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デジモンセイバーズ#16

「病も過去も謎ばかりの巻」

メルクリモンの座す無限氷壁に向けて旅をするマサルたちだが,ヨシノが謎の高熱を出して倒れてしまった.医者であるトーマの指示によって一同は休息を取るが,病に伏せるヨシノをイクトが襲い,なぜか一瞬の接触によってイクトにヨシノの病が移ってしまう.
デジタルワールドの未知のウイルスに感染したヨシノを救うには治療のためのワクチンが必要で.それは同じ病に倒れたイクトも同じ.ファルコモンはイクトを救うために流れ者の岬の情報をマサルたちに提供し,ワクチンのために敵同士が一時的に手を組むことになった.

デジタルワールド脱出のために異世界を歩む「セイバーズ」.この旅は次の段階で大仕掛けを動かすための仕込みのようで,1話完結の爽快さは前クールより薄くなっているわけですが,謎解きのポイントとなるこの回はなかなかの見ごたえ.ちりばめられた伏線どもだけでなく,一時的に手を組むファルコモンのヘタレっぷりがいい(笑).
いきなりほぼ全装備ロストして,それでもくじけていないマサルたちの精神は並でなく太く,そんな精神面での超人ぶりが,イクトのいないファルコモンの脅えっぷりとの比較ではっきりします.また,台詞のあちこちにいかにも彼ららしいやりとりが散見させるのも楽しくて,さすが横手脚本,いい仕事してますね.

到着直後からいろいろあって,もはや無限氷壁へと向かうしか道がなくなったマサルたち.前回は大きな谷を越えるどさくさにまぎれてトーマが完全体進化を習得.未だ未習得なのはヨシノのみなわけですが,前回ラストでばったり倒れたその続き.いきなり39度近い高熱を出し,意識も飛んだ彼女をなんとかするため,一同は進撃を休止して手近な洞窟に入ります.
一体どこの医学部がとち狂ったのか,医師免許なんか持ってやがったトーマがヨシノを診察し,残る連中は外で心配中.…さすがに命に関わることだし,「特例」って言っとけばどんな免許持たせてもいいってもんじゃねえよ(苦笑).「むかつく完璧超人め!」というマサルの苦々しい言いっぷりがおかしい.
でもって完璧超人は,ヨシノの病状を疲労が原因と診断し,休息を取ることに決めました.この状態でも任務を諦めないヨシノは見上げた根性ですが,ヨシノだけでなく自分や「体力馬鹿」にも休息は必要.…ここでトーマが見逃したヨシノの体の光こそがウイルス発症の証.あんだけ表面に症状が出ているんなら診察すれば容易に見つけられたと思うんだけど…(苦笑).
ちなみに「体力バカ」はアグモンたちとともに水汲みに行ったものの,ついつい流れで水遊び.あのマイペースの塊みたいなマサルでも,トーマに比べて役立ってないこととかは気にしているんですね.でもそれ以上に遊ぶのが好きだからダメなんだよなぁ(苦笑).で,すっかり興じていたところをトーマに見つかり「この2人に休息は必要ないみたいだな」と嫌味を言われて,情けない.
マサルとトーマたちが水辺に行ってしまい,ヨシノのみが洞窟に残され,この隙を見逃さなかったファルコモンとイクトが病のヨシノを強襲.病の相手に襲いかかるのはとてつもなく卑怯なわけですが,イクトの場合は卑怯という概念を持っているかどうかも怪しいか….ふらふらの彼女の胸倉を掴み,イクトは「デジタルワールドから出て行け!」と脅します.
そこに遅れて駆けつけたマサルたち,特に男気溢れるマサルは弱い彼女を狙ってきたイクトに大変怒る.しかしヨシノがイクトの手を掴んで制止し,なぜかその手から何かがイクトへと伝わって…イクトまで発光して倒れてしまいます.これに対してウイルスをうつしたな!とファルコモンが怒ってくれたおかげで,ようやくヨシノの病状が説明可能となりました.
今ヨシノの体を侵しているのは,居留守ではなくウイルス.デジタルワールドの未知の病原体に侵されて,39度突破の洒落にならない高熱を出しているわけです.もちろんそれがうつってしまったイクトも,撤退先ですっかり高熱にやられております.どうやら彼の場合,ウイルス感染で熱を出したのははじめてではないけれど,治療するにはあるアイテムが必要です.
ただ焚火の傍に寝かせておくだけでは,ウイルスに感染したヨシノの症状は悪化するばかり.いくら反則臭い医師免許を持っているトーマでもこのままでは治療できなくて…文鎮ではなくワクチンが必要.本来ワクチンってのはウイルスにかかりにくくするためのものではないかと思うんですが…まあいいや(笑).ワクチンがなければ誰が何と言おうと助からない.それほどに症状は重く,進行ははやくて….
どうやらデジモンには病なんかないらしく,ゆえにアグモンは病がわからない.ガオモンにしても知っているのはあくまで定義のみで経験があるわけじゃなさそう.アグモンが病について卵焼きがらみで理解するあたり,芸が細かいなぁ(笑).…そして,このままでは病を治すことなどできないと言いながらやってきたのがファルコモン.ヨシノもイクトも,ウイルスに侵された者を治すためには流れ者の岬に行くしかない!
焚き火の脇で並んで高熱にうなされることになった病人たち.昨日はマサルたちを襲いにきたファルコモンは,今回は協力を求めに押しかけてます.それは見事な掌返しで虫が良すぎて…けれどそうしなきゃいけないくらいにファルコモンは追い込まれているのです.幼い頃からイクトとともに育ってきたファルコモンは,人間の病気を治すには岬に行くしかないことを知っていました.同時にそこがデジモンには穢れた場所だということも,保護者のユキダルモンから聞いていたのです.
以前人間が住み着いていたという流れ者の岬.…人間って大門博士のこと? それとも別の誰か? ともかく医療に心得のある人がいたってこと? 現状ではここにいる人間は大門博士とマサルたちだけのはずだけど…重要なのは,病人を救う鍵がそこにあるに違いないということです.
ヘタレであるファルコモンは一人では穢れた地に入ることができず,最も手近で同じ立場の連中に助力を求めにきました.ここでメルクリモンやゴツモンに助けを求めないのが不思議ですが,メルクリモン自ら例外なく侵入を禁じたとすればわからなくもない.もはやここにしか道のないファルコモンの本気を一同は認めて,ヨシノとイクト,ララモンを残し,流れ者の岬へと向かうことに.

