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デジモンセイバーズ#24

「正義の足跡,悪の足跡の巻」

マサルとメルクリモンのタイマンに割って入ったイクト.デジタルワールドでデジモンとして育ち人間界で現実を知った彼は,全ての人間が悪ではなく,人とデジモンには戦う必要がないことに気づいた.しかし人間の中にも確かに悪が存在する.マサルたちに同行してきた倉田こそがその権化.彼が人間とデジモンの諍いのきっかけであり,さらにデジモン大虐殺の首謀者でもあったのだ.
10年前,6人目の倉田は恐怖に駆られてデジモンに引き金を引き,2つの種族が敵対するきっかけを作った.探検隊は厳しい逃避行の末,5人が倉田の時空振動爆弾で人間界へと帰還.けれどマサルの父,大門博士だけは仲間を守るために最後まで素手でデジモンに立ち向かい,メルクリモンと拳で語り合った末についに対話することに成功していた.

延々引っ張った10年前の真実がついに明らかになることで,ようやくこの世界の根幹の端が見えてくる「セイバーズ」! 当事者たちの語る10年前の出来事から,本当に凄い先駆者の姿と,同情しようのない悪の姿がくっきりと浮かび上がります.今回は延々回想する回なんですが,判明する事実がどれも凄いことや知りたかったことばかりなのでダレた感じは一切なし! これはここまで伏線を積み上げてきた脚本の勝利ですね.
登場人物やターゲット層とは別に,作品自体がなんとなく男性的,あるいは女性的な雰囲気を醸す場合があるんですが,これまでの個人的な経験からすると「どんな言い訳のしようもない悪が存在する」と男性的な雰囲気が,逆に「どんな悪にも同情するべき部分がある」と女性的な雰囲気が漂う感じ.そして本作は…これまでは割と女性っぽく見えてたんですが,急激に男っぽくなってきた! キッズアニメで主役が人間を殴るのは色々難しそうではありますが,頼む,あいつだけは退場前に絶対に殴ってくれ!

