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デジモンセイバーズ#22

「信じてみたい素朴な正義の巻」

ゴツモン率いるデジモン軍団の人間界への侵攻を止めたのは,横浜上空に開いた巨大なデジタルゲート.大量のデジモンを強制送還する大穴を開いたのは,10年前の探検隊の6人目.大門博士の助手であった倉田だった.デジモンオタクという彼はデジタルワールドで生まれ育ったイクトに興味を示すが,結局イクトとファルコモンは大門家に転がり込むことになる.
理由ありではあるけれど食べ盛り遊び盛りの子どもがさらに2人増えた大門家は一気に賑やかになった.チカもファルコモンのことを受け入れて,大騒ぎの楽しい夜は更けて行く.しかし翌日,ユキダルモンを思い出したイクトがまたも逃げ出そうとしたそのとき,サーベルレオモンが人間界にたった1頭で乗り込んできたという緊急連絡が入った.

立場も考えていることも違う登場人物たちが通じ合ったり通じ合わなかったりする「セイバーズ」.その象徴となるのが人間でありがらもデジモンの中で育ってしまったイクトとその最大の理解者であるファルコモンであるわけですが,前回で晴れて?ファルコモンもイクトと同じどちらの世界にも居場所なき立場に.そんな行き場のないふたりを受け入れるのは,もちろん大門家です.
今回は,ここ数回の感動的ではあるものの重い展開をひっくりかえすかのような,明るく面白いシーンが見られるわけですが…冷静に考えるとこの戦いは,決してハッピーエンドとして片付けられるようなものじゃない.気合の入った画と物語で描かれるのはマサルなりの豪快な正義論.こいつがこの程度の認識でここまでやってきたこと自体が最大の脅威だ(苦笑).いかにも横手脚本らしい,軽妙な掛け合いも大変に楽しい.

