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ライオン丸G#1

「引き抜くと変身するようになっておりますの巻」

景気最悪でモラルは崩壊,治安も現在以上に無茶苦茶になっている西暦2011年の日本.スカルアイというコンタクトレンズをキメた命知らずのカブキモノたちが跋扈するネオ歌舞伎町で,ホストクラブDreamin'に勤める地域内ワーストのダメホスト,獅子丸はちゃらんぽらんに生きていた.巨額の借金を作ってヤクザの豪山興業に追われ,ホストクラブでも常連客は金のないブス二人きり.もはやこの街で生きる価値すらなさ気な彼は,借金のカタにある仕事をするように強制される.

抜群の技術力を惜しみなく投入し徹底してバカをやる,そんな特殊な理想像をいい感じに体現してくれそうな「ライオン丸G」.ハイソな子弟の華麗なる遊戯の直後によりによってこれか!という状況自体が我ながらどうかしているわけですが,気に入ったものを書いていくのが楽しいので,久しぶりに下品なネタをにやにやしながら書いていこうかと思います.
昨今数多い過去の名作のリメイクものですが,本作は「これを許可した奴はどんだけ心が広いんだ」と呆然としそうな設定のイジりっぷりがまず見所.ネオ歌舞伎町のダメホストを主役に据えることにより,「海底人8823」を源流とし,80年代90年代の浦沢御大参加の特撮作品で特に頻出した末に「シャンゼリオン」で1つの頂点を極めた,「変身ヒーローとしてはどうかしてるヒーロー像」が赤裸々に描かれます.監督は大根仁,アニメ好きとしては脚本協力に川崎ヒロユキ,企画協力に佐藤大の名が入っているのも見逃せないところ.…そしてこの作品,そんな物語のイカれっぷりに反してアクション部分が抜群! ハイテンポの戦闘,軽やかな剣戟など,今回以降だけど物語を食う勢いで大暴れしているのでぜひ一度見るといい!

西暦2011年10月,今から5年後の物語.シリアスに未曾有の危機が告げられる…ってことはないものの,現在がさらに腐ったような性質の悪い将来像が主役の早口でナレーションされます.最悪の景気状況と崩壊したモラルを体現した街こそ,本作の舞台となるネオ歌舞伎町.…名前はちょっと変わって中身は更に悪化,神様がいたら即刻滅ぼしそうな背徳の街って奴ですね.
この街で現在一番の問題は,髑髏マークの入った赤いコンタクト「スカルアイ」の流通.一体どんな仕組みなのか,これを入れた人間は凶暴となりバカ力を発揮するモンスターと化すらしく,これをキメて暴れる奴らが通称「カブキモノ」.…アッパー系のドラッグみたいなもんらしいですが,キメた奴らが徒党を組んで昼間から路上を徘徊しているあたり,もうすっかり警察も匙を投げちまってるんだろうなぁ.
こんなゴミタメのような街で漂って暮らすホストの獅子丸君こそ,何の因果か本作の主人公.金髪に白のスーツ,かっこいいというよりは個性的な容貌.へらへらといいかげんで金もないし力もないし人望もないし下品,さらにインキンでぼりぼり掻くような奴がモテるはずもなく,名前以外は主役とは思えないようなどチンピラ.ただし,どうやらわずかながらまともな優しさは持ち合わせているようで,瓶を頭にぶつけてしまったホームレスのおっさんに怪我はなかったかと一応声くらいはかけてみたり.
そんなダメ人間がまさか金を持ってるはずもなく,むしろ白昼からヤクザに「今月の利子持ってきてねえじゃねえか!」と捕まった上に,運悪く口に含んだ牛乳をそいつらにぶっかけるという間の悪さ(笑).開始早々ヤクザから全力で逃走するという大変に情けない主役ですが…そんな獅子丸の名に,おっちゃんが反応しています.
新宿の路地裏を逃走する獅子丸.徒っぽいお姉ちゃんや女子高生の横を走りすぎたら…さっきのホームレスのおっちゃんが再び登場.そこを避けてさらに逃げると,獅子丸とは対照的な黒い服の怖そうな男とすれ違う.…今後登場するメインの連中が逃走劇の中でどんどん顔を出し,クライマックスはやっぱり黒いあいつ.もちろんまだ互いの正体も知らない時点から視線ががっちりからみあっているのは,柄にもなく宿命的なものでも感じているんだろうか?
新宿ネオ歌舞伎町はもちろん夜の街.この街のどこかのビルの上,宵闇の中で異形の誰かが戦っていたりするんですがそんなことはさておいて,ホストクラブ「Dreamin'」では開店前のミーティング中.野郎どもが集まってお嬢さん方から気持ちよく銭を巻き上げるという接客業界は,見た目以上に体育会系.店長の蘭丸がクサい態度で従業員教育.もちろん基本は膝をついて「ダウンサービス!」(笑). なんせこの歌舞伎町には「何かが」転がっているらしいので,熱血指導にも意味なく力が入るというもの.当然大切なミーティングに遅刻するような奴は死んだ方がマシなのであり,獅子丸君は遅刻しました(苦笑).
借金取りに追われて逃げてようやく職場にたどり着いた獅子丸君.いくら馬鹿馬鹿しいとはいえ店長のご指導を「つまんないこと」の一言でぶった切るような空気の読めないアホにろくな接客ができるわけもなく,当然成績は万年最下位,ネオ歌舞伎町マガジンでは「死ねばいいのにダメホストNo.1」として鈍く輝いてしまってる.オーナーがこの付近のカブキモノが同伴とアフターのホストを狙っていると伝えるものの…獅子丸には両方とも縁がないに違いなく(苦笑).
ホストがダメなら客もダメ.営業がはじまれば店内では煌びやかに気持ちよく金を搾り取る仕事が始まるその片隅で,ブス二人に挟まれた獅子丸君が気の毒過ぎる(笑).しかも奴らが入れてるボトルは大五郎にビックマン.金を絞り取ろうと思っても脂肪か変な汁しか出なさそうな昆虫どもが,獅子丸の下半身のボトルを積極的に狙ってくるから下品すぎて最悪だ(苦笑).
職業として接客せざるを得ないとしても地獄であるこの状況.そこから獅子丸を救う新たなご指名が入った!…と思ったら,その相手はあの借金取りだから運命って残酷(笑).置き去りにされたほてったブス二人は蘭丸と小競り合い.さすがにホストにだって客を選ぶ権利くらいはあると思うんだけどなぁ.
さて,借金取りのお兄さんたちとアフターすることになった気の毒な獅子丸.無理やり引きずり込まれたのはひなびた雑貨屋,豪山商店.その地下こそが豪山興業の本拠地であり,ピンクの照明の中でぱっつんぱっつん花の首を落としている和服の野郎がお待ちかね.…昆虫にタカられるのと変なヤクザの前に引っ張り出されるの,どっちがマシかなぁ…どっちもマシじゃないなぁ(苦笑).

借金背負って返すあてもないダメホストの獅子丸ちゃん.利子だけで月30万ってのはすぐさままともな弁護士のところに駆け込んで整理して,状況によっては自己破産も考えるべき状況なんですが,獅子丸にそんな頭があったならこんな借金背負ってないか.ここでヤクザさんたちが提案してくるのが,借金の3ヶ月分がチャラになるというスーパーチャンス! 女同伴でホスト狩りに遭ってこい…って,もうあからさまに保険金目当てに違いないよね(苦笑)!
豪山のジュニアさんは一応カブキモノへの報復が目的だと説明するものの,本当に報復するだけなら獅子丸なんかわざわざ呼んでくるわけがない.命が安いこの街だけれど,それでも殺しちゃえば幾許かの現金収入にはなるはずなのでもはや回収できそうにないお客を連れてきたってところか.ちなみにカブキモノのやっつけ役はフリーランス契約の錠之介ことジョーさんにお任せ.このジョーさん,冒頭で獅子丸と視線を絡み合わせていた男です.
てなわけで,かなり強そうなんだけど愛想のないジョーさんと,オトリ同伴役のキャバ嬢のサオリさんと獅子丸のトリオでカブキモノ退治を行うことが決定.…サオリさんのボンテージ衣装と乳首の色が,異様に男心を引きつけております(笑).役とは言えど美人とお近づきになれた獅子丸は彼女にこびりつき,サオリさんは辟易.しかも獅子丸,蹴られても嫌われてもついてくるのがまたウザく,ついには彼女のホームであるスナックにまで押しかけます.
スナックKでは無口なマスターとサオリの妹であるコスKが登場.コスKは,獅子丸のこともよく知っている.なんせ彼女こそネオ歌舞伎町マガジンの執筆者! ノンフィクションライター修行の一環で,獅子丸をネオ歌舞伎町中の笑い者にしていたことが判明.…あれだけしっかりレイアウトできれば,そっちで金が取れそうな気もするけど(笑).そして妹にはあのアルバイトについては秘密で,「…言ったら殺すよ」と獅子丸を脅すサオリさん.もはや獅子丸の命はネオ歌舞伎町一軽いことは間違いなし.
獅子丸とサオリさんを帰した後で,豪山ジュニアはジョーと秘密の打ち合わせ.予想された通りにジュニアは獅子丸たちをスワンキーズに殺させて保険金をもぎ取ろうと考えていたわけですが…そんなことはもうどうでもよくて,彼の着用する黒のボンテージが気になってたまりません(苦笑).「俺のこのカッコどう思う?」とか聞かれても,こんな変態に絡まれたら最悪なのでジョーもさっさと退場.…コスチュームでもって自分探しをしているらしいジュニア.1話にしてSM道を迷走する彼の明日はどっちだ.
さて翌日.カプセルホテルの朝は遅くて,仕事の時間に獅子丸はサオリさんの電話で起こされます.予定の時間をとっくに過ぎても,朝からトマトかじって牛乳飲んでのん気にやってるインキンホストは聞いたことのある音楽の中でしばし優雅でルーズな朝を演じた上に…「古い! つーか最近見直してみたら,そんなに面白くない!」と凄い方向に喧嘩を売った(笑)! そりゃ真実かもしれないが,いくらなんでもウンコホストに言われたくないよなぁ!
明後日の方向に敵を作りながらもようやくやってきた獅子丸ちゃんは,愛車の白いトライクで参上.その名もヒカリマル…って,獅子丸の精神もどこかで過去の作品と通じ合っているんだろうか.かくしてオトリ役の二人と険しい表情のジョーさんのトリオで,カブキモノの餌食となるべく偽装同伴を開始.そして今日もサオリさんの胸が大変に気になってたまらない(笑)! 二人の後ろからジョーが黙ってついてきてますが,懐の何かを髄分と気にしている御様子.
獅子丸とサオリの死出の旅路は,どんどんヤバい方向へと向かい最後にスワンキーズのアジトへと到着! 借金を返すために前に進んだエサの二人が辿りついた終着点には,当然ながらスワンキーズがお待ちかね! このままじゃ奴らに殺られることになるので「今でーす!」と助っ人を呼ぶんだけれど…二人の知らない打ち合わせ通りに,ジョーさんはちっとも来やしない(苦笑).
必死で助けを求めるもののジョーは無視.ヘタレの獅子丸には当然スワンキーズに対抗する手段など皆無.ゆえに必死で「もうこっちはイッパイイッパイっす! そろそろ出てきてませんかー!」って叫んでも,やっぱり来なくて大ピンチ! ヘビメタ崩れメイクで野球のユニフォーム姿というスワンキーズどもに囲まれ追い詰められて,サオリちゃんの胸触っていいからなんとかしてとか言われたって無理なものは無理!
間抜けな来訪者二人にバットを握って襲いかかるスワンキーズ.二人は必死で逃げてジョーに助けを求めるものの,やっぱり彼は動いてくれなくて…とうとうバットで顔を殴られ吹っ飛ばされる獅子丸.地に這う彼が見てしまったのは,スワンキーズのリーダーがするすると抜いていく真剣の生々しい鉄の色….程なく自分の中にぶっこまれるに違いないそれにビビる獅子丸の元に,あのホームレスのおっちゃんが,なんか赤いもの握ってやってきた!

3人を追ってここまで来たおっちゃんは,赤い小太刀をぼろぼろの獅子丸に投げます.その上で,「私の言葉を繰り返せ!」とかいきなり言い出すわけですが,ヒーロー失格の獅子丸は「…えーと,誰?」と大混乱.しかしここで変身しないと死んでしまうので,これから言う言葉を繰り返さねばなりません! 「カーゼーヨー,ヒカーリーヨー,ニンポーシシヘンゲッ!」「ニンポー…何それ?」そこで考えたら負けだ獅子丸!
もう手続きとか1話にしてぐだぐだ.とはいえ全部言えなくても金砂地の太刀を抜いたら変身できるので,あの呪文は別にいらないものなのか(笑).赤い小太刀から次第に広がる,白く輝く刀身を見て,そして自分を包む状況が変身バンクで激変するのを見て! 「何これー! えー,タスケテー!」と悲鳴を上げる主人公! …ここまで凄まじいダメ主人公は前代未聞.これほどビビられると今後まともに戦えるかどうかすら大変に怪しいわけですが,かくして異形の獅子へと変身してしまった獅子丸の狼狽ぶりについては,次回に続きます.

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デジモンセイバーズ#25

「ともかくあいつは許せない!の巻」

デジモンと人間の間に起きた諍い.その原因が過去の倉田の行動にあったと知ったマサルたちは怒る.デジモンを人間に害を成す凶暴な生物としか考えることのできない倉田は,人間の友人となれたかもしれないデジモンを捕獲して改造した.その非人道的な行為を絶対に許せないマサルたちは,国家機密省を敵に回してでも倉田と戦うことを選ぶ.
マサルたちが3体の完全体でギズモンを倒そうと奮戦するその横で,撃たれたメルクリモンは滅びようとしていた.去り行くメルクリモンはイクトに向かい,どちらか1つを選ぶのではなく,人間とデジモンがともに暮らせる世界を作るべきだったのだと,自身の惑いと過ちを詫びる.

2クール目のクライマックスを目指して沸騰する「セイバーズ」! 前回でここまで伏せられていた10年前の重要なカードがいくつも開き,とりあえず誰をぶん殴らなきゃならないのかははっきりしたものの,うさん臭い男の作り出したものは常識的な完全体の強さからすれば反則の強さ.倉田が一体そのベースにどれほどの独自のアレンジを加えたのかと思うと…腸が煮え繰り返る思いです.
まったく別種の存在とはいえ,互いの状況を推測し合えるだけの頭があって,考えを通じ合うことのできる言葉があって,さらに両者の思考の根底にある善悪の判断に大きな差がなければきっともっと理解し合えるはずなのに,倉田が短絡的にその可能性を拒否したのは彼一人の判断によるものなのか,それともさらに別種の意図が働いているのか.…まあどっちにしても凄く殴りたいことには変わりないんだけどな(笑)!

前回の展開の勢いをそのまま引きずって,開始後10分くらいまでオープニングが始まらない怒涛の今回.前回の回想話で判明したのは,マサルの父は本当に滅茶苦茶であり,その助手の倉田は凄く悪かったということ.…なんだってあんなのを助手にしちゃったのかなぁ大門博士も(苦笑).特にイクトにとっては倉田は育ての親を殺した張本人であった上に,その後に保護してくれた育ての父とも言えるメルクリモンをギズモン:ATに射撃されちゃったので洒落にならない!
対話に応じてくれていた組織の長を不意打ちし,しかも得意気な倉田のことをマサルたちは当然許せない.サーベルレオモンをも倒した例のビームを食らってしまっては,究極体でもそのかけがえのない命を失うのは時間の問題だってのに,倉田にとってはデジモンはただの害獣.対話と和解の可能性を自分の手でぶち壊したこの男の目的は「デジモンの完全抹殺!」
DATS設立の際に大門博士から伝えられた理念とは真逆の考えを持つこの男.10年前の探検隊でデジモンの凶暴性を身を持って知ったと主張する彼は,種族全体の抹殺を計画.…その憎しみは彼の中にあったものがデジモンに反映されただけなのに.しかも最大の障害であるメルクリモンを片付けるために,DATSの存在を利用したってのがまたひどい.まともな感性と判断力のある隊員たちは本気で怒ります.
なんせDATS隊員たちは,人間とデジモンの融和を体現しているような人材ばかり.幼い頃からずっと一緒にやってきたり,互いの才能に敬意を抱いて接したり,ともかく腕っ節の凄さに惚れ込んで義兄弟の契りを結んだり(笑)パターンは一様ではありませんが協力し合ってここまで来た仲間たち.この世界で育ったイクトとファルコモンだって,拳で語りあった大門博士とメルクリモンだって心は通じ合ったはずだからなおさら,それを無視して踏みにじる倉田が許せない!
当然マサルは倉田をぶん殴りに行くも,そこに立ちはだかるのがギズモン:AT.最近跳躍力に磨きのかかってきたマサルは凄いジャンプで殴ってフルチャージ! ギズモンもろとも倉田までぶっ飛ばす気合でライズグレイモンに反撃させるわけですが…防御力が高すぎてトライデントリボルバーが効かない! …敵の能力を事前に把握するなんて賢いことが,頭に血が上ったマサルにできるわけないんだから,トーマもいいかげんそういう高望みは諦めていただきたい(笑).
開かれた戦端に,トーマとヨシノもフルチャージしてマッハガオガモンとライラモンを投入.個別での物理攻撃はやはり効かず,状態変化系攻撃も心がないので無意味ってなわけで倉田大笑い.なんせあのメカメカしいギズモンは,捕獲したデジモンを改造して作ったもんだってんだから…人間と同格に扱うべき生命に,どこまで非道な行いを重ねれば気が済むのか!
しかもそんな狂気の「実験」の成果を自慢した上に,「デジモンも道具としてなら,使いようがあるってことです」ともう即刻死んで欲しいくらいに悪である倉田.国家機密省という立場を傘に着て,DATSの連中にも翻意を促すわけですが…DATSにはそんな揺さぶりで心を曲げる弱い奴なんかいないってのは,もちろん誘った倉田だってわかっているはず.人間並みの知性のある生物を実験して操って仲間殺しをさせる彼は人殺しに等しいから…「手前だけは絶対ぶっとばす!」
ギズモンとDATSのバトルが再開したその背後で,急激に弱っていくメルクリモン.賢い彼には自分の命が今まさに終わろうとしていることもよくわかっていたので,イクトに遺言を残します.実はイクトの扱いについてずっと迷っていたメルクリモン.人間でありながらデジモンとして育つという,2つの世界でもたった1人きりの彼を将来的にどちらの世界で暮らさせるのが幸せなのかを決めかねて,わざとマサルたちにぶつけていたことが明らかに.
イクトを人間に会わせることで,人間の心を蘇らせるのかそれとも人間を憎み続けるのかを試していた彼.もちろんそれはイクトの幸せを思えばこその行動なんですが…「だが,そんな迷いこそが間違いだったのだと,今になって気づいた」.結局のところ最良は,二つの道の一方を選び一方を捨てることではなく,たとえ無茶でも両方の道を選ぶこと…「あの男は,大門スグルはそれを知っていた!」
一度混ざってしまった2つの世界の間で生きていかねばならないイクトのためにも,大門博士はデジヴァイスを渡していました.恐らく,一度混ざってしまった2つの絵の具はもはや元に戻りようがない.今はまだ衝突を続ける人間とデジモンだけれど,やがてそのマーブル模様は消えて新しい色になるのだろうから…その色をより美しいものにしたいと考えた,あの日の拳にも誓いにも一片の嘘もない!
イクトが一番幸せに生きていけるのは,人間とデジモンがともに暮らせる世界.だからユキダルモンはイクトに人間を憎まないように願ったし,メルクリモンは約束を果せなかったことをイクトに詫びる.…けれど今のイクトにとって,約束なんかより彼の存在の方が重要で! 「メルクリモン,死ぬな! お前まで俺を置いていくな!」

背後では悲しい別れが進行し,前面では悲壮な戦いが続きます.ギズモンはあまりに強くて硬くて,完全体3体でも勝負にならない.さらに成長期デジモンレベルの戦力であるマサルまで攻撃に加わるわけですが,それでもやっぱりまだ足りない.…ただしDATSの戦意は決して消えることなく,むしろ怒りは増すばかり.そんなしつこさ頑固さにうんざりする倉田曰く,「まるで君の父親,大門スグルと同じです」.
10年前,デジモンの危険性を知った倉田は即座に大門博士に抹殺を進言.当然ながら博士はこれを拒否し,その結果デジモンによる凶悪事件が続発することになった…って,本当の原因は一体どこにあるのか,お前わかってないのか? 全ては大門博士の頑固さのせい,やっぱりデジモンは抹殺するしかないという倉田に向かって「ふざけんな!」と叫ぶマサル.「父さんが頑固者なら,お前はただの臆病者だ!」
「拳で語るってのはなあ,相手に痛みを与えるだけじゃねえ! 相手以上に,自分の心も痛えんだよ!」…恐らくマサルは衝動に導かれ,大門博士ははっきりとした思想の基で,相手を素手で殴って語るという解決手段を選択しています.武器のように致命傷にはならず殴った分だけ自分自身も傷つく剥き出しの行動が取れるのは,殴る側にそれなりの覚悟と自信がある証.そこから逃げる倉田のやり方は「痛みを怖がる臆病者のやり方だって言ってんだよ!」
過去に自分の師匠に言われ,今その師匠の息子に同じ事を言われた倉田.人の恐怖も考えず,正論を吐くバカが倉田は大嫌い.ゆえに事故に見せかけて嫌な息子もここで消す! ギスモンを人工デジソウルで禍々しい擬似進化をさせ,完全体のギズモン:XTへと変えたなら…さっきでもまともに勝負できなかったってのに,さらにパワーアップされたらもうやられるばかり.一斉攻撃を3体で放つものの相手は無傷…痛みすら感じないのか.
圧倒的劣勢で敗北目前のマサルたち.彼らのために,そしてイクトのために,メルクリモンは最後に一働きすることを決断.崩れつつある体を起こし,イクトとファルコモンに別れを告げます.倉田の悪さに心を揺るがされ,「やっぱり人間憎む!」と言い出すイクトに,マサルを見ろと言うメルクリモン.単純で言葉遣いもなっておらず行動も滅茶苦茶.「だが,悪い奴か,存在を消してしまいたいほど,憎いか?」…こんな時にぶっちゃけられる主人公の印象の面白さはともかく(苦笑)あいつはとてもいい奴です.
マサルはデジモンのこともイクトのことも親身に考えてくれた大恩人.しかも人間界で出会ったマサルの仲間は「みんな優しくしてくれた」.それらの人々のことを決してイクトは憎くないから,強く首を横に振る.…人間にはいい奴も悪い奴もいて,本当に憎むべきものは,悪でなければならない.最後に「イクトよ,生きろ…デジモンの心を持つ,人間として」と言い残し!メルクリモンはまだ動く体で捨て身の特攻に!
ギズモン:XTを一撃で殴り倒すメルクリモン.それは彼の死期を近づける一撃だけれど,マサルたちを守ることにはその価値がある.大門スグルの言っていた言葉,「デジモンと人間の共存できる時代が来ることを」信じてみたいから….けれど共存の夢をせせら笑う倉田はメルクリモンをさらに攻撃し,「イクトよ,強く…!」と言い残し,偉大な彼はこの世界から消えた.
またも大きなものを目前で失い,愕然とするイクト.その上倉田は今メルクリモンが残した遺言すらも蹂躙する.人間とデジモンの共存する時代という夢物語のために命を捨てるなど,下らなすぎて言葉もないと.ここで心底怒らなければ,彼の遺志を継承する資格などない,男じゃない! イクトとファルコモンは残された理想のために,倒さねばならない悪をぶっ飛ばすために走り出す!
2つの世界の間に亀裂を作り,育ての母を殺し父を殺した悪.これを倒すためにイクトはフルチャージ! ファルコモンはペックモンからヤタガラモンへと進化.4体目の完全体は無差別な人間の敵ではなく,「悪い心持つ人間だけ」を狙います.ヤタガラモンの攻撃でさすがに弱っていたギズモンをぶっ壊してデジタマに戻すものの!倉田はショックを受けることもなく,ゲートを開いてこの場を離脱してしまう….

