« 機動警察パトレイバー#12 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#13 »

デジモンセイバーズ#12

「波打つ大きな物語の巻」

帰国したトーマが持ち帰ったのは,デジモンが人間の情念の影響で暴走することと,デジタルワールドとこの世界を隔てる壁が薄まりつつあるという事実だった.自然ではない何かの力によって2つの世界を隔てる壁は崩れつつあり,その影響でマサルの家にデジモンの卵が出現する.人間界で孵化した卵はこれで6例目.生まれたプワモンはチカになつき,アグモンは大門家のアイドルの地位を追われた.さらにそのプワモンを追ってファルコモンが人間界に出現.チカの元から仲間を取り返そうとするファルコモンに立ちはだかったプワモンは,守りたいという気持ちによってピヨモンへと進化する.

1クール目の終盤に向かう仕掛けに点火する「セイバーズ」.持てる限りの材料を出し惜しみせずに消費していく様が実に男らしい本作ですが,今回はさすが山口亮太脚本で,伏線暴露だけでなく笑いも燃えも大サービス! しかも脅威の真実の露呈による緊迫感を直後の卵追いかけで台無しにしたり,深刻そのもののタイマンの直後にマサルを鉄塔にぶらさげてみたりと,ともかくシーン間での計算された緩急が凄まじい.ピヨモンだって実質的にはマサルが止め刺してるもんなぁ…(笑).次回に向けてのタメの1話としてはありえないほどの大サービスぶりに心を震わせてください!

冒頭は前回ラストの続き.アメリカまで出掛けてデジモンについて調べてきたトーマの明らかにするいくつかの事実.超心理学の権威というスチブソン教授のところで突き止めたのは,デジモンは人間の7つの情念に影響されるということ.人を悪へと導く憤怒色欲飽食怠惰嫉妬貪欲傲慢の7つの欲.ただしこれらはストレスと同じで人間を動かすための重要な要素であり,過ぎるのはダメですがないのも逆によくないんだよな.
欲に関してはこれまでの答え合わせなので情報としての重要度は薄いですが,二つ目の,この世界で事件が増えている原因の方はなかなか重要.このところ事件が増えていたのは,デジタルワールドとこの世界を隔てる壁が崩壊しつつあったから.しかもその崩壊の様は自然ではない…ってあたりまでが事実として大切.誰がどのように壊しているのかについては情報が足りないので,現段階でその原因を勝手な偏見で推測するような奴は研究者としては失格ですよトーマ(苦笑).
壁が相当崩れているらしい横浜には今日もデジモンの驚異がやってきます.本日の異変ポイントはD-101…マサルの自宅で,デジタルワールドから卵が届いておりました.空から落ちてきたそれを玉子焼きの材料にしようとしているサユリさんってやっぱり豪気だな(笑).さて,これまでデジタルワールドにやってきた連中はどいつも孵化後であったわけですが,今回は卵のままにご漂着.確認されたのは今回で6例目のレアケースです.
孵化前のデジモンがこの世界に来たのはこれまで5例で,ララモン,ガオモン,ホーンチェスモン白・黒,そしてアグモンの5体.…あれ? クダモンとカメは? それにその特殊なデジモンたちが日本に集結しているってのは,全世界的な組織としてどうなんだろう.1箇所に集めておいた方がいいリスクか何かがあるんだろうか?
人間界で卵から孵化したデジモンには,適合デジソウルを持つパートナーが必要.…デジタルワールドで孵化したデジモンに比べると,デジソウルが足りなくなるって理解でいいのかな? ヨシノやトーマもその適合者ゆえにDATSにスカウトされているという事実も割と重要なんだけど…ここからなせかドタバタになります(苦笑).
珍しい上に生まれてもいないのに逃げる卵.全員で大門家でドタバタと卵を捕まえようとするのが間抜けすぎ.あれだけ人数はいるし部屋も家も狭いし自称頭のいい奴もいるんだから,全員参加でサンドイッチになることはない(苦笑).一番下にされたララモン可哀想….ついにはコケたアグモンの顎が入ってしまって卵が割れ,プワモンが生まれてしまいました.尾羽にさえ気をつければ小さいし丸いしふわふわだし,可愛いとチカが大絶賛しております.
デジモンはすべからくDATS本部に運びたいけれど,こんな小さいのを倒して卵に戻すのは心苦しいし,情念に影響されて暴走されても困るし…というわけで,まずは大門家で保護されることになったプワモン.幼いデジモンの心を人間の欲望から守るためにトーマが発明したというアンチデザイア発生装置が持ち込まれるけど…無駄にでかい(笑).さすが外国育ちの金持ち.日本の住宅事情の厳しさを未だによくわかっていないのか.
今回はシリアスな設定暴露の合間に総出でコメディをやっているわけですが,中でも一番の貧乏くじを引かされたのがアグモン.本人にはちっとも悪気がないのに,そのでかい口をプワモンに怖がられてしまったがゆえに味方がいなくなりました(苦笑).顔が怖いだけで何もしていないのにチカに叱られ「っていじめてねーよ!」とノリツッコミするしかないアグモン.大門家のアイドルの座を見た目の問題であっさり奪われ地位凋落….中でも一番ひどいのが,誰あろうマサルの兄貴であったということが後に明らかとなります(笑).
夜になってもトーマは帰らず,でかい装置の傍で調整作業を続行.マサルはともかく,サユリやチカに何かあっては困るからと気合の入る男心はよくわかる.そこにちょっかいかけるマサルと必死にブロックするトーマがおかしい.機械音痴のマサルが触ったら機械は全てスクラップになるだろうからなぁ…(苦笑).しかしそんなコントは,プーちゃんことプワモンの異常によって中断されます.
異様に怯えているプワモン.けれど周囲にはデジモンの気配がない.ゆえに原因はアグモンと断定して別室に連行するトーマとガオモン…証拠もなしに偏見だけで,本人の弁明も一切聞かずに幽閉するなんてひどいや(笑)! しかも本来アグモンを守ってやるべきマサルまで,「悪は去ったぞ」とか言ってるし….当然アグモンには何の責任もなく,プーちゃんの怯えは止まらない.この小さなデジモンが怯えていたのは,デジタルワールドから追ってきた謎の鳥形デジモン!
窓ガラス破り急襲するデジモン・ファルコモンは,「卵を返せ!」といきなり主張し,そこから生まれたプーちゃんを回収するため実力行使に出ます.飛べる上にスピードに優れ手裏剣まで放つファルコモンは近接戦闘メインのマサルには厄介な敵…っていうかいきなり手裏剣で壁に縫い付けられて動けなくなってる(苦笑).怖がるプワモンのためにもファルコモンにはいなくなってほしいチカ.そして怯えるチカを守りたいプワモン.そんな2人の心がこの段階で重なってしまったらしく…悲劇はここからはじまります.
結局ファルコモン自体はトーマたちが追い払ってくれたわけですが,罪もないのに閉じ込められてやっと戻ってきたアグモンに「お前来るのおせーよ」と言う兄貴って本当にひどいや(苦笑).しかし問題はプワモンの方.例のでかい装置がありながらも,守りたい,一緒にいたいというチカの欲に応えてしまったのかその体が光って…ピヨモンに進化! さすがはマサルの妹,チカにもパートナーとしての才能があったのです.