マサルとメルクリモンの拳の対話がはじまる直前に登場して思い切り水を差したのがイクト.人間界で多くの人間や肉親に会い,自分が本当は「人間だったんだな!」と叫ぶように尋ねると,「そうだ.お前は人間」とメルクリモンも返答.…喧嘩をそっちのけにしていきなり情報交換がはじまってしまいます.特にゴツモンがメルクリモンの意に反して暴走していたのが明らかになったのは,保護者に憎まれ,許してもらえないと思っていたイクトにとってはかなりうれしいことのはずです.
他の多数のデジモンたちと同様に人間が大嫌いだったイクト.けれどここしばらくの怒涛の展開と,マサルたちとの接触が彼の心を変えました.「人間,悪い奴ばかりじゃないって!」 …当初は自分が大嫌いな人間だと認めることを拒否しまくっていたものの,人間にもいろいろいると学んだために言えるようになった言葉です.そんでもってこの結論に至るには,いい奴であるマサルたちだけでなく,いかにも悪い奴である羽柴長官たちとの接触も役立っているような気がするな(笑).
イクト自身は大嫌いな人間だったけれど,それでもデジモンであるファルコモンと友達になれた.もちろんDATSには似たり寄ったりの連中がいて,自分たちだけが特別ってわけでもないらしい.いい奴ならば種を越えて友達になれることは身をもって知ったから,「人間とデジモン,戦う必要なんてないんじゃないのか!」…とても良い結論に達したっていうのに,それを笑う奴がここにいる!
「友達ですって? 冗談も休み休み言ってください!」と倉田.デジモンは人間に害を及ぼすデンジャラスな生物と大雑把にくくってレッテルを貼り,銃口を向ける彼をメルクリモンは知っている! 連れてきたマサルを見損なうほど最悪の存在で全ての元凶.「その男こそ,我らの仲間を,ユキダルモンたちを殺した張本人!」
…10年前.実験中の事故によってデジタルワールドへと流されたイクトを最初に見つけたユキダルモン.門の向こうで呼ぶ声から「イクト」という名を知り,ひとりきりでは生きていけなかった彼を育ててくれました.やがてゴツモンとメルクリモンが彼女の元に来訪してイクトの引渡しを求めるわけですが,災いの芽であるはずの人間の引渡しをユキダルモンはあっさり拒否した上に,「イクトはあたしが育てる!」と宣言.…ひたすら優しいのかと思ったら,割と快活で姉御肌なタイプだったのか.
オリンポス十二神将とかいう偉いのを前にしてもまったく退かないユキダルモン.メルクリモンは人間の母親がそうやって子どもを守ると知っていて,ユキダルモンも「ハハオヤ…いい響きだねぇ.決めた! 今日からあたしはイクトのハハオヤになる!」と,さばさばと心を決めた上にそのように育て,そして…今ここにいる倉田がふたりの絆を打ち砕いた.しかもこの男は,そんな凶行に及びながらも被害者面をしてみせるのです.
きっかけは10年前のデジタルワールド探検隊.彼らが例の流されものの岬にいた頃は,まだ人間とデジモンの間には何の憎しみも存在しませんでした.…この回想でようやくはっきりと顔を出すのが,超生物博士の大門スグル博士.あのマサルの父ということでいろんな意味で凄い人であろうと予測されていた彼ですが…いやぁ,本当に凄かった(笑)!
どうやら好きが嵩じて極めてしまったタイプの大門博士.見たことのないものに囲まれて,大変にうれしげに写真を撮影しまくるのを「真面目にやってください」と薩摩刑事に注意されております(苦笑).…薩摩刑事も湯島警部補も,警視庁や中央の警察庁ではなく神奈川県警の所属だったんですね.けれどそんな楽しい時間を壊したのが倉田.彼がデジモンに向かって発砲したことをきっかけに,何もかもが悪い方へと転がっていったのです.
自身の恐れる心に感応したデジモンに襲われそうになった倉田.大門博士がデジモンをぶん投げてくれて双方無事であったわけですが,「どうして撃った!」と博士が助手を叱責してももう遅い.一度はじまった敵意はドミノ倒しに拡散し…でも,一見バラバラに生きているデジモンたちの間で,どうやってたった1つの敵意があれほど伝染したんだろう?
拡散の理由はともかくデジモンの敵になってしまった人間達は,追い詰められる地獄の日々の末に無限氷壁へと到着.ここでサーベルレオモンに追い詰められたその時,倉田が強制的にデジタルゲートを開ける危険な時空振動爆弾なんか取り出しやがる.確かに非力な隊員達の命を繋いだのはあのゲートであったかもしれないけれど,両方の世界に悪影響を与える可能性を無視する助手はあまりにも自分勝手すぎるわけで.
怖さで攻撃し怖さから逃げ出した倉田.そんな弱虫に比べ「あの男は逃げなかった…最後まで,私と真っ向からぶつかりあったのだ」とメルクリモンが誉めるのは,もちろん唯一残った大門博士.彼はマサルと同じくデジソウルを拳に宿して自分より遥かにでかいデジモンをぶん殴っていた! …さすがはマサルの父.博士の癖に滅茶苦茶だ(苦笑)! 自分の仲間を守るためにその拳を振るった父曰く,「男は何かを守ろうとするとき! 底力って奴を発揮することができる!」…でも,実際に殴り倒すとこまでいくと底力のレベルを大幅に凌駕しているぞ(笑).
「お前に戦う理由があるように! 俺にも守るべき仲間がいるんだよ!」と大変に男らしく自分の仲間を守った大門博士.彼が己の拳のみでメルクリモンとまで殴りあいをしたのだと聞き,「俺の父さん,メルクリモンと拳で語り合ったんだとよう!」とマサルは大喜び! …以前サユリさんがあの人の息子だから仕方ないとマサルを諦めた理由も今ならひどくよくわかる(苦笑).常識的な仲間からすれば大門博士の業績は「いろんな意味で凄すぎる」.息子の無鉄砲ぶりと同様に,到底ついていけるレベルではないのです.
究極体に素手で挑もうとするくらいに大門博士の心は強くて,実際の戦いでも一切心が折れることはなく,やがてその鉄拳はメルクリモンの心の扉を開きます.なぜデジタルワールドに足を踏み入れたのかを問われた博士の返答は,「そこに見知らぬ風が吹いているからだ!」…未知の探求に命を惜しまない彼は悪びれもせず真っ直ぐに,「知らないものは知りたい! 見たいものは見たい! それが男の本能,自然の欲求だ!」.ここまで聞いただけでは己の欲望のために荒らしに来たようにしか聞こえないわけですが,それについては「そんなつもりはない!」と完全否定.彼はデジタルワールドやデジモンのことを,十分に尊重していたのです.