無限氷壁に残されたのは,空の玉座と人間界への帰り道のみ.消えてしまったメルクリモンに向かって「俺,人間として生きる.デジモンの心を持つ人間として…」と報告するイクト.事実は明らかになったものの,事態の収拾はまだまだこれから先が本番.イクトと,そしてマサルたちの倉田を倒すための旅がここからはじまるわけですが,相手も悪らしく,なんか巨大な水槽の中に禍々しいものを準備していやがりますよ.
さて,2クールかけてようやく殴っていい奴の姿が明らかになったわけですが,彼がDATSを統括する組織に食い込んでいるため,マサルたちにとって人間界は完全なアウェーに変わってしまいました.…倉田の部下たちは,今日の戦いを見てどんな風に思ったんだろう.わずかでもいいから,正義に気づいてくれる人がいればいいんだけれど….そして!ピカっとやられるもののバカはやっぱり治らない(笑)次回に続きます!

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[雑記] 無料の紙はタダだけど予想外はあんまり無料じゃない / 短評

勤務地がが都心に移転してからもうすぐ1年.相変わらずラッシュは嫌いだし通勤自体も疲れてたまらないわけですが(苦笑)さすが都心だけあって話題の場所には大変に行きやすくなりました.帰りどころか出勤途中にすら寄れてしまうので,こんなものも早速もらえたりするのです.…「野口五郎」も見たし!

タメにタメた後のソフトバンクの大暴れを見たのはモデム配りの時以来ですが,相変わらずやることが派手だよなぁ(笑).でも,案外プランをきちんと検討するとそんなには安くはならないものだったり….

プランの概要
ITmedia D モバイル:ソフトバンク,通話とSMSが0円の「ゴールドプラン」と「予想外割」を発表
ITmedia D モバイル:「0円大好きのソフトバンク,端末の持ち帰りは全て0円」──孫正義社長

プランの実際について
ITmedia D モバイル:ソフトバンクの新料金プランは,“予想外”に複雑 (1/2)

確かに号外みたいな広告でも,実際の細かい条件については裏面に大変に小さい字でわかりにくく書いてあったので(図中赤枠参照)フェアじゃねえだろと言われても仕方がないところかも.ただしこのギリギリのパフォーマンスが客を引き寄せてるのは間違いなく,実際に昨日の量販店でもソフトバンクの前の人だかりは21時を過ぎても途切れることもなくて…ソフトバンクのNTTに対する恨みは一体どこまで深いのか(苦笑).たとえすれすれアウトで後で怒られたとしても,一度無料というイメージがついたら,それはそう簡単には消せないもんな.

  • 「.hack//G.U. Vol.2」をちまちまやってます.現在ハセヲは再び失ってしまいヘコみ中…ってのはまあいいとして,問題はバイク.どう運転すればあの5匹にぶつけられるんだろう? あ,CrimsonVSはもうガスパーを倒しましたよ.ありがとうエンデュランス,そして匂坂!
  • 日ハム日本一おめでとう! 道産子として以上に,伊集院光の熱狂的なファンとして大変にうれしい(笑).よかったね,ハムくん!
  • いつもこの時期には,新番組の主題歌の中から欲しいものをCDを買いあさっているはずなんですが,今期は珍しく食指の伸びる曲がありません.強いて言えば「武装錬金」「おとボク」くらいか.作品全体の評価に主題歌の影響は相当大きかったりするんだけど,こんなシーズンは珍しい.

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[開始短評]

△→△ 天保異聞妖奇士
良くも悪くも「ガンダムSeed」によって作られ「鋼の錬金術師」で完成し…たんだけど「BLOOD+」ですっかり微妙になった土曜夕方枠の新番組.看板時間帯だけあって作画はCGも含めて抜群.特に妖の大きさ重さはいい感じに伝わってきくるんですが…なんであんな古い絵柄を選んでしまったのか(苦笑).渋いけどきらびやかさに欠けるあのデザインでは,深夜ならともかく夕方には絶対に似合わない.テーマも構図もなかなか興味深いのに,舞台とキャラの地味さが完全に足を引っ張ってます.…あの時代にあの体型や姿勢はおかしいとか気づいてしまうと,なおさらなぁ(苦笑).折角の良枠なんだから,なんとか派手な方向に切り返してほしいところなんですが….


[放映中短評]

○ パンプキンシザーズ(~#4)
シリアスながらも好調! 今期中のオタ向け作品ではトップの出来かもしれません.真っ直ぐ過ぎてまぶしい彼女の存在が,爛れて穢れた古い傷を次第に癒していく様が,部分的には殺伐としつつもなんか微笑ましい.今のところ普通の任務に勤しんでいるときのほうが伏線を追っているときより楽しいので,もっと日常に近い姿を沢山見せて欲しいんだけど,話数的に難しかったりすると寂しいな.

○ D.Gray-man(~#4)
事前に思ってた以上に頑張ってる! 絵柄は確かに丸くなりましたが,夜の闇の中でのあの色合いの気持ちの良さは,モノクロの原作とは別の楽しみを与えてくれるし,アクションのキレもいい感じにハッタリが効いていて楽しい.この調子で,時間稼ぎのオリジナル話で大失敗しないで走ってくれれば,「NARUTO」や「BLEACH」…までは行かないにしても,「アイシールド21」は越えて行けそうだ.

○ DEATH NOTE(~#4)
作画さえあの原作の品質に追いつけば,本当にアニメ向きだこの作品.元々原作のモノローグが凄まじい量で,その文字量がスムーズな読みこなしには案外邪魔であったわけですが,アニメでは文章が声になったおかげで文字や吹き出しから解放された映像をたっぷり見ることができるようになり,状況が大変にわかりやすくなりました.…でも,この先は再読せねば理解の難しい独白が頻出するはず.そこをどうやって原則1度きりしか提示できないアニメでクリアしていくのかも興味深い.


[終了短評] ※私見:一般:電波で各5点ずつ

3:1:4 吉宗
なんであんな時間帯にあんなものを放映したのかが一番の謎である不思議な作品.ちゃんと見ていればきちんと楽しめる内容にはなっているんだけれど,あの時間帯にあの原作であのキャラクターであの話ってのはやっぱし敷居が高すぎるよなぁというわけで一般が1(苦笑).思いっきり手抜き放題で良さそうな作品の癖に作画は抜群.物語や演出に本作独特の癖があって,ドタバタの末に本来オチてエンディングになだれ込んでいいところでオチず,さらに1クッションをなぜか噛ませて着地を柔らかくしていたあたりが不思議で面白かった.吉宗を筆頭とした登場人物の素敵ないい加減ぶりと速水奨の変幻自在ぶりが楽しいので物好きはぜひ見るべき.数話つき合うことができる適性があれば,きっと楽しい時間が最後まで過ごせるはずです.


とりあえず最近追いついたのはこんな感じ.

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機動警察パトレイバー#26

「それぞれがそれぞれに特別優秀の巻」

香貫花が抜けた大穴を埋めるために第2小隊に配属されることになった熊耳武緒.ごつい名前に反していかにも清楚で,人当たりのよさそうな大人の女性だ.正式配属前から積極的に第2小隊を学び溶け込もうとする彼女は,有能な上に料理も巧く運動神経もレイバー操縦者としての勘もいい.その上職務に対しても強い自信と誇りを持っている真摯な彼女は,常にフォワードでいたい野明にとっては実に手強い競争者となった.

これまでの半年を主にドタバタと小ネタで彩ってきた「パトレイバー」.3クール目は今まで時折描かれてきた謎のレイバー絡みのエピソードが加速するので,それに先立ちまず人員の強化が行われます.同時期に連載されていたコミック版からやってきた熊耳さんは,香貫花とは違った種類の凄い女性.穏やかで常識的で芯が強くて賢い彼女は,今回は野明の前に立ち塞がるわけですが…凄い女性の尻に敷かれなければまともに働けないあいつって,やっぱりある意味凄いなぁ(苦笑).

前半.ついに新たな人材が補給されることになり,第2小隊はせっせと職場をお掃除.殺風景なので花を飾ろうとしたりとか,茶碗用のふきんで窓を拭くのが顰蹙だったりとか(笑)現実の職場では割とありがちな光景だけど,アニメでは滅多に描写されない光景かも.いらっしゃるのは「熊耳武緒」さん.ごつくて強そうな名前なので皆とりあえず男性ではないかと思い込んでいるわけですが,実際に遠くから歩いてきたのは女性.「よお,やっと来たか!」と後藤隊長が心待ちにしていた逸材です.
一見楚々としながらも,タクシーが捕まらないという理由でここまで延々歩いてくる根性のある熊耳さん.隣の隊長のしのぶさんすら驚かせるほどの抜群の経歴で,そんなのを引っ張ってきてしまう後藤の人脈が恐ろしい(笑).あんな地の果てから,本庁に向かって一体どんなアンテナを張っているのやら….しかも彼女は相当の才媛.レイバーシステムの把握にかかる時間が短いことだけでなく,はじめての業務なのに正確な期間を答えているあたりが凄いんだ.
後藤は可愛い問題児集団に対し,美人で楚々とした熊耳さんを紹介.配属までの10日間,研修として一緒にやってもらうので「仲良くやってね!」と前歴や階級などはまったく言わずに放り込みます.「よろしくお願いいたします」とごく普通の挨拶をする彼女は驚くほどにまとも.ここにはいなかった種類の人間なので,第2小隊は手探り状態で接触を開始です.…早くここに慣れようと熱心な彼女は,進士のデータ打ち込みのお手伝い.口調は硬くていかにも探っている感じがしますが,手さばきは優秀.
しかも優秀なのは仕事だけじゃない.3話で滔々と語られた通りにここでは待機期間を無事に暮らすことも大切な仕事で,中でも重要なのは食生活! 熊耳さんの存在に違和感を感じる遊馬の大根の輪切り,後半は…なんだそりゃ(笑).にこやかでおしとやかなタイプは苦手とひろみにこぼしたら,「女の人は見かけだけじゃわかりませんからねぇ」と妙に含蓄のある回答が戻ってくるような調理中,話題の中心である熊耳がいきなり来ちゃって…大変に気まずい(苦笑).
いたたまれずにあわてて台所から出る遊馬とぶつかって熊耳の落とした本は,「AVシステム概論」に「警視庁昇進試験問題集」に「全予測2001年レイバー展望」.しかも最後のはあのシャフト社が出したやつ! いきなりの配属された割には読んでるものはハイレベルで,特に昇進試験の問題集なんか持ち歩いてる向上心は大変この部署らしくないかも.そんな彼女に比べると,苦手なPCも他人に頼りっぱなしな野明の頼りなさが心配になってしまうのです.
遊馬のかわりに熊耳が入って作った今日の夕食は夢のよう! 見た目もいいしおいしいし,今日1日一緒に過ごしただけでも熊耳さんの完璧ぶりはレベルが違い…そんな凄い人がなんでこんなところにいるのか,遊馬にはその理由がわからなくてもやもやしています.で,鈍い野明はそこんとこ全然わかってない(笑).「やっぱ彼女,うちのカラーじゃないなぁ」と違和感を表明する遊馬.けれど彼女が貴重な戦力であることは間違いないし…でも,あれだけしっかりした人がいくら濃くてもこのいい加減な小隊に染まってくれるかな?
才能溢れる上に頑張り屋の熊耳さんは翌日も早朝から努力! 3号機を借りてすっかり乗りこなし,しかもレイバーの細かな設定の差異にまで気づいてしまう.とことん勘が良くて有能な上に熱心な彼女の姿は,これまで適当にやってきた遊馬の目には違和感のあるものに映ってしまう.基本を押さえてポイントを掴めばあとは応用力の問題.理論と実戦で食い違う分は地道に経験を積むという彼女の言葉には非の付け所もない上に,「当然のことじゃないかしら」と言い切るあたりが凄い.楚々とした見た目の内側には,強いプロ意識が隠れていたのです.
あれほどの熱意を持つ人材ならば,あっという間に今の自分たちのレベルまで追いついてしまうに違いない.後藤ときたら今後は再編成の余地は十分にあると思っているみたいだし,これはフォワードにとっては間違いなく危機! スペース入ってないみたいなどうでもいいエラーで戸惑って進めなくなっている野明なんか,あっという間に追い抜かれるに違いないので…お節介な兄貴分は大事な後輩を連れ出して警告だ!
「人にばっか頼っててどうすんだよ!」とわかってない野明に向かっていきなりお説教をかます遊馬.なんせ「うかうかしてっと,フォワード降ろされるかもしれないんだからな!」 競争者は既にイングラムのシステムをマスターしつつあるんだから,決して追い抜かれないように「自分でできることは自分でやれ!」と厳命.…けれど,そこまで教えられてもまだ野明はなんだか不本意.いくらパートナーに命じられても,まだ自分の身に何が迫っているのかを理解できていないのです.
けれどそんな鈍い野明でも危機を感じる事態は,案外早くやってきました.着替えで二人きりになったところで,「熊耳さんみたいに優秀な人が,どうしてこんなところに回されてきたんですか?」と聞いてみたなら…彼女は険しい表情に.「あなたは自分の仕事を,こんな仕事だなんて思っているの?」と,これまでなあなあでやってきた未熟者に対して辛辣な言葉をぶつけます! この台詞,野明だけでなく大抵の社会人にとっては相当耳に痛いはずだ(苦笑).
目標に向かって努力することで人間は成長するわけだから,仕事を舐めている奴には上達も向上もありえないというのは結構真実.現状のぬるま湯に満足していた野明に向かって,「特車二課に来たのは自分の意思だし,配属になった以上,常にベストを目指すつもりです」と宣言する熊耳.その姿を見て,野明は自分がなまけていたことに今更ながら気づいてしまって…思わず一緒にトレーニングを頑張ってみる(苦笑).自分より凄い人を見習って素直に頑張ろうとするあたり,野明って純真だよな.

後半.競争者を認識したことで俄然頑張りはじめる野明ですが,実力ってのは一朝一夕で引き上げられるようなもんじゃない.やる気の有無に関わらず,難しいものはやっぱり難しいまま…なんだけど,それでも絶望するのは早過ぎる.普通の人よりはやや良い程度のセンスとたかが半年の経験ですが,それでも他人に勝るものは身につくもの.さっき思いっきり叩き落としてくれた遊馬が,あんまりにも自信を失う彼女を今度は引き上げてくれます.
料理も上手いし運動神経もいいしイングラムも操縦できる熊耳さんに勝るものがないと落ち込む野明に遊馬が見せてくれたいいもの.それは太田機と野明機の間にある差.…そもそも操縦者に常識と自制心があるかどうかってのが一番大きな差になっているはずなんだけどそれは横に置いて(笑)遊馬が見せてくれるのは,操縦者としての純粋な力量差です.
基本データとしては,2号機に比べ力がなく反応速度も遅い1号機.これはまあ生まれつきみたいなもので,改善しようと思っても難しい部分.「そんで本題」.実際に2機の動作パターンをシミュレートしてみると,無駄な動きの多い2号機よりも素早く効率のいい動きをするってのが,きっと野明の才能.「何事も1つの局面だけで全てを判断することはできない」と今更ながら教えてくれるのです.
基本スペックは明らかに熊耳さんが上.しかしスペックの比較では語り切れない力量が間違いなく存在するから,表面の比較で結論を出すのは無意味.珍しくいい話をしてくれた同僚に励まされ,野明は腐らず再びせっせと頑張りはじめます.…そもそも彼女の場合,個人ではどうしても補いきれないことがあるなんてことは学生の頃の部活でつくづく痛感してきているわけですが…それはまた別の話.
才能に溢れ努力も惜しまない熊耳さんと,才能に関しては諦めても努力は惜しまない野明.残るは経験の差で,これを見せる機会もすぐに訪れました.この前の自分の態度について熊耳に言いたいことがあった野明.けれどそれを伝える前に,いきなり仲間として現場に出動することになります.…しかも現場に向かうに先立って,後藤からいきなり伝達される人事異動.熊耳は2号指揮車の担当に入り,進士は2号キャリアへと戻る!
いろいろと悩みはあったものの結局異動のなかった1号機コンビはにこにこ.それとは逆にそんな人事をまったく考えていなかった太田とついでに進士が呆然.…結局またも女の尻に敷かれることが決定した太田.でも敷かないとちゃんと制御できないんだから仕方ないよなぁ(笑)! この人事は進士にとっては救いの人事…のはずなんだけど,優しい彼は酷い目に遭うに違いない熊耳を心配.無茶な命令には従わない権利もあるとまで言うんですが,熊耳さんは「ありがとう,でもご心配は無用です」ときっぱり.彼女のプロ意識には一分の揺るぎもありません.
さて現場,香貫花に続いてまたか!というわけで,太田は猛るものの後藤はすっかり馬耳東風.さっさと現場の状況に集中です.2台の作業用レイバーが工事現場で壊し放題の暴れ放題.その末に地下の作業坑に隠れた上に人質まで抱えられて大変に厄介! …とはいえ本当に厄介なのは犯人よりも暴走しがちな太田を御することじゃないかと思うんですが(笑)そんな大役を任されたはずなのに,熊耳さんは余裕の笑み.
縦横の作業坑が走る地下の現場.迷路のような構造図から早速細い試坑に目をつけた熊耳さんは,ここに犯人機を誘導するように指示.最初の指示では2号機が誘導役で1号機に撹乱役をやらせようとしたんですが,太田に誘導役はやっぱし無理.その上犯人機どもに足蹴にされて太田の悲鳴が上がるわけですが,ちっとも動揺してない熊耳は凄くドライというか冷たいというか…(苦笑).
地下での誘導作戦は臨機応変.今度は1号機が誘導役に回って2対1の数の差に押されつつも野明が奮戦.もちろん押さえ込むことや倒すことはできなかったものの,犯人機を導きたい方向に持っていけたので問題なし.細い作業坑にさえ入ってくれれば挟み撃ちが可能.機動力に優れたクラブマンだとしても,2機を挟み撃ちすれば足を封じることもできるし,的を絞ることだって楽になるのです.
2号機と1号機の連携によって細い作業坑に追い込んで,犯人を出口付近で挟み撃ちにするこの作戦.撃ちたがる太田には理詰めで発砲許可を拒否して撃たせず,手違いがあっても最後には最初に考えたとおりの構図へと持って行く熊耳の指揮能力は抜群! 出口では銃を構えた1号機が「人質を解放すればよし,さもなくば!」と犯人機に警告するも,ここでコックピットから出てきた犯人が人質に銃らしきものを突きつける.…本来は人命尊重のために膠着しそうな状況で,野明がいきなり見せた判断は意外なものでした.
犯人に脅され,しかし「ようしわかった!」と野明は直後に至近距離に発砲! 弾丸の生み出す風圧で犯人の態勢を思いっきり崩し,結局フェイクであった銃らしきものも吹っ飛ばす! 何の戸惑いもなく即断即決でこんな大胆な行動を取った野明にさすがの熊耳も「彼女やるわね!」と驚き,可愛がっている頑張り屋のパートナーを誉められた遊馬も「まあな」とご満悦.
さっきの華麗な判断は相当熊耳を驚かせたようで,仕事の後で「どうして銃がハッタリだと?」と聞かれた野明の返事は「勘…です」.もちろん根拠がないことではなくて,本当に銃があるなら地下坑には逃げ込まなかったはずだから!と根拠もしっかり.しかしその根拠であの行動を即座に取れた野明の判断能力は見事で,「これからいろいろ,教えてもらいたいわ」と熊耳さんはその手を差し出します.…優れた人に同格と認めてもらう喜びは,今後野明の能力を引き上げる原動力になっていきそうです.

さて別日.実は熊耳さんが「巡査部長!」であったことにビビる第2小隊の隊員達.しかもその経歴も,返還前の香港警察で研修し本庁の外事課に移り終いにはインターポールを蹴ってこんなところに来ちゃったという豪快ぶり.もちろんその経歴に似合う能力と適性のあるエリートで逸材.そして特に権力に弱い太田にとってはまさに天敵(笑).互いの能力をお互いに十分知り合った10日間も終了し,「じゃ,みんな仲良くやってねー」ってなわけで新たなレギュラーの加わった,新しくてさらにハードな日々がはじまります! …とはいえこの熊耳さん,凄いけど決して弱点がないわけではなくってなあたりが描かれる次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#26

「醒めないで華やかな夢の巻」

公開営業で保護者の皆様に楽しんでいただき,自分たちも最高に楽しむはずだった学園祭.しかし環は祖母が連れて来たエクレールのため,ホスト部に戻ることができなくなってしまった.環をホスト部から引き剥がすためならばあらゆる手段を取るエクレールは,ハルヒの借金を返し環の携帯を水槽に沈める.環自身も,自分の母を須王の家から許してもらうためならば,ただでも部員達に迷惑をかけているホスト部を続けるつもりもない.…けれど仲間たちは皆,このバカなホスト部とバカな環のことが好きだった.この部を続けるためならば,どんな妨害も越えて真っ直ぐに彼へと走っていく!

抜群の品質のままとうとう最後まで走りきり,文句なしに傑作としての評価を手にすることになった「ホスト部」.終わってみれば敷居が高かったのはタイトルだけで,それ以外は全ての面で万人受けする作品というのも深夜帯では滅多にないんじゃないかと思います.
もっと適当に手を抜くことも,あるいはもっと下品に暴走させることも可能だったこの作品を,ゴールデンタイムの放映にすら耐えられる健全な娯楽作品に仕上げてしまったのは,間違いなく生真面目な五十嵐監督神の節制の賜物.作品のオリジナリティを表面的な形式ではなく容赦ないまでの質の高さで示すというのは,そう滅多にできることじゃありません.…原作や原案が既についていて,あとはエピソードに集中すればいいときの五十嵐監督神は本当に最高だ!

