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機動警察パトレイバー#16

「努力は時には報われるの巻」

2月.札幌の雪祭り会場警備のために第2小隊は海を渡った.テロリストの襲撃予告を受けて配備されたはずなのに,悪ガキにビニールシートを足元に投げ込まれて2号機が滑り,早速雪像をぶっ壊すという破壊神ぶりを見せる.
イングラムを転ばせた少年は東京からの転校生で,レイバー好きだったけれど第2小隊に家を壊されてから大嫌いになっていた.迫るテロリストの脅威より,野明はそんな少年のことが気にかかる.

日常ロボットでないとできないあらゆる状況に果敢に挑戦する「パトレイバー」.戦争のような非日常で稼働するロボットには無理な状況だって,イングラムをはじめとしたレイバーたちなら容易く入り込めるところは本作の利点.雪祭りだって手伝えてしまうわけですね.…結局手伝ってるより壊してる方が多かったけれど(苦笑).
現実的なロボットに乗る搭乗員たちもやはり現実的で,ちゃんと悩みを抱えているのが今回の見所.高橋哲子氏の女性らしく繊細な脚本の中では,能天気なヒーローではない職業人たちが仕事の上でいろいろと考えております.中でも一番印象的なのは…本当に太田って迷惑ってことだな(笑).作画監督は高木弘樹氏で,原作に近い端正な作画を時折見ることができます.

前半.現実より随分と空の広いところに建つ時計台の鐘の音が響く.ここは札幌,2月の雪祭り会場.大通公園には雪像と雪像を作るレイバーたちとともにイングラムの姿も.イングラムも含め,レイバーたちはよくあんな寒いところで普通に動いているよなぁ.当然寒冷地仕様もちゃんとあるに違いない.
関東の破壊神として恐れられている第2小隊がわざわざこんなところによこされたのにはそれなりの理由があります.置いとくだけでトラブル起こす第2小隊には宣伝もサービスもボランティアも無理なんだから,レイバーで手伝ってイメージアップ大作戦だなんて遊馬の読みは甘すぎ(苦笑).もはやその程度の点数稼ぎではなんともならないほどに,第2小隊はダメなのだということをしっかり自覚していただきたい.
実際,特に2号機なんてのは動かした瞬間から始末署のを生み出すような呪われた乗務員であり,調子に乗って雪像作りの手伝いをしたら足元のビニールシートですっ転んで雪像大破! 雪を積み上げて固めるところからじっくりと時間をかけて作られる像を一瞬にして相当壊すだなんてさすがは太田と言うべきか.ただし今回の事故の場合は,完全な自爆ではなく見知らぬ少年の犯行によるものなのが根が深い.
手間のかかる部下たちを引率してきた後藤と東京の南雲との電話によって語られる,第2小隊が送られた理由.そこにはおなじみ,バビロンプロジェクトに反対する過激な環境保護団体・地球防衛軍の影がありました.環境保護団体の一部が警察の敵になるあたりも,さすが近未来シミュレーションって感じ.ただし現実には…環境保護団体よりもカルトの方が洒落にならなかったんだよな.
今回の第2小隊の敵は地球防衛軍の「山の小屋」.関係各所に「Lに気をつけろ」と声明文まで送りつけ,雪祭りをレイバーで襲うらしい.ただし陽動だったときのことを考えて第1小隊を首都圏に居残りさせてるってことは…それは警視庁的には札幌なんか最悪どうなってもいいってことかい(苦笑)?
そんな事情をまったく聞いてない第2小隊隊員たちは,ひろみの恐縮ぶりで雪像を壊したことを許してもらったあとはひたすら待機.太田は自分を転ばせたシートの少年をいたく恨んでおりますが,捕まえて補導しようにもレイバー2機が倒れた騒ぎでそれどころではない.ちなみに香貫花が「日本人て変なものが好きなのね」と地の果てで沢山の人々が雪や氷と戯れる会場に対してあんまりなことを言ってますけど,実際は外国人観光客もかなり多いですよ(笑).
今回の展示の目玉は新東京開発公団が出品協力しているバビロンの城.上から見るとBABYLONと読めるあたりがしっかり伏線.…よくこんな絶対壊される題材を選んだもんだ(苦笑).そんな雪像も皆人間とレイバーの手で作られているわけですが,レイバーを見る子どもたちの中にさっきの悪ガキの姿が.イングラムのスペックに関しては異様に詳しい癖に,雪玉ぶつけているのがなんだかアンバランス.で,そんな彼を引率していたのが偶然野明の高校時代の先輩であったことから,さっきの少年が背負っていた切ない事情が明らかになります.
氷点下の雪祭り会場で焼きとうきびを売る露天が本当にいるかどうかは定かではありませんが(笑)焼ききび食べながら話すところによれば,先輩が教育実習で引率してきたあの少年は東京から引っ越してきたサトル君.彼は既に全国レベルで名が通っている第2小隊の猛威の被害者.出動の際に家を壊されて引っ越さざるを得なかったから,レイバー好きが反転して憎さ100倍に.もちろん家を壊したのは恐らく太田機だろうし,犯罪を止めるためには不可避の行動であったことは間違いないけれど…自分たちの活動が他人の人生を曲げているとなれば,複雑な気分になるのは当然のことです.
そんな会話の最中に響く爆発音と上がる噴煙! 爆発したのは盗まれていた菱井のレイバー.時限爆弾をつけられていたそれは警察に対する宣戦布告.ついでに犯行声明文もいつもの体裁で届けられ,「きっとマニュアルがあるんだぜ!」と遊馬が混ぜっ返しております.確かにこんな緩い会話している部署に後輩が配属されたなら,「恐ろしいことって身近にあんのね!」と先輩も言いたくなるよな(笑).この調子なら間違いなくテロリストは仕掛けてくるでしょう.
その一方で,さっきブルーシートを少年が投げ込んでいたのを見ていた野明は,少年の監督者である先輩と,野明と一心同体の遊馬に話すことになります.レイバー好きがレイバー嫌いになるのはよくある話と遊馬は言うけれど….先輩はサトルから直接話を聞くまではこの件はオフレコで行くように頼み,「誰にも言わないよ」と野明も了承.自身も病の深いマニアである野明.同類のマニアが自分の仕事でレイバー嫌いになるなんてのは…辛すぎる.