殴り合って通じ合い,ようやく言葉による意志疎通が可能になったメルクリモンと大門博士.さっきの男の本能の件もありますが,この世界には野口博士たちの子どもを探しにきたのだと語ります.イクトらしき者がいると教えてもらって喜び,「子どもはいいぞ.真っ直ぐな瞳をしている.生きる道を教えているつもりが,逆に教えられるときもしょっちゅうだ!」とマサルやチカについて語る様が実に楽しそう.…この博士,条件なしに生き物なら何でも大好きそうだなぁ.
腕っ節も心持ちも人間離れしたこの人間に,メルクリモンはイグドラシルに会うことを勧めます.名前からするとデジモンっぽくない「デジタルワールドを束ねる神とも言える存在」ってのは,群体としてのデジモンの意志決定機関に当たるんだろうか.人間とデジモンの調和をはかるにはその神の承認が必須らしいけど,その存在はどこにもいるが,どこにもいない….
感じられるけれど姿を見ることはできないというユグドラシル.しかし2つの世界の平和を考えれば,人間である大門博士はぜひとも会いに行き,話を通さねばなりません.自分たちについて語り合い,すっかり意気投合したメルクリモンにゲートの管理を任せて博士は旅立ちます.「つくろう! デジモンと人間がともに暮らせる世界を!」
仲間の子どもを捜しに異世界に赴き,偉い奴と素手で戦った末に見込まれて神のようなものに会いにいく.それがこの世界での大門博士の足取りで,そりゃ行方不明になっても仕方ない程度に壮絶.マサルもいい主役だとは思いますが,父は完璧なヒーローです.で,ヒーローは人目のないところで死んだりはしないので,無慈悲な倉田の言葉に心を揺らしたりしなくても大丈夫だぞマサル(苦笑).
大門博士はどこかで必ず生きている.その証こそがデジタルワールドから届けられたデジヴァイスの設計書であり,クダモンとカメモンに託されたメッセージであり,そして博士のデジモンを保護する組織を作ってほしいという意志に従い設立されたDATSそのもの! やがてそこに彼の息子である大門マサルが加わって,人間界の時間は過ぎてきたわけです.
大門博士の滅茶苦茶で偉大な足跡によって保たれてきた,人間界とデジタルワールドの均衡.不幸にも人間界に迷い込んだデジモンたちはDATSによってデジタマという形で送り返され続け,デジモンたちが人間に余計な敵意を抱くこともなく過ぎた日々…しかし倉田は,そんな貴重な平穏をまたもぶち壊しやがりました!
突如デジモン軍団を人間界から強制的に送り返した時のように巨大なゲートを開き,デジタルワールドへと侵攻しやがった倉田.「It's Show Time!」と自意識過剰な侵略者は,デジモンたちを無差別に焼いて殺した.この大虐殺にイクトたちが巻き込まれ,人間を憎むことになったのは皆様ご存じの通り.倉田の最高傑作であったギズモンによって,デジモンたちはデジタマになることもできずに消去され,そして…ユキダルモンはイクトを守るために犠牲になって消えたのだ.
同じ人間であることが恥ずかしいくらいに最悪の倉田.彼の師匠であった大門博士がデジモンに同じ生物としての敬意を十二分に払っていたのに対し,倉田にとってはデジモンはただの怪物に過ぎない.相互理解と調和の可能性を完全に無視して,凶暴な怪物どもを人間界のために根絶やしにしようとするなんて! …対象に対する愛の欠片もないなんて,研究者としてもオタクとしても失格としか言いようがない!
倉田の侵攻はメルクリモンの逆襲で退けられたものの,デジタルワールドには癒しようのない傷が残ってしまいました.存在の完全なる消去によって多くの命と可能性が潰されて…そんな中でもイクトに対して,けして人間を憎んじゃいけないと言い残したユキダルモンは,これから険しい道を進むことになる自分の息子に対して,どれほど多くの言葉を残してやりたかったことだろう.
彼自身は何も悪くないのに,育ての母を失った上に災厄を運んだ疫病神扱いをされたイクト.そんなイクトをただひとりはっきりと庇ってくれたのもメルクリモン.失われたユキダルモンの命や意志を継いで「この森で生きろ.デジタルワールドの戦士として!」と命じ,その言葉にイクトも従いデジタルワールドの時は流れて.…もしメルクリモンが大門博士に出会うことなく,悪でない人間を知らなかったとしたら,イクトの命はあの段階で断たれていたんじゃなかろうか.

当事者たちによって語られた過去の真実は,メルクリモンやイクトだけでなくマサルたちまでも怒らせます.ここにいるのは偏見に満ちた目で対等であるべき存在を無条件に憎んで虐殺し,人の育ての母を殺した大罪人.その罪の重さはデジモンでなくたって,まともな心を持つ存在ならば理解ができる! 「最低だ貴様! 人間の風上にも置けない,最低の男だ!」
ついに悪としての本性を現した倉田.邪魔なDATSの連中をメルクリモンと相討ちさせて片づけるつもりであった彼は,「がっかりです…」とギズモン:ATでふい撃ち! サーベルレオモンを消したあのビームを撃たれて苦しむメルクリモン! …その狭量,その偏見,その行動の悪は許せるものじゃない.「兄貴,俺,こんなに腹が立ったのははじめてだ!」とアグモン,「てめえだけは,絶対に許せねえ!」とマサル! もしこの状況を大門博士が見ていたとしたら,きっと息子と同じように怒ったに違いない! …そして,イクトを更なる悲しみが襲う怒涛の次回に続きます!

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