いやる心を芽生えさせる試練は絶対に必要.…どうも馨の方は光を尊重することで,そういう社会性を先に身につけてしまったみたいですね.ただし!常陸院が面白いものが嫌いなわけがないので(笑)当然のようにデートを尾行するところがさすがB型.…この段階で,環は空模様を気にしています.
さて,ご一同様に見守られているとも知らないハルヒと光はまず行き先を決定せねばなりません.光はアウトレットモールなど提案してみますが,買い物しないところに行っても仕方がないと却下.…気遣いのなってない光は正直に申告しすぎだ(苦笑).そしてハルヒも空模様を気にしています.「雷雨とかじゃないといいんだけど…」とかなりわかりやすいヒントを出してるんですが,光はちっとも気づいていません.
デートとしてはいきなりコケてる2人を見守る殿はおかんむり.怒りの末に鏡夜にチンピラ役をやれと命令し,「寝言は寝て言え」と冷静に切り返されてみたり.うだうだ考えてるのも迷惑ですが,考えずに動いてしまうのはさらに迷惑.ハニー先輩が和ませるためにアイス屋さんに仮装して突撃するのを,モリ先輩が慌てて撤退させます.…お前らは相手のことばっかり考えすぎです(苦笑).
謎のアイス屋の襲撃直後,ハルヒさんは勝手にソフトクリームを買いました.しかも「一口お先に」なんて勧められたら否応なしに親密度が上がってフラグが立ちそうなもんですが…謎のアイス屋店主がインターセプト.サングラスに付けヒゲの金髪店主.たとえ馨に怒られようとも,ハルヒさんと光のカップル喰いだけは阻止したいいじましい父心を許してあげてください….
結局決められない光に代わって,今日の目的を決めたのはハルヒ.山芋の漬物を2つ買い,寝ているはずの馨へのお土産とします.遠出せずに馨へのお土産を選ぼうと言い出すハルヒは光のいらいらの原因を正確に理解していて,でもその理由を聞いたら回答が「てきとー」.…実にざっくり(苦笑).
他人のことには素晴らしく気の効くハルヒさんが光を思いやってしまったため,当初の目的は全然達成されてないわけですが(笑)なんか背のちっこそうなボールとか見て和んだりしてるので,これ以上邪魔するのは野暮というもの.それにここにいてはいけない感じで電柱の影で泣き濡れてる殿もいるので(笑)監視班一同は引き上げてしまうわけですが…本格的に話が動くのはここから先.
ハルヒが心配していた空模様は急激に悪化.遠雷に過敏に反応してるんですが,にぶちんな光はその意味に気づいてくれない.しかもそろそろ帰ろうと意見が一致したところで運悪く登場してしまうのが荒井青果店.ハルヒは噛ませ犬荒井君と仲良く会話.彼はトラックでペンションまで送ってもらおうと言ってくれるいい人なんだけど…光は未だに,自分たちのハルヒと仲のいい彼のことが嫌いでたまらない.
タクシーでいいと頑張る光と,高いから送ると言う荒井君.で,肝心のハルヒさんは「お願いしよっか! 早いほうがうれしいし」と荒井君提案を選択.これに光はあっさり傷ついて,「好きにしろって言ってんの!」とハルヒさんを置いて走り去ってしまう.もちろん光はハルヒがなぜ選んだのかについてはまったく推測できてない.相手に関する想像力が著しく欠けているのです.それに比べると,なぜ光が荒井君を受け入れることができないのかまでも推測できているハルヒは,さすがに出来が違います.
ついには雨が降りだし雷鳴が鳴り,2人の帰りを待っているペンションでは環がいらいら.そこに電話をかけてくれたのが本当にいい人な荒井君.彼がさっきの顛末を伝えてくれたことでハルヒさんが大ピンチであることが判明! …木の下で雨宿りする光の携帯から流れる,殿の着メロ.前回冒頭で響いたあの音は,光を目覚めさせるためのものなのです.
「馬鹿野郎! いいからすぐに引き返してハルヒを探せ!」と電話口で光に怒る環.「雷が鳴ると,怯えて動けなくなるんだぞ!」 ハルヒのプライドとかプライバシーのためにこの件については黙っていたらしい環ですが,今はそれどころではありません.目を離さないと誓っていたのにひとりぼっちにしてしまった彼にも責任があるから,特権を放棄して光に責任を負わせるのです.
思ってもいなかった責任をいきなり負わされた光はびっくり.大失敗をやらかしたことを知り,自分が相手のことを全然考えていなかったことに気付きます.しかし思い出してみれば,ハルヒは時折空模様を心配していて,でも…「あんなんでわかるか馬鹿!」 雨と雷鳴の中に飛び出して,必死でハルヒを探すしかない.金の力を使うこともすっかり忘れているようで,身1つで駆け回ってるのが必死さと同時に動転ぶりを示してもいます.
雨の中,ようやく見つけた人気のない教会.中では時折怯える声.薫は「ほんの些細なヒントを見落とさないことも大切」と言い,ハルヒは自分にそうしてくれていたけれど,光は自分がするべきことすら知らなくて,結局彼女をひとりぼっちで泣かせてしまった.すねて逃げ出した報いを受けた彼は,ついに罪を懺悔することになります.
教会の説教台の下で泣いている大事な友達がこれ以上脅えないように,テーブルクロスを被せてヘッドホンをかけてやり,隣に座って肩を寄せる.素でやるには大変に恥ずかしい行動ですが,その勢いにまかせて自分のガキっぽい行動のことまで謝ってしまう光.状況の力を借りた謝罪だけれど,苦しませた彼女が返してくれた言葉は「ありがとう」.…声高に責められるよりもずっと胸に響くものを返されてしまった光の頬に流れたのは雨? それとも….

雨も上がって翌日.人の良い荒井君は今日もペンションみすずにやってくる.昨日の今日でちゃんとスイカ持って様子を見に来る彼はタフすぎる! しかもあれだけこじれた光に向かって,何も言わせないでスイカ手渡すなんて! ハルヒさんの無垢な感謝っぷりも凄かったけど,荒井君の察しぶりと底無しの人の良さはまさに暴力.この心遣いにやられた光は,精一杯「ありがとう」を言うしかない(苦笑).
原作よりもずっとシリアスに夜を越えることになった光.まさかああなるとは誰も思っていなかったわけですが,勢い余って恋愛感情に変わる可能性は考えなかったのかと問う鏡夜に,「それはまだ早いでしょ」とずっと大人な馨.そっくりのはずの馨とは違って…「光,馬鹿だしね!」
確かに人付き合いを今まさに学んでるような奴では,もしそれを抱いたとしても,一体何と呼ばれる感情なのか名付けることすらできないはず.でもってこの部にはそんな馬鹿が一人ではないのです.見たままバカの殿はもちろんですが,馬鹿な兄弟をつい見守ってしまう馨も,「馬鹿が多いからな,うちの部は」と言い切る鏡夜も,本当にそれの名前を知っているのかな? 未だ至らない爽やかな馬鹿たちを暖かく見守りつつ,次回に続きます!

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7月開始新番組チェック

暑くてたまらないここしばらく,皆様いかがお過ごしですか? 自分は試写会に行って以来,仕様外のいろいろにやられてぐったりです.忙しさのために折角買ったおもちゃもろくにいじれず,新番組のチェックもままならず…というわけで今になってようやく今月はじまった新番組について短評が出せそうですよ.
今期は大改編期の合間なので数は多くないですが,癖が相当強いのが数本.でもなんか微妙に食い合わせが悪くてどっぷり感情移入するには一味足りない.特に短期シリーズでは冒頭で客を掴めなければ鳴かず飛ばずで終わる確率が高いので,切られる前に更なる奮起を見せてくれることを期待したいんだけど….
おなじみの通り,作品名前の記号は事前の期待→視聴後の印象.

△→△ 貧乏姉妹物語
原作未読.「神様家族」に続く東映の萌え狙い作品.キャラは手堅く愛らしく,邪魔な野郎はさくっと切り捨て,ともかく姉と妹の愛らしい様をひたすら見てもらえればいいという最近の流行に乗った構造です.しかし複雑ゆえにドラマづくりしやすい恋愛要素をあえて切り捨てるこの構造を取るならば,物語に普通でないひねりを加えるか,圧倒的な画の力で押しつぶすべきだと思うんですが…東映の芸風って元々それほど濃くはないんだよな.一般の人に見てもらうには適度な濃さかもしれないけれど,競争者の多すぎる深夜帯では埋もれていきそうな気がする.

○→△ 出ましたっ!パワパフガールズZ
前作未見.「シュガルン」の後釜として登場した本作もまた東映.かなり前から発表されていた期待の企画なんですが…浦沢御大が関わっていてスタートダッシュに成功するはずがないとは思ってたんですが(笑)今回は海外向けなためなのか,御大脚本らしい刺さったら死にそうなエッジが相当丸まってますね.もちろんスロースターターな御大が本領を発揮されるにはしばらくかかるはずなので,それまではちゃんと見守っていきたい.3人の中では素敵なボケ祭りを見せてくれそうなバブルスがいいな(笑).

△→△ おとぎ銃士 赤ずきん
前作未見.なんかいろんなものが物凄く深夜枠向けなんですが,キッズ向け作品での石山監督への信頼度はかなり高いので,この先時間帯に合った方向に作風もどんどん更正されていくに違いない…と信じたい(笑).これもまたいい感じに話が回るようになるまでには時間がかかりそうなのでのんびりと見守っていきたい.敵だけで話が回せるくらいになるといいんだけど….ちなみに主題歌は今期開始の作品の中ではかなりのお勧め.お気に入りです.

-→○ ゼロの使い魔
原作未見.題材の選び方やキャラ造形や物語の展開に無理がなく,最重要な作画や声にはしっかりと手間がかかっている.この作品に期待されることにさらりと答えた自然体ぶりが素敵な1作.当たり前のハードルを忠実に全てクリアしている作品はそれほど多くないから,この先作画が崩れることさえなければいい線行きそうですよ!
ご主人のツンデレをはじめ,脇の皆さんも割と見た目どおりのキャラなんですが,飼われた主役の少年がただただ服従して流されていくわけでもエロにまかせて行動するわけでもないところが面白い.この手の作品で主役少年を微笑ましく見守ることができるものは珍しいので,この先ツンデレと少年の関係がどんな風に変化していくのかを楽しみに見守りたい.主題歌もなかなか!

△→△ コヨーテ ラグタイムショー
コミック未読.「シノブ」までで名を上げて「フタコイ」で下げた(苦笑)ユーフォーテーブルの挑むオリジナル作品.原作つきだと折角儲けても関係各社とかに相当持っていかれるらしいので,小さい会社だからこそオリジナルをメインに据えたいって気持ちはわからなくはないんだけど…クリエイターとしての折角の力量がもう空回りしちゃってるのが勿体無い.足りないのはシリーズを通した構成力のはずなので,そこがなんとかなればいいんだけど….

△→△ 無敵看板娘
原作ちょっとだけ既読.抜群の動画力を誇るテレコムの手がけるアクション作品…なんだけど,これまた随分とマニアックなところから原作を持ってきたなぁ(笑).立体的で正確で清潔な動きを得意とするスタジオなので,迫力優先で満載なデタラメアクションをどう描いていくのかが気になります.正直,原作との相性がいいとは思えないけれど,これを手がけたことがスタジオとしての芸風を広げる大きな力になるといいなぁ.

-→× 内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎
原作未読.だっぽん! 他の作品と比較するのが大変申し訳ないクオリティとなっておりますが,こういうおっさん臭い作品としてはこのベタさはぎりぎりでアリなのではないかと思います.ただし問題はおっさんがどうやってこの深夜アニメに気がつくかという一点だけで…(苦笑).きっと安いに違いない制作費を回収できるかどうかが今後の鍵.アニメの未来のためには回収できない方が望ましいに違いない微妙な1作です.

○→△ N・H・Kにようこそ!
春をかき回していった「ハルヒ」去りし後の大本命と目されていた期待作.タイトルからして実に攻撃的な原作をアニメ化できただけで相当の話題性があり,そんな冒険作に美麗な画とテンポのいい動きと贅沢な音楽で飾ることができたなら勝ったも同然!…のはずなんだけど,直前までアニメすげえ美少女すげえと踊っていた連中を取り込むには題材があまりにも苦すぎる(苦笑).回を重ねるごとにテンションや美少女割合は上がってきてるんですが,ダークサイドの塊みたいなこれを祭り上げて踊るのはあまりに辛いに違いない.評論家ばかりに評価されるように作品になるとつまらないぞ?

今のところ,書けそうなのはこんな感じかな?

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機動警察パトレイバー#15

「未来は軽くて掴みどころなしの巻」

東京湾の大堤防の内側に,ザトウクジラが迷い込んだ.思わぬ珍客に人々もマスコミも竹芝桟橋で大フィーバー.世論は揃って救出方向へと流れ,政府も「ザトちゃん」を救うために海上保安庁を中心とした対策本部を設置.その末席にはなぜか第2小隊が座っていた.
対策本部の一員として,やじ馬の整理に当たる第2小隊.眼前の海上では海上保安庁の巡視艇がクジラを堤防の外へと追い立てようとするもあえなく失敗.その様子を見守っていた人一倍心優しいひろみは,クジラを救うための良い方法を思いつく.

10年未来の話のはずが,当時の風俗が随分と色濃く刻まれているのがおかしい「パトレイバー」.80年代の末,冷戦の末期に想像された近未来なので,バビロンプロジェクトのような世界観を作るために意図して設定された歴史以外にも,まだ本作内にはソ連があったり西と東があったりするのが,現在から見るとパラレルワールド風味.
ただし放映当時は平行世界ではなく,当時の現実の延長上にある近未来シミュレーションであったことは忘れてはならないでしょう.実際にその予測はちゃんと当たっているところも多くて,迷い込んだ動物にはフィーバーして「ちゃん」をつけるという習性は未だ維持されているのはご存知の通り(苦笑).空回りが笑える物語を軽妙に描くのは絵コンテ・演出の高松信司.驚くほどのやってることの軽さが素晴らしい.

前半.怪獣も出ず怪事件も起きず陰謀も巡らされていないごく普通の冬のある日.待つのが仕事な第2小隊はのんびりと朝の勤務をはじめております.深夜映画のゴンダムを見ていてやや寝坊した野明に太田が怒ってみたり,ひろみのクジラ写真を見てみたりと本当にのどか.クジラは冬は繁殖のために岸に近寄ってくるなどの豆知識兼伏線を披露しつつ,絶滅しかかったザトウクジラを一度見てみたい…などとやっているうちに,遊馬が出勤してきます.
最後に来たのに妙に態度がでかい遊馬.太田の小言なんか軽く受け流して早速テレビをつけたなら,東京湾にクジラがいる.今回の状況であるザトウクジラが東京湾の堤防の中に迷い込んできていたのです.…ここで言われる「堤防」は,干拓のために作られているもの.首都圏の用地問題を解決するための東京湾干拓計画.これが名高き「バビロンプロジェクト」なのです.
用心深いザトウクジラのはずなのに,人間満載の騒がしいところにやってきた「この子」.心優しい者ならば,なんとか助けてやりたいと思うのは当然のこと.その程度で国家が動いてられるかとか言うような心の貧しい奴は,日本ならばともかく,クジラ保護の本場であるアメリカでは周囲から総攻撃を食らうに違いない.待つのが仕事の警官として,派手な事件がないからと荒れる太田は警官向いてないなぁ(苦笑)!
日本人には,物見高くて熱しやすく冷めやすく,迷い込んだ動物には「ちゃん」をつけて呼ぶという根深い文化があります(笑).見物客で岸壁が芋洗いになったり可愛そうだと世論が動いて行ったりするのは,本当に今も昔も変わらなくてびっくりだ.そういや現実のあのアザラシって,今はどうしてるんだろう? 素朴な同情の集合はやがて市民活動へと変わり,愛護の本場からは外圧が加わり,デモや抗議行動が連日のように起こってマスコミが張りつきとなる頃には,動かないはずの政府も動かざるを得なくなります.海上保安庁を主観として作られたクジラ救出の対策本部には関係諸省庁を集め…ああ,省庁名が古いなぁ(苦笑).海上保安庁に消防庁に環境庁に水産省に外務省に…なんで特車隊が混じってるんだ?
わざわざ特車二課が呼ばれたのは,岸壁に集まるやじ馬の整理のため.この件については警視庁内でどうでもいい仕事と判断され,第2小隊に回されてきたに違いない.とはいえ屋台まで出て大騒ぎとなっている岸壁を整理するのは地味だけど大切な仕事.観光気分で遊んじゃダメ(笑).…そう.ただの警備も立派な仕事.ダレて海上を見る自分たちの前を颯爽と走って行く海上保安庁の船を「かあっこいい」なんて言ってる場合じゃないのです.言った自分が悲しくなるってのも確かにあるけれど(苦笑)役割は役割なんだから,しっかり割り切っていかなくちゃ.
今回出動する海上保安庁の巡視艇は,はつしお,うずしお,ごましお,しおしお…後2つに名前つけた奴ちょっと来い.様々なものが途方もなく軽かったバブル末期をさらに軽くしたような空想の近未来では,ニュースすらも実に軽薄.コミック版でも見られた事件をクイズにするような扱いは,さすがに現実の未来では見られませんが(苦笑)ニュースもどきのバラエティだと似たようなことしてますね.海上保安庁のクジラ追い出し作戦は,複数艇で目標を追い立てるという至極当たり前で面白味のないもの.とはいえ沢山の船がヘリを従えて作戦行動に勤しむのは,陸上で邪魔者扱いされてる第2小隊よりはずっとかっこいい.
それに比べて第2小隊は実にかっこ悪い.黒山の人だかりから邪魔者扱いされてキレそうになりながらも,納税者だからとぎりぎりを必死で耐える太田.しかし「税金泥棒!」と小船のマルクス号に挑発された段階でもう限界.だって相手は思想犯だし(笑)! …東側があった頃はあの手の連中も相当元気だったけど,今や大国は資本主義に下ってしまって支局を減らすことになったり大変そうですな.
彼なりに必死に我慢していたのがついにキレてしまった太田.リボルバーカノンを抜いただけでも立派に不祥事なんですが,あわててひろみが射線付近で制止するのも無視して顔を真っ赤にして発砲! さすがは太田,不祥事起こさせたら彼の右に出る奴はいない(苦笑).ひろみもマルクス号の乗組員も死ななくてすんでよかったなぁ.
ごく簡単な警備業務すら耐えられない太田のおかげで,監督役の香貫花と制止できなかったひろみも巻き添えを食らって始末書を書かされることに.隊長が3人の顔に始末書貼り付けてくるところがこれまた軽い(笑).明日までの宿題を顔に喰らって前が見えないまま退出する3人が実にシュール.中でもひろみはただ巻き込まれただけなのでほんと可哀想….ひょいと始末書を上げて話をし,終わったら降ろして退出するあたりも愉快だよなぁ.
ちなみに始末書3枚になった例の作戦なんですが,結局クジラは船をかわしてしまって失敗に終わっております.けれど汚れている海で,しかも静かな夜すら人間どもに邪魔されてゆっくり眠ることもできないような状況が続くなら,クジラは早晩のうちに弱って死んでしまいに違いない….心優しいひろみは薄暮の朝から海を見守りながら,もっといい方法を考えていて,汽笛を聞いて名案を思いつく.これまた実にベタなんですが,ひろみちゃんがうれしそうだから,まあいいか.

後半.ひろみの思いついた名案は後藤経由で海上保安庁の上層部まであっさりと到達.実際は凄くベタな手段なので,別の専門家からも似た提案を同時に受けていたに違いない.早速海上保安庁所有の海中作業用レイバー・シービューが導入されて新作戦開始.同種のクジラの声をレイバーのスピーカーで海中に流すことにより,迷子クジラを湾の外へと誘導するという作戦は見事に当たり,クジラはレイバーを追い堤防の外へと帰っていく.…沈む夕焼けの中でのベタなハッピーエンド.でも,この程度のお安い感動で終わるような作品はちっとも面白くないってのは,今も昔も変わりません(苦笑).
折角いい感じに完結した…はずなのに,翌日には連れ出したはずのクジラが戻ってきちゃったために世論が見事に逆向きに.一度愛護の方向に激しく揺れた反動で批判も相当厳しくて,こんなのは税金の無駄遣いだとかトーク番組で両論が論じられたりとか国会でも無駄として取り上げられたりとか.…これが制作された当時には,まさか21世紀に入ってもまだ「朝生」が継続しているとは思っていなかったはずだ絶対に(苦笑).
ついには全然解決してないのに一方的に対策本部も解散.あまりのクジラバッシングの激しさに,「これってやっぱり,安っぽい哀れみに過ぎないのかなぁ」と自分の善意にすら自信がなくなってしまったひろみが可哀想.もちろん素朴な善意に罪なんかないはずだけど,なんで人間はひとまとめにしていいとか悪いとか考えるのかなぁ….
それから7日後,熱しやすく冷めやすい国民性によってすっかり忘れられていたクジラ.けれどあれが岸を離れなかった理由がようやく明らかに.物好きにも東京湾で出産してたんですね.新メンバーの加入によってブームは再燃.もう一度救出作戦が企画されたのは喜ぶべきなんでしょうが…まさかその中心に門外漢の第2小隊が据えられようとは(笑).
オチこぼれの寄せ集めのはみだしもの,金食い虫の無駄飯喰らい.第2小隊の悪名が天下に轟いているからこそ,なんか失敗しそうな計画だって任せることができる…って政府的には本気で助けるつもりはないのか.第2小隊の仕事の種類として,どうでもいい仕事に加えて絶対失敗しそうな仕事もレパートリーに入ったのは,仕事と物語に幅を持たせる役には立ってるけれど,組織としての評価は絶対下がるな.しかし,頼まれて引き受けたならば完遂せねばなりません.世論や体面のためではなく,何よりもクジラのために!
海上保安庁が廃棄した博物館ものの海中用レイバーを特車2課整備班がきっちり整備.通信技術と引き換えにロボット工学と防水技術(笑)が異様に発達したこの近未来だからこそ可能な芸当です.しかもこの作戦に挑むのは,イングラムには搭乗できないことでおなじみのひろみ.大喜びで小さくなってコックピットにおさまり,危険な任務に挑みます.
水上には高速艇,頭上にはヘリ.その光景は数日前の対策本部に比べたら大変ちゃちですが,本人たちは必死なんだから笑っちゃいけません.子どもを生んで気が荒くなった母クジラの方へ音を出しながら接近し,堤防の向こうに誘導しようとするも,気の荒い母クジラはひろみのレイバーに向かってきて大変! あの巨体相手ではボロレイバーなど相手にならない.吹っ飛ばされてさあ大変! …しかしこの世界は本当に防水技術が素晴らしい.あの衝撃を受けながらも漏水なしでスピーカーが壊れただけって,本当にすごいや!
スピーカーを失ってクジラを誘導するための手段を失ったひろみ.これはもう出直しするしかないと諦めようとした彼らの耳に響いてきたのは,本物の声.…沖にもう1頭のクジラがやってきた! 母子を守る雄のエスコート役のクジラが登場して,なし崩しに事態はすっきり解決.2頭と1頭は合流した上,仲良く堤防の外へと戻っていって,第2小隊は見事に置き去り.状況は勝手に解決しちゃって,我らが主役たちは完全に放置されてしまったのでありました(苦笑).
「俺たち一体何やってたんだろう?」というラストの遊馬の嘆きが示す通り,どこまでも軽く軽く空回りして何もできずに終わった今回.でも,クジラは助かったから別にこれでいいんだよな,きっと(笑).特に固定した主役を持たない本作の中でも主役不在という異色な今回.全然報われない話でも不思議と後味がいいのは,これはもう演出の軽さの勝利に違いないとか思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#15

「長年磨いた爽やか技術の巻」

夏休み3日目の怠惰な朝を破ったのは,ハルヒが自宅にいないことに気づいた環の悲鳴だった.ホスト部に黙ってアルバイトに出かけたハルヒを追い,環たちは軽井沢のペンションに押しかける.彼らの来襲にうんざりしているハルヒだが,校則に違反しているとなれば強いことも言えない.
環たちはハルヒのアルバイトするこのペンションみすずに泊まりたがるけれど空き部屋は1つしかなく,その部屋をかけたアルバイトしながらの爽やか勝負が開催される.順当にいけば常陸院ブラザーズが勝利しそうな勝負を面白くするために,鏡夜は環に加勢する.

前クールよりもキャラを掘り下げていく「ホスト部」.夏休み軽井沢編の主役を張るのは,セット売りでおなじみの常陸院の双子.そっくりで見分けがつきにくい2人ですが,やや声が低くて太い方が光,やや高くて細い方が馨と覚えると迷いにくいのでお試しください.ハルヒの登場によって2人きりの世界が壊れつつある双子.まったく同じがよかったはずの双子にもハルヒに対する執着度の差が現れつつあり,それが顕著となるのが今回と次回の2話となるわけです.…自分のことだけに夢中な光ともうちょっと視野の広い馨のコンビは,環と鏡夜の2年生コンビになんとなく似てますが,互いに対する依存の深さが段違いで違うんだよね.

