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デジモンセイバーズ#19

「信じたくない己の孤独の巻」

父も見つからずメルクリモンも倒せぬままに人間界へと帰還したマサルたち.デジヴァイスのおっちゃんこと湯島所長を救うためにもマサルは一刻も早くデジモンワールドに戻りたいのだが,イクトと二人がかりで転送機を壊してしまう.あと2週間は戻れなくなったマサルたちは,この世界でイクトの過去を知ることになる.イクトはデジタルワールド探検隊にも参加していた野口夫妻の息子.研究中の事故で行方不明になった彼を救うためにデジタルワールドにまで足を運んだ二人の研究者は,今は日本アルプスにいるという.マサルたちは行き場のなくなったイクトを連れて,野口夫妻の元へと向かうのだった.

長期シリーズのはずなのになかなかの生き急ぎっぷりを見せてくれる「セイバーズ」.2つの世界が繋がった10年前を中心にしてかなりのネタを仕込んでいることは早いうちからわかっていましたが,ここまで山のように詰め込まれていたとは! 若いマサルたちの前には未知の過去がもうてんこ盛り.それを広げる度に洒落にならない事実が転がり出てくるのかと思うと…間違うことを恐れない,無類の伏線祭り愛好家としてはうれしくてたまりません!
巻き込まれてるキャラたちにとっては笑い事じゃないんだけれど,現在手に入っている情報から一人に絞り込んでも,そこには一概に悪とは言い切れない理由と別の誰かがいそうな気がして,下手すりゃその後にもまだなんかありそうで….それに加えて本作がいいなと思うのは,キッズ向け作品として伏線祭りの中でも子どもを置き去りにしないためのわかりやすいサービスが行われていること.もっと激しい伏線祭りであった某作の場合,あいつら完全に子ども向けサービスそっちのけでやってたからなぁ(苦笑).

無限氷壁での決戦は人間側の逃走で終了.おっちゃんの介入によってなんとか生きて帰れたわけですが,おっちゃんは向こうの世界に置いてくることになり,その代わり…イクトを持ってきてしまいました.おまけのファルコモンも当然ついてきて,デジタルゲートを潜って逃げた一同が基地近くの洋上に落っこちてからが今回.
帰還者を回収したDATSは,問題児が1名増えて大変なことに.…まあ,見ず知らずの場所にいきなり連れてこられたイクトが暴れるのは仕方ないとして,マサルまで同レベルで暴れているのがなんだかな(笑).パートナーデジモンたちの落ち着きぶりを見習えってなもんですよお前ら.
帰りたいイクトと助けに戻りたいマサルはやかましく,薩摩隊長が「今戻ったところでどうにもならん!」と一喝.カメモンと一緒にマサルたちを助けてくれたデジヴァイスのおっちゃんこそが,対デジモン犯罪の第1人者であり探検隊の隊長であった現DATSの最高責任者,湯島所長.マサルたちをこれまで見守っていてくれた彼もまたマサルの父につながる人であったわけですね.…トーマたちはリアクション薄いなぁ.
このままとんぼ返りしたっておっちゃんが助けられる可能性は低く,同じ過ちを繰り返すことになるだけだと薩摩はデジタルワールドへのダイブを禁止.で,持ってきたイクトとついてきたファルコモンについては事実上の軟禁状態に.いくらDATSの情報操作能力が並外れているとはいえ,昨今の大事件の連続の後だと,秘密のはずのデジモンの存在を疑う者が出ていてもおかしくないので,これ以上人間界を乱さぬためにも大人しくしておいてもらわねばならないのです…デジモンが悪いわけではないんだけど,秩序のためには仕方がない.
トーマたちがデジモンワールド珍道中について報告する間,後ではマサルとイクトが無駄な抵抗をしております.今すぐに戻りたい二人は知識なしの気合ばっかりでコンソールと転送機を手荒くいじり!衝撃を与えたら壊れました! …高くてデリケートな機材だろうに,性懲りもなくまた壊すマサルのバカめ(苦笑).そんな破壊活動には加担しないアグモンやファルコモンの方がずっと大人だ.完全復旧までには2週間かかるぞこのバカどもであり,良かったことと言えば壊れてしまえばバカどもも戻れないということくらい.機材はもっと大切に!
最終的には自分たちで作ってしまった身動きできない時間.まず薩摩はマサルたちに足りない知識を注ぎます.語られるのは10年前のデジタルワールド探検隊が発足したその前段階.突如始まった一連の無差別連続失踪事件を解決するために国家機密省が編成した特別チームこそがDATSの前身.元々刑事だった湯島所長と薩摩隊長.民間機関出身の大門博士と助手の倉田,そして超空間研究の第一人者であった野口夫妻の6人の研究の成果こそがデジタルワールドとそこへと通じるゲート.…ついに6人全員の名前が出揃ったわけですが,まだ一人足りない彼がやっぱり悪いのか…?
6人の探検隊はマサルたちの旅路に比べ明らかに過酷な道を歩むこととなりました.結局大門博士が行方不明となり,それが現在マサルをデジタルワールドへと向かわせる理由になってしまっているわけですが,10年前にも類似の理由でデジタルワールドへと赴いていた二人がいたのです.
イクトのDNAを鑑定した結果,彼が野口夫妻の息子であることが正式に判明.生まれて間もない息子を失踪事件で持っていかれた野口夫妻は取り戻すためにゲートの向こうへと赴きました.…いかにもゲートっぽい機械作ってたんですね.てなわけで,彼らは存命の上に日本アルプスにいるので,イクトを連れて話を聞いて来いというのが新しい任務.
今だって一刻も早くデジタルワールドに行きたい気持ちに変わりはないだろうけれど,マサルは嫌がるイクトを引っ張ります.生き別れの親子の再会が目前なのだとしたら,同じ状況をよく知っているマサルは無理にでも会わせたい.未だに自分はデジモンだと頑張るイクトを黙らせるためなら,「ここにはこいつの居場所なんて,どこにもないんだぜ!」ときつい言葉を吐くことだって厭わない.
…そして,確かに今のイクトには人間界で身を寄せるところなどなく,デジタルワールドにも戻れない上に戻ったとしても行き場がなさそうな予感.彼を憎むゴツモンの言葉が相当効いてます.行きたい場所もないなら文句ねえだろ!と強引に連れ出すマサルにろくに抵抗することもできず,宿命の小旅行に連れて行かれたのでありました.

