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機動警察パトレイバー#34

「不利は当然,受け入れてなおの巻」

深夜,バビロンの城門の木更津側に上陸したグリフォンは,待ち受けるSSSのエイブラハムを瞬く間に退けた.人工島の川崎側に回っていた第2小隊が海路で木更津側に移動している間に,闘いを嗅ぎ付けたマスコミたちも現場へと集まり,唯一居残りとなっていた遊馬も榊とともに現場へと移動する.程なくライアットガンを装備した1号機とグリフォンの闘いがはじまるものの,野明はグリフォンの足元に報道陣の姿を見つけて銃を撃つことができない.その隙にグリフォンの目潰しを食らい敵の居所がわからなくなった野明は,咄嗟に手に持っていたものでフルスイングしてしまう.

本編最高のバトル編であるグリフォン編最高潮の「パトレイバー」.2回をかけて描かれるこれからの決戦は実に正しいロボットアニメで,当時のファンも,実際の最終回よりもこの2回の印象の方が強い奴も多いんじゃないかな.絵コンテ・演出は現在監督として活躍中の青木康直,作画監督は西村誠芳と気合たっぷり.原作のゆうきまさみのテイストがよく出たキャラたちが,白と黒のロボットバトルを中心に躍動します!

前半.現在のところ,シャフトジャパンの企画7課は警視庁の第2小隊と敵対し,さらに企画7課はシャフトジャパンに喧嘩を売り,シャフトジャパンは当然不祥事を警視庁に気取られたくない…という三つ巴.敵の敵は味方にならない状況ではありますが,とりあえず企画7課の内海さえいなければこんな面倒なことにはならなかったはず.さすがは希代の悪役です.
そんな3団体の闘いの舞台となるバビロンの城門には,敵味方だけでなく報道陣まで嗅ぎ付けちゃってトラブルの元に.気持ちはわかるが自分で自分の身が守れない奴は危険な場所に近づくな(苦笑).第2小隊は川崎人工島まで出向いたものの黒いレイバーが上陸したのは木更津側.一同…特に野明は相当の覚悟の上で,海路にて舞台を目指すことになります.
報道のヘリがリアルタイムで全国にお送りする,人工島に上陸したグリフォンの雄姿.黒い機体は投光器の光に映え,そのビジュアルでも実力でもSSSのエイブラハムどもなどまったく相手になりません.もちろんグリフォンが待っているのは第2小隊のイングラム1号機だけ.ルックスも実力も比肩する上に,それを倒したとなれば社会に与える影響もでかい! 非合法な挑戦者にとっては最高の獲物です.
運ばれてくるイングラムを待つグリフォンに襲いかかるエイブラハム2機.数が多くてもわざわざ練習してきても,正直相手になりやしない(笑).1機が陽動し背後の1機が本命の「ジェーット,ストリーム,アター…!」「やかましい!」とバドはネタを一喝(笑).そりゃバドにはわからないからな(苦笑).「練習したのに…」と悔しがる隊員たち.いくら噛ませ犬でも,本社からわざわざ送り込まれてきてそれでいいのか?
空に舞うへりから全国にお伝えされる噛ませ犬の惨状.カメラマンが即席のレポーターとなって報じる眼下の光景は,常識を超えた大事件を報じるニュースを見たときのようにフィクションのようで.映画のような光景に重なるカメラマンの軽やかな名調子.とても犯罪の現場には見えないような現実離れした光景に苛立つのは,やはり当事者たちだけではないかと思います.
報じられる光景を見て,自分に苛立っているのは2課に置いてきぼりにされた遊馬.テレビを消して仲間のために何かをしてやろうとしても,怪我をした今の自分にはできることがない.…結局このまま見ているしかないのか? 遊馬は苛立ちます.
このままではいられない遊馬は現場に出る南雲隊長に同行を志願.しかし遊馬は怪我人だし,黒い奴との格闘…いいようにやられた経験があるとしても,持ち場を離れて勝手に格闘したのが上層部で問題になっていて連れていけないわけですよ.…そんな大事なことが当事者に全然伝わってない第2小隊って,本当に規律がねえなぁ(苦笑).
なんとかして現場に行きたいけれど断られるばかりの遊馬をようやく救ってくれたのは整備班長の榊.「謹慎じゃなかったのか?」とか言われてる遊馬は,実際は上層部で問題になって謹慎になってるんだけど,それを伝えるべき後藤がちゃんと伝えてないんだろうな(笑).案外過保護なほどにパートナー思いの遊馬は,予備の電池を持っていく榊のヘリに同乗させてもらうことになります.…結局行ったって痛いだけなんだから,おとなしくしてればよかったのにな(苦笑).
当事者ばかりでなく自衛隊や一般市民も注目するテレビ中継にはついに主役が登場! 仰々しいライアットガンを装備した正義のイングラム.「これ以上の狼藉は,警察が許さないぞ! 騒乱罪器物破損! その他もろもろ全部まとめて,現行犯で逮捕する!」と凛々しい白の声に黒の中身であるバドは喜び,ついにシリーズを代表するバトルがはじまります.
星空の下,2体が見合い静かにはじまったメインイベント.臨時指揮官の香貫花は先手必勝なのでライアットガンを撃ちなさいと指示するけれど,野明は撃たない…下手したら土壇場でも撃たないかもしれないくらいに野明は武器が苦手です.後藤は撃てなきゃそれなりの工夫をするだろうと楽観的だけど,まさかそれがあんな惨事を引き起こすことになろうとは…(笑).
動かない第2小隊と企画7課の脇で,散々やられた末に現在無視されているのがSSS.しかし彼らもグリフォンを消し去るためにあらゆる手を尽くします.警察の目をそっちに引き付けるために倉庫を燃やすくらいはお手の物.混乱に乗じて現場に侵入した報道の車たちもちょうどいいと素通りさせて,たった1機残ったエイブラハムに何かやらせるつもりのようです.企画7課も含め,シャフトはどんだけ日本の法を犯せば気が済むのか(苦笑).
ついに仕掛けたグリフォン! 向かってくる黒い機体に野明はライアットガンの照準を合わせようとするけれど…足元にテレビ局の連中がいて撃てない! ピューリッツァ賞とか狙うのは勝手だけど,警察はあんなのが足下にいたら絶対撃てないってのに(苦笑)! …戸惑う1号機にグリフォンは閃光で目潰し.これまでファントムに散々やられてきた目くらましをモロに受けたモニターは焼きついて効かなくなり,仕方なく野明は手に握ったものを振り回してグリフォンを打つ…しっかり装填してあるライアットガンでフルスイング! そして当然発射!

