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デジモンセイバーズ#13

「進化を導く熱い願いの巻」

大門家にやってきた卵から生まれたピヨモン.それを取り戻しにやってきたファルコモンを退けたマサルたちの前に,巨大なるメルクリモンが出現した.究極体のメルクリモンには一切歯が立たず,ピヨモンも無謀な特攻の末に消滅してしまう.巨大な敵は無傷のままデジタルワールドへと戻り,マサルは自分の無力を思い知った.
今回の事件によるこの世界への影響は甚大.その責任を取るためにDATSへの解散命令が出された直後,出現したアクィラモンが港湾地域を襲う.隊員たちは解散を無視して暴走デジモンを鎮圧するために行動.けれどその鳥型デジモンは,消えたはずのピヨモンが進化した姿だった.

1クール目の最後を真っ直ぐな熱気で展開する「セイバーズ」! 物語を熱くするためにそれ以外の全てを利用して,後半のあの瞬間に昇華させていく様がさすが山口脚本です.2話かけて途方もない無力感を感じることになったマサルが最後に起こした奇跡は実に熱いわけですが,本作は完全な理論無視作品というわけでもないので,なぜこうなったのかについてはそのうちなんとなく説明してくれるに違いない.大変重要な回なので作画も当然良好.中盤のバトルにもかなり見るべきところが多かったりしますが,クライマックスでのマサルの慟哭とその後の展開を見てしまうと印象が吹っ飛びます(笑).お約束なのに,クライマックスが熱い!