前半.放送事故のように真っ青な夏空の下で響いてるのは,開始直後だってのにエンディングのイントロ.未だ怠惰に寝ていた常陸院の双子のケータイが鳴っております.客が見ていたら萌えで倒れそうな仲の良さで一緒に寝ていた双子たちは,響く着メロは殿なのであの暑苦しいテンションに触れたくないのかだらだら.でも止まらないし仕方なく出たら…「ウチノムスメガ!ウチノムスメガイナイ!連絡ガツカナイ,誘拐サレタニチガイナイ!」…これまた偉いテンパってんなぁ(苦笑).
てなわけで早朝からホスト部総出で電話会議.金持ちなんだからテレビ会議システムくらい導入すれば良さそうなもんですが,オマージュとして肖像画の目を光らせる方が遥かに金持ちレベルが高いに違いない.しかも会議の内容もアレ.夏休みに入りハルヒとの連絡が一切つかなくなったことに動揺しまくる殿は,つい悪い方向へと考えがエスカレート.困窮の末家賃が払えず夜逃げしたに違いないとアホの子は一人で暴れまくり.
ケータイなんかハルヒが持ってるわけないと勝手に思い込み,秘密結社「夜逃げ屋」によって…と暴走する妄想はどこまでも.心配性にも程がある部長を止めてくれるのはやっぱり副部長.「ハルヒは軽井沢だぞ」とさらりとネタばらししてくれたのに,破産で夜逃げで誘拐された上に軽井沢?とまったくついていけてない殿が情けない.
自分たちに黙ってハルヒは軽井沢にアルバイトに出掛けた.そう聞いて軽井沢に押し掛けない奴はホスト部には存在せず,いたずら好きでモノ好きな双子ならばなおさら.もはや慣れっこのメイドたちには二人のいたずらは無視されてしまうけど,きっとおもちゃのハルヒなら…その股間のジョークは「悪趣味」と一刀両断されるな(苦笑).ただしなんとなく様子が違うのが光で,「…やっぱおもちゃいないと,はじまらないな」と珍しく他人に執着を見せているのを,横で馨が見つめています.どうやら別のものを見始めている双子が,これから2話分の主役です.
さて,ホスト部一同を置き去りにして軽井沢までアルバイトに来ている,全編のヒロインであるハルヒさん.さすがに慣れたけどうざいのは間違いないようで,あの珍妙な連中に絡まれずに済む夏休みは勤労と勉学に励めるはずだったのに…自称お父さんがヘリで乗り付けもう台無し(苦笑).ちょっとは楽しいかもしれないけれど,大変に気苦労の激しい夏休みとなることがここで確定です.
ハルヒさんのバイト先はもにょるふりふりおカマの美鈴さん42歳の運営する「ペンションみすず」.彼女がハルヒ父の昔の店仲間とか,ハルヒ父が社員旅行で出掛けてることまで鏡夜はしっかり知ってます.家では蘭花さん,学校では鏡夜に観察されちゃ,ハルヒさんのプライバシーなんてないも同然だ.可愛くて働き者のハルヒさんはすっかり美鈴さんのお気に入り.美鈴さん手製のエプロンもグッジョブであります.
皆に内緒でここに来るため,ホスト部の仲間からのリゾートのお誘いについてはことごとく断っていたハルヒさん.もちろんバリもスイスもパスポートがないので無理なんですが,鏡夜の国内リゾートのお誘いまで断ってたんですね.…鏡夜はそれで出掛ける予定があると感づいたのかな.
で,一番そういうことやりそうな殿ときたら,皆の出し抜きぶりに怒っております(苦笑).部活を本気で家族に見立てる彼の場合,自分さえよければいいなんて考え方はダメ.深い連帯感を持ち,家族の皆で楽しめるプランを本気で考えていたら取り残された(笑).…もしハルヒが誰かの誘いに乗ったとしても,それを知った他の部員はなんとしてもそこに集まろうとするだろうから,結果的には今と同じになっただろうけど.
そして殿をさらに傷つけるのが双子の出し抜き.貧乏だから持ってないとばかり思ってた携帯をハルヒさんが持ってる!それも双子とお揃いで! それもお友達専用だからと環を仲間に入れてくれない.仲間になりたい殿は「お父さんでありおともだち」という新カテゴリーを提案するも,そんなお友達カテゴリーはありませんとハルヒはばっさり.…そもそも「お父さん」から間違ってるしなぁ(笑).
ヒロイン的にはお友達にも先輩にも自称お父さんにも即刻帰ってもらいたいのに,実はアルバイトは校則違反.成績優秀な奨学生が無断でアルバイトしていることが学校にバレたら大変で…思いっきり弱味を握られてしまって自由意志の上で居着く気満々の彼らを止めることもできない.折角夏休みだってのに,このままじゃ普段よりも接触時間が長くなる(苦笑).
ハルヒさんのいるこのペンションへの宿泊は環にとってはまさにドリーム.手作り朝食を装備したハルヒさんとの2人きりの朝には持てる限りのホスト部テクニックを披露しまくるつもりなんですが…不幸にも,あるいは幸いながら残るは1部屋.この部では部長権限なんて欠片すらなく,部員たちもさっきの言葉尻を掴んで連帯感を求めてくるから環はぼろぼろ.「俺ってずるい子? 自分さえよければいい子?」といつものように挫けます.
欲しい者は大勢だけど物は1つしかないとくれば,それを取り合うゲームがお似合い.双子が提案したのは「客室争奪・爽やかアルバイトin軽井沢」! このペンションでアルバイトして一番好感度が高い奴がここに泊まるというのがルール.無料で労働力を確保できる美鈴さんの協賛を受け,さわやか勝負がはじまります.…唯一がっくり来ているのはハルヒ.あの世間知らずどもが一緒にいたら「夏休めず」だ.
軽井沢の売りである爽やかさをアピールすれば高得点なこのレース,割と最初からコケているのがハニー先輩と環.ついつい愚痴ったり指打って見苦しかったり可愛くおねだりするのは「爽やか」じゃない.愚痴らずきびきびと言い訳せず働くのが爽やかな働きの王道ってものであり,その点態度はでかいけどソツなくご案内している双子とか,寡黙に仕事をこなすモリ先輩は爽やかなのです.そんな採点を嬉々として行う美鈴さんが某人に似てるけど,気にしない(笑).
ちなみにホスト部中では景品であるハルヒさんと鏡夜は勝負に参加せず.自分の別荘でいいやと早々と傍観者を決め込むのは,取り合うほどの興味はないのか,殿への消極的な協力なのか,あるいはここで取り合っても意味はないと知っているからなのか.ちなみに岡目の鏡夜の見立てでは,勝負の大穴は天然で爽やかすぎるモリ先輩.次点が常陸院の双子でハニー先輩と環は厳しい.特に勝負に熱くなりすぎていいところを発揮できない環は大変勿体無い.…ただしモリ先輩はハルヒさんよりハニー先輩を選んじゃうんだ(苦笑).
トップが脱落確定ならば,勝者はベッドすら一緒の双子で決まり? 生まれたときから今に至るまでいつも一緒で2人きりの双子の場合,ベッドだって1つあれば十分.ただし5話でハルヒに区別されて以来,光の目には馨ではない人が映ることが増えて…「ハルヒなら混ぜてもいいよ」ととんでもないところに誘ってます.さすがは双子の提案したゲーム.2人が勝つことが最初から確定してるようなもんだけど,それを横から見ていた鏡夜が,わざわざ混ぜっ返してみるのです.

後半.ハルヒさんとの朝を賭けた勝負はついにクライマックスへ.未だに必死すぎてちっとも加点できない殿と,部活で磨いた演技力をフル回転させて爽やかポイントを稼ぎまくる双子.…たぶん我らの殿は,1対2の人数差すら気づいていないに違いない(苦笑).ここで勝ってせめてハルヒさん公認のお友達カテゴリーに入れてもらいたいという,いっそ物悲しい殿の願いを叶えるために降臨した鏡夜曰く,「これはお前にしかできない技だ.ただし選曲をミスるなよ」
ヒントを理解した殿は己の能力を最大限に生かせるピアノの前に座り,優雅で美しく爽やかな音色を奏でます.なんせ彼の見た目はハーフの美青年.黙ってピアノ弾いてりゃそのままで絵になりますし,それ以上に黙ってピアノ弾いてりゃ間抜けで暑苦しいこと口走らなくて済むし(笑)! 一朝一夕では身につかない本当の芸を披露されては,馨も敗北宣言するしかないかな.…ところがここでアクシデント.馨と一緒にいたハルヒの上に,2階から花瓶が落ちてくる!
即座に馨が体でかばい,ハルヒさんは割れた花瓶を喰らわずに無事.しかし馨は破片で顔に傷を作ってしまい,これに泡食って駆け寄った光がえらく狼狽.もうハルヒなんかそっちのけにして馨のことを心配しています.その兄弟愛はひどく濃厚で,それこそ一朝一夕には出来ないようなレベルであったために美鈴さんの魂を撃ち抜きました(笑).屋根の上で美鈴っちは100点を与え,勝者は常陸院ブラザーズ!
最後のアクシデントで殿をぶち抜いた双子たちは,ハルヒに人の悪い笑顔を向けてビビらせるわけだけど,さっきの光の狼狽ぶりはもちろん本物.やっとせしめた部屋の中でも光の手は未だ恐怖に震えていて,それを気遣う怪我した馨の方がずっと普通で…大人っぽい.未だに兄弟への依存があまりにも深いのは,特に恋をするには不便だよなぁ.…ただし震えるほどに大切なのは意識がちゃんとあるときのみ.翌朝,光にベッドから落とされて床で寝てる馨は,これっぽっちも大切にされてない(苦笑).

軽い兄弟喧嘩からはじまるペンションの朝は騒がしく,朝食に無体な注文をする双子はすっかり普段どおりに復調.わざわざ早朝からこのペンションに押しかけている環もまたやかましくて,自分のことを棚に上げてみたり受け売りで今朝の朝食メニューを切々と説明してみせたり….ちなみに旅のしおりの「朝6時起床」というお約束については,若干2名が大変に魔王と怪獣であったために撤回予定のようです(苦笑).泣くほど怖いことはちゃんと学習しようよ….
そして,いつもどおりの騒がしい1日がハルヒを巻き込みながらはじまろうとしていたそのとき,思ってもいなかった嵐がホスト部の中に吹き込みます.偶然このペンションに配達に来たごく普通の自転車少年は,ハルヒさんの旧知の相手.中学のころの同級生.これもまた一朝一夕では身につかない,ハルヒとお揃いの「庶民」属性を装備した未知の相手の出現に遠雷を聞く,次回に続きます.

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デジモンセイバーズ#14

「どんなときでもこいつのペースの巻」

暴走したガルダモンを新たなる進化で倒したマサルとアグモン.この件の陰にいると思われるメルクリモンを倒すため,そして行方不明となったマサルの父を探すため,マサルたちはデジタルワールドに赴くことを決意する.
翌朝,十二分に装備を整えて,デジタルワールドへと転送されるマサル・トーマ・ヨシノと彼らのデジモンたち.しかし到着直後,折角持ち込んだ全ての装備が消し去られてしまう.ブーメランで他人の荷物を消したのは身の軽い人間の少年.人間はデジモンの敵と言う彼は,しゃにむにマサルたちに襲いかかるのだった.

凄い盛り上がりの果てに1クール目を終了し,新章に突入した「セイバーズ」.ピヨモンの件で人間たちはメルクリモンこそが元凶と考え,討伐のためにデジタルワールドに向かうんだけど…人間たちとデジモンの間には既にかなりの誤解が発生しています.その理由には人間側の推測の誤りだけでなく,人間たちの知らない事実が存在しているようで,その事実に深く関係してきそうなのが今回冒頭の10年前の事件.人間側,特に大門家からすれば行方不明者を出した悲劇的な事件なんですが,この件かこの件の前後に起きたことが諍いの元凶になっている可能性が高い.でもってそれに間違いなく関わっているのが今回登場の謎の少年.彼の年齢とその両親が大変気になるところですが…お前「Nitro」のレオンみたいだな(笑).ちなみにオープニングではこの回から完全体解禁.

己の足りぬものを知って新たな力を手に入れたマサル.これまでは殴った手から出ていたデジソウルは全身から噴出するようになり,次をどうするのかがもう気がかりだ(笑).完全体・ライズグレイモンの最大の利点はやはり行動範囲の広さ.これまでかなり苦心していた空中の敵相手でも,今後は互角以上に戦えるはずです.そしてピヨモン事件はあくまでも発端.マサルたちがこれから目指す先には,現在首謀者扱いのメルクリモンの姿があるはずです.
そしてついにマサルに対し明らかにされる,デジモンと大門家の因縁とは…10年前に父が失踪したのはデジタルワールド.発見されたデジタルワールドを探索する専門家チーム6人の中に,マサルに似た風貌の父が含まれており,その探索の最中に行方不明になったというのです.ここで隊長の回想として描かれる10年前のデジタルワールド探索の場面は,今後に大きく影響するに違いないのでよく見ておきたい.
困難を極め,デジモンの襲撃を受けてキャンプが壊滅し人間界にも戻れなくなった…という映像は,この間マサルたちが行ったばかりのデジタルワールドの姿とは掛け離れてます.探検隊の六人の中には女性っぽい影や,オールバックと眼鏡,背の低いヒゲというどっかで見た感じの2つのシルエットも混じってるな.でもって大門スグル博士が以前つけていて,今はマサルが下げてるペンダント.これはどのようにしてマサルの手に渡ったんだろう?
父がそんな経緯で行方不明となったことは,もちろん母も知っていました.衝撃の事実を聞かされて泡食って帰ってきたマサルは,母からも話を聞くことになります.デジモン研究の第一人者でともに平和に暮らせる方法を探してたという父.この家には,マサルがアグモンに逢うずっと前からデジモンを受け入れる体制ができていたわけです.…ただし母はデジモンと父のことに関しては,マサルまでデジタルワールドに取られてしまうようで話せなかった.話を聞いたマサルは「俺は消えたりしねえ!」と約束するわけですが…こんなこと言い出す奴は絶対行方不明になるのが世の理ってなもんですね(苦笑).
メルクリモンを探し父も探し出す!と能天気に力むマサルを見て「やっぱりスグルさんの息子ね」とサユリさん.父も相当ポジティブな性格だったのかな? そして「約束して,必ず戻ってくるって」とマサルにお願いする母.既に一人失っている彼女はもう一人失うことには耐えられないだろうから,「母さんを悲しませるようなことは絶対しないさ!」とマサルは請け負うんだけれど….ちなみに大門博士の件についてはDATS本部でもトップシークレット.あのバカの父が博士というのは相当意外ですが,マサルは頭悪いわけじゃなくて使ってないだけだしな.
ピヨモンの敵を討つために,そしてマサルの父を探すために,DATSはデジタルワールドにすぐに踏み込まねばなりません.事を急ぐのはデジモン被害を減らすことに加えて,組織そのものの存続がやや怪しくなってきているのも影響してるんだろうな.最悪の場合父と同じように帰れなくなりますが,それでもマサルたちは覚悟を決めて行くことを選びます.
翌日の朝8時半.結構深刻な場面だからこそ!マサルは母渾身のでかい弁当を持ち込みます.もちろん中には特に少年たちを魅了するサユリさんの卵焼きが入ってますんで,食べたかったら余計なもの扱いしちゃいけません(笑).…卵焼きが当たらないことになって地味にショックを受けているトーマ.そうか,そんなに好きなのか….
まだまだ未知のデジタルワールドに踏み込む彼らには,メルクリモンの位置がわかるデジモンレーダーや世界を越えて通信できる超空間通信機や転送してもらえる転送マーカーといった便利装備も説明されて準備万端.ただし人間とは別の便で送らねばならなかったのが,悲劇のはじまりだったのですが(苦笑)…かくしてDATSの3人は狭い筒中で背中合わせで一度に送られ,オープニングのあのシーンが何を表現していたのかがわかります.
トラブルもなくデジタルワールドに到着した3人.マサルとアグモン,トーマとガオモンは以前こっちに来ているので,ヨシノと人間界で孵化したララモンだけがこの世界を初体験.けれどマサルたちだってたかだか1回余計に来ただけなので,この世界に対する理解度は全員ほとんど変わらないはずです.
彼らを追いかけて機材の入ったコンテナも到着.何よりも中のお弁当のため(笑)皆走って回収に向かいます.相変わらずアグモンは勝手にデジヴァイスから抜け出して卵焼き1番乗りを果すために先頭を走るわけですが…到着直前にブーメランが弁当ごと全てを消して,凄く便利そうだった機材が活躍する前に消えるだなんて(苦笑)! せめて弁当…じゃなくて転送マーカーだけは,手持ちで現地入りするべきだったなぁ.
突然の敵の手痛すぎる攻撃に,デジモンたちをリアライズさせて警戒する一同.彼らをいきなり遭難させたのは,木の上にいて大きなブーメランを自在に操る謎の少年.それを発見したマサルは即座に追いかけ,仕方なく他の連中もマサルを追いかけて森に入っていきますが,これが迷惑のはじまりだったのでありました.

森の木を伝って素早く逃げ,森にあるものを利用してマサルたちを攻撃するのは変な格好をした人間の子ども.しかも人間を憎む彼の傍には,ピヨモン事件に大きく関わったファルコモンの姿があります.あのマサルに樹上から襲いかかるだなんて,命知らずにも程がある.もちろんこの手の喧嘩なら敵なしのマサルはしっかり攻撃を止めるんだけど,ファルコモンが空中から飛び道具で支援するからややこしい.
ファルコモンと一緒ということはこの少年もどうやらメルクリモンの仲間.彼はマサルたちをデジモンの敵呼ばわりしてきます.彼の言う,人間はデジタルワールドの平和を壊すってのは,一体どんな根拠で言われているんだろう? メルクリモンの仲間で人間の敵である少年がブーメラン持って人間とデジモンの混成チームの真ん中に飛び込んで攻撃を仕掛ける,そのアクションが画として凄く面白い! 結構派手に暴れまわるようには見えるけれど,当たってはいないんだよな….この肉弾戦はファルコモンの煙幕で一時休止し,森からは謎の霧が沸き上がります.
霧とともに森から響く「出ーてーゆーけー」の声.さらに森からは蔓も飛び出してきます.そして「愚かで傲慢な人間どもよ,とっととこの森から出てゆくがよい!」と姿を現したのは,森の主みたいな巨木型デジモン.完全体のジュレイモン.人間を敵視しているのは間違いないわけですが,あくまでこの森の主であり,メルクリモンの味方ではなさそうなのがありがたい.ファルコモンたちと連携されちゃ洒落にならないですからね.てなわけで彼はこの森の主として,全員に即時の撤退を求めます.
ところが謎の少年と来たら,「人間,デジモンの敵!」と頑張ってデジヴァイスまで出してきます! その形はマサルたちが持っているのと同じ.一体誰がいつ彼にこれを与えたんだろう? つうかデジヴァイス自体,一体誰が作ったんだろう? ファルコモンのパートナーな少年は進化させペックモンとして仕掛けてくるので,マサルたちもこれに進化で対抗.ちなみにこれまでは直接敵を殴らないと進化させられなかったマサルですが,敵のブーメランをぶん殴ることでもチャージが可能になったようです.
「知らねえだろうから教えとくぜ! お前が喧嘩を売った相手は,日本一の喧嘩番長だってことをよ!」と今回初対面の少年に見得切って弟分をジオグレイモンに進化させるマサル.進化したデジモン同士の大喧嘩は周囲に対して甚大な被害を及ぼす迷惑なもの.いきなり自分の縄張りを戦場にされたジュレイモンが怒るのも無理はありません.…さらに事態をややこしくするのが,上空からヤンマモンに乗って見ていたゴツモン.完全なメルクリモンの部下である彼は,勝手に攻撃を仕掛けている少年の味方ではない御様子.彼へのきついお仕置きとして,空中の岩をその能力で下へと導き全てを押し潰すつもりです….
我慢しきれないジュレイモンが全員にチェリーボムをお見舞いしたため,地上での戦闘はゴツモンのお仕置きを待たずに中断.ジュレイモンが必死だったのはその体の下に沢山の幼年期のニョキモンたちを守っていたためだということもわかったわけですが…ここでようやく,上空からお仕置きの岩が落ちてくる!
大岩の雨のような落下はさっきまでの戦闘よりもずっと迷惑.広範囲に渡って森の木々は折れ,隠れているニョキモンたちも大ピンチ.これを助けるために動いたのが地上にいたDATSの面々.困ってるときはお互い様というわけで,総出で落ちてくる岩を壊します.潰されたら絶対死にそうな巨岩を前にしても,決して逃げることのないマサル.「男が魂込めた拳には,不可能なんかねえんだ!」と全身からデジソウルを噴出させてフルチャージ! ジオグレイモンをライズグレイモンへと進化させ,頭上の驚異を爆砕します.…2段目のデジソウルは「守る」という思考に反応して噴出するのかな?

大岩の雨も止み,ニョキモンに気づいたペックモンの促しで謎の少年も撤退.ようやく森に平和が戻ってきます.助けてやったにも関わらず「愚かで傲慢な人間ども」という表現を改めてくれないジュレイモンにも,普段からバカ呼ばわりに慣れているマサルは余裕(笑).確かに人間はバカばっかりだけど,バカだからこそ熱くなれる,見ず知らずのデジモンを助けたりできる…と実に彼らしい言いぶりで人間の良さをアピール.もちろん個体差はありますが,人間がその存在からして邪悪ってわけではないのは本当…のはず.たぶん.
なんとか驚異は退けられたものの,マサルたちは未だ装備のロストという大問題を抱えています.おかげでメルクリモンの居場所もわからなくなったし,人間界に戻るマーカーもなくしてしまったし.しかし情けは人のためならずというわけで,ニョキモンを助けた礼として,ジュレイモンがいいことを教えてくれました.メルクリモンの宮殿にはデジタルゲートがあり,その宮殿は山の向こうの無限氷壁にある….
全てを解決し生きて帰るためには偉く高いハードルを越えねばならなくなったわけですが,それでもマサルはまったく負担に思ってないようです.他の2人は何かあればすぐに戻るつもりでこの世界に来たわけですが,マサルは最初からメルクリモンを倒してから人間界に戻ることしか考えてなかったんでしょう.「わかりやすくていいじゃねえか!」なんて,お前…(苦笑).
てなわけではじまったデジモンワールド編.マサルに喧嘩を売った命知らずの謎の少年ことイクトの行く末や,ゴツモンの報告を受けても動かないメルクリモンの意図も気がかり.それと,個人的にはヨシノのことが気になってます.マサルとデジタルワールドには深い関連があり,トーマとデジタルワールドの間には研究者と研究対象という関連があるわけですが,ヨシノにはそういうものが今のところ見当たらないのが逆に気になる.あとは…弁当消えちゃったけど,食料どうするんだろう? 前途多難,作画も微妙な次回に続きます.

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機動警察パトレイバー#14

「後藤隊長スペシャル!の巻」

警視庁柔道大会での負傷が原因で任務を遂行できなくなった遊馬と太田.臨時で野明と香貫花がタッグを組んで,人質を取り銭湯に籠城するハートブレイクな犯人に挑むことになったが,銃を使えという香貫花の指示に野明が逆らったことをきっかけに現場はいつものような大惨事となった.意外とデリケートで隊員同士の相性の問題も大きい第2小隊.これをなんとかするために,隊長である後藤は日本の伝統的な手法を採用するのだった.

とても画期的だった「パトレイバー」.他のテレビアニメが古いフォーマットに捕らわれていた時期に,今なら深夜枠かDVDな企画を毎週地上波でやって広く受け入れられたのが凄かった.キー局で放映してなければ,そして内容に様々な世代を喜ばせる要素が盛り込まれてなければ,あれほどプラモデルが売れることはなかったでしょうね.
てなわけで今回は押井脚本によって後藤隊長の魅力が溢れんばかり! 体ひとつで戦うアクションあり?レイバーとの緊迫するバトルあり?画面に溢れる飲んだくれあり(笑).最適な対象年齢は圧倒的に高めだけれど,後藤の風呂屋での名調子を聞いているだけで子どもだって笑うに違いない.画もなかなか面白くて,後半の酔っ払いカメラワークは必見.