翌日.この日のうちにウイルスを手に入れなければ,病人たちの命が危ういという勝負の1日がスタート.目的地は海岸に英数字の残骸が打ち寄せている流れ者の岬.…人間界に縁の深いものが転がってるってことは,デジタルワールドの中でも人間界と繋がりやすい地点だったりするんだろうか.
メルクリモンを倒すのに加えて父を探すと約束してきているマサルは岬の住人が気になって仕方がない.しかし人間については伝聞でしか知らないファルコモン.育ててくれたユキダルモンなら知っているかもしれないけれど…死んだから聞くことができない.
ここでデリカシーのないトーマがデジモンには死は存在しないはずだとツッコんでしまって大失敗.他のことならともかく,生死に関わることに安易にツッコんじゃダメだ(苦笑).マサルには睨まれ「だから人間は嫌いなんだ」とファルコモンにも言われて謝るしかないトーマ.いつもに比べると今回のトーマはかなりダメな感じだ.
到着した流れ者の岬では,崖下に大きな屋敷が釣り下がっています.物理法則を無視しているあたりが前回の谷のビル群に似てますね.中はどうやら数年前から無人の様子.今は一刻を争うので,周囲の探索はそこそこにしてさくさくと全員で踏み込みます.…ここまでひたすら強がっていたファルコモンが,ついに完全にビビってマサルにしがみついちゃってるのがおかしい.
無人の屋敷には確かに人のいた形跡がありました.中でも古い型のパソコンは専門分野ということでトーマが夢中.どこから電源取ってるのかはよくわかりませんが,立ち上がった画面の「DGOS」マークはDATSマークとよく似てる.これもDigitalからはじまる組織名を省略した,DATSの前身団体あたりだろうか?
パソコンにログインするにはパスワードが必要.恐らくは大門博士に繋がる重要な手がかりなのでトーマとガオモンが残っていじり続けるんだけど…だからトーマは天才の癖に何やってんだ(笑).一番正しい対応は,即刻PCを分解してハードディスクを持ち出すこと.もしハードディスク全体が暗号化されていたとしても,より環境が整った場所に持ち帰ることができれば,中を見られる確率は確実に上がるはずなので覚えておきましょう(苦笑).
マサルとアグモン,ファルコモンはワクチン探しを続行し,ついに研究室のような部屋の冷蔵庫の中に1つだけ残っていたワクチンを発見.…ここでもやっぱり電源は生きてるんだなぁ.目的の物を一刻も早く持ち帰りたいわけですが,ゴツモンの手引きで送り込まれた巨大お花オカマことブロッサモンが大事なワクチンを奪いやがります!
完全体のブロッサモンはマサルたちだけでなくファルコモンまで裏切り者扱い.早速襲いかかるところを,マサルが体で庇います.単純で真っ直ぐなマサルにとっては今のファルコモンは仲間.仲間のために体を張るのは当然なので,ファルコモンが薬を取り返した直後もしっかり体でフォロー! イクトのために頑張っていて,マサルほど単純にできていないファルコモンには,いきなりここまで信頼してくれるマサルが大変に不思議.
この状況で敵に立ち向かえる勇気を認め,ゆえに「鳥,お前は先に行け!」とワクチンを託してしまうマサル.もちろんいきなり仇敵に大切なアイテムを託されて狼狽しない奴もいないわけで(笑)ファルコモンはマサルの真意を質すわけですが,マサルは「男は絶対,仲間を裏切らねえもんだ!」と豪快に返事.これまで死ぬ気で頑張っていたのをしっかり見ていたからこそ,男の中の男だから信じる価値があると判断しちゃってるわけです.…敵のはずのマサルの度量は思った以上にでかくて,そこまで言われちゃ飛ぶしかないのに!
2人きりでバトルに挑もうとするマサルとアグモンはすぐさまブロッサモンの蔓に掴まれて…しかもファルコモンまでまだ居たりしてかっこつかねえなぁ(苦笑).すっかりピンチな癖にマサルたちは先に行けとファルコモンを促し,さらに折角の手がかりをさっきの攻撃で失ってしまったトーマたちも参戦…ああ,ハードディスク抜いておけばなぁ….ここでようやくファルコモンがこの場から離脱して,完全体同士のバトルがはじまります.
いきなりフルチャージでガオモンをマッハガオガモンへと進化させ,敵の顔をぶん殴らせるトーマ.蔓に捕まったままのマサルたちももちろん巻き込まれてますが(笑)ちゃんとガオガモンが拾ってくれます.手足の自由になったマサルは早速ブロッサモンを殴りにいって,こっちもいきなりフルチャージ! ライズグレイモンとマッハガオガモンに睨まれちゃ,ブロッサモンには勝ち目なし…っていうか,アグモン進化しなくてもマッハガオガモンだけで十分勝てた気がするのは気のせいか(苦笑)?

