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機動警察パトレイバー#28

「反則だらけの黒いライバルの巻」

休日に一緒に映画を見に出掛けた野明と遊馬.映画の後に行ったゲームセンターには,レイバー隊を題材にしたゲームが置かれていた.現役の隊員として早速それに挑む2人だが,ゲーム機は勝手が違ってちっとも歯が立たない.そんな時に横から出てきた黒の騎士と名乗る謎のサラリーマンは,目の前で軽く全面をクリア.さらに彼の連れらしい関西弁の外国人少年も完全クリアして野明の敵を討ってくれる.野明も遊馬もまだ知らないけれど,ゲームがやたらと上手いこの2人は,これまで第2小隊に髑髏レイバーをけしかけてきた黒崎の仲間なのだ.

これまでの2クールではちょっとしたアクセントに過ぎなかった伏線を本格起動し,ついにシリーズ最長のエピソードを開始する「パトレイバー」! 当時既にコミック版で展開していたエピソードをTVアニメ版の物語の中にそのまま填め込むってのは,実はなかなか挑戦的.
放映当時,メディアミックスの代表であった本作は,やや異なる複数の物語を同時に展開していました.おおよそ初期OVAから劇場(小説),TVアニメから後期OVA,コミックと大別されるわけですが,これらの微妙に違う世界はメディアを越えて合流したり,さらにそこから別の流れに分岐したり,あるいは別の流れのエピソードをネタ元にした強化エピソードを展開したり…と複雑に絡み合い影響しあっています.これは複数のメディアを横断して楽しむ視聴者にとっては時折絡み合うパラレルワールドを見るようなもので,ゆえにこのエピソードについても,通常の原作つきアニメとはやや異なるものであることは気に止めておかねばなりません.
今後この大エピソードを展開していく上で基準となる今回は,脚本に伊藤氏絵コンテに滝沢氏演出に元永氏と強目の布陣.バド役は声変わり前の合野琢真,内海役はもちろん鈴置洋孝! 作画監督の高木氏は原作に近い絵でおなじみ.原画には磯野氏の名も見えますね.