前半.警視総監杯争奪・警視庁柔道大会.普段から命懸けで捜査したり警護したりする連中の大会だから,当然ハイレベルな大会です.そこでやっぱり浮いているのが特車二課第2小隊.白帯ばかりの彼らは,警備部の立て前のために参加させられているのであります.
整備班とか野明,香貫花の応援を背負って挑む相手は第4機動隊B中隊.機動隊相手では素人には勝ち目なんかなく,実際に先鋒の進士は圧倒的な体格差と弱さ(苦笑)でもって瞬殺.次峰は篠原.お坊ちゃんであり頭脳担当である彼も当然白帯ですが,レイバーなしでは何もできない…と,実に正論な悪口に怒って一矢報いるつもり.開始直後に頭突きをキメて,敵の大男を悶絶させます!
明らかに反則な腹への頭突き.厳重注意される汚い手段ですが,それでも甘い,と考えるのが後藤と香貫花.どうしても汚いことをやるならば,その一撃で再起不能に追い込まなければなりません.そうでなければ必ずや相手は立ち上がり,正義の怒りで反撃してくるに違いない…ってのは,古今のヒーローものでおなじみですね(笑).
半端な奇襲で思いっきり挑発した上に倒さなかった遊馬の末路は哀れ.勝負が決まったあとでさらにキメられ,商売道具の喉をやられてしまいます.しかし実は遊馬はまだ健闘した方なのかも.中堅の太田ときたらあっさり投げられて故障してるもんなぁ(苦笑).
今回の主役は副将の後藤.一応の黒帯はヘコ帯と一緒…ではないのかな.奇妙な落ち着きと貫禄で敵は攻めあぐね,対する後藤は「来なさい」と冷静に挑発して…後藤の懐から響く無線機の呼び出し音(苦笑).間を外したシーンなんですが,もし鳴らなければ懐のそれを武器にするつもりだったらどうしよう(笑).しれっと凶器攻撃してもおかしくないんだよなぁ,このおっさんは.
きちんと上役に了承をとりつけ,会場から第1小隊の支援に向かう第2小隊.目指すは夕焼け空の下,高層ビルを見上げる下町の銭湯.ここに泥酔したレイバー乗りが人質を取って立てこもっているのをなんとかするのが今日のお仕事.現場は半壊していて,これ以上被害を広げないためにも迅速な行動が求められます.しかも篠原のボクサーで立てこもる犯人は,恋人にふられてヤケになってて説得も難しそう….
さらに第2小隊にも不測の事態が.さっき負傷した遊馬と太田が見事に役立たず(苦笑).その情けなさに呆れるしのぶさんにいいとこ見せるため,後藤は香貫花を野明の指揮に回します.…ところがなぜか彼女たちは互いに不本意.ついでにそんな場当たりの対応でごまかそうとするのを見るしのぶも不本意.
人質をレイバーの手でつかんで自暴自棄な犯人の前に,千両役者の後藤がひとり,拡声スピーカーを手に登場.最初は普通の説得なんですが,すぐに彼らしい方向に切り替わります(笑).ここの長台詞は実に押井脚本らしい素晴らしい緩さ! 本編全体でも屈指の名調子です.
彼女にフられて自暴自棄な犯人に対する,後藤渾身の説得のはじまり.「俺にはあいつだけだったって.あいつと一緒になれない世の中なんか,ぶち壊して死んでやるって.そういう自分を見れば,きっとあいつも俺って男をふったことを悔やむだろうって」…このあたりまではまだいいんですが,問題は次からです.
湯桶に座る後藤の名調子.「でも,それは間違いなわけ.そういうことは,全然ないわけ.バカな男のバカな死が,3面記事を飾り立て,世間の物笑いの種になる頃,女は別の男とひっついて,子どもぽろぽろ生んじゃって.自転車に乗っけて,買い物なんかいったりして,塾なんかに行かせたりして,それで世の中,おさまったりするわけ.馬鹿馬鹿しいと,思うだろ?」…もう説得でもなんでもねえよ(苦笑).
世の空しさを切々と語り若者の翻意を促すけれど,犯人は警察に女の紹介を要求.でも「警察は,そういうことはしない」と後藤がひたすらのらくら語って繋いでいたのは,1号機をボクサーの背後に回らせる時間を稼ぐためだったのでありました.
人質は解放できたもののまだ犯人はレイバーの中.銃を使って脚を止めなさいという命令が香貫花から出るけれど…従うべきフォワードの野明がこれに反抗.自分の判断でスタンスティックで仕掛けようとしたら,対抗する武器を求めたボクサーが風呂屋の煙突なんか抱えやがるから大惨事(苦笑)! いくら圧倒的でも思わぬ方向に振り回して自爆しちゃったりするんだから,長くて太ければいいってもんじゃないわけです.
太田が不在でも今日も快調に不祥事を製造した第2小隊.しかも猛省すべき二人は隊長の前で大喧嘩.ルール上は指揮官の指示に従わなかった野明に明らかに非があり,けれど操縦者を従わせることができなかった香貫花にも,指揮官としての責任を果すことができなかった問題があります.レイバー好きゆえに撃ちたくなかった自分勝手な野明と,効率のためにも一撃で致命的なダメージを与えるべきと考える教科書どおりの香貫花.2人は驚くほど激しくぶつかりあって,けれど始末書は2人とも書かねばならない(苦笑).
各人の大変に強い個性をぎりぎりのところで組み合わせているため,ちょっと配置を換えただけでトラブルが起きる第2小隊.極小人数で最大の効果を出すには一芸に秀でた人間を絶妙に配置するしかなく,実際に第2小隊がなろうとしているのもそういうチームなんですが…一芸に秀でる人はデリケートで角も多いもの.でもそのぶつかり合いで任務遂行できないってのもよろしくない.後藤もわかってはいるのです.

後半.ハワイ出身でエリートの香貫花と,苫小牧出身のレイバーバカな野明.完璧な経歴を持つ彼女と現場叩き上げな彼女を経歴だけで比較するならもちろん香貫花の勝ち.けれど互いの優劣に本当に納得しているなら,妙な意地の張り合いにはならないと後藤は推察しています.理論重視の過激な完全主義者には,現在もちょっとずつ成長中の試行錯誤の固まりは驚異? …それに,野良犬だからこそ同類か否かの判別には敏感なのですよ.
女性同士のこの争いは,太田と遊馬がやってるような単純な順位闘争とは質が違う.極小組織でこの手のトラブルをこじらせると組織全体の問題となりかねないため,後藤はいかにも日本人らしい,伝統的手段を取ります.…現実の現在ではやや廃れつつある風習,職場での飲み会.腹を割るにはこれしかないと後藤はやる気なんだけど,懐不如意でしのぶに資金を借りました(笑).
後藤が準備した会場1つ目は,赤提灯のやすいおでん屋.折角人がおごってくれるのに野明も香貫花も不機嫌で,間に挟まったひろみが大変に気の毒.いくら鈍くても,この場が2人の仲をとりなすためのものだとモロばれですからね.隊長の感謝なんか職務だからいらないと香貫花はばっさりと斬るけれど,後藤は頑張って,「食って飲んでぱっとやれ!ぱっと!」と盛り上げてみます.
さらに後藤が準備した会場2つ目は,青提灯のうまいおでん屋.こっちにはひろみ抜きの男性陣を揃え,赤提灯側に邪魔者を行かせないための足止めです.相変わらず家に電話している進士,嫌になるほどすっかり出来上がった遊馬,そして毎度ながら「結婚なんかするからだ,バカが」と進士をなじる太田.隊長の感謝なんか職務だからいらないと言い張るのは共通してますが,太田が言うんじゃ華やぎってものがない.それでも後藤は頑張って,「なんでもいいのでどっと行けどっと!」と盛り上げてみて…大荒れすることになるわけです.
3人で飲んでいる赤提灯側.実家が酒屋の野明は見事な飲みっぷりを見せ,素敵なスピードで日本酒を消費.それを見てもそっけない香貫花ですが,野明に合わせてグラスをあおってしまうあたり,相当に意識してますね.ハイペースで酒を消費する2人に挟まれた飲めないひろみは慌てるけれど,競争はひたすらに勢いを増すばかり…(苦笑).さらに野明はマイペースに良く食べていて,そんな天然入った同僚に必死で張り合う香貫花がかわいい.
酒が進めばそれぞれの個性が増幅されますが,野明は見事な笑い上戸で上機嫌.これと争う香貫花は…なんだか暗い.なんでそんなに楽しそうなのか香貫花にはちっともわからず,今や絶好調の野明にはよくわかる.「そりはねお酒が足りないのよ!」…当然酔っ払いの言うことなんか間違ってるんですけども(苦笑).超理論によって杯を重ねる女性陣.酔いの深さを示すかのように,彼らを映すカメラがどんどん曲がって回っていくのが面白い.
一方の青提灯はまさに大荒れ.曲がりなりにも警官なのに車で来た後藤に酒を勧める遊馬に太田は怒り,それをきっかけにはじまる目の据わった2人の幼稚な喧嘩.口だけならともかく,ガンモを顔に投げつけらえたらそりゃキレても仕方がない(苦笑).説教癖のある太田とどうでもいいことに脈絡なく気がつく遊馬は一緒に飲む相手としては最悪で,後藤であってもその対応には骨が折れます.女性陣との合流を求め「女だけで飲むなんて不純です!」とこれまた超理論を展開する遊馬に対し,太田は反抗してまた小競り合い.互いが顔も見たくないほど嫌っているのはわかるけど,どうせ大して綺麗でもないんだからさ,「顔の話はやめようよ」.
女性抜きの青提灯は,不在の女性に関し口論がエスカレート.野明を構いすぎる遊馬と香貫花の尻に敷かれ続ける太田の戦いはどっちもどっちで,「尻に敷かれた亭主じゃないか!」と遊馬も悪口三昧.…けれどこの争いが,沈黙していた危険物に火をつけてしまいます….酔っ払いの傾く世界の中で眼鏡を光らせる地雷こと進士.2人のことを「生活の苦労もしらない気楽な独り者」をひとからげにして斬った上,「所帯持ちに皮肉言うなんて10年早いと思うんですけどね!」と,言いたいことを言いわめきたいことをわめきはじめるのです(苦笑).
特に普段愛妻ぶりを常にバカにしてくる太田に対する,進士の内心の怒りは相当のものだったから…「女一人幸せにすることもできない人が聞いた風なことを言うもんじゃありませんよ」とおばかさんに説教.その雰囲気の怖さに太田はもちろん反抗できない.遊馬だって怯えて見ているしかないのです.
さらに進士がターゲットにしたのが後藤.いい加減赤提灯の様子を見に行きたい自分たちの上司に対して,面倒なことからとんずらする,「あなたはね! そういう人なんです!」と本音爆裂(笑).これほど酷い酒もなく,しかも酒癖「悪くて悪いですかー!」と絶叫して倒れて他人の酒を勝手に飲んで「多美子ー」と絶叫.まさに手のつけられない大トラを倒したのは,屋台の女将のビール瓶.…女将さん,ナイスバッティング!
青提灯が惨劇と化していた頃,野明と香貫花は2人きりでまだ飲んでいました.瓶を抱えて背中あわせに酔っ払う2人の女性は,ついに腹を割りはじめます.野明が聞きたかったのは,香貫花は一人で日本に来てさみしくないの? …単純に出来ている野明の場合,あまりにも自分とかけ離れた彼女の心が理解できなかったみたいですね.もちろん普段から完璧を売りにして,他者に対し壁を作ってきた香貫花のせいでもありますが.
すっかり出来上がって今にも崩れそうな香貫花曰く,逢いたいのは「グランマ」.おばあちゃんっ子の彼女らしい正直な答えの末に,「帰りたい…あたしおうち…帰りたい」とぽろりと涙をこぼして呟きます.これはもう大変に可愛いらしい上にわかりやすかったので,ようやく野明は香貫花という存在に納得.ついに倒れた香貫花に上着をかけてまだ手酌で飲んでいる野明.けれど青提灯からようやく解放された後藤が赤提灯に再訪する頃には,店主含めて全員ですっかり寝込んでいたのでありました.

荒れた飲み会の翌日も仕事は待ってはくれません.小組織で余分な人員のいない組織ならなおのこと,たとえどれだけ気持ちが悪かろうとも現場に出なきゃならないのです.今日の出動先は上井草.ほとんどが二日酔いなんですが,野明だけはあれだけ飲んでいたのにいつもと変わらず元気.香貫花を倒すほど飲んでも一晩眠れば元気だなんて,一体どんな肝臓なんだ(苦笑).
人には誰しも長所と短所がでこぼことあり,履歴書では負けても飲み比べなら勝てるという多面性があります.1つがダメだからって全部を否定されるわけでないってのが人間の素晴らしさであり,「とどのつまり,信頼なんて互いの欠点を認め合うことからしか,はじまらないしさ」と後藤は自分の昨晩の仕事に満足気.ただし1つだけ失敗したのが「…飲んでる暇がなかった!」 …こんな風にぶつかりあって,しかもあっさり納得して全てが片付いてしまうのは,隊員たちが若いからなのかも.次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#14

「大人気ないほど好きなのですの巻」

桜蘭で3流ゴシップ誌を発行すれどもちっとも売れず,解散の危機に陥っている新聞部.そこに我が世の春を謳歌するホスト部部長のノーコンな球が激突したのは,飛んで火にいる夏の虫としか言いようがなかった.器物損壊と怪我を口実にホスト部の特集を組ませてくれと迫る新聞部だが,バカな環以外はそれを断固拒否.けれど,部の存続の危機と聞かされた環は一家離散させないために強硬に粘り,あまりの仔犬っぷりに影のボスである鏡夜もついに折れたのだった.
新聞部の取材に関し鏡夜の出した条件は,自由取材を一切許さない大変に厳しいもの.しかしそんな締め付けの中でも,新聞部は環の裏の顔を探るために暗躍しようとするものだが….

演出・絵コンテの監督経験者率がおかしい「ホスト部」.当代最強クラスのスタッフを集められたのは五十嵐監督神の経験と人柄と人望ゆえと信者は深く信じてやまないわけですが,まさかあの人まで来てしまうとは…(苦笑).物語はいつもと違い全員でバカをやるのではなく,表と裏に分離させた上にそれぞれの魅力を引き出して見せる後半がともかく印象的.光の届かない場所でもその光を愛してやまない闇たちが,そんなことはちっとも知らない光の強さを引き立てます.もちろんその光もそれなりの過去を越えた上で,バカみたいに輝いているわけですが….てなわけで人を食った笑いとか物事の表裏とかいろいろあった上での綺麗な笑顔が大得意な絵コンテの菱田監督お久しぶりです! 「陰陽」では大変お世話になりました(笑)!

前半.今回のゲストは桜蘭学院のダメ新聞部.部員を含めて週に2部しか売れないとなれば下手な学級新聞よりまずく,在庫の山を積んでるあたりも,彼らがろくに予測すらできていないことを如実に示すわけであります.次号が1学期最終号で,成果が出せなければ廃部もやむを得ないというぎりぎりっぷり.その上仮想敵であるホスト部ときたら絶好調で,写真集どころか同人誌までバカ売れしているのは…コンテンツそのものの強さ以上に,鏡夜やれんげさんの才覚に負うところが大きい気が.「萌え萌え桜蘭日記」眼鏡特集8号はやっぱり鏡夜中心?
絶好調のホスト部の今日の仮装は平安朝.原作では「遥か」掲載誌でこのコスプレをやるという捨て鉢の攻撃性が凄かったわけですが,今回は絵コンテがあの人だと思うと別の意味で複雑な気分になってしまってどうしたらいいんでしょうか(苦笑).紫陽花の陰,緋毛氈の上で殿の演じる禁断の逢瀬プレイ.お客は久しぶりのフナちゃんで,未だにちゃんと通ってくれているようで何よりですね.
そっくりな常陸院の双子が興じるのは由緒正しき神経衰弱,貝合わせ.もちろん勝負事の合間にも禁断の兄弟愛プレイを欠かすことはなし.二人っきりで罰ゲームしたらどうなっちゃう…と思わせぶりに顎なんか撫で上げちゃって,兄弟愛担当というよりはそのままエロ担当でもいい気がするぞ(苦笑).中庭のやり水では鏡夜が秋の限定お茶会にお嬢さん方を勧誘し,ハニー先輩とモリ先輩は2人でひとりな二人羽織.…割と無意味な芸ですが,きっとマニアにはたまらないに違いない.
そして,はっちゃけている仲間たちをぼんやり見つめつつ,ひたすらぼーっとしているハルヒ.これまでの激動の3ヶ月間が彼女に与えた影響はあまりに大きすぎ,普段のあまりの濃さに麻痺して悟ってしまったようです.しかしぼんやりしているところを襲う蹴鞠…からハルヒを庇うために爆走し巻き込んで停止する迷惑な環(笑).巻き込まないとろくに動かないヒロインではありますが,潰しちゃうのはさすがに酷いよ,殿.
貝合わせから蹴鞠へと遊びを変えていた双子たち.孤高のナンバーワンバカである殿はあっさり双子に挑発されて,サッカーマンガのように蹴鞠に興じてみるけれど…環のスターライト・キーック!はノーコンゆえに遥か彼方の星となり,冒頭の新聞部の窓へと見事飛び込んだのでありました.
達者でなーとバックレて,そのまま他人事に出来ればよかったんだけれど,そういうわけにもいかないので総出で新聞部に出かけるホスト部.ちゃんと頭を下げるのはもちろん殿だけなのですが(苦笑).けれどこの傷害事件は新聞部にとっては願ってもないこと.蹴鞠が当たった程度の損害はないものとしていいくらい,追い詰められた彼らにはありがたいものだったのです.
新聞部部長は3年の小松澤,その横には部員で2年の右京と左京が控えております.制作するのは過剰に煽る捏造ばかりのゴシップ誌,…そこに独特の面白さや変な情報があったりするとファンがつくはずなんですが,その手のものを好みそうな双子が読んでないってのはかなりまずそう.廃部寸前の部長はしおらしく,心を入れ替えると殊勝な様子で…あっさりバカは騙される(苦笑).ホスト部密着取材で皆様の魅力に迫りたいと向こうの部長に頭を下げられ,すぐさまお引き受けしようとする殿に先制して鏡夜がきっぱり「お断りします」.
ホスト部はお客様限定で情報公開していて,治療費は別途ご相談したい,と完全に提案を切り捨てる鏡夜.双子も他人に迷惑をかける奴はだめと,むしろ自分たちを見つめなおせと言いたい理由で拒否(笑).しかし新聞部は過剰に哀れさを演出.見てバレバレの過剰演技でやりすぎなんですが…でも,環はとんでもなくバカなんだ.
もう廃部にするしかと諦めるふりの新聞部に,「そんなことはない!」と熱血する環.人は必ずやり直せると純真に,ホスト部の総力を結集して新聞部の建て直しに協力する!と宣言するも…双子はさっさとハルヒをつれて退散.鏡夜も先輩たちも環を置き去りにして,結局環は一人きり….部員の皆さんはかなり強硬にやりたくないんですね.「部室で反省会をやる,主にお前の」という鏡夜の言葉も厳しいな.
それでもバカはさらに強硬(笑).「待てい!」と一同を止め,お前らには血も涙もないのか可哀想とは思わんのかと必死になるあたりまではわからないでもないけれど,泣きながら「一家離散なんだぞ!」…その思考の飛躍はさすがについていけないぞ(苦笑).しまいには部長命令として断ることは許さん!…と部長の権限まで振りかざしたのに,声を揃えて「お断りします!」.よほど嫌なんだろうな.そして殿の権限なんかどうでもいいんだな.
戻った第3音楽室.全然意見を聞いてくれない仲間たちの脇で,環は幼児のようにすねました.着替えもせずにしゃがんで蹴鞠を指でいじり,同じ部屋にいるのに目も合わせないという稚気満載ぶりが面白くてたまらない(苦笑).余程の寂しがり屋である環の呟きによれば,「部活とは家族なのに.だから廃部は一家離散なのに…」.新聞部のことだけでなく,ホスト部についてもきっとこう考えてるんだろうな.
いつもながらの環の哀れな様を眺めるハルヒさんは,これまでの経験から先の展開を正確に予測してみせます.あの情けない奴は,きっとちらちらと仔犬のようにこっちを見て,その哀れぶりに仲間は折れるに違いない,と.この予測は実に正確なんだけど,今回は双子も最上級生も普段より圧倒的に乗り気でないのです.「面倒」とか「ケーキ食べなきゃならない」という言葉の裏の意図を正確に読み取るには,ハルヒの経験値はまだ足りていないようです.
で,はじまる哀れな仔犬のチラ見.「んん!」とか言いながら純真な目でねだってくる部長ってどうよ(苦笑).あまりに激しい無言のおねだりっぷりについに鏡夜が折れて,厳しい条件つきで新聞部の取材を受けることになりました.企画はこちら主導でインタビュー禁止接客風景禁止…って,新聞というよりはまるで広告みたい.そして鏡夜がいいならいいと,反対していた残り部員全員が従ってしまうあたり,影の部長というよりはもう鏡夜が部長でいいや(笑).
新聞部は条件を飲み明日からは取材!というわけで,鏡夜は救急セットを新聞部に置いていきます.…彼の黒さを知ってれば,絶対何か仕掛けられていると警戒するべきなんだけど….その黒さを知らない新聞部部長が家柄や家族構成をネタにして鏡夜を揺さぶろうとするなんて百年早い.しかも兄貴が出来のいい弟に負けるなんて話は…本当に逆効果なんだ(苦笑).
後継レースに勝つためにも,なんとしても桜蘭で3年やり遂げたい新聞部部長.自分のために部を利用し,家柄で部員を脅す彼は呆れるくらいの小人物.鏡夜がまともに相手する価値すらありません.しかも小人物の視野はあまりにも狭く,現在のホスト部の隆盛を須王の権力誇示と曲解して,ありもしない裏の顔を暴き立てようとするのです.

後半.環は切れ者で裏の顔があるという大間違いによってホスト部に接近する新聞部.部の存続をかけた潜入取材なのでかなりの気合で望んでいるはずですが…ホスト部の提供するスペシャルプログラムの珍妙ぶりに呆然です(苦笑).高校生が揃って「だるまさんがころんだ!」…ハニー先輩は無駄な動きが多いなぁ(笑).
これは新手の宗教かと困惑する新聞部に向かい,環ことバカが自慢気に説明するところによれば,これは庶民に伝わるお金を使わぬ身一つの遊び.これを掲載すればマイナスイメージ先行の新聞部だって「親しみやすさ」が打ち出せるのだと断言します.…考えてることはいつものようにダメですが(苦笑)それでも彼なりに,自分のことだけでなく新聞部のことまで考えていることだけは認めてあげてもいいと思う.紙面を爽やかにした上に一部の庶民も童心に返れて大喜び!という二兎を狙うこの企画,当然ですがハルヒへの受けはよろしくない(笑).
高校2年としては破格の頭の悪さを発揮しまくる殿に対し呆然とする新聞部.実際彼はバカなんだから裏なんか探るのをやめときゃいいのに,それでも下衆な新聞部部長は未だに疑い.本来は禁止されている個別インタビューを強行します.ターゲットは新入りでだれている庶民の藤岡君.特待生をこの部に取り込んだのはホスト部部長である須王環の権力誇示であろうとキメ打つものの,ハルヒさんの返事は「はあ?」
裏の顔を教えろ救う手助けをさせろと新聞部はねちねち食い下がるわけですが,「あの人に裏の顔なんてないですよ」とばっさりお返事するハルヒさん.この3ヶ月間で,環のバカぶりとその他部員のノリの良さについてだけは完璧に理解したハルヒからすれば,新聞部に「ありえないだろ!」とかツッコまれても,今日のお遊びだって特に殿なんかは本気で楽しんでいるのは疑いない.
新聞部を遥か遠くに置き去りにして今度は缶蹴りをはじめるホスト部.環が全力のスターライトキックで缶を蹴ったら,木に当たりまくった末に新聞部部長を見事に倒します(苦笑).うれしそうにハルヒを連れて薔薇の迷路へと逃げ込む環の笑顔にはわずかの影もなく,むしろそれがちょっぴり不思議.なんだってここまでこの人はバカなのか,ハルヒは彼のバックグラウンドを自分が知らないことに気づきます.
そして…迷路に入った直後にいきなり迷子になる環(苦笑).ハルヒも巻き込まれて迷子となり,鬼という名の捜索隊が来てくれるまで薔薇の東屋で2人でひと休み.すっかり仔犬ぶりが板についている環が心底情けない(笑).いつもグループで遊んでいる彼らですが,2人きりになったときには雷から守ったり仏壇にお参りしたりと,環がかなりいいところをハルヒに見せてきてるんだよね.
今日の子どもじみた遊びも心底楽しんでいる環.ハルヒにとっては小学校で卒業したようなお遊びですが,同年代の友達があまりいなかった環にとってはきっと生まれてはじめての喜び.…病気がちの母を持つ彼は,幼い頃は母が心配で表に出て遊ぶこともできずいつもピアノを弾いていた.母を失ったハルヒほどではないけれど,相当暗い過去なのに,だから今は楽しいと言う彼には裏も嘘も影もない.「…凄く楽しい!」と微笑む顔は驚くほど純真で,まるで太陽のよう.
さて,ホスト部のバカの凄さをようやく認識した新聞部は,ついに裏を探るのを諦めて捏造記事に走ります.憎き須王を陥れるための捏造だってやってのけるはずなのに…戻ってきた新聞部部室の部屋の中には,ホスト部の総力が結集していました.
バカでもお人よしでも無知でもない部員連中は,当然のように新聞部の目的と悪意を察していて,殿に手を出す奴には黙っちゃいないと本気で脅してきます.バカで純真な殿が人を集めるために家の力を利用したことなど一度もありません.ホスト部の部員たちは環自身の魅力によって部に加わってきました.もちろん…「どうしようもないバカ,だけどね」
環が自分の手で作り上げたホスト部.途方もなく馬鹿馬鹿しい楽園に誘い込む手を差し出していたのは,いつだって彼でした.現在の隆盛はまさに環の努力ゆえのもの.部員たちだって本気で殿のことが好きなのです.…そして好きなものを守るためなら彼らは一切容赦しません.彼らには救急箱にまで裏があり(笑)これまでの顛末だって録音済み.…家柄だって新聞部より圧倒的に格上,しかもホスト部は目指すものが根本的に違うのだと宣言までされてしまっては,悪あがきの余地すら残されていないのです.

大人気ないほど畳みかけた末に新聞部を再起不能にしたホスト部部員一同.もちろんそんな裏の話は殿とハルヒさんには内緒.こんなくだらないことで折角の殿の能天気を曇らせるのは罪ですからね(笑).迷子になった2人を無事に救出し,新聞部については適当にごまかして,何事もなかったかのようにのどかに戻る一同.全ての渦の中心にいる綺麗な薔薇にはどうやらろくに棘なんかないようですが,その横で咲き誇る薔薇たちには,それぞれに鋭い棘があるわけです.
さて,今回狙われた環の家柄が実際どれほど凄いのかというと,金融を基盤として様々なハコものも運営しており,その中には学校経営も含まれていて具体例としては…例えば桜蘭学院とか.要するに環はこの学校の理事長の御子息,もっと言えばハルヒに奨学金を出してくれたのは環の家ということで….
裏表なしで能天気で圧倒的に頼りない環ですが,家は想像以上に格上.しかもこれまでハルヒに対して一切それを話さなかったあたり,家の力は使わないと心に誓っているのか,はたまた単純に忘れちゃってんのかすらわからない.だってこの人バカなんだもの…(苦笑).ハルヒは,つくづく自分がまったく知らないのだと痛感したに違いありません.最後の薔薇の出し方のたどたどしさなどしっかり愛でつつ(笑),夏休みの次回に続きます.

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デジモンセイバーズ#13

「進化を導く熱い願いの巻」

大門家にやってきた卵から生まれたピヨモン.それを取り戻しにやってきたファルコモンを退けたマサルたちの前に,巨大なるメルクリモンが出現した.究極体のメルクリモンには一切歯が立たず,ピヨモンも無謀な特攻の末に消滅してしまう.巨大な敵は無傷のままデジタルワールドへと戻り,マサルは自分の無力を思い知った.
今回の事件によるこの世界への影響は甚大.その責任を取るためにDATSへの解散命令が出された直後,出現したアクィラモンが港湾地域を襲う.隊員たちは解散を無視して暴走デジモンを鎮圧するために行動.けれどその鳥型デジモンは,消えたはずのピヨモンが進化した姿だった.