前半.前夜祭の夕方,部に走った大激震で朝食が喉を通らなくなっても,それでも本祭はやってくる.エクレール嬢にいきなり殿を持っていかれながらも,午後3時の中央棟サロンでは一般公開営業が続けられておりますが…そこに再びやってきたのが雷鳴の如きエクレール嬢.オペラグラスの向こうから鏡夜に嫌みをぶつけてみたりと本日も敵意満載です.しかも彼女の今日の狙いは誰あろうハルヒさん.ホスト部の機密にすら通じている彼女は,環の執心の中心を除いてしまおうとするのです.
青い瞳の美しいエクレール嬢に指名されたハルヒ.演技が苦手な大根役者が,部を壊そうとするエクレールに愛想のよい接客などできるはずもなく,かわいがられてたみたいねと過去形で挑発されたら「焼きもちですか」と対抗.女性同士の鍔迫り合いは火花散り,「環は来ないわよ」とエクレールが宣言したって,ハルヒは怖じ気もなく大きな瞳で射すくめるように彼女を見るばかり.欠片だって納得も諦めもできないのです.
環が作ったホスト部が気に入っている仲間達にとっては,環の解散宣言や不在は到底納得できるものではなく,…けれどここに至ってもクールな鏡夜は,「ホスト部を楽しみに来てくれたお客様に,出来る限りのおもてなしをする.それが今一番大切なことだ」と一同を散らせます.実は今彼自身も相当大変なことになってるんですが,そこは一切表に出さないのがとても彼らしい.
そう.鏡夜のポーカーフェイスは本当に筋金入りで,エクレール嬢との激しい戦いを終えたハルヒに,今の接客で借金が消えたと宣言するときすら平静.彼女の支払いでノルマを達成したから借金なし.「もういつでもホストをやめていいんだぞ」と,よりによってこんなときに突き放す.ハルヒがこの部に席を置く意義は借金.その鎖は今断ち切られたわけですが…いきなり自由に歩けるようになっても,行くべき方向がわからない.
けれど,たとえ戸惑っても混乱しても彼女はやはり藤岡ハルヒで,真っすぐだから誤りを受け入れることはできません.またもやってきた鏡夜の父が「価値のないことで,時間を無駄にするんじゃない」と自分の息子をなじるのを見て,ハルヒは自分を思い出します.本来は勉学のために入ったこの学校.けれどあのくだらない日々は本当に無駄だったのか?
ざっくりとした彼女が考えた娯楽産業に対する1つの考察.それは同時に,作り手のエンターテイメントに対する真摯な意見そのもの.「皆を楽しませることによって,自分たちも豊かな気持ちになります.皆を楽しませることは,そんなに価値のないことなんですか」.…たとえ最初は強制的に引き込まれたのだとしても今はそう信じるに至り,だからこそ迷いもなく「鏡夜先輩は立派だと思います」と堂々とそれを宣言し,あのポーカーフェイスを驚かせるわけです.
さてその頃,娯楽の権化である環を愛する父は,自分の大事な孫に刺客を送り込んだ祖母と語り合っておりました.グラントネールとの姻戚関係は祖母の勝手なごり押しで,しかも「あの子は須王の家に逆らったりできない」と居丈高.けれど父が息子を見る限り,環は須王の家に興味なんかなかった.実際に中等部の頃から,須王の後継者の地位は環の前にある無数の選択肢の1つに過ぎず,何の強制力もなかったはず.
けれど環が今回祖母に従ったのは,エクレール嬢と婚約すれば母親と会わせてやってもいいと言ったから.自身の孫やその母を駒扱いするひどいことをさらりと言って,その上で「お前の人生の不始末を,お前の息子に償わせてるだけです」と間接的に,しかし手酷く息子に当たる祖母.彼女の行動はあまりにも大人気なくて…なぜ彼女はここまで曲がってしまったんだろう.
これまでの午後3時は,環が王でいられた素晴らしい夢の時間.けれど今日の午後3時はエクレール嬢こそが女王.哀れな王にピアノを弾かせて閉じ込めて,「未練が残るでしょ」と仲間と彼を繋ぐ携帯を水に沈める.そこまで徹底した上に事を急ぐのは,彼女を射抜くように見たハルヒに脅威を感じたからに違いない.「恋人じゃありませんが,関係ない人なんかじゃありません」と言い切ったハルヒ.恋人ならばまだ簡単.恋は互いの心が必要だから,環さえ切り離せばいずれは消えてしまう.けれど,片方からの一方的な思いで結ばれる関係を切ることはひどく難しい….
閉じ込める彼女と閉じ込められた彼のところに鏡夜の父がやってきたので,「鏡夜をホスト部に誘ったのは俺です」と早速謝罪し,閉じ込められても切り離されても依然ホスト部部長としての責任を果たす環.その心はちっともホスト部から離れていないので,エクレールは鏡夜の父の弱みを使ってもう一押しを画策します.グラントネールからの買収のの淵にある鳳の医療機器会社.それは鏡夜に譲られるかもしれなかった会社で…ってことは,鏡夜は既に中等部の頃欲しくてたまらなかった,後継者候補としての地位を手に入れていたのか.
物語が大きく動き出すのは午後3時をとうに過ぎた夕方.今日が最後の活動になるかもしれないけれど,ホスト部はパレードの準備に余念なし.中でもハルヒさんは豪華なドレスで…これは女装? それとも本来の姿? でもここまでやっちゃうとさすがにバレるんじゃないかなぁ(苦笑).環がやりたがっていたイベントだからこそ,鏡夜は彼の携帯に連絡するも返事なし.けれど諦めずに須王第二邸に電話をかけたのは素晴らしい判断!
環の味方であるシマさんは,彼が急にフランスに発つことになったことをすぐに教えてくれました.とことんバカで純真で,他人の幸せのために本気で動いてきた環.例に漏れず今回の行動も人を幸せにするための行動のつもりなんですが…これがもし母を幸せにするという理由だけなら,仲間は黙って見送るしかなかったかもしれない.けれどもう1つの理由が大間違い! 桜蘭にいても自分のわがままで仲間に迷惑をかけるだけという環の思い込みに「あのバカが!」と嘆じる鏡夜.奴は純真で心優しく楽しい奴なんですが…本当にバカだったのです.
このままでは環はフランスに行ってしまう.それは終わらないはずだったホスト部の夢の世界の終焉だから,全員が驚き悲しみ憤ります.しかもバカがフランスに行く理由の半分は勘違い.そして残りの半分についても,きっと彼の母はそれを喜ばないだろうと予測が可能.…これまでは皆と一緒にいたからすぐに誤りを直してもらえたものの,今のように一人きり切り離されたらやっぱり間違いまくるバカ.ホスト部に王が必要なのと同じくらい,バカにも賢い仲間は必要なのです.
夕暮れの午後5時半.桜蘭祭が終わるのと同時に旅立つという環.まさに今赤いオープンカーでフランスへと連れ去られる彼の姿が….このまま去られたら全ての夢の終わり.けれど,今ならばまだ追いつけるかもしれない! 「行くぞ!」という声にはっとするハルヒ.ホスト部の一員として,彼女には可愛らしい格好で呆然と座っている暇などないから…終わりへと向かう疾走がはじまります!

後半.時計は5時45分を過ぎて日没も間近.環に追いつくために鏡夜たちは駐車場の車に寄るわけですが,そこには既にエクレール嬢の手が回っておりました.これまでは鏡夜の手駒としておなじみだった鳳のプライベートポリスが今回は敵に回るわけですがしかし!ホスト部の人材の凄さを舐めちゃいけない(笑).軍すら壊滅させるという埴之塚とそれに付き従う実力者の銛之塚.反則レベルで強いこの二人をプライベートポリス程度が止められるはずがない!
3年生たちが時間を稼いでくれる間に,1年生たちは今日のパレード用の馬車で環を追いかけることに.急激に変わる状況に流されるままのハルヒを連れて,双子は環の残した馬車を駆ります.…「あのバカを頼む」と伝言してハルヒの背中を押した鏡夜.自分は同行せずに任せるあたり,ハルヒさんなら環のことをきっと連れ戻してくれると信頼しているんでしょうね.
大暴れの先輩方を置き去りにして飛び出していく馬車.「ちゃんと手加減しろよ!」と吼えるハニー先輩は大変に男らしく(笑)直後に武装したプライベートポリスをあっさり沈静化する凄い実力と合わせて,武門の名家である埴之塚の後継者に相応しい.一時はその立場と自分のキャラのギャップに苦しんだ彼ですが,自然体の日々の中で彼なりの男らしさが見えてきたようです.…「桜蘭ホスト部をなめるなよ,お前ら」と爽やかな鏡夜.この部を一番誇りに思っているのは,この部を知り尽くしている彼かもしれません.
環を追って日没の桜蘭を疾走する馬車.光は殿を取り戻すため,無茶を承知で飛ばします! 彼らにとって,殿は二人きりで孤独な世界の扉を開いてくれた大恩人.あのとき殿が意地悪で排他的な双子にとことん喰らいついてくれたからこそ,今の楽しい日々があるのです.もしホスト部がなかったら,自分たち以外の人間と触れ合うこともなかったし,二人を見分ける奇跡に出会うこともなかったはずで…「そのホスト部が,こんないきなり終わっちゃうなんて! 僕は絶対嫌だ!」…今やそれぞれ別の道を歩き始めた双子にとって,ホスト部は当初の役目を終えつつあるわけですが,それとこれとは話が別!
けれど逸る気持ちは行き過ぎて,馬を跳ねさせ御者を馬車から落としてしまう.夜の夢を走る馬車は魔法が解ければかぼちゃに戻る.かぼちゃ畑の真ん中で夢は破れかけで泥だらけ.けれど即席の御者が動けなくなってしまっては,もはや夢は追うこともできないのか? 「僕達,本当にこんな風に終わっちゃうのか? 殿…」…かけがえのない大切なものを見失ってもはや戻らない.そんな悲しみをハルヒはとてもよく知っている.
食事が喉を通らなくなるくらい,大切なものを失うことは辛い.今朝父に心配されたときから,喪失の苦しみにハルヒの体は正直に反応していました.母を失うのに似た痛みに静かにもがく娘のことを,父はこう言って励まします.世の中には,頑張ってもどうにもならないことは一杯あるけれど…「だからこそ,頑張らなきゃいけないときは,躊躇ったりしちゃだめなのよ」…頑張ってどうにかなるのなら,自分が何者だろうと頑張らねばならない時がある!
そもそも本作の主人公は,豪華な衣装を身に纏って状況に流されるようなヤワな奴じゃない.何でもできる腕とどこにでも行ける足を持つ真っ直ぐに自立した人間.己のやるべきことに気づいたハルヒは,吹いて来た風の中,厳しい顔で長髪のカツラを取り,動きにくいドレスも脱ぎ捨てます.短い髪の,飾り気のないシンプルなペチコートを着た,細い体の少女は馬車の手綱を握る.それがどれほど怖くても,求めて走らねばならない時が来た!
流れ出すエンディングテーマの「疾走」.その曲の勢いに乗って,双子を置き去りにして一人馬車を駆り爆走するハルヒ! ショートカットを駆け抜ける彼女の前には夕暮れの海と道.海岸沿いの道を走る車の中には,この状況でもなお「会ったばかりの男と婚約するだなんて,本当に平気なのか」とエクレール嬢を心配する凄いバカの姿が! ハルヒの馬車はさらにスピードを上げ,道へと飛び出しなおも追う.背後から凛々しく迫る彼女は何も恐れない.環に馬車を止めろと言われてももう止まらない! 「先輩,戻ってきてください!」
走る道は橋の上へ.美しい夕景や同乗者の存在などそっちのけにしてオープンカーと馬車の間で交わされるバカと彼女の会話.託されて走ってきた彼女が伝える仲間の気持ちは…「みんな先輩に行ってほしくないんです!」「けど,皆ホスト部で,迷惑してるって…」「先輩はほんとにバカです! 大馬鹿です! こんなに長く付き合っていて,冗談か本気かもわからないんですか!」
…バカは本当にバカだから,言われなければ気づかない.けれど彼を動かしてきた動機の半分が存在しないことは間違いないことがここでわかって,置いてきたはずの夢が急激に環を引き戻しはじめます.しかもハルヒまで「自分も,ホスト部が好きです!」と叫んで手を差し伸べる.…環が作ったホスト部は彼の分身のようなもの.それを好きと言われる誘惑にぐらつかない奴などいない.車には母の幸せがあり馬車には仲間との喜びがあって,引きずられる環は馬車へと手を伸ばし…その手をすがる目で止めるエクレール.その選択が一人の女性を不幸にすると彼女は強く信じていて…

手を伸ばしてくれていたハルヒはついにバランスを崩し,海へと落ちる.

環を手に入れるため全てを尽くしたわけですが,ハルヒに命までかけられてはもはやエクレールにも止めることはできない.彼女なりに彼とその母のためになると信じたからこそ,エクレールの目からこぼれる涙.環は笑って言い残し,選んだものに向かって飛ぶ! …ハルヒを呼ぶ彼の声はいつもと変わりなく,環を呼ぶ彼女の声は確かに少女のもの.赤い空の中,取り戻しに来た彼女は守るべき娘なんかよりずっと力強くて,けれど抱きしめたいもので…きっと環は,はじめて自分が恋に落ちていたことに気づくのだ.
白い二人は一緒になって海へと落下.そして,ずぶ濡れの1話に戻ります.ハルヒが環を認めたのは,困っていた自分を純粋な善意で助けてくれた1話のあの時なのです.無茶をした彼女を抱いて岸へと近づく環.けれどハルヒはびしょ濡れも気にせずに,「いいじゃないですか.水も滴るいい男って,言うでしょ?」とあの時の言葉をそのまま返す.結局夢は醒めずに続行決定.バカはバカのまま,仲間はいつも一緒で…彼女は誰よりも男前.
ハルヒたちが取り戻してしまったら,エクレールは去るしかありません.彼女がここまでえげつなかったのは,家政婦にピアノを弾いてくれた息子のことを聞かされていたから.確かに彼は話のとおりに優しくて,がんじがらめに縛りつけたエクレールに向かい「ありがとう」と言い残したバカな奴.…それでも彼女の身を案じて笑った環は,最後まで花咲くような最高のもてなしを貫いたのです.

桜蘭祭のラストを飾る夜のダンスパーティ.その裏側では,鳳家の買収問題の顛末が環の父と鏡夜の父の間で語られていました.突如別のファンドマネージャーが登場し鳳の会社を先に買収.その上で経営権を鳳家に譲ると提案してきたため,グラントネールは敵対的買収に失敗し手を引くことに.もちろんファンドマネージャーは彼の息子である鳳鏡夜! …ホスト部で儲けた分を投資で順調に増やしてやがったんですね(笑).
自分の親の会社を買収してしまうほどに優秀な鳳鏡夜と,そんな優秀な鏡夜の心を,一度手にした会社を親に突き返させるように変えてしまった須王環.幼い頃からちらつかされてきたエサをいらないと突き返したのは…「あいつは見つけたんですよ.それ以上に価値のあるものを…恐らくは,環君のおかげで」
ダンスパーティではハルヒさんがペチコート姿のまま,ホスト部の皆を相手にくるくると踊っております.もの凄くバレそうなんですが(笑)そこはフィクション,皆素晴らしい女装だと信じ込んでいるに違いない.環がダンスを求めたところ,なぜか鏡夜がひょいとさらっていって環はすっかりおかんむり.けれどしばらく踊ったあとで,きちんと鏡夜は環に渡します.…そしてはじまる主役二人の麗しいダンス.ホスト部の仲間たちを変えた環を変えたのは唯一ハルヒのみ.だから彼女は誰よりも凄いのです.
エクレールという雷すら越えた藤岡ハルヒ,須王家と鳳家の両家が認め,それぞれ自分の息子の妻にしたいと強く希望するほどの眩い才能.ごく普通のざっくりとした庶民だった彼女は26話の間に日本や世界を揺り動かすほどの存在へと化けたわけですが…この物語はあくまでも幸せで華やかな夢の話.夢の中ならこの程度の常識外れは可愛いものでしょう. …そして,人を喜ばせる華麗なる遊戯,終わらない夢は醒めることなく,どこまでも続いていくのです.

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10月開始新番組チェック・2

新番組も軒並み3話目に突入した昨今,皆様いかがお過ごしですか? 自分はたぶん4分の3くらいまでは目が通せたはずなんですが,…やっぱり書けそうなのは「ライオン丸G」しかなさそうだ(苦笑).相変わらず激しく遅れながらものんびり書いていきますんで,気の長い奴はぜひおつきあい頂きたい.

久しぶりに写真.少し前のものですが.


オアシス@akiba.ただのトイレなのに報道陣などが大量に詰め掛けてましたよ.

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さて,まだまだ残っている新番組感想について.


-→△ マージナルプリンス
原作未プレイ.…えーっと,これはどうすればいいのかな(苦笑).女の子がいないのはやや変則ですが,作品としての構図はありがちで作画もまあまあよりやや落ちるくらい,「マイネ」みたいな凄い電波美意識も「桜蘭」のような容赦のない美麗な映像もなく…でも,なぜか歌う(笑).出てくる連中が全員天然ボケのご様子である上に,ツッコミ不在で誰もそれを止めないためになんかとんでもない状態になっちゃってますんで,自分のような電波作品愛好家は一度は目を通しておくべき.…でも,本当になんで歌うんだろう…?

△→○ 少年陰陽師
原作未読.陰陽師の少年が己の力や式神の力で妖怪とかを倒す退魔物語.現代とはまったく繋がらない平安時代ものってのは案外珍しいわけですが,それほどリアルを追求していないので異世界ものみたいに見えますね.これもよくあるパターンの集成で,少しでも気を抜けば陳腐になりがちな題材なんですが,作画面での頑張りがなかなかいいのでちゃんと楽しい.今はまだシンプルな構造で見易いんですが,この先結構登場人物が増えてきたときに上手に交通整理できるかがポイントかな.

△→○ D.Gray-man
原作一部既読.明らかに深夜向けの作品なんだけど夕方に来てかなりびっくり.原作がもっとエッジ立ちまくりだったところをかなり丸めてしまったのは…夕方という放映時間帯を考えると正解.今のうちならまだいいんだけど,もっと話が込み合ってきたところで思いっきり耽美なムードでやられると,たぶんこの時間帯の一見さんを一切つかめなくなると思います(笑).エッジが丸まったとはいえ作画は良好で,アクション面にも期待ができそう.長期放映につながりやすいジャンプブランドなので,ぜひいい感じに頑張ったり時間稼ぎをしたりしていただきたい.…戦闘抜きでもそれほど物足りなさを感じないこの作品の場合,本当にいい感じに時間稼ぎができそうなんだよなぁ.

△→○ すもももももも
原作一部既読.基本設定をそのまんま歌うオープニングの恥ずかしさは今期作品中でもぶっちぎり! ハーレムものの構図に格闘がトッピングされたため,周囲から狙われまくる少年が気の毒な状況に陥っていることに…大変好感が持てます.なんせ全然うらやましくないもんなぁ(笑).格闘シーンはまだまだ上滑りしてますが,作画自体は悪くない.本作のヒロインこと馬仮面が登場していない状態でこのレベルなんだから,彼女が登場した時にどこまで映像的にハジケてくれるかを大変に期待しています!

-→○ 009-1
原作未読.これは美しい! 石森モノのリバイバルはこれまで何本も作られていますが,時間帯と内容や映像がここまでしっくりきた作品は,大量の深夜作品の中であっても極めて珍しい.本作の一番の不安要素は釈であったわけですが,まったく問題ないっていうかむしろその微妙な読まされてる具合が異様に色っぽい(笑).作画は独特の美意識に溢れて麗しく,音楽もまた極上.物語自体は定型だから手間や金を惜しむと一気に陳腐になる類の作品なので,すげえ大変とは思うけれどぜひ最後までこの品質を貫いていただきたい.

○→○ 史上最強の弟子ケンイチ
原作既読.思ってた以上に頑張ってるぞ! この枠にいた「武龍」が,物語や声優には恵まれながらも作画面で大苦戦していたのとは対照的に,なかなか動かすのは難しそうな癖のあるキャラが割と動いているのが素晴らしい! …ただこのレベルを今後どこまで維持できるかは未知数だけど….事前にはむしろ声優の豪華さで話題になっていた本作ですが,思った以上にアニメ映えしたところもうれしい.ダメな主役がダメなまま,武道に関するウンチク混じりに意外とちゃんと強くなっていくところが面白いので,絵柄やテーマが苦手でもぜひしばらくつきあう価値はあると思いますよ.

△→△ ギャラクシーエンジェる~ん
前シリーズ視聴済.…うーん,全然飛距離が足りない! このシリーズの素晴らしいところは,たった10分先どころか1分先の展開すらまったく予測できないくらいの超展開であったはずですが,新シリーズは冒頭の展開からオチが予測できちまうのが辛い.わかりやすいしキャラも可愛いし映像も期待できそうなんですが,唯一無二の素晴らしい芸風を継承したギャグ作品としては正直厳しいし,勿体無いなぁ….

△→△ ネギま!?
原作既読,前シリーズ視聴済.制作会社と監督を変えて心機一転! 今度こそまともに「ネギま!」をやってくれるのかと思ったら…まだ夕方だってのに,なぜに「月詠」で「ぱにぽにだっしゅ」やってるんですか(笑)? 完成度の大変に高い原作の劣化コピーであった前シリーズに比べるとあらゆる意味でレベルが違うわけですが,その原作に思いっきり手が入りすぎてなんか別物になってんぞ(苦笑).これは原作を原案扱いしたオリジナル作品を見ることになるのだと,しっかり覚悟したほうが良さそう.…監督の趣味からすれば今後相当原作に手を入れてくるはずですが,あまりにやりすぎて手が回らなくなることがちょっと心配.

○→○ 乙女はお姉さまに恋してる
原作未プレイ.そのイカれた設定だけは知っていたので,アニメでは一体どんなバカ話を作り上げるのか結構楽しみにしてたんですが…思った以上にまともなコメディで,本当に期待していた無茶な方向とは違うけれどこれはこれなりに面白い.美少女モノとしては最良に近い抜群の作画と,アホ設定の割に意外と手堅く面白い物語が魅力.変に感動させるのではなく,女装主人公という特殊性を生かしたエロ愉快話を量産することに専念してくれるとうれしい.応援してます!

△→○ バーテンダー
原作一部既読.カクテルをテーマとした大人向け作品で,雰囲気は「ギャラリーフェイク」にかなり近いかな.監督が監督なので重厚な雰囲気は抜群なんだけど,元々のキャラは現代的にさっぱりしているため,その分演出が上滑り気味に見えてしまっているのは初回だからか? この先回を重ねればしっくり来るのかもしれませんが,元々の素材が優れているんだから,作り手の腕を示すために無理やり凝ったものを作らなくても,疲れた深夜にさっぱりと楽しみたいお客は十分満足するんじゃなかろうか.監督には話をまとめる段階で説教が爆裂する癖があるので,それが似合わない本作の場合,ぜひ1話完結に近いスタイルを最後まで貫いていただきたいです.

-→△ 銀色のオリンシス
得意のキッズ向けから手を広げつつある東映の送る,青少年向けロボットアニメ.…なんか,なんか凄い既視感が(苦笑).繊細な平井久司デザインは他社のお家芸かと思ってたんですが,東映で作ると元々のデザインにあった鋭さや甘さが大幅に薄まって,なんか異様に普通で健全な感じになるものだなと感心.それと古川登志夫が今あの役をやることにもかなりびっくりだ(笑).巨大ロボットモノとしてはかなりストレートな構成なので,「青春群像」に当たる部分がどこまで描けるかが鍵.サンライズで青春群像をやると陰々滅々とするのが常ですが,そうでないものが出てくると楽しいかもしれない.

△→○ 家庭教師ヒットマンREBORN!
原作一部既読.他のジャンプ作品でもよくあるように,非日常コメディを中心とした路線からバトルモノへと変化していく作品なんですが…日常側にいたはずなのに非日常バトルに引っ張られていく様があまりにも強引すぎてびっくりするぞ(笑).将来的にはバトルをやらねばならない都合上,ややうるさかったキャラの線をきっちりと整理してあるので今は地味に見えますが,この先インフレしてくれば十分華やかになるはず.音楽もいいし思っていた以上にアニメ映えしそうなので,ぜひ丁寧に作りきっていただきたい!

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あと少しだけ新番組が残ってますが,それはまた別の記事で.

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デジモンセイバーズ#24

「正義の足跡,悪の足跡の巻」

マサルとメルクリモンのタイマンに割って入ったイクト.デジタルワールドでデジモンとして育ち人間界で現実を知った彼は,全ての人間が悪ではなく,人とデジモンには戦う必要がないことに気づいた.しかし人間の中にも確かに悪が存在する.マサルたちに同行してきた倉田こそがその権化.彼が人間とデジモンの諍いのきっかけであり,さらにデジモン大虐殺の首謀者でもあったのだ.
10年前,6人目の倉田は恐怖に駆られてデジモンに引き金を引き,2つの種族が敵対するきっかけを作った.探検隊は厳しい逃避行の末,5人が倉田の時空振動爆弾で人間界へと帰還.けれどマサルの父,大門博士だけは仲間を守るために最後まで素手でデジモンに立ち向かい,メルクリモンと拳で語り合った末についに対話することに成功していた.