前半.前回の途中で約束された通り,ある晴れた休日に野明は遊馬と映画に出掛けることに.それなりの格好で野明が待ちぼうけしていたら,ナンパが来るわ宗教が来るわと意外にモテてます(笑).それを警察手帳で追い払ったり頑張っているところで「よ! 待った?」と能天気な遊馬がようやく到着.…小さく廉価な携帯電話のないこの世界では,待ち合わせもいろいろ大変です.
遅れてきた遊馬に野明はご立腹.10分前に来て10分遅れられて待った20分.待たされた不快を半分しか引き受けようとしない遊馬は,女心がわからない…というよりは,女性扱いしていないんだな(笑).なんせ「世の中には物好きが多いんだからね!」と自分で言うあたり,野明自身すら自分を女性扱いしてないからなぁ.ここで不機嫌な相棒のためにお茶を奢るはずが,「チョコパフェで手を打とう」と値上げされてしまう軽妙なやりとりはいかにもゆうきまさみな感じ.
映画の後はお約束の喫茶店.早々にパフェも食い終わり…「あたしたち何やってんだろーね?」とやっぱり不本意そうな野明.休日になんでここで映画のパンフを真剣に読まなきゃならないのか.ここで遊馬が夕食までろくにスケジュールを準備していなかったのが露呈するわけですが,あの遊馬にそこまでの期待をする方が間違いかも.しかも休日をより有意義に使うために向かったのがゲームセンターって,高校生ですか(苦笑)?
とはいえ行けば面白いもんで,体感ゲームの「パトレイバー」を発見しちゃって乗り込むことに.本職としてのプライドだけを抱えて説明書きも読まずにはじめてしまうもんだから,すぐに敵が来襲しても実機とはまったく違う仕様にひたすら戸惑うばかり.遊馬がバックスよろしく後ろから必死で指示を浴びせるも無駄.…ゲームセンターで「搭乗員は指揮担当者の指示に従うべし!」とか叫ぶのは,濃いマニアに見えてすげえ格好悪いなぁ(苦笑).
結局あっさりやられちゃった野明.そしてやっぱりやられた遊馬(笑).乗る前には腕の問題とか偉そうなことを言った癖に,やられたら「結構難しいのな,これ」とあっさり敗北宣言する情けなさ….そして,本職の癖に実に情けない1号機担当の2人の前に,本作を代表する2人目のいんちきおじさんが登場します.
ふがいない2人の前にやってきた笑った顔が張り付いたような顔のおっさん.「あなた」「どなた?」とここが出番と自負するおっさんに尋ねたならば,「黒の騎士とでも呼んでもらおうか」と恥ずかしげもなく宣言.この不思議な男は自信満々で乗り込んだ上,そりゃもう見事な腕前をいきなり披露するのです.
ギャラリー背負ってもあの笑顔のままで,次々に面をクリアしていく謎のおっさん.ついには最後の1機にまで到達し,それもきちんと片付けてエンディングが流れます.モニタの中には現実では縁遠い警視総監賞が表示され,2位とダブルスコア近い差をつけた彼は己の名「UTSUMI」をを入力.…悪くて軽い稀代の悪役,内海の登場です.
目の前でスーパープレイを見せられて,その上「本職のレイバー乗りでもない限り,相当手こずると思うよ」なんて憎たらしいことを言われたら野明の競争心はかっかと燃え上がり!…ただしプロの面子を見せつける割には「2面はクリアーしたいね!」なのでプライドの高さは相当低い(笑).実際野明の操縦能力は,太田と比べても勝っているのは効率の良さくらい.そしてそんな動きは日々の鍛練でしか培えないから,一発勝負に近いゲームセンターでは真価は披露できそうにないんだな.
軽い面子で戦場に戻った野明を見送って遊馬は内海と会話.あのゲームについては「よくできてると思います…ただ…」特車二課の一員としてはあんだけレイバーがぞろぞろ出て来て戦うってのは微妙という判断.レイバーはそもそもクレーンとかの建機の仲間なんだから,それをロボットアニメのように戦闘させるのはどうだろうって気持ちはわかる.…虫同士でバトルさせるゲームが流行ったりするので現実はさらに斜め上ですが(笑).
今は建機でも将来的にはどうだろうね?と含みのある内海のところに,浅黒い肌の長髪の少年が登場.関西弁の彼はやたらと「パトレイバー」がやりたいらしく,けれど内海は立派なおもちゃが準備してあるってことでやらせたくない.…これから特車二課を長く苦しめることになるあの仇敵を「おもちゃ」扱いしているあたりが怖い.しかも内海にとってのおもちゃは,実際は中身もひっくるめてだからなぁ.
結局少年のわがままで,1回だけゲームをやらせることになった内海.案の定負けて出てきた野明に「ボクと交代や!」と少年.難しいゲームなのに「敵討ったるわ!」と軽いノリで引き受けて,言葉の通りに本職でも手こずるゲームを軽く片づけてしまう! 順応性や反射神経や操縦・格闘センスに関して,少年は天才だったのです.
…ってな出来事を二課の風呂で太田に披露する遊馬.目の前で凄いプレイぶりを見せられた遊馬は相当驚いたようで,たかがゲームと舐めている太田が大変に不快.ゆえに湯船から出るところで太田の足を取って転がしてしまう…本当に,いい年をして一体何をやっているのか(笑).その風呂場サービスはたぶん誰も喜ばないぞ?
夜の某社.その1室には内海と少年と,さらに東京テレポートや大島の事件の裏で糸を引いていた黒崎の姿.モニターに流れているのは第2小隊とファントムなどの激闘の記録….これまでの事件の犯人はこの企業.しかも新しいおもちゃまで準備してこの先も犯行を繰り返す気満々.それもゲーム気分で.レイバー戦の基本は格闘と反省し,次の機種には飛び道具は乗せずに第2小隊に挑むつもりの彼ら.これまでの敗北経験を全て踏まえて肥やしとして「…君に正しいケレンを見せてあげよう」.
このゲームの相手が今日ゲームセンターで出会った二人組だと気がついて,要するに警察に面が割れたってのにちょっとした失敗程度にしか考えてない内海.黒崎には自重してくださいと呆れられてますが「これは楽しい予感がするな」とまったく余裕.…けれど後に,この慢心が彼らを内外から追い詰めていくことに繋がっていきます.