車中から人間界を眺めることになったイクトはびっくり.はじめて見る光景に驚く様は,下手なおのぼりさんよりナイスリアクション! しかし自分の出身地にはないものばかりと認めることが嫌らしく,構ってくるマサルとないとかあるとか得意とか不得意とか100個持ってるとか小学生レベルの口喧嘩を繰り広げております(笑).運転手のヨシノにとってはマサルが二人になったようなものなので大変お気の毒.…でも,口喧嘩ではありますが,なんとなく会話になりつつあるのは喜ばしい.本当にゆっくり,イクトも気を許してきてるんですね.
ファルコモンが見る人間界は不思議な世界.狭いところに色んなものが沢山いるのにぶつからない.大勢の生き物が一定のルールを共有しているってのは,広い場所でそれぞれのルールで暮らすデジモンには想像もつかないのかな.そして気になるのが親子連れの姿.卵で生まれ成長しやがてまた卵に戻るという,閉じたサイクルの中で暮らしているらしいデジモンには,親子や世代交代という概念すら理解が難しいのかもしれません.
さて,生まれてはじめて車に乗せられてスピードを出されると,大抵の子どもはやっぱり酔うんじゃないかと思います(笑).高速道路で気持ち悪くなったイクトを休ませるためにサービスエリアへと入って休憩.ここでマサルが食い物をちゃんと買ってきたり,戸惑うイクトの前でファルコモンが食べてみせるところが楽しい.2人がイクトのことを気使っているのがわかります.
ようやく餌付けされ,満腹になったのか寝てしまうイクトを見るマサルが「ガキのお守りは疲れるぜ!」と大変に偉そう.どう見ても同レベルにしか見えないんだけど,本人的にはここにいる誰よりもイクトの気持ちがよくわかるつもりなのでお守りをしているつもり.「親がいるなら会わせてやりてぇ,それだけの話だ」
…本人がどう考えているのかを抜きにすれば,やっぱりマサルはイクトと同レベル.サービスエリアを出発した後,マサルときたら助手席でよだれ垂らして寝てやがります(苦笑).隣ででかい体でがーがー寝ているってのは後部座席で大人しく寝ているより悪い.エチケットがなってない私だけ運転させて自分は爆睡ってどういうことと,最悪なマサルにダメ出ししまくるヨシノ.「マサルって絶対女の子にはもてないわね!」という厳しいコメントは,きっと真実だと思います(笑).
さてその頃,デジタルワールド側ではメルクリモンがイクトとファルコモンの回収をゴツモンに命令.しかしイクト大嫌いなゴツモンは勝手に画策し,森で仲間をスカウトした上で人間界へ移動.…ここで狙ったとおりに日本アルプス付近に出てきたのは,野口さん家が近くにあることも影響しているのだろうか?
近くにデジモンが出たことを察知した本部からの報告を受け,マサルたちも寄り道してデジモン退治に向かいます.敵はでかいオオクワモン3体.そしてそれを指揮するのがゴツモン.…もちろんゴツモンはイクトを巻き込んで潰すつもりだし,イクトもゴツモンが狙ってくるんじゃないかと疑っている.でも仲間のはずの相手に狙われてるかもしれないだなんて,やっぱり誰にも相談できないよなぁ….
完全体のオオクワモンとの戦いでは,やはり完全体のサイズが必要.さくさくと進化したライラモンがマサルを空中に連れていった上,敵に向かってぶん投げるという連携が豪快だ(苦笑).さっきの車中でのダメっぷりに対する怒りがこんなところで発露しちゃっているのだろうか….投げられたマサルはオオクワモンを殴ってチャージ,さらに地上に弾き倒してもう一発殴ってフルチャージ! 面倒でもやっぱりちゃんと2発殴ってくれる方が見ている方もノれますね.普通に完全体を殴り倒せてしまうマサルの身体能力って,凄いなぁ.
頼りないアグモンは強くて速いライズグレイモンへと進化.もちろんオオクワモンなんか敵ではない.しかし残る1体があからさまにイクトを狙っていることから,周囲もイクトの立場が相当危ういことに気づきだします.イクトは人間と一緒に行動する裏切り者であり,人間界とのごたごたが起きた原因.デジタルワールドには不要! いない方がいいのです!とゴツモンが残酷な本音を本人にぶつけるもんだからたまらない! なんとなくそう感じてはいたけれど,あまりに痛すぎる精神攻撃にイクトは動けなくなり,そこにオオクワモンが迫って….