延々引っ張った10年前の真実がついに明らかになることで,ようやくこの世界の根幹の端が見えてくる「セイバーズ」! 当事者たちの語る10年前の出来事から,本当に凄い先駆者の姿と,同情しようのない悪の姿がくっきりと浮かび上がります.今回は延々回想する回なんですが,判明する事実がどれも凄いことや知りたかったことばかりなのでダレた感じは一切なし! これはここまで伏線を積み上げてきた脚本の勝利ですね.
登場人物やターゲット層とは別に,作品自体がなんとなく男性的,あるいは女性的な雰囲気を醸す場合があるんですが,これまでの個人的な経験からすると「どんな言い訳のしようもない悪が存在する」と男性的な雰囲気が,逆に「どんな悪にも同情するべき部分がある」と女性的な雰囲気が漂う感じ.そして本作は…これまでは割と女性っぽく見えてたんですが,急激に男っぽくなってきた! キッズアニメで主役が人間を殴るのは色々難しそうではありますが,頼む,あいつだけは退場前に絶対に殴ってくれ!

マサルとメルクリモンの拳の対話がはじまる直前に登場して思い切り水を差したのがイクト.人間界で多くの人間や肉親に会い,自分が本当は「人間だったんだな!」と叫ぶように尋ねると,「そうだ.お前は人間」とメルクリモンも返答.…喧嘩をそっちのけにしていきなり情報交換がはじまってしまいます.特にゴツモンがメルクリモンの意に反して暴走していたのが明らかになったのは,保護者に憎まれ,許してもらえないと思っていたイクトにとってはかなりうれしいことのはずです.
他の多数のデジモンたちと同様に人間が大嫌いだったイクト.けれどここしばらくの怒涛の展開と,マサルたちとの接触が彼の心を変えました.「人間,悪い奴ばかりじゃないって!」 …当初は自分が大嫌いな人間だと認めることを拒否しまくっていたものの,人間にもいろいろいると学んだために言えるようになった言葉です.そんでもってこの結論に至るには,いい奴であるマサルたちだけでなく,いかにも悪い奴である羽柴長官たちとの接触も役立っているような気がするな(笑).
イクト自身は大嫌いな人間だったけれど,それでもデジモンであるファルコモンと友達になれた.もちろんDATSには似たり寄ったりの連中がいて,自分たちだけが特別ってわけでもないらしい.いい奴ならば種を越えて友達になれることは身をもって知ったから,「人間とデジモン,戦う必要なんてないんじゃないのか!」…とても良い結論に達したっていうのに,それを笑う奴がここにいる!
「友達ですって? 冗談も休み休み言ってください!」と倉田.デジモンは人間に害を及ぼすデンジャラスな生物と大雑把にくくってレッテルを貼り,銃口を向ける彼をメルクリモンは知っている! 連れてきたマサルを見損なうほど最悪の存在で全ての元凶.「その男こそ,我らの仲間を,ユキダルモンたちを殺した張本人!」
…10年前.実験中の事故によってデジタルワールドへと流されたイクトを最初に見つけたユキダルモン.門の向こうで呼ぶ声から「イクト」という名を知り,ひとりきりでは生きていけなかった彼を育ててくれました.やがてゴツモンとメルクリモンが彼女の元に来訪してイクトの引渡しを求めるわけですが,災いの芽であるはずの人間の引渡しをユキダルモンはあっさり拒否した上に,「イクトはあたしが育てる!」と宣言.…ひたすら優しいのかと思ったら,割と快活で姉御肌なタイプだったのか.
オリンポス十二神将とかいう偉いのを前にしてもまったく退かないユキダルモン.メルクリモンは人間の母親がそうやって子どもを守ると知っていて,ユキダルモンも「ハハオヤ…いい響きだねぇ.決めた! 今日からあたしはイクトのハハオヤになる!」と,さばさばと心を決めた上にそのように育て,そして…今ここにいる倉田がふたりの絆を打ち砕いた.しかもこの男は,そんな凶行に及びながらも被害者面をしてみせるのです.
きっかけは10年前のデジタルワールド探検隊.彼らが例の流されものの岬にいた頃は,まだ人間とデジモンの間には何の憎しみも存在しませんでした.…この回想でようやくはっきりと顔を出すのが,超生物博士の大門スグル博士.あのマサルの父ということでいろんな意味で凄い人であろうと予測されていた彼ですが…いやぁ,本当に凄かった(笑)!
どうやら好きが嵩じて極めてしまったタイプの大門博士.見たことのないものに囲まれて,大変にうれしげに写真を撮影しまくるのを「真面目にやってください」と薩摩刑事に注意されております(苦笑).…薩摩刑事も湯島警部補も,警視庁や中央の警察庁ではなく神奈川県警の所属だったんですね.けれどそんな楽しい時間を壊したのが倉田.彼がデジモンに向かって発砲したことをきっかけに,何もかもが悪い方へと転がっていったのです.
自身の恐れる心に感応したデジモンに襲われそうになった倉田.大門博士がデジモンをぶん投げてくれて双方無事であったわけですが,「どうして撃った!」と博士が助手を叱責してももう遅い.一度はじまった敵意はドミノ倒しに拡散し…でも,一見バラバラに生きているデジモンたちの間で,どうやってたった1つの敵意があれほど伝染したんだろう?
拡散の理由はともかくデジモンの敵になってしまった人間達は,追い詰められる地獄の日々の末に無限氷壁へと到着.ここでサーベルレオモンに追い詰められたその時,倉田が強制的にデジタルゲートを開ける危険な時空振動爆弾なんか取り出しやがる.確かに非力な隊員達の命を繋いだのはあのゲートであったかもしれないけれど,両方の世界に悪影響を与える可能性を無視する助手はあまりにも自分勝手すぎるわけで.
怖さで攻撃し怖さから逃げ出した倉田.そんな弱虫に比べ「あの男は逃げなかった…最後まで,私と真っ向からぶつかりあったのだ」とメルクリモンが誉めるのは,もちろん唯一残った大門博士.彼はマサルと同じくデジソウルを拳に宿して自分より遥かにでかいデジモンをぶん殴っていた! …さすがはマサルの父.博士の癖に滅茶苦茶だ(苦笑)! 自分の仲間を守るためにその拳を振るった父曰く,「男は何かを守ろうとするとき! 底力って奴を発揮することができる!」…でも,実際に殴り倒すとこまでいくと底力のレベルを大幅に凌駕しているぞ(笑).
「お前に戦う理由があるように! 俺にも守るべき仲間がいるんだよ!」と大変に男らしく自分の仲間を守った大門博士.彼が己の拳のみでメルクリモンとまで殴りあいをしたのだと聞き,「俺の父さん,メルクリモンと拳で語り合ったんだとよう!」とマサルは大喜び! …以前サユリさんがあの人の息子だから仕方ないとマサルを諦めた理由も今ならひどくよくわかる(苦笑).常識的な仲間からすれば大門博士の業績は「いろんな意味で凄すぎる」.息子の無鉄砲ぶりと同様に,到底ついていけるレベルではないのです.
究極体に素手で挑もうとするくらいに大門博士の心は強くて,実際の戦いでも一切心が折れることはなく,やがてその鉄拳はメルクリモンの心の扉を開きます.なぜデジタルワールドに足を踏み入れたのかを問われた博士の返答は,「そこに見知らぬ風が吹いているからだ!」…未知の探求に命を惜しまない彼は悪びれもせず真っ直ぐに,「知らないものは知りたい! 見たいものは見たい! それが男の本能,自然の欲求だ!」.ここまで聞いただけでは己の欲望のために荒らしに来たようにしか聞こえないわけですが,それについては「そんなつもりはない!」と完全否定.彼はデジタルワールドやデジモンのことを,十分に尊重していたのです.

殴り合って通じ合い,ようやく言葉による意志疎通が可能になったメルクリモンと大門博士.さっきの男の本能の件もありますが,この世界には野口博士たちの子どもを探しにきたのだと語ります.イクトらしき者がいると教えてもらって喜び,「子どもはいいぞ.真っ直ぐな瞳をしている.生きる道を教えているつもりが,逆に教えられるときもしょっちゅうだ!」とマサルやチカについて語る様が実に楽しそう.…この博士,条件なしに生き物なら何でも大好きそうだなぁ.
腕っ節も心持ちも人間離れしたこの人間に,メルクリモンはイグドラシルに会うことを勧めます.名前からするとデジモンっぽくない「デジタルワールドを束ねる神とも言える存在」ってのは,群体としてのデジモンの意志決定機関に当たるんだろうか.人間とデジモンの調和をはかるにはその神の承認が必須らしいけど,その存在はどこにもいるが,どこにもいない….
感じられるけれど姿を見ることはできないというユグドラシル.しかし2つの世界の平和を考えれば,人間である大門博士はぜひとも会いに行き,話を通さねばなりません.自分たちについて語り合い,すっかり意気投合したメルクリモンにゲートの管理を任せて博士は旅立ちます.「つくろう! デジモンと人間がともに暮らせる世界を!」
仲間の子どもを捜しに異世界に赴き,偉い奴と素手で戦った末に見込まれて神のようなものに会いにいく.それがこの世界での大門博士の足取りで,そりゃ行方不明になっても仕方ない程度に壮絶.マサルもいい主役だとは思いますが,父は完璧なヒーローです.で,ヒーローは人目のないところで死んだりはしないので,無慈悲な倉田の言葉に心を揺らしたりしなくても大丈夫だぞマサル(苦笑).
大門博士はどこかで必ず生きている.その証こそがデジタルワールドから届けられたデジヴァイスの設計書であり,クダモンとカメモンに託されたメッセージであり,そして博士のデジモンを保護する組織を作ってほしいという意志に従い設立されたDATSそのもの! やがてそこに彼の息子である大門マサルが加わって,人間界の時間は過ぎてきたわけです.
大門博士の滅茶苦茶で偉大な足跡によって保たれてきた,人間界とデジタルワールドの均衡.不幸にも人間界に迷い込んだデジモンたちはDATSによってデジタマという形で送り返され続け,デジモンたちが人間に余計な敵意を抱くこともなく過ぎた日々…しかし倉田は,そんな貴重な平穏をまたもぶち壊しやがりました!
突如デジモン軍団を人間界から強制的に送り返した時のように巨大なゲートを開き,デジタルワールドへと侵攻しやがった倉田.「It's Show Time!」と自意識過剰な侵略者は,デジモンたちを無差別に焼いて殺した.この大虐殺にイクトたちが巻き込まれ,人間を憎むことになったのは皆様ご存じの通り.倉田の最高傑作であったギズモンによって,デジモンたちはデジタマになることもできずに消去され,そして…ユキダルモンはイクトを守るために犠牲になって消えたのだ.
同じ人間であることが恥ずかしいくらいに最悪の倉田.彼の師匠であった大門博士がデジモンに同じ生物としての敬意を十二分に払っていたのに対し,倉田にとってはデジモンはただの怪物に過ぎない.相互理解と調和の可能性を完全に無視して,凶暴な怪物どもを人間界のために根絶やしにしようとするなんて! …対象に対する愛の欠片もないなんて,研究者としてもオタクとしても失格としか言いようがない!
倉田の侵攻はメルクリモンの逆襲で退けられたものの,デジタルワールドには癒しようのない傷が残ってしまいました.存在の完全なる消去によって多くの命と可能性が潰されて…そんな中でもイクトに対して,けして人間を憎んじゃいけないと言い残したユキダルモンは,これから険しい道を進むことになる自分の息子に対して,どれほど多くの言葉を残してやりたかったことだろう.
彼自身は何も悪くないのに,育ての母を失った上に災厄を運んだ疫病神扱いをされたイクト.そんなイクトをただひとりはっきりと庇ってくれたのもメルクリモン.失われたユキダルモンの命や意志を継いで「この森で生きろ.デジタルワールドの戦士として!」と命じ,その言葉にイクトも従いデジタルワールドの時は流れて.…もしメルクリモンが大門博士に出会うことなく,悪でない人間を知らなかったとしたら,イクトの命はあの段階で断たれていたんじゃなかろうか.

当事者たちによって語られた過去の真実は,メルクリモンやイクトだけでなくマサルたちまでも怒らせます.ここにいるのは偏見に満ちた目で対等であるべき存在を無条件に憎んで虐殺し,人の育ての母を殺した大罪人.その罪の重さはデジモンでなくたって,まともな心を持つ存在ならば理解ができる! 「最低だ貴様! 人間の風上にも置けない,最低の男だ!」
ついに悪としての本性を現した倉田.邪魔なDATSの連中をメルクリモンと相討ちさせて片づけるつもりであった彼は,「がっかりです…」とギズモン:ATでふい撃ち! サーベルレオモンを消したあのビームを撃たれて苦しむメルクリモン! …その狭量,その偏見,その行動の悪は許せるものじゃない.「兄貴,俺,こんなに腹が立ったのははじめてだ!」とアグモン,「てめえだけは,絶対に許せねえ!」とマサル! もしこの状況を大門博士が見ていたとしたら,きっと息子と同じように怒ったに違いない! …そして,イクトを更なる悲しみが襲う怒涛の次回に続きます!

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機動警察パトレイバー#25

「キレれば無理やり夜も明けるの巻」

第2小隊から香貫花が去ったあと,その穴を埋めることになったのは進士.しかし指揮する相手は問題児の太田で,あらゆる意味でうまくいかない.その上現場を混乱させるような指揮ならいらないと太田にまで言われ,不慣れな上に性に合わない仕事での心労は増すばかり.
実は同時期にヘッドハンティングを受けていた進士.警察官への転職前のキャリアを高く評価したソフトウェア開発会社が,現在の給料の3倍と部長職を用意して待っているというのだ.相変わらず仕事ではまったく成果が出せないものの,思い切って転職に踏み切ることもできず,現状には一応満足しているらしい妻にも話せずに悩む進士.しかしとうとう妻に転職の件が漏れ,大反対された上に家事をボイコットされてしまう.

滅茶苦茶なれども有能であった彼女と滅茶苦茶ではなく有能な彼女の間に発生した真空地帯に苦しむ「パトレイバー」.非日常の権化だった香貫花の抜けた穴に無理やり嵌めこまれるも,どうにも足りずにうまくいかなくて気の毒な進士が今回の主役です.元々は大手企業に勤務していたはずが何の因果か第2小隊.後藤が連れてきた以上,有能な人材であることに間違いはないんですが…適材適所の壁は厚い(笑).
全体的に最適化するなら,遊馬を2号機指揮に動かして1号機指揮を進士にやらせた方がまだマシ.しかしこれはまともに機能している1号機を使えなくすることに繋がるし,次回には来るので(笑)あんな間に合わせ配置になったんだろうなぁ.元々少人数で最大の効率を目指してきた第2小隊は,その代償として最高の状態から誰一人動かせないほどに組織の硬直性が激しかったし…でも,一番柔軟さのなさそうな奴をそこに押し込むのはいくらなんでも無茶だよ後藤隊長(苦笑).
ちなみに今回からオープニング変更開始.後期OPは野明と遊馬がかっこいいなぁ! 前期OPの野明と遊馬をパロってるシゲとおやっさんもおかしい.ただしまだ完璧ではないので,まだあちこちに香貫花が残ってますね.

前半.今回は香貫花を失った2号機の失態からスタート! 一応進士が2号機の指揮に入ってるんですが,その指揮っぷりは相手の現在位置すら伝えられないくらいに要領を得ず,しかも太田の特質である銃撃に関しても計算に入ってない.1号機はいつも通りに仕事しているので致命的な事態にはならないものの,結局太田は仲間を銃撃.なんてダメなコンビネーション! 香貫花の穴はあまりにも大きい.
太田のせいで1号機左肩のパトランプが破損して野明は悲しみ,不祥事は慣れっこな太田は反省の欠片もなく,その分真面目な進士が思いっきりストレスにやられています.いくら胃薬を飲んだって「僕が,悪かったんです」と自分を責めちゃ絶対に胃は悪くなる一方だ….しかも太田ときたら「お前も悪い」なんて言いやがり,進士の苦しみを共有してくれないだけでなく,こんな指揮ならいっそないほうがいいとあまりにも酷い! 確かに進士の指揮もマズいけど,そもそも命令無視して撃った太田が一番悪いのに.とはいえ進士には太田を睨む野明のような気力も怒りもなく,やつれた顔で茶をすするしかないのが切ない….
前職のこともあり,指揮よりもオフィスワークが得意な進士.慣れない仕事をなんとかするべく,これまでの出動についてパソコンでデータ分析を行ったりする手際は立派なもの.でも野明に「そっちの仕事やればよかったのに」とか言われてしまうとまたヘコむ(苦笑).イングラムの日次運用には多分にコンピュータ知識が必要となるはずで,これまでも進士が裏で支えてくれていたんだろうけれど.…そんなところにかかってくる電話は,適材適所への甘いお誘い.
現在の第2小隊の惨状は第1小隊隊長の目から見ても明らか.しのぶさんは再編成の必要があると思っているわけですが,後藤はこの状態でもう少しだけ頑張るつもり.…けれど当の進士はもう限界.元凶である太田が一切譲ってくれなくて,しかも「なるべく指揮を当てにしないようにするから」って全然励ましになってねえ(苦笑)! 太田みたいな鈍い奴には何にでも謝ってしまいそうなか弱い進士の心がわかるはずもなく,逃げ出したくなるのは当然で….
夜.ホテルのバーに招かれた進士は,美人の転職仲介者と密会.進士のキャリアは特車2課に入るまではなかなか優秀だったので,ヘッドハンティングされていたのです.進士を欲しがる相手企業はソフトウェア開発会社.設立2年でも評価も高くて安定…ってのは有望なベンチャーってことか.
「現在のご職業に満足されていらっしゃいますか?」となかなか煮え切らない進士を揺さぶるヘッドハンター.「必要とされていますか?」…現状の職場を振り返れば,荷が重すぎてとてもそうとは言えない状況.女性もきっとそのあたりをよく理解していて,手助けをしたいと強烈に揺さぶってきます.しかも相手は現在の3倍の給料と部長職を準備! 仕事内容や労働条件を抜きにしたって,魅力的な提案なのは間違いありません.
今の進士の世界は,職場である特車二課と愛する多美子さんの待つ家庭の2つ.遅い帰宅にも妻はつつましく夕食を準備してくれて,もう1つの世界の辛さを考えるとこっちの世界は実に優しい.しかもこの世界をもっといいものにするには給料の上がる転職は良い選択で…この家狭いから越したくない?と聞いてみる.しかし愛する妻は幹ちゃんと一緒ならどこでもいいと優しい上に,いろいろと腹に据えかねていることがちょっぴり溢れ出しているけれど,現状にはそれなりに満足している御様子.…近所で夫の給料とか内部評価情報が共有されてるってのは嫌だなぁ(苦笑).「二人なら,どんな困難だって平気だもんね!」と大変健気な多美子さん.この人が支えてくれなければ,進士はとうの昔に潰れていたに違いありません.
けれどもう1つの世界である職場では,進士の苦悩は深まるばかり.コンビネーションを高めるために後藤が1号機と2号機の模擬戦を企画したものの,絶好調の1号機とまったくダメな2号機では勝負にならない.単に実力差が明らかになっただけでマイナスにしかなりゃしない.…しかも太田は全部の責任を進士に押し付けてくるもんだから,ついに進士は隊長室へ.その尋常じゃない思いつめぶりに後藤もさすがにヤバいと感じたようです.
いくら後藤に気楽にやんなさいと言われても,そもそも気楽にやること自体が苦手な進士.香貫花の抜けた大穴を埋めるという大役を押しつけた後藤は,今の進士や太田はそれなりによくやっているとねぎらってくれているんですが…どうしても進士は自分を責めてしまう.しかも後藤は「もうちょっと頑張ってみようよ」と無理やり悩みを据え置きにして,ちっとも辛さを共有してくれない….
今の職場は大変辛く,ヘッドハンターからは積極的にアピールされて,板ばさみの進士はひたすらに苦悩.しかも唯一残されていたオアシスである自宅まで,ヘッドハンターの余計なお世話で大崩壊.「ヨシカワって女一体誰なの!」と嫉妬深い多美子さんは大暴れ! …全身ラブリーなピンクでまとめているのがむしろ怖いぞ(苦笑).こんな経緯じゃ多美子さんが転職に賛同してくれるわけもなく,それどころか夕食まで作ってくれない.…こんなときだからこそ一緒にいて欲しい人にまでそっぽを向かれて,進士の明日は一体どっちだ.

後半! 職場も家庭もうまくいかない上に転職の誘いは強くなり,ひたすらに心乱されるままの進士.進士を引き抜いたい企業からはついに社長まで出てきました.しかも彼は進士の旧知の人物.優秀な技術者を求めている彼は進士がどうしても欲しいようで,「お前なら専務でもいいと思ってる」とさらにチップを積み上げる! これは謙虚な上にここ最近まったく認められていない進士にとっては破格の評価.そんな器じゃないとつい狼狽してしまうほどです.
今のままでは誰も自分を認めてくれない.けれど転職すればきっと誰もが認めてくれる.一人きりで思いつめた進士はついに辞表を書きました…でも,本来は辞職願だよな(笑).結局多美子さんとは最後まで相談することもできなかったわけですが,この状況でもすねる妻のためにそこそこの手際で朝食まで準備する彼は優しい.…何の力にもなれなかったばかりか,彼を苦しめてしまった多美子さんは,作ってもらったお味噌汁をすすって反省です.
いつも以上に冴えない顔色ながらも覚悟を決めた進士.昼食も喉を通らないほどに弱っている彼に,太田がゆで卵をくれました.…実際に進士を弱らせているのは太田の無神経さや暑苦しさなんですが,それでも「ああいう人なんですよ.悪い人じゃありません」と庇ってしまうから余計顔色が悪くなるわけで.限界の進士はついに決心し,隊長室に足を向けてしまったのでありました.
これからの自分を大きく変える後戻りのできない選択.いくら追い詰められていても気の小さい進士にはなかなか踏み切れないわけですが,それでも頑張って隊長室に入ろうとしたなら…「どうしたい?」と後から音もなく隊長登場(笑).しかし一杯一杯の進士がその考えを後藤に伝える直前,出動を促す警報が鳴り響く! …ここでもし鳴らなかったら,進士の未来はかなり違ったものになっていたのかもしれません.
出動先では機動隊に追い詰められたレイバーが大暴れ中.どうも相手はテロリストらしいんですが,機動隊が出張って第2小隊を前に出してくれない.…でかくて力のあるレイバー相手に,警官やパトカーにできることなんかタカが知れているわけで,ここは被害を増やさないためにも,そして太田がストレスを溜め過ぎて肝心なときに暴発しないためにも(笑)一刻も早く戦場を譲っていただきたいんだけれど….
今回は傍観を貫く遊馬が不思議に思うほど,機動隊は仲間のはずの第2小隊を妨害しまくり.世慣れた進士はあっさり派閥とか面子とかだろうと予測して,実際にそれは大正解.セクショナリズムは歴史ある組織には必ずと言っていいほど発生するもので,人生経験の足りてない遊馬にはピンと来ないようですが,一般企業よりも警察の方がその傾向は激しいかもしれない.…そしてそんな機動隊の仕打ちに,ついに進士の堪忍袋の緒が千切れて参りました(苦笑)!
ロボット工学だけでなく,高度に防水・気密に関する技術も進歩しているらしいこの近未来で,機動隊の放水がレイバーの妨げになるはずもなく,戦車ならともかくただの装甲車じゃ役にも立たない.結局機動隊はレイバーをつつくだけつついて刺激しまくった上に勝手に退却! …ろくに仕事もしないどころか,仕事を増やして自分たちをバカにする他の部署の面子.それはこれまで自分ばかりを責めてきた進士が真っ直ぐ怒りをぶつけることのできる初めての対象で!内圧を高めまくった進士の感情がついに溢れます!
ぶっちりキレた進士は後藤の許可抜きで太田に搭乗を命令!「バックアップの命令ですよ! 聞けないとでも言うんですか!」とその迫力は太田を圧倒(笑)! 「あの二人を誰が止められるって言うんだ!」ってなわけで,1号機も指示を待たずに追従.しかも怒りでやけっぱちの進士は命令だけでなく,敵レイバーの足元を指揮車で乱して足止めするという大活躍ぶり! …とても正気でできることじゃない(苦笑).
かなり頑張ったもののしまいには敵レイバーと建物の合間に挟まってしまった2号機指揮車.その中から,進士は太田に撃ってくださいと強く命令! 「あんなに撃ちたがっていたじゃないですか! 撃たせてあげますよ!」と凄い剣幕で促した上に,「ただし,外したらただじゃおきませんからね!」とざっくりプレッシャーも刺してみせる.なんせここは小学校の校舎の真横.外したときの被害を考えるとさすがの太田もビビってますが,進士は命中させりゃいいさあ撃てと全開で追い詰める! …ここまで追い詰めてくれた同僚に対する,無意識のこってりとした復讐です!
進士の「撃ちなさーい!」という絶叫にやられて太田もついに引き金を引く! これが見事に当たって一撃で動きが止まり,続く1号機がしっかりとトドメを刺す! まるで香貫花がいたときのような正しくて気持ちのいい連携に,「まあ,こんなもんだな」と後藤.…確かに進士は自分を卑下しすぎ.彼の本当の迫力は,太田程度が対抗できるような生ぬるいものではないのです(笑).

