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デジモンセイバーズ#20

「信じたくない己の出自の巻」

人間界へと戻ってきたマサルたちはイクトの実の両親である野口夫妻と逢うために日本アルプスに足を運ぶが,イクトの父はお引取りくださいとマサルに頼んできた.生き別れの息子との面会を拒絶されてマサルは怒るが,大切な息子を失ったことで一度は壊れかけた妻の精神を守るため,彼も必死なのだった.
ゴツモンには人間と言われ,行き場を失い森の中へと逃げ出したイクト.いくら本人が否定しても彼は人間の子.けれど目の前で消えてしまったユキダルモンに人間たちが行ったことを忘れることもできない.悩み多い雨の中,未だイクトとの再会を諦めていなかった彼の母は,イクトの思い出のおもちゃに合体したデジモンに襲われていた.

確実な手がかりさえきちんと見つかれば,惜しみなく真相についてバラしてくれる「セイバーズ」.今のところ10年前から現在までに起きた事件が中心で当時の重要関係者が皆生きていることから,無用なネタの引き伸ばしに繋がらないのがありがたい.…イクトの素性なんかあと1クール引っ張られてもおかしくなかったからなぁ(苦笑).
今回は野口くんの10年ぶりの帰省.いきなり戻ってくれば家族だって戸惑うこととか,自分の入る場所がないと苦悩したりとか,それでもなお子どもに会いたかったりとか,人間ならば当然なのに話の都合でないがしろにされがちな心の機微がきちんと描かれているところがうれしい.

イクトを連れて日本アルプスの野口家へと向かったマサルたち.途中でゴツモンがさらに孤独なイクトを追い詰めやがり,今や彼の心の迷子ぶりは最高潮.行き場所を失ったイクトにとって辛うじて残った希望がこの家のはずなんですが…迎える方にもいろいろと都合があるのです.
この家にいた頃の記憶は当然ながらどこにもないイクト.自分とイクトの年齢差をはなから無視するマサルって大ざっぱだなぁ(苦笑).登り棒から落ちて怪我したってのは,これまでに入手した10年前の情報の中で一番どうでもいいな(笑).
折角到着した野口さん家.玄関で呼んでも返事がないので勝手に上がり込んだら,裏には母らしき人と赤ん坊が一緒におりました.…彼女が一人きりだったらイクトの行動も違ってきたんでしょうが,母だという人は自分ではない誰かを大事にしていて,イクトは衝動的にこの場から逃げ出してしまいます.
森へと逃走するイクトと追いかけていくファルコモンに代わってマサルたちの前に姿を見せただけでなく,マサルとアグモンに体当たりまでされた(笑)バイクでやってきた小太りの男.DATSを知るこのおっちゃんこそ「野口ケンジ,イクトの父親です」 彼は現在の事情について既に薩摩から聞いてるんですが,口にしたのは意外な言葉.生き別れの息子がわざわざ訪ねてきたってのに,生きているのを確認したなら「それがわかればもう十分です.お引取りください」って,いくらなんでもそりゃないだろう!
もちろんこんなとんでもないことにも理由はあります.10年前のデジタルゲート研究の最中,2人は自分の子どもを研究室に置いておくという,実に研究者らしい取り返しのつかない失敗をしていました.ふいの雷鳴によってデジタルゲートが異常反応し,幼いイクトがその中に籠ごと飲み込まれてしまったのです!
大事な我が子を失った母は半狂乱.彼を取り戻すためならば,危険なデジタルワールド探検隊に参加することも厭わない.…これで6人の隊員のうちの5名までが顔見せを終了したので,一人残っている大門博士の助手がやはりキーなのか.けれど探検隊が苦難の末に得た成果は,イクトと一緒に持っていかれたおもちゃと籠のみで.
