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デジモンセイバーズ#31

「彼の内なる大ピンチの巻」

都を救った救世主の息子として,聖なる都で絶大な信頼を得たマサル.デジモンたちの前で全ての元凶である倉田を倒すために赴くと宣言し喝采を浴びるが,トーマから見ればそれはわざわざ罠にハマりにいくようなもの.けれどマサルは攻撃は最大の防御と譲らず,湯島までもがマサルの意見を尊重し,天才のトーマの意見を受け入れる者はここにはいない.
結局マサルとイクトたちが倉田征伐へと赴き,残る全員でエルドラディモンを守ることになった.トーマの配慮で湖の中央に陣取ったエルドラディモン.敵にとっては足場がなく身を隠して攻撃することもできないこの位置取りは,守るに堅く攻めるに難い.ただしその優位も湖水あってのこと.干上がれば形勢が逆転すると警戒するトーマは滝を守ろうとするが,そこには既に倉田の仲間の姿があった.

デジタルワールドで自分たちを信頼してくれる組織と出会い,はじめての集団戦を経験することになる「セイバーズ」.これまでの戦いは極少数のチームでこなしてきたマサルたちだけれど,聖なる都という大組織を背負う戦いはいつもに比べ勝手が違う.元々倉田と元DATSの間には圧倒的な戦力差があるってのに,さらに弱いものを守りながら攻めるなんてのはなけなしの戦力をさらに分散させる愚かな行為.さらにあの戦力差からすれば,時が過ぎるほど聖なる都が不利になることも見えてい相当に厳しいのです.
弱いものを都から出して隠れさせ,エルドラディモンを含めたありったけの戦力で一気に倉田を押しつぶしに行くか,動きの遅いエルドラディモンをオトリにして倉田側の隙を狙って奇襲するあたりがきっと最善手.けれどどちらの方法も,弱いデジモンたちかエルドラディモンのどちらかを犠牲にすることが前提となる作戦.マサルのカリスマがあればできなくはなかったものの,あくまでも人道主義な主役たちがそこまで割り切れなかったのが悲劇のはじまり.…今回は特に中盤からの作画が抜群.艶かしく美しい動きで描かれる,本作にはまったく足りていなかった上にそもそも必要かどうかが怪しい(苦笑)エロスっぷり炸裂! なんだ.やればできるじゃないですか(笑)!