慎重派のメルクリモンを置き去りにして,デジタルワールドでは事態が動く.サーベルレオモンの配下を借り受けたゴツモンが人間界の横浜を蹂躙.DATSはそれに成す術なく,あわや壊滅かと思えたそのとき!天に開いた巨大なデジタルゲートがデジモンたちを元の世界へと吸い取ってしまった…というのが前回のあらすじ.ついに6人目が登場し,ようやく真実が明らかになるのが今回以降.
前回の凄い展開でイクトは飯も食わずに基地の一室でひきこもり,隊員たちはあのデジタルゲートは一体なんだと騒然.誰かが意図的に開けたものには間違いない上にDATSの技術力では無理ってことは,DATS以上の技術的なノウハウを持つ団体がいるってことでいいのかな? もちろんあんなことただの人間にできるわけがないので,「俺じゃねえぞ?」とか言わなくていいよマサル(笑).
そんな悩み多きDATS基地にやってくるのが10年前の6人目.「超心配ですなぁ!」とうすら軽い雰囲気で出てきたメガネのこの男は,うさんくさい雰囲気をいきなり発揮しまくりです.アグモンのことをラプター1と呼ぶこのおっさん,デジモンオタクの癖にデジモン触ってくしゃみしてる.…アレルギー? 
彼こそが先日の功労者だと説明する,これまたうさんくさい羽柴長官.でもどちらも狸っぽいので2人がどこまで互いの手の内をさらし合っているのかは不明.先日空に巨大なゲートを開いたのは倉田.しかもマサル父の助手であったことも判明し,「お父さんに似てきたんじゃないですか」とかフレンドリーにされてもどうにも嫌な感じしかしない.
デジモンをデジタマに戻さずにデジタルワールドに戻すのはルール違反.とはいえあの緊急事態では強くも責められない.…ただし!過去の業績評価はこの際どうでもいいとしても,今一番苦しんでいる奴に無遠慮に手を出されるわけにはいきません.デジタルワールド育ちのイクトに興味を持って引き取りを申し出る倉田に羽柴まで許可を出しちゃって,イクトの意志なんか完全無視ですよこの2人.
そして話題の中心であるイクトはまたも逃走するつもり.「オレ,いないほうがみんな幸せ!」と気の毒すぎる彼は自ら全てに背を向けようとするわけですが,これを止めたのがやっぱりマサル.「おれん家に来い!」と行き場をなくした少年に命令した上に,「お前の面倒はオレが見る! お前は何も心配するな!」と勝手に背負ってしまう.…何度も拳を交えて勝手に通じ合い,もはや他人とは思えなくなってしまったんだろうなぁ.「隊長,そういうわけだ!」と勝手なマサルに「どういうわけだ」とちゃんとツッコむクダモンがおかしい.
ここまでの展開を全部無視して勝手に決めてしまうマサルに倉田と羽柴長官がさすがにぽかーんとしてますが,本当にびっくりするのは薩摩隊長が「許可しよう」と言い切ったこと.DATSが解決すべき事件という名目で,内心は友人の子どもをあんなのに預けることはできないってところか.10年前は一応仲間だったはずなんだけど….薩摩の強硬な態度に倉田は思ったよりもあっさり諦め,羽柴長官とともに早々に退場.もちろん,そのまま放置するつもりもなさそうではあります.
また面倒を背負うのかとトーマに笑われつつも,前々からの宣言の通り,イクトを自宅に連れ帰ったマサル.夕方の家に普通に帰宅して,「オレのダチだ!」とイクトとダンボールをご紹介.被せればどんなモンスターも隠せるなんてすげえなあダンボール(笑).チカさんが必死で抵抗する箱を開いたら,すぽんと出てきたファルコモンとご対面! …初対面ではないチカさんとファルコモン.今はもういないピヨモンを巡っていろいろと怖いことや悲しいことがあったため,そりゃもう大変に気まずいわけですが,震えるチカと泣きそうなファルコモンの対面は,チカが「臭い」と乱暴に手を差し伸べてくれました.
過去のいろいろを全部棚に上げて「あんたら臭い!」と断定するチカさんは,そのままふたりを風呂場に投入.なしくずしに家に上げることでうやむやにするあたりがとっても大人.…自分の兄に友人として紹介されたからこそ,我慢してくれたチカの頭をわしわし撫でるマサル.それが結構大変だってことをよくわかっているからこそのささやかな感謝です.ちなみに大門家の風呂は普通サイズなので,3人に先に入られるとマサルの余地はありません(笑).
大門家の食卓は魅惑そのもの.以前トーマが餌付けされた真価を本日も発揮しまくりです.「こっちがイクト,こっちが鳥だ!」と適当極まりないマサルの紹介に「ファルコモン!」とイクトと鳥がツッコみ,チカさんは「あ,喋った」と変なところにリアクション.そしてはじまるディナータイムは…この家,普段からこんな感じなんだろうなぁ(苦笑).いただきますを全部言わずにマシンガンのように食らうマサルとアグモンに,イクトたちもあっさり追従.少年4人でがつがつ食らってるんだから,DATSに食費を補助してもらったほうがいい(笑).
食後は楽しく将棋崩し.崩した奴は全員からデコピンされるというスタンダードなれども大変に苛酷なルールです.マサルは丈夫だからいいけれど,デジモン2体とそのデジモンたちより強い奴にデコピンされるイクトには手加減してやってください….
デコピンだ枕投げだとマサルの部屋で大騒ぎする2人と2匹は「みんな子どもねぇ」と妹に言われるくらいのエキサイトぶり.この喧噪をアグちゃん効果と喜んでいるサユリさんと,それに「マサル兄ちゃん,喧嘩ばっかりだったもんね」とチカさんが深い.完全に強さと闘争本能を持て余していた以前のマサルからは想像もつかないほどに,今のマサルは楽しく笑ってるんだろうなぁ.
けれどマサルはともかく,現在激動の身の上であるイクトはまだまだ不安定.翌日朝に起きたイクトが見たのは,優しい姿が台所で朝の支度をするところ.それは彼の育ての親であるユキダルモンを彷彿とさせ,イクトはうれしくて抱きつくわけですが…それは本当はマサルの母.おいしくて,楽しくて,居心地がよくて…けれどこれは本物ではないと思い知ってしまうのです.
悲しさにまたも逃げ出して,すぐにマサルに捕まるも「出て行く!」と暴れるイクト.もはや過去は戻ってこないのに,その代わりにマサルがここにいていいと言ってくれているのに,それを嫌だと,年齢相応のだだっ子のように….しかし!ここにマサルのところに緊急通信が!

