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機動警察パトレイバー#13

「高貴なりの自由と義務の巻」

オアシスの国から来日した若き皇太子殿下.国賓として遇されるはずの彼だが,実はただのレイバーマニアで,来日の理由も警視庁にしかないイングラムを見に来ただけなのだ.影武者を立てて自分は特車二課に泊まり込む殿下.野明にとっては仲間が増えたわけでうれしい限りなのだが,遊馬はそんなマニアの通じ合いぶりが面白くない.ただしマニアでもやんごとなきお方である殿下は,その命を狙われていた.先日の事件で捕獲された二体のブロッケンが行方不明に.敵はすぐにも殿下を狙ってくるに違いない.

警察の仕事の範疇にかろうじてひっかかっていればなんでもできる「パトレイバー」.主に太田の活躍によってはみ出し者としての定評が定着している,という設定があるので,どんな不思議な仕事が舞い込んでもそんなに不思議ではないという位地取りが絶妙なのです.今回の任務は要人警護.突如やってきた国賓クラスを埋立地でかくまうというお話.前半のレイバーマニア同士の触れ合いはいい感じなんだけど,後半のバトルシーンはやや登場人物の行動が強引かな.まあ,他作からすると金持ちってのは訳のわからないものらしいので,意外とリアルなのかもしれませんが(笑).

前半.特車二課一同が礼服でお出迎えせねばならない国賓が,飛行機で日本をご訪問.しかし当然第2小隊は直前にトイレに行く程度に気が抜けまくっており,こいつらが警備部とは思えない(笑).滑走路に鼓笛隊やイングラムとともにお出迎えしたのは,褐色の肌に青い目のオアシスの国の王子様.まだ幼いものの,オイルダラーで豊かな国の金と権力をがっつり握った国際的な重要人物です.
極秘の割には派手なセレモニーを終え,滑走路のアルフォンスを見ている野明に近づいていく少年とその執事.「ようやく逢えたな! 98式AVイングラム!」とイングラムに呼びかけるこの少年は…マニアさん(笑)? 警察の特殊装備にうかつに近づく民間人を止めようとする野明だけれど,逆に2号機の頭について細かい質問をされてしまって「…あなた,どなた?」
実はこの変な格好の2人こそが今回のゲスト.事情を知っていた後藤隊長が真面目に敬礼しレイバー隊を代表して大歓迎しちゃってるってことは,今回の極秘行動は後藤がコーディネートしている部分も多々あったりするのかな.ちなみに冒頭の王子はただの影武者.そして少年の変な服はあくまでお忍びのための普段着だそうで….てなわけで,なんと王族があの埋立地で合宿生活するという,まるでフィクションのような出来事がはじまるのでありました.
恐らくは金に任せて特車二課に居ついてしまった殿下.早速イングラムの傍に張り付いてるんだけど…頭の色を塗り間違えて野明が2人になっている(笑).皇太子殿下は面倒な外交を影武者のイトコに任せ,特車隊の視察という名目で入り浸るつもり.髪の色を塗り間違えなくてもやっぱり誰かさんみたいだ…(苦笑).シゲも香貫花も遊馬の意見に同意して,当の野明だけは不本意.でもここにはレイバーに喜んで頬擦りするようなマニアは他に1人しかいないもんなぁ.
皇太子殿下は超重要.特車二課の全てに優先します.宿泊場所は会議室に設営.ベッドどころかインテリアまで運び込んで見事にしつらえやりたい放題.普段やりたい放題を担当している太田には,ベッドが変わると眠れないからとわがままを通した殿下は腹立たしく….けれど殿下はお金持ち.わがままは確かに不快だけれど,その不快さに見合うものがついてくれば話はまた別なのです(苦笑).
殿下が招いてくれた素敵な夕食は,普段の海産物中心のしょぼい食事に比べるのも失礼なくらいに天国.進士に至ってはあまりの美味さを多美子さんに電話で話してしまい,深刻な夫婦の不和を招くほど.成り行きを知らない後藤が「うまかったろ!」とか声をかけても同意できなくなっちゃっていて(苦笑),周囲の皆は殿下を探すという名目で2人を置き去りに.…取り残された後藤がともかく気の毒.進士がキレたら洒落にならないもんなぁ.
ちなみに殿下はハンガーで,野明と一緒にアルフォンスの肩で楽しそうに語っております.彼の国にはレイバー自体ないけれど,「欲しい」という理由でイングラムの導入を決めているあたりが滅茶苦茶だ.…この世界でレイバーは車みたいなもんだけど,気に入ったからって日本のパトカーを持ち込むのはちょっと違うもんな.
イングラムには強さの中にも優しさがあると語る殿下.導入の是非についてはともかく,イングラムの良さに共感する野明はマニアなトークを真面目に聞いてくれて,それをしみじみと喜ぶ殿下.身近にレイバーがなければレイバーマニアなんてジャンルは成立しないし,ましてや皇太子という立場では,ロボット工学や防水技術のかわりに通信インフラに関しては特に遅れたこの世界でレイバーについて語りあえる者はまずいないはず.
レイバーをこよなく愛する者同士,完全に意気投合した2人.「だってあたしもレイバーが,アルフォンスが好きだもん!」とマニアはマニアに大サービスで,一緒にコックピットまで見学させちゃう.…アルフォンスのなかであははうふふとやっている2人の雰囲気は大変に近寄り難く,遊馬は国賓に対し「ただのメカマニアじゃないのか?」ともう今更なことを呟くのでありました.
同日夜.隊長2人に整備班長まで集めて開かれる特車二課トップ会議.本庁でしのぶが聞きつけたのは,この間のブロッケンが起動ディスクごと盗まれたという物騒この上ない話.軍用レイバーなんか国内に長期間隠しておけるわけもないので,現在来日中の殿下を狙ったテロで使用されるのではないか,というのが後藤の見立て.とはいえ専用のレイバーを抱えるここは警視庁でも屈指の戦力を抱えた部隊でもあるので,敵もおいそれとは仕掛けては来られないでしょう.