後半! 弾がちゃんと込められたライアットガンをバットにしたら,そりゃ衝撃で弾が発射されるのは当たり前です.野明は暴発したと連呼し動揺しまくりですが,絶対弾が出るような状況を作ったんだから明らかに暴発じゃねえだろう(苦笑).「装弾したライアットガンでチャンバラはせんほうがいいぞ」と後藤は今更ながら助言し,「もうひまへんこりまひた」と野明は呆然.…完全武装させたかった後藤の親心はいい感じに裏目に出ております.
少なくとも一般市民がうろうろしている現状では,1号機はライアットガンが使えない.とんでもないアイテムも飛び道具として使わんのなら怖くない!とバドは判断して果敢に飛び込み,野明はそれを間一髪でかわす.グリフォンが一方的に押しまくるのをひたすらイングラムは耐えるしかなく,後退を続けていた野明はついに足元を滑らせる.そこに組みつかれてひっ転び,1号機は壁に叩きつけられて…その衝撃がクレーンに伝わる.
レイバーにとって重機はご先祖様のようなもの.そんなご先祖様の前で破壊ばかりのロボットバトルなんかしたバチが当たったのかもしれない.2機の上からクレーンの頭が迫り,1号機は間一髪で避けグリフォンに直撃! 偶然ながらもこれはグリフォンには大ダメージ.倒すことはできなかったけれど,流れはここから変わっていくのです.
さてその頃,さんぐりあ号からは内海と黒崎がSSSの隊服を着用の上で脱出.同僚のふりしてすれ違い,「暴力集団が」と吐き捨てながらも彼らの車を奪って有効活用した上に,SSSの制止も嫌いな暴力で振り切っていくんだから滅茶苦茶だ.…運転でも残飯漁りでもなんでもするさと笑顔の内海.でも言ってる事とやってることが全然違う奴らの言葉は信用ならねえ…(苦笑).
一度は倒れたグリフォンだけどすぐさま復帰.ただしここで時間を稼げたことにより,うろうろしてた邪魔臭い報道陣を香貫花や太田が排除に行く時間を稼げたのが大きい.…巨大なレイバー用の銃を抱えたひろみが置き去りにされてるのが気の毒だ…(笑).遊馬もついにヘリで押しかけ,太田の誠意溢れる説得という名の実力行使&強制退去で足下の報道陣も片づけられて邪魔者なし! 「心置きなくやってくれや」と後藤も太鼓判を押してくれます.
これでようやく本気で撃てる,戦える! もちろん「言うほど楽じゃないですが!」…動けば発砲すると警告してライアットガンの銃口を向ければ,黒いレイバーの動きも止まる.そこに後方からエイブラハムが接近.グリフォンの背後に爆薬を装着しに来たんだけれど,野明にとっては守るべき一般市民なので動揺したところにグリフォン接近!
黒いレイバーを狙ったはずの銃撃はエイブラハムの足をふっ飛ばして倒し,さらにその下敷きとなった車が炎上! 手には爆弾を持ったままなので…引火!爆発! 背後での爆発をモロに受けたグリフォンはイングラムに向かって吹っ飛び,もつれ合うようにして港の端まで転がった末にコンテナに衝突! この展開にはさすがの内海もびっくり.「やってくれたなSSS!」…いち早く復帰したのは,イングラムにぶつかることによって衝撃を多少なりと吸収できたグリフォン.それに対し挟まれた1号機は応答なし.…中の彼女は,夢を見ていました.
体育館とバスケットボールとゴールと,彼女の動きを止めようとする沢山の影.ゴールをひたすら目指す彼女は小さくて…シュートを阻止されて,その選手生命が終わる.…交替する彼女に呼びかけるのは,現在の自分.「やるだけやった?」と問う現在の自分に,まだ髪も長かったあの頃の彼女はVサインで応える.…確認したかったのはあの時自分が全力を尽くしたかということ.ハンデなど関係なく出来る限りのことをしたのか,そして今もできているのか….
ようやく意識を取り戻した野明の耳に響くのはよく聞き慣れた声.後藤から通信機を奪った遊馬が呼んでいる.「気を失ってる場合か! 相手はもう復帰してるぞ! 立て!」と言われて1号機も泡食って復帰.自分がどのくらい気を失っていたのかもわからない野明に,1分足らずだけど命取りになるぞときつく警告する指揮官.「やることやってから気絶しろよな!」と全然優しくないバックスに,「少しは優しい言葉の1つもかけてよね! こっちは流血してるんだから!」と文句の野明.それに遊馬は結構本気で狼狽し…でも唇切っただけなので「ふざけろよこの野郎!」と怒る(笑).この当たりの野明の作画,抜群です!

