« 7月分アンケート結果まとめ | トップページ | 機動警察パトレイバー#17 »

桜蘭高校ホスト部#17

「違うと言い張ることほど本当の巻」

将来を嘱望される鳳家3兄弟の末弟である鳳鏡夜.夏休みの最終日,彼は庶民デパートの中で目覚めた.環たちが寝ている鏡夜をここに運んで置き去りにしやがったのだ.携帯電話も財布も持たない状態で,このままでは家にも帰れない.…そんな彼を救ったのは,ホスト部唯一の庶民であるハルヒの財布だった.
財布なハルヒを従えて,ファーストフードを無造作に食らい物産展を眺める鏡夜.ハルヒや庶民の前では利益がないから愛想もなく,計算以外でも動く環とは1ミリも同じところはないはず.けれどハルヒは彼の行動の中に,打算では説明できないものを見つけるのだった.

高い完成度で見るもの全てを幸せにしてくれる素敵な「ホスト部」.タイトルと設定の敷居だけはそれなりに高いですが,そこさえ越えてしまえば大抵の人間が楽しめてしまう,かなり普遍的に愉快な出来が素晴らしい.全体的なバランスが絶妙で,根底から世界観も健全.割とどこでも褒められるわけですが(笑)鏡夜が主役ゆえにいつもより動きが小さな今回の場合は,印象的な音を誉めてみたい.時には心象,時には状況を示す愉快な音効が静かな物語に見事な色をつけてくれます.マンガであれば書き文字で示されるものだけでなく,端書きや空白すらも音によって描いているのが興味深い.原作と見比べるとアニメなりの解釈の面白さがはっきり見えて,福田道生氏の演出も冴え渡っています.