時はしばし前,デジタルワールドでは高い山の上の城でサーベルレオモンとゴツモンがミーティング.かなりいい線までゴツモンは頑張ったのですが,あのデジタルゲートに全て御破算にされました.しかしふたりの闘志はもちろん衰えない.かつての大災厄の日,人間界から激烈な嵐が吹き込んで,侵入されて蹂躙された暗い記憶が,未だに彼らを人間抹殺へと動かしているのです.
ただしゴツモンは失敗したから,今度は自分一人で人間に鉄槌を下す!と言い出すサーベルレオモン.究極体である彼は誇り高い自信家で,誰の援護も不要と,単身人間界へと身を踊らせます.…サーベルレオモンの君臨するこの領地のどこかにも,人間界に通じる恒常的なゲートが存在するんだろうか?
どこかを通ってまたもDATS基地の近くに降り立ったサーベルレオモン.先日デジモン軍団に荒らされたばかりのコンビナートで,工場の煙突をすぱっと落とすわガスタンクもスパッと切るわと大暴れ.…工場を持ってる会社,政府に補助してもらえるといいなぁ.
怒れる究極体の大暴れを聞き,イクトはそこへ行きたがり,マサルはそんなイクトを止める.なんせ行き場を失った今の彼には,自分が犠牲になって全てを丸く収める道しか見えてない.「全部オレ悪い」と全てを背負ってその身を犠牲にしようとする贖罪の子羊っぷりは悲愴.…ただしそれは自ら悲劇に酔って最も安易な解決法を選ぼうとする,大変に頭の悪い行動なのです.
ゆえに「お前バカか?」とお前にだけは言われたくないような屈辱的なことを言い出すマサル.「何が全部悪いだ!奴らの言うことなんか信じるな!」という思考停止フレーズは危険な気もするけれど(笑)「お前は何も悪いことしてねえだろ」というのは正しい.悪いことをした奴は悪い,そうでない奴は悪くない.彼の善悪判断は出自ではなく,当人の意志と行動を起点としています.
そして披露されるマサルの究極の善悪論.真面目に考えたら本気で難しいテーマに対し彼が出した結論は実にシンプル.「お前,昨日のメシうまかったか」と睨んでイクトに答えさせ,「いいか,俺たちはホントならこれからその美味い朝飯を喰うはずだった! だが飯を食わずして出動しなきゃならねえ! 全てそのナントカってデジモンのせいだ!」…ええと,それはまあそうなんだけど…「古今東西,メシの邪魔をする奴に,正義はあったためしはねえんだ!」…わあ(笑).彼がどんな裏づけからこの結論に至ったのかはわかりませんが,マサルが正義の側に立つという前提を満たすならば一応正しいと言えなくもなく,そして,それ以上にこんなわけわからん主張を聞かされてるDATS基地は辛いに違いない(苦笑)!
メシの邪魔をされたんだから正義は我らにあり,戦わなきゃ最初から勝てるわけもないので相手がなんだろうとマサルは行く! …でも寝巻きのままでは行かない(笑).「早く言えよ」とくるっと戻ってくるマサルがおかしくて,今回は本当に掛け合いが面白いなぁ.サユリさんは食事についてこれから旅立つ連中のリクエストに応えるつもり.卵焼きカレーと,イクトと一緒の何か…どんなときでもファルコモンはイクトと一緒.ゆえに食事を邪魔する奴を止めにいくのも当然一緒です.
現場では,一足先にサーベルレオモンとの戦闘状態となったヨシノ組とトーマ組.けれど究極体の相手は完全体2体では荷が重すぎて…絶体絶命のそのとき,なぜか高いところからいきなり出てくるマサルは「人のシマで好き勝手やれると思うな!」と相変わらずの番長ぶりで自由落下&パンチ.ただしさすがは究極体で,サーベルレオモンはその威力にバランスを崩すようなことはない.…たかが人間のパンチなのに普段効いてるのが異常なんだよな(苦笑).