ピヨモンの進化は大門家に恐ろしい事態を引き起こします.進化させたチカは即座に隔離されて身体検査.進化したピヨモンも檻に閉じ込められる.説明もないままに注射されそうになるチカが怯えるのは当たり前の話であり,事情を知らない兄貴の鉄拳が唸るのも当然.これは事前に説明しなかったDATSの落ち度でしょう.…しかし,人間相手だってのに躊躇せずに倒しちゃってるなぁ…(苦笑).これは隊長の指示によるチカのデジソウル検査.彼女には,ピヨモンのパートナーとしての資質があるというのです.
大事な妹を怖がらせたDATSに憤り,早速本部に駆けつけて隊長に談判するマサル.彼は自分の妹を同じ立場に置きたいとは微塵も考えていません.マサルは喧嘩バカなので望んでこの状況に飛び込んだわけですが,幼いチカを命の賭け合いをするような場所には絶対踏み込ませたくない.そして,ほぼ同様のことを2人の母であるサユリも考えていて,気持ちを伝えるために基地にやってきた上に…隊長と面識があったのか!
どうやら旧知の仲であった薩摩とサユリ.大門家がアグモンに対して最初から異様に寛容だったのは,彼女がその存在を事前に知っていたから.そうでなきゃでっかいトカゲのオバケを家族として受け入れるなんて無理だしな.しかもここに絡んでくるのが父.マサルがデジモンに巻き込まれる原因として「あの人の血を引く」ことを理由に出してるってことは,父はデジモン関係者で,マサルはサラブレットだったってことか.そんなサラブレットたちを育てるサユリの「デジモンに大事な人を取られてしまう」という言葉には,夫を失った悲しみだけでなく,息子が次第に深入りしていく様を見守るしかなかった苦悩までも感じられます.
妹のDATS入りを断固阻止したいのは大人の事情を知らないマサルも一緒.デジモンとデジソウルの相性が合うことはなかなか珍しいはずで,DATSの戦力増強を考えると彼女はぜひスカウトしたい逸材.けれど妹を守りたい兄貴としては簡単に許せることではありません.…逆に言えば妹が絶対に危ない目に合わないという確信が得られればその限りではないんだよな.
DATSで管理できないデジモンはデジタルワールドに返すのが原則.現状ではチカとピヨモンは二つの世界に別れるしかない.チカとピヨモンの間には分かち難い感情が既に芽生えているようですが,二人には自分たちの運命を選ぶ権利は与えられません.二人きりの部屋の中で,ずっと一緒にいることを誓う背中合わせの2人.そんな小さな恋人たちのところに怖い顔でやってくるのが…マサル.「ちょっと顔貸してくれねえか」と,妹についた悪い鳥をやっつけてやるつもりなのです.
土手にピヨモンを呼び出して,彼らしく率直に宣戦布告する兄貴.デジタルワールドに帰れと命令し,ピヨモンはそれに反発.かくしてはじまる腕ずくの,妹を守る権利をかけた男と男のタイマン勝負! …約束のために必死で戦うピヨモンと,妹のために本気で拳を振るうマサル.本人たちは大変にまじめにやっているわけですが,妹とつきあいたいボーイフレンドをぶん殴る兄貴とか,生まれたばかりの雛を本気で虐待する容赦のない悪役に見えて面白くて仕方ありません(苦笑).
もっと強い相手と毎度殴り合っているマサルは,文字通りのひよっこで経験もないデジモンに比べたら圧倒的に強い.妹の目の前で本領発揮し容赦なくあっという間にピヨモンを潰すマサル.その拳でチカとピヨモンの絆を殴り切ろうとでもするかのような…そんな拳は泣いている.たとえそれで妹に嫌われることになったとしても,チカを戦いに巻き込まないためならば鬼となることすら厭わない!
