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桜蘭高校ホスト部#16

「素直な感謝は何より強くの巻」

ハルヒがアルバイトしているペンションに配達にやってきた,彼女の中学時代の同級生である荒井君.俺たちだけのお姫様のはずのハルヒに男の影があったことにショックを受ける環たちだが,彼は中学時代にハルヒにふられていた上に,今日もさらに駄目押しされてしまうような気の毒な男だった.
とりあえず敵でないことがわかった荒井君.しかし光だけは彼を受け入れず侮辱するような言葉ばかりを吐き,ついにはハルヒに平手打ちされてしまう.幼稚すぎる独占欲を発揮する光のことを心配する馨は,光のためにハルヒにデートを申し込む.

物語全体の中でも結構重要な軽井沢編の後編をシリアス目に描く「ホスト部」.自分は原作の中ではこの話が一番好きで,いかにも少女漫画らしい,ダイナミックな感情の動きを表現する後半の展開がうまくいくかどうかで今後の出来も占えるんじゃないかと思ってたんですが…これはかなりいい感じじゃないか?
終盤は原作に比べるとずっとシンプルに整理されてるんですが,話の余韻を生かすならばこっちが正解.広い紙面全体で楽しさを表現できるマンガと違って,アニメは1シーンごとに深く集中する質のものです.狭い画面の中で重要なことを全て表現するためには,それ以外を極力切り捨てる必要があるのは当然.賑やかな原作から取り出されたエッセンスは,華やかさを捨てて真っ直ぐに心に響きます.

前半.前回ラストで訪れた衝撃.ハルヒにホスト部以外の男友達がいた! しかも中学時代の同級生! 突然のライバルの出現を環も双子も激しく警戒.しかもハルヒときたら環には更なる追撃を食らわせます.光と馨は同じクラスの同級生で…環は「知り合いの人」(笑).確かに先輩と言ってはダメと言ったけど,なんて無造作に人の心を抉るんでしょうかこの子は.
桜蘭では激しく浮いているけれど,ごく普通の庶民なハルヒさんは中学時代の友達ともちゃんと交流がある御様子.自分たちの知らない情報を目の前にぶら下げられたソフト部ならぬホスト部の半分くらいは興味津々.子どもみたいにすねてる光と,折角作ったしおりでハムスターのおうちを作っている幼児な環だけが浮いてます(笑).あのしおりで墓穴掘ったのは間違いないもんなぁ….
完全な部会者である荒井君から見れば,部内のハルヒにとっては迷惑なホスト部もなかなか面白く,それ以上に異世界に旅立ったハルヒが元気だったことがうれしくて,そして自分に微笑んでくれる彼女はやはりとても可愛い.…そんなさわやか片思いぶりすら気に入らない光.「あからさまにハルヒに気があんじゃん!」と嫌味を言いまくるわけですが,これが意外な方向に話を転がしていきます.人のいい荒井君ったら,気があったのは本当でしかもふられたとカミングアウト!
ふったハルヒ本人すらびっくりの悲惨な1年前の夏.まだ中3であった2人はただの同級生.しかし荒井君はハルヒが好きだった…という前提からはじまる笑い話.桜蘭の特待生枠を受けると聞いて駆けつけた荒井君.好きゆえに同じ高校に行きたかったわけですが,「早く言ってくれればよかったのに!」とつい期待しそうな返答をよこすハルヒさんは罪作り.荒井君は一緒にいたいだけで,桜蘭の試験を受けたいって話じゃないんだ…(苦笑).
受験についてもひどく真っ直ぐに語る,ハルヒさんのそんなところも実に好ましいんだろうけれど,あまりに真っ直ぐで雰囲気を察してくれないのは困ってしまう.ハルヒさんは桜蘭の試験を受けるならと確認に行こうとするのを慌てて止めて,思いっきりの勇気で「つきあってほしいんだけど!」と軌道を修正しようとするも! 「うん…私も願書の締め切り確認したいし,一緒に職員室にいこ?」…玉砕でございます(笑).
1年前の勘違いを今更に気がつかされたハルヒは愕然.さすがにそれはひどすぎて,先輩方に責められるのも無理はない.しかも適度に慰めたりごまかしたりせずに,「ごめんなさい!」と追い討ちまでかけるハルヒは鬼で,それにも耐えてしまう荒井君は実にいい人です.どこまでも遠く真っ直ぐなハルヒさんの目が好きな彼のことをなぜか異様に殿は気に入り,うちの子のことをここまで!と感動しております.でもって「安心しろ! 君の雄姿は忘れない!」
その負け犬ぶりが明らかになったことですっかり彼と仲良くなってしまう現金なホスト部.ハルヒさんの庶民中学校時代の話はどれも興味深く,京都の話などで盛り上がるわけですが…双子はそこに混ざらない.もっと正確に言うならば,光が強硬に荒川君を嫌っており馨がつきあっているという格好.しかも単に混ざらないだけでなく,遠くからひたすら口撃を加えるんだから性質が悪い…というか,正直大人気なさすぎです.
ハルヒに相手にされてない,ハルヒの中にお前の居場所はないと荒井君にひたすらに厳しい言葉をぶつける光.あまりの失礼ぶりに切れたのは…荒川君ではなくハルヒさんの方.前の同級生の名誉のため,今の同級生を平手打ち!「人の友達にこれ以上失礼なことするなら,許さないから!」
…まさか叩かれるとは思っていなかったに違いない光は呆然.他の奴なんてどうでもいいだろと呟いて,「お前の友達は俺らじゃんか!」と捨て台詞残して部屋へとこもる(苦笑).…この幼稚な独占欲は懐かしい1話の綾小路姫以下であり,「まだまだ世界が狭いなぁ」と環にすら呆れられてしまう.いつもはバカにされるのは殿の役目なんだけど,人間的な度量に関しては無駄に環の方が大きいんだよね.
独占欲をコントロールできずにぶつけてしまって叩かれた光.顔向けできないほどに子どもっぽくて,そんな光の傍にいてくれる馨の方がずっと大人.何もかもそっくりで区別できないのが売りのはずなのに,自制心とか心遣いの面に決定的な違いがあったわけです.しかもそれはかなり根深いもので….
1年越しでふられた上に,奇妙な騒動に巻き込まれた気の毒な荒井君をホスト部一同がお見送り.人のいい彼はさっきの無礼も許してくれて,さらに光も彼に謝って一件落着…ってわけでもない.真実を見るハルヒには,「馨,なんで光のふりしてるわけ?」と当然バレてます.ごめんなさいすらできない困った兄弟をそのままにしてもおけないし,馨はハルヒに「明日1日,僕とデートしてくんない?」とにっこり頼みます.