後半.昨日の夕食は家庭不和を招く程に美味であったわけですが,その特典を台無しにしたのは太田のちょっとした失策.朝食にいただこうとしたカップ麺をあれほど殿下が気に入ってしまうとは….カップラーメンとキャビアって合うのだろうか(笑).殿下のアンバランスぶりは食生活だけでなく,レイバーの試し乗りに最新鋭機のイングラムを使うというなかなかの暴挙に発展.遊馬はいつも通りとして,指揮帽を被ってる野明が珍しいですね.
敷地の片隅でレイバー初心者の殿下にイングラムを操縦させちゃう.車と一緒で公道で動かすには免許が必要ですがここは二課の敷地内なので大丈夫…のわけがないよなぁ.警察の威信が詰まった機体を教習車代わりにすることを許可するだなんて,野明はともかく,監督役の後藤は一体どんな素敵な条件で殿下を引き受けたのやら(苦笑).「指示をくれたまえ!」なんて言葉もマニア2人に嫌々つき合う遊馬には大変気に入らず,「よかろう」もどうにも気に食わず.…本人は自覚してませんが,いい大人が少年に嫉妬してどうするよ(笑).
しかもマニアなだけで操縦はただの素人だから,並のレイバーより難しいイングラムの操縦をやらせるのは無茶.いきなり大きく踏み込みやがって踏まれそうになる遊馬! 逃げたから踏まれないで済んだしイングラムもコケないで済んだけど,彼の生涯の記憶に残る1歩は整備班をひどく悩ませる一歩となったに違いなく….仕事場では,マニアの存在が大変に迷惑なときって確かにあるよな.
さて正午.王子滞在に関する最大の利点は例の豪華な食事であるのは間違いないわけですが,今朝の太田の失策によって昼食会がカップラーメン会になっちゃった(苦笑).世界的なヒット商品であるカップ麺が殿下のお国にないってことはまずないはずですが,庶民フードには縁遠い殿下は食料の保存が不可欠な国柄ゆえにいたく感銘を受け,巻き込まれた第2小隊はインスタント麺は上海亭の出前以下ということでがっくり.
落胆しつつも和やかな殿下の滞在…もここまで.渋谷にブロッケンが出現したとの報を受け,殿下は第2小隊に同行することを強く希望します.二課が何者かに監視されていることまで把握している後藤は,これまでの緩い態度を捨ててきっぱりと頼みを断るものの,それでも殿下は少年ゆえに強情.自分の影武者が渋谷の放送センターにいるからと,折角貸してもらった特車二課の制服を脱ぎ捨てて…「余はカーリマンの子孫だ!」と逃げないことを宣言.自らお忍びの体験入隊を打ち切って,皇太子として現場に入ることを選びます.
渋谷では先日やりあったばかりのブロッケンがまたも大暴れ.軍用レイバーが日常的に暴れているあたりがさすが世紀末…とか感心してる場合じゃないんだよな(笑).特車二課は程なく現場に到着してイングラムを動かすわけですが,逃げることに集中するブロッケンの動きは素早い.最強の戦力である警察用レイバーを皇太子の元から引き剥がすことこそ,この2機の目的なのでしょう.
