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機動警察パトレイバー#23

「最悪に輝かしい彼らの軌跡の巻」

ついに香貫花が特車二課の制服を返上する日がやってきた.程なくニューヨークに旅立つ彼女だが,日本流の送別会などは拒否.けれどそれを第2小隊の仲間が放っておくはずもない.勝手に香貫花のマンションに押しかけて,サプライズ送別会を行うつもりだ.野明を香貫花の尾行につけて,彼女の部屋に不法侵入した遊馬たちは彼女が書いていた第2小隊に関する報告を発見.そこには彼女の見た第2小隊の実情が,赤裸々に記述されていたのだった.

放映を開始して半年.シリーズ全体の折り返し地点で転機が訪れる「パトレイバー」.有能だけど時々滅茶苦茶な香貫花が第2小隊を離れることになり,この先は物語全体のムードがややリアルな方向へと移っていくことになります.…目的のためなら容赦も迷いもないドライな彼女がいては,3クール目からの目玉が冒頭であっさり潰されそうな気がするしなぁ(笑).てなわけで今回はレポートに乗せてこれまでの総集編.吉永監督自らの絵コンテでこれまでの過程を集約.当時事前に予想されていた以上に当たったこの作品が,更なる半年を歩むためのチケットを手にいれた栄光の軌跡です.

前半.私服の香貫花が隊長に制服を返上し,ついに約束されていた別れの日が到来.とはいえクールな香貫花は日本流のウエットなおつき合いなどお断り.最後までマイペースを貫くつもりです.そんな一見さっぱりとした姿は,強い彼女らしく弱いところを見せたくないだけなのかも…それはできる女性なら張りがちな虚勢.まるで誰かさんみたい,としのぶさんを見る後藤がおかしい.
それでも職場を去るともなれば,仲間に挨拶くらいしたいのが人間ってもので.けれど今日の職場は空っぽで,別れを告げる相手もいない,唯一見送ってくれるのはイングラムたちのみ.このレイバーたちと,そしてここにいない同僚とともに走った半年が,どうしようもなく思い出されてしまうのです.
さよならの言葉を心の中に入れたまま,赤いスポーツカーで颯爽と昨日までの職場を旅立つ香貫花.それを陰から見守っていたのが仲間の皆様.わざと隠れて何をやる気かと思ったら…「諸君,時は来た! 作戦908を実行に移す!」とやっぱりなんかやらかすつもりで(笑),これまでの実績が実績のため,見ているだけの後藤もかなりの不安を感じてます.
野明は香貫花をかなりバレバレに尾行.2人の出会いは奥多摩の訓練場以来.先輩である他の面子と違って,野明と香貫花は配属時期だけならほぼ同期なんだけど,立派な戦歴のある香貫花は先輩方よりも角上で,そんなものをまったく持たない野明はガキだった.…それから半年.計算外の事態ばかりだったけれど確かに楽しかった.
さてその頃,野明を尾行につけといて,遊馬たちは勝手に香貫花のマンションに押しかけておりました.勝手に入って送別会の準備をするつもりなんだけど,勝手にピッキングで侵入って犯罪者だ(笑).…彼らの心は学生に近くて,しかも警察官という地位を持っているから性が悪い.不審がられても「警察だ!」と威嚇すりゃいいんだもんな,でも,ドアのノブを引きちぎるのは言い訳のしようがねえなぁ.
香貫花はデパートの喫茶店で残っていたレポートのまとめ.…まさか当時は,コンピュータがこんなに小さくなるとは思っていなかったに違いない(笑).思い出されるのはソリの合わない仲間との始末書の記憶.野明は言うこときかないし,太田はもっと聞かないし…って,ここでその音楽はどうなんだ.思わず歌ってしまうぞ(苦笑).
銭湯とかクジラとか,この部署でなければ体験しなかったような珍奇な事件がてんこもりであった半年.それはそのまま,エリートの香貫花にとっては汚点ばかりの半年でもあり,つい思い出して腹が立ってレポートを書けなくなってみたり.…巻き込まれて書かされてる方が多かったもんなぁ.
さてその頃,侵入側は宴会の準備に余念なく,ケーキやら部屋飾りまで準備完了.「香貫花クランシー送別会」をやる準備が終了した時点ですぐさま主賓も待たずに飲もうとするあたり本当にひどい奴らだ(苦笑).さらにシゲさんが香貫花のパソコンに研修レポートを発見.酒の肴に皆で勝手に眺めはじめます.
「日本のパトレイバー隊第2小隊は,unique characterで構成されている.」ってな筆頭はもちろん後藤.本庁時代にカミソリと呼ばれていたことまで書いてるあたりは偉いけど,カミソリとか昼行灯とか,言葉の意味は実はあんましよくわかってないのか(笑).今はエリート街道から外れている彼は,前の上司からはものすごく恨まれていて,狙われたこともあったっけ….
状況を先読みし適切な助言は完全に信頼,そうでないものは傍観を決め込む後藤のスタイル.のらりくらりと漂うように見えながら,妙に自信ありげで無駄な行動もせず,敵の自壊をじっと見守る「ずるっけー」大人.この人が事前にもうちょっと説明してりゃ惨事を免れた事態は多そうだけど,「言ったってやるでしょ?」と淡々と言われそうな気も.
続くのは進士.商社から警察官に転職した妻帯者は,特に奥さんがらみのネタだと切れます(笑).しかも奥多摩で見せた通り,キレると歯止めが効かないので太田以上にフォワードに向いてない.「日本ではこれを逆噴射と呼ぶ」と当時の流行語で大爆笑.…第2小隊の被害を今より減らすには,本来は2号機に香貫花か遊馬のどちらかを乗せるしかなかったんだなぁ.
香貫花の手厳しい評に爆笑する皆の中,後で進士がビールを飲んだ上にキレました.僕だけ笑いものにして終わるんですかと眼鏡を光らせて暴走開始.勝手に遊馬のレポートを読みはじめてしまう.篠原重工のジュニアで陰謀で第2小隊に…と集中回想がはじまる前に逃げ出したのは,遊馬にとっては不運.ろくな回想なしに笑われるばかりなんて,一番貧乏くじ引いてるよなぁ…(笑).