大門スグルの功績によって全面的に受け入れられることになった大門スグルの息子とその仲間たち.父の威光で信頼されることに何の疑問も抱いていないマサルに対し,そんな恵まれたマサルにトーマはなんだか嫉妬.エルドラディモンを湖の中央,見晴らしの効く場所へと誘導して陣を張ったのだってトーマの機転なのに,その功績は何もしてないマサルの影に隠れるばかり….救世主は偉いかもしれないけれど,救世主の息子ってのはそんなに偉いものなのか? トーマの力量と業績が,味方よりも敵の倉田側で高く評価されているのも大変に複雑です.
イクトの連れてきたイガモンたちは倉田たちの集結場所が暁の丘であることを確認.さらに「リーダーはこの男だ!」と人相書きまでつけてくれるんだけど…誰だこれ(笑).デジモンに絵心を期待する方がそもそも間違いなんですが,「救世主が焦りの表情を!」とか愕然とされてもなぁ….このときも眼鏡と白衣を確認して断定したのはトーマ.彼はちゃんと仕事をしているのです
しかしそんな確実な仕事ぶりは,この場ではまったく認めてもらえない.デジモンたちを集めて演説をぶちかます時にも中心は救世主の息子であるマサルで彼だけ椅子も立派.噛みながらも「敵の居場所がわかったんだ! こっちから乗り込んで,倉田をぶったおす!」とシンプルすぎる目標を語れば,イクトもそこに乗って「メルクリモンやユキダルモンのためにも,こんな戦い,早く終わらせる!」と盛り上げる! …デジモンたちはこの演説に歓喜してやる気満々なんだけど,「これは罠だ!」と冷や水をぶっかけるトーマ.段取りが悪すぎてたまりません!
敵に居所を晒す不用意ぶりは倉田にしては不自然だから,きっと自分をオトリにして戦力分断させる策に違いない.ここは敵襲に備えるべきだと懸命に主張するトーマ.…そういうのは本来演説の前に十二分にマサルと打ち合わせておくべきことですが,さすがにトーマがそれをやってないとも考えにくいので,きっと事前に打ち合わせした上でマサルが本番で大暴走したに違いない(苦笑).トーマに比べて思考がシンプルな仲間たちは考えすぎとマサルの意見を支持.ついてきてくれる奴のいないトーマ,味方の間ですっかり孤立無援です.
倉田を倒せばいいと真っ直ぐに考えるマサルと,それでは思う壺だと考える慎重なトーマ.そう行動するために必要な裏づけのまったくないマサルの意見は論外だけど,敵の策を予測してもそれをさらに覆す方向に頭が行ってないトーマもまた甘い.少数で行けばいいと頑張るマサルとそれこそが敵の狙いだと主張するトーマは平行線.「これは喧嘩じゃない! 作戦通りにやらなければ,聖なる都は守れないんだ!」「攻撃が最大の防御だろ! 俺は倉田をぶっ倒しに行く!」
…凄く大事なところで割れてしまった2つの見解.その上皆はマサルの味方で,場のノリからトーマの意見は考えてもらえず,頼みの綱の湯島までもが「まー,その場の勢いを殺さんほうがええかもな」とマサルの意見の方を容認しちゃう.これが人間界なら,あるいはせめて薩摩がいればいつも通り主導権を取れるはずなのに,デタラメなデジタルワールドや仲間たちの間では正しいはずの言葉がまったく通じない.人間界での常識や既成概念を越えたこの世界とマサルの相性が最善であったのに対し,トーマとの相性は最悪で…結局折れるしか道がない.
夕方,マサル組とイクト組は倉田を倒すために出発! 「ここの守りは任せたぞ!」と屈託ないマサルを「…言われるまでもない」と見送るしかないトーマ.仲間と共にデジモンに乗って対岸まで行くはずが,飛び乗るタイミングが遅くて湖に落ちた上,そのまま泳いで行くリーダーってどうなのか(苦笑).「俺を置いていくな!」と必死で追いかける,人の忠告を聞かない考えなしの筋肉バカの暴走にトーマは呆れるしかないけれど,ヨシノたちはマサルの行動についてやや違った見方をしています.無茶を押し通したのは,トーマならここを守ってくれると信頼しているからではないかと.…本当に信頼しているなら,全面的に意見を聞き入れて欲しかったんだけどなぁ…(苦笑).
マサルたち去りし後,案の定聖なる都には倉田の放ったギズモン第1陣が襲来.対岸から3体が向かって来るのを,遠距離射撃,背後からの攻撃,聖なる都直前での攻撃の3段で綺麗に仕留めます.…バロモンがなんだかおかしなことになっているけどまあいいや(笑).湖水・湖面を利用した3段の防御はこの都が取れる最大防御なんだけれど,用心深いトーマはあっさりやられた第1陣についてはあくまでも偵察と考えています.もっと厳しい本隊は,きっと後からやってくるはずなのです.
てなわけで今回の位置取りで最大の弱点をカバーに行くトーマ.湖水が作り出す障害が重要な意味を持つ今回の位置取りでは,その湖水が流れ出す滝を狙われて水を抜かれると洒落になりません.もちろんそんなことに気づく奴はわずかしかいないだろう…と思ったら,既に敵はトーマを待ち受けておりました.倉田配下の変身3人組の紅一点,ナナミ.闇に浮かぶ彼女の妖艶な表情はなんだか本作らしくなくて…大変に素晴らしい(笑).
重いエルドラディモンにとって湖水はその重量を支えるためにも重要.滝を壊され湖が干上がったら,エルドラディモンは一気に無防備となってしまう.この滝はアキレス腱のようなものだからきっとトーマが来ると予測した.「ちょっと考えれば誰でもわかりますわ.そうでしょう? トーマ・ノルシュタイン博士?」…ぶっちゃけバカ祭りである味方には全く理解してもらえず,敵には十二分に理解されてしまったトーマは不幸.同類への興味で,ナナミはトーマに仕掛けてくるのです.

