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桜蘭高校ホスト部#25

「夢覚ます現実の声の巻」

桜蘭祭は学校全体が浮き立つ年に1度の大イベント.将来のリーダー候補たちがふんだんに資金を投入し,設営の実作業は業者に行わせて生徒はその指示に専念するのだ.ホスト部は中央塔サロンで父兄や来賓の皆様に対し一般公開営業を行い.さらにフランスからはクラシック馬車を空輸して派手にパレードまで行う予定.普段以上に華々しくかつ値の張る環のわがままは,さすがの鏡夜も音を上げるほどだ.
ホスト部公開営業は,いつも以上にネコをかぶった接客によって大盛況.そんな客に混じって彼らの父兄もやってくる.この学校の理事長であり環の父である須王譲はハルヒを指名.鏡夜の父は私に恥をかかせるつもりかと息子の頬を叩く.そして,見慣れぬ令嬢を連れてきた環の祖母は,令嬢を学祭期間中エスコートするように環に命じ,環はそれを微笑んで受け入れた.

原作のポテンシャルを十二分に生かした素晴らしい映像と演出で,ここまで愉快なダンスを踊ってきた「ホスト部」もついにフィナーレへ! 物語をきっちりと閉じるため,最後はらしくないシリアスな雰囲気で彼らの現在を描きます.2年前にフランスからやってきた環のくだらない思いつきをそのくだらなさに惚れこんだ鏡夜が補佐し,これと見込んだ4人の仲間をさらに集めて誕生したホスト部.愉快な日々を1年ほど続けたところで入学してきたのが特待生のハルヒさん.少年に見えて実は少女であった彼女は割った壷の代金を支払うためにホスト部で男と偽って働くことになり,常識はずれで不本意な部活動の中で彼女は仲間たちの様々な顔を知っていき…そして現在.
本来は勉学に励まねばならないハルヒさんは,成り行きで嫌々ながらもこの部で活動することになったわけですが,やたらと良い彼女の目に映った同級生や先輩たちの姿は…問題は多々あるものの(笑)決して悪くはなくて,一見不可思議に見える行動の中にも稀にまともな理由が混ざっていることを知ったところではじまるのが,2話連続の最後のエピソード.過去にそれぞれイメージやら扉やら枠やらを意図して越えて集ったホスト部の中では,入部理由が成り行きなハルヒさんは異質.そんな彼女が等質であるかどうかを確認するのが,このエピソードの最終的な目的となります.