後半.前半ラストで遊馬からレポートを見てると報告されて,野明は香貫花をほうり出してマンションへ.通信機がでかいなぁ(笑).しかし夕方の中井ハイム302号室は既に時遅く,ちょうど野明の部分がさらされるところ.…そんな一同の乱痴気騒ぎを猫抱えたおばちゃんが怖々見守っておりますな.
1号機パイロットの泉野明.香貫花がまだいない1話の回想からはじまってますが,強奪されたイングラムに勝手に乗り込み犯人を倒した武勇談は誰かに聞いたのかな? 基本的には濃い仲間の中に埋もれるくらいに普通だけれど,レイバーに関してだけは無謀.レイバーに乗るためだけにこの仕事を選び,名前をつけて溺愛する.趣味と仕事の一致は幸運なのか不運なのか確かにわからないですが,少なくとも「ペットに対するようなふるまい」って形容は褒められてはいないんじゃないかな(苦笑).でも回想シーンがたっぷり放映されたんだから,流された遊馬とか「データ不足」の一言で片付けられたひろみよりは幸運,…ひろみ,クジラの回とか結構頑張っていたのになぁ….
でもって最後は本命の太田.荒削りだが射撃に関しては野明よりも上.しかし…とここから全部が実例つきの太田批判(笑).例えばタワーの火事では恥ずかしいお飾りと化し,毛有毛現のときはぶっ放した上に全弾外した.「あなたから射撃を取ったら何も残らないのに!」ってのは,きついなぁ…(苦笑).王子が来たときも雪祭りでもぶっ放しては外れ,雨の中でも銃を撃ちたがった.太田の歴史は撃っては外れる動いては被害を増やす歴史.それは同時に香貫花が彼を押え切れなかった屈辱の歴史でもあります.
「彼が警察官として存在することが,まさに警視庁の奇跡であり驚異と言えよう.正義の狂戦士,歩く火薬庫,瞬間核融合炉,man of 根性パワー,様々な形容が可能であるが,最も適切な表現は…mad policeman」…これまでの香貫花の憤怒と鬱屈がまぜこぜになったこの形容に周囲は爆笑し,屈辱に太田が大爆発しちゃったもんだからたまらない! これまで香貫花が抑えていてもこの始末なんだから,これからいなくなったらどうなることやら….
管理人のおばちゃんをビビらせる轟音とともに,破壊神太田の一暴れによって室内大破.家財がほとんど残ってなかったのが幸いしましたがパソコンまでぶっ壊しちまったのはまずそう.で,この事態をどうやってまとめるのかと思ったら「逃げよう!」なんて(苦笑).逆上した香貫花は怖いと逃走することが決まってしまい…いやぁ,隊長が予想したとおり,こいつら本当にひどいや(笑)!
しかも結局逃走できないうちに香貫花が帰宅.もし太田たちが逃げきってしまったら,香貫花には第2小隊を辞した記念日に強盗に家の中を破壊されたた…みたいな暗い記憶が残ってしまうだろうから,ちゃんとバレる方がまだマシ.管理人のおばちゃんにさっきのことを報告されて,すわテロリストかと思ったら…「HOLD UP!」で鉢合わせするのはもちろん段ボール箱抱えた仲間たち(笑).本当に,強盗とかよりはかろうじてマシなレベルで最悪です.
旅立つ前に整頓した部屋を無残にも破壊された香貫花.警察官の癖に住居不法侵入に器物破損にプライバシー侵害.さよならパーティどころかさよなら犯罪をぶちかましてくれた一同を「 GET OUT!」と追い出します.…肝心なところがシマらないのは彼らの芸風ですが,よりによって最終日にやらかさなくたっていいのに.さらに管理人から警察への通報もあったので内々に処理することも不可能に.ちゃんと準備していた後藤は奴らに与えるための始末書を取り出して,「…もう少しもらっとくんだったなぁ」.