後半.警察の一組織でありそれほど金もない特車二課.彼らの最大の利点は様々な現場や訓練で積んできた経験と,日時の運用を支えてくれる有能な整備班の存在.本日は実機を使って模擬戦をやっている野明と太田.奥多摩で訓練した頃に比べると素晴らしい進歩で,これくらいの体裁きができるようになればあの時の香貫花とやってもいい勝負ができそうだ.特に絶好調の1号機を「それっぽい形になってきた」とおやっさんも控えめに絶賛.でも.いくらうれしくてももみじ饅頭音頭3番までは…(笑).
確かに実戦ではもっと行儀は悪いし,射撃に関しては太田が上.しかしこんな行儀のいい状態ですら勝てないような奴が条件のもっと悪い実戦で勝てるはずがないので(笑)熊耳さんは妥協なく「今日は居残り特訓しましょう!」と鬼の提案.香貫花に引き続いて尻に敷かれている太田.熊耳さんは香貫花と違って弱点の強化にも妥協がないから,太田にとっては本当にいい相棒だ….
それに対する某社某組織の最大の利点は異様に潤沢な資金.戦闘機10機分程度は問題なしとか採算度外視とか異様に景気が良く,1部門が赤字でも儲けは他の部門で出せばいいなんて,「シャフトはそれができるんだからさ」と言い切ってしまえるのも,こいつらが当時のバブル景気の権化だから.…潤沢な資金で集められた人材と資材で作られている新しい黒い化け物が,イングラムのスペックを遥かに越えてくるのは間違いない.さらに搭乗員となるバドの資質は野明を遥かに超え,唯一足りない経験だってファントムの蓄積や新たな事件で補うってんだから洒落にならない.…新しいおもちゃが形になるまであと1週間,そして最終チェックに2週間.彼らが動き出すのはもうすぐ.
さて,金はないけれど組織と正しい志のある特車二課では,野明がイングラムを磨いております.レイバーをとことん愛し知ろうとする彼女の性格もまた素晴らしい資質.時々そのレイバー愛が任務遂行の足を引っ張ったりもしますが,自分が乗っているものを愛し知ろうとするのは結構重要なことで,そんな熱心さはシゲさんや榊班長にまで認められてます.簡単な整備に関しても「仕事に差し支えない範囲で教えてやんな」とありがたいお許しを戴いたところで,いきなり出動命令が!
湾岸工区で発生した事件.テロリスト「海の家」の仕業ってことにはなってますが,機種がシャフトのサターンであるあたりで犯人の意図ははっきりしてるよな(笑).いきなり暴れられて折角の工事を台無しにされた担当者は怒るものの,警備用の最新鋭機に作業用レイバーが勝てるわけもない.…それを見守るシャフトの3人.ここでイングラムの格闘の様子を生で見るのが今晩のイベントです.
2号機は早速蜂の巣にしてやると飛び出し「往生せい!」と叫んで撃つも,反撃の一撃でひっくり返されてしまう.スペック的には互角の相手の真っ直ぐ挑んじゃそうなるのは当然.もうちょっと考えて挑まねば被害ばかりが増えるばかりなので,1号機の野明は横の鉄骨にワイヤーをひっかけた後で参戦! やっぱり1号機の方が動きはいいんだけれど,珍しくサターンの手を避けそこなって頭部のアンテナを壊されてしまいます.
ここで味方だけでなくシャフト側の内海たちまでやきもきしてるのがおかしいですが(笑)1号機には2号機にはない頭がある.足元に張ったワイヤーでスマートにサターンを倒し転がして! なぜか2号機がとどめを刺している(苦笑).…折角ここまで頑張ってお膳立てしたのになぁ….
長さに限度のあるワイヤーを有効に使うために,ぎりぎりをすり抜けた野明の度胸.それは無謀な自信なんかではなく,自分の操る機械に対する深い信頼があればこその行動.ついでにこれは機体を傷つけることを嫌がっていた野明が,逮捕のためには機体損傷を恐れなくなっていることも示しています.…結局サターンは煙幕を張って物証を残さずに逃走.常に先手を取れるシャフト側に対し必ず後手に回らねばならない警視庁.常に不利な戦いを強いられる第2小隊は難敵に対しどう挑んでいくことになるのか.

別日.シャフトの研究所を再び訪れた内海とバド.ついにお目見えする新しいおもちゃは,イングラム以上の性能を与えるために旧来の規格から完全に離れたモンスター.見るからに思い切り作り手が趣味に走った新型機…「シャフトエンタープライズジャパン,土浦研究所謹製,タイプJ-9,グリフォンです」.「パトレイバー」シリーズ中最強の悪役レイバーがついに起動し,ここから第2小隊との激闘がはじまる…のかと思ったら!特車二課はまったく別のものと戦うことに(苦笑).次回,本作どころか本シリーズを代表する,押井守の真骨頂に続きます!

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