前半.今回の主役は鳳鏡夜.由緒ある公爵家の末裔で現在はヘルスビジネス界の雄である鳳家の3男である彼は,普段から出来のいい兄2人と後継者レースを競っております.主席キープは当然でそれ以上を常に求められる3男へのプレッシャーはでかく,本人は断固として否定するでしょうが夢にまで見てしまう程度には辛いはず.
で,そんな嫌な夢の最後には「凄いこと考えついたぞ!」と能天気なバカの笑顔.ふと気づいたときにはなぜか鏡夜は庶民の雑踏の中.普段着で長椅子の上でひとりきり座り,なんとなく寝乱れた頭.少なくとも自宅のベッドの中ではない「…ここは…どこだ?」
沢山の庶民の店と買い物に興じる庶民たち.フロアガイドが示唆するようにここはデパート.どうやら寝起きデパートをお見舞いされたらしい鏡夜の頭はなかなか動かないけれど,次第に「環がなんか叫んでいたような…」と思い出してきます.本人も完璧うろ覚えなんですが,1時間前,既に鏡夜は寝起きホスト部を食らっていたのです.
今朝.ホスト部一同は鏡夜の寝室にいきなり訪問し,デパートのふるさと地方物産展を見に行こうと誘いに来やがりました.庶民文化を学びまくってハルヒをより理解するのだ!と無駄な向上心を発揮する環は「さあ行こう!すぐ行こう!」とハイテンション.しかし寝起きが凄まじく悪い鏡夜は,ベッドの中,舌打ちしながら凄い目で睨む(苦笑).
とんでもなくおっかない鏡夜の寝起き.これまでも殿はときどきその怖さに負けてきましたが,今回はテンション高いのと味方が多いのであんまりおびえていませんね.…鏡夜が今朝寝たのは明け方5時.一体そんな遅くまで何をしていたのかも気になりますが,できれば昼過ぎまでゆっくり寝かせてあげたいんだけど….
低血圧魔王はホスト部を仲間扱いも客扱いもせずに静かに荒れ狂い,そこに「すごく寝起きがわるいんだねぇ」と寝起きの怖さは兵器並のハニー先輩に言われ,鏡夜のかわりに「お前が言うな」と突っ込むモリ先輩.今回の彼の仕事はここくらいですか(笑)?
「何が庶民文化だ,庶民ネタはいいかげん飽きがきてるんだよ」と眠い魔王は暴言というか本音を吐いて(笑)マンネリ人間に「行きたきゃ勝手にしろ」と捨て台詞を残し再び就寝.しかしこのマンネリ人間はテンションが異常に上がっていて,本当に勝手にしやがりました.拒絶の台詞をお許しと解釈し,再び寝た魔王様を勝手に着替えさせて勝手に同行させちゃう.冷静沈着でやや距離を置きがちな彼をおもちゃにできるなんて希少な機会だ(笑)!
てなわけで寝ている鏡夜まで引き連れて庶民スーパーへと乗り込んだホスト部のぼんぼんたち.金持ちだけど建物を借り切ったりしないところがいいよなぁ.そこに広がるのはハルヒがいなければきっと一生目にすることもなかったはずの光景で…大量生産にエキサイトしてみたりペットショップに気もそぞろになったりアイス食べたかったり屋上のイベント見たかったりともう夢中.デパートの魔力によって鏡夜はひとり置き去りにされて…気付けばひとりぼっちでした(笑).
「なるほど…そういうわけか」と自身がバカどもに置き去りにされたことを認識した鏡夜.現在位置を確認し歩いては帰れないから電話して車を呼ぼうとしたら,ポケットの中には携帯どころか財布すらない.さらに寝起きのために腹も減っていて….
ツッコミ属性を持つ者にとって,ボケにコケにされることほど耐え難いことはありません.鏡夜にぶつかった不注意な少年が見たのは,なまはげよりも怖い顔の魔王様(笑).「環の奴め,絶対に殺す」と本気で怒った顔は凄まじく険しくて,描いてる奴絶対楽しんでる.…そんな怒れる無力な魔王様を救ったのは偶然.「なんでこんなところに!」と運悪く登場してしまったハルヒに向かい,「ハルヒ,所持金はいくらだ」「は?」
普段なら金を貸すことはあっても借りることはありえない鏡夜ですが,今日ばかりは特別.手持ちが少ないハルヒにファーストフードをおごってもらって腹ごしらえ.ちなみに経費に関してはあとで環に十倍返しさせると本気です(笑).…鏡夜にとっては救いの女神ですが,せっかくの庶民ライフを満喫していたハルヒにとってはいい迷惑.しかもこの機嫌の悪い迷惑ときたら,いつもとかなり違うのです.
ファーストフード店内,ホスト部ゆえに当然目を引く美形である鏡夜に向かって店員はご一緒にいろいろお勧めしようとするも,「いらないと言っている」と不機嫌魔王は恐ろしく(苦笑)「もうちょっと言い方があるでしょう」とハルヒに嗜められる始末.店で品物すら頼めないような未開の地にほうり出されたことが,相当頭に来ているんだろうなぁ.
過剰なサービスは断固拒否,ハンバーガーも手づかみでがぶり,そしておごってもらった癖に口に合わないとはっきり証言(笑).彼がおごってもらって文句を言いそうな奴であることは間違いないですが,いつもの上品な彼とは思えないほどのこのワイルドぶりをれんげさんが見たら,やっぱり裏人格萌えとか言い出すんだろうか….
庶民たちとハルヒさんしかいないここでは,人の目など気にしない鏡夜.「こんなところで上品ぶっても,何のメリットもないって意味だぞ」とわざわざかぶせて否定するところが微妙におかしい.別に金持ちってマナーとかいろいろ大変なんだとハルヒさんに思われていたって構わないだろうに,それを無理に否定して何のメリットがあるって言うんだ(苦笑).
利益がないと本人が判断した場所では鏡夜はどこまでもぶっきらぼう.利益があるときの優しい笑顔は見る影もなく,どんなときでもたぶん天然ホストな環とは大違い.…「なぜ環なんかと仲がいいかと聞かれれば」とハルヒの心を勝手に読んで回答する魔王様が挑むような目で言うところによれば,「利益があるからだよ.俺はそれ以外の理由じゃ動かない.エゴイストだからな」
さらりと冷たいことを言う鏡夜.しかもそれは環だけでなく,ホスト部の全員が最初から利益があることを知っていて手を組んだのだと衝撃の告白.それは未だハルヒの知らない,各自の家の事情も絡んだ話.ただしその利益が具体的に何を指すのかについてはきちんと説明していません.それと環の馬鹿に関しては,利益がなくても行動しているのは否定しようもなく,彼と自分には「1ミリも同じところがないな」…とわざわざ否定するのが逆に怪しい.
腹も落ち着いたし財布も見つかったので,帰らずに物産展をひやかしていくことにした鏡夜と,財布のハルヒ.良家の子弟である鏡夜は真珠の良し悪しまで見分けてみせて,庶民の中だからこそ能力が際立ってます.ハルヒと他のホスト部の連中の間にはドでかい壁があるのだとハルヒは最近自覚しつつあり,特に鏡夜に関しては,自分の事情が筒抜けであるがゆえに情報格差を不公平と感じています.一方的に知っていてずるいという意見に対しては「それなりに興味深い感想だ」と答えるに留まる鏡夜.…情報は力.今のように不公平な方が鏡夜には有利なのです.
例えば兄弟については,パーティで3人並んだなら末席にいるのが鏡夜.跡継ぎ候補としては最後尾を歩み,折角の優秀さも2人の兄ゆえに霞んでしまう…なんてことは自身の弱みなんだからハルヒになんか言うべきじゃないはずなのに,緩やかにはぐらかしながらも語っているのが面白い.3男には父の期待を無難にこなす以上のものが期待されていて,しかしそれすらも「これ以上面白いゲームはないと思っているが?」なんて言葉は本音? それとも強がり? …どっちにしても庶民デパートの物産展で語るのはあまりにも不似合いな話なんだけど(苦笑).
鏡夜の言葉をまとめると,彼は利益最優先で環には欠片も似ていず後継者レースすらゲームとして楽しむようなエゴイスト…であるはずですが,ハルヒはこれから起こる出来事を目にして,それが真実かどうか疑問を感じることになります.物産展の片隅に,なぜか正義の味方が降臨してしまうのです….