で,ここからがあまりに駆け足すぎで納得いかない(苦笑).レイバー戦が発生した気配に気づいた殿下がいきなり現場に向かって駆け出します.確かに他人を戦わせることは彼のプライドに反するのかもしれないけれど,守るべき相手をあっさり一番危険な場所に向かわせてしまう警備部がともかくまずいだろ.その上銃撃まで受けたところをあわてて1号機が保護…という流れがともかく強引.確かにこれくらいの超展開でないと王子をイングラムには乗せられないけど….
てなわけで野明は王子と一緒にイングラムに乗ることになり,今回不機嫌である遊馬はさらに不機嫌に(苦笑).このあたりでの,1号機指揮車が障害物にあわてて方向転換した先に2号機指揮車がいてあわててさらに方向転換…という指揮車の動きは,派手な上にコミカルで楽しい,本作を代表するアクションシーンの1つだったりします.
かなり強引な展開の末にはじまるレイバー戦.王子が膝の上にいるために狭すぎて野明の手が前のレバーに届かないところを,王子が「僕を信じて!」とその手で補います.足回りはアレだったけど手はちゃんと動かせた王子の放った右ストレートはクリーンヒット! けれどいきなり右の拳を潰してしまうと,1機ではスタンスティックもリボルバーカノンも掴めなくなるんだよなぁ…(苦笑).
倒したはずのブロッケンはやっぱり立ち上がり,それを止めようとするのがやっと復帰した2号機! 必死に組みついてももちろん吹っ飛ばされるわけですが(笑)ここで2号機が電磁警棒を落としてくれたおかげで1号機が左手に構えて特攻を仕掛けることができたわけです.…イングラムが左腕の盾の下から電磁警棒を引き出すシーンは凄くかっこいいけれど,実際の運用を考えると左手でも引き出せる場所に格納した方がいい気がするなぁ.
直前まで逆襲されながらも,2人がかりでついにブロッケンを仕留めた野明と王子.すがすがしい顔の王子とため息つく野明が意味深で,遊馬が変に勘ぐってます.しかも殿下に「夢のようだ!」なんて言われたらなおさらに….もちろん「トドメの一撃は,余が操作した!」程度なので下衆の勘ぐりは恥ずかしい(苦笑).普段はどう見ても香貫花の方を気にしてますが,他人からちょっかいかけられると野明が気になってたまらないんだなぁ,この人.

テロリストたちから狙われたことで即刻帰国することになった王子.英雄の子孫として家族を守らねばならない…と自負する彼に,第2小隊からお土産が贈呈されます.野明と整備班からは1号機の起動ディスクのコピー.また来日したときに乗れるだけでなく,お国でイングラムを輸入しちゃえばそのまま向こうでも乗れますね.さらに異様に気に入っていたカップめんも箱一杯にプレゼント.遠い近所のコンビニから根こそぎ買ってきたんだろうなぁ.
趣味に貴賎はないですが,その趣味に没頭できるかどうかは家に依存するところが多々あるもの.もちろん金持ちの方が有利だけれど,あまりにも家柄が良すぎるとそれどころではなくなるってのは,わが国のお姫様の例でも明らかなような.とはいえその義務こそが彼らの最大の誇りだったりするわけなので,「何にしても,俺たちは庶民でよかったいにーぃ?」 …好きなものを好きなままでいることが許される自分たちの今の立場に,本当に優越感を感じていいのかどうかをよくよく考えつつ,次回に続きます.

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