大爆発によってストレスが吹っ飛んだ進士は,結局転職を断ることに.ここまで熱心に転職を勧めていたヘッドハンターの彼女にも,何となくこうなることは見えていたらしく,進士が思っている以上に,警察官は適職なのかもしれないとまで言ってくれる…なら,もっと早く諦めてくれたらよかったのに(苦笑)! そしてそのキレぶりは「お見事」と隊長にも誉められる.毒を持って毒を制す,暴走を持って暴走を制す…でいいのかどうかは横に置き(笑)進士の苦悩はあと少し,もうしばらく,具体的には次回まで頑張ればきっとなんとかなるはずなのです.
かくして職場に関してはかなりの問題を解決できたわけですが,帰ったら家庭の問題がむしろややこしくなっておりました(笑).気の早い多美子さんはもう引越しを準備しちゃっておりまして,「あれやっぱりよすよ」と進士が言ったときには既に,かなり後戻りしにくい状況になっちゃってましたよ! なんせもう近所にお別れの挨拶まで済ませてしまったってんだもの.一体どうやって収拾すりゃいいんだろう,この事態(苦笑).…この話,リアルタイムで見た学生の頃よりも,社会人として働いている今の方がずっと面白く感じるなぁとか思いつつ,新たなヒロイン登場の次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#25

「夢覚ます現実の声の巻」

桜蘭祭は学校全体が浮き立つ年に1度の大イベント.将来のリーダー候補たちがふんだんに資金を投入し,設営の実作業は業者に行わせて生徒はその指示に専念するのだ.ホスト部は中央塔サロンで父兄や来賓の皆様に対し一般公開営業を行い.さらにフランスからはクラシック馬車を空輸して派手にパレードまで行う予定.普段以上に華々しくかつ値の張る環のわがままは,さすがの鏡夜も音を上げるほどだ.
ホスト部公開営業は,いつも以上にネコをかぶった接客によって大盛況.そんな客に混じって彼らの父兄もやってくる.この学校の理事長であり環の父である須王譲はハルヒを指名.鏡夜の父は私に恥をかかせるつもりかと息子の頬を叩く.そして,見慣れぬ令嬢を連れてきた環の祖母は,令嬢を学祭期間中エスコートするように環に命じ,環はそれを微笑んで受け入れた.

原作のポテンシャルを十二分に生かした素晴らしい映像と演出で,ここまで愉快なダンスを踊ってきた「ホスト部」もついにフィナーレへ! 物語をきっちりと閉じるため,最後はらしくないシリアスな雰囲気で彼らの現在を描きます.2年前にフランスからやってきた環のくだらない思いつきをそのくだらなさに惚れこんだ鏡夜が補佐し,これと見込んだ4人の仲間をさらに集めて誕生したホスト部.愉快な日々を1年ほど続けたところで入学してきたのが特待生のハルヒさん.少年に見えて実は少女であった彼女は割った壷の代金を支払うためにホスト部で男と偽って働くことになり,常識はずれで不本意な部活動の中で彼女は仲間たちの様々な顔を知っていき…そして現在.
本来は勉学に励まねばならないハルヒさんは,成り行きで嫌々ながらもこの部で活動することになったわけですが,やたらと良い彼女の目に映った同級生や先輩たちの姿は…問題は多々あるものの(笑)決して悪くはなくて,一見不可思議に見える行動の中にも稀にまともな理由が混ざっていることを知ったところではじまるのが,2話連続の最後のエピソード.過去にそれぞれイメージやら扉やら枠やらを意図して越えて集ったホスト部の中では,入部理由が成り行きなハルヒさんは異質.そんな彼女が等質であるかどうかを確認するのが,このエピソードの最終的な目的となります.

前半.歴史ある桜蘭の学校祭は実に豪勢.普段から十二分に常識離れしているこの学校ですが,祭りとなればレベルが違う.しかも金持ち学校ゆえに,業者使いまくって企画をやるあたりが凄まじい.そこに使われる金については…やっぱし各自で持ち出している上に,上限も存在しないんだろうなぁ(苦笑).将来のリーダー候補であるからこそ,学祭くらいは手作りで下っ端で努力で忍耐で協力で感動で…という普通の奴を体験させてやればいいのに(笑).
学内のみならずその父兄にまで,生徒たちの実力をアピールする場であるこの学祭.ホスト部の企画は公開営業とスペシャルパレードなので,素敵な馬車に乗って光や殿たちが麗しくご登場.…御者の練習している光と,業者に指示を与えて場をさばく馨.「双子だって趣味や特技は違ってくるさ!」とあっさり差異を表明するあたりが成長の証.そっくりであることが最大の個性でであった2人ですが,もはやそれに頼る必要もなくなってきているみたいですね.
明日は中世フランス風に着飾ってパレード.しかもハルヒには度派手な衣装も用意してあるとというお祭り騒ぎ! そのはじまりには,「学院の歴史に残る,桜蘭祭にするぞ!」といつも以上に無駄な気合を込めている環.その笑顔には一点の曇りもなく,ハルヒさんもつい同意してしまうほどに輝かしい.…オープニングセレモニーのダンスには過去のゲストたちが次々登場.ホスト部に関わって幸せになった人々の姿があちこちに.笠野田君もすっかり人気者になってんなぁ(笑).おもてなしによってこれだけの人達が幸せな時間を手にいれたってことは,ホスト部ってのはやっぱりいい部活なんだよな.
そんなホスト部が中央塔サロンに出張する一般公開営業.普段でも正気で考えれば相当恥ずかしい部活ですが,会期中は父兄や来賓の皆様方にまでさらすってんだから実に豪気.こんなときには正気に戻ったら負けなので(笑)いつも以上に華やかに,咲き誇るように接客! これまでに蓄積した接客ノウハウを惜しみなく投入し,全力でおもてなしいたします!
今回は普段の常連の保護者の皆様が主要な客となるわけですが,その中には部活が部活だけに眉をひそめる,至って正常な判断能力の方もいらっしゃるわけですがしかし!あらゆる意味で恥知らずである環にとっては彼女もお客様以外の何者でもない.「この部の本当の目的は,マダムのような美しい花とひと時を過ごしたいという,僕のわがままでしかないのですから」と素晴らしいマダムキラーぶりで見事に倒す! 天性の魅力にひたすらに磨きをかけた彼の接客には死角はないようです.
もちろん他の部員たちもその才能を如何なく発揮.ハニー先輩とモリ先輩のほのぼのセットは誤解混じりながらも(笑)見事に機能.性悪な本性を上手に隠す双子の薄幸演技ぶりも堂に入ったもの.そして社交的教養とか日々幅広く研究とか,いけしゃあしゃあと耳障りのいい大嘘をつく鏡夜の度胸,あるいは自己暗示ぶりも実に見事で.一同の全開ぶりにすっかりハルヒも呆れてしまいます.
露出の多いこの機会だからこそ,ホスト部の魅力をアピールするのだと張り切る環.しかし「今回は予算をかけすぎた」と珍しく鏡夜が音を上げてみせました.なんせパレードのためだけにフランスのクラシック馬車を空輸させやがりましたからね! そのわがままぶりはあの鏡夜すら困らせるレベルだってのに,「このホストキングのわがままこそ!皆を幸せにするわがままなのだ!」と自由すぎる環は反省の色なし! …そんなバカを,青い目に赤いドレスの女性がじっと睨んでいます.彼女はハルヒさんを見て電球をつけてみたり,なんだか怪しげ.
客足は途切れることなくついには大物たちが続々登場! まずは環の「お父さん!」,桜蘭の理事長である須王譲.冷静で貫禄のあるナイスミドルは息子そっちのけで鏡夜とにこやかに会話.さっくり無視されちゃてる息子が哀れだ(笑).しかも父の指名ときたら環の大事なハルヒさん! …そんな様子を,未だ例の彼女がじーっと見ています.
てなわけで,やたらにきらきらした理事長につくことになったハルヒさん.貫禄や落ち着きがあっていかにも軽い環とはあまり似ていない…ように一瞬見えますが,「私のことは…そう,お・じ・さ・ま,と,呼んでくれたまえっ」とちょっと喋れば「やっぱり環先輩のお父さんだ」とハルヒさんもすっかり納得.しかもハルヒさんのことを気にかけていたようで,いつでも遠慮なく言いなさいと異様に親しげで積極的なところもそっくり.そんな自分の父とハルヒさんを取り合う環.須王家の父子の仲は悪くないようですが….
突如響く頬を張る音.こんなところで,鏡夜が彼の父親に叩かれている! 「こんなふざけた部活動をやってたのか」「私に恥をかかせるつもりか!」と鏡夜の父が怒るのは…まあ,もっともなことですが(苦笑)公共の面前で家の事情を曝すだなんて,計算高い奴がやることじゃないですね.出来のいい子を4人も持ちながらもなお厳しい鏡夜の父に,あんたはやっぱり欲が深いよと環の父.そして…「マスコミが騒ぐのも時間の問題でしょうが…まさか八つ当たりではないでしょうな?」と大変に気がかりな話をしております.
父同士の丁々発止の横ではホスト部の仲間がやられた鏡夜を心配.眼鏡をかけた人を殴るなんて!とハニー先輩が微妙な観点から怒っております(笑).鏡夜が殴られたのがホスト部をやっているせいだと聞いて,まったく気づいていなかったらしく本気で驚く環と「予想はしていたことだ」とのみ答える鏡夜.どうやらアホの環はホスト部への入部は幸せしかもたらさないと信じ込んでいて,負の側面にはまったく気づいていなかった御様子です.
自分たちとお客様が楽しむための部活なのに,それで苦しむ人もいるのだと今更気づいた環.父も「わがままは高くつくものだ」とアホの息子に被せてお説教.責任ある立場と自由な行動は二律背反.どちらかしか選べない辛さは,立場ゆえに愛する者と別れることになった父は人よりもよく理解している.そして同じように責任ある立場を要求される環だって,同じ道を辿るかもしれなくて…「これからお前はどうしたい?」.人には,絶対に欲しくて手放せないものがある.須王の家の代償としてそれを差し出さねばならないとしたら….
贅を尽くしわがままを通すも,これまでその代償を支払ってこなかった幸せな王子様.しかし略奪者の登場で,本作を本作たらしめる華やかな明るさが消えていきます.やってきたのは環の祖母.環は無邪気に喜んでますが,環と彼の母と祖母の関係を知っている仲間たちからすると,彼女は環を傷つけた憎むべき存在.自分たちを枠の中から救ってくれた恩人であり仲間に対して,「…汚らわしい」と吐き捨てるような奴を許せるわけもない.
そんな祖母が環に命じるのは,さっきからオペラグラスでこちらをじっと観察していたエクレール嬢のエスコート.しかも学祭の期間中,部活そっちのけでやれってんだからひどい話で…けれどそんな無茶な要求に対しても環は微笑み,「彼女に喜んでいただけるよう,全力を尽くします」と答えてしまう.誰のどんな要求にも応えて,他を幸せにするのがホスト王ですが…彼自身の幸せは一体どこに.

後半.エクレール嬢のエスコートに専念し,部活を放り出すことになってしまった環.彼女の正体についてはフランスにいたれんげさんがよく知っておりました.エクレール・トネール嬢は名家トネール家の三女.現在日本市場を侵略中のグラントネールのオーナー家の令嬢ということで,環とは家柄的には似合いの相手.…ただし随分と高飛車な上にわがままで,あの環が考えたもてなしにも手厳しい評価しか返さず,学生の作品などお気に召さない彼女が求めたのはなぜか「環のピアノが聞きたいな」.
いきなりの乱入者に部の中心を持って行かれてしまい,さすがのハルヒも彼の様子が気になっていたところ,第3音楽室で偶然三者が再び接近することに.環がエクレール嬢にピアノを弾くのを,たまたま準備室で聞くことなったハルヒさん.聞く者を魅了する彼のピアノは美しく,なぜかエクレール嬢の脳裏には,自分ともう一人の女性の姿が浮かびます.…眼鏡以上にオペラグラスは遠くを見通すもの.それを持つエクレールは実に勘がいいようで,扉の影に誰かがいて聞いていることすら,鋭敏に気づいているようです.
環の作ったホスト部は,家族同然に仲がいい.…環自身は知りませんが,環を守ろうとする部員達の結束に関しては家族の域を超えてしまっているかもしれないほどに.しかしエクレール嬢は,家族でもないのに家族ごっことままごと呼ばわり.その上,環のわがままで皆辛い思いをしているんじゃないの?と,夢を壊すほどにキツい着つけ薬をかまします.
確かに鏡夜はさっき彼の父に殴られていた.これまで環は皆の幸せにするためにわがままを通して突進してきたけれど,もしかしたら皆はわがままの裏でいろんなものを犠牲にしているのかもと,今更気づかなくていいことに気づいてしまうのです.確かに環がハルヒさんの勉強時間を奪っているのは本当.…けれど,その代償にハルヒさんが得たものの大きさまでは,単純バカゆえに推測することができないのです.
環の夢を壊そうとするエクレール嬢の言葉に対し,理由はわからないものの腹を立てたハルヒさんが準備室から登場.そしてサロンをほったらかしてみんな怒ってますよと不機嫌に報告.…ここで自分が部活を放り出していることに今更気づく環が情けない(笑).環をままごとの夢の世界へとぶっきらぼうに引き戻そうとするハルヒの言葉に「焼きもちを焼いてるみたい」とエクレール嬢が言ったなら,まさか環が大喜びするとは(笑).そりゃこんだけバレバレならば,二人の関係に気づくのが普通です.
「違いますよ」とざっくり否定し,お邪魔して申し訳ありませんでした!と立ち去るハルヒ.環の大好きな夢の娘が立ち去ろうとするのを止めるエクレール.現実の中のエクレールには豆狸でも,夢の中の環には大事な娘.もちろん夢は幻で,醒めた現実から見れば「代用品」.夢の中で娘を追いかけようとする王に向かって,「環が一番欲しいものを,私はあげることができる」と現実が迫ります.
その頃,お色直しはしたものの,どうしても憂いが残ってしまうハルヒ.焼きもちっぽいと仲間にも言われて「だから違いますって!」とずばっと否定してるのがおかしい.けれど今日の環に一番腹を立てているのは他ならぬハルヒさんなので焼きもち扱いされるのは仕方ないところ.なんせ仲間たちはハルヒよりも環の事情をよく知っていて,どうしても怒りよりも心配や同情の方が先に立ってしまうのです.
今回の件の元凶は突然の環の祖母の命令.なぜ環があのように祖母に冷たく当たられているのか,ハルヒは未だその理由を知りません.けれどそこが分からなければこの件の正しい構図が理解できず,バカだけど決して悪くない…どころかむしろ凄い環に同情することもできないので,「要するに殿ってお妾さんの子なのよ」と仲間が暴露をはじめます.

二十数年前,須王家の先代は若くして他界.環の父が政略結婚の上で後を継ぐ.しかしその数年後,環の父はフランスで恋に落ちて環が生まれた.…熱狂の恋の結果として生まれたから,あんな珍妙な性格になってしまったんだろうか.もちろん祖母は不倫の恋など大反対で,父子は日本とフランスに分かたれて14年.環自身は病弱な母の傍でそれなりに幸せな少年時代を過ごしたと言うけれど,父はなく,母が心配で友達と自由に遊べない状況はどの程度の幸せなんだろう.…それでも自分を愛してくれる家族との暮らせる分だけ,今よりはまだマシだったのかもしれません.
やがて母の実家は事業の失敗で負債を抱え,それを機として須王の血をひく環を祖母が奪いに来ました.…不自由ない暮らしと引き換えに息子をよこせという横暴極まりない交換条件を受け入れるしかないほどに母は病弱.環は母のために日本にやってきて,その後,母は行方不明.…これは既に母を失っているハルヒまでへこませるほどに悲しい話.会えない辛さはよくわかるし,だからこそ今のあの明るさに驚きもする.そしてそこまでした相手を歓待し従う彼は本当に凄いと,今更ながらに気づくのです.
現実の家族を失い続けた環は,鏡夜と出会った後にこの学校で夢の家族を作りました.そしてその素っ頓狂な夢にここまで救われてきた仲間たちは,「全てを受け入れた上で,あいつは今ここにいるんだ」と,彼の苦く深い過去も含めて環のことを認めていたわけですが….
夢のサロンの扉を現実が開きます.エクレール嬢とともに突如登場した夢の中心は…「俺はこのエクレール・トネール嬢と婚約することにした」といきなりの宣言! さらに「ホスト部はこの桜蘭祭が終わり次第,解散する」…それはここまで仲間たちを救ってきた長い夜の夢を壊す鶏声.きらびやかな闇をつまらない現実に戻す無粋な光.それをもたらしたエクレール嬢は,一体何を言ったのか.そして本当に大切なものを奪われそうな一同は,果たして取り戻すことはできるのか.ぐっと押し込まれた物語がやがて大きく反発して飛ぶ,次回,最終回に続きます!

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デジモンセイバーズ#23

「過去と悩みと見せかけの間での巻」

サーベルレオモンを突然の不調に乗じて倒したマサルたち.デジタマの消滅や途中で出てきた謎のデジモンの正体など,未だ不明な点は多いのだが,それを解明するより先に,国家機密省からの新たな命令が下された.当初はメルクリモンの討伐命令だったのだが,倉田の申し入れでメルクリモンとの和平交渉に変更.しかし倉田の態度に不可解なものを感じたトーマは,転送機の調整という名目で1日の猶予をもらう.
メルクリモンと拳で語る気満々のマサルに対し,未だイクトはデジモンと人間の間で苦しんでいた.自分が人間とデジモンのどちらの味方をすればいいのか,考えても答えが見つからない.

デジモン側の人間界侵攻以来,怒涛の展開と強いヒキで2クール目の終盤に差しかかりはじめた「デジモン」.価値観どころか常識すらもまったく異なる2つの世界の衝突は,逃げられない過去とともに,彼らの前で理想の道を進む先駆者の姿をくっきりと浮かび上がらせます.ただし,同時に物語の難易度も急上昇で,ちびっ子がちゃんとついてきているかどうかが気になってくるなぁ(笑).視聴率は堅調なのでそれほど不安はないんだけれど,この時代ならではの主張をしっかりこめた作品なので,そこは今すぐでなくてもいいから,いつかきちんと届いて響くといいな!