トーマがシリアスなバトルをはじめていたその頃!マサルたちも早速倉田の元へと殴りこみをかけておりました.ただしリーダーはマサルでも今回の主役はトーマなので,与えられる役目は天丼(苦笑).ここで終わらせる気満々のマサルはともかく走ってともかく殴り,その行動には迷いなし.待ち伏せされても「罠なんて関係ないって言ったろ!」と闘志が衰える気配もなく.圧倒的劣勢の彼らに残された時間はわずか.まだ戦えるうちに勝つためのきっかけをつくっておくことは確かに重要なんだけど…「来いよ,全員まとめて,ぶっとばす!」
ガオモンとナナミの戦いは,きわどい癖にパンチラがない素晴らしい動き! 行動を的確に読んでくるナナミは人の姿をしながらもデジモンを凌駕している.頭も体も人間離れした彼女にも1つだけわからないことがある.「あなたはなぜ戦うの?」.トーマとナナミは似ているようで決定的に違う.「デジモンなんて取るに足らない存在,あなたのような天才が,戦う理由なんてないでしょう?」なんて言葉はそのままトーマの逆鱗.今彼を動かす原動力そのものなんだから!
デジモンは友達.だからその友を苦しめるような奴は許せない.そんなトーマの純粋な意志をくだらないと評する生意気なナナミ.これまでの苦労や苦悩も知らないで,弱い者を助けることで優越感にひたっているだけだとか酷いことを言いやがる.「DATSの任務だって,所詮は一人よがりの,自己満足だわ」…今も雰囲気ぶち壊しの天丼を重ねているマサルを除けば,人間はデジモンに対抗できるほど強くないのに.
マスターを馬鹿にされて怒るガオモンを翻弄しながら,なおも語るナナミ.「私にはわかる,あなたの孤独,何をしても満たされない心の乾き」と今度はトーマに大げさに共感してみせる.天才の彼女には同じ天才のトーマの気持ちがよくわかる.周りの連中は馬鹿ばかりで誰も理解してくれない.天才は常に孤独で寂しくて….確かにさっきもトーマはやるせない思いをしたばかりですが,バカでもマサルたちと行動をともにしていて,さらに常にガオモンと一緒にいる彼は,ナナミが言うような「孤独」じゃないよなぁ?
「そこまで言うなら」とトーマはナナミに質問返し.なんで天才の癖に,デジモンを恐れ根絶やしにしようとするような愚か者の倉田に味方するのか.…けれどトーマは笑われる.ナナミは味方になった覚えはない.「デジモン狩りは,退屈しのぎの1つに過ぎません」と下衆なことを言う.天才は退屈だからデジモンを狩るのだと言い切り,別種の知性に対する敬意の欠片もない! そんなナナミが見つけたもっと面白いものが同種のトーマ.「あなたと私が組めば世界を思うがままに作り替えることだって,夢じゃないわ」と誘惑の手を伸ばすのです.
ナナミに足止めされている間にエルドラディモンへの攻撃もはじまる.自爆攻撃で仲間が吹っ飛んでいくのを今すぐなんとかしたいのに,ナナミは「あなたの戻る場所はあそこじゃないわ」とトーマを行かせないつもり.退屈のない世界を作り上げるのだと誘う手.その白い手を払いのけるトーマ! 「断る! 僕には聖なる都を守る使命がある!」とどこまでも相容れなくて,「…天才の癖に,わからずや」とナナミも実力行使を決意.元DATSの究極体に対抗するための長い名前の新進化,ハイパーバイオエクストラエボリューション!
ナナミが進化した究極体のバイオロトスモン.究極体以上と豪語する彼女と戦うのは,オーバードライブした究極体のミラージュガオガモン! 進化によってタダでも洒落にならなかったナナミはさらにスピードを増し,読みも的確で技も痛い.やられたミラージュガオガモンに駆け寄ろうとするトーマをバイオロトスモン…ナナミが妨害し,一緒に来いとさらに強烈に誘惑.自分なら理解してあげられる,2人なら世界どころか宇宙だって支配できると,現在ろくに話も聞いてもらえないトーマをおだてまくるわけですが!