前半.歴史ある桜蘭の学校祭は実に豪勢.普段から十二分に常識離れしているこの学校ですが,祭りとなればレベルが違う.しかも金持ち学校ゆえに,業者使いまくって企画をやるあたりが凄まじい.そこに使われる金については…やっぱし各自で持ち出している上に,上限も存在しないんだろうなぁ(苦笑).将来のリーダー候補であるからこそ,学祭くらいは手作りで下っ端で努力で忍耐で協力で感動で…という普通の奴を体験させてやればいいのに(笑).
学内のみならずその父兄にまで,生徒たちの実力をアピールする場であるこの学祭.ホスト部の企画は公開営業とスペシャルパレードなので,素敵な馬車に乗って光や殿たちが麗しくご登場.…御者の練習している光と,業者に指示を与えて場をさばく馨.「双子だって趣味や特技は違ってくるさ!」とあっさり差異を表明するあたりが成長の証.そっくりであることが最大の個性でであった2人ですが,もはやそれに頼る必要もなくなってきているみたいですね.
明日は中世フランス風に着飾ってパレード.しかもハルヒには度派手な衣装も用意してあるとというお祭り騒ぎ! そのはじまりには,「学院の歴史に残る,桜蘭祭にするぞ!」といつも以上に無駄な気合を込めている環.その笑顔には一点の曇りもなく,ハルヒさんもつい同意してしまうほどに輝かしい.…オープニングセレモニーのダンスには過去のゲストたちが次々登場.ホスト部に関わって幸せになった人々の姿があちこちに.笠野田君もすっかり人気者になってんなぁ(笑).おもてなしによってこれだけの人達が幸せな時間を手にいれたってことは,ホスト部ってのはやっぱりいい部活なんだよな.
そんなホスト部が中央塔サロンに出張する一般公開営業.普段でも正気で考えれば相当恥ずかしい部活ですが,会期中は父兄や来賓の皆様方にまでさらすってんだから実に豪気.こんなときには正気に戻ったら負けなので(笑)いつも以上に華やかに,咲き誇るように接客! これまでに蓄積した接客ノウハウを惜しみなく投入し,全力でおもてなしいたします!
今回は普段の常連の保護者の皆様が主要な客となるわけですが,その中には部活が部活だけに眉をひそめる,至って正常な判断能力の方もいらっしゃるわけですがしかし!あらゆる意味で恥知らずである環にとっては彼女もお客様以外の何者でもない.「この部の本当の目的は,マダムのような美しい花とひと時を過ごしたいという,僕のわがままでしかないのですから」と素晴らしいマダムキラーぶりで見事に倒す! 天性の魅力にひたすらに磨きをかけた彼の接客には死角はないようです.
もちろん他の部員たちもその才能を如何なく発揮.ハニー先輩とモリ先輩のほのぼのセットは誤解混じりながらも(笑)見事に機能.性悪な本性を上手に隠す双子の薄幸演技ぶりも堂に入ったもの.そして社交的教養とか日々幅広く研究とか,いけしゃあしゃあと耳障りのいい大嘘をつく鏡夜の度胸,あるいは自己暗示ぶりも実に見事で.一同の全開ぶりにすっかりハルヒも呆れてしまいます.
露出の多いこの機会だからこそ,ホスト部の魅力をアピールするのだと張り切る環.しかし「今回は予算をかけすぎた」と珍しく鏡夜が音を上げてみせました.なんせパレードのためだけにフランスのクラシック馬車を空輸させやがりましたからね! そのわがままぶりはあの鏡夜すら困らせるレベルだってのに,「このホストキングのわがままこそ!皆を幸せにするわがままなのだ!」と自由すぎる環は反省の色なし! …そんなバカを,青い目に赤いドレスの女性がじっと睨んでいます.彼女はハルヒさんを見て電球をつけてみたり,なんだか怪しげ.
客足は途切れることなくついには大物たちが続々登場! まずは環の「お父さん!」,桜蘭の理事長である須王譲.冷静で貫禄のあるナイスミドルは息子そっちのけで鏡夜とにこやかに会話.さっくり無視されちゃてる息子が哀れだ(笑).しかも父の指名ときたら環の大事なハルヒさん! …そんな様子を,未だ例の彼女がじーっと見ています.
てなわけで,やたらにきらきらした理事長につくことになったハルヒさん.貫禄や落ち着きがあっていかにも軽い環とはあまり似ていない…ように一瞬見えますが,「私のことは…そう,お・じ・さ・ま,と,呼んでくれたまえっ」とちょっと喋れば「やっぱり環先輩のお父さんだ」とハルヒさんもすっかり納得.しかもハルヒさんのことを気にかけていたようで,いつでも遠慮なく言いなさいと異様に親しげで積極的なところもそっくり.そんな自分の父とハルヒさんを取り合う環.須王家の父子の仲は悪くないようですが….
突如響く頬を張る音.こんなところで,鏡夜が彼の父親に叩かれている! 「こんなふざけた部活動をやってたのか」「私に恥をかかせるつもりか!」と鏡夜の父が怒るのは…まあ,もっともなことですが(苦笑)公共の面前で家の事情を曝すだなんて,計算高い奴がやることじゃないですね.出来のいい子を4人も持ちながらもなお厳しい鏡夜の父に,あんたはやっぱり欲が深いよと環の父.そして…「マスコミが騒ぐのも時間の問題でしょうが…まさか八つ当たりではないでしょうな?」と大変に気がかりな話をしております.
父同士の丁々発止の横ではホスト部の仲間がやられた鏡夜を心配.眼鏡をかけた人を殴るなんて!とハニー先輩が微妙な観点から怒っております(笑).鏡夜が殴られたのがホスト部をやっているせいだと聞いて,まったく気づいていなかったらしく本気で驚く環と「予想はしていたことだ」とのみ答える鏡夜.どうやらアホの環はホスト部への入部は幸せしかもたらさないと信じ込んでいて,負の側面にはまったく気づいていなかった御様子です.
自分たちとお客様が楽しむための部活なのに,それで苦しむ人もいるのだと今更気づいた環.父も「わがままは高くつくものだ」とアホの息子に被せてお説教.責任ある立場と自由な行動は二律背反.どちらかしか選べない辛さは,立場ゆえに愛する者と別れることになった父は人よりもよく理解している.そして同じように責任ある立場を要求される環だって,同じ道を辿るかもしれなくて…「これからお前はどうしたい?」.人には,絶対に欲しくて手放せないものがある.須王の家の代償としてそれを差し出さねばならないとしたら….
贅を尽くしわがままを通すも,これまでその代償を支払ってこなかった幸せな王子様.しかし略奪者の登場で,本作を本作たらしめる華やかな明るさが消えていきます.やってきたのは環の祖母.環は無邪気に喜んでますが,環と彼の母と祖母の関係を知っている仲間たちからすると,彼女は環を傷つけた憎むべき存在.自分たちを枠の中から救ってくれた恩人であり仲間に対して,「…汚らわしい」と吐き捨てるような奴を許せるわけもない.
そんな祖母が環に命じるのは,さっきからオペラグラスでこちらをじっと観察していたエクレール嬢のエスコート.しかも学祭の期間中,部活そっちのけでやれってんだからひどい話で…けれどそんな無茶な要求に対しても環は微笑み,「彼女に喜んでいただけるよう,全力を尽くします」と答えてしまう.誰のどんな要求にも応えて,他を幸せにするのがホスト王ですが…彼自身の幸せは一体どこに.