気絶して過去を見て,もう状況など関係なしにベストを尽くすべきだと吹っ切れた野明.「遊馬,正解だよ,優しい言葉かけられると,甘えちゃうんだあたし!」…なんでこんな戦場で赤面トークが展開されるのか.遊馬の照れる様子がまるで太田のようだ…(苦笑).こっちは警察で気を配るべきことが盛り沢山.向こうは犯罪者で自分たちのことだけ気にしていればいい.でも,そんな不利は承知の上で!「やることやってから気絶するか!」と気合が入る!
不利を受け入れて落ち着いた野明に対し,圧倒的に有利だったはずのグリフォンに乗るバドはここまでの展開にひどく混乱.これまで簡単に掴めたものが掴めない…「なんでこいつは,捕まらへんのや!」と感情のままに向かって来る! その動きは確かに苛烈.けれど,運の良さもあったけどここまでしのぐことができたから,怖いけど,力の及ばない相手じゃない.
自分の力を再認識し,冷静になっていく野明は感情で突っ走るバドの腕を取り,「捕まえたのは…こっちだー!」と一本背負い! 野明だけでは足りない力をアルフォンスは力強く補ってくれる.そして彼女の後ろには,志を同じくする仲間たちもいる! ひとりではない彼女はさらに黒いレイバーを追い詰めて…夜明けの訪れる次回に続きます.

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