10年前の探検隊の6人目である倉田がマサルたちの前に姿を現し,サーベルレオモンが謎のデジモンの攻撃をきっかけに倒れ,完全に消えて「死んで」しまった前回.どう見ても倉田が怪しいわけですがマサルたちはまだまったく感づいていません.…ただしトーマは倉田の様子にただならぬものを感じているようで警戒をはじめています.
雨の中のDATS基地は,サーベルレオモンとの戦いの後に残った2つの謎で持ちきり.なぜデジタマが消えたのか.そして途中で出てきたあのデジモンは何なのか.デジモンに関するプロ集団としては未知の放置はできないけれど,そこを明らかにする前に事態が動く.薩摩と武装した兵たちとともに倉田がやってきたことにより,既に転送機が直っているという事実が判明! しかもマサルは壊すので,教えてもらえなかったという事実まで判明(笑)!
兵つきの倉田をデジタルワールドへ転送するのは,国家機密省からの命令.当初はメルクリモン討伐の予定だったところが倉田のとりなしで和平交渉に変更されております.…大量のデジモンの流入とか究極体レベルの侵攻だと,現状のDATSでは十分な対応力がないのは自明だってのに,それでも失敗の責任を負わされる,中間管理職な薩摩が大変に気の毒.
全ての元凶であるメルクリモンを倒してきなさい!というのが羽柴の命令.でもそれは大変に難しいってのはこれまでの実績が示すところであり,薩摩だって苦笑いしてしまう.正直,綿密な作戦があったって現状ではきっと勝てないはず.将来性のある希少な戦力を使いつぶすようなことは避けるべきなのに,羽柴にはそこまでの目はない.…自分の知る限り,国の官僚さん方ってのは当然専門家ではないものの概してこいつよりはずっとまともでキレるので,こんな困った奴は一部であると信じたいぞ(笑).
敵に領土を蹂躙された今は,事実上の戦闘状態.一刻も早い反撃を求める羽柴に対し,「和平交渉なんて策は,どうでしょうかねえ」と,なぜか助け舟を出したのが倉田.相手は十分説得可能.平和的に解決すれば被害も出ないし,長官が戦争責任を問われることもない!という甘い言葉にほいほい乗っちゃう.…これも十分リスクの高い行為ではあるんですが,メルクリモンを倒すよりは正直かなりマシです.
てなわけでDATSは交渉に行くことに.ただし倉田も一緒.「え?」なんて実にわざとらしく驚いてますが(笑)案外本来はDATSの隊員と薩摩を送るつもりだったのかも.…羽柴は倉田寄りではありますが,実際はいいように権力を利用されているだけで,彼の真意までは理解していなさそうだ.
以上のような経緯によって,倉田の指揮下に入りサポートに回ることになったDATSの3人と3匹.ただしマサルは命令に従うつもりなどなし.そもそも元々DATSからの命令すらろくに聞かない奴であること以上に,わざわざ面倒ごとを背負う趣味のある彼は,この件もすっかり背負ったつもりでいたのです.
マサルがメルクリモンとの数度の邂逅で得た結論は「奴と語り合えるのは,熱い男の拳だけだ!」…結局いつもと同じか…(苦笑),そんなマサルのことが倉田は気に入らない様子.毎度のわがままぶりが気にいらないのか,あるいはもっと別の理由があるのか…ってあたりは次回をお楽しみに.で,マサルはなんとなく倉田を煙たがっているわけですが,もっとはっきり意識して倉田を警戒しているのがトーマ.あまりに間が良すぎることを警戒し,パターンバッファの再調整が必要という名目で1日の猶予を求め,それに倉田が厳しい目線を送るのを,しっかり確認しています.
倉田はあっさりと引き下がり,けれど相当警戒しているトーマに向かって,あなたには期待していますと牽制.その態度からすれば彼には裏があるに違いなく,デジタルダイブの目的も別にあるのではないかというのがトーマの見立て.しかし隊長が「戦いを止める」というDATSの目的を再確認するに留まったことが,最終的に奴の暴走を許すことに繋がった気が…(苦笑).この1日の猶予が,有効に活用されていればいいんですが.
明日出発に延びたので,マサルは自宅に一時帰宅.その大門家ではイクトがまたも深く悩んでおりました.前回で居場所だけは確保できたものの,今度はこの先どうするのかを考えなければなりません.雨降りの暗い空が窓から覗く部屋の中,ひとりきりでサーベルレオモンの言葉を反芻して悩む.己がデジモンであると信じて育ったから,デジモンの痛みがわからないはずがない.しかし己が人間であることは覆しようもなく,ファルコモンに心配されながらも延々ともう悩みまくっていたのです.
そんな悩みの塊であるイクトに,マサルは明日メルクリモンのところに行くことを伝えます.マサルはリターンマッチだ!とぶん殴る気満々であるわけですが,「だめだ!」とイクト.ユキダルモン亡き後,自分を庇護してくれたメルクリモンのことはよく知っている.ゆえに人間がデジタルワールドに来るのを嫌うから戦争になると止めるわけですが…デジタルワールド側の事情を知らない人間からすれば,もはや事態は好き嫌いで左右される段階ではないようにしか見えないのです.
デジモン側が一枚板ではないと知らない人間から見れば,これまでの事件の首謀者はメルクリモンで,デジモン軍団もサーベルレオモンも仲間にしか見えない.実は強硬派のリーダーは既に倒れているわけですが,誰かが行ってカタをつけねば双方に被害が出るばかりと考えてしまうのは仕方のないところ.すると今度は,イクトが「俺も行く!」と言い出すけれど…彼の悩みがその足を縛ります.
パートナーに似てバカであり,デリカシーのかけらもないアグモンが聞いた「どっちの味方するんだ?」という質問.それは彼の悩みを狙い撃ちするもので,今のイクトは答えることができない.現庇護者であるマサルにしても「決心がつかねえんなら残れ」とあっさり突き放し,心の整理と覚悟を求めるあたりが案外厳しい.男同士として甘やかすことなく,自分と同格扱いしてるんですね.
大きな課題を目の前に置かれ,夜になり横になってもイクトは眠れない.外では未だに悩みの雨が降るまま,どちらの味方をするのか決心することができず,その悩みをファルコモンに相談することもできない.今の彼には仲間はもちろんいるけれど,デジモンの心を持つ人間は彼一人きり.誰とも共有できないのです.
…明日の接触をまだ知らないデジタルワールドでは,メルクリモンがある男のことを考えていました.究極体と拳で語り合い,その魂には一点の曇りもないという凄い奴.マサルと似たデジソウルを持つという彼は当然あの人であるに違いないわけですが…マサルの父だから仕方ないけれど凄いなぁ(苦笑).そんな彼を思い出したことにより,本当に人間全てが悪なのかとメルクリモンの心は揺らぎます.
首領はぐらぐらしているものの,その部下であるゴツモンは強硬な姿勢を崩さない.彼も彼なりにデジタルワールドの平和を願って行動しているはずなんですが,あまりにも態度が硬すぎることが事態を悪化させる原因になっているのが複雑です….そして邪悪な影,憎しみの影として訪れる人間の一団.人間からデジタルワールドを守れるのはメルクリモン様だけと言い残し,ゴツモンは最後の戦場に向かいます.

デジタルワールドに到着した憎しみの影ことDATSと倉田たちの混成部隊.一見ただのうさんくさい奴である倉田の真意は未だ明らかにならないまま.…あの1日の猶予はなんだったのか(苦笑).昨晩豪快に眠りこけていたマサルは今日も大変に元気で,メルクリモンに拳で魂のメッセージを伝えるという名目で殴る気満々.「男と男の間には,言葉なんか無意味なんだよ!」と己の信念を主張しまくり.…実際に殴られたメルクリモンは揺らいでいるので,これは意外と真実だったりするわけですが,仲間から見ればまたバカがバカ言ってる程度にしか聞こえないんだろうなぁ(苦笑).
そしてやってきたこの世界を守りたいゴツモン! 倉田はスピーカーでメルクリモンとの会見を要求するも,強硬なゴツモンがそれを受け入れるはずもなく,逆に完全体のズドモンを呼び出して戦闘開始.本日は殴る気満々であるマサルはうれしそうに真正面から殴りに行き,仲間をさらに呆れさせます(苦笑).とことんノープランこそ彼そのもので,いつもの凄いジャンプ力でアグモンとともに敵を殴りに行こうとしたら! 氷の柱でカウンターされてそのまま山の上に持っていかれる(笑).…このあたりから,今回のアクションはなかなかいい画を見せてくれます.
DATSの主力は崖の上,アグモンは頭から雪に突っ込んで暗いよ怖いよと暴れ,連れて行かねばならない倉田と兵たちは全力で逃げて崖の影.…こんなアレなののお守りをせねばならないヨシノたちは確かに最悪だ(苦笑).まともゆえに貧乏クジを引きがちな二組が,まずズドモンとのバトルを開始します.
敵もさすがに完全体だけのことはあり,マッハガオガモン1体では攻撃を避けきることができないわけですが,DATSの強みは経験を積み息の合ったチームであること.同じく完全体のライラモンが召還されれば.2対1ではズドモンに勝ち目なし! …とはいえ同じ完全体なら1対1ではいい勝負にしかならないあたり,本作の正義の味方は皆絶対的に強いわけじゃない.しかしそんな彼らの前についに立つゴツモンは,間違いなく「強い完全体」に進化したのでありました.
輝いて進化したゴツモンはインセキモンに! …見た目は色違い程度なのでリアクションは取りにくいものの(苦笑)中身は大違い.元々空中から岩を落としたり洞窟で天井を落としたり,広域攻撃に優れたゴツモンから進化したインセキモンは,より威力の大きな隕石を召還することが可能! ゴツモンの岩落としの場合はちょっと避ければ直撃を免れることもできたわけですが,隕石落としは威力が大きくなったことによって,避けることが難しくなっているはずです.
もちろん主役は難敵の登場にエンジンがかかるもの.一時退場していたマサルが凄いジャンプ力で殴りに行って戦線に復帰! 主役としての存在感を画面に思いっきり見せつけつつ(笑)アグモンにフルチャージしてライズグレイモンとして,完全体同士の3対1の戦いがスタート.…数の論理だけなら間違いなくDATSの圧勝のはず.しかしインセキモンはマッハガオガモン以上の厄介すぎる超高速移動で3体を翻弄! 数の差を越えて,彼は間違いなく強いデジモンだったのです.
…マサルたちがデジタルワールドに向かったその後も,人間界では未だにイクトが悩んでおりました.おやつも食わずに暗い部屋でうずくまって悩む彼.デジタルワールドでは自分を守ってくれていたメルクリモンが,裏切り者を許さないことをイクトはよく知っていて,ゆえに,デジタルワールドに行くこと自体が怖くてたまらない.種族としては明らかに敵側に属してしまう自分のことを,メルクリモンはもう受け入れてはくれないだろうと苦悩するのです.
「俺の体,人間,でも心,デジモン」と2つの世界の間で葛藤するイクト.そんな彼の苦しみに気づいた大人のサユリさんが,悩みの解決に優しい手を貸してくれました.雨は上がって青空の下,屋根の上で空を見ているイクトとファルコモンの傍に上がってくるサユリさん.マサルも何か悩んだときは空を見ていたから,「あなたたち,よく似てる」.
サユリさんに促され,イクトは抱えた悩みについて語ってみます.ひとしきり説明した後で「俺,どうしたらいい」と助言を求めるわけですが,サユリさんの返事は「ごめんなさい,私にはわからないわ」.…昨晩のマサルと同じようにイクトはまたも突き放されるわけですが,彼女はマサルよりも大人で優しく,さらに言葉を繋げてくれます.「だって,人間の気持ちとデジモンの気持ち,両方がわかるのは,イクト君だけだもの」.どちらでもあってどちらでもない.今イクトが味わっているのは2つの種族の間にいるがゆえの苦しみなんだから,その解は2つの種族の枠に収まっている必要はなくて…「あなたは,どうしたいの?」

デジタルワールドでの3対1の戦いは,あまりにインセキモンが早すぎて反撃の糸口がつかめない.このままでは色違いの小さいのにでかいの3体がやられるという情けないことになりそうですが(笑)マサルがいいことを思いつきました.相手が殴られたときは手の届くところにいるはず!という兄貴の豪快な意図にライズグレイモンが忠実に従い,いきなり隕石を落とされるというリスクを無視し,腹へのダメージを代償にしてインセキモンの体をずがっと掴むことに成功! …仲間にはさすがに豪快すぎて不評なこの作戦ですが,隕石のリスクを無視すれば案外理にかなったもの.きっとこれまでの喧嘩経験で,殴った相手の腕を掴んで反撃しまくったことがあったに違いない.
今度は小さな体が災いし,逃げられなくなったゴツモンをライラモンの技で麻痺させて,投げたところにマッハガオガモンが攻撃! 普通の完全体ならばここまでのコンボで間違いなく倒れるはずですが,しかし未だゴツモンは健在.遊びは終わりと巨大隕石を頭上に召還! …でも,余程頭にきてたのか,十分な距離を取らずに隕石を呼んでしまったのが運の尽き.自分から止まってしまったがゆえに,ライズグレイモンにライジングデストロイヤーを打ち込まれて敗北! …明らかなケアレスミスで負けちまうなんて,どうにも情けないなぁ(苦笑).
最後の障害を退けて,倉田とその配下を連れ,ついにメルクリモンのところに到着したマサルたち.「ここは男と男,1対1の戦いで決着をつける!」と自分の体で究極体に挑むマサルはいつも以上に絶好調.「言葉はいらねえ,拳と拳で答えを出す,それが男だ!」と無邪気で生意気ないつもの笑顔に対峙するのは,「血は争えんということか」と意味深なメルクリモン.2つの男同士の拳と拳がぶつかりあうその直前に! 「やめろー!」と覚悟を決めてやってきたイクトが叫んだ! …この戦いを止める.深い悩みの末にようやくDATSと同じ理念に到達したイクトですが,そんな彼を新たな事実と悲劇が襲う!怒涛の次回に続きます!

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10月開始新番組チェック・1

終わったと思ったらはじまる今日この頃,皆様いかがお過ごしですか? 自分は暇にしてもらえるのかと思ったら,ちっとも暇になりません….それでもなんとか頑張って目を通したところをできるだけ並べてみますよ! 今期は原作つきに関しては事前に思った通りかそれ以上の堅調な出来のものが多いんですが,オリジナルに関しては一部を除いて今ひとつふるわない感じ.ただしずば抜けて凄い奴は見当たらないので,意外と選択が難しいシーズンなのかもしれません.
自分も「ホスト部」の後に入れることのできる作品を探してるんですが,一番しっくり来そうな奴は特撮の「ライオン丸G」なんだよなぁ.3本きりしか扱わないのに,このままじゃ1本は再放送で1本は特撮になってしまうぞ(苦笑).


△→○ BBB
原作既読.富士見書房の抱える優れた原作をアニメ化.料理次第では長期シリーズとして存続できるくらい質の良い作品なんですが,これまでの実績からすると制作会社の信頼度がやや低いのが気がかり.そしてそれ以上に主役声優に関して…人災とはいえ,お祓いとかした方がいいんじゃねえかなぁ(苦笑)? 現状ではややふらつきながらも思った以上に堅調に推移.物語全体の世界観を説明するこのシリーズさえ完遂すれば,次からはやりたい放題のコメディでも遊べるはず! このシリーズだけでなく,その先にあるものを見据えてぜひ頑張っていただきたい!

○→○ パンプキン・シザーズ
原作一部既読.骨太く深いテーマの軍モノですが,今期開始した作品中では指折りの高品質! とても出来がしっかりしていて,この品質で最後まで走るならかなりの秀作となりそうです.なんせ画面から,作っている人たちのプライドと愛情のエネルギーがしっかり伝わってくるからなぁ….基本的にシリアスに足場を置くようですが,真面目なばかりではつまらないので,ぜひこの作品らしい賑やかな回も見せてほしいな.

-→○ ヤマトナデシコ七変化?
原作未読.皆様おなじみのナベシンが監督である時点で既にかなり嫌な予感はするわけですが,その予感は決して裏切られることはありませんので安心してご覧下さい! …原作ファンが怒ってたらどうしよう(苦笑).本来美少年満載系の作品で作画が乱れるのは大変によろしくないわけですが,ギャグ作品の場合は作画の崩れも味になっちまうから性質が悪いよなぁ….気になるのは,決してブスではないのに己を卑下しまくる主人公にあまり好感を抱けないこと.確かにメインディッシュは脇の4人ですが,その4人の魅力だけでは視聴者は引っ張りきれなさそう.「極度に暗い奴」という枠から外れた彼女の魅力をさらに打ち出すことができれば,いい娯楽作品になりそうです.

○→○ DEATH NOTE
原作既読.今期どころか現在放映中の全ての作品の中でも頂点とも言えそうな映像の美しさが最大の魅力.アニメならではの独自の魅力は打ち出されていないものの,面白い原作をそのまま動かしているので安心して見ていられます.ちなみに原作は第1部は文句のつけようがないくらい面白いんですが,第2部に入ると難解ゆえにダレてしまうので,アニメがそのあたりをどう処理していくかが見物.漫画ではわかりにくかった部分をわかりやすく見せることに成功すれば,案外原作越えも夢ではないかもしれません.

-→△ RED GARDEN
美しく独特な映像.特にオープニングが秀逸! 集められた少女たちが導かれる先は血みどろの闇,ノリとしてはティーンからやや上向けの海外ドラマっぽい感じかな.ただしスタイリッシュな画面で残虐描写のみに頼るという姿勢は作品としては大変にかっこ悪いので(笑),血の向こうに血よりも凄いサスペンスを見せていただきたいんですが…物語面では制作会社の信頼度が怪しいんだよなぁ.

○→△ 武装錬金
原作既読.真っ直ぐな主役がその身を削って貫いていく英雄譚.作画面は現状ではやや物足りないかも.現状ではただのお人よしなバカである主役が,かっこいいヒロインとの出会いによってどのように化けていくのかも確かに見物ではありますが…一番の魅力はやはり蝶! 彼の出来次第で作品全体の評価が変わりそうなくらいに蝶重要なので,彼の登場までは評価を保留にしたいくらいだ(苦笑).原作は厳しい最後を迎えているので,アニメでは語り足りない部分まで語りきってくれるとうれしい.

とりあえず今日はこんなところ.まだまだ続きます.

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機動警察パトレイバー#24

「これでさよなら大事件の巻」

ついに香貫花が日本を発つ日がやってきた.しかし見送りに来た仲間たちの目の前で,香貫花の乗った飛行機が飛び立つ前にハイジャックされてしまう.犯人は丸っこくて奇妙に腰が低い男,猫渡.機体に爆弾を仕掛けたと言い張る彼が求めるのは,テロリストの犬走一直を釈放しここに連れてくること.けれど猫渡はあまりにも運が悪すぎた.同じ飛行機にあの香貫花が乗っているということは,今一番命が危ないのは犯人なのだ.

ついに香貫花が旅立って,作品的にも大きな転機を迎える「パトレイバー」.数週かけて実施してきた香貫花退場の花道もついに今回でフィナーレということで,脚本に伊藤氏,絵コンテに吉永監督,そして演出に元永氏という強力な布陣で犯人の身が心配でならない(笑)ハイジャックものを描きます.原画に伊藤浩二氏の名前もありますが,これはあの伊藤氏かな?
後藤と香貫花の暗黙の会話に代表される緩くて屈託ない物語は色々見所に溢れていますが,ぜひ聞いていただきたいのは猫渡役の吉村よう.大変に柔らかくて申し訳なさそうな独特の声質と口調で,他の声優には真似のできない独自の世界を作り上げながらも早逝した彼の声を存分に楽しんでいただきたい! …今となっては香貫花との掛け合いにいろいろ切ないものも感じたりしますが,基本的に楽しい話なんだから見ている側が勝手に湿っぽくなっちゃダメだ(笑).

前半! 荷揚げしたり荷降ろししたり,装置のレイバー化が著しい幻想の近未来の成田空港.そこにはついに旅立つ香貫花と,それを見送りにきた野明の姿がありました.…つうか,二人っきりで他の連中がいないのが不自然.さすがにこういう時には万難排してでも来るものだと思うんですが,時間ぎりぎりまで待ったもののタイムオーバー.香貫花は野明に「じゃ」と手を差し出し,別れの握手をします.
相手は中途なれども唯一の同期の旅立ちに「言葉が出て来ないや」と野明.いろいろあったものの最終的には仲良くなった彼女を置いて,香貫花は颯爽と旅立った…のを見守っていて,背を向けたのを見計らうようにして出てきたのが遊馬たち.実は随分前からいたんですが,照れくささと前回のマンションの件で当人の前に顔を出すことができなかったというヘタレぶり…気持ちは分からなくはないけれど,やっぱり人としてどうだろう(苦笑).完全に顔を合わせなかった連中に比べて,敬礼で見送る太田の方が,珍しいけど結構偉いと思うのです.
そして最後に合流したのが「よ」なんて言いながら出てきた後藤隊長.どうしても湿っぽくなりがちな場で,これが今生の別れってわけでもあるまいしと実にいつも通りのマイペース.しかもくさやを土産に持たせようとするだなんて,しかも機内持ち込みだなんて,一体どんな嫌がらせだ(笑).…てなわけで,未だに敬礼しっぱなしの太田も含めて全員でレストランに食事しにいくことにしたのが,最終的には犯人の命を救うことに繋がったのであります.
第2小隊一同は元気にレストランの料理を堪能.後藤が誘ってくれたので,てっきりおごってくれるんだと思い込んでたんですね.もちろん特に問題もない一堂にタダメシを与えるだなんて,計算高い後藤にそんなつもりは微塵もなく(笑)いきなり梯子を外された部下一同は懐具合が深刻に.ここで太田が苦し紛れに,事件が起こればメシ代どころではなくなるとか剣呑なことを言いやがっておりますが,主役の仲間がこういう冗談を言うとそれが本当になってしまうので,他のお客たちがざわめくのももっともなことなのです.
相変わらず普通に銃を持ち歩いている香貫花ですが,さすがに搭乗前の荷物検査までは突破できずに取り上げられてしまいます.「領空を出たところであなたが届けてくださいますか?」と係員を脅してみたりと,銃に対する執着は太田といい勝負っぽいですが,さすがの係員もこればかりは譲れない.「機中で銃が必要となる事態が起こらないことを祈りなさい」とクールに捨て台詞を残す香貫花だけど…結果的には,頑張って彼女の銃を取り上げたのは大正解だな.
機中の香貫花の隣の席に座ったのは,恵比須様と猫を混ぜて2で割った奴が笑ったような顔の小男.いかにも挙動不審なこの男は我慢でけへん!と立ち上がり,スッチーのお姉さんの制止を振り切り,雑誌片手に操縦室前に御到着.そして脅迫状を見せて開けてちょうだいとお願いしちゃいます.現在ほど操縦室への立ち入りに関する規制が厳しくない当時の延長線上にある近未来,それでも出発直前は立ち入りはお断りであるわけですが,「キタイニバクダンヲセットシタ」と書かれた紙面を目にしては,これはもう止めざるを得ないわけです.
「いたずらやないでー」とナイフを見せる,ふざけた顔の小男はこの飛行機乗っ取らせていただきますと宣言し,「よろしゅうに」とご挨拶.それに「こちらこそ」とか答えるスチュワーデスはどうなのか(笑).さらに乗務員が乗務員なら機長も機長であり,飛行機が苦手な犯人が飛び立つ前にハイジャックしやがったことに対して,「私ゃ不満だせめて離陸してから…」って一体何を言ってんだ(苦笑).こんだけ無駄に余裕があれば破れかぶれの行動を取って事態を悪化させることはないかもしれないけれど….
爆弾は既にセットしたし,飛んではいないけど乗っ取ったってことでお願いできないかと低姿勢な犯人.その隙を突いて副操縦士が機体を横に振り,預かったばかりの香貫花の銃を犯人に向ける! …しかし意外と俊敏な犯人は結局銃を取り上げてしまい,さらには持ち込んだセラミックナイフまでちらつかせる.ただし女性には優しくて「すびません,怪我ありませんでした?」と気遣ってみせるその甘さに,綺麗な顔がしっかりつけこむわけです.
さてその頃,香貫花の乗った飛行機が出発しない,これは事件だ!というわけで,管制塔に第2小隊の一同が参上! 顔の広い後藤のおかげであっさり他の管轄の事件現場に潜り込み,あの飛行機に知り合いの「凄腕の警官」が乗っていると申告することで部下もろともハイジャック事件の仲間に入れてもらうことに成功.でも,映画みたいと大喜びするのはダメだろう(苦笑).…送別会では部屋が壊滅,そして出国ではハイジャック…さすがは香貫花と言うべきか.
そしてはじまる管制塔と機中の犯人との話し合い.犯人の名は猫渡銀二.目的は地球防衛軍下部組織・海の家シンパの犬走一直を釈放して連れてくること! 「おてかずですがおねがいしばす」と彼独特の鼻声で,低姿勢にお願いしてくるのです.…ちなみに犬走氏については,ハタハタを買いに行った回をご覧戴きたい.
後藤の見立てでは猫渡は素人.そして香貫花はこの便で行かないと大好きな祖母と会う事ができない.…彼女をよく知る者ならば,当然彼女の暴走が心配でならない(苦笑).この便を飛ばすためなら絶対になんでもやるに違いないから,「やっぱり,犯人の安全が心配だなぁ」とぼやく後藤.実際に彼女の凄腕ぶりは並のレベルではなく…既に機内では,災厄の女神が動きはじめているのです.