もちろん「僕はチカを守る!」とピヨモンも必死で,散々殴られた末にパンチがようやくマサルの顔に入るんだけど…当てたというよりは当てさせてもらっただけであり.顔面に鳥の拳を喰らって鼻血を出しながらも,「効かねえよ…そんな拳で! チカが守れるかー!」と叫ぶ鬼兄貴! モンスターよりもずっとモンスターらしいなぁこの主役.
妹を守るなら自分より弱いような奴はまず論外.そのあたりの確認が終わったのでピヨモンをデジタルワールドに帰すための最終シークエンスに突入するマサル.しかしその最中に乱入したのがファルコモン.昨夜乱入してきて事態をややこしくしてくれたこのデジモンは,ピヨモンが帰りたがらないのをチカの責任と見なして襲いかかるわけですが,すっかりぼろぼろのはずのピヨモンが,それでも意地で立ち上がる!
兄貴に散々殴られてもなお,チカを害そうとする者の前にピヨモンは立ちはだかって男を見せる.もちろんマサルだって妹を守ることを他の誰にも譲る気なんかないわけですが,空飛ぶ敵を殴りに行ったおかげで鉄塔の上に逆さ宙吊りになってんだもんなぁ(苦笑).さっきまでの兄貴の迫力が台無しだ….DATSからの援軍もここで登場し,唯一飛べるサンフラウモンがビームで敵を狙うんだけど動きが早すぎて当たらない.「サンシャイン…あ」×4の繰り返しの仲間の笑いに「アホか一生やってろ!」とツッコむマサル.…逆立ちしながらツッこまれてもなぁ(苦笑).
ガオガモンもサンフラウモンもファルコモン相手では移動範囲とスピードが足りない.しかし移動範囲とスピードだけは十分なピヨモンには力が足りない.ゆえに! ピヨモンは傷ついた体で,鉄塔逆立ち中のマサルに共闘を求めます.さっきまで散々ぶん殴られて身を持って知ったとおり,マサル単体の攻撃力も相当のもの.ゆえにチカを救うために即席タッグを結成して特攻!
…ファルコモンはピヨモンとは戦いたがってはいない.しかし相手に戦う気がなくたって,こっちにはその気も理由もある! ここでマサルとピヨモンが見せた空中コンビネーションは,ピヨモンを踏み台にしてマサルが空中の敵をぶん殴るという,殴った後の着地のことをあまり考えていない大作戦(笑).その上マサルときたら傷ついた妹の友達の顔を思いっきり踏みつけにしてる.地上に落ちたピヨモンが弱ってるのは間違いなくマサルのせいだ….

1発入れれば漲るデジソウル.それをマサルはアグモンにチャージ! そのままメガバーストでファルコモンを倒して終了ってのがここまで培ってきた黄金のパターンなんですが…妨害する天からの雷.降りだした雨の中で姿を現したのは,氷の洞窟の奥でゴツモンにかしずかれていた巨大なるメルクリモン.自分たちよりずっと格上の相手を前にした人間とデジモンたちですが,それでもマサルは引き下がらない!
ついに動き出す大きな物語,デジモンと人間の関係性の真実とは,なぜメルクリモンたちは人間を憎むのか,話の中で出てきた「イクト」とは何者か.サユリと隊長は何をきっかけに知り合ったのか.マサルの父はなぜ行方不明となったのか.…そして強さとは何か.沸騰しだした物語の熱気を受けて宙に舞う次回へと続きます!

|

« 機動警察パトレイバー#12 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#13 »

レビュー◆デジモンセイバーズ」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5112/10868062

この記事へのトラックバック一覧です: デジモンセイバーズ#12:

« 機動警察パトレイバー#12 | トップページ | 桜蘭高校ホスト部#13 »