後半.鏡夜が見つけたのは物産展の片隅で焼きものを買おうとする奥様.店主は有名作家の作だと和装の奥さんに茶碗を売りつけようとセールストーク中.ただし本当の門外不出クラスなら,10万台では絶対に出ないよな(苦笑).そこに「偽者ですよ,奥様」と華麗な音楽をひきつれて颯爽と登場する鏡夜.…いや,きっとあからさまに偽物なんだろうけれど,それでもお茶碗はもうちょっと丁寧に扱ってやってくれ…(苦笑). 本物の色合いや刻印すらも熟知して,しかも作家本人と交流まである鏡夜は業者に鬼の笑顔を浮かべ,見事老婦人を救います.
自称エゴイストの癖になせか他人を助けてしまった鏡夜.明らかに利益のない行動をなぜ取ったのかと思ったら,実はあのご夫人は大手電機メーカーの会長夫人.はじめて逢うけど指輪でわかった,と,凄いところで個人を特定しやがった鏡夜の眼力が恐ろしい(笑).和洋を問わずこういうのには滅法強いタイプみたいですね.ただしハルヒはさっきの光景を正確に覚えていたため,ラストでは鏡夜よりもさらに鋭い眼力を示すことになります.
さらに自称エゴイストである鏡夜が会場で感じた疑問ときたら,メロンはそんなにお菓子メーカーに人気なのか?という大変に彼らしくないもの.意訳するならコーンなのにメロン味とか意味わかんねみたいな素朴な感想に,「それなりに興味深い感想です」とハルヒは笑います.それじゃまるで環みたいだ! …そんな指摘に驚いて,笑う鏡夜.確かにこういうのは環や双子の領域で,一ミリも似ていないと言った癖にしっかり似ている.
さてその頃! 屋上では今回唯一のアクションシーンが展開されておりました.環は犬を満喫,ハニー先輩もアイスを満喫,そしてなぜか双子はメリーゴーランドを満喫.さらにイベントステージではちょっとしたヒーローショーまで見られるんだけど…そこに聞きなれた高笑いが(苦笑)! 強力モーターで出てきたお姉さんことれんげさん.このあたりのれんげさんのメリハリの素敵な動きっぷりが映像として大変に面白いぞ!
れんげお姉さんに襲いかかるナマハゲさん.宿題をしない悪い子を襲う悪から「助けてー!オウラン戦隊ホストレンジャー!」…いろんな意味でれんげさん,本当にやりたい放題だ(苦笑)! 無駄に金持ちの娘なもんだから,同人誌の出版に留まらず,その溢れる資金力で自分の妄想世界を一般に広げようとしているのか.で,ここで出てきた影のリーダーの黒いホストレンジャーを見て,ホスト部全員,大変なものを忘れていたことに気付きます.
物産展を見終わった後,目覚めた地点に戻ってきた鏡夜とハルヒ.いくら環が筋金入りのバカだとしても,いい加減気付いて迎えに来るだろうと考えたのかな.…例えば環ならさっきのご婦人もきっと彼なりの利益を得るために助けたはず.そんな環は自分と違うと語る鏡夜と,そこからやや離れて座って鏡夜を見ているハルヒ.ハルヒには鏡夜の言う「利益」がわからない.
利益とは一般的には金や名声や実益.それは好んで人助けをする環の感じる「利益」とは明らかに別物.まあ彼らの場合,金や名声や実益なんかむしろ余ってる状況なのですが.環はいつだって他人のためにバカみたいに動き,特に困った人を救うために素晴らしい行動力を示してきたのは皆様もご存知のとおり.…だからこそハルヒは,鏡夜は環に似ていると思うのです.
ここで衝撃的な迷子のお呼び出し.「東京都よりお越しの鳳鏡夜君.保護者の須王様がお待ちです」….具体的な特徴までアナウンスされて,しかも衆目を惹きやすい特徴的で優れたルックスではもはや隠しようもなく(笑)いきなり晒しものにされた鏡夜は「あの馬鹿…殺す!」と本気で憤る.環,後でどうなっちまうんだろうなぁ….