フルチャージしてアグモンはライズグレイモンへ.完全体3対究極体1.数では有利なんですが,それすら覆すほどに究極体は強い.目の前で怪獣大決戦が展開されるもやっぱし究極体は強く,完全体では相手にならず….このあたり,なかなか画も頑張ってます.結局3体ともが倒されて,このままでマッハガオガモンの頭が潰されてしまう!
ここで戦場に飛び出したのがイクト! 「人間,デジモンの世界壊した! だけど,デジモン,人間の世界壊すの,よくない!」…これがいろいろ経験して知って辿りついた彼の当面の方針.人間とデジモンの痛みを両方理解できる彼だからこそ,種の差を越えた判断に至ったわけです,そしてこれは,意志と行動で善悪を定めるマサルの判断と同じでもあります.
サーベルレオモンを止めたいだけで,無抵抗なイクトに攻撃した敵に怒るマサル.絶対叩きのめす!と決定しライズグレイモンを立ち上がらせようとするんだけど,これまで喰らった技の効果で立ち上がることもできず….戦意だけは溢れるものの決め手がないそのとき! 突如出現した謎の浮遊機械が,サーベルレオモンの眉間に何かを打ち込みます!
撃ち込まれた何かによっていきなり調子を崩す敵.そしてすぐさま消える機械.明らかに異常な状況なのでもうちょっと冷静に状況を判断したいところなんですが…まあ,マサルには無理だよな(苦笑).これがイクトの痛みだ!とマサルが殴りかかったならば,なぜかサーベルレオモンの牙が折れてみんなびっくり.特にライズグレイモンの「兄貴,すっげえ!」という台詞がおかしい….すっげえじゃねえよ.状況がおかしいんだよ!
兄貴に凄い根性を見せられたなら,弟分も当然頑張らねばなりません.「お前も根性見せてみろ!」というわけで,弱っているサーベルレオモンにライズグレイモンはトライデントリボルバーを発射! なんかよくわからんうちに究極体は敗北し爆発,そのままデジタマに戻る…のかと思ったら.
逆転勝利を己の拳で導いたつもりで,マサルは「腹減ったなぁ」とイクトの元へ.「今日のカレーは,めちゃくちゃうまいぜ」と頭に手をやり,イクトも素直に「うん」と答える.どうやらまた弟分が増えたようですが,しかし状況はそれほど単純ではない.凝縮するデジタマはぱりぱり放電の末に…消滅!
例え滅びても卵となって再び成長を繰り返すはずのデジモンの卵の消滅.それはサーベルレオモンの完全な死であるわけですが,その光景に手を叩くのがいきなり出てきた倉田.途中に出てきたあの機械のようなデジモンに対してはとぼけてますが,デジモンオタクを名乗った癖に,デジモンたちは人間を敵視しているからどうにかしないといけませんよね.と敵意を露にしているのが既に異常なのです.

最終的な決着についてはかなり疑問が残るものの,帰ればおいしい卵焼きカレーが待ってます.ようやく心の置き所が決まって安定したイクトもファルコモンとともに,マサルたちと同じくいただきますを言い切らないまま,マシンガンのようにカレーをむさぼる(笑).…デジタルワールドでの食事ってのは,一体どんなものだったんだろう.でも,ユキダルモンの作ったものは,今と同じようにむさぼっていたんだろうな….
食った後は風呂.頭を洗うマサルと湯船のイクトの短い会話はとてもいいシーンです.「俺,ここにいて,いいのかな」と呟くイクトに「んあ?」とシャワー中のマサル.ちゃんと聞いてないのかと思ったら「当たり前だろ」とまるで実の兄貴のように受け入れるマサル.…ついにイクトが心だけでなくその身の置き場まで決める結構重要なシーンなんだけど,この先回想の度に風呂場になるんだけどそれはいいのか?とか思いつつ!うさんくさい奴がどんどん悪い奴になっていく,次回に続きます.

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