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機動警察パトレイバー#20

「思った以上に敏感で鈍感の巻」

技術の進歩は著しく,最新鋭のはずの特車二課のレイバーですらロートルへと近づく日々の中,野明は遊馬と彼の家庭の事情のことで喧嘩してしまう.それがどれほどデリケートな問題なのかもわからずに,無神経に他人のプライバシーに踏み込む野明と,いくら好意だとしてもこの件については他人の話なんか聞けない遊馬の諍いは静かに悪化するばかり.そして明るく気楽なムードメーカー2人の喧嘩は,第2小隊全体の雰囲気を悪くする.

荒唐無稽とリアルの混ぜ合わせっぷりが絶妙な「パトレイバー」.今回は久々の2話連続で,大変に私的な理由でバランスを欠いた第2小隊を例の敵役たちが襲います.自由意思を持つ人間を集めた組織では,集まった意思がぶつかり合って軋轢が発生するのが当然.実際これまでも遊馬と太田は何度も小競り合いを繰り返し,野明と香貫花もそれなりに衝突してきてます.一応そんな感情を棚に上げて業務を遂行するのがプロってもんだけど,若く未熟な彼らにはなかなか難しい.そんなところに大島のうさんくさい事件までからんできちゃってさあ大変!
重要回なので脚本は当然伊藤氏.日常シーンも自衛隊演習シーンも画はかなり頑張ってますが,特に原画の中に川元利浩氏が混じっているのがなんだか得した気分になりますね.

前半.今日はまだ事件の起きてない平和な特車二課.新聞が話題の中心になるような日常は重要.…朝から靴下脱いで後藤隊長は何やってんだろう(苦笑).ホリセキュリティサービスという民間の警備会社がレイバーによる警備にも本格参入というわけで,警備会社のレイバーにスペック的に負けそうな第1小隊の南雲隊長は気が気じゃない.もちろん警察と警備会社にはやれることにも大きな違いがあるので一方的に敵視しても仕方がないわけですが,そこに第1小隊に納品予定だったSRX-70が入ったりしたらどうしよう.
民間の能力が警察を凌駕するとかそういうレベルではなく,SRX-70はレイバーの戦闘情報を収集するというメーカー側の意図があった危険な機体.実際にその機体はホリセキュリティに納品され,さらにそこの相談役として例の眼鏡の男が相談役としてくっついてるんだから洒落にならない.黒崎と名乗る彼はレイバーを連れ,自衛隊の大島演習に体験入隊.…この国で戦闘データを収集するなら,これ以上の相手はないでしょう.
てなわけで首都からは遠い洋上できな臭い展開がはじまっていた頃,第2小隊にもささやかですが深刻な戦端が開かれようとしていました.第2小隊ではテスト機の3号機を一旦メーカー工場に戻してマイナーチェンジすることに.2日かけて基盤もセンサーも取り替えて,うまくいけば1.37倍の向上が見込めるわけですが,そんないい話もいきなり本番機でなくてテスト機で試そうとしているのが実に正しい.マイナーチェンジで向上の見込めるイングラムは幸運ですが,第1小隊の機体ではもうそんな向上も見込めないんだろうなぁ.
篠原の工場から受領にきた工場長の実山.彼は篠原の家に近しく,当然社長の息子である遊馬とも幼いころからのつきあいで,きっと父と息子の諍いを一番心配しているはず.けれどこの件に関しては異様にかたくなな遊馬は顔を合わせないほうが互いのためとまで言い切る始末.
この手のトラブルは見た目以上に中がこじれている可能性が高そうなので,安易に介入するのは介入される側にもする側にも決してプラスにはならないんだけど…そこまで気を回せない野明が「そういう言い方はないんじゃないかな!」と無神経に絡んでしまったのが大変にまずかった.デリケートなところにわかってない奴に踏み込まれた遊馬は即座にへそを曲げ,しかし野明にはなんでそこまで過剰反応するのかわからない.いつも能天気でいい加減な兄さんが一気に憂う芝居が素晴らしい.
あんなでも真っ直ぐな遊馬と1代でのし上がった父との間にはいろいろあって,具体的には小説の「父の息子」をお読み下さいなわけですが,そんな事情があると知らない野明はついつい傷口をさらにつついてしまって嫌われます.屋上で布団と一緒に虫干し中の遊馬のところに行って,お父さんと仲直りしたほうがいいんじゃないかと安易に言うあたりが本当にデリカシーなし.バカじゃないから言われなくても正論なんかとうの昔にご存知で,しかしそれでもそうしたくない遊馬は顔を背けます.
家庭の問題については誰にも間に入って欲しくない遊馬.「お前にはわかんなくてもいいことだ」と,たとえ仕事上のパートナーだろうとその介入は完全拒否.プライベートには嘴つっこんで欲しくないと物凄くナイーブなので,いいかげん野明も退けばいいのに…けれどデリカシーなしには過敏な彼の心などわからなくて結局喧嘩.もういい!遊馬のことなんて知らないから!と,二課の片隅で深刻な戦いがはじまったのでありました.
少数精鋭のつもりの第2小隊.隊員は全部で6人.そのうち2人が喧嘩しているとなると,全体の3分の1が大喧嘩してるってことになるから影響大.喧嘩しながら喰う飯というのは大変まずいものなので,そんなまずさを全力でおすそ分けする野明と遊馬は大迷惑(苦笑).折角の会話もぼきぼき腰を折る遊馬.普段のムードメーカーが真正面から激突しているので,見守るはめになってしまった残り4人は大変困っておりますよ.
いたたまれずに我慢できずに,太田は遊馬を倉庫に呼び出して説教.とはいえ元から太田の言葉を聞く気なんか毛頭ない遊馬にいくらご高説を垂れたって無意味! 悶々とする気持ちを周囲に撒き散らすなと言いたいらしいけど,普段から周囲に撒き散らしっぱなしのあんたに言われたくないし,こんなときは銃をぶっ放してスカーっと…なるくらい単純なのもあんただけ(笑).さらにこの説教が気を使った結果だってんだから不器用も度を越せば罪.…もちろん周囲に迷惑をかけてるってことはわかっているんだけれど,傷口はまだ若くて本当に痛いんだ.
喧嘩の相手になってしまった野明もまた,一人で落ち込んでおります.遊馬に理由を話してもらえないため,なんでこんなことになってしまったのかすらよくわからない.そんな青春すれ違いを演じる野明と遊馬が香貫花には歯がゆい.妙なわだかまりを残して帰国したくないわと,早めの解決を野明に促します.ニューヨークから半年の予定でここに来ていて,最初は長い半年と思ったけれど春になれば「香貫花アメリカに帰っちゃうんだ」.
気持ちは収まらないけれど喧嘩はやめたい二人の再度の接触.鉢合わせした遊馬と野明は,いつもと違って言葉がうまく繋がらない.互いに本心では自分が正しいと思っているため,言葉のやり取りはどうしようもなく刺々しくて,「…だいたいな,お前無神経すぎるぞ」「無神経はお互い様じゃないか」とやっぱり喧嘩に.自分を心配している野明に悪気がないのはわかっているけれど「お前なんかに何がわかる!」.確かに自分も悪かったけれど周囲の迷惑を気にせずに嫌な気分を振りまく「そんな遊馬なんか嫌いだ!」…もうここまで来ると周囲が回復に協力できる段階ではなく,二人がなんとかするべきという,香貫花の見解は正しいんだけれど.