後半.エクレール嬢のエスコートに専念し,部活を放り出すことになってしまった環.彼女の正体についてはフランスにいたれんげさんがよく知っておりました.エクレール・トネール嬢は名家トネール家の三女.現在日本市場を侵略中のグラントネールのオーナー家の令嬢ということで,環とは家柄的には似合いの相手.…ただし随分と高飛車な上にわがままで,あの環が考えたもてなしにも手厳しい評価しか返さず,学生の作品などお気に召さない彼女が求めたのはなぜか「環のピアノが聞きたいな」.
いきなりの乱入者に部の中心を持って行かれてしまい,さすがのハルヒも彼の様子が気になっていたところ,第3音楽室で偶然三者が再び接近することに.環がエクレール嬢にピアノを弾くのを,たまたま準備室で聞くことなったハルヒさん.聞く者を魅了する彼のピアノは美しく,なぜかエクレール嬢の脳裏には,自分ともう一人の女性の姿が浮かびます.…眼鏡以上にオペラグラスは遠くを見通すもの.それを持つエクレールは実に勘がいいようで,扉の影に誰かがいて聞いていることすら,鋭敏に気づいているようです.
環の作ったホスト部は,家族同然に仲がいい.…環自身は知りませんが,環を守ろうとする部員達の結束に関しては家族の域を超えてしまっているかもしれないほどに.しかしエクレール嬢は,家族でもないのに家族ごっことままごと呼ばわり.その上,環のわがままで皆辛い思いをしているんじゃないの?と,夢を壊すほどにキツい着つけ薬をかまします.
確かに鏡夜はさっき彼の父に殴られていた.これまで環は皆の幸せにするためにわがままを通して突進してきたけれど,もしかしたら皆はわがままの裏でいろんなものを犠牲にしているのかもと,今更気づかなくていいことに気づいてしまうのです.確かに環がハルヒさんの勉強時間を奪っているのは本当.…けれど,その代償にハルヒさんが得たものの大きさまでは,単純バカゆえに推測することができないのです.
環の夢を壊そうとするエクレール嬢の言葉に対し,理由はわからないものの腹を立てたハルヒさんが準備室から登場.そしてサロンをほったらかしてみんな怒ってますよと不機嫌に報告.…ここで自分が部活を放り出していることに今更気づく環が情けない(笑).環をままごとの夢の世界へとぶっきらぼうに引き戻そうとするハルヒの言葉に「焼きもちを焼いてるみたい」とエクレール嬢が言ったなら,まさか環が大喜びするとは(笑).そりゃこんだけバレバレならば,二人の関係に気づくのが普通です.
「違いますよ」とざっくり否定し,お邪魔して申し訳ありませんでした!と立ち去るハルヒ.環の大好きな夢の娘が立ち去ろうとするのを止めるエクレール.現実の中のエクレールには豆狸でも,夢の中の環には大事な娘.もちろん夢は幻で,醒めた現実から見れば「代用品」.夢の中で娘を追いかけようとする王に向かって,「環が一番欲しいものを,私はあげることができる」と現実が迫ります.
その頃,お色直しはしたものの,どうしても憂いが残ってしまうハルヒ.焼きもちっぽいと仲間にも言われて「だから違いますって!」とずばっと否定してるのがおかしい.けれど今日の環に一番腹を立てているのは他ならぬハルヒさんなので焼きもち扱いされるのは仕方ないところ.なんせ仲間たちはハルヒよりも環の事情をよく知っていて,どうしても怒りよりも心配や同情の方が先に立ってしまうのです.
今回の件の元凶は突然の環の祖母の命令.なぜ環があのように祖母に冷たく当たられているのか,ハルヒは未だその理由を知りません.けれどそこが分からなければこの件の正しい構図が理解できず,バカだけど決して悪くない…どころかむしろ凄い環に同情することもできないので,「要するに殿ってお妾さんの子なのよ」と仲間が暴露をはじめます.