1クール目の最後を真っ直ぐな熱気で展開する「セイバーズ」! 物語を熱くするためにそれ以外の全てを利用して,後半のあの瞬間に昇華させていく様がさすが山口脚本です.2話かけて途方もない無力感を感じることになったマサルが最後に起こした奇跡は実に熱いわけですが,本作は完全な理論無視作品というわけでもないので,なぜこうなったのかについてはそのうちなんとなく説明してくれるに違いない.大変重要な回なので作画も当然良好.中盤のバトルにもかなり見るべきところが多かったりしますが,クライマックスでのマサルの慟哭とその後の展開を見てしまうと印象が吹っ飛びます(笑).お約束なのに,クライマックスが熱い!

大門家にやってきて,チカになついてしまった卵改めプワモン改めピヨモン.それを取り戻したいファルコモンとの戦いを大きな軸にして,デジモンと人間の関係,そしてマサルの兄心について今までになく熱心に語った前回のラストに続くのが今回.マサルとピヨモンの合体攻撃(笑)にやられたファルコモンの加勢…というよりは回収にやってきたのが,巨大なる究極体,メルクリモン.
軽く腕を振るだけで人間を風圧で吹っ飛ばし,メガバーストすら片手で握りつぶしてしまう,まさに山のような究極体.それから見ればジオグレイモンなんか子猫みたいなもんであり,手からのビームで鉄塔に向けて吹っ飛ばして気絶させてしまうのも簡単.とてもじゃないけど,まともに勝負できる相手じゃありません.
DATSの進化体3体を軽い攻撃であっさり元の姿に戻し「愚かなる人間どもよ」と呼びかける尊大なるメルクリモン.氷の城から来た王は,裁きの鉄槌をバカたちに下すべく,自分の体に雷を落としてそのエネルギーを蓄えます.でかいだけでなく周囲の環境まである程度操作できるとしたら,究極体ってのは本当に洒落にならないな.それに必要なエネルギーはどこから来るんだろう?
全滅直前のこの事態.まだ動けたピヨモンはチカを守るために別れを告げて,最後の力を振り絞って特攻をかけます.あんな山が小鳥1羽で止まるはずもないのだけれど,自分を回収に来てくれた王に対して「デジタルワールドに帰れ!」と最後まで反発したまま衝突し…消滅.
命をかけた行動もメルクリモンにはさほどの物理的意味はなく,負けたピヨモンは卵に戻ってしまいます.けれど「ピヨモンを返して!」と泣きながら叫ぶ小さな人間の姿と合わせ,メルクリモンの心を動かすことには成功したようで,王は愚か者たちを置き去りに帰っていきます.…メルクリモンはマサルに比べれば格段に話の通じるタイプに見えるんですが,なぜ人間に敵意を向けるのだろう.…雨は未だ止まず,マサルは無力.
夜のDATS基地.メルクリモンにいいようにやられた負け犬たちは怪我だらけ…だけど,それほどの悲壮感はありません.借りは百億倍にして返すとマサルは憤り,その遠吠えぶりをトーマが嗜めます.実際神のごときメルクリモンをなんとかする手段など今のDATSにはなく,それこそタンカーと生身で戦うようなものだから,お前はバカか,なのです.
クダモン曰く,メルクリモンはデジモンワールドの東一帯を束ねる森の王者.それが人間界にわざわざ来た目的を,人間界を滅ぼすためではないか?とトーマが短絡的に推測しちゃったのが今後の話の食い違いの元凶となる気がしてならない(苦笑).確かにDATSが持っている情報をかき集めるとそうなっても仕方がないんですが,実際にはデジモン側は人間との接触を嫌がってるんだからわざわざ壁なんか崩しはしないだろ…と思えるのは,両方の状況を知る視聴者の特権なんでしょう.
バカなマサルはそんな意見を真に受けて,今すぐにぶっとばさないと!とさらに猛るのを止めるのがチカさん.普段からアグモンになじみピヨモンとは完全に意気投合して,デジモンの良さを一番実感していた彼女が放つ,「なんでデジモンと人間が戦わなくちゃいけないの!」…戦う方向にすっかり頭を持っていかれていた一同は,この正論にはっとします.
アグモンたちもピヨモンも人間の側に立っていてくれるけど,彼らが人ではなくデジモンであることは間違いありません.もし人間がデジモン全てを敵と認識するならば,その範囲にはピヨモンたちも含まれてしまうわけです.しかしそれは違うはず.ゆえに,友達は友達でだから人間とデジモンが共存できる方法もあるはずだと泣いて求めるチカさんの言葉は身に沁みます.…人種とか宗教とかを重ねてみると,偉く深いテーマだ.
メルクリモンの件は異様に高尚になりかねない問題も含まれているわけですが,DATS自体にはもうちょっと卑近な問題も迫っておりました.こんなややこしい事態に出てくる新キャラは,小男役人とその秘書の若い男.「なんてことをしてくれたんですか!」と怒鳴りつける小人物の羽柴長官は,DATSを擁する国家機密庁のお偉いさん.前から警察にかなり顔が利いていたDATSですが,国の抱える組織となれば納得です.やってることからすると内閣府の下あたり? やっぱり3年くらいで異動してるのかなぁ(笑).
庁の名が示すとおりデジモン事件を秘密裏に処理するのがDATSの目的.しかしメルクリモンのおかげで大規模停電まで巻き起こされちゃごまかしきれないだろと怒るお偉いさんに,ともかく噛み付こうとするマサルを止めて謝罪するマサル母のサユリさん.時と場合をわきまえない無謀な息子を持つと母も大変だ….隊長はこの次こそとアピールしますが,羽柴長官はまったく受け入れず,DATS解散を命じたのでありました.
夜明け.海中に小石や石や瓦礫を投げ込んでもまったく苛立ちがおさまらないマサル.昨日ほどマサルの思い通りに事が運ばない日はなかったはずですが,その中でもメルクリモンに負けたことにぶっちぎりで苛ついているんだとは,さすがのアグモンにもわかりませんでした(笑).喧嘩最優先のマサルの場合,自分の所属する組織の事情なんかより,喧嘩に負けた方が重要なんだよなぁ.
マサルが苛立っていたその頃,デジタルワールドでは事態がさらに動いております.氷の洞窟にはメルクリモンとその部下のファルコモンが卵を連れて帰還.どうやらあの卵はファルコモンが「イクト」と一緒に見つけたもののようです.ここで仲間にイクトが来てから面倒なことばかり起きると愚痴られるファルコモンですが,何も悪くないと言い切ってます.「イクト」とやらに異様に肩入れしているのは,デジモンとしては珍しいのかな.
人間界からやっと持ち帰った卵.しかしその卵は既に元とは違うものになってしまっていました.メルクリモンの見立てでは卵の中に人間の邪気が入ってしまったらしく,孵化したのはプワモンでなくピヨモンで,しかも置いてきたチカへの思いで暴走.これは卵に戻る前の記憶が残留してしまったがゆえに起きた現象らしく,仲間の言うことなど一切聞かず,ついにはアクィラモンへと進化して逃げ出してしまいます….
折角連れ戻したってのに,チカへの思いに縛られて壁を越えて飛んでいくアクィラモン.もはや心は取り戻せないとメルクリモンはあっさり諦めて放置を決め込みます.あれだけ手間をかけたのに手を尽くすこともなく見送ったり,「何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのだ!」と人間に憤ったりするあたり,この現象は何度目かのことなんでしょうね.…そういやこれまでDATSが送還した卵ってどうなってるんだろう? 今回と似たようなことが起きてたりするんだろうか?

生まれる前の記憶に縛られて暴走し,テレビ収録中に青空から突如出現するアクィラモン! 生放送じゃさすがにごまかしにくいよなぁ(苦笑).解散命令が出たDATSは本来職務を休止するべきなのですが,代替組織がない上に今まさに驚異が迫っているとなれば,命令無視してでも職務を遂行せねばなりません.…ちなみに主役は,街でゲームに興じるといういかにも彼らしいストレス発散を実行しているわけですが(笑),テレビでデジモンの姿を見て,早速現場へと走り出します.
謎の巨大鳥形生物の暴走は,漁船を燃やしヘリを落とすほどの大惨事に.よほど楽観的に見ても一人や二人は死んでます.そんな状況へと真っ先に駆けつけようとするのはやはりマサル.組織のことなんかもうどうでもよく,他にデジモンを倒せる者がいないんだから自分たちがやるのだと魂を燃やします.…あんなの相手じゃ日本にはもはや自衛隊くらいしか手がないもんなぁ.
「自分のやるべきことは,やらなきゃならねえ.それが男ってもんだぜ!」といつもの漢論を叫ぶ主人公ですが,シリアスな状況でも根本的に考えが足りず,海上に出る手段すら持ちあわせていないのはご存知のとおり.で,そんな理想だけのバカをサポートしてくれるのがトーマで,「泳いでいくには,遠すぎると思うが」とボートで迎えに来てくれました.当初はマサルの無謀な行動パターンがわからなかった彼ですが,今はかなり理解してくれているのが心強い.
かくしてはじまる水上戦.相手には空中を自由に高速で飛べる利点があるのに対し,DATSの主力はボートで移動せねばならないのが厳しい.その上,マサルが殴らないと進化できないアグモンは戦力にならないし,サンフラウモンは飛べるけど遅く,ガオガモンは速いけど飛べない….てなわけでサンフラウモンがアクィラモンを海面まで追い込み,そこをガオガモンが襲う,というのが今回の作戦となります.
サンフラウモンとガオガモンが頑張るこの連携は,映像的に素晴らしい! 3体が空と海と岸の間を目まぐるしく行き来しながら激しく戦う様が見事に描かれていて,肉弾戦中心の戦闘描写としては過去にないほどの高レベル! ただし戦闘としてはサンフラウモンがアクィラモンに力負けして劣勢.そんな中でマサルは「チカ・ドコニ・イルノ」とアクィラモンが呟くのを聞いてしまいます….
頭上で暴走しているあれが消えたはずのピヨモンであることは,デジモン反応が完全一致したことからも間違いない.マサルは妹のためにもピヨモン改めアクィラモンを止めたいけれど,飛んでいると殴れないので何もできない.ゆえにチカの兄貴として元ピヨモンに呼びかけて,暴れるのを止めようとするものの…アクィラモンの容赦ないビームがマサルたちの乗ったボートを吹っ飛ばす(笑).命のかかった深刻なシーンなのに笑えます.チカさんはともかく兄貴のマサルはピヨモンを殴り最後には足蹴にした男なので,記憶が残っていても似た結末に向かっただろうなぁたぶん(苦笑).
海中に落ちたマサルたちを助けてくれたのは,いつものデジヴァイスのおっちゃん.トーマがまだばったり倒れたままなのは,マサルの特別な丈夫さを如実に表現しているのかな.ちなみに気絶している間に,ピヨモンはチカを探してコンビナートで火柱を上げております! …確かに火柱は遠目に見ても目立つけど,チカに向かって自分がここにいると知らせるためにやることとしては,あまりにも度が過ぎている.
本格的な大惨事を止めるためにも今すぐ燃える現場に駆けつけたいマサル.けれどおっちゃんは,今のお前では誰に勝つこともできんじゃろ,と切り捨てました.あれの相手は喧嘩番長だろうと無理っていうかお前はおっちゃんにすら勝てないと挑発されたマサルは早速命の恩人に容赦無く襲いかかるわけですが…そんな狂犬をおっちゃんは,タモ一本でさばいてしまいます.
マサルの勢いを利用して地に転がす喧嘩慣れしたおっちゃん曰く,要するにマサルは未熟.…生まれもっての体の強さと運の強さに依存して,絶対勝てない途方もない無力感すら感じたことのないマサルが未熟なのは当然でしょう.それでも未熟ゆえに恐れを知らないマサルは再び走り出し,おっちゃんはそれを見送ります.「今の自分に欠けているものの大きさを知らなければ,成長することはできない」という言葉は,マサルがそれを知ってさらに成長することを確信しているように聞こえる.…どうしてこの人は,ここまでしてくれるのかな.
燃えるコンビナートに殴りこむ未熟なマサル.とはいえ殴らなければ相棒のアグモンが機能しないため,補助してくれる仲間のいない状態では無理とアグモンすら言い出します.確かに兄貴は強いけど,足りないものがあるのだと本人以外は大変によく知っていて…けれど男のプライドをかけ,マサルは自分一人の限界を追求するのです.
飛べないならば昇ればいいと,高くて危ないところに昇っていくマサル.さらに空中に呼びかけて,殴れる位置までアクィラモンを呼び寄せます.「チカは自分が守ると言ったよな! 男なら,命がけで自分の言葉守ってみやがれ!」…そして,もはやまともな理性はなくチカという言葉にのみ反応して飛来する元ピヨモンをぶん殴る! 己の限界を試すかのような超攻撃的な仕掛けっぷりはさすがのアグモンすらヒかせるわけですが(苦笑)これでようやく,マサル・アグモン組は反撃のきっかけを掴みます.
ジオグレイモンへと進化させてメガバーストで打ち落とす.いつもの黄金パターンにやっと辿りついたマサルたち.しかし理性のないアクィラモンはそのパターンすら壊すほどにチカに焦がれていました.何かを欲しいと強く願う心…それはデジモンを暴走させる7つの欲にも繋がるものでしょうが,ひたすらにチカを求める心は,アクィラモンをガルダモンへと進化させてしまいます.
ひたすら頑張って互角になったかと思ったら,いきなりまたも突き放されてしまうマサルとアグモン.テレビで見たデジモンの姿にピヨモンの面影を見たチカと,それを追ってきたサユリさんがここで合流するものの,もはやあのピヨモンはここにはいない.チカの「おいで」という言葉も不完全なメモリーには通じない….
最大の切り札であったはずのチカさんすらもはや無力.ガルダモンはマサルたちに攻撃を打ち込み,それに妹も母も巻き込まれてしまいます.ここでジオグレイモンが皆を守るために体を張ってるのが泣かせるなぁ….大好きなピヨモンに攻撃された妹は「本当にあたしのこと,もう忘れちゃったのかなぁ」と深く傷つき,母と弟分は倒れて意識を失っていて,頭上からは雨.己の無力を目の当たりにして,あのマサルの目からついに涙がこぼれます.
「何が番長だ.何が喧嘩日本一だ」と,自分がこれまで誇ってきたことの安さ卑しさに気がついて,途方もなく絶望するマサル.自分の力では誰も救えなかった悔しさに慟哭し,不在の父の代理として家族を守るには未だ足りないと思い知った彼は,強い欲望に心を燃やします…「強くなりてえ,もっと強くなりてえ.もうっ,誰にも悲しい想いをさせなくて済むような,強い男になりてえ!」…その思いは,デジソウルとなってマサルの全身から燃えるように放出!
全身から噴出するデジソウルをチャージすることで,マサルの望みが叶ってゆきます.欲しかったのは空中を自在に飛べる翼.そしてもっと遠くまで届く強い力.ジオグレイモンが進化した完全体のライズグレイモンには,マサルの強い願いを満たす力がありました.これ以上悲しい思いをさせないために,ガルダモンをトライデントリボルバーで散らすライズグレイモン.ただ戦いたいという単純で指向性のない衝動ではなく,目的を満たすための力を強く求めた心の成長が,新たな力を呼び覚ましたのです.
…闘いの最中に気絶し,全てが終わって目覚めたチカが見たのは,暗い顔のマサルが抱くピヨモンの卵.これで辛い思いをしなくて済むとチカは卵に言うけれど,もっとマサルに力があれば,きっとなんとかできたはず.こんな悲しい出来事はもう二度と起こさないと,兄は心に誓うのです.

そして再び夜.コンビナートをぼうぼう燃やす未曾有の大災害となった今回ですが,これを全部事故と広告宣伝に偽装してしまうDATSって本当に凄いなぁ(苦笑).個人的には漁船とヘリの人たちの安否が気になってたまらないのですが….また,ニーズがある上に廃止しようにも代替組織がないことが明らかになったDATSについては存続が決定したようで何より.ただしこの先,代替組織を別に作られてしまう可能性はあるかもしれない.
マサルが回収したピヨモンの卵を検査した結果,そこにはメルクリモンの反応が含まれていることが判明.実際は暴走する卵を孵化させないように抑えた名残なんですが,事情を知らないDATSはメルクリモンが暴走させたのだと思いっきり勘違い….誤解を根拠に,メルクリモンを倒すためにデジタルワールド行きを希望するマサル.それを止める隊長は,前回あたりからバレてきた大きな伏線の一端をついに披露する御様子です.それは10年前に失踪したマサルの父とデジタルワールドの関係.新ステージへと向かう,次回に続きます.

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機動警察パトレイバー#13

「高貴なりの自由と義務の巻」

オアシスの国から来日した若き皇太子殿下.国賓として遇されるはずの彼だが,実はただのレイバーマニアで,来日の理由も警視庁にしかないイングラムを見に来ただけなのだ.影武者を立てて自分は特車二課に泊まり込む殿下.野明にとっては仲間が増えたわけでうれしい限りなのだが,遊馬はそんなマニアの通じ合いぶりが面白くない.ただしマニアでもやんごとなきお方である殿下は,その命を狙われていた.先日の事件で捕獲された二体のブロッケンが行方不明に.敵はすぐにも殿下を狙ってくるに違いない.

警察の仕事の範疇にかろうじてひっかかっていればなんでもできる「パトレイバー」.主に太田の活躍によってはみ出し者としての定評が定着している,という設定があるので,どんな不思議な仕事が舞い込んでもそんなに不思議ではないという位地取りが絶妙なのです.今回の任務は要人警護.突如やってきた国賓クラスを埋立地でかくまうというお話.前半のレイバーマニア同士の触れ合いはいい感じなんだけど,後半のバトルシーンはやや登場人物の行動が強引かな.まあ,他作からすると金持ちってのは訳のわからないものらしいので,意外とリアルなのかもしれませんが(笑).

前半.特車二課一同が礼服でお出迎えせねばならない国賓が,飛行機で日本をご訪問.しかし当然第2小隊は直前にトイレに行く程度に気が抜けまくっており,こいつらが警備部とは思えない(笑).滑走路に鼓笛隊やイングラムとともにお出迎えしたのは,褐色の肌に青い目のオアシスの国の王子様.まだ幼いものの,オイルダラーで豊かな国の金と権力をがっつり握った国際的な重要人物です.
極秘の割には派手なセレモニーを終え,滑走路のアルフォンスを見ている野明に近づいていく少年とその執事.「ようやく逢えたな! 98式AVイングラム!」とイングラムに呼びかけるこの少年は…マニアさん(笑)? 警察の特殊装備にうかつに近づく民間人を止めようとする野明だけれど,逆に2号機の頭について細かい質問をされてしまって「…あなた,どなた?」
実はこの変な格好の2人こそが今回のゲスト.事情を知っていた後藤隊長が真面目に敬礼しレイバー隊を代表して大歓迎しちゃってるってことは,今回の極秘行動は後藤がコーディネートしている部分も多々あったりするのかな.ちなみに冒頭の王子はただの影武者.そして少年の変な服はあくまでお忍びのための普段着だそうで….てなわけで,なんと王族があの埋立地で合宿生活するという,まるでフィクションのような出来事がはじまるのでありました.
恐らくは金に任せて特車二課に居ついてしまった殿下.早速イングラムの傍に張り付いてるんだけど…頭の色を塗り間違えて野明が2人になっている(笑).皇太子殿下は面倒な外交を影武者のイトコに任せ,特車隊の視察という名目で入り浸るつもり.髪の色を塗り間違えなくてもやっぱり誰かさんみたいだ…(苦笑).シゲも香貫花も遊馬の意見に同意して,当の野明だけは不本意.でもここにはレイバーに喜んで頬擦りするようなマニアは他に1人しかいないもんなぁ.
皇太子殿下は超重要.特車二課の全てに優先します.宿泊場所は会議室に設営.ベッドどころかインテリアまで運び込んで見事にしつらえやりたい放題.普段やりたい放題を担当している太田には,ベッドが変わると眠れないからとわがままを通した殿下は腹立たしく….けれど殿下はお金持ち.わがままは確かに不快だけれど,その不快さに見合うものがついてくれば話はまた別なのです(苦笑).
殿下が招いてくれた素敵な夕食は,普段の海産物中心のしょぼい食事に比べるのも失礼なくらいに天国.進士に至ってはあまりの美味さを多美子さんに電話で話してしまい,深刻な夫婦の不和を招くほど.成り行きを知らない後藤が「うまかったろ!」とか声をかけても同意できなくなっちゃっていて(苦笑),周囲の皆は殿下を探すという名目で2人を置き去りに.…取り残された後藤がともかく気の毒.進士がキレたら洒落にならないもんなぁ.
ちなみに殿下はハンガーで,野明と一緒にアルフォンスの肩で楽しそうに語っております.彼の国にはレイバー自体ないけれど,「欲しい」という理由でイングラムの導入を決めているあたりが滅茶苦茶だ.…この世界でレイバーは車みたいなもんだけど,気に入ったからって日本のパトカーを持ち込むのはちょっと違うもんな.
イングラムには強さの中にも優しさがあると語る殿下.導入の是非についてはともかく,イングラムの良さに共感する野明はマニアなトークを真面目に聞いてくれて,それをしみじみと喜ぶ殿下.身近にレイバーがなければレイバーマニアなんてジャンルは成立しないし,ましてや皇太子という立場では,ロボット工学や防水技術のかわりに通信インフラに関しては特に遅れたこの世界でレイバーについて語りあえる者はまずいないはず.
レイバーをこよなく愛する者同士,完全に意気投合した2人.「だってあたしもレイバーが,アルフォンスが好きだもん!」とマニアはマニアに大サービスで,一緒にコックピットまで見学させちゃう.…アルフォンスのなかであははうふふとやっている2人の雰囲気は大変に近寄り難く,遊馬は国賓に対し「ただのメカマニアじゃないのか?」ともう今更なことを呟くのでありました.
同日夜.隊長2人に整備班長まで集めて開かれる特車二課トップ会議.本庁でしのぶが聞きつけたのは,この間のブロッケンが起動ディスクごと盗まれたという物騒この上ない話.軍用レイバーなんか国内に長期間隠しておけるわけもないので,現在来日中の殿下を狙ったテロで使用されるのではないか,というのが後藤の見立て.とはいえ専用のレイバーを抱えるここは警視庁でも屈指の戦力を抱えた部隊でもあるので,敵もおいそれとは仕掛けては来られないでしょう.

後半.昨日の夕食は家庭不和を招く程に美味であったわけですが,その特典を台無しにしたのは太田のちょっとした失策.朝食にいただこうとしたカップ麺をあれほど殿下が気に入ってしまうとは….カップラーメンとキャビアって合うのだろうか(笑).殿下のアンバランスぶりは食生活だけでなく,レイバーの試し乗りに最新鋭機のイングラムを使うというなかなかの暴挙に発展.遊馬はいつも通りとして,指揮帽を被ってる野明が珍しいですね.
敷地の片隅でレイバー初心者の殿下にイングラムを操縦させちゃう.車と一緒で公道で動かすには免許が必要ですがここは二課の敷地内なので大丈夫…のわけがないよなぁ.警察の威信が詰まった機体を教習車代わりにすることを許可するだなんて,野明はともかく,監督役の後藤は一体どんな素敵な条件で殿下を引き受けたのやら(苦笑).「指示をくれたまえ!」なんて言葉もマニア2人に嫌々つき合う遊馬には大変気に入らず,「よかろう」もどうにも気に食わず.…本人は自覚してませんが,いい大人が少年に嫉妬してどうするよ(笑).
しかもマニアなだけで操縦はただの素人だから,並のレイバーより難しいイングラムの操縦をやらせるのは無茶.いきなり大きく踏み込みやがって踏まれそうになる遊馬! 逃げたから踏まれないで済んだしイングラムもコケないで済んだけど,彼の生涯の記憶に残る1歩は整備班をひどく悩ませる一歩となったに違いなく….仕事場では,マニアの存在が大変に迷惑なときって確かにあるよな.
さて正午.王子滞在に関する最大の利点は例の豪華な食事であるのは間違いないわけですが,今朝の太田の失策によって昼食会がカップラーメン会になっちゃった(苦笑).世界的なヒット商品であるカップ麺が殿下のお国にないってことはまずないはずですが,庶民フードには縁遠い殿下は食料の保存が不可欠な国柄ゆえにいたく感銘を受け,巻き込まれた第2小隊はインスタント麺は上海亭の出前以下ということでがっくり.
落胆しつつも和やかな殿下の滞在…もここまで.渋谷にブロッケンが出現したとの報を受け,殿下は第2小隊に同行することを強く希望します.二課が何者かに監視されていることまで把握している後藤は,これまでの緩い態度を捨ててきっぱりと頼みを断るものの,それでも殿下は少年ゆえに強情.自分の影武者が渋谷の放送センターにいるからと,折角貸してもらった特車二課の制服を脱ぎ捨てて…「余はカーリマンの子孫だ!」と逃げないことを宣言.自らお忍びの体験入隊を打ち切って,皇太子として現場に入ることを選びます.
渋谷では先日やりあったばかりのブロッケンがまたも大暴れ.軍用レイバーが日常的に暴れているあたりがさすが世紀末…とか感心してる場合じゃないんだよな(笑).特車二課は程なく現場に到着してイングラムを動かすわけですが,逃げることに集中するブロッケンの動きは素早い.最強の戦力である警察用レイバーを皇太子の元から引き剥がすことこそ,この2機の目的なのでしょう.
で,ここからがあまりに駆け足すぎで納得いかない(苦笑).レイバー戦が発生した気配に気づいた殿下がいきなり現場に向かって駆け出します.確かに他人を戦わせることは彼のプライドに反するのかもしれないけれど,守るべき相手をあっさり一番危険な場所に向かわせてしまう警備部がともかくまずいだろ.その上銃撃まで受けたところをあわてて1号機が保護…という流れがともかく強引.確かにこれくらいの超展開でないと王子をイングラムには乗せられないけど….
てなわけで野明は王子と一緒にイングラムに乗ることになり,今回不機嫌である遊馬はさらに不機嫌に(苦笑).このあたりでの,1号機指揮車が障害物にあわてて方向転換した先に2号機指揮車がいてあわててさらに方向転換…という指揮車の動きは,派手な上にコミカルで楽しい,本作を代表するアクションシーンの1つだったりします.
かなり強引な展開の末にはじまるレイバー戦.王子が膝の上にいるために狭すぎて野明の手が前のレバーに届かないところを,王子が「僕を信じて!」とその手で補います.足回りはアレだったけど手はちゃんと動かせた王子の放った右ストレートはクリーンヒット! けれどいきなり右の拳を潰してしまうと,1機ではスタンスティックもリボルバーカノンも掴めなくなるんだよなぁ…(苦笑).
倒したはずのブロッケンはやっぱり立ち上がり,それを止めようとするのがやっと復帰した2号機! 必死に組みついてももちろん吹っ飛ばされるわけですが(笑)ここで2号機が電磁警棒を落としてくれたおかげで1号機が左手に構えて特攻を仕掛けることができたわけです.…イングラムが左腕の盾の下から電磁警棒を引き出すシーンは凄くかっこいいけれど,実際の運用を考えると左手でも引き出せる場所に格納した方がいい気がするなぁ.
直前まで逆襲されながらも,2人がかりでついにブロッケンを仕留めた野明と王子.すがすがしい顔の王子とため息つく野明が意味深で,遊馬が変に勘ぐってます.しかも殿下に「夢のようだ!」なんて言われたらなおさらに….もちろん「トドメの一撃は,余が操作した!」程度なので下衆の勘ぐりは恥ずかしい(苦笑).普段はどう見ても香貫花の方を気にしてますが,他人からちょっかいかけられると野明が気になってたまらないんだなぁ,この人.