とうとう宇宙まで持ち出されたトーマだけれど,彼は元々そんな荒唐無稽なおだて話に安易に乗るようなバカじゃない.自分の能力に限界があり,この世には計算できない力が存在することだってとうの昔に気づいてる.「…大門マサルね」「そうだ.その力に助けられたこともある」…けれどナナミは,あやふやなものに頼るトーマを許さない.なぜなら全てを理解する天才にとって「理解できない」は敗北宣言なのだから.
心理攻撃で無数の蛇のトーマの周囲にとぐろを巻いて締めつけるナナミ.この時間に放送しちゃいかんようなエロ妄想な気もしますが,男女が逆転してるからまあいいか(笑).今回はギズモンたちとさらに天丼を重ねているような愚か者のぬるま湯で自分を磨くことを怠っているだけと手厳しい彼女は,一刻も早くそこを捨てて一緒に新しい世界の神になれと誘うけれど…友であるミラージュガオガモンが夢を破る.
自らトーマと同格と言い切るナナミには死角がない.もし作戦がわずかにナナミの予測を越えていたとしても,デジモンとしての能力でそれを埋めてしまう.ついでにバイオロトスモンは乳が揺れパンチラ全開.だってほら,モンスターだし!人間じゃないし(笑)! トーマの作戦では一撃も当てることができない.ナナミは滝を人質にとり,一緒に来るなら壊さないであげると脅迫し….
認めたくはないだろうけれど,今のトーマとミラージュガオガモンだけではナナミの予想を越えることはできない.けれど「まだ,まだ終わっていない!」とあがくトーマはいきなりミラージュガオガモンの肩へ.脆弱な人の体に凶悪な攻撃を喰らっても,避けることも逃げることもせずに死ぬ気で接近,至近距離で必殺技を指示して放つ! …まさか賢い奴がこんな無謀な行動に出るとは思わず,意表を突かれたナナミは敗北.唐突な行動で相手を狼狽させてその隙に技をたたき込むという手法はまさにセクシーコマンドーですが(笑)賢い敵ほど有効だったりするのです.
計算を越えた無謀な特攻.それをトーマは計算なしでなんとなく選択.「至近距離に迫って攻撃すれば,なんとかなると思っただけだ」と彼には珍しく完全に勘だけで行動していたらしい.…そんな馬鹿馬鹿しい戦い方は絶対に威張って言えるようなことじゃない(笑).そして確かにバイオロトスモンには勝って合成されたデジモンも分離できたようだけれど,結局技の衝撃で滝が決壊したのでトーマの負け!

勝ち残り退けることはできたけれど,守り切るためには絶対に譲れないものを失ってしまったトーマ.そこにさらにナナミが追い打ちをかける.ナナミはトーマに負けてない.なぜならば…「あなたが使ったのは,大門マサルの力.ですもの」…計算を越えたなんとなくで勝利を掴むのは確かにマサルの手法で,決してトーマの手法ではない.そんな手法を思わず取ってしまうほどに,今のトーマはマサルに汚染されていたのです.
基本お笑い担当で自分より格下の同僚ばかりが尊重されて,自分は味方に話を聞いてもらえず,自分を見込んだ敵に勝ってもそれは同僚の手法に負けたのだと言われるトーマ,悲しいくらいいいところなし! …あのマサルに似てきている自分を感じ,トーマの心の揺れは収まらず「…なんだ,この苛立ちは」.あまりにも影響力の強すぎる奴の脇にいて個性も居場所も失いつつあるこの内的な大ピンチ.自分を取り戻し立て直すためには,マサルと真正面から殴りあったり修行に出たりしなければならないわけですが….さらに大事となる次回に続きます.

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