それなりに有能ではあるんですが,どうにも調子っぱずれである第2小隊.折角の送別会は実施できないままで,互いにけなしあいながら戻っていく様が大変に間抜け.そもそも警察官なんだから決して悪人じゃなく,むしろ善人と言い切ってもいいんだけれど…香貫花を辟易させるくらいに「極めて個性的な隊員で構成されている」.
常識がやや薄くて行動に歯止めが利きにくくて…独断先行傍若無人,勧善懲悪大胆不敵! 直情径行猪突猛進戦々恐々自暴自棄抱腹絶倒荒唐無稽本末転倒空前絶後! 近所迷惑厳重注意支離滅裂! …入力する香貫花が急激にエキサイトしていく様がおかしい(笑).もちろんこんな漢字祭りは報告書には使えないけど,被害者としては「組織としては欠点だらけである」ってくらいは書いてもバチは当たるまい.部屋に残された痕跡から,彼らが善意で来たことくらいは知っている.…いや,むしろ善意だからこそ逆に性質が悪いと言えるかも(苦笑).
けれど彼らがただの迷惑なバカたちではないことを,ここまで一緒に来た香貫花はよく知っている.「その業績は当初の予想を遥かに上回るものであり」と思い出される栄光の歴史.例えば東京テレポートや大島での激戦は一般人には知られないであろう事件ですが,謎のレイバーを退けるという素晴らしい成果を出してます.柔軟に物事に囚われず,彼らなりに真剣に日々の仕事をこなす第2小隊でなければ為し得なかった見事な業績があることを,同じ仲間である香貫花は知っているのです.
「彼らを支える信念,それは」WISDOM & COURAGE.足りないものばかりの第2小隊を支えるものこそ,知恵と勇気というスローガン! 華麗なるお題目を体現し暮らしていける野明たちは幸せで,そこから離れねばならない今の香貫花はちょっぴり不幸せ? …そして,第2小隊のスタイルは視聴者から見てもうらやましいんだよなぁと思いつつ,次回に続きます.

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