オオクワモンに殺されそうなイクトを間一髪で救うのはもちろんマサル!「世話かけさせんじゃねえよ!」と面倒見のいい彼が叫んでバトルも終盤に.ライラモンが1体,ライズグレイモンがもう1体のオオクワモンを卵に戻したので残るはあと1体.ゴツモンは全滅よりも撤退を選びます.
まだゴツモンは仲間だと思っているファルコモンは,イクトと一緒にゴツモンとともに元の世界に帰りたいけれど…ゴツモンは拒否.イクトは災いをデジタルワールドへと呼び寄せる,忌むべき存在だと言い切ってしまいます.きっと前から相当嫌いだったんでしょうが,ここまで言い切ったら決してイクトをメルクリモンの前に帰還させるわけにはいかない,命令違反中のゴツモンにとっても大変に重い宣言です.
デジタルワールドにはイクトの居場所などどこにもない,イクトは人間なのだと,思うことを全部ぶつけてそのまま去っていくゴツモン.ここまで言えばイクトもデジタルワールドに簡単には戻れなくなりそうですが,万が一メルクリモンの前にイクトが戻ってこの件を報告したら,ゴツモンはどうなっちまうんだろう.…そして,薄々感づいてはいたものの,デジモンの側から切り離されたイクトは慟哭します.未だ十分な言葉を持たない彼が,自身の孤独を表現するには叫ぶしかないってのが切ない.…デジモンではないイクトがこの先見つけるものは一体何か.そしてマサルは孤独に一体何をしてやれるのか? 次回に続きます.

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