後半.人付き合いに多大な問題を抱えた光をなんとかするために,馨がお膳立てしたのがハルヒとのデート.風邪を引いたふりでハルヒのエスコート役を押しつけてしまうのです.うまくやらなきゃ口聞かないぞと脅したり,これまでちゃんと他人とつきあったことないだろう?とためになるアドバイスをしてみたり…明らかに馨の方が大人.「お互いの気持ちとかは,言わなきゃ相手には伝わらない.でも…」
軽井沢市街でのデートでは,ハルヒさんがやたら可愛い.常陸院メイドのドレスアップによって,付けツインテールにキャミも大変に愛らしく…それを見守るハメになった殿は超可愛い!と大暴れ(笑).なんだってハルヒの初デートを光に譲り,それを影から見守らねばならないのかと言えば…光に自覚を持たせるためなのです.
これまで2人きりで好き勝手にやってきた常陸院の双子,特にお子様な光は感情だけで突っ走ることしか知らず,好意の示し方がわからない.よくハルヒばかり見ていたのは光のわかりやすい興味と好意の表れであったわけですが,感情を押しつけるやり方しか知らないために,環に呆れられるような大変情けない状態に陥ったわけです.
おもちゃじゃなくて本当の友達が欲しいなら,相手を尊重する付き合いを学ばねばならない,という馨の意見の正しさは全員が納得するところ.家柄が良すぎて似すぎていて,どうしても孤立せざるを得なかった光にとっては,他人のことを思いやる心を芽生えさせる試練は絶対に必要.…どうも馨の方は光を尊重することで,そういう社会性を先に身につけてしまったみたいですね.ただし!常陸院が面白いものが嫌いなわけがないので(笑)当然のようにデートを尾行するところがさすがB型.…この段階で,環は空模様を気にしています.
さて,ご一同様に見守られているとも知らないハルヒと光はまず行き先を決定せねばなりません.光はアウトレットモールなど提案してみますが,買い物しないところに行っても仕方がないと却下.…気遣いのなってない光は正直に申告しすぎだ(苦笑).そしてハルヒも空模様を気にしています.「雷雨とかじゃないといいんだけど…」とかなりわかりやすいヒントを出してるんですが,光はちっとも気づいていません.
デートとしてはいきなりコケてる2人を見守る殿はおかんむり.怒りの末に鏡夜にチンピラ役をやれと命令し,「寝言は寝て言え」と冷静に切り返されてみたり.うだうだ考えてるのも迷惑ですが,考えずに動いてしまうのはさらに迷惑.ハニー先輩が和ませるためにアイス屋さんに仮装して突撃するのを,モリ先輩が慌てて撤退させます.…お前らは相手のことばっかり考えすぎです(苦笑).
謎のアイス屋の襲撃直後,ハルヒさんは勝手にソフトクリームを買いました.しかも「一口お先に」なんて勧められたら否応なしに親密度が上がってフラグが立ちそうなもんですが…謎のアイス屋店主がインターセプト.サングラスに付けヒゲの金髪店主.たとえ馨に怒られようとも,ハルヒさんと光のカップル喰いだけは阻止したいいじましい父心を許してあげてください….
結局決められない光に代わって,今日の目的を決めたのはハルヒ.山芋の漬物を2つ買い,寝ているはずの馨へのお土産とします.遠出せずに馨へのお土産を選ぼうと言い出すハルヒは光のいらいらの原因を正確に理解していて,でもその理由を聞いたら回答が「てきとー」.…実にざっくり(苦笑).
他人のことには素晴らしく気の効くハルヒさんが光を思いやってしまったため,当初の目的は全然達成されてないわけですが(笑)なんか背のちっこそうなボールとか見て和んだりしてるので,これ以上邪魔するのは野暮というもの.それにここにいてはいけない感じで電柱の影で泣き濡れてる殿もいるので(笑)監視班一同は引き上げてしまうわけですが…本格的に話が動くのはここから先.
ハルヒが心配していた空模様は急激に悪化.遠雷に過敏に反応してるんですが,にぶちんな光はその意味に気づいてくれない.しかもそろそろ帰ろうと意見が一致したところで運悪く登場してしまうのが荒井青果店.ハルヒは噛ませ犬荒井君と仲良く会話.彼はトラックでペンションまで送ってもらおうと言ってくれるいい人なんだけど…光は未だに,自分たちのハルヒと仲のいい彼のことが嫌いでたまらない.
タクシーでいいと頑張る光と,高いから送ると言う荒井君.で,肝心のハルヒさんは「お願いしよっか! 早いほうがうれしいし」と荒井君提案を選択.これに光はあっさり傷ついて,「好きにしろって言ってんの!」とハルヒさんを置いて走り去ってしまう.もちろん光はハルヒがなぜ選んだのかについてはまったく推測できてない.相手に関する想像力が著しく欠けているのです.それに比べると,なぜ光が荒井君を受け入れることができないのかまでも推測できているハルヒは,さすがに出来が違います.
ついには雨が降りだし雷鳴が鳴り,2人の帰りを待っているペンションでは環がいらいら.そこに電話をかけてくれたのが本当にいい人な荒井君.彼がさっきの顛末を伝えてくれたことでハルヒさんが大ピンチであることが判明! …木の下で雨宿りする光の携帯から流れる,殿の着メロ.前回冒頭で響いたあの音は,光を目覚めさせるためのものなのです.
「馬鹿野郎! いいからすぐに引き返してハルヒを探せ!」と電話口で光に怒る環.「雷が鳴ると,怯えて動けなくなるんだぞ!」 ハルヒのプライドとかプライバシーのためにこの件については黙っていたらしい環ですが,今はそれどころではありません.目を離さないと誓っていたのにひとりぼっちにしてしまった彼にも責任があるから,特権を放棄して光に責任を負わせるのです.
思ってもいなかった責任をいきなり負わされた光はびっくり.大失敗をやらかしたことを知り,自分が相手のことを全然考えていなかったことに気付きます.しかし思い出してみれば,ハルヒは時折空模様を心配していて,でも…「あんなんでわかるか馬鹿!」 雨と雷鳴の中に飛び出して,必死でハルヒを探すしかない.金の力を使うこともすっかり忘れているようで,身1つで駆け回ってるのが必死さと同時に動転ぶりを示してもいます.
雨の中,ようやく見つけた人気のない教会.中では時折怯える声.薫は「ほんの些細なヒントを見落とさないことも大切」と言い,ハルヒは自分にそうしてくれていたけれど,光は自分がするべきことすら知らなくて,結局彼女をひとりぼっちで泣かせてしまった.すねて逃げ出した報いを受けた彼は,ついに罪を懺悔することになります.
教会の説教台の下で泣いている大事な友達がこれ以上脅えないように,テーブルクロスを被せてヘッドホンをかけてやり,隣に座って肩を寄せる.素でやるには大変に恥ずかしい行動ですが,その勢いにまかせて自分のガキっぽい行動のことまで謝ってしまう光.状況の力を借りた謝罪だけれど,苦しませた彼女が返してくれた言葉は「ありがとう」.…声高に責められるよりもずっと胸に響くものを返されてしまった光の頬に流れたのは雨? それとも….