大門家にやってきて,チカになついてしまった卵改めプワモン改めピヨモン.それを取り戻したいファルコモンとの戦いを大きな軸にして,デジモンと人間の関係,そしてマサルの兄心について今までになく熱心に語った前回のラストに続くのが今回.マサルとピヨモンの合体攻撃(笑)にやられたファルコモンの加勢…というよりは回収にやってきたのが,巨大なる究極体,メルクリモン.
軽く腕を振るだけで人間を風圧で吹っ飛ばし,メガバーストすら片手で握りつぶしてしまう,まさに山のような究極体.それから見ればジオグレイモンなんか子猫みたいなもんであり,手からのビームで鉄塔に向けて吹っ飛ばして気絶させてしまうのも簡単.とてもじゃないけど,まともに勝負できる相手じゃありません.
DATSの進化体3体を軽い攻撃であっさり元の姿に戻し「愚かなる人間どもよ」と呼びかける尊大なるメルクリモン.氷の城から来た王は,裁きの鉄槌をバカたちに下すべく,自分の体に雷を落としてそのエネルギーを蓄えます.でかいだけでなく周囲の環境まである程度操作できるとしたら,究極体ってのは本当に洒落にならないな.それに必要なエネルギーはどこから来るんだろう?
全滅直前のこの事態.まだ動けたピヨモンはチカを守るために別れを告げて,最後の力を振り絞って特攻をかけます.あんな山が小鳥1羽で止まるはずもないのだけれど,自分を回収に来てくれた王に対して「デジタルワールドに帰れ!」と最後まで反発したまま衝突し…消滅.
命をかけた行動もメルクリモンにはさほどの物理的意味はなく,負けたピヨモンは卵に戻ってしまいます.けれど「ピヨモンを返して!」と泣きながら叫ぶ小さな人間の姿と合わせ,メルクリモンの心を動かすことには成功したようで,王は愚か者たちを置き去りに帰っていきます.…メルクリモンはマサルに比べれば格段に話の通じるタイプに見えるんですが,なぜ人間に敵意を向けるのだろう.…雨は未だ止まず,マサルは無力.
夜のDATS基地.メルクリモンにいいようにやられた負け犬たちは怪我だらけ…だけど,それほどの悲壮感はありません.借りは百億倍にして返すとマサルは憤り,その遠吠えぶりをトーマが嗜めます.実際神のごときメルクリモンをなんとかする手段など今のDATSにはなく,それこそタンカーと生身で戦うようなものだから,お前はバカか,なのです.
クダモン曰く,メルクリモンはデジモンワールドの東一帯を束ねる森の王者.それが人間界にわざわざ来た目的を,人間界を滅ぼすためではないか?とトーマが短絡的に推測しちゃったのが今後の話の食い違いの元凶となる気がしてならない(苦笑).確かにDATSが持っている情報をかき集めるとそうなっても仕方がないんですが,実際にはデジモン側は人間との接触を嫌がってるんだからわざわざ壁なんか崩しはしないだろ…と思えるのは,両方の状況を知る視聴者の特権なんでしょう.
バカなマサルはそんな意見を真に受けて,今すぐにぶっとばさないと!とさらに猛るのを止めるのがチカさん.普段からアグモンになじみピヨモンとは完全に意気投合して,デジモンの良さを一番実感していた彼女が放つ,「なんでデジモンと人間が戦わなくちゃいけないの!」…戦う方向にすっかり頭を持っていかれていた一同は,この正論にはっとします.
アグモンたちもピヨモンも人間の側に立っていてくれるけど,彼らが人ではなくデジモンであることは間違いありません.もし人間がデジモン全てを敵と認識するならば,その範囲にはピヨモンたちも含まれてしまうわけです.しかしそれは違うはず.ゆえに,友達は友達でだから人間とデジモンが共存できる方法もあるはずだと泣いて求めるチカさんの言葉は身に沁みます.…人種とか宗教とかを重ねてみると,偉く深いテーマだ.
メルクリモンの件は異様に高尚になりかねない問題も含まれているわけですが,DATS自体にはもうちょっと卑近な問題も迫っておりました.こんなややこしい事態に出てくる新キャラは,小男役人とその秘書の若い男.「なんてことをしてくれたんですか!」と怒鳴りつける小人物の羽柴長官は,DATSを擁する国家機密庁のお偉いさん.前から警察にかなり顔が利いていたDATSですが,国の抱える組織となれば納得です.やってることからすると内閣府の下あたり? やっぱり3年くらいで異動してるのかなぁ(笑).
庁の名が示すとおりデジモン事件を秘密裏に処理するのがDATSの目的.しかしメルクリモンのおかげで大規模停電まで巻き起こされちゃごまかしきれないだろと怒るお偉いさんに,ともかく噛み付こうとするマサルを止めて謝罪するマサル母のサユリさん.時と場合をわきまえない無謀な息子を持つと母も大変だ….隊長はこの次こそとアピールしますが,羽柴長官はまったく受け入れず,DATS解散を命じたのでありました.
夜明け.海中に小石や石や瓦礫を投げ込んでもまったく苛立ちがおさまらないマサル.昨日ほどマサルの思い通りに事が運ばない日はなかったはずですが,その中でもメルクリモンに負けたことにぶっちぎりで苛ついているんだとは,さすがのアグモンにもわかりませんでした(笑).喧嘩最優先のマサルの場合,自分の所属する組織の事情なんかより,喧嘩に負けた方が重要なんだよなぁ.
マサルが苛立っていたその頃,デジタルワールドでは事態がさらに動いております.氷の洞窟にはメルクリモンとその部下のファルコモンが卵を連れて帰還.どうやらあの卵はファルコモンが「イクト」と一緒に見つけたもののようです.ここで仲間にイクトが来てから面倒なことばかり起きると愚痴られるファルコモンですが,何も悪くないと言い切ってます.「イクト」とやらに異様に肩入れしているのは,デジモンとしては珍しいのかな.
人間界からやっと持ち帰った卵.しかしその卵は既に元とは違うものになってしまっていました.メルクリモンの見立てでは卵の中に人間の邪気が入ってしまったらしく,孵化したのはプワモンでなくピヨモンで,しかも置いてきたチカへの思いで暴走.これは卵に戻る前の記憶が残留してしまったがゆえに起きた現象らしく,仲間の言うことなど一切聞かず,ついにはアクィラモンへと進化して逃げ出してしまいます….
折角連れ戻したってのに,チカへの思いに縛られて壁を越えて飛んでいくアクィラモン.もはや心は取り戻せないとメルクリモンはあっさり諦めて放置を決め込みます.あれだけ手間をかけたのに手を尽くすこともなく見送ったり,「何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのだ!」と人間に憤ったりするあたり,この現象は何度目かのことなんでしょうね.…そういやこれまでDATSが送還した卵ってどうなってるんだろう? 今回と似たようなことが起きてたりするんだろうか?