後半.まずはその夜に大島で起きた事件について.夜間に警備会社のレイバーと自衛隊のレイバーで模擬訓練をやるなんて,余程自衛隊との太いコネがなければできなさそうな訓練ですが,もちろん自衛隊機はちゃっちゃと民間機を沈めた…ところで,いきなり発生する大規模な通信途絶.そして闇を貫くビーム,そして…髑髏のような顔のレイバーが闇の中に浮かび上がる! クリスマスの夜に自爆したはずの亡霊が再び出現したのです.
大島で大事が起きたその翌日,野明は機嫌の悪い南雲隊長にいきなりネクタイと寝癖を注意され,その直後に顔を合わせてしまった遊馬に同じことを指摘されて「うるさい!」と答えてしまった! 一晩越えて頭も冷えたところで仲直りする機会を間接的に台無しにしたのは大島のファントム.昨晩の事件を報道する紙面の中に,南雲が警備会社のレイバーとしてSRX-70の姿を見つけてしまったからなのです.
SRX-70ことサターンが納品されたホリセキュリティサービス.その背後にはクリスマスの事件の黒幕と目されたシャフトがいる? 民間機が警察用レイバーの性能をいつか越えていくことは宿命なんだから諦めるとしても,後藤はあいまいな記事が気になる.何による損傷なのか公表できないってことは….
検証の結果,レイバーたちがやられたのはビーム兵器でないかと推測されて,黒崎がしれっと去年のクリスマスの話を持ち出します.警視庁とやりあった謎のレイバー…って,もちろん彼が手引きした奴なんだけど.自衛隊もバカじゃないので,ホリセキュリティサービスとあのとき一緒に確保されたブロッケンがシャフトで繋がることくらいは把握しているはずだから,当然警備会社との合同演習は中止.ただし離島のために退去まではさせることができません.
惨事に加えて黒崎が部下に命じて流した情報によって,ついに第2小隊に大島行きの命令が下ります.相手はクリスマスの時に出た化け物レイバーの可能性が高いので,一度はそれを退けた第2小隊にお呼びがかかったわけです.けれど後藤は「どうしても行かなきゃダメですか?」とやる気なし.君たちが行かずに誰が行く!とか言われても…前の件を情報収集のための罠と考えてしまうとなぁ.
「本当は誰も行かない方がいいと思うんだよね」を思いっきり及び腰の後藤.相手が求めてるのは強者との戦闘経験.名人相手の将棋を指し,ついでに名人と渡り合ったという箔までつけたい.もちろん今回の舞台なら,イングラムだけでなく自衛隊のレイバーとも戦える.当然前より強くなってるし,戦えば学習チャンスを増やすだけだし.たとえ臆病と言われようとも自衛隊と打ち合わせて大島から全面的に引き上げてしまうってのが一番いいんだ.…置き去りにしてやったら黒崎はどんな顔するだろう(笑).

そして夕暮れ.結局大島行きを告げられた第2小隊が船へと積み込みしている最中に,後藤は遊馬と香貫花を呼び出してじーっと見比べております.しばらく悩んで「決めた!」と遊馬に八王子行きを命令.切り札になりそうな3号機を受け取って追っかけるように指示します.遊馬は未だに野明と仲直りできてませんが,今一緒に仕事してもどうせぎくしゃくするだけだろうから,強制的に一度引き離すのは正解かな.
かくして遊馬抜きの第2小隊は海路にて大島へ.出航まで遊馬の別行動を知らなかった野明は,あわてて後部甲板へと走ります.遊馬の乗る1号機指揮車は一足先に八王子へと出発.船から見えるのは小さくなっていく白い車.…響く汽笛の中で遊馬の名を叫ぶ野明.思ってもいなかったいきなりの別行動に激しく動揺する野明は,果たして大島でまともに戦うことはできるのか? 自衛隊の不破隊長との再会も気になる,次回後編に続きます.

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