テロリストたちから狙われたことで即刻帰国することになった王子.英雄の子孫として家族を守らねばならない…と自負する彼に,第2小隊からお土産が贈呈されます.野明と整備班からは1号機の起動ディスクのコピー.また来日したときに乗れるだけでなく,お国でイングラムを輸入しちゃえばそのまま向こうでも乗れますね.さらに異様に気に入っていたカップめんも箱一杯にプレゼント.遠い近所のコンビニから根こそぎ買ってきたんだろうなぁ.
趣味に貴賎はないですが,その趣味に没頭できるかどうかは家に依存するところが多々あるもの.もちろん金持ちの方が有利だけれど,あまりにも家柄が良すぎるとそれどころではなくなるってのは,わが国のお姫様の例でも明らかなような.とはいえその義務こそが彼らの最大の誇りだったりするわけなので,「何にしても,俺たちは庶民でよかったいにーぃ?」 …好きなものを好きなままでいることが許される自分たちの今の立場に,本当に優越感を感じていいのかどうかをよくよく考えつつ,次回に続きます.

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「時をかける少女」ブロガー試写

「風切って走れ少女の巻」

真琴は高校2年生.ショートカットで快活で,考えるのが割と苦手な女の子だ.本人としては何事にもソツがなく運だって悪くないつもり…なのだが,実際には本人の無計画さと運の悪さが相まって,ひどいトラブルになってしまうこともある.
そんな彼女が巻き込まれたちょっとした不運.しかしその時から彼女と時間の関係が変わってしまった.なぜできるのかはわからないけど,やり直せれば失敗はしない.やり直せれば逃げることもできる.楽しい時間はどこまでも延長! …けれど,変えてしまった結果が自分の望まない方向に向かうこともあるのだと,真琴はまだ知らなかった.

さて今日は,先日試写会を見てきた今週末公開映画「時をかける少女」についてレビューしたいと思います.公式サイトでブロガー試写会を募集してたのを見て,「試写室って面白そう!」という野次馬根性で応募したら当たってびっくり.テレビ局去りし後は随分と静かになったという麹町のビルの一室で見せていただきました.
他サイトさんの感想とかはここ.
 時をかける少女: ブロガー試写のレビューはこちら
角川ヘラルド映画の試写室は,当然劇場ではないので画面が小さく,ゆえに実際に劇場視聴した際に受けるほどの視覚的効果は得られなかったに違いなく…その分音響面がともかく素晴らしくて,ついでに作中にもその音響を十二分に生かしたシーンがあったことが印象に残ってます.あとは椅子って言うかソファーがふかふか!

自分自身は,オリジナル既読,コミック版未読,細田監督の代表作全て未見.マッドハウスの最近の作品でぶっちぎりに面白かったのは「アカギ」! 普段は多少画がヘタレても話さえ面白ければついていきますし,アニメにはアニメならではの冒険を積極的にやってほしいと常に願っている…すごい悪食です.いわゆる作画・演出マニアって奴ではないので猫に小判の可能性もあったりしますが(笑)監督の印象が真っ白な人間がどう見たかという一例として,ご覧いただければ幸いです.

この映画版はオリジナル作品にきちんと繋がる,正統派の続編.とはいえ主役の性格が相当違うので,こっちは走って飛んで転んで走って飛んで転んで…という転がりアクション作品となっているわけですが(笑).作画は当然のように素晴らしく丁寧.割と地味な「野球」に興じる様子でも,いちいち動きが面白くて凄くきちんと描かれているのがわかります.初夏の学校の様子もロケハンの成果でとてもリアル.見ているとああ,あんな感じだったかなと懐かしくなる感じ.ただし空気感みたいなものは長まわしのシーンでもそれほど伝わってきませんでした.これは出来る限り爽やかにしたいという作り手の意図があってのことかな.
てなわけでさっぱりと乾燥した世界をひたすら走り回ることになる主人公ですが,襲い来るトラブルをクリアさせられる様がアクションゲームの主役みたいだ(笑).ちょっと頭が悪くてあんまり少女らしくない中性っぷりは,最初は友達にいたらいいかなって思う感じ.けれど話が進んで,特に後半に入ってくると必死な彼女が段々好きになっていきますね.恐らく本人からすれば一番苦手なことを一生懸命やってみるわけだから,そりゃ辛いさ(苦笑).
主役以外のメインキャラたちも皆魅力的.特に真琴の友人の野郎2人のバカっぽさや,しかし主役のほんの少し先をちゃんと歩いている距離感の感じさせ方がいい.登場人物は結構多いけど,物語の初期段階では自宅と教室の片隅とグラウンドを繋ぐ線からはじめて,話が進むに従ってその線を太くして脇の連中を順次混ぜる展開なので,変な混乱はしないはず.
肝心の物語もとても爽やか.もちろんオリジナルを十二分にリスペクトした上で,主人公の周囲の線を繰り返し太くしたり塗りつぶしたりしていく様子が絶妙です.声を出して笑いたいコント的な面白さもあるし,観客の心を揺さぶりたいときにはかなり集中してえげつないまでに狙ってくるし.特に終盤では,展開のスピード感に引きずられて,観客の感情も上に飛んだり下に落ちたり,起伏を散々味わった末に泣かされるかも.
個人的に心残りだったのは,アニメでこれだけ凄いなら,ぜひ実写でも見たいんですが!というアニメ好きとは到底思えないコメントで申し訳ない(苦笑).映像の完成度も物語の完成度も映画に相応しいレベル,特に終盤の物語の畳み掛けはやや説明不足となりながらも絶品なので,なおさらそこに現実の風景や人間の持つリアルな熱が欲しかった.…でも,あんな凄い演技のできる子なんてそもそもいない気もするしなぁ.
一度見始めれば最後まで楽しめることは間違いありません.原作つきの実写青春映画と戦っても決して見劣りのするものではないっていうか勝てそうな気が! この季節の蒸した空気を吹っ飛ばすための映画だと思いますんで,ぜひ爽やかな疾走感を味わいに,映画館へと足を運んでいただきたいと思います.

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桜蘭高校ホスト部#13

「あなたのための午後3時の巻」

桜蘭学院に特待生として入学することになった藤宮ハルヒ.父とともに入学手続きに訪れた彼女が見たのは,バナナを食って歩くピンクのうさぎのぬいぐるみ.それを追いかけて落ちた大穴の先には,ピンクの部屋とお高そうな花瓶が待っていた.尻にハマった花瓶をバナナを食べて小さくなって外し,小さな扉を潜って涙のプールへと落ちる.仲の良い兄妹は姉弟となり,公爵夫人に抱かれた赤ん坊は呪い人形に姿を変える.猫は笑うだけでなく双子であり,ドードー鳥は待ちわびて…そして午後3時のお茶会には,ハルヒの席はない.

いつだって素晴らしいものを見せてくれる「ホスト部」.豪華できっちりできたものを作り上げてくる上に,特に絵コンテ・演出に監督クラスの人間が入った際のレベルは尋常ではなく…そこに五十嵐監督神の名が入ればなおさら.てなわけで今回は監督による「アリス」のような総集編.通常の総集編は過去に使った映像を再編集して放映し作り手の体力やスケジュールをその間に回復させるものではないかと思うのですが,本作では一切使いまわさず作り直して,ついでに1話限りのゲスト声優たちにほんのちょっとだけアフレコさせ,さらにちょっとだけネタバレしてみせるだなんてあんたアホだろう(笑)! あまりにも実直に全力でふざけようとする,そんな監督神の根本的な不器用ぶりが,本当に大好きです!

前半.一介の庶民が父を伴い,薔薇の花散る桜蘭に足を踏み入れたのは今よりしばらく前のこと.門の中は日本離れした凄いゴージャスぶりなんですが,中身を見るハルヒさんにとっては無駄な装飾にしか見えていないに違いない.父と教師の会話を脇で聞いているばかりのセーラー服のハルヒ.手のかからない優秀でよくできた娘さんの背後には,大樹と母子の図.シーンが切り替わるたびにその内容が変化しているのが思わせぶり.手間のかからない娘の様を語る父の声を背景にして,絵画の中では少女が母親から離れ,…うさぎを追って日向へと向かいます.
父の話が終わるまで,一人きりで校内を散歩することになったハルヒ.長い髪とスカートを揺らしつつ歩く午後3時の桜蘭.この春から母校となる校舎をさ迷うハルヒが見たのは謎の手招き.第3音楽室から誘うのは,バナナを喰うぬいぐるみのうさぎ.…実は紅茶よりもバナナの方がお好み(笑)? うさぎは強力モーターによって開いた穴に下りていき,それを追いかけるハルヒはいつものようにバナナの皮で滑って,穴の底へと落ちていく.
ありえない落下は螺旋を描き,その底には部屋が1つ.助かった…と思ったら,花瓶にお尻がはまって動けない.矢印で指し示されてきたそれによって,ハルヒはこの出口のない部屋に閉じ込められることになったのです.ここが音楽室であるがゆえに置いてあったピアノとそれを弾くネズミにハルヒは助けを求めるものの,年上キラーの彼はバナナを食って小さくなって床のドアから逃げ出してしまいます.
不自由な立場から逃げ出すためには,この部屋に体を合わせなければなりません.通路の奥にはネズミだけでなくうさぎの姿もあり,ハルヒ一人が大きなままで残されて…かくして自由を求めるハルヒはバナナをむさぼり体を合わせ,小さな扉の向こうへと歩みを進めることになります.自分から強く希望したことではありませんが,花瓶のために自分で選択したことであるのは間違いありません.
自由のために仕方なく体を合わせて通る通路には,ハルヒが本来は何者であるのかを示す電球と,バナナカウントダウンの宣告.体を合わせて頑張ればそれで済むのかと思ったら,実際はベタでうざくて迷惑な罠の登場で更なる深みへと急降下! …そして落ちたのは沖縄で落ちた水中.あわてて飛び出したのはあの日の青空の映った水面.
「たくさん泣いたな」と話しかけてくるのは,プールサイドに座して全てを見守っているめがねきゃらの芋虫.彼曰くこのプールの水は全てハルヒの心の涙.助けを求めることを知らずに意地を張り,理由なくぶつけられた敵意を我慢して…辛いことや寂しいことに耐えてしまったために蓄積された水.しかもこれは南国風プールでありますから(笑)中にはヅカ部のワニがいて気を抜くと食われます.涙に溺れりゃ今よりもずっと似合いの場所が待っているのです.
体を合わせて入った世界の中には,そのサイズに合わせた世界が待っていました.庶民の世界とはもちろんかけ離れているけれど,どちらが正しいってことはないのでしょう.フードを着込んだ豚児とその妹は,強欲な芋虫から安くはないキノコを月末払いで買ってます.金銭的なことだけは徹底し,いつもファイルに何かを書き込んでいる芋虫.初対面のはずなのになぜ「いつも」なのか,今のハルヒにもわかりません.
キノコを食む豚児とその妹.兄は光が怖くなかった乳児へと戻り,妹は闇が怖くない大人になる.赤ちゃんに戻った兄は勝手に扉の向こうへと進んで行くものの,芋虫も豚児の妹もそれを放置.色っぽい妹を撫でる芋虫はあくまで傍観者という立場を貫くので,心配したハルヒは今度は赤ちゃんを追いかけます.
扉の向こうはバナナの皮だらけの部屋.長椅子のチェシャ猫と公爵夫人,そしてバナナスープを作る料理女がおりました.「猫がにやにやできるなんて,あたしちっとも知らなかったわ」…と原典に敬意を見せるふりなどしていたら,料理女がいきなりぶちキレます.大好きすぎて,暖炉の火のように燃え盛った嫉妬によって脇どころか悪役にされてしまった彼女からすれば,その嫉妬の原因であるハルヒさんもその他楽しんでいる皆も大嫌い! しまいには「環様のぶわかー!」と追い出した彼の名を叫んで逃走! ああ,こんな人もいたなぁ…(笑).
豚児であった赤ん坊を抱く公爵夫人.ハルヒは子どもに母が見つかってよかったと喜びます.お母さんと一緒にいるのがやっぱり一番.それは母を失っているハルヒの本心そのもの.しかし公爵夫人は強力モーターを回し裁判所へと出廷せねばならないし,置き去りにされた乳児は呪い人形に戻り,それを指摘した猫まで空気にかき消えて…ハルヒはひとりきり.この作られた世界のなかでの関係性はあくまでも仮想のもの.真実ではないのです.
ひとりで歩く長い廊下,そこにさっきの猫が出てきます.ハルヒの左右でくるりくるりと柱を回って神出鬼没.世界に合わせて姿を変えた彼女が求めるのは,普通の世界への帰り道.しかし帰るには,この世界を支配する女王陛下に謁見しないわけにはいきません.…猫は出たり消えたりで会話も途切れ途切れ.これでは落ち着いて話ができないから2人とも一緒に出てきてよと頼むハルヒ.猫は一匹で神出鬼没のはずなのに,なぜ2人いるとわかったのか? 結局ハルヒは猫を置き去りにして,猫たちは見分けた彼女をじっと見ています.
この世界はいつだって午後3時.ドードー鳥はカップを前に帰りを待っています.あの夜には,確かに桜花が華麗に散ってましたね….そんな3時を歩むハルヒがたどり着いたのは静かなお茶会.ハルヒには到底買えそうにない定食を出してきそうな大きな食堂には,帽子屋と眠りネズミと三月兎だけが着席していました.しかもこれだけ空席があるってのに,帽子屋たちは「席はないよ」と言うのです.

後半.そもそもこの世界に長居するつもりなどないし,お弁当で十分なハルヒは席がないなら先に進む気満々で,勝手に話を飛ばされると困る帽子屋たちはあわてて引き止めるしかありません(苦笑).質問したいハルヒとはあまり会話の成立していない帽子屋.「長いね」と髪を愛で,好きだけれど本当はもっと短く刈らなきゃならないと語ります.なんせガムをつけられてしまいますからね.この世界ではスカートを着る事もなくなるわけですが,ハルヒの「こう見えても一応女なんで」という発言がおかしい.それは,本当のあなたは長い髪でセーラー服ではないということですね?
帽子屋とともにお茶会に興じる三月兎と眠りネズミ.2人は前回酷い目に遭ったので,眠りネズミが三月兎の歯磨きを怠るようなことはないに違いない.「ちゃんと歯磨きするんだぞ」と一言言ってそのまま眠るネズミが滅茶苦茶渋いなぁ.今回の仕事ってここくらいかなぁ(笑).
話を聞きたいハルヒにナゾナゾを出す帽子屋.「大トロと赤身が似ているのはなーぜ?」…同じマグロの一部なのに,この世界では断じて違うというのが不思議.でも食べたことがないとその差はわからないのかも.ぶどう酒を勧められても未成年なのでばっさり断る,ファンタジーの主人公としてはかなり厳しい性格のハルヒ.あまりの真面目さはこの世界には不似合いで,最近は後から地味にツッコむことが多いわけですが…でも,「かわいいね!」「確かに!」
ずっと3時のこの世界.いつだって放課後のここはどこ? この高校に通うために手続きに来たはずのハルヒに,帽子屋はまたもナゾナゾを出します.「君のお父上と僕が似ているのはなーぜだ?」元々愛情表現が大変にくどい上に,考えすぎて肝心なところが行動不審になっていたよなあどっちも(笑).「似ているんですか?」と聞き返すハルヒに帽子屋は笑い,さらに重たい質問を繰り出します.
ハルヒは桜蘭に入学してどうする? もちろん彼女は地味な格好で誰も来ない音楽室でせっせと勉強するつもり.だって叶えたい夢があるから….その夢を語る前に「学生生活は,勉強だけが全てじゃないだろ」と割り込む帽子屋.とことんバカな帽子屋ですが楽しいことだけはよく知っていて,それがハルヒには足りていないこともちゃんと知っているのです.
突如響き渡る進軍ラッパは女王陛下の気まぐれで公爵夫人を死刑にするための裁判の開始.聞いたハルヒはいきなり走り出します.自分のことなど後回しにして,困っている人のためにその身を張ろうとする彼女らしい心意気.そんなひとりぼっちで必死の姿すら,仲間からすれば大変にいとおしく,愛らしく….時間は未だ午後3時.けれどもうドードー鳥はいない.
不条理極まる夢の中で開催される裁判も不条理.公爵夫人の罪状は音楽祭の招待に応じたこと.罪とは思えぬ罪を一方的に断じて死刑を宣告しようとするハートの王と女王に対し,駆けつけたハルヒは怒り,いきなり公爵夫人の弁護士を引き受けてしまいます.…行動によって語りきれぬものを語ってしまってるネタバレだ(笑).
公爵夫人の罪は,大事な子どもを放っておいて仕事を行った罪.それは「子どもはお母さんと一緒にいるのが一番」という自分の気持ちそのもの.弁護士となったハルヒはその素直な感情を否定せねばなりません.親が本当に忙しいときには子どもはそれをわかっているから恨んだりしない.それに母を死刑にしたら子どもはどうなる! …両親は常に忙しく,しかも母を失ってしまったハルヒらしい主張.いなくなるのはどんなことより耐え難い.
ここは法の間で感情を述べる場ではないと仮面の王に窘められても,「情のない裁判なら機械に任せればいい!」と大迫力で己の考えと我慢を肯定するハルヒ.たとえ子どもでも親のために我慢する,それが正解でなければ自分の今までが否定されてしまうから必死です.けれど幼い頃からハルヒの徹底した気の使いぶりを見てきた王はハルヒの弱いところをよく理解していて.そもそもお前は罪人ではないのかとその罪を指摘にかかります.
目の前に出された証拠物件は割れたルネの花瓶.これは前半冒頭でハルヒの尻にはまった800万の花瓶.ハルヒはそれをちょっとした不注意で割ってしまい,場違いな場所で場違いなことをやるハメになって現在の不思議な放課後がやってきました.それは今のハルヒがいつやったのかを覚えていなくても事実です.…そして証人たちは,弁護士を自称する罪人の罪を証言します.
バカな帽子屋曰く,「学生生活を間違った認識で捉えております」.…勉強ばかりで日々の暮らしを楽しまないと指摘する帽子屋に対し,「あなたは楽しみすぎなんです!環先輩!」と反論すると明かりがつきます.見守っているのは仮面をつけたお客様たち.さざめき笑って…「どうして名前を知ってるの?」 チェシャ猫が双子だってことも,芋虫のマル秘ファイルも,三月兎の虫歯のことも.「どうして?」「どうして?」「どうして?」
これは入学前の彼女がまだ知らないはずの記憶.花瓶のために囚われた午後3時の世界での事実.高校で勉強ばかりするという誤りは早期に是正され,今や呆れながらも楽しんでいるのが現実! 「まだわからないの?」と語るのは聞きなれた優しい声.「いい友達が一杯できて,よかったね!」…王の仮面の下はハルヒの父.彼女の優しい意地っ張りを誰よりもよく知っていて心配していた彼は,今を喜んでいるのです.
ハルヒは確かに罪を犯していました.それは無理な意地のせいで周囲に余計な心配をかける罪.素直にごめんなさいをしなければならない大罪を犯していたのです.きっとハルヒを残してこの世を去ったあの人も心配していたはずで….この世界を支配する女王陛下は,失ってしまった彼女の母.駆け寄って抱きつくハルヒに,自分が公爵夫人のように子どもに苦労をかけたことを詫びて,「その分今は,夢のような学生生活を,楽しんでね」

迷い込んで落ちた世界の底で自分の母を見たハルヒ.それこそが現実との決定的な違い.母に逢えたことはうれしくても,それはここが夢だという証拠.うれしいけれど悲しくて,寂しいけれど大切で….そんな夢を覚ますのは環の声.珍しく居眠りのしていたハルヒを起こすのは,いつものホスト部一同です.
本日はアリスをモチーフに仮装している夢のような人たち.実際の夢とはちょっと配役が違っているところも芸が細かい.特に芋虫とか物凄く接客しにくいだろうからなぁ…(笑).しかも双子がアリスの衣装を手にしてるってことは,ハルヒさんに着せる気満々だなこいつら.…勉強ばかりの高校生活のはずがひょんなことからこんな事態に.しかしこのおかしな状況も,心配した母が不幸なハルヒのために天国から贈ってくれた特別サービスだったりするのかな?
夢の中で落ちた穴からは夢が醒めても未だ出られないまま.放課後,午後3時のバカ騒ぎはこれからもまだ続くから,「確かにこれじゃ,寝ても醒めてもあまり変わらないな!」 …フィクションの中で生きる彼女の言葉のメタフィクションぶりに身をよじらせつつ,次回に続きます!

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デジモンセイバーズ#12

「波打つ大きな物語の巻」

帰国したトーマが持ち帰ったのは,デジモンが人間の情念の影響で暴走することと,デジタルワールドとこの世界を隔てる壁が薄まりつつあるという事実だった.自然ではない何かの力によって2つの世界を隔てる壁は崩れつつあり,その影響でマサルの家にデジモンの卵が出現する.人間界で孵化した卵はこれで6例目.生まれたプワモンはチカになつき,アグモンは大門家のアイドルの地位を追われた.さらにそのプワモンを追ってファルコモンが人間界に出現.チカの元から仲間を取り返そうとするファルコモンに立ちはだかったプワモンは,守りたいという気持ちによってピヨモンへと進化する.

1クール目の終盤に向かう仕掛けに点火する「セイバーズ」.持てる限りの材料を出し惜しみせずに消費していく様が実に男らしい本作ですが,今回はさすが山口亮太脚本で,伏線暴露だけでなく笑いも燃えも大サービス! しかも脅威の真実の露呈による緊迫感を直後の卵追いかけで台無しにしたり,深刻そのもののタイマンの直後にマサルを鉄塔にぶらさげてみたりと,ともかくシーン間での計算された緩急が凄まじい.ピヨモンだって実質的にはマサルが止め刺してるもんなぁ…(笑).次回に向けてのタメの1話としてはありえないほどの大サービスぶりに心を震わせてください!