二十数年前,須王家の先代は若くして他界.環の父が政略結婚の上で後を継ぐ.しかしその数年後,環の父はフランスで恋に落ちて環が生まれた.…熱狂の恋の結果として生まれたから,あんな珍妙な性格になってしまったんだろうか.もちろん祖母は不倫の恋など大反対で,父子は日本とフランスに分かたれて14年.環自身は病弱な母の傍でそれなりに幸せな少年時代を過ごしたと言うけれど,父はなく,母が心配で友達と自由に遊べない状況はどの程度の幸せなんだろう.…それでも自分を愛してくれる家族との暮らせる分だけ,今よりはまだマシだったのかもしれません.
やがて母の実家は事業の失敗で負債を抱え,それを機として須王の血をひく環を祖母が奪いに来ました.…不自由ない暮らしと引き換えに息子をよこせという横暴極まりない交換条件を受け入れるしかないほどに母は病弱.環は母のために日本にやってきて,その後,母は行方不明.…これは既に母を失っているハルヒまでへこませるほどに悲しい話.会えない辛さはよくわかるし,だからこそ今のあの明るさに驚きもする.そしてそこまでした相手を歓待し従う彼は本当に凄いと,今更ながらに気づくのです.
現実の家族を失い続けた環は,鏡夜と出会った後にこの学校で夢の家族を作りました.そしてその素っ頓狂な夢にここまで救われてきた仲間たちは,「全てを受け入れた上で,あいつは今ここにいるんだ」と,彼の苦く深い過去も含めて環のことを認めていたわけですが….
夢のサロンの扉を現実が開きます.エクレール嬢とともに突如登場した夢の中心は…「俺はこのエクレール・トネール嬢と婚約することにした」といきなりの宣言! さらに「ホスト部はこの桜蘭祭が終わり次第,解散する」…それはここまで仲間たちを救ってきた長い夜の夢を壊す鶏声.きらびやかな闇をつまらない現実に戻す無粋な光.それをもたらしたエクレール嬢は,一体何を言ったのか.そして本当に大切なものを奪われそうな一同は,果たして取り戻すことはできるのか.ぐっと押し込まれた物語がやがて大きく反発して飛ぶ,次回,最終回に続きます!

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