取り戻せなかった悲しさに彼女は心を痛め,一時は誰とも口が聞けない状態となったものの,10年という時間によって娘も生まれようやく立ち直ったところ.ゆえに父は彼女の心を守るため,イクトの心を犠牲にするつもりなのです.これ以上妻を傷つけたくないと頭を下げる野口博士.…気持ちはわからなくはないんだけれど,だからこそ.
「勝手なこと言うんじゃねえよ!」と怒るマサル.イクトの立場に立つ彼は,大人の勝手な言い訳を許容できません.子どもがわざわざ親のところまで戻ってきたってのに,あんたそれでも人の親かと.片方を守るために片方を切り捨てるだなんて言語道断.傷もお互い庇いあって一緒に生きていくのが家族ではないのかと,彼らしい素朴で理想の家族像で野口博士を責めます!
もちろん大人の野口博士は,マサルに言われるまでもなく正論なんて重々承知.それでもどうしても伝えたくないと頑張ります.バカで真っすぐで何も知らなそうなマサルには,そうでない者のことなどわからないだろうと.心を壊しかけるほどの絶望もそれを側で必死で支える苦悩も,この見るからにバカっぽい少年は知らないだろうと.…でもあのバカもそれなりに厳しい過去を潜ってきてるんだけどな.マサルは酷く怒るけれど,最後には「わかったよ!お邪魔しました!」と我慢して退場.…行動の激しい兄貴を持つと子分は大変だなぁ(苦笑).
降り出しそうな暗い空の下.逃げ出したイクトはヨシノの追跡から逃れ,ファルコモンと一緒に花畑におりました.ファルコモンはイクトとよく似たあの人間とイクトを逢わせたいようですが,しがらみ満載のイクトはそれを拒否.自分の母はユキダルモンで自分はデジモン.それが彼の全てであったはずなのに,その両方が崩れていくのは怖いんだから,たとえファルコモンでもそっくりなんて「言うな!」
あの人を受け入れることができないのは,人間の凶行を決して忘れられないから.幼いあの日,森は炎に包まれてユキダルモンは倒れ,自分よりもイクトたちのことを最期まで気遣って目の前で消えました.…ただしあのとき大切な母はイクトに言いました.これから辛く悲しい運命が待っているかもしれないけれど「決して人間を憎んじゃいけないよ」.
人間と戦うことはユキダルモンの本意ではない.なぜならお前は…と言い残したその言葉の先も,今のイクトならば容易に予想もつくはずだけれど,それは断じて認めたくない!「俺は絶対に人間を許さない!」とイクトは頑張り,あの女が母でないことを,ユキダルモンだけが自分の母であることを証明するために走り出します.…ユキダルモンは人間を憎むなと言ったのに,意地っ張りなパートナーを持ったデジモンも大変だなぁ….
妻の心を守るために一度はイクトを否定した野口博士.その意地の強さは息子に似ているのかも.ただしイクトのことを憎んでいるわけではない上にマサルに正論をぶつけられたりもしたので,後悔を感じているようです.…しかしまさか母があれほどまでにイクトを求めていたとは彼も思っていなかったでしょう.雷鳴によって急に動き出したデジタルゲートの発生装置.普通なら災害を思い出して逃げてもおかしくないのに,息子が帰ってくるのかもしれないと考えて装置に駆け寄るあたり,その愛情は実に濃い.
しかし! 当のイクトはまだ森の中で,開いたゲートの中から出てきたのは成長期のハグルモン.侵入したものを意のままに操るハグルモンは,10年前に回収したロボットのおもちゃの中に入り,それをコアにして巨大になっていきます.あっという間に家全体がハグルモンの体に.その中から必死で逃げようとする野口夫妻ですが,もう少しで出られるところで妻は足を取られて,娘だけを夫に渡して閉じ込められてしまいます….触手というかケーブルで縛られる母というなんか随分マニアックなものを内部にマウントし,家は巨大なロボットへと変貌!