後半.例えば電車が大好きな運転手が自分たちの運転で幼いマニアを傷つけたとしたら,それが不可抗力であったとしてもひどく悔いるはず.それと同じことが今野明の上に起きてしまって,彼女には…何もできない.深夜,旅館から一人抜け出して格納庫内のイングラムを見上げる善良な運転手の目には,悲しみがあります.
市街地で大捕物をやるという仕事柄,物損人損はどうしても避けては通れないことがある.太田が2号機に乗っているとなればなおさら.つまりはその運用方に課題があるわけで…「アルフォンスが悪いんじゃない.そんなこと誰にも言わせたくないよ」.
レイバーは絶対に悪くない.悪いのはレイバーを市街地で使う人間で,使わざるを得ない状況をつくる犯罪者.自分たちは精一杯やっていると自負しているからなお憂いは深くて…「一生懸命やってんのになぁ」とうずくまる.野明が仕事ゆえの苦悩を表に出すこのシーンは,彼女の内面を一気に掘り下げるとても良いシーンです.
そしてそんな苦悩を格納庫の外で案じているのがバックアップの遊馬.真冬の北海道の深夜にどてら一丁で出るのは絶対無茶だと思うんですが(苦笑)とりあえず缶コーヒーを1本,こっそりと置いていったつもりが影が映ってバレてるシーンがとても優しい.若くて単純で不器用で傍観者気取りゆえに,かけてあげるべき言葉が見つからないけれど,それでも心配していることを示すこの場面は,2人の間に生まれつつある信頼の絆をわかりやすく示すシーンです.
実際遊馬は本気で心配しています,どれくらい心配しているのかというと眠りこける元凶を踏ん付けたいくらいに(笑).何も考えず馬鹿みたいに眠りこける太田の顔を本気で踏みつけようとしている遊馬が実におかしいしできればそのまま踏んでほしいところですが(苦笑)不審なレイバーの挙動音を聞き付けてしまったために犯行には及ばず.雪祭り会場で不審な行動を取る菱井のレイバーはもちろんテロリストのもの.遊馬はあわてて格納庫に駆け込み,野明のイングラムを雪祭り会場へ送り出します.
あからさまに挙動不審なレイバーに野明は警告.しかし相手と来たら折角の雪像を投げながら向かってくる! 自分たちが壊してしまっていることに落ち込んでいた野明はその行動に大変怒るものの,今度は自分が反撃すると雪像が壊れると自重自縛.基本的に壊さないとやってらんない仕事なんだよなぁ.
なぜ野明がそんな行動を取るのかを理解しているがゆえに遊馬も強いこともいいことも言えず,追い詰められた1号機を救ったのは…顔を踏みたかった元凶の2号機(苦笑).ただし銃撃によって雪像の被害も甚大で,野明はあわてて助けてくれた2号機をはがいじめ.味方同士で足の引っ張りあいをするしかないこの状況が切ないなぁ.
破壊神が出てきたために結局はレイバーを捨てて逃げ出すテロリストたち.逃走する2人は早速ワゴン車に乗り込むんだけど…車の周囲がすっかり包囲されている上に,運転席には「Hello」と香貫花,後ろからは「はいいらっしゃい」と後藤(笑).1号機と2号機の必死の足止めによってついにテロリストが逮捕された…ってことでいいですか?
しかしまだまだ脅威は去っていません.翌日犯人が吐いたところによると,もう雪像の中に爆弾は埋めちゃって,しかも正午に自爆するように設定しちゃって.こんな時にはどんなことをしてでも犯人に口を割らせるべきだと思うんですが,そっちは芳しくないようで結局第2小隊が爆弾探しをすることになってしまいました.…正午まで爆発しないとわかっているなら,道警の皆さん方にも一緒に探してもらいたい.切実に(苦笑).
レイバー2機を中心にして捜さねばならない大通会場は無闇に広く,しかも昨日の大捕物のおかげでどのあたりにあるのかという具体的な手掛かりも失われ,その上見つからないときには,雪像どころか人命まで巻き込んで爆発するに違いなく,駄目押しとして残り時間は2時間以下.日頃の行いの悪さが如実に出たこの悪状況下で,彼らも必死に考えます.
闇雲に探すことに限界を感じた野明に向かって,お前だったらどう埋めるかと尋ねる遊馬.繊細な指先を持つ機種ならばともかく,ノーマルな汎用レイバーでは普通の雪像には埋めることはできない.となれば雪のブロックを外した中に入れるのではないかというのが本職レイバー乗りの推測.この推測が正しいならば,爆弾を仕掛けたブロックにはレイバーの爪痕が残ってるはず! もちろん探すのは難しいことだけれど…「弱音を吐いてる暇はない!」
雪像は雪を積んで造形し,最後に表面を丁寧に加工して作るのが普通.雪を積んでいるときにはレイバーの爪痕が大量についたはずですが,展示直前の仕上げ段階ではそれも綺麗に消されていたはず.本当は仕上げの時に水氷でコーティングされてブロックが外れなくなるはずですがまあともかく(笑)本当に大切なものを壊さないためにも,一刻も早くブロックの奥から時限爆弾を探し出さねばなりません.「もう絶対壊しちゃダメ.探すんだよ,なんとしても!」
…ただし雪をブロック積みした雪像の数は多く,積まれたブロックの数はさらに多く…ここで決め手となったのが犯人たちが出してきた声明文.上空から雪祭りのシンボルである新東京開発公団のバビロンの城を眺めたならば,そこにはLの文字がくっきりと.「Lに気をつけろ」という警告が真実で,敵がバビロンプロジェクトを潰すための組織であるならば,この雪像に仕掛けるに違いないと後藤が気づきます!