冒頭は前回ラストの続き.アメリカまで出掛けてデジモンについて調べてきたトーマの明らかにするいくつかの事実.超心理学の権威というスチブソン教授のところで突き止めたのは,デジモンは人間の7つの情念に影響されるということ.人を悪へと導く憤怒色欲飽食怠惰嫉妬貪欲傲慢の7つの欲.ただしこれらはストレスと同じで人間を動かすための重要な要素であり,過ぎるのはダメですがないのも逆によくないんだよな.
欲に関してはこれまでの答え合わせなので情報としての重要度は薄いですが,二つ目の,この世界で事件が増えている原因の方はなかなか重要.このところ事件が増えていたのは,デジタルワールドとこの世界を隔てる壁が崩壊しつつあったから.しかもその崩壊の様は自然ではない…ってあたりまでが事実として大切.誰がどのように壊しているのかについては情報が足りないので,現段階でその原因を勝手な偏見で推測するような奴は研究者としては失格ですよトーマ(苦笑).
壁が相当崩れているらしい横浜には今日もデジモンの驚異がやってきます.本日の異変ポイントはD-101…マサルの自宅で,デジタルワールドから卵が届いておりました.空から落ちてきたそれを玉子焼きの材料にしようとしているサユリさんってやっぱり豪気だな(笑).さて,これまでデジタルワールドにやってきた連中はどいつも孵化後であったわけですが,今回は卵のままにご漂着.確認されたのは今回で6例目のレアケースです.
孵化前のデジモンがこの世界に来たのはこれまで5例で,ララモン,ガオモン,ホーンチェスモン白・黒,そしてアグモンの5体.…あれ? クダモンとカメは? それにその特殊なデジモンたちが日本に集結しているってのは,全世界的な組織としてどうなんだろう.1箇所に集めておいた方がいいリスクか何かがあるんだろうか?
人間界で卵から孵化したデジモンには,適合デジソウルを持つパートナーが必要.…デジタルワールドで孵化したデジモンに比べると,デジソウルが足りなくなるって理解でいいのかな? ヨシノやトーマもその適合者ゆえにDATSにスカウトされているという事実も割と重要なんだけど…ここからなせかドタバタになります(苦笑).
珍しい上に生まれてもいないのに逃げる卵.全員で大門家でドタバタと卵を捕まえようとするのが間抜けすぎ.あれだけ人数はいるし部屋も家も狭いし自称頭のいい奴もいるんだから,全員参加でサンドイッチになることはない(苦笑).一番下にされたララモン可哀想….ついにはコケたアグモンの顎が入ってしまって卵が割れ,プワモンが生まれてしまいました.尾羽にさえ気をつければ小さいし丸いしふわふわだし,可愛いとチカが大絶賛しております.
デジモンはすべからくDATS本部に運びたいけれど,こんな小さいのを倒して卵に戻すのは心苦しいし,情念に影響されて暴走されても困るし…というわけで,まずは大門家で保護されることになったプワモン.幼いデジモンの心を人間の欲望から守るためにトーマが発明したというアンチデザイア発生装置が持ち込まれるけど…無駄にでかい(笑).さすが外国育ちの金持ち.日本の住宅事情の厳しさを未だによくわかっていないのか.
今回はシリアスな設定暴露の合間に総出でコメディをやっているわけですが,中でも一番の貧乏くじを引かされたのがアグモン.本人にはちっとも悪気がないのに,そのでかい口をプワモンに怖がられてしまったがゆえに味方がいなくなりました(苦笑).顔が怖いだけで何もしていないのにチカに叱られ「っていじめてねーよ!」とノリツッコミするしかないアグモン.大門家のアイドルの座を見た目の問題であっさり奪われ地位凋落….中でも一番ひどいのが,誰あろうマサルの兄貴であったということが後に明らかとなります(笑).
夜になってもトーマは帰らず,でかい装置の傍で調整作業を続行.マサルはともかく,サユリやチカに何かあっては困るからと気合の入る男心はよくわかる.そこにちょっかいかけるマサルと必死にブロックするトーマがおかしい.機械音痴のマサルが触ったら機械は全てスクラップになるだろうからなぁ…(苦笑).しかしそんなコントは,プーちゃんことプワモンの異常によって中断されます.
異様に怯えているプワモン.けれど周囲にはデジモンの気配がない.ゆえに原因はアグモンと断定して別室に連行するトーマとガオモン…証拠もなしに偏見だけで,本人の弁明も一切聞かずに幽閉するなんてひどいや(笑)! しかも本来アグモンを守ってやるべきマサルまで,「悪は去ったぞ」とか言ってるし….当然アグモンには何の責任もなく,プーちゃんの怯えは止まらない.この小さなデジモンが怯えていたのは,デジタルワールドから追ってきた謎の鳥形デジモン!
窓ガラス破り急襲するデジモン・ファルコモンは,「卵を返せ!」といきなり主張し,そこから生まれたプーちゃんを回収するため実力行使に出ます.飛べる上にスピードに優れ手裏剣まで放つファルコモンは近接戦闘メインのマサルには厄介な敵…っていうかいきなり手裏剣で壁に縫い付けられて動けなくなってる(苦笑).怖がるプワモンのためにもファルコモンにはいなくなってほしいチカ.そして怯えるチカを守りたいプワモン.そんな2人の心がこの段階で重なってしまったらしく…悲劇はここからはじまります.
結局ファルコモン自体はトーマたちが追い払ってくれたわけですが,罪もないのに閉じ込められてやっと戻ってきたアグモンに「お前来るのおせーよ」と言う兄貴って本当にひどいや(苦笑).しかし問題はプワモンの方.例のでかい装置がありながらも,守りたい,一緒にいたいというチカの欲に応えてしまったのかその体が光って…ピヨモンに進化! さすがはマサルの妹,チカにもパートナーとしての才能があったのです.

ピヨモンの進化は大門家に恐ろしい事態を引き起こします.進化させたチカは即座に隔離されて身体検査.進化したピヨモンも檻に閉じ込められる.説明もないままに注射されそうになるチカが怯えるのは当たり前の話であり,事情を知らない兄貴の鉄拳が唸るのも当然.これは事前に説明しなかったDATSの落ち度でしょう.…しかし,人間相手だってのに躊躇せずに倒しちゃってるなぁ…(苦笑).これは隊長の指示によるチカのデジソウル検査.彼女には,ピヨモンのパートナーとしての資質があるというのです.
大事な妹を怖がらせたDATSに憤り,早速本部に駆けつけて隊長に談判するマサル.彼は自分の妹を同じ立場に置きたいとは微塵も考えていません.マサルは喧嘩バカなので望んでこの状況に飛び込んだわけですが,幼いチカを命の賭け合いをするような場所には絶対踏み込ませたくない.そして,ほぼ同様のことを2人の母であるサユリも考えていて,気持ちを伝えるために基地にやってきた上に…隊長と面識があったのか!
どうやら旧知の仲であった薩摩とサユリ.大門家がアグモンに対して最初から異様に寛容だったのは,彼女がその存在を事前に知っていたから.そうでなきゃでっかいトカゲのオバケを家族として受け入れるなんて無理だしな.しかもここに絡んでくるのが父.マサルがデジモンに巻き込まれる原因として「あの人の血を引く」ことを理由に出してるってことは,父はデジモン関係者で,マサルはサラブレットだったってことか.そんなサラブレットたちを育てるサユリの「デジモンに大事な人を取られてしまう」という言葉には,夫を失った悲しみだけでなく,息子が次第に深入りしていく様を見守るしかなかった苦悩までも感じられます.
妹のDATS入りを断固阻止したいのは大人の事情を知らないマサルも一緒.デジモンとデジソウルの相性が合うことはなかなか珍しいはずで,DATSの戦力増強を考えると彼女はぜひスカウトしたい逸材.けれど妹を守りたい兄貴としては簡単に許せることではありません.…逆に言えば妹が絶対に危ない目に合わないという確信が得られればその限りではないんだよな.
DATSで管理できないデジモンはデジタルワールドに返すのが原則.現状ではチカとピヨモンは二つの世界に別れるしかない.チカとピヨモンの間には分かち難い感情が既に芽生えているようですが,二人には自分たちの運命を選ぶ権利は与えられません.二人きりの部屋の中で,ずっと一緒にいることを誓う背中合わせの2人.そんな小さな恋人たちのところに怖い顔でやってくるのが…マサル.「ちょっと顔貸してくれねえか」と,妹についた悪い鳥をやっつけてやるつもりなのです.
土手にピヨモンを呼び出して,彼らしく率直に宣戦布告する兄貴.デジタルワールドに帰れと命令し,ピヨモンはそれに反発.かくしてはじまる腕ずくの,妹を守る権利をかけた男と男のタイマン勝負! …約束のために必死で戦うピヨモンと,妹のために本気で拳を振るうマサル.本人たちは大変にまじめにやっているわけですが,妹とつきあいたいボーイフレンドをぶん殴る兄貴とか,生まれたばかりの雛を本気で虐待する容赦のない悪役に見えて面白くて仕方ありません(苦笑).
もっと強い相手と毎度殴り合っているマサルは,文字通りのひよっこで経験もないデジモンに比べたら圧倒的に強い.妹の目の前で本領発揮し容赦なくあっという間にピヨモンを潰すマサル.その拳でチカとピヨモンの絆を殴り切ろうとでもするかのような…そんな拳は泣いている.たとえそれで妹に嫌われることになったとしても,チカを戦いに巻き込まないためならば鬼となることすら厭わない!
もちろん「僕はチカを守る!」とピヨモンも必死で,散々殴られた末にパンチがようやくマサルの顔に入るんだけど…当てたというよりは当てさせてもらっただけであり.顔面に鳥の拳を喰らって鼻血を出しながらも,「効かねえよ…そんな拳で! チカが守れるかー!」と叫ぶ鬼兄貴! モンスターよりもずっとモンスターらしいなぁこの主役.
妹を守るなら自分より弱いような奴はまず論外.そのあたりの確認が終わったのでピヨモンをデジタルワールドに帰すための最終シークエンスに突入するマサル.しかしその最中に乱入したのがファルコモン.昨夜乱入してきて事態をややこしくしてくれたこのデジモンは,ピヨモンが帰りたがらないのをチカの責任と見なして襲いかかるわけですが,すっかりぼろぼろのはずのピヨモンが,それでも意地で立ち上がる!
兄貴に散々殴られてもなお,チカを害そうとする者の前にピヨモンは立ちはだかって男を見せる.もちろんマサルだって妹を守ることを他の誰にも譲る気なんかないわけですが,空飛ぶ敵を殴りに行ったおかげで鉄塔の上に逆さ宙吊りになってんだもんなぁ(苦笑).さっきまでの兄貴の迫力が台無しだ….DATSからの援軍もここで登場し,唯一飛べるサンフラウモンがビームで敵を狙うんだけど動きが早すぎて当たらない.「サンシャイン…あ」×4の繰り返しの仲間の笑いに「アホか一生やってろ!」とツッコむマサル.…逆立ちしながらツッこまれてもなぁ(苦笑).
ガオガモンもサンフラウモンもファルコモン相手では移動範囲とスピードが足りない.しかし移動範囲とスピードだけは十分なピヨモンには力が足りない.ゆえに! ピヨモンは傷ついた体で,鉄塔逆立ち中のマサルに共闘を求めます.さっきまで散々ぶん殴られて身を持って知ったとおり,マサル単体の攻撃力も相当のもの.ゆえにチカを救うために即席タッグを結成して特攻!
…ファルコモンはピヨモンとは戦いたがってはいない.しかし相手に戦う気がなくたって,こっちにはその気も理由もある! ここでマサルとピヨモンが見せた空中コンビネーションは,ピヨモンを踏み台にしてマサルが空中の敵をぶん殴るという,殴った後の着地のことをあまり考えていない大作戦(笑).その上マサルときたら傷ついた妹の友達の顔を思いっきり踏みつけにしてる.地上に落ちたピヨモンが弱ってるのは間違いなくマサルのせいだ….

1発入れれば漲るデジソウル.それをマサルはアグモンにチャージ! そのままメガバーストでファルコモンを倒して終了ってのがここまで培ってきた黄金のパターンなんですが…妨害する天からの雷.降りだした雨の中で姿を現したのは,氷の洞窟の奥でゴツモンにかしずかれていた巨大なるメルクリモン.自分たちよりずっと格上の相手を前にした人間とデジモンたちですが,それでもマサルは引き下がらない!
ついに動き出す大きな物語,デジモンと人間の関係性の真実とは,なぜメルクリモンたちは人間を憎むのか,話の中で出てきた「イクト」とは何者か.サユリと隊長は何をきっかけに知り合ったのか.マサルの父はなぜ行方不明となったのか.…そして強さとは何か.沸騰しだした物語の熱気を受けて宙に舞う次回へと続きます!

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機動警察パトレイバー#12

「恋は淡雪の幻の巻」

特車二課の火薬庫,汚名の権化である太田が見合いする.しかも美人と.同僚からすればそれだけで大事件だが,さらに太田はその見合いにものの見事に失敗し…なのに次のデートにまで漕ぎ着けるという奇跡を見せた.見合い相手の彩乃さんは不器用すぎる太田にも寛容で,しかもレイバー好きとなれば期待度の上昇も必至.柄にもなく恋の病に浸った太田はついに告白しようとするものの,思った以上にあっさりとふられてしまう.

前回でシリアスをやりきって,今回からコメディ通常営業に戻る「パトレイバー」.とはいえ作品の品質が落ちることはなく,監督自ら演出・絵コンテやってるあたりが本作らしい(笑).しかしこの回のスタッフ的な見所はそこじゃない.現在では第1線で活躍する伊藤氏直系弟子の横手美智子氏のデビュー作がこの回.はじめてながらも,現在も健在な,表面的には淡々としているようで中身は相当にウェットで浪花節な作風がしっかり見られます.主役は太田.じっくり見直してみると覚えていた以上に傍若無人で迷惑な奴であったこいつが美女を前にして右往左往する様子が最大の見所.

前半.第2小隊は今日も元気に待機中.しかもあの太田が美人とお見合いをするという異常事態が発生し,整備班まで巻き込んでのお祭り騒ぎとなっております(笑).主な仕事が「銃を撃つ」「足を引っ張る」「役に立たない」の3本立てである太田には当然のように色恋は似合わない.当たって砕けろ,猪突猛進!って台詞は両方とも全然見合いの応援になってねえなぁ(苦笑).
恋愛…というよりはできちゃった婚がメインの昨今では今や廃れつつある風習なお見合い.それぞれ相手のいない男女をその親戚や知り合いが引き合わせるというセレモニーです.この場で意気投合すればそのまま結婚前提の交際へ発展,ダメな場合はそれまでよとなる大勝負.日本庭園を舞台に展開されるこの戦いで,スーツ姿の太田が出会った強敵は,和服もしとやかなお相手,藤井綾乃さん.恐らくはもろにタイプであった太田は緊張しすぎてがちがちで…そんな態度で十分戦えるわけがない.若い2人で庭散歩というのも古より伝わる儀式の1つなんですが(笑)その遂行中に,水音が.
てなわけで,予想を超えて太田は見合いに大失敗.その気まずさに職場が通夜の席と化しております.事情を知らない野明が遊馬に給湯室で知らされた昨日の惨事とは,庭散歩の最中に池にはまったという大変にいたたまれないものでありました(苦笑).そこまでやらかせばもうだめだろと考えるのが当たり前.第2小隊では傷ついた太田の心をこれ以上痛めないように関連する言葉を禁句とします.見合い,破談,破局,お断りは当然ダメ.別れる切れるの離別言葉や落ちるはまるの池オチ言葉も,築山灯篭錦鯉などの庭園言葉もダメ.…そして,ダメと言われるとつい使ってしまうのが人間の悲しさなのです(笑).
NGと意識すれば意識するほどその表現が出てきてしまう,言葉選びの負のスパイラル.それにあっさり巻き込まれた第2小隊は普通の会話すらできません.お茶を「落とさないで…」と言った瞬間全員で反応.イングラムの納品について「先週壊したところは…」と言った瞬間また反応.このシーンでの全員の反応ぶりがなかなか面白い.クールな香貫花もちゃんとちらっと見てるんだよな.
暗く落ち込んで無言の太田をさらに追い詰めるのは,見合いを仕切った叔母からの電話.この状況で考えられるのはもちろん正式なお断りのみだから,緊迫感に耐え切れず電話の最中だってのに慰めに行ってしまう進士の気持ちはよくわかる(苦笑).…しかし! 大方の予想に反して笑う太田! 明日には2人きりのデートを申し込まれるという大逆転!
まさか池に落ちるような奴がふられなかったとは.その奇跡に驚く第2小隊は,おせっかいにも太田のためにちょっと特殊なケースにおける実戦討論会を開催.…つまりはデートマナー講座なんですが,事前に相手の趣味を確認しておくべきとか,当日は時間には決して遅れず服に関しては常識として誉めるべきとか,当たり前のようでありながらもなんとなく時代を反映している描写が面白い.今だと皆携帯を持っているから,待ち合わせの時間感覚は当時よりずっとルーズになっている気がするな.
皆でよってたかってデートの心得をたたき込み,今度こそ失敗せずにデートができるかと思ったんですが…そこは太田だけのことはあり,実際にはいきなり遅刻(苦笑).待ち合わせ場所に既に彼女は待っていて,即座に謝った上に今度は服を誉めねばならないわけですが,またも緊張のしすぎで挨拶と謝罪と服を誉めるが大混乱! 女性からすれば,池にはまり遅刻し挨拶もろくにできない困った男にしか見えないはずが…それをにこっと笑って受け入れてしまう彼女は一体何者だ?
どう考えても既に3度はふられているはずの太田とデートしてくれることが凄すぎる綾乃さん.不器用極まる男と歩く道にはみぞれが降りしきる.普通なら不快な天気を「いつ雪になるかと思うと,わくわくするでしょう?」などと受け入れている彼女の心の広さが読めません.しかも太田は綾乃さんのコートの泥撥ねを余計悪化させて…それでも太田が真面目で優しい人なのだと思っていそうな彼女はまさに菩薩で女神です.
地上に舞い降りた女神に完璧にやられた太田の頭はついにオーバーヒート.俗に「色ボケ」と呼ぶ状態に変化した太田ときたら,屋上で黄昏れてみたり野明のバケツを持って変なフェミニストぶりを発揮したりと明らかに異常.「お前は雪の予感にわくわくしたことはあるか」なんて真顔で言い出すような奴は太田じゃない(笑)! あまりの怖さに撤退する野明の気持ちもよくわかる….
何かの間違いによって継続していく太田のデート.職業柄レイバーに関して厳しい太田はたかが映画の描写にダメ出し.彼女に誘われた映画に対して,楽しい感想ならばまだしも,物語の本筋に関係ない部分をつついて批判するのはもう大失敗だろ(苦笑).もう帰ったっていいのに彼女ペースのデートはまだ続く.しかも今度は現場に菱井のニューモデルレイバーを見に行くというマニアックぶり! 彼女のレイバー知識は相当に深く,しかも「きれいでしょう?」 とか言い出すのがあまりにもミステリアス….「レイバーって好きですわ」というコメント.太田がレイバー乗りと知っていてこの発言は一体!
奇跡の女神の一言に惑いまくる太田は職場でも机上の薔薇を凝視していて滅茶苦茶怖く,同僚からすればこの状況が信じられない.もう何回ふられているかわからない太田になぜ愛想を尽かさないのか.パートナーの香貫花ですらどこがいいのかわかんないってのに(笑)! そして太田は彼女のあの一言の意味が理解できない.犬を飼ってる人に向かって女がこの犬が好きというときは…「犬が好きじゃないんですか?」と答えるしかない進士は常識人であり,今や恋に狂う太田は明らかに考えすぎ(苦笑).
…太田は自分の都合のいいように考えすぎな上に,同時に考えが足りていません.特に美人が女性には珍しいものに詳しくて好きだとか言い出した場合,真っ先に疑うべきものがあるのです.例えばマニアックなアニメ,あるいはコンピュータ,はたまた車,バイク,電車…彼女がそんなものに興味を持ったのは別の男性の影響ではないかと疑うことが大人の常識ですので,ぜひとも皆様にもしっかり覚えて帰っていただきたい(笑)!
ピリオドとなったのは最後のデート.高層ビルのレストランで,大人の常識のない太田が特攻を仕掛けます.テクニックなしの単刀直入で切り込むその直前に!「すみません」と断られてしまう太田爆散! …元から失敗は当然だったわけだけど(苦笑)太田の恋は粉々.前半終了まですら持たなかった淡い夢….

後半.夢から醒めてしまった太田の暗さに重苦しくなってしまう第2小隊.見つめる薔薇は枯れ食欲もなく,太田の癖に実弾射撃すら喜ばない! …自分勝手な暴れん坊は女神の登場に高く舞い上がり,しかし女神の言葉によって高層ビルから叩き落とされ生ける屍に.きっと彼女は周囲に強く勧められていたのだろうというのが遊馬の見立て.さすがいいとこのぼんぼんであるだけのことはあり,いいとこのお嬢さんが味わいそうな圧力には相当の理解があるようです.
さらに前半に太田を踊らせまくった女神がついに特車二課に降臨.いきなり写真と話でしか聞いていない菩薩に声をかけられたら,そりゃシゲだって動揺するさ(笑).…太田と綾乃さんの最終決戦は第2小隊関係者全員が気になるところ.そこにはちゃんと後藤まで混じっているのが下世話だね(苦笑).しかし2人は聞きたい皆を置き去りに,岸壁の方に歩いていきます.
二課の暮らしを支える海を見ながら2人きり.この間の別れはさすがに申し訳ないと考えたのか,綾乃は太田に弁解に来た御様子.…けれどどんな言葉がその途中に挟まるとしても,太田が振られた事実が今更変わるわけではないから,ふった相手に誰にも言えなかった話を聞いてもらおうとする綾乃はあまりにも甘え過ぎている.…曇天からこぼれる夕日の光.そして雪の気配.別れる2人には似合いのステージで太田は何事かを告げようとして…けれど出動命令が.
新宿の工事現場で落盤事故.そこに菱井の新型レイバーが生き埋めになってしまったと聞いた綾乃は血相を変え,後藤に現場への同乗を願い出ます.…かくして前半でご紹介した大人の常識が見事的中していることが明らかに.彼女が気を遠くするほどに心配しているのは,美しいレイバーではなくそれに搭乗していて生き埋めになっている男…イチハラタカアキ.これまでのデートの間も彼女の心には彼がいて,その恋敵を救うため,太田は命を賭けねばならない.
下水道から侵入した落盤現場.瓦礫が山になっていて,崩れていない部分も今にも崩れそうな不安定な状態.どうやら運良く埋まった場所が良かったようで,程なく埋まったレイバーを発見することに成功したわけですが…ここで珍しく野明が大失敗.天井を支える鉄骨を救助の邪魔と外してしまったため再び崩れだす現場,2次遭難の危機!
この状況をフォローしてくれたのが太田の2号機.凄くらしくない活躍ぶりを見せるのは,恋の魔力が未だに残っているため? 1号機に遭難したレイバー本体からコックピットだけを引き剥がさせる太田.2号機指揮車に同乗中の綾乃に通信を代わってもらい,大変に個人的な質問をしています.…職務を遂行する上で公私混同はもちろん許されるものではありません.けれど命を賭けようとする男には,未練を断ち切るための言葉くらいは許されるはずです.
さっきの話は今助けようとしている操縦者の男の話なのかと尋ねる太田.…粗野でマナー知らずで不器用だけれど,彼女がどんな返事を返してくるのかは知っていて,しかも思った通りの回答をよこす女神は無慈悲.こんな想いをするくらいなら,池に落ちた段階でさっぱりとふってくれればよかったのに! ずっとみぞれが降り続くなら,雪に変わるかもしれないなんて知りたくなかったのに!
「…はい」「…わかりました.どうもすいませんでした」

命を賭けて恋敵を救う太田の戦い.1号機の救出が完了するまで柱となって粘り,支えて…ミッション終了とともに大崩落し土煙を上げる現場.下水道経由で1号機は要救助者とともに脱出したものの,今度は太田が埋まって遭難.人命と恋のために大きな犠牲が!…ってことには本作はならない(笑).様々なものを振り切って,2号機は地下から大復活!
現場では恋の終幕.コーヒーを持ってきた野明を遊馬が止めていて,一人きりで手袋を脱ぐ太田.命を救う職務を遂行してすっかり汚れた手袋を脱ぎ,降り出してきた雪を感じる…,不器用すぎて何を言ってもやってもダメだった男が演じる無言劇は,予定調和をきれいになぞっていきます.ひらひらと舞って溶けて消える雪.決して手に入らない幻影.その中で,救急車の傍でマフラーを取って静かに一礼する綾乃に何も言わず敬礼する太田.格好つかない猪突猛進は最後まで三枚目のままですが,そこには三枚目なりの美学があります.ふられるならば未練残さず,いさぎよく!
このようにして太田を襲った恋の病は過ぎ去って…太田はすっかり元に戻ってしまいましたとさ(苦笑).無骨で不器用で基本的には役に立たない太田らしく,トリガーハッピーぶりはどこまでも.ついに太田の手に入らなかった淡雪.けれどよくよく考えてみれば,積もった雪は射撃訓練の邪魔!障害物! だからいらない! …つ,強がりなんかじゃないんだからね(笑)! 太田って可愛いなぁと思いつつ,次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#12

「甘くいたんで忠誠心の巻」

ホスト部ではロリショタを担当する最上級生のハニー先輩.年齢不相応の外見に見事マッチした子供っぽく愛らしい所作でおなじみの彼だが,武道の達人であり寝起きが悪く,ついでに鏡夜と同じAB型なので要注意なのだった.そんなハニー先輩はこよなくスイーツを愛しているのだが,虫歯になったために甘いものを全面禁止されてしまう.特にいつもハニー先輩に付き従うモリ先輩の態度は強硬.ホスト部全体におやつ禁止令が出され,今や喜んでいるのは鏡夜だけ.

当然のように毎回平均以上の「ホスト部」.ネタにしやすい良い原作つきとはいえ,ここまでいいペースで走るアニメも珍しい.恐らくは監督の資質として感性に訴える芸術的なエッジはちっとも立っていないんですが,それやっちゃうと普通の客を突き放すことになりますし,本作自体がエッジの立った作品を笑おうとする作品なのでこれでいいんじゃないかと思います.背景で薔薇が散るのはナルシストでイッちゃってるギャグに決まっているじゃないですか(笑).
今回の主役はホスト部3年生コンビ.ロリショタ担当のはずなのに年長なハニー先輩の濃さ,ディープさについては以前1話かけて語られていましたが,今回はそんなハニー先輩とモリ先輩のディープな関係…と,それを囲む常連のお嬢さんたちのディープっぷりが描かれちゃってます.特にオチがとんでもなく斬新!