後半.ついに動きはじめた凄腕の香貫花は,まずはスチュワーデスに混じって事態の把握に務めた上に,彼女たちにお願いして制服を一着仕入れることに成功.美人スチュワーデスとなって堂々と操縦席へと侵入だ! …ちなみに本作放映当時の表記の通り,キャビンアテンダントではなくスチュワーデスを使っておりますよ.見慣れぬ彼女に機長は狼狽,当の香貫花は平然.…けれど香貫花の計算外であったのが,犯人の猫渡とついさっき客席で顔を会わせてしまっていたこと.しかしこれも妹に会ったのではないかと華麗にかわすあたり役者が違う.犯人の武装について確認した上,去り際に隙を突いて男を仕留めようかと思ったら!運良く?管制塔より連絡が.
管制塔側には犯人の身を案じる後藤とその他5名.凄腕の香貫花とは違い,その他5名は手旗信号とか垂れ幕とか「必勝香貫花」とか「至急連絡されたし」とか実にボンクラであるわけですが(笑)隊長はそうではないのでご安心下さい.香貫花の座る8Aのお客の状況にカモフラージュして機内に問い合わせたなら,そこに座っているはずの凄腕さんは,既にすぐ傍にいて.しかも通信機で直接連絡してくるのです.
機長に代わって管制塔に連絡を取る香貫花.心臓病で渡米予定の8Aのお客様の病状という即興劇に隠して,「8Aのお客様は先ほど小さな発作を起こしかけましたが,今は比較的安定しているようです」と恐ろしい報告.実際,あとちょっとでコックピットで大乱戦になるところでしたよ(笑)!
しかも「この状況が長引くとどうなるか責任は持ちかねます」と予断を許さない予告をしたら,主治医の後藤さんが「何分危険な状態でありますので,一つよろしく」とご連絡.孤立無援ではなく仲間がここにちゃんといるから,頼むから大暴走しないで欲しいのだ(苦笑).ところがこんな即興劇にあっさり騙されてしまったのが犯人の猫渡.しかも人が良すぎて8Aの客に謝りに行こうとするもんだから,慌てて香貫花はそれを止めた上で操縦室を退室.
第2小隊では破格でキレの良かった香貫花の見立てでも,猫渡の言う爆弾はハッタリ.手元にあって脅せてこそ武器だってのに,リモートスイッチすら持ってない…って,時限式の爆弾で解除は自分にしか出来ないとかだと持ってなくてもいいんだけれど(笑).さらに彼は代用の武器としてセラミックナイフを持ち込んでいて,その上飛行機を怖がってる.この飛行機で逃亡するなら,それに爆弾を乗せる根性まではない,というのが香貫花の推論.
管制塔に入ってくる情報は,機内の香貫花の推理を裏付けていきます.猫渡銀二は市井の運転手.犬走と同郷ではありますが完全な一般人.…恐らくは幼馴染を助けるためにこんな凶行に及んだんでしょうが,なんだってここまでやらかしてしまったのやら(苦笑).元々乗員や客に危害を及ぼす気がなさそうな上に.どこをどう見ても単独犯で組織のバックアップが考えられないからこそ,奴さえ押さえてしまえば事件は解決! …ただしここはあくまで管轄外.面倒だし他人事だし(笑)逮捕に関しては空港側にお任せしようかと思ったところで,またも香貫花から通信が.
香貫花が伝える8Aのお客様から後藤様への伝言は,「2階の開いた窓からタマが落ちるかもしれない.アルフォンスとそのお友達によろしく」.猫渡には8Aのお客様は猫と犬を飼っているとごまかしていても,猫が猫渡,そしてアルフォンスがイングラムを指すことは管制塔と視聴者には自明.ところがそれがわからない猫渡は,でっち上げのエピソードになぜか反応.8Aのお客様の犬と猫とは逆に,猫渡は仲良くしたいのに犬走は全然その気がない.「世の中,うまくいかんもんやなぁ」…って,こいつ組織どころか犬走とすら通じていない片思いなのか.
犯人の切ない思いは横に置いて,クールな香貫花はついに発作を起こすことに.機内食用の食器を手にとって,操縦室に戻ろうと思ったらなぜか猫がいる.管制塔から8Aのお客さん向けの伝言が入ってしまったので,それを親切心から伝えに行こうとしていたのです.もちろん猫渡が見た8Aは空席.そこには,傍にいるスチュワーデスと同じ顔の奴が座っていたはずで…いくら鈍い猫でもようやく気がついて愕然! 敵の香貫花にナイフを見せます!
相当追い詰められた猫を,「ナイフを捨てなさい」とさらに追い詰める香貫花.機中での戦闘は双方ともリーチの短い武器で戦います.猫渡がナイフで刺しにきたのを香貫花はさらっとかわし,逆に香貫花が長いフォークで刺そうとしたところを猫渡が華麗に飛んでかわす…ええっと,さすがに機内でそのアクションは無茶じゃないかな(笑).結局香貫花がナイフを取り上げることに成功するわけですが,ここで「THE END」となってしまっては外で頑張ってる連中の立場がないわけです.
猫渡の最後の武器は奇しくも香貫花の銃.しかも使い方を知っているという猫に向かって,「負けたわ」とあっさり降伏して歩いていく香貫花.唐突な行動に驚く猫渡に何を言うのかと思ったら…「降ります」と中から扉を開けちゃう.もちろん飛行機は2,3階立てくらいの高さがあるわけなので,狼狽する猫渡に向かって「あ,犬走!」と凄くわざとらしい演技で扉の向こうを見たりして(笑).疑うことを知らない猫渡はここに至ってもなお引っかかり,大喜びで扉に近づいて…「一直はーん!」と叫んだところで!「Sorry」と香貫花が背中を押して落としちゃう(苦笑).
足がかりなしで2階建て以上の高さから落とされたなら,ホンモノの猫であっても怪我くらいしそうなもんですが,香貫花が事前に管制室に伝えていた言葉の意図は正確に伝わっておりました.前半は猫渡が2階から落ちる,でOKなんですが,後半のイングラムとそのお友達によろしくということは…要するに野明の出番ということ.空港のレイバーとトレーラーを借り,1号機チームは慣れぬ機械を操って,落ちてきた猫渡を見事にキャッチ!
他の事ではボンクラですが,レイバーの扱いに関しては国内有数の能力を持つ特車2課の助力もあって無事に事件は解決.ちなみに銃はセーフティを解除しても薬室に弾を送らなければ使えないのであしからず(笑).「嫌やぁ! 一直はんとハワイに行くんや」と猫渡はだだこねてますが,ハイジャックってのは思った以上の重罪.同じ場所には行けるだろうけど,ハワイではなく塀の中だなぁ….

普通ありえないような凄い妨害が入ったものの,無事に解決したので香貫花もようやく出発…って,本来は絶対そのまま飛び立つことはありえないはずなんだけど,そこはまあフィクションです(笑).立派に連携した野明とも再び笑顔で別れ,飛行機は今度こそアメリカへ….ちなみに後藤のくさやは機中で腐ってる扱いされてます(苦笑).
後日,第2小隊には香貫花と祖母が一緒に写った絵葉書が到着.そこに添えられていたメッセージは「I'll be back!」 彼女は今はニューヨークの空の下.けれどすっかりなじんだ仲間たちとはきっと離れていられないだろうから,「いつかまた,戻るわよ.」…かくして2号機指揮者が空白となったおかげで大変なことになってしまう(苦笑)間隙の次回に続きます.

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桜蘭高校ホスト部#24

「悪い笑顔があなたの真実の巻」

ホスト部が現在の隆盛を極める2年前.中等部の鳳鏡夜は枠の中から世界を打算で眺め,姉以外には内心を吐露することもなく,三男という分を守って退屈な日々を過ごしていた.そんな硬直した日々に飛び込んできたのが須王環.須王財閥の後継者と目される彼に打算から近づく鏡夜だが,ハーフの御曹司の考えることは滅茶苦茶.その突拍子のなさは鏡夜の全能力を発揮しても追いつけないほどに,ひどかった.

基本は1話,ときどき2話完結で終盤まで走ってきた「ホスト部」.いいところで切って次回に視聴者を引っ張り,クライマックスでは数話かけて盛り上げまくることが可能な連続モノと違い,各話完結のスタイルは基本的にヒキが弱いし,クライマックスの持続も難しい.しかしそこらの問題を補えるくらいに内容が洗練されていれば,途中の1話を見せただけでもいきなり視聴者をファンにできる,そんな強力な作品へと化けます.例えば終盤のこの1話でも,初めて見た奴を強く魅了する可能性は十二分にあり.各話の完成度の高さこそが,本作の最大の武器なわけです.
てなわけで今回はデパート以来の鏡夜の当番回.絵コンテ・演出を京田氏が担当し,端正で暗喩に満ちた素晴らしい物語が展開します.午後3時に向けて進んで行く時計,収まり切らなくなっていく部屋など,それを匂わせる仕組みは満載なんですが一番はやはりあの絵! 文字どおり少年が父の枠を越えて行く,美しい叙情詩です.

前半.いつもの放課後の午後3時,ホスト部の本日のおもてなしはちょっと早いコタツサービス.上流階級の皆様には見慣れない家具なのが微妙に腹が立ちますが(笑)密着度はいつもよりも高くなるから大好評…だろうなぁ.ちなみにこの企画もやっぱり環の提案で,改めてハルヒが不思議に思うのは,この部での鏡夜の存在.なんでアホにつきあってホスト部なんかを立ち上げたのか? クールでまともな彼がここまで忠実に付き従うのは…「突拍子もないからさ」.
鏡夜と環が出会ったのは2年前.その頃の鏡夜は鳳家の三男という立場に縛られて,相当鬱屈しておりました.麗しい午後3時にはまだ速い午前8時半.言葉も,好意も,誘いも,鏡夜の世界では打算の塊に過ぎない.精神年齢相当高めの彼は,腹黒くしかし冷静に.誰にも底を見せないままに,うまく立ち回っているつもりでした.
鏡夜が赤裸々に内心を吐露できるのは,きっと姉の芙裕美さんの前だけでしょう.しかもギブアンドテイクなのだと露悪趣味に自分の不純さ根性の悪さを冷めた口調で自嘲するというヒネっぷり.天然らしい姉は純粋に星を眺めたいのかもしれないとか言ってますが,悲しいことに,賢すぎる鏡夜はそれが幻想に過ぎないことをよく知っている.…ちなみに引っ掻き回されるクローゼットは,そのまま鏡夜の抑圧した欲望.押し込めてはいるけれど,ちょっとしたきっかけでどんどん溢れてきてしまう.
厳格な父から与えられる,名家の三男らしい厳しいプレッシャー.姉から見れば折角の末っ子の癖に鏡夜はあまりに気負い過ぎで,「少しくらい気を抜いたっていいのよ」と言ってみたくもなるわけですが,それはヒネた末っ子にとっては厭味以外の何物でもない.自分が鳳を継ぐことはありえない.三男はややうつむいて己の報われぬ立場を語り…愚痴るだなんて,2年後の鏡夜からは考えられないなぁ(苦笑).
第1候補の長男と,そのスペアであり競争者の次男.後継者レースは上の2人の間で競われて,三男には入り込む余地などない.…どれだけ頑張っても報われる可能性はなさそうなのに,鏡夜は期待に応えようと努力してしまう.「かけられた期待には必ず答え,しかし必ず兄を立てる」…前には出過ぎず,自身の能力と欲望を押し込める努力.既に準備された額縁に合うように,美しく.端正に.はみ出さないように….
しかも才能溢れる鏡夜は,抑えることも上手にこなしてしまう.「でもそれで,楽しいの?」…もちろん楽しいわけがないけれど,「楽しいとか楽しくないなんて,関係ないですよ」.もっと才能が無ければ,もっと鈍ければ,もっと自制心が弱ければ,こんなつまらない状況にはならなかったはずなのに.
そんな退屈な日々を乱す原因となったのが,須王の後継者の編入.政略的に敵の子息と仲良くすることを貪欲で厳しい父に指示された三男.抜群の情報収集能力と優れた分析力・洞察力で本音を見透かし,姉以外にはたとえ肉親でも本音を見せない.誰であろうと自分の優位は揺らがないと自信もあったわけですが…本当に相手が悪かった(苦笑).会長の妾の子で後継者候補として引き取られた須王環.生まれつき後継者レースからは外されていると感じている鏡夜には,手に入れるべき立場で無いのに運良く手にしている彼が,うらやましくてたまらない.出会う前から印象は最悪!
そして9時.顔をあわせた須王環は,きらびやかな外見でいい笑顔.髪を心にたとえて褒めることで早速副委員長を魅了しておりますが実は…というのは,ここでは語られないまた別の話(笑).歯の浮く台詞を気負いもなく発する超自然体の環と,もはや爆発寸前のものを抱える鏡夜の握手.この学校を代表する強力なタッグの歴史は,ここからはじまったのです.
いきなり「君の家にこたつはあるか?」と聞きはじめる,やたらとコタツに魅了されてるライバル財閥の御曹司.家に洋間しかないから入れないとやたら熱心に語ります.鏡夜は日本文化憧れ系かと看破したまではよかったんですが…まさかうちにもないと答えたら,あんなバカでかいリアクションが戻ってくるとまでは予測してなかった(笑).恐らく出会って十数分で,いきなり奴は鏡夜の予測した世界から外れたのです.
こたつがないことになぜかしおしおの環.しかも無神経なことを言ったと「ゴメンよ鳳君」といきなり謝り出しました.こたつは家族団欒の象徴だからという理由で「君の家は,家族仲がうまくいっていないんだな!」…そっちの方がよっぽど無神経の上に,しかも当たっているから腹が立つ(笑).環の変なところでリアルなこたつ知識,一体どこで仕入れたんだろ.ちなみにこたつ=家族の信頼関係を構築する装置なので,ラストはああなるわけですね.
「…でもそっか,君ん家にはないのか」と憐憫の目でこちらを見る喜怒哀楽の激しい御曹司.鏡夜がいらつく心を抑えて用意しようかと言ったなら,手に持ったものを放棄して抱きついて大喜びするなんてなんだろうこいつ(笑)「君は親友だ! 大親友だ!」となつき倒して,勝手にファーストネームで呼ぶことも決定!「ブラーボー,キョーヤー,モナーミー!」と大喜び!
日本かぶれのテンション高いバカ.それが鏡夜の環に対する第一印象.そのあまりの壮絶ぶりを自宅で姉に話してみます.モナミモナミと連呼して親友の意味すら理解してなさそうなアホに主導権を奪われ,タンスのように閉じ込めたはずの感情をひっかきまわされて押さえ切れない.上手に詰め込みすぎで一度出したらもう収まらないから,「だから,出さないでください」
たった1日経過しただけだってのに,時はさらに進んで11時.午後3時まではあと4時間.環が真剣に申し出るお願いは京都旅行.日本かぶれらしく外国人観光スポットとして絶大なる人気を誇る京都に行きたい気持ちはわかる! わかる,けど…京都には奈良の大仏も五稜郭もシーサーもナマハゲもねえよ.つうか,少なくとも「奈良」の大仏な時点で気がつけよ(苦笑).
子どものように目を輝かせて間違った要求をしてくる環に対し,鏡夜はやんわりとダメを出し.それに衝撃を受けた環はまたもしおしおで体育座り.…この頃から癖だったのか.思った以上のバカに今週末の休みから順に各地を回ろうと提案したなら,またも抱きつかれなつかれる.昨日のモナミは神様やら大仏様へと一足飛びにランクアップ.神様の安さに,鏡夜は嘆じるしかないのです.

後半.モナミ改め神様となった鏡夜と,筋金入りのアホである環.2人のクラスメイトとしての日々はそのまま混乱と困惑の日々.他人の行動を読むことにかけてはかなりの自信があった鏡夜であっても,アホの考えることにはついていけない.いつの間にやらクラスにも彼以上になじんでしまう人当たりの良さ,ナマハゲとシーサーを間違えるやっぱりのアホさ.その他様々な環の特質が鏡夜の日常を変えていきます…乱れる感情のように散らかっている部屋の中,テーブルの上には観光ガイド雑誌がてんこ盛り.アホの相手に鏡夜自らツアーガイドの支度に余念なし.なんせ環は本当に筋金入りで,鏡夜が本気でかかってもなお予測を越える,本当に困った奴なのです(笑).
春なのに大文字の送り火が見たい,沖縄ソバと信州ソバの食べ比べしたい,シーサーとナマハゲの夢の競演が見たい.環の要求はいつだって予測の外にあり,しかもそれが難しいとわかったら体育座りで,「…すまない.君の能力を…過大評価しすぎていた」と喧嘩を売りやがる(笑).感情を押さえ切れない鏡夜は負けん気剥き出しで完璧な準備を整えるものの!…勇んで北海道に誘ったら,試験勉強を理由に断りやがったよあのバカ!
「試験が終わったら遊んでやるから」と言われ,鏡夜はぐちゃぐちゃの部屋で大暴れ! 「あの野郎!」とらしくもない叫びを上げる鏡夜は,本当に余裕のある現在の彼に比べるとまだまだガキなんですね(笑).ツッコミ属性を持つ者にとって,ボケにバカにされることほど辛いことはないわけで,約束を忘れてしれっとしている大馬鹿野郎に腹を立てる.…嫌々つきあっているんなら,行くのが中止はうれしいことのはずなんだけどなぁ(苦笑).
「これほどまでに誰かを殴りたいと思ったことはあるか? 否,断じて否だ!」…もちろん立派すぎる自制心を持つ鏡夜が環を殴ることなんかありえない.三男としての立場を考えてしまうと,まだまだ部屋の外では自由にふるまう覚悟はない.あれでも須王の後継者と暴れる心を必死でなだめ,父から試されているのは俺の対応能力なのだと自分自身に言い訳し,それでも「誰がコタツなど用意してやるものか!」と,約束を破ったバカへの怒りは収まらない.
普段はあまりに大人びて子どもらしくなくて,姉的にはそんな鏡夜の窮屈さが気になっていたところ.もちろん嫌な相手なら無理につきあう必要はないわけですが…「こんなに楽しそうな鏡夜さん,はじめて見たわ!」と微笑ましく放置.…当の鏡夜はんーんー言いながら長椅子にパンチを繰り出しているので,これを「たのしそう」と形容するあたりがさすがは姉.現在のところ彼の本心を正確に把握しているのは彼女くらいでしょう.
アホに翻弄される日々の中,久々にやってきた静かな日曜日.穏やかに終わるはずのその日,鏡夜はとうとう限界を壊すことになります.唐突に自宅にやってきた「お友達」.聞いて呆然とするくらいに鏡夜には心当たりがなかったものの,バカは伊達にモナミを連呼していたわけではありません.
先に通され,ピアノを弾いていた環と,それを聞いている兄たち.あのバカとは思えないほど美しい少年が奏でる,涙が出るほど美しい音色.思うまま,計算抜きで彼が誰かのために奏でる音色は,兄たちだけでなく,鏡夜の涙腺までも直撃します.…なぜその音色に至ったのか,人を深く見抜く目が鋭く反応してしまったんだろうか.
てなわけで唐突にやってきた招かれざる客は,鏡夜の本性に限りなく近い彼の部屋の中へ.試験勉強など無視し,この家の広さをフランスの家と比べてみたり…もちろん彼には鏡夜に嫌味を言ったりする頭も意図もない.確かに須王邸の方が大きいけれど,環は本邸に入ったことがなく第二邸暮らし.運のいいアホの御曹司のはずが,彼は幸福の中にいるわけではなかったのです.
そのあたりは横に置き,鳳家は鏡夜が継ぐのか?とデリカシーなく踏み込む環.それは鏡夜にとっては逆鱗に等しい話題なんですが,それでもぐっと踏みとどまって,継ぐはずないだろと返してみたら…「あれ,それは意外!」と本当に不思議そう.「君はもっと,貪欲な人間かと思ってた! だって,現状に全然満足してないって目だろ? それ」…どう頑張っても見透かせない男は,自分の内側をまじまじと覗き込んでいたのです.
意外と諦めいいんだなと不思議がるバカを前にして,ついに押し込めてきたものが噴き上りはじめます.自分の未来は諦めるより前から決まっている.当たり前のように家を継ぐ人間にはわからないのかなと憎憎しげに嫌味を言ったら,「俺は須王を継ぐとは決まってないぞ?」とまたも環は不思議そう.妾の子ゆえに祖母に嫌われ,今のままでは全然跡継ぎじゃないと,彼は自身の苦しい立場をあっさりと吐露するのです.
実は鏡夜といい勝負であった環.しかし良く似た彼の現状に対するスタンスが,鏡夜の頑なな我慢をついに壊します.父の仕事に興味がないわけじゃないけれど,美貌や優秀な頭脳を生かせば別の選択肢だってありえるはずだし,北の大地に動物王国を作る夢もあるし…と後継の道すらも1つの選択肢扱いする環.それは欲しくてたまらない選択肢すら選ばせてもらえない鏡夜にとっては贅沢で…鏡夜の表情がその内面と一致していきます.
「ふざけるな!」とテーブルをひっくり返す鏡夜.「なぜそんな簡単に諦めたようなことが言える!」と環の胸倉を掴んで怒る.いくらでも上にいけるチャンスがあるのになぜもっと努力をしない,なぜ恵まれた立場を利用しないのかと感情をぶつける.「お前は一体何なんだ!」…お前は馬鹿なのに,何故俺を見抜く!! 黒バックに書かれた乱暴な手書き文字こそ,決して他人に見せたくなかった本心!
本当に欲しいものが目の前にある.自分にはそれを掴む能力もある.だけど三男という額縁に縛られ,無力感ばかりが募ったがゆえのこの凶行.けれど環はまったく慌てることがなく,鏡のように言葉を返します.「何もしてないのに諦めてるのは,お前の方だ!」…同じように額の前に座らせられていた環.しかし彼は自分の絵を描くことよりも先に,横で絵を描いている自分とよく似た奴の手を引っ張って,額の外に筆を落とさせようとしていたのでした.
そして,さっきのシリアスを忘れたかのように,そろそろ用意してくれたんじゃないかとこたつを求める環.自分の鬱屈を解消する方法にようやく気づいた鏡夜は,爽やかな悪い顔で腹を抱えて大爆笑した上にバカの頭に拳を落とす(笑).三男への期待も打算も放り投げ,己が思っていたとおりに,筆をごつんと落とすのです.
コタツは冬,入りたければ冬まで待てと睥睨するその悪い笑顔に「ほんとはそういう顔なのか」と環.…美しいけれど華奢な三男の額縁.一度そこから溢れた色はもう止まらない.自負するほどの才能と強い欲望を広げられる場所は壁一面.抑圧の青ではなく情熱の赤と虹に輝く大輪の花を咲かせます.…しかも,絵を描くことすら自由.壁の前から離れたって構わないのです.

枠を壊して4ヶ月.冬になり,鏡夜の家で約束のコタツに入った環が思いついたのが「部を立ち上げよう!」.我々の美貌を生かしたその名もホスト部! 突拍子もないたわごとに鏡夜は環を足蹴にし,無邪気な環の計画は止まらない.2人と同じように暗黙の額の前に立たされている連中を連れてきて,6人で新しい絵を描いたなら,どんな絵に,どんな風景になるのだろう! …すっかりなじんできた悪い笑顔と,茶柱.
このような成り行きで鏡夜がアホと一緒に進ことになった高等部には,皆様既にご存知のとおり,様々なものが待っていたのでありました.もちろんその中心には環がいて毎度無茶を要求し,鏡夜がそれを実現するという関係にも変化なし.こんな有能な奴を初対面でモナミと見込んでしまった環はアホだけどやっぱり凄いや! …そして,その中心が揺らぐ次回に続きます.

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デジモンセイバーズ#22

「信じてみたい素朴な正義の巻」

ゴツモン率いるデジモン軍団の人間界への侵攻を止めたのは,横浜上空に開いた巨大なデジタルゲート.大量のデジモンを強制送還する大穴を開いたのは,10年前の探検隊の6人目.大門博士の助手であった倉田だった.デジモンオタクという彼はデジタルワールドで生まれ育ったイクトに興味を示すが,結局イクトとファルコモンは大門家に転がり込むことになる.
理由ありではあるけれど食べ盛り遊び盛りの子どもがさらに2人増えた大門家は一気に賑やかになった.チカもファルコモンのことを受け入れて,大騒ぎの楽しい夜は更けて行く.しかし翌日,ユキダルモンを思い出したイクトがまたも逃げ出そうとしたそのとき,サーベルレオモンが人間界にたった1頭で乗り込んできたという緊急連絡が入った.

立場も考えていることも違う登場人物たちが通じ合ったり通じ合わなかったりする「セイバーズ」.その象徴となるのが人間でありがらもデジモンの中で育ってしまったイクトとその最大の理解者であるファルコモンであるわけですが,前回で晴れて?ファルコモンもイクトと同じどちらの世界にも居場所なき立場に.そんな行き場のないふたりを受け入れるのは,もちろん大門家です.
今回は,ここ数回の感動的ではあるものの重い展開をひっくりかえすかのような,明るく面白いシーンが見られるわけですが…冷静に考えるとこの戦いは,決してハッピーエンドとして片付けられるようなものじゃない.気合の入った画と物語で描かれるのはマサルなりの豪快な正義論.こいつがこの程度の認識でここまでやってきたこと自体が最大の脅威だ(苦笑).いかにも横手脚本らしい,軽妙な掛け合いも大変に楽しい.