例のアナウンスで鏡夜とハルヒがホスト部ご一行様に合流.環たちは鏡夜だけでなくハルヒまでついてきたので大喜び! さっき途切れた話の続きで,鏡夜は馬鹿と自分のどこが似ているのかとハルヒに聞くわけですが,ハルヒの人間に対する眼力は並のものではありません.さっき鏡夜が利益のためにご夫人を救ったというのは…「あれ,嘘ですよねぇ?」.あの時指輪は見えなかったから,鏡夜は救う相手が誰かもわからない状況で正義の味方をやったはずなのです.
エゴイストと言い張る癖に,やってることは利益度外視の正義の味方な環と大差なし.「先輩がわざとエゴイストとして振舞うのは,実際エゴイストでない以上,違和感を感じます」と鏡夜のような口ぶりで偽者を見破られてしまったら,「それなりに興味深い感想だ」と応えるしかない(笑).…そもそも本当のエゴイストなら,こんなぬるい部活とバカ部長を護るために新聞部を追い詰めたりはしないもんなと思いつつ,次回に続きます.

|

« 7月分アンケート結果まとめ | トップページ | 機動警察パトレイバー#17 »

レビュー◆桜蘭高校ホスト部」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5112/11326352

この記事へのトラックバック一覧です: 桜蘭高校ホスト部#17:

« 7月分アンケート結果まとめ | トップページ | 機動警察パトレイバー#17 »