爆発するのはバビロンの城のLの文字を作るブロックの中.あとはテロリストの爪痕を探すだけですが,ここにいきなり走り出していったのが例のサトル君で,物凄く危険な現場に駆け込んだ上に爪痕つきのブロックを発見! …家を壊されイングラムが嫌いになったけど,乗っている人たちが必死で壊さないために頑張っているのを見てわだかまりが解けたみたいですね.本音としては,未だにレイバーが大好きだったんだろうなぁ.
発見されたブロックを再度外して爆発物を取り出すのは,もちろん手先の器用な1号機.…ブロックを外したところを覗き込むそのカメラは一体どこについてるんでしょうか(苦笑).残り時間はあと3分.太い指先でそっと取り出して思いっきり上に投げたところを2号機が射撃!爆破! …かくして大惨事を免れて,第2小隊としては珍しくいい仕事ができてよかった!
途中で雪像をかなり壊したものの,特に太田が出ていて最終的にうまくいった事件は珍しく,無事に終わったと報告する後藤もなんだかうれしそう.しかし,南雲隊長に言われるまでは爆弾が2つも3つもある可能性についてはまったく失念しちゃってたのか…(笑).何はともあれ雪祭りは無事に行われ,その映像は第2小隊の姿とともに全国に配信されていきます.仕事がうまくいったときの喜びは思った以上に格別だよなと思いつつ,次回に続きます.

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