慎重派のメルクリモンを置き去りにして,デジタルワールドでは事態が動く.サーベルレオモンの配下を借り受けたゴツモンが人間界の横浜を蹂躙.DATSはそれに成す術なく,あわや壊滅かと思えたそのとき!天に開いた巨大なデジタルゲートがデジモンたちを元の世界へと吸い取ってしまった…というのが前回のあらすじ.ついに6人目が登場し,ようやく真実が明らかになるのが今回以降.
前回の凄い展開でイクトは飯も食わずに基地の一室でひきこもり,隊員たちはあのデジタルゲートは一体なんだと騒然.誰かが意図的に開けたものには間違いない上にDATSの技術力では無理ってことは,DATS以上の技術的なノウハウを持つ団体がいるってことでいいのかな? もちろんあんなことただの人間にできるわけがないので,「俺じゃねえぞ?」とか言わなくていいよマサル(笑).
そんな悩み多きDATS基地にやってくるのが10年前の6人目.「超心配ですなぁ!」とうすら軽い雰囲気で出てきたメガネのこの男は,うさんくさい雰囲気をいきなり発揮しまくりです.アグモンのことをラプター1と呼ぶこのおっさん,デジモンオタクの癖にデジモン触ってくしゃみしてる.…アレルギー? 
彼こそが先日の功労者だと説明する,これまたうさんくさい羽柴長官.でもどちらも狸っぽいので2人がどこまで互いの手の内をさらし合っているのかは不明.先日空に巨大なゲートを開いたのは倉田.しかもマサル父の助手であったことも判明し,「お父さんに似てきたんじゃないですか」とかフレンドリーにされてもどうにも嫌な感じしかしない.
デジモンをデジタマに戻さずにデジタルワールドに戻すのはルール違反.とはいえあの緊急事態では強くも責められない.…ただし!過去の業績評価はこの際どうでもいいとしても,今一番苦しんでいる奴に無遠慮に手を出されるわけにはいきません.デジタルワールド育ちのイクトに興味を持って引き取りを申し出る倉田に羽柴まで許可を出しちゃって,イクトの意志なんか完全無視ですよこの2人.
そして話題の中心であるイクトはまたも逃走するつもり.「オレ,いないほうがみんな幸せ!」と気の毒すぎる彼は自ら全てに背を向けようとするわけですが,これを止めたのがやっぱりマサル.「おれん家に来い!」と行き場をなくした少年に命令した上に,「お前の面倒はオレが見る! お前は何も心配するな!」と勝手に背負ってしまう.…何度も拳を交えて勝手に通じ合い,もはや他人とは思えなくなってしまったんだろうなぁ.「隊長,そういうわけだ!」と勝手なマサルに「どういうわけだ」とちゃんとツッコむクダモンがおかしい.
ここまでの展開を全部無視して勝手に決めてしまうマサルに倉田と羽柴長官がさすがにぽかーんとしてますが,本当にびっくりするのは薩摩隊長が「許可しよう」と言い切ったこと.DATSが解決すべき事件という名目で,内心は友人の子どもをあんなのに預けることはできないってところか.10年前は一応仲間だったはずなんだけど….薩摩の強硬な態度に倉田は思ったよりもあっさり諦め,羽柴長官とともに早々に退場.もちろん,そのまま放置するつもりもなさそうではあります.
また面倒を背負うのかとトーマに笑われつつも,前々からの宣言の通り,イクトを自宅に連れ帰ったマサル.夕方の家に普通に帰宅して,「オレのダチだ!」とイクトとダンボールをご紹介.被せればどんなモンスターも隠せるなんてすげえなあダンボール(笑).チカさんが必死で抵抗する箱を開いたら,すぽんと出てきたファルコモンとご対面! …初対面ではないチカさんとファルコモン.今はもういないピヨモンを巡っていろいろと怖いことや悲しいことがあったため,そりゃもう大変に気まずいわけですが,震えるチカと泣きそうなファルコモンの対面は,チカが「臭い」と乱暴に手を差し伸べてくれました.
過去のいろいろを全部棚に上げて「あんたら臭い!」と断定するチカさんは,そのままふたりを風呂場に投入.なしくずしに家に上げることでうやむやにするあたりがとっても大人.…自分の兄に友人として紹介されたからこそ,我慢してくれたチカの頭をわしわし撫でるマサル.それが結構大変だってことをよくわかっているからこそのささやかな感謝です.ちなみに大門家の風呂は普通サイズなので,3人に先に入られるとマサルの余地はありません(笑).
大門家の食卓は魅惑そのもの.以前トーマが餌付けされた真価を本日も発揮しまくりです.「こっちがイクト,こっちが鳥だ!」と適当極まりないマサルの紹介に「ファルコモン!」とイクトと鳥がツッコみ,チカさんは「あ,喋った」と変なところにリアクション.そしてはじまるディナータイムは…この家,普段からこんな感じなんだろうなぁ(苦笑).いただきますを全部言わずにマシンガンのように食らうマサルとアグモンに,イクトたちもあっさり追従.少年4人でがつがつ食らってるんだから,DATSに食費を補助してもらったほうがいい(笑).
食後は楽しく将棋崩し.崩した奴は全員からデコピンされるというスタンダードなれども大変に苛酷なルールです.マサルは丈夫だからいいけれど,デジモン2体とそのデジモンたちより強い奴にデコピンされるイクトには手加減してやってください….
デコピンだ枕投げだとマサルの部屋で大騒ぎする2人と2匹は「みんな子どもねぇ」と妹に言われるくらいのエキサイトぶり.この喧噪をアグちゃん効果と喜んでいるサユリさんと,それに「マサル兄ちゃん,喧嘩ばっかりだったもんね」とチカさんが深い.完全に強さと闘争本能を持て余していた以前のマサルからは想像もつかないほどに,今のマサルは楽しく笑ってるんだろうなぁ.
けれどマサルはともかく,現在激動の身の上であるイクトはまだまだ不安定.翌日朝に起きたイクトが見たのは,優しい姿が台所で朝の支度をするところ.それは彼の育ての親であるユキダルモンを彷彿とさせ,イクトはうれしくて抱きつくわけですが…それは本当はマサルの母.おいしくて,楽しくて,居心地がよくて…けれどこれは本物ではないと思い知ってしまうのです.
悲しさにまたも逃げ出して,すぐにマサルに捕まるも「出て行く!」と暴れるイクト.もはや過去は戻ってこないのに,その代わりにマサルがここにいていいと言ってくれているのに,それを嫌だと,年齢相応のだだっ子のように….しかし!ここにマサルのところに緊急通信が!

時はしばし前,デジタルワールドでは高い山の上の城でサーベルレオモンとゴツモンがミーティング.かなりいい線までゴツモンは頑張ったのですが,あのデジタルゲートに全て御破算にされました.しかしふたりの闘志はもちろん衰えない.かつての大災厄の日,人間界から激烈な嵐が吹き込んで,侵入されて蹂躙された暗い記憶が,未だに彼らを人間抹殺へと動かしているのです.
ただしゴツモンは失敗したから,今度は自分一人で人間に鉄槌を下す!と言い出すサーベルレオモン.究極体である彼は誇り高い自信家で,誰の援護も不要と,単身人間界へと身を踊らせます.…サーベルレオモンの君臨するこの領地のどこかにも,人間界に通じる恒常的なゲートが存在するんだろうか?
どこかを通ってまたもDATS基地の近くに降り立ったサーベルレオモン.先日デジモン軍団に荒らされたばかりのコンビナートで,工場の煙突をすぱっと落とすわガスタンクもスパッと切るわと大暴れ.…工場を持ってる会社,政府に補助してもらえるといいなぁ.
怒れる究極体の大暴れを聞き,イクトはそこへ行きたがり,マサルはそんなイクトを止める.なんせ行き場を失った今の彼には,自分が犠牲になって全てを丸く収める道しか見えてない.「全部オレ悪い」と全てを背負ってその身を犠牲にしようとする贖罪の子羊っぷりは悲愴.…ただしそれは自ら悲劇に酔って最も安易な解決法を選ぼうとする,大変に頭の悪い行動なのです.
ゆえに「お前バカか?」とお前にだけは言われたくないような屈辱的なことを言い出すマサル.「何が全部悪いだ!奴らの言うことなんか信じるな!」という思考停止フレーズは危険な気もするけれど(笑)「お前は何も悪いことしてねえだろ」というのは正しい.悪いことをした奴は悪い,そうでない奴は悪くない.彼の善悪判断は出自ではなく,当人の意志と行動を起点としています.
そして披露されるマサルの究極の善悪論.真面目に考えたら本気で難しいテーマに対し彼が出した結論は実にシンプル.「お前,昨日のメシうまかったか」と睨んでイクトに答えさせ,「いいか,俺たちはホントならこれからその美味い朝飯を喰うはずだった! だが飯を食わずして出動しなきゃならねえ! 全てそのナントカってデジモンのせいだ!」…ええと,それはまあそうなんだけど…「古今東西,メシの邪魔をする奴に,正義はあったためしはねえんだ!」…わあ(笑).彼がどんな裏づけからこの結論に至ったのかはわかりませんが,マサルが正義の側に立つという前提を満たすならば一応正しいと言えなくもなく,そして,それ以上にこんなわけわからん主張を聞かされてるDATS基地は辛いに違いない(苦笑)!
メシの邪魔をされたんだから正義は我らにあり,戦わなきゃ最初から勝てるわけもないので相手がなんだろうとマサルは行く! …でも寝巻きのままでは行かない(笑).「早く言えよ」とくるっと戻ってくるマサルがおかしくて,今回は本当に掛け合いが面白いなぁ.サユリさんは食事についてこれから旅立つ連中のリクエストに応えるつもり.卵焼きカレーと,イクトと一緒の何か…どんなときでもファルコモンはイクトと一緒.ゆえに食事を邪魔する奴を止めにいくのも当然一緒です.
現場では,一足先にサーベルレオモンとの戦闘状態となったヨシノ組とトーマ組.けれど究極体の相手は完全体2体では荷が重すぎて…絶体絶命のそのとき,なぜか高いところからいきなり出てくるマサルは「人のシマで好き勝手やれると思うな!」と相変わらずの番長ぶりで自由落下&パンチ.ただしさすがは究極体で,サーベルレオモンはその威力にバランスを崩すようなことはない.…たかが人間のパンチなのに普段効いてるのが異常なんだよな(苦笑).
フルチャージしてアグモンはライズグレイモンへ.完全体3対究極体1.数では有利なんですが,それすら覆すほどに究極体は強い.目の前で怪獣大決戦が展開されるもやっぱし究極体は強く,完全体では相手にならず….このあたり,なかなか画も頑張ってます.結局3体ともが倒されて,このままでマッハガオガモンの頭が潰されてしまう!
ここで戦場に飛び出したのがイクト! 「人間,デジモンの世界壊した! だけど,デジモン,人間の世界壊すの,よくない!」…これがいろいろ経験して知って辿りついた彼の当面の方針.人間とデジモンの痛みを両方理解できる彼だからこそ,種の差を越えた判断に至ったわけです,そしてこれは,意志と行動で善悪を定めるマサルの判断と同じでもあります.
サーベルレオモンを止めたいだけで,無抵抗なイクトに攻撃した敵に怒るマサル.絶対叩きのめす!と決定しライズグレイモンを立ち上がらせようとするんだけど,これまで喰らった技の効果で立ち上がることもできず….戦意だけは溢れるものの決め手がないそのとき! 突如出現した謎の浮遊機械が,サーベルレオモンの眉間に何かを打ち込みます!
撃ち込まれた何かによっていきなり調子を崩す敵.そしてすぐさま消える機械.明らかに異常な状況なのでもうちょっと冷静に状況を判断したいところなんですが…まあ,マサルには無理だよな(苦笑).これがイクトの痛みだ!とマサルが殴りかかったならば,なぜかサーベルレオモンの牙が折れてみんなびっくり.特にライズグレイモンの「兄貴,すっげえ!」という台詞がおかしい….すっげえじゃねえよ.状況がおかしいんだよ!
兄貴に凄い根性を見せられたなら,弟分も当然頑張らねばなりません.「お前も根性見せてみろ!」というわけで,弱っているサーベルレオモンにライズグレイモンはトライデントリボルバーを発射! なんかよくわからんうちに究極体は敗北し爆発,そのままデジタマに戻る…のかと思ったら.
逆転勝利を己の拳で導いたつもりで,マサルは「腹減ったなぁ」とイクトの元へ.「今日のカレーは,めちゃくちゃうまいぜ」と頭に手をやり,イクトも素直に「うん」と答える.どうやらまた弟分が増えたようですが,しかし状況はそれほど単純ではない.凝縮するデジタマはぱりぱり放電の末に…消滅!
例え滅びても卵となって再び成長を繰り返すはずのデジモンの卵の消滅.それはサーベルレオモンの完全な死であるわけですが,その光景に手を叩くのがいきなり出てきた倉田.途中に出てきたあの機械のようなデジモンに対してはとぼけてますが,デジモンオタクを名乗った癖に,デジモンたちは人間を敵視しているからどうにかしないといけませんよね.と敵意を露にしているのが既に異常なのです.

最終的な決着についてはかなり疑問が残るものの,帰ればおいしい卵焼きカレーが待ってます.ようやく心の置き所が決まって安定したイクトもファルコモンとともに,マサルたちと同じくいただきますを言い切らないまま,マシンガンのようにカレーをむさぼる(笑).…デジタルワールドでの食事ってのは,一体どんなものだったんだろう.でも,ユキダルモンの作ったものは,今と同じようにむさぼっていたんだろうな….
食った後は風呂.頭を洗うマサルと湯船のイクトの短い会話はとてもいいシーンです.「俺,ここにいて,いいのかな」と呟くイクトに「んあ?」とシャワー中のマサル.ちゃんと聞いてないのかと思ったら「当たり前だろ」とまるで実の兄貴のように受け入れるマサル.…ついにイクトが心だけでなくその身の置き場まで決める結構重要なシーンなんだけど,この先回想の度に風呂場になるんだけどそれはいいのか?とか思いつつ!うさんくさい奴がどんどん悪い奴になっていく,次回に続きます.

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9月終了アニメ雑感2

最終回シーズン&新番組シーズンで大忙しの昨今ですが,アニメ最終回に引き続いてゲーム「.hack//G.U. Vol.2」をはじめてしまいさらに大忙しに.現在のところ雑誌のチャートでは36まで進みましたが,…仲間になる前と後であんなに態度が違うとは思わなかった.あれもツンデレの一種か?
テレビ版の謎が明らかになるという物語の先行きも楽しみですが,実はそれ以上に楽しんでしまっているのが放置系カードゲーム「Crimson VS」.4枚セットのデッキを作って登録しておくと自動的に対戦が行われるという作中カードゲームで,ぜひオンラインで同様のサービスを提供していただきたいくらいにお気に入り.パイ姐さんがジェネラルのデッキで,勝率7~8割程度で350位までランキングを上げることができました.
デッキ作りのコツとしては,ジェネラルもユニットも極端なカードは使いにくいので最初は標準的なカードで組んだほうが勝ちやすい.また,ユニットについては能力の発揮だけにこだわるのではなく,ユニット戦で相手カードを退けることも1つの効果と考えるべき.そして,実戦の結果8割以上の勝率が得られるデッキが完成したら,さらにいじって勝率を上げようとするのは避け,勝率が極度に下がらない限り同じデッキを使い続ける方がよさそう.相手デッキによってはどうしても勝てない相手も出てきますが,それがごく一部なら問題はなし.…でも,上級者はもっと別のことを考えていそうな気が(笑).

てなわけで,9月終了番組のシリーズ雑感第2弾!


3:3:3 アニマル横町
1話終わればあらかたリセットされるので何をやってもいい.そんなギャグの強みを如何なく発揮しまくったこの作品.子ども向けなんだけど対象年齢はぶっちぎりに高い回も多数.子どもにはわからないメタネタも多数(笑).もう一息キャラに癖や濃さがあれば商業展開もしやすかったんだろうけど,このシンプルなキャラが滅茶苦茶なボケをかまし必死でツッコんでるという娯楽も捨て難いしなぁ….次週に引っ張るヒキに関しては皆無のため,特別楽しみにしているわけではないけれど見れば絶対面白い,噛めば噛むほど…な作品です.

3:2:3 いぬかみっ!
一見ハーレムものの構造なのに露出するのは野郎ばかり.結構エロスなサービスを志向しているはずなのに…やっぱりマッチョとか男全裸の方が面白いってのが業だなぁ.終盤では敵側の強化と味方側の弱体化が著しい中でずっと同じ調子な啓太の強さが見えてくるという展開がお約束ではあるけれど面白かった.作画面では常に厳しい戦いをしていましたが,その分最終回のアクションシーンのハジケっぷりも素晴らしかったですね.…まさかラストシーンで登場人物たちが微笑ましく見つめるものがアレになるとは思わなかったけれど(笑).特筆しておきたいのは,繊細なイメージが先に立つ福山氏のキャリアを語る上で相当重要な作品となったこと.本作で芸風をさらに広げた彼の今後が楽しみです!

4:2:1 .hack//Roots
どう考えてもこのシリーズに多少なりの思い入れのあるファン向け.前シリーズかゲームに思い入れがあれば楽しいシリーズであることは間違いないんですが,アニメの先にある世界のために様々なネタを仕込むのが目的である以上,単体ではあまりにトリッキー過ぎてついていきにくかったんじゃないかな….ゲームをプレイしていると重要な事実がごろごろ出てくるので面白いけれど,手がかりのない状態で後半のあのストレス満載の展開を越えられた奴がどれだけいただろう.…もし,根性だけで乗り越えてしまった奴は,今からでもゲームをやって様々な伏線を回収してすっきりするべき.正気に戻ったハセヲが主役として走り出す本当の物語は,アニメの外に広がっています.

4:3:1 ゼーガペイン
穏やかな序盤から怒涛の終盤まで加速度を増していった秀作.さすがに最終回間際はギミック詰め込みすぎで停滞してしまったけれど,そこに持っていくまでのドラマの面白さが素晴らしかった! 繰り返す夏が綻んで崩れていく序盤,己と仲間の存在と命に逡巡しながらもそれでも前向きに進んでいく中盤,そして隠されたギミックが暴露されて急展開する終盤,それぞれ面白さの質が違うんだけど,それら全てを青春の厳しさと優しさで包み込んだところが素晴らしい.数々の名作を生み出してきたテレ東の夕方枠の底力を見せつけるかのような気合の篭った良質のジュブナイルなので,ぜひとも青少年に存分に楽しんでいただきたい.

3:3:1  xxxHOLiC
CLAMP原作のマニアックな題材を,独特の雰囲気を十二分に生かして作り上げた佳作.…やっぱしプロダクションI.Gはこういう完全大人向けのシリーズが一番向いてるな.あまりにひょろりとしまくったキャラデザインが大変目を惹きますが,このデザインだからこその動きも面白い.1話,2話完結がベースなので大きな物語がどかんと展開するカタルシスはないですが,大人の深夜の楽しみとしてはこのくらいの穏やかさが好ましいのではないかと思います.…あ,福山潤は彼の本領を発揮してるので,ファンは安心して見るといい(笑).

3:3:1 ああっ女神さまっ それぞれの翼
無限ループな落ちモノの元祖であり典型であり神.終わらない甘い世界の中をいつまでも漂う,世界に誇るバカップル再び降臨! どうにもこうにも甘すぎて胸焼けしそうな主役2人のストロベリーを楽しむために存在するのが本作の存在意義であるわけですが(笑)前シリーズもそうだったけど,このシリーズもやっぱり脇にスポットが当たる回の方が面白いなぁ….作画は良好,各話の質もかなり均等.ちょっとした夜中の楽しみとしてだらだら見るのが似合いです.

3:3:2 ひぐらしのなく頃に
冒頭の凄い描写で引き込まれたのはいいものの,その品質が結局維持できなかったのが勿体無い作品.見せ場の回と捨て回の出来の差があまりにも激しいので,一般に関しては間を取って3をつけてます.…あまりの血しぶきに惹かれてみた人たちが悪さ足りなさにがっかりしたところで,「原作や他メディアはもっと凄いぞ」とファンが唆すことでそっちの購入に走らせるというビジネスモデルならば正しいのかな(笑).愛らしさを煮詰めたようなキャラクターが地方局深夜であっても放映する方が無茶としか思えない残虐描写を演じるところが一番の見所.まさに前代未聞の激しさなので,美少女に興味がなくてもアニメ好きなら,ぜひ後学のために見ておくべきです.

3:2:4 ストロベリー・パニック
かつてないほどの直球.実は男,みたいな言い訳一切なしの凄まじい百合物語! しかもキス程度では行動が止まらず,思いが募ればそのままベッドインという大変に男らしい仕様となっております(笑).いやぁ,ここまでガチでやられると腹一杯で,むしろ笑えてしまってどうしよう.見た目は女性なんだけど中身が明らかに男性以外の何者でもない奴がごろごろ混じっており,女性同士というオブラートでもっとどぎついものをごまかして見せているのが素敵に無茶.本気の百合が見たくてたまらない奴や,クセの強い作品を摂取しないと生きていけないようなマニアにだけお勧め.その他の人にはさすがにちょっと…(苦笑).

4:4:2 うたわれるもの
さすがに駆け足気味ですが,それでも十分面白い! 終盤のSF部分はいろいろ語り足りない部分が多かったけど,そこまでの架空戦記部分が他作と比較しても素晴らしかった.出てくる奴の大半が亜人という現実離れした状況も,丁寧な日常描写やよく手をかけた戦闘描写によってきちんと地に足をつけてみせ,多対多がぶつかる難しい戦闘シーンもCGを上手に使ってそれらしく見せてました.原作が原作の上に地方局放映ということで,思いっきりエロに寄ってもよかったところを我慢して夕方放映しても問題ないほどの健全ぶりを貫き通し,本来のターゲットである原作ファン以外の広い範囲にもアピールできる作品となったことから一般を4にしています.
悪役のほとんどがあまりに典型すぎて魅力溢れる主役に対抗できる格でなかった点だけは残念でしたが,この作品の素晴らしい魅力に触れて,さらに良いと噂の原作にも触れる…というのは商売としては大変に正しい.エロゲー原作でもここまでやれると示した完成度の高い傑作.おすすめです!

4:5:1 capeta
1年という長丁場をほとんど気を抜かずに走りきった傑作! 天才的な才能を持ちながらも金運とマシン運には驚くほど恵まれない主役が,彼自身の才覚と周囲の助力によって不利な状況を戦い抜く様が迫力溢れる美しい映像で描かれます.3DCGによって描かれたリアルな上に迫力溢れるレースシーンは言うに及ばず,原作の繊細さをそのまま持ってきたかのようなキャラと背景の美しさも素晴らしかった! 90年代以降に描かれたレースをテーマとしたアニメの中でも1,2を争う出来栄えです.
金がないという理由で狙い済ましたように主役たちが逆境に陥る様は実に毎度ではありますが,それがなぜ起きるのか,回避できる方法はなかったのか,逆境から脱出する方法がないのかまで描いているので納得してしまう.そしてそんな逆境の中であっても潰れないものこそが「才能」と呼べるのだという厳しい主張も,見ている側にしっかりと伝わってくるのです.…ここまで全力でやられたら,ぜひ原作がある程度貯まった段階で続きが見たい.面白かったです!


とりあえずここまで.もう1回くらい続くかな?

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