前半はちょっとした小ネタからスタート.いつものようにハルヒで遊んでいた常陸院の双子.今日はバニーガールの衣装を着せてやろうとハルヒさんを追いかけ回していたら,ハニー先輩の大事なうさちゃんに紅茶をかけてしまいました.ハルヒさんのバニー姿とか抱き着きセクハラ攻撃が正直どうでもよくなるくらい,これは危険な状況らしい.今は愛らしくお昼寝中の先輩ですが,その本性は虎だというのです(笑).
相変わらずざっくりと,率直にハニー先輩に謝罪しようとするハルヒさんを必死で止める殿と双子.なんせ先輩は寝起きがメガトン級に悪い…ということで語られるひとつの嘘臭い噂.ハニー先輩が米軍の訓練施設に格闘技を教えに行ったとき,時差ボケで眠いところを無理に起こされてグリーンベレー2個小隊が秒殺されてピンクのウサギ煙を上げさせたという! …その件がアメリカとの外交問題になっただなんてオチも含めて嘘臭いことこの上ないんですが,先輩自身がかなりの意外性の人であることを考えると,簡単に大嘘と考えるのは大変危険です.
今回紅茶に溺れたうさちゃんはハニー先輩の亡きグランマのお手製.いつも一緒にいるたった1つの逸品が変わり果てた姿になったのを寝起きに見せたら,ホスト部が変わり果てた姿になりかねないってのがバカ3人組の共通意見.そりゃないだろうとハルヒさんは呆れるけれど,3バカの発言を裏付けるのがハニー先輩二重人格説.だってハニー先輩はAB型.つまり「鏡夜と同じ血液型だ!」
…こちらとしてはいくらなんでも言い過ぎとツッコみたい訳ですが,なんとあのハルヒさんがショックを受け,しかもテロップで「ものすごい説得力!」と駄目押しするのはAB型に大変に失礼です.AB型が皆二重人格で鏡夜やハニー先輩みたいだったら,この世界は割とあっさり崩壊すると思います(苦笑)!
鏡夜と同じ血液型であることがダメ押しに恐ろしく,ハニー先輩が目覚める前になんとかせねばならないと右往左往する環.でも恐山でイタコにおばあちゃんの霊を降ろしてもらって同じものを作るという錯乱した発想は一体どこから来るのやら.お前一応帰国子女だろ.しかも土産の指定までつけているあたり,無駄に細かいA型らしい(笑).で,そんな殿にもっと建設的なことを言えと根本からツッコむ双子たちはB型.
要するにうさぎのぬいぐるみに紅茶をかけてしまっただけなんだから,すぐにクリーニングに出せばなんとかなるに違いない.そうなると問題はうさちゃん不在の間の代理のみとなりますが…「ハルヒ,この着ぐるみに入れ!」と叫ぶ殿の声からは,どうしても喜びを隠し切れていない(苦笑)! 殿のドレスコードではバニーガールは凄く見たくてもアウトであり,うさぎの全身着ぐるみはセーフの御様子.もはや先輩のことなどどうでもよく,ともかくハルヒに可愛い格好をさせたいという殿の執心は止まらない.まあ,確かに環に着せても…案外でかくて可愛い気もするんだが(笑).
「本物のウサギになってみせるがよい!」と環は錯乱して騒ぎ,その騒がしさについに眠れるハニー先輩が目覚めてしまう.ハルヒさんに着せるのが間に合わなかったために代用として送り込まれたのが環のくまちゃん.微妙な顔つきも愛らしい環愛用のぬいぐるみなんですが…問答無用で掴んで床に叩きつけるハニー先輩がおっかない(笑).
プリティがプリティを床に投げつけるという,前評判どおりの寝起きの悪さを見せたハニー先輩が目にしたうさちゃん大惨事.「僕のうさちゃん,誰が汚したの…」と呟く顔は3バカを本気で怖がらせるほど恐ろしいものであったと言います(笑).よくビビる環だけでなく,どんなことにもふざけていられるはずの双子まで怯えているのが新鮮.てなわけで!「助けて! モリせんぱーい!」
可愛い後輩たちを救うため,「…うさちゃんが,どうしてもお茶を飲みたいって」とぼそっとフォローするモリ先輩.こんなんで納得しちゃうハニー先輩もハニー先輩ですが,これで怒りが静まると理解しているモリ先輩もモリ先輩.並のツーカーぶりではない3年生コンビの大変珍しい衝突こそが,ここから始まる本編となります.
ホスト部ではロリショタ担当として最上級生,つまり17歳とは思えないロリっぷりを発揮しまくるハニー先輩.大好きなのはケーキにチョコにうさぎさん.寝起き以外はいつでも御機嫌な癒し系.…実際はさらに武道の達人という異様に濃い設定までついてるんですが,これでもれんげさんからするとキャラとしては安易で物足りないらしい.素人目では既に十分濃すぎる気がするんですが….
ともかく甘いもの大好きなハニー先輩は日々ホスト部でスイーツを食べまくり.ゆえに虫歯になっても知らないよという,軽口交じりのハルヒの忠告が真実となるのも必然でありました.ちゃんと歯磨きしていたはずが,歯に染みて頬が腫れて明らかに異常.…その気配を敏感に察知したモリ先輩がハニー先輩を急襲し!長椅子の上に主君を華麗に押し倒す! ええっと,こういうのって下克上(笑)? この状況はホスト部のお客さん方の大好物.中でも「足りないのはこの萌えー!」と絶叫するあなたは特に野獣ですな,れんげさん(笑).
モリ先輩が覗いた口の中には…やっぱし虫歯.全然大丈夫なんかじゃなかったためにホスト部には緊急シフトが敷かれます.ハニー先輩は虫歯が治るまで甘いもの禁止.ホスト部でも全面的におやつ禁止!という甘いもの命のハニー先輩にとっては地獄の宣告.環と違ってうりゅっとされてもうりゅっとはこない冷静なモリ先輩がケーキを持ち去り,いくらロリショタがうりゅうりゅ涙を浮かべてももはやケーキは戻ってこない….
翌日には頬がすっかり腫れてしまい,思った以上に重症だったハニー先輩の虫歯.頭の上で縛って三角巾で頬を覆う様はあたかもうさちゃんによく似たり(笑).いつも朗らかな彼が憂鬱な顔で可愛い格好をしているというミスマッチ感もきっと良いのでありましょう.このうさちゃんはお菓子が大好きでしっかりカバンの中に大量に貯めこんでるわけですが,彼の忠実な僕は厳しい持ち物検査の末に巻き上げてしまいます.…本来の甘味禁止令としてはこれで十分なはずですが,モリ先輩ときたら今回はさらに厳しい.見るだけならばこれで十分と菓子満載のちらしを渡すだなんて,何もくれないよりもなお惨い….
モリ先輩の要請で行われた菓子禁止令はストイックにとことん徹底.いくら姫の心遣いでも,ハニー先輩のために部の全員でスイーツを自粛.キングな環はそれをネタにして愛の前には解けて消えると一芝居演じ,姫の心をうっとりで満たすサービスを実施.現状でハニー先輩が頑張れるわけもないので,空いた穴を周囲でフォローし塞ぐのは大切なこと.…さて,この状況で異様に上機嫌なのが鏡夜.金のマークは周囲にちりばめられておりますね.
今回は虫歯のハニー先輩だけでなく,モリ先輩もいつもにはない行動をとっております.たまたまハルヒが目撃してしまった告白シーン.モリ先輩は麗しいお嬢さんから告白を受け,しかしその搾り出すような必死の告白の間も,一切ひたすらに無言のままに受け流してしまう.その無言を自分の拒否と受け取った彼女は,別に大切な人がいるのだと泣いてしまいます.…特にそれをフォローすることもなく無言のままのモリ先輩.その内心は,ハルヒにも視聴者にも伺い知ることができません.

後半! ともかく甘いものが食べたいハニー先輩は,早速おねだり作戦に打って出ます.その1は割とそのまんまな「かわいくアピール」.ただし可愛さだけでモリ先輩のガードを突破できるわけもないんだ.口に放り込まれたアイスキャンディの冷たさが虫歯の穴に突き刺さり,完治はまだまだ程遠い.…痛いよなぁ,あれは(苦笑).
その2は「遠まわし作戦」と名前がついているものの,実際はその1とあまり変わらない(笑).紅茶とサンドイッチを戴くお客さんたちに近寄って,本人的にはできるだけ遠まわしに甘ーいお菓子を要求するわけですが…あまりにも露骨な要求ぶりにお嬢さんたちは涙を飲んで逃走.楽しみに来ているはずのお客さんが,可愛いくてわくわくなハニー先輩を「あなたのためなのよー!」とちゃんと置き去りにしているところが素晴らしい.1話では上客を叩き出しただけのことはあり,客教育もきちんとできてるってことですね.
そしてラストはその3「泣き落とし」.ターゲットをハルヒさんに定めていかにも哀れに甘いものをねだるわけですが,2年も上の先輩と思うとなんだかなぁ(苦笑).ロリショタパワー全開のその様にハルヒはあっさり陥落し,内緒でおやつを差し出すわけですが…よりによって都こんぶ(笑).色しか似てないし甘くもないし,普段からラブリーよりはむしろ渋いハルヒさんに期待した時点で大いなる間違いです.
かくして甘いもの禁止は継続し3日目に突入.恐らくは自宅でも同様のシフトが組まれているはずなので,甘味に飢えたハニー先輩は苛ついた小熊のようにうろうろしております(笑).もちろんホスト部の脱甘味シフトは完璧であり,菓子の棚も全て空っぽ.なぜか菓子のかわりにくまちゃんが入っていて…これを床に叩きつけるハニー先輩(笑).きっと環が先輩の苛立つ心を慰めるために置いてみたんだけどむしろ逆効果だなぁこれ.一応目覚めてはいるはずなんですが,精神状態は寝起きと既にあんまり変わらないことを如実に示すシーンです.
菓子抜きの禁断症状の果てについに力尽きて倒れ伏すハニー先輩.しかも心配して近寄った環の腕にがっぷり噛みつく錯乱ぶり.そんな最上級生を止めてくれるのはもちろんモリ先輩,「人やモノに当たるな」と諌める言葉はいつも以上に厳しくて…ついにモリ先輩にぶち切れて本性爆発.あの大きな体を掴んで綺麗に投げました!
どうやらハニー先輩のラブリィな芸風は甘い物に負うところが大きかったようで,それを断たれると相当不安定になるご様子.ちょっとくらいいいじゃないかと駄々をこね,「だいっきらい!」と捨て台詞残して部屋から飛び出していく….そして残されたモリ先輩は大変に痛い.投げられたことなど些細なことで,いつも一緒で血の呼ぶ主君に嫌われたことがもう耐え難い….
モリ先輩の厳しさの意図に気づいたのは他人の内側に鋭いハルヒ.これまでの行動はわざと嫌われるためのものではないかと指摘したなら大当たり! 確かにチラシやアイスキャンディーや「見苦しいぞ」なんて発言は,モリ先輩のキャラからすると明らかにやりすぎ.しかも嫌われるのは大好きな者を苦しませてしまった自分への罰だってんだから…過保護にも程がありますよ.
珍しくも訥々と語るモリ先輩曰く,ハニー先輩が虫歯になったのは歯磨きをさせるのを2度忘れた自分の不注意が原因.…この部には過保護な父親が既に1名おりますが,モリ先輩の保護者っぷり過保護っぷりも相当ひどい.絶対そりゃ責任なんか感じなくたって良さそうなのに,「光邦が総入れ歯になったりしたら…俺は…俺は…」と本気で苦悩するってどうなんだ.それでハニー先輩を余分に苦しめて自分を罰してもらおうとするのは,真面目とか不器用よりはむしろ破滅指向のマゾに近いぞ(苦笑).
下級生たちからすると相当斜め上を爆走していたモリ先輩の苦悩.しかもそんな苦悩がハニー先輩のハートにクリーンヒット(笑).幼いころからいつも一緒で,常に献身してくれていたことを知っているハニー先輩だからこその感動? 泣いてモリ先輩に謝罪して,「もう,歯磨き忘れない!」と誓う最上級生の姿を感動的だと思うような奴は,相当の変わり者だと思います.

数日後.無事に治療を完了したハニー先輩は甘味戦線に復帰した上大進撃.その様に地味に落ち込んでいるのが鏡夜.どうやら甘味戦線の維持には相当のコストが必要らしく,きっと禁止の反動も手伝って凄いことになってるに違いない.まあ,奴らは凄い金持ちだから根本的には金の問題なんかないに等しいわけだし,今後は歯磨きを怠ることもないだろうけど…気になるのはハニー先輩の体重とかそういうの.格闘技できっちり消費しないと大変なことになるぞ絶対(笑).
残る課題はホスト部のお客様方の満足度向上.ハニー先輩が不調の間に無理をさせたお客様方,そしてモリ先輩のささやかな自爆に巻き込まれてふられたお嬢様に,迷惑をかけた分以上の満足をお届けせねばなりませんが…登場したふられたお嬢様は,悟りを開いておりました(笑).モリ先輩の大切な人はハニー先輩.もちろん本人たち的には行き過ぎた主従関係なんですが,腐った目で見ればそれは何も実りもしない徒花で,「そんなの…そんなの…なんだか…すごく…イイっ!」うわ本当に腐ってる(苦笑)!
好きなキャラが女性キャラとくっつくのは不快だけれど,自分自身を重ね合わせることのできる素敵で愛らしい男子といちゃいちゃしている分にはむしろ心置きなく萌えられるという,れんげさんの暮らす爛れた世界に目覚めた女子がまた一人.そんな女性たちにはハニー先輩とモリ先輩の普通…よりは若干過保護な日常も素敵なおかず.きっとどんぶり飯何杯でも行けるんでしょう(苦笑).てなわけで女の子たちが身もだえながら「萌えー」と叫びまくり,その様にヒロインがツッコミまくって終了するというのは,ものすごく斬新なオチではあると思います(笑).どんぶり飯何杯もいただくとやっぱり腐女子太りをするのかなぁとか思いつつ,次回に続きます!

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6月終了アニメ雑感・おまけつき

じめじめと暑さが体に来て大変出かけたくない季節,皆様いかがお過ごしですか? 自分はついに布団乾燥機って奴を買いましたよ! 思ったほど場所を取らないし,湿気を含んでへたれた布団や座布団を夜間にふかふかにできるためお気に入りです.DVD2枚分位の価格でそこそこいいのが買えるのでぜひどうぞ!

久しぶりに写真.全部揃った!


ユージンの原色日本立体地図(たぶん再販分).1カプセルに北海道とか関東とか地方ごとにランダムに入ってて,全部集めるとでかい立体日本地図になります.

 
本当に立体になってるところが凄いんだ.これ!
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さて,先月中に終了した作品についての感想を.タイトル前の数値はいつもの私見:一般:電波(各5点満点).今期は全般的に割と小粒の作品が多かったんですが,その中でも「ハルヒ」は別格かな.「お前らハルヒ見たことあるか,あの時は凄かったんだぞ!」と将来長く語り草になれるかどうかまでは保証できませんが(笑)少なくとも続編への期待は凄まじいことになりそうなので傑作評価です.個人的には「ハルヒ」とは逆向きに突っ走って面白かった「THE FROGMAN SHOW」をお勧め.DVD欲しいかも….

4:2:3 THE FROGMAN SHOW
極小人数で作られたからこその独特の味付けが愉快なギャグ! 確かに普通のアニメに比べれば圧倒的にいろいろ足りないわけですが,その分制作費も制作期間も段違いに安いし短いわけだし,何よりもギャグとしては十分な面白さがあったのでよし! あの作画品質はもちろんテレビよりもネットに向いてるけれど,それを十分理解しながらも1クールやり遂げた根性と胆力を誉めたい(笑).iPod画質でも十分鑑賞可能なので,いっそiTuneで各話売りしてもいいと思います.
作品的には通常のアニメよりもネタ勝負な「ギャグマンガ日和」や「オー!マイキー」に近しくて,しかし5分ではなく30分も粘ったことが偉業! 「鷹の爪」終盤のベタながらも熱い展開も,いかにも作り手がこういう作品を見たり作ったりすることにスレてない感じでなんか良かった(笑).客は激しく選びますが,選ばれた客にとってはいつまでも心に残りそうな素敵な作品です.たーかーのーつーめー.

3:3:3 プリンセス・プリンセス
男子校に潤いをもたらすために見目麗しい下級生に女装をさせて愛でる.舞台設定は真性の電波バカ話と言い切っていいんじゃないかと思うんですが(笑)描かれていたのは思っていたのよりずっとまともな青春模様.短期間でメインキャラを立てることに成功していたし,終盤に重い物語を盛り上げた上に,シリアス混じりに,しかしコメディとして決着をきっちりつけたところも良かった.特に後者は簡単に成功するものではないから,きちんとやってのけたのはまさに作り手の力量でしょう.福山氏の使い方は総じて適切でしたが,歌わせたことだけはどうかと思いました(笑).直前の番組(蛙男)とはあらゆる意味で違いすぎて,その落差を含めて面白かったです.

3:3:1 Fate/stay night
話題性は十分で品質もいい.2クールという昨今では余裕のある話数で普通ならきちんと描ききれたはずなのに…うーん.なんかいろんなものが物凄く勿体無いぞ.原作未プレイなんですが,話がふらふら&ややご都合主義に見えたのは,かなりのボリュームの原作を結局取り込みきれなかったってことなのかな? 周囲の女性陣は皆それなりに魅力的なんだけど,そんな連中が慕う主人公とかライバルとなる男連中が…(苦笑).女性たちとアーチャーに向けた愛情の半分でいいからアーチャー以外の男性陣にも向けて欲しかった.成長させる都合上仕方ない部分はあるけれど,自分の代理になるキャラクターがあまりにもダメって,見る側には結構辛いもんですよ.

3:2:3 女子高生 GIRL'S-HIGH
やってることはともかくバカでしかも下品.けれどその徹底振りがむしろ相当気持ちいい.この手の作品を作らせたら並ぶものなしの監督の個性が,最良の原作を得て奇跡の化学反応を起こしました! …いや,もちろん金も手間も圧倒的に上な作品と比べちゃダメな気がするけれど(苦笑)きっと似たような条件で作っている作品の中では相当良いパフォーマンスを見せていたはずです.序盤の頃に感じたとおり,中盤以降はエロ抜きでちょっといい話だけでも十分に戦えてました.他作のあのダンスさえなければ話題になったに違いない,エンディングのダンスも素敵だった!

3:3:2 錬金3級 まじかる?ぽか~ん
圧倒的な話題作の影に隠れて埋もれてしまったのが気の毒な良作.「女子高生」と同じく中盤以降はエロ抜きでもちゃんと戦えていましたよ.ただしこっちの作品は,最初は天然の新人アイドルを好き勝手にいじってエロいことばっかりさせていたのに,途中から完全に情が移ってしまってこんな可愛い子たちに恥ずかしいことはさせられん!ってな作り手のおっちゃんたちの心変わりを感じるんだけど気のせいでしょうか(苦笑).特にラスト2話は作り手に4人がとても愛されてましたね.作画も安定していてエロな時は本当にエロかった(笑).画面から奇妙に愛情が伝わってくる,掘り出し物の1作です.

3:2:1 獣王星
少年期のスタートダッシュは大変に良かった.青年期での圧倒的不安材料だった堂本氏も予想を超えた見事な演技を見せてくれた.作画も結構安定してた.けれど終盤がどうしようもなく勿体無い.原作のあのスペクタクルを語りきるにはあまりにも話数が足りない! 物語全体のバランスとしては終盤がかなり重要なんだけど.そこを処理しきるには3話くらい足りてない.恐らくは序盤の少年期を回想処理して短縮する必要があったんだろうな…原作の魅力を完全に引き出すためのアレンジが不十分だったことが,原作既読者としては惜しかったし悔しかった.

4:4:1 涼宮ハルヒの憂鬱
採算度外視気味の高品質によってアニメ好きの注目を集めまくった末,あんまりアニメに関係ない業界にまでその名を轟かせてしまった話題作.地方局アニメとしては一般社会に与えた影響が大きすぎたので一般に4をつけてます(笑).品質に定評のある製作会社が全力を注ぎ込んだだけのことはあり,映像がともかく美麗で動きも抜群.その品質に物語そのものの魅力が釣りあっていたかどうかは…個人の判断に任せますけど(苦笑)大変に観念的で難解で,間違いなくアニメ向きではない素材をここまで映像化した根性は素晴らしい.原作どおりだとすぐに訪れてしまうクライマックスの到来を引き伸ばすための話数の混乱も楽しかった.
原作やキャラの魅力,制作会社の力量,声優の熱演,謎めいた放映順(特に1話!),素晴らしいエンディングやこまめすぎる公式サイトなどの数々の間口によって多くの濃いファンを集め,その濃いファンたちに従う普通のファンたちやファンたちの行動を観察するアンチやウォッチャーを含む観察者たちまでも取り込んだ巨大な視聴者グループを作り出した意義は大きい.…これでキー局で最終回2話がぐだぐだになって視聴者全員が混乱の渦に叩き込まれると「エヴァ」の再来と呼ばれたかもしれないんだけど,特に後者はそうならなくてよかった(笑).周辺のいろいろ全部をひっくるめて,なかなか面白かったです.
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(おまけ)
.hack//G.U. Vol.1 再誕
前シリーズ途中までプレイ,関連作品視聴済み&視聴中&既読.現在快調に作品不適格者を置き去り中の「.hack//Roots」に続く物語っていうかたぶんこっちが本編.前作は途中まではプレイしてみたものの細かい操作性の悪さで投げ出してしまったわけですが,本作は圧倒的に使いやすく,遊びやすくなっていたのでちゃんとクリアできました! レベルもすぐに上がるので操作に自信がない人にも優しい.不可避で難易度そこそこのシューティングがあったりしますが,それすらも何度も失敗するとゲーム側が助けてくれるので必ずエンディングを見られるところもありがたかった(笑).やりこみ要素も揃っていて,3部作の第1作としてはなかなかの充実度です.
てなわけでゲームとしても結構楽しいんですが,この作品で最も大切なのはやはりストーリー面.現在アニメで遺憾なくヘタレっぷりを晒している新人のハセヲが,その数ヵ月後にどのように身を持ち崩しグレているのか(苦笑)がたっぷりと語られます.フルボイスのムービーで描かれる物語は躍動的.ひとりきりで全てを背負い復讐の鬼と化した少年が,とある事情により「世界」の中で周囲との関係性の再構築を余儀なくされ,その再構築分と以前構築した分がコンフリクト起こしてテンパっていく様が面白い.
現在のところアニメではぶっきらぼうにぽつぽつ喋るばかりのハセヲですが,ゲームではメールを読む内心まで喋り,ムービーでは痛いことを叫びまくってます.実際ハセヲに櫻井氏を当てた理由というのは「G.U.」でこそ明確.シリアスな物語に時々はさまるコミカルなシーンでは,彼の特質である巻き込まれツッコミの至芸が堪能できますよ! こういう役柄やらせたらこの人本当に上手いよなぁ….
ダークな世界観と暗く深いギミックを抱えた物語は大人の視聴に耐えると思いますんで,さすがにゲームをやるのは億劫な大人の皆様方にもぜひお試しいただきたい.上手い人なら20時間程度,余程下手でも40時間あればほとんどクリアできると思います.ついでに現状ではわけわからんアニメもさらにわからなくなったりしますんで(笑)シリーズファンならプレイ必須,そうでなくてもお勧めです!

LaLa全員サービス ホスト部アニメDVD
現在放映中の「ホスト部」の冒頭4話分くらいを再構成して30分のダイジェストに仕立てた映像が目玉の全員サービスDVD.これを購入するための辛苦(主に雑誌を購入する途方もない恥ずかしさ)には見合う程度の内容です(笑).放映中のアニメ視聴者からするとかなりダイナミックな筋書きの組み換えが行われていて,豪快なことをするなぁと笑ってしまった部分がちょっぴり.ちなみにクライマックスは身体検査の回の見得切りとなっております.
とまあ目玉についてはこの程度にして,それ以外についてきたコンテンツの破壊力について.1つはダイジェスト映像にあわせ…てない(苦笑)声優たちのオーディオコメンタリー.凄く楽しそうに無駄話しているのがポッドキャストの再来って感じ.そして本当に凄いことになっていたのが声優座談会.ホスト部一同を演じる声優さんたちを集めてトークしているわけですが,ご本人たちの姿がVTRでどーんと収録されておりますんで…えーっと,あー…凄いです(笑).常陸院の双子が凄いことやってるのはよくわかった!

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最終回感想はもうちょっとだけ追加するかも.

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デジモンセイバーズ#11

「欲は人が生むものの巻」

勝手に饅頭を食べた子分の責任を押しつけられたマサルは,友人の家で作っている日本一のしらとり饅頭を買いにいく.けれど借金で身代を潰しかけている友人の父には饅頭を作る余裕がなかった.ところが,金が欲しいと強く願う彼の心に応え「神様」が出現したときから,金の巡りが変わりはじめる.「神様」の見えない不正によって馬券は当たり放題.父はあっという間に大金に耽溺していく.

キッズ向けとしてはかなり濃厚な物語を楽しめる「セイバーズ」.基本的に1話完結のスタイルを取りながらもその背後で大きな物語を展開させているので,深いところを見ているとどうしても次回が気になるのがいい感じ.ただし次回からは大きな話が動くので,ラストでは連続モノとしての強いヒキが描かれているわけですが…変に笑えるんだよなぁそれが(苦笑).
今回自体はマサルが主役の回としてはかなり穏やかな話.たかが蔵とかが炎上崩壊する程度ですからね(笑).デジモンと欲の関係をマサルにすらわかるように易しく描き,同時に,喧嘩バカであること以外は驚くほど正常で健全なマサルの倫理観についても描かれます.彼が今こんな風に考えるのは,生来の才能なのか,父親不在の環境のためか,母の教育の賜物なのか.…うーん,あとはもうちょっと考える習慣さえあれば.