雨も上がって翌日.人の良い荒井君は今日もペンションみすずにやってくる.昨日の今日でちゃんとスイカ持って様子を見に来る彼はタフすぎる! しかもあれだけこじれた光に向かって,何も言わせないでスイカ手渡すなんて! ハルヒさんの無垢な感謝っぷりも凄かったけど,荒井君の察しぶりと底無しの人の良さはまさに暴力.この心遣いにやられた光は,精一杯「ありがとう」を言うしかない(苦笑).
原作よりもずっとシリアスに夜を越えることになった光.まさかああなるとは誰も思っていなかったわけですが,勢い余って恋愛感情に変わる可能性は考えなかったのかと問う鏡夜に,「それはまだ早いでしょ」とずっと大人な馨.そっくりのはずの馨とは違って…「光,馬鹿だしね!」
確かに人付き合いを今まさに学んでるような奴では,もしそれを抱いたとしても,一体何と呼ばれる感情なのか名付けることすらできないはず.でもってこの部にはそんな馬鹿が一人ではないのです.見たままバカの殿はもちろんですが,馬鹿な兄弟をつい見守ってしまう馨も,「馬鹿が多いからな,うちの部は」と言い切る鏡夜も,本当にそれの名前を知っているのかな? 未だ至らない爽やかな馬鹿たちを暖かく見守りつつ,次回に続きます!

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