生まれる前の記憶に縛られて暴走し,テレビ収録中に青空から突如出現するアクィラモン! 生放送じゃさすがにごまかしにくいよなぁ(苦笑).解散命令が出たDATSは本来職務を休止するべきなのですが,代替組織がない上に今まさに驚異が迫っているとなれば,命令無視してでも職務を遂行せねばなりません.…ちなみに主役は,街でゲームに興じるといういかにも彼らしいストレス発散を実行しているわけですが(笑),テレビでデジモンの姿を見て,早速現場へと走り出します.
謎の巨大鳥形生物の暴走は,漁船を燃やしヘリを落とすほどの大惨事に.よほど楽観的に見ても一人や二人は死んでます.そんな状況へと真っ先に駆けつけようとするのはやはりマサル.組織のことなんかもうどうでもよく,他にデジモンを倒せる者がいないんだから自分たちがやるのだと魂を燃やします.…あんなの相手じゃ日本にはもはや自衛隊くらいしか手がないもんなぁ.
「自分のやるべきことは,やらなきゃならねえ.それが男ってもんだぜ!」といつもの漢論を叫ぶ主人公ですが,シリアスな状況でも根本的に考えが足りず,海上に出る手段すら持ちあわせていないのはご存知のとおり.で,そんな理想だけのバカをサポートしてくれるのがトーマで,「泳いでいくには,遠すぎると思うが」とボートで迎えに来てくれました.当初はマサルの無謀な行動パターンがわからなかった彼ですが,今はかなり理解してくれているのが心強い.
かくしてはじまる水上戦.相手には空中を自由に高速で飛べる利点があるのに対し,DATSの主力はボートで移動せねばならないのが厳しい.その上,マサルが殴らないと進化できないアグモンは戦力にならないし,サンフラウモンは飛べるけど遅く,ガオガモンは速いけど飛べない….てなわけでサンフラウモンがアクィラモンを海面まで追い込み,そこをガオガモンが襲う,というのが今回の作戦となります.
サンフラウモンとガオガモンが頑張るこの連携は,映像的に素晴らしい! 3体が空と海と岸の間を目まぐるしく行き来しながら激しく戦う様が見事に描かれていて,肉弾戦中心の戦闘描写としては過去にないほどの高レベル! ただし戦闘としてはサンフラウモンがアクィラモンに力負けして劣勢.そんな中でマサルは「チカ・ドコニ・イルノ」とアクィラモンが呟くのを聞いてしまいます….
頭上で暴走しているあれが消えたはずのピヨモンであることは,デジモン反応が完全一致したことからも間違いない.マサルは妹のためにもピヨモン改めアクィラモンを止めたいけれど,飛んでいると殴れないので何もできない.ゆえにチカの兄貴として元ピヨモンに呼びかけて,暴れるのを止めようとするものの…アクィラモンの容赦ないビームがマサルたちの乗ったボートを吹っ飛ばす(笑).命のかかった深刻なシーンなのに笑えます.チカさんはともかく兄貴のマサルはピヨモンを殴り最後には足蹴にした男なので,記憶が残っていても似た結末に向かっただろうなぁたぶん(苦笑).
海中に落ちたマサルたちを助けてくれたのは,いつものデジヴァイスのおっちゃん.トーマがまだばったり倒れたままなのは,マサルの特別な丈夫さを如実に表現しているのかな.ちなみに気絶している間に,ピヨモンはチカを探してコンビナートで火柱を上げております! …確かに火柱は遠目に見ても目立つけど,チカに向かって自分がここにいると知らせるためにやることとしては,あまりにも度が過ぎている.
本格的な大惨事を止めるためにも今すぐ燃える現場に駆けつけたいマサル.けれどおっちゃんは,今のお前では誰に勝つこともできんじゃろ,と切り捨てました.あれの相手は喧嘩番長だろうと無理っていうかお前はおっちゃんにすら勝てないと挑発されたマサルは早速命の恩人に容赦無く襲いかかるわけですが…そんな狂犬をおっちゃんは,タモ一本でさばいてしまいます.
マサルの勢いを利用して地に転がす喧嘩慣れしたおっちゃん曰く,要するにマサルは未熟.…生まれもっての体の強さと運の強さに依存して,絶対勝てない途方もない無力感すら感じたことのないマサルが未熟なのは当然でしょう.それでも未熟ゆえに恐れを知らないマサルは再び走り出し,おっちゃんはそれを見送ります.「今の自分に欠けているものの大きさを知らなければ,成長することはできない」という言葉は,マサルがそれを知ってさらに成長することを確信しているように聞こえる.…どうしてこの人は,ここまでしてくれるのかな.