これまでの事件から気になる共通点を見つけ出したトーマは,検証するための時間が欲しいと隊長から許可を取り付けすぐさま渡米.実に豪快な行動力も,やはりあの財力あってのものだよな.てなわけで今回はトーマが欠勤となった期間に起きた事件を描きます.
DATS本部ではトーマの渡米の理由を知らない隊員たちが早速不平不満を全開.最初は無駄口などなさそうな職場に見えたんですが,今はもういないとなれば誰止めることもなく悪口全開なのか…(笑).マサルたちの活動を支えてくれるオペレータの黒崎さんと白川さん.脇役なんだけど回を重ねるごとにキャラが立ってきてますね.2人ともホーンチェスモン持ちだから,何かの時には現場に出たりもするのかな.
さて,妙齢のお嬢さん方は特にうまいものに関しては目がありません.折に触れてうまいものを平等に提供していると,大幅に女性からの好感度が上がるので職場でぜひお試しください(笑).逆にそんな連中が楽しみにしている食い物を勝手に喰うと本気で憎まれますが…アメリカすらわからないアグモンがそれをやっちゃった.楽しみにしていたレアな饅頭を勝手に食ったら,そりゃもう本気で憎まれますとも(苦笑).
生まれつき大変に卑しいアグモンの失敗はそのまま兄貴の責任へと転嫁.マサルからすれば大変ひどい話ですが,兄貴の責任ってものはどうやらそれほど重いらしい.てなわけで落し前をつけることになった兄貴は,なくなったレア饅頭の代わりにしらとり庵のしらとり饅頭を持ってくると約束.かくして饅頭獲得までの実に長い自主ミッションが開始されます.
日本一としてなかなかの知名度を誇るしらとり饅頭.実はその饅頭を作っている和菓子屋はマサルの友達の家.…あの喧嘩バカに普通の友達がいたことに新鮮な驚きを感じますが(笑)まさかそんなレアな相手の家で狙ったように事件が起きるとは….やっぱりマサル自身がデジモンをひきつけてる部分もあるのかな.
饅頭を手に入れるために和菓子屋に向かったマサルが目にしたのは,友人の父を脅す金貸し2人.強硬な取立てはもちろん許されるものではないけれど,普通借りなきゃ借金ってのはできないもの.いかにも悪人と思い込んで問答無用で襲いかかるマサルの喧嘩番長ぶりがもう…だからもうちょっと考えろよ(苦笑).饅頭を買いにきたただの客こと喧嘩バカはあっというまに大人2人をノックアウト.金を貸して殴られて,借金取りにはいい迷惑です.
マサルが暴れたあとで登場するのが,友人である耕一郎君.眼鏡で温和そうな彼がなんであのマサルなんかと友人なのかはよくわかりませんが,しらとり饅頭が相当美味いってことは…餌付けかな(笑).当初の目的の通りマサルは饅頭を求めるわけですが,現在しらとり庵は開店休業中.
マスコミが作ったブームは一過性のもの.あまりの忙しさに母が体を壊し,半月店を閉めたら客の入りもリセット.ここで元に戻っただけと気持ちを切り替えられればよかったんですが,それをきっかけに職人はやる気をなくして借金暮らしへと突入.絵に描いたような転落ぶりだけど,似たり寄ったりの実話って意外とあるもの.てなわけで饅頭は現状存在しないわけですが,その程度で漢が一度誓った言葉を撤回するわけがなく(笑)マサルは持久戦を開始します.
一刻も早く更正してほしい友人の父親の御様子ときたら,蔵に入って必死で金目のものを探しちゃうというダメっぷり.健康な体と良い腕があるのならそれを使い外から金を儲けることを考えるべきであり,手持ちの財産を食い潰そうとするのは腕と意欲を腐らせる最悪の選択.けれどこの場当たり的な金に対する欲求に古いラジオが反応し…開いてしまうゲート.出てきた禍々しい「福の神」は,赤い目で意識の底にもぐりこみます.
デジモンにとり憑かれた他の人たちと同様に,父は息子の反対を押し切って,欲望のままになけなしの金を握ってギャンブルに向かいます.その形相に嫌なものを感じたマサルは,様子を見にきたヨシノとともに友人の父の行方を追ってみることに.…あの派手な車に派手な格好の年上の女性と普通に話しているマサルの姿は,かなり不思議であるに違いない(笑).
出てきたピコデジモンたちを神と崇めるおじさんは,568と唱えて3連単を購入.その数字に合わせるようにピコデジモンたちが見えないようにこっそりとレースを操作して,見事に場内が揺れるような万馬券が的中! …ここでもララモンがデジモンの気配に気づいてもアグモンが気づいていない.デジモンによって感度の質にかなりの差があるのは間違いないみたいですね.
たぶんデジモンが関係していると判断したヨシノは一度本部に戻ることをマサルに提案.しかしアホの子は饅頭を作ってもらうまで本部には帰らない男に二言はねえ!と意地を張る.お前もDATSの一員ならば,デジモンと饅頭ならデジモンを優先してくれよ…(苦笑).ただししらとり庵にデジモンが関わっている可能性は高いはずなので,マサルが勝手にマークにつくのは願ったり叶ったりなのかもしれない.
デジモンに憑かれた人間は,その欲望がより増して暴走していくものらしい.倉庫の中に硬化したデジモンたちを「福の神」として奉ったおじさんは,更なる大当たりのために偽りの神へと祈ります.…その祈りはデジモンたちの不正によって叶い,少ない資金は転がるように大金に転じて,さらに欲望を爆走させることに.

「福の神」に祈れば常に大当たり.その魅力に溺れる情けない自分の父の姿を見て,息子は父のような職人になる夢をあきらめはじめます.その一方でマサルは相変わらずバカなために諦めることを知りません.なんせ彼のルールでは諦めたら負けで,マサルは負けるのが大嫌いなバカ.けれどこのバカっぷりは泡銭でスポーツカーを買って乗り回す愚かさに比べれば圧倒的にマシなのです.
夕暮れの土手で夢の話をする友人.鳥の型でかたどりをして焼き上げるしらとり饅頭は難しく,それを簡単に作ってしまう父の腕前はさすがで,働いてる姿はかっこよかった…そんな言葉が過去形になりつつあるのがやはり悲しい.金のことでこの家が崩壊さえしなければ,友人は未だに父の跡を継ぐ夢を見ていたに違いない.…父のことを語る友人の言葉に,らしくない複雑な表情を浮かべているマサル.胸のペンダントに触れているのは,やっぱり行方不明になった父の残したものなんだろうな.
さて,ここまでべったり白鳥家に張りついていれば,嫌でも蔵の中の「福の神」って奴が気になります.マサルは夜を狙って蔵の中へ不法侵入し福の神発見.結構でかくてどっかで見たような造形のそれを「汚いなぁ」とはじいてみたら…喋った! まるで無機物のように休眠していたデジモンたちですが,はじかれた感触はしっかり認識しているようです.
大切な「福の神」にマサルがちょっかいをかけているのを知った父は守るのに必死.その必死ぶりはあまりにも常軌を逸していて,デジモンが人間に与える影響の強さを感じさせます.もはや彼の頭からは菓子づくりのことはすっかり消えてただひたすらに金ばかり…そんな大人に,マサルが叫びます.
「金じゃ手に入らないものがあるだろうが! 希望は金じゃ買えない!」…マサルが叫ぶのは,彼らしい火傷しそうな正論.子どもは親の背中を見て育つから,親が子どもの夢を潰すことがあってはならない.親は子どもの夢に背を向けちゃいけない…現在父を失って,自分が父親代わりでもあるマサルが言うからこそ価値のあることば.さすがは主人公,喧嘩以外は完璧な倫理観です.
けれどダメ父の暴走はもはや止まらず,今度は夢を壊したいという欲望を抱いて,その欲望に「福の神」ことデジモンたちが忠実に応える.蔵を壊して炎上させて…ついでに金まで燃やしてしまう徹底ぶりを見せる,福の神というよりは邪神に近い,さっきまで休眠していたイビルモンとピコデジモンたち!
デジモンがその正体を明らかにすれば後はDATSの領分で,マサルは早速アグモンをリアライズ! どうも父の破壊衝動を継承したらしくどんどん壊していく敵デジモンたちの言葉が意味深.彼らからすれば人間はわがまま.今全てを壊したいのは父,金を欲しがっているのも父.彼らはその欲望に忠実に応えようとしているだけ.…ところで,人間の欲に従って,デジモンには一体どんな得があるんだろう?
放っておけば友人宅が朝までに崩壊しますんで,なんとかこの4体を止めねばなりません.ヨシノとララモンも合流し,民家の庭で4対4の戦いを演じるマサルたち.一度は掴まれたもののララモンのおかげで解放されたマサルは怒りに任せてぶん殴ってアグモンにチャージ! イビルモンの悪夢攻撃もあっさりと打ち破り,メガバーストで卵に戻します.もちろん残る3匹もきっちり卵に,あっさりデジモン回収完了です.
「福の神」をマサルたちに倒され,最後の破壊衝動によって蔵ごと金まで燃やしてしまった父に向かって,金はいいから饅頭をつくろうともう一度説得する耕一郎.簡単には焼け落ちなかった子どもの夢や希望に救われて,父はようやく再びしらとり饅頭をつくる方向に心を向けてくれました.きっとこの後ピカっとやられるはずですが,今の決意は記憶を失った後も継続するはず. …ようやく正気となり戻ってきた父に喜ぶ息子の姿を見ているマサル.その表情はらしくない感じに穏やかで,同時に少し寂しげです.

長期間の粘りの末についにしらとり饅頭を手に入れてDATSに戻ってきたマサル.不機嫌だったオペレータの2人もマサルを許したのでアグモンの尻拭い完了.デジモンが休眠状態に入るとセンサーが反応しなくなることもわかり,データ収集の面でもなかなかいい仕事をしたマサル.けれどこいつはやっぱしバカ.デジモンが欲望に反応していることなんて,今更言われてももう遅いよ(苦笑).
「…それだけじゃない!」とかっこ良く,マサルの見せ場を台無しにするのが戻ってきたトーマ! アメリカの大学にスチブソン教授を尋ね,マサルが饅頭のために頑張っている間にデジモン研究を進めてきたトーマが発見した人間の欲とデジモンの関係とは! その胡散臭そうな研究風景と「DATS全支部に非常通達を!」ってな言いっぷりがなんだかキバヤシなんですが(笑)果たして「なんだってー!」と視聴者を驚かせる新情報は出てくるのか.1クール目のクライマックスがはじまる,次回に続きます.

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機動警察パトレイバー#11

「これは自分で選んだ道の巻」

世紀末のクリスマスイブ.テレポートシティへと続くあらゆる経路が何者かの手によって切断された.警視庁が現有する最大戦力である特車二課が事件解決のために投入されるが,軍用機4機及び謎の実験機を操る敵の手腕によって,ついに2号機が行動不能に陥る.太田を敵の手に奪われて,一旦退却する野明の1号機と遊馬,香貫花の乗る2号機指揮車.彼らは後藤の元で態勢を立て直し,悲壮な1日に決着をつけるため,再び戦いを挑む.

幅広い芸風を併せ持ちながらも,近未来SFロボットアクションとしての本領を見事に発揮する「パトレイバー」.各種メディアで展開された本作には映画版の1と2,初期OAVの5&6話,コミック版でのシャフトとの長い戦いなど後々語り草となった素晴らしいバトルがいくつも存在するわけですが,今回はそんな名バトルを彷彿とさせる素晴らしい戦いっぷりが素晴らしい.
青いワゴンの陰謀に翻弄される特車二課から力を奪い,同時に力を与えるのが彼らの抱える感情的な問題.動揺し,叫び,涙をこぼし,すれ違い,それでも再び向かって行く彼らの理由が,緩やかに終盤の展開へと繋がっていきます.脚本はもちろん伊藤和典.絵コンテに吉永尚之.作画監督に高見明男という凄い陣営が描いた世紀末のクリスマスは,今見直してもやっぱりかっこいい.…あ,演出が元永慶太郎氏だ(笑),

前半.香貫花の祖母の失踪とテレポートシティの不法占拠及び経路の閉鎖という大問題2つに襲われている特車二課.特に祖母の失踪は香貫花の絶不調を招いていました.敵はタフな軍用機どもに加えて,ECMとかレーザーとかフィクションみたいな機能を積んだ実験機まで投入されてるもんだから洒落にならない.万全の態勢でも勝てるかどうか微妙な程の戦力差があるわけで,この状況では一方的にやられてしまうのも当然でしょう.
1号機が2号機を救うために戻ってきてはくれたものの,既に右腕と銃を奪われた太田にはなす術がない.ついでに1号機も馬鹿力のブロッケンに組みつかれて身動きが取れない.数の差がある状況で足を止めるのはわざわざタコ殴りを待つような自殺行為なので,腕1本を犠牲にしてでも離れろ指示する遊馬.しかしレイバーを本気で愛する野明にはそれは無理なので,「アルフォンスをなめんなよ!」と綺麗にブロッケンを一本背負い! 倒したところに電磁警棒でとどめを刺します.
イングラムが人間並みの動きが可能な高機能機種であることに加え,日々の訓練によって野明が学習させた成果が出た形でまず1機が沈黙.続いてもう1機のブロッケンも電磁警棒で顔のカバーを吹っ飛ばすという野明の手際の良さを少ししか誉めない遊馬はケチだ(笑).けれど今はまだ2人でじゃれている余裕はありません.2号機はほとんど潰れて孤立無援.一刻も早く撤退し態勢を立て直さねばならないのです.
例の青いワゴンからはファントムへと指示が飛び,ターゲットは2号機から1号機へと変更.怪我をしながらふらふらと「あたしの責任よ」と倒れた2号機へと近寄っていく香貫花は,明らかにいつもの冷静さを失っています.あの遊馬に落ち着けと言われるだなんて,とても普通の精神状態とは思えない.
実際,どんな状況でも戦意を失わない太田より,いつもに比べると別人みたいにヘコんでる香貫花の方が危なっかしくて仕方がない.2号機が倒れてくるのに巻き込まれて1号機指揮車は大破.遊馬が庇ったおかげで香貫花は何とか無事.…ただし彼女はもうこれ以上戦えるような精神状態ではなく,太田の暴走ももう止められない.
ワゴンの指示に従い立ち去ろうとするファントム.しかし右腕を失っても頭を吹っ飛ばされていてもパイロットの太田の闘志は未だ燃え盛る.どんな状況でも諦めないのはいつも大変に迷惑なんですが,今回はどうやら割といい方向に転がっていきます.もちろんやられるのは当然の話として(苦笑)太田の暴走のおかげでファントムの未知の機能が1つ,明らかになります.
諦めない太田機を機能停止に追い込んだのは,ファントムの胸部に搭載されていた電磁兵器.胸のライトの明滅をきっかけに開いて…発光! 精密機械の塊であるレイバーにとっては強力な電磁波は最悪の毒.至近距離で浴びせればシステムエラーを吐いて停止…するようなものをよくレイバーに内蔵したなぁ(苦笑).自身が発する電磁波で行動不能に陥らないあたり,余程強固な防磁機構を搭載しているのか.麻痺した2号機は無残に吹っ飛ばされて終了.レイバーに自爆装置なんかつける奴は悪人だけなので,太田はそんなものを期待するな(苦笑).
特車二課でまともに動くのはもはや1号機のみ.この惨状を一刻も早く伝えに行けと遊馬は野明に指示.唯一残ったイングラムを潰されたら特車二課は無力化するので,希望を先に繋ぐためにもこれは必要な判断です.…ただし走らねばならない野明は気が重い.何の装甲にも守られていない2人を置いていくのは心が痛くて.ついでに香貫花の心配ばかりしている遊馬にもなんだか腹が立ち「遊馬ー! ……無理しないでね」
深く案じる心に理由のない嫉妬をトッピングした野明の複雑な心境など,鈍い上にそれどころではない遊馬にはわかるはずもない.遊馬と香貫花が一緒にいるのを置いていく野明はその苛立ちを「馬鹿ー!」とブロッケンに向けます.これが奇麗に入っちゃって軍用レイバー1機を行きがけに地に沈めてるのが凄いよなぁ(笑).
1号機は先に撤退.遊馬と香貫花は事故ったけどちゃんと動いた2号機指揮車で追いかけるように後退.唯一太田だけは敵の虜となるわけですが,これまでの蓄積が記録されている起動用ディスクだけは直前に香貫花に投げ渡したのもいい判断.…ここでデータとそのパスワードを知る者が同時に敵の手に落ちなくて本当に良かった.もしそんなことになってしまったら,たぶん人質は全員無事に解放されはしなかったでしょう.もちろん太田をいくらいたぶったって喋るわけはないだろうけど,南雲隊長とかも人質に取られているからなぁ….
後続を気遣いながらも先を走る1号機.無人のはずの区域を走る彼女が出会ってしまったのは,前回さらっと顔見せした陸上自衛隊の空挺レイバー,ヘルダイバー! 同じ篠原製レイバーでもイングラムとは大きく異なります.示意・警告を重視するイングラムに比べると,敵から発見されないことも重要であるヘルダイバーは闇に隠れて質実剛健.
「ここは任せてもらおう」と凛々しく登場した不破隊長.こっそりとはいえ自衛隊がこんなところに誰にも知られず出張ってきちゃうだなんてさすがは幻想の世紀末だ(笑).不破は野明に口止めを依頼.ほぼ壊滅状態という二課の現状からすればこの提案は受け入れるべきものだったので,野明は了承ついでに敵のスペックについて率直に情報を流します.もちろん警察と自衛隊は犬猿の仲.けれど現場には好き嫌いを言っていられる余裕も理由もないのです.
こっそりと自衛隊にバトンタッチしてスタート地点に戻ってきた野明.ほどなく遊馬たちの乗る指揮車も追っかけで到着.もちろん問題は未だにちっとも解決していないし,目の前にはやるべきことが山程積まれたままだから一瞬たりとも気が抜けなくて…けれど遊馬と合流できた野明は理由もなく涙をこぼします.命がけで戦って心配して悲しくなって,けれど無事なのを見て一瞬ほっとして…なんてひどいクリスマスイブ.
さて,太田ごと2号機を失った第2小隊は,くじけているわけにいきません.…まあ,敵の意図が見えてきた後藤は既にちょっぴり敗北気分なんだけど(苦笑).立て直す特車二課,未だ健在の青いワゴン,そして秘密裏にこの戦場に乱入する自衛隊.凍えていく冬空の下で3つの組織の意図が熱く錯綜し,イブの夜は更けていきます.

後半.自衛隊のヘルダイバー対西ドイツの軍用レイバー&謎の実験レイバーのガチンコバトル.湾岸の片隅でありえないバトルがはじまったのは深夜に差しかかる頃.自衛隊は証拠を残したくないので飛び道具なし,ナイフのみで戦わねばならないわけですが,敵にはビームがあってリーチが違いすぎる.機動性に著しく劣るものの遠隔攻撃が得意なファントムと,機動性はそれなりでパワーに優れたブロッケンのコンビというのも攻め難い.
そして湾岸で番外バトルが始まっていた頃,香貫花の祖母を探す進士と松井はついに彼女を公園で確保.彼女はクリスマスイブの夜をたった一人で,立川の公園で過ごしていたご様子.心身ともに冷えきっていても生命には別状なし.前回からひどい目に遭い続けた第2小隊には久々の吉報ですが,それを受けたのはレイバーキャリアで待っていたシゲ.もちろん通信断絶している彼には伝達手段がなく….
2話連続のシリアスバトルもこのあたりからそろそろ終盤です.指揮車に先行した1号機が見たのは,すっかり追い込まれたヘルダイバーの姿.もちろん戦闘のプロなので行動不能に陥るようなことはありませんが,発砲もできず報道のヘリも近づいているとなればそろそろ撤退もやむなし.野明は彼らの存在を隠蔽するために今度は自分が時間を稼ぐと提案し,不破隊長たちはこれを飲みます.
ただしファントム含めて敵は全機が健在では,本当にただの時間稼ぎになっちまう(苦笑).そりゃいくらなんでも自衛隊の名折れってことで,行き掛けの駄賃として面倒なブロッケンをナイフで潰してくれたのはかなりありがたい.亡霊退治だけを警視庁に任せて「いずれまたどこかで」とかっこよく去っていくヘルダイバーたち.…後で現場検証すれば自衛隊機の足跡もナイフの跡も嫌ってほど見つかりまくるはずですが,そこは平和のため,内部でなんとかもみ消すんだろうなぁたぶん(笑).
レイバー戦がクライマックスに突入しはじめたその頃,影ではレイバーキャリアで現場近辺を洗っていた後藤たちがついに例の青いワゴンを発見していました.もちろんワゴン側も発見に気づいて逃走を開始.現場に唯一残るファントムには時間稼ぎの役目が与えられます.
イングラムの前で動き出す亡霊,ファントム.遠距離でもビルすら溶かすビームを撒き散らし,やたら装甲も丈夫なようでリボルバーカノンも効かない.弱点は動きが鈍い上に攻撃前のタメが大きいところでしょうが,近接すると今度は太田がやられた電磁波でスタンさせられてしまう.つまり相手に大技を出させないうちに一気に倒すしかないわけですが…装甲が厚すぎ「一気に倒せない!
電磁波発生装置の起動も恐れずに懐に飛び込む1号機.至近距離でリボルバーカノンを装置に撃ち込もうとするも腕の装甲で防がれてしまい絶体絶命! あわやレイバー全滅の危機を救ったのは遊馬…ではなくてシゲのキャリア.居残りだったはずなのに,待機指示無視でこんなところにまで香貫花のおばあちゃんが見つかったと情報を伝えに来てくれて,本当にどうもありがとう(笑)! いきなりの闖入者に動きを止めるファントム.その隙を見逃さず野明はリボルバーカノンを撃つ!
ついにはじまった特車二課の反撃.その中心には野明ともう一人.電磁波によって麻痺した2号機を再起動させる香貫花がいます.どんな力でも必要だからこそ遊馬も力を貸すわけですが,こんな状況でなければきっと反対したんだろうなぁ….「無理するな」という遊馬の言葉を「でも私より,彼女の方を」とさらっとかわす香貫花.ここまで不調の香貫花ばかりを心配していた遊馬ですが,彼が本来指揮するべき,気にかけるべきなのは野明なのです.
さてその頃の幽閉組.彼らはあるビルの1フロアに完全武装した連中の手によって幽閉されていたわけですが,電波障害によって通信手段が確保できずに当惑中.自分たちから連絡を取るだけでなく,外でどんな報道がされているかもわからないという隔絶状態が変化したそのとき…野明がファントムの目を潰していました.強靭な腕を脇に挟み,発光するファントムの目を壊す1号機! その瞬間,電磁障害が解消し…囚われ人が耳を澄ますラジオからは,陰鬱で荘厳で美しい音色が流れ出し,未だ暗いクリスマスの夜を貫いていきます.
ECMは壊れたけれどファントムは未だ健在.響く祈りの音楽の中,近づき過ぎたイングラムを抱いてそのまま鯖折りを仕掛ける亡霊.ここまで出来る限りのことは全てやった.不調の仲間のためにも指揮なしで必死に頑張った.けれど野明は一人ではもう何もできない.動けない.直前の発光によって目をやられた野明がアルフォンスの中で叫ぶのは…「見えないよぉ…遊馬ぁ!」ここまでの流れは音楽を含め,本当に素晴らしい!

音楽に合わせるようにして,ここまで穏やかに流れていたもう1つのエピソードも重なって響きます.香貫花の祖母が探していた50年のクリスマス.それはベトナム戦争泥沼期の思い出.彼女の愛する人はパーティの夜に飛び立って,二度と戻ってこなかった.…あまりにもあの夜が映画のように美しすぎて,偽物のようにすら思えたから,彼女は彼の死を信じることができなかったのだろうか.そして,いくら待っても誰も戻ってこないという事実を認めるまでの40年,彼女はずっと痛む心を抱えてきたのです.
国のため,社会のため,正義のため,そのために彼女の大切な人は戦って帰ってこなかった.…喪失の苦しみをぶつける相手として香貫花の祖母が選択したのは,愛する者が戦地へ向かった理由そのもの.曖昧な大義名分のために家族を失うのはまっぴらという,彼女の色濃いメッセージ.
例えば今日生まれた誰かのように,大いなる目的のためにその身を投げ出す行為は尊いのかもしれないけれど,彼女にはそれが許せない.わざわざ辛い思い出の残る日本に来たのだって,曖昧な大義のために危険な場所にその身を置く,大切な孫娘を連れて帰るため.…けれど,あまりにも重い彼女の思い出と意図に対して,進士はこんな風に答えます.「少なくとも僕は自分のために今の仕事につきました」と.
太田の大暴れに巻き込まれたり謎のレイバーに翻弄されたりする現状が危険でないと言ったら嘘になるけれど,この道はあえて自分が選んだものだし,一番大切なのは大義名分ではない.最優先は自分自身.これまで出てきた警察官たちも自衛官たちも兵士たちも,きっと一番大切なのは自分自身であったはず.「僕はまず,僕自身のために戦います」…わざわざ脱サラしてこんな危険な職についた進士にだって,それなりの矜持ってものがあるのです.

ついに降りだした雪の中を疾走する香貫花の駆る2号機と,その足元を併走する遊馬の指揮車は野明の大ピンチ中に到着! 相変わらす野明の機体に対する愛情を理解していない遊馬は「捨てて逃げろ」とか言い出すわけですが(苦笑)後には退けない以前にそもそも目がくらんでそれどころではない.ファントムはビーム放出の準備動作に入るけれど,…今はもう一人ではない.香貫花の乗る2号機がファントムの背中の羽根をへし折った!
背面の装置の破損によってファントムのビーム機能がようやく停止.ついでに香貫花には野明から祖母が見つかったことが伝えられ,俄然2号機の動きが良くなるあたりが現金…余程心配してたんだなぁ.1号機の電磁警棒を使って亡霊を仕留めようとする2号機だけど吹っ飛ばされて,しかしその隙を突いて1号機がファントムに体当たり.機体ごと海の上へとファントムを投げ出して…2号機の残った片腕が1号機を引き止める.亡霊は海中へと落下して,水煙立てて大爆発!

かくして物語は終幕を迎えます.クリスマスの朝,特車二課が手に入れたのは機能停止したブロッケンたちと海の藻屑.結構真面目に頑張って,イングラムも相当壊した代償がこれっていうのは…やっぱり普段の行いが相当悪いってことだよな.表面的には今回は1号機が大活躍したわけですが,実際はヘルダイバーが殺った分も混ざっているのは自衛隊と警視庁のためにも絶対に秘密だ(笑).
しかも後藤の見立てではこの戦いは特車二課の敗北.なんせ連中の目的はイングラムと戦うことそのものであった上に,結局生きた敵を一人も確保することができなかったわけで.警察の目前で青いワゴンを爆発させるような大変に面白い犯罪者相手では,ファントムの爆発だって当然のように信じられない.悪の組織のロボットならば,自爆装置くらいは当然装備しているはずだし!
そして後日譚.トラブルの中心にいた香貫花は,大好きな祖母の旅立ちなのに見送りにも行かない.きっと率直な彼女らしく祖母に事情を全て聞き,その上で…意見が合わずにこんな態度になってしまっているのかな.可愛い孫娘が彼女自身のためにここで働くことの選択したことを見届けて,ひとり帰国することになった祖母が機上から見たのは…埋立地に咲く小さな赤い傘.意志によって旅立ち,意志によってここに残る.それがたとえ彼岸と此岸を隔てる淵となろうとも,それでも人は自らの意志で選んで歩んでいくのです.…次回に続きます.

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