ついに降りだした雨の中,運転手で傍観者なヨシノとララモンはバス停「大杉山道」で雨宿り.そこに野口博士と交渉決裂したマサルたちが追ってきます.イクトとファルコモンの行方は雷のために現場の機材では探せない.本部の機材を使えば話が違うけれど,代償として隊長に怒られるのが嫌で言えない(笑).噂をすれば影で隊長の方から緊急連絡が入るんですが,それは新たなデジモン反応を伝えるもの.出現場所は野口家!
証明という名の悪あがきのために戻ったイクトが現場に一番乗り.ハグルモンは命令に従うようなデジモンではないので,イクトを追跡してきたとは考えにくい.じゃなんで…という会話に「事故って線もあるかもしれないわね」と混ざってくるのがヨシノたち.…ただしこの件は完全に偶発的なものとも考えにくい.もし終盤の展開を導くためのことだったとすれば….
逃げてきた野口のおっちゃん曰く,「あの中にまだミスズが!」イクトの母が閉じ込められているとなればDATSの出番だし,無関係と強がっているイクトだって無視を決め込むことなどできないため,巨大なロボットに総出で挑むことになります.
イクトのおもちゃをベースとしたハグルモンの巨大家ロボット.サイズは馬鹿でかいものの動作は緩慢.しかも「ママ・ドコナノ」「ヒトリニシナイデ・オイテイカナイデ」と語る.…ここしばらくデジタルワールドにいたため視聴者も忘れかけの設定である(笑)「デジモンは人間の欲望を吸収して暴れる」という推測が再び語られることになります.
ハグルモンが暴れているのは人の思いがあってのこと.だからマサルはイクトに見覚えがないかと尋ねます.幼い頃にイクトが遊んでいたおもちゃではないかと.…もちろんイクトには10年前の記憶なんてほとんどない.それでもわずかに残っていたのが,雪の降る寒い中にひとりぼっちで母を求めていた過去.
イクトの心の奥をそのまま引きずり出したような巨大な怪物.それを前にしても「嘘だ!」とイクトはどうしても頑張るんだけど…さすがに限界.「自分の気持ちをごまかそうとするんじゃねえ!」とマサルは叱ります.顔を見たことがなくたって子どもは親への気持ちは消せない.いつだって大切に胸に下げていて,決して忘れやしないわけです.「子どもなら,人間なら!それが当たり前なんだよ!」…どんなに辛くても誰にも逃げようのない,それは本能のようなもの.
今ハグルモンを暴走させているのは,おもちゃに残っていた幼いイクトの残留思念.赤ん坊の頃の強い気持ちが巨大な姿で無軌道に暴れ,今母を苦しめているわけです.…それが今のものでないとしても,暴走させた責任を取るために,イクトは行かねばなりません!
かくしてはじまるデジモンバトル.今回はサイズこそ大きいですが,積極的に襲いかかってくるわけではない上に,マサルの拳で壊れるほどにヤワなのです(笑).アグモンをライズグレイモンへと進化させてぼこぼこ攻撃させてたら,胸の真ん中が崩れて母発見.…相手はかなり柔らかいんだから,母が見える前からもうちょっと手加減して攻撃するべきだと思うんだけどなぁ(苦笑).
敵味方双方の行動と攻撃によって相当揺さぶられているはずの彼女を救うのはもちろんイクト.マサルに指名された彼は場の勢いに流されてファルコモンとともに走りだします! …しがらみなんか吹っ飛ばす展開の勢いに流されて,ようやく「母さん!」と叫ぶことができたイクト.本当は陰から見たあのときからそう言ってみたかったに違いない.
怪物の胸の中に飛び込んだイクトは,母に絡んだケーブルを外し引っ張り出してさくさく脱出.相手の動きが緩慢なためにあっさり救出に成功してますが,もうちょっと頑張ってアクションの見所にしてもよかったんじゃあるまいか(苦笑).救出によって障害もなくなったため,ライズグレイモンの問答無用のトライデントリボルバーによってハグルモンをデジタマに戻し,今日の戦闘はここで終了.
事態の沈静化によって場の勢いは急激に薄れ,助けたばかりの自分の母や,自分と血が繋がっている家族のところに歩み寄ることができなくなったイクト.けれどそんな彼のところに,誰よりも心を痛めていた母自身が歩みよってくれます.「お願い!顔をよく見せて!」と駆け寄る彼女は,確かにイクトによく似ています.泣いて抱き寄せてくれるその腕は優しくて,暖かくて…もちろんユキダルモンのことを忘れたわけではないけれど,同じように自分を愛してくれそうな….
10年以上に渡る別離の末についに真の家族と再会し,ようやく失った居場所が見つかった…のかと思ったら! ここに予期せぬ人物がいきなり登場.野口博士を国家機密法違反で逮捕すると,SPたちを連れてなぜか羽柴長官がやってきた! 罪状はデジモンの不法所持とデジタルワールドの開門実験.デジモンの密輸と研究をやらかしたと濡れ衣を着せられてしまいます.確かに研究室からハグルモンは出現したけれど断じて意図してのことではないし,それ以上になぜ都合よく長官たちがここに居合わせるのかも不思議だし.…もしかして,偶然ハグルモンが出てきたわけではなく,長官たちは開くとわかっていてここに来たのか?
夫を庇う妻のことを主犯扱いして逮捕しようとする長官.誤解だと必死でマサルたちも食い下がり….救出の達成感も勝利の開放感も再会の感動も台無しにされたぐだぐだの雰囲気の中,いきなりとんでもないことを言い出す奴が! 「デジタルゲート開いたのもこいつらの家壊したのも,みんなこのオレ,デジタルワールドの戦士,イクトさまだ!」
デジタルワールドには人間である自分の居場所はない.人間界では自分の存在が家族に迷惑をかけるためにやはり居場所がない.行く先を失ってしまったイクトは自暴自棄に限りなく近い行動に出てしまいました.自分はそいつらの子どもじゃない,愚かな人間を滅ぼすためにやってきた正義のデジモンだと,今や自分でも信じられないような大嘘をついてファルコモンとともに逃走.この事態にさすがに母は耐え切れず倒れ,折角の再会をぶち壊した長官にマサルは怒る!

親子の再会が悲しいくらいに壊れてしまったその頃,デジタルワールドでは大きく事態が動いていました.メルクリモンがイクトたちに寄せる信頼はかなり深いようで,ゴツモンから裏切ったと嘘の報告を受けても信じていません.人間界に攻め込もうと唆す言葉にも動じることなく,戦になれば仲間も傷つくと全面対決を拒否.…ただし「今はまだその時ではない」だけで,そのうち時が来るのかもしれないけれど.
そんな動かないボスの前に「怖気づいたかメルクリモン」と登場するのがこれも究極体のサーベルレオモン.メルクリモンと同格であるらしい彼はかなりの武闘派で,人間界侵攻にも積極的.彼の登場によって,これまでメルクリモンの自制によってなんとか維持されてきた2つの世界の均衡がついに崩れます! デジモンワールド側の本気の凄さを痛感する,次回に続きます!

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