燃えるコンビナートに殴りこむ未熟なマサル.とはいえ殴らなければ相棒のアグモンが機能しないため,補助してくれる仲間のいない状態では無理とアグモンすら言い出します.確かに兄貴は強いけど,足りないものがあるのだと本人以外は大変によく知っていて…けれど男のプライドをかけ,マサルは自分一人の限界を追求するのです.
飛べないならば昇ればいいと,高くて危ないところに昇っていくマサル.さらに空中に呼びかけて,殴れる位置までアクィラモンを呼び寄せます.「チカは自分が守ると言ったよな! 男なら,命がけで自分の言葉守ってみやがれ!」…そして,もはやまともな理性はなくチカという言葉にのみ反応して飛来する元ピヨモンをぶん殴る! 己の限界を試すかのような超攻撃的な仕掛けっぷりはさすがのアグモンすらヒかせるわけですが(苦笑)これでようやく,マサル・アグモン組は反撃のきっかけを掴みます.
ジオグレイモンへと進化させてメガバーストで打ち落とす.いつもの黄金パターンにやっと辿りついたマサルたち.しかし理性のないアクィラモンはそのパターンすら壊すほどにチカに焦がれていました.何かを欲しいと強く願う心…それはデジモンを暴走させる7つの欲にも繋がるものでしょうが,ひたすらにチカを求める心は,アクィラモンをガルダモンへと進化させてしまいます.
ひたすら頑張って互角になったかと思ったら,いきなりまたも突き放されてしまうマサルとアグモン.テレビで見たデジモンの姿にピヨモンの面影を見たチカと,それを追ってきたサユリさんがここで合流するものの,もはやあのピヨモンはここにはいない.チカの「おいで」という言葉も不完全なメモリーには通じない….
最大の切り札であったはずのチカさんすらもはや無力.ガルダモンはマサルたちに攻撃を打ち込み,それに妹も母も巻き込まれてしまいます.ここでジオグレイモンが皆を守るために体を張ってるのが泣かせるなぁ….大好きなピヨモンに攻撃された妹は「本当にあたしのこと,もう忘れちゃったのかなぁ」と深く傷つき,母と弟分は倒れて意識を失っていて,頭上からは雨.己の無力を目の当たりにして,あのマサルの目からついに涙がこぼれます.
「何が番長だ.何が喧嘩日本一だ」と,自分がこれまで誇ってきたことの安さ卑しさに気がついて,途方もなく絶望するマサル.自分の力では誰も救えなかった悔しさに慟哭し,不在の父の代理として家族を守るには未だ足りないと思い知った彼は,強い欲望に心を燃やします…「強くなりてえ,もっと強くなりてえ.もうっ,誰にも悲しい想いをさせなくて済むような,強い男になりてえ!」…その思いは,デジソウルとなってマサルの全身から燃えるように放出!
全身から噴出するデジソウルをチャージすることで,マサルの望みが叶ってゆきます.欲しかったのは空中を自在に飛べる翼.そしてもっと遠くまで届く強い力.ジオグレイモンが進化した完全体のライズグレイモンには,マサルの強い願いを満たす力がありました.これ以上悲しい思いをさせないために,ガルダモンをトライデントリボルバーで散らすライズグレイモン.ただ戦いたいという単純で指向性のない衝動ではなく,目的を満たすための力を強く求めた心の成長が,新たな力を呼び覚ましたのです.
…闘いの最中に気絶し,全てが終わって目覚めたチカが見たのは,暗い顔のマサルが抱くピヨモンの卵.これで辛い思いをしなくて済むとチカは卵に言うけれど,もっとマサルに力があれば,きっとなんとかできたはず.こんな悲しい出来事はもう二度と起こさないと,兄は心に誓うのです.

そして再び夜.コンビナートをぼうぼう燃やす未曾有の大災害となった今回ですが,これを全部事故と広告宣伝に偽装してしまうDATSって本当に凄いなぁ(苦笑).個人的には漁船とヘリの人たちの安否が気になってたまらないのですが….また,ニーズがある上に廃止しようにも代替組織がないことが明らかになったDATSについては存続が決定したようで何より.ただしこの先,代替組織を別に作られてしまう可能性はあるかもしれない.
マサルが回収したピヨモンの卵を検査した結果,そこにはメルクリモンの反応が含まれていることが判明.実際は暴走する卵を孵化させないように抑えた名残なんですが,事情を知らないDATSはメルクリモンが暴走させたのだと思いっきり勘違い….誤解を根拠に,メルクリモンを倒すためにデジタルワールド行きを希望するマサル.それを止める隊長は,前回あたりからバレてきた大きな伏線の一端をついに披露する御様子です.それは10年前に失踪したマサルの父とデジタルワールドの関係.新ステージへと向かう,次回に続きます.

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