邪魔者をしっかり倒して戻ってきたマサルたちが見たのは,回復しつつあるヨシノ.マサルの信頼に応えてくれたファルコモンは,ヨシノに薬をくれた上でイクトとともに姿を消していました.「言っただろ,あいつは男だって!」とマサルは得意気.あまりにもモノを考えない上に無知という大欠点はありますが,他者を見極める目や動かす熱さは,その欠点を補って余りあるほどの長所なわけですね.
かくして死の危機から免れはしたものの,双方が新しい課題を背負うことになりました.あれほど嫌っていた人間に信頼されて信頼に応えてしまったファルコモンと,迷惑をかけないためにも強くなりたいと呟く人間の独り言を聞いてしまったイクト.2人にとっての人間は育ての親のユキダルモンの敵だったはずなのに,マサルたちは命の危機を救ってくれた恩人で…この二律背反はそのまま放っておけるものではありません.
そしてヨシノには,なぜ3人の中で彼女だけがウイルスに感染したのかという謎が残りました.ヨシノとイクトの間には何らかの共通点があるはず.となれば人間界にデジタマのままで来た最初のデジモンがララモンのはずだから,デジモンとの接触時間の長さが発症のトリガー? これまでの犯人たちの様子からすると,デジモンと人間が長時間一緒にいることが双方に何らかの作用を及ぼしてもおかしくないよなとか思いつつ,次回に続きます.

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