« 機動警察パトレイバー#36 | トップページ | ライオン丸G#11 »

デジモンセイバーズ#35

「破滅を導く黒い心の巻」

マサルたちを裏切ってトーマが倉田側についた.怒りに我を忘れたマサルの体からは黒いデジソウルが噴出する.それを受けたシャイングレイモンはバーストモードを発動の上暴走.妹が止めてくれたおかげでマサルは我に返るものの,シャイングレイモンは自我を失い横浜の街を炎上させる.弟分を止めようと叫ぶマサルの声は届かない.けれど暴走させたことを悔やむマサルの流した涙はデジヴァイスと反応して暴走を止めただけでなく,デジタマにまで戻してしまう.相棒が卵に戻ってしまい戦う力を失ってしまったマサル.なぜこんなことになったのか,どうすれば元に戻るのか,今の彼らには何もわからない.
シャイングレイモンが戦線離脱したことによって野望へとさらに近づいた倉田は,トーマとガオモンにその野望を披露する.巨大な水槽の中でデジモンたちの生体エネルギーを与えて育成されていたのは,デジタルワールドで厳重に封印されていたというベルフェモン.倉田はこのベルフェモンの力を使い,人間界とデジタルワールドの両方を支配しようとしていた.

どれだけ頑張っても実を結ばない悲壮な戦いの果て,人の心の暴走が洒落にならない事態を招く「セイバーズ」! このあたりがシリーズ全体を通しての底ではないかと思わせるほどの過酷な展開で,今このタイミングで主役が無力になり,そのきっかけが味方の裏切りだってのがやるせない! 不器用ながらも父譲りのデジソウルで無理を通してきたマサルは,間違いなく本作中最強の人物のひとり.ゆえにその力の方向を誤った瞬間,2つの世界は容易に崩壊へと向かいかねなかったわけです.…マサルでこれなんだから,恐らくそれ以上の大門博士のデジソウルが暴走するようなことがあったら,一体どんなことになるのやら….
さらに崩壊を導く莫大な力の暴走について,別種のアプローチで実現しそうなのが倉田側.トーマの裏切りとマサルの無力化を好機と見た彼は,とうとうここまで伏せていた切り札をうれしそうに披露.罪のないデジモンたちの命を注ぎ込んで作られた,2つの世界を支配するための怪物.今はまだ可愛らしい姿の巨大なデジモンは,生まれながらにして人間とデジモン双方の敵なのです.

トーマの裏切りによって完全にぶち切れたマサル.これまでのマサルの怒りっぷりが可愛らしく見えるほど激しい感情の発露によって,シャイングレイモンは暴走をはじめます.これまでの全てを否定するかのようなトーマの寝返りを知って,マサルの体からは見たことのない黒いデジソウルが噴出.これを受けてしまったシャイングレイモンもまた黒く染まり,未熟な人の心のままにこの世界を壊しはじめてしまいます.
憤怒の力を受け暴走をはじめた究極体は,ミラージュガオガモンでも対抗のしようがないほどに強く激しい.…このあたりのバトルっぷりが映像として素晴らしい! 元から強い闘争心を持ち,もっと経験を積んでいた仲間たちをあっさり追い抜いて進化を会得するほどの才能があったマサル.頭は動いてないけれどデジモンやデジソウルに関しては天才である彼は,怒りに我を忘れて天賦の才を黒く染めてしまったのです.
デジモンも人間も命の価値は同じ.その大切な命がこれまで倉田のためにどれほど散らされてしまったことか! そしてそんな悪に今寝返るなんて,トーマは一体何を考えてやがるのか! …考えないマサルは目の前の状況を額面どおりに受け取って憤る.闘いの中で散っていたものたちに背を向けた卑怯者に向かい,「手前の命をもって詫びやがれ!」と吠える! …キッズ向けゆえにきつい言葉や表現を使えない本作だけど,この言葉は要するに…マサルはトーマを殺したいほどに憎いのだ!
「消えうせろトーマ!」と,怒りに任せて裏切り者たちを殺す気のマサル.それを必死で止めたのは2人をよく知っているチカでした.キレた怖い兄にしがみついて,必死で凶行を止めてくれたのです.本当の兄と兄のような優しい人がなぜここで戦わなければならないのか.「おかしいよ!」と叫ぶ彼女の言葉によってマサルは次第に我に返るんだけど…シャイングレイモンは止まらない.
強い負の感情に当てられたのか,自我を失って暴れ続けるシャイングレイモン.頼りになる相棒はマサルの生まれ育った街を壊して炎上させる.怒りに任せ壊し殺そうとする姿はさっきまでのマサルと同じ.しかしサイズと力の違いによって生み出される被害は桁違い! しかもマサルの言葉もシャイングレイモンには届かない…これが,バンチョーレオモンの恐れていた暴走だ.
高まった感情により発動したバーストモード.しかしその感情には無軌道な憤怒の黒さが染み付いていたから,シャイングレイモンは暴れる破壊力をコントロールすることができずに振り回されていく.人を憎む激しい怒りを現実に体現することによって,このままでは倉田ごと地上を滅ぼしてしまいかねない…! 明らかに手に負えなさそうなものを前にしたトーマや倉田はあっさり撤退.残されたのは暴走を止める手立ても思いつかないマサルたちだけ.
チカをバンチョーに預け,暴走する相棒の下へと走るマサル.「もういい!」と必死で叫んでもその声は届かなくて,ついには「…もう,やめてくれ…」と悔恨の涙を流します.今,目の前で暴れているのは,シャイングレイモンの形をした自分の感情.怒りに身を任せてしまった自分の誤りと無力を知って流した涙はデジヴァイスへと落ち,デジヴァイスが赤く発光.…人の思いをデジモンへと伝えるデジヴァイスは,暴走する究極体に過ちを悔やむ心を伝えるのです.
強く後悔するマサルの想いで暴走は静まり,背に燃えていた黒い炎も消えて…そのまま光に包まれてデジタマへと戻ってしまったシャイングレイモン! 自分たちが世界を滅ぼすという本末転倒な事態だけは避けることができたけれど,その代償として弟分はリセットされて…「嘘だろ,なんでだよ…なんでデジタマに戻っちまうんだよー!」…燃やしてしまった紅蓮の街を前に,主役はいきなり無力に.
守るべきものを失い,信頼を寄せていた仲間には裏切られ,その上自分の感情で弟分を卵に戻してしまった.地下基地に戻ったマサルはデジタマを抱えて落ち込みます.暴走によって力を使い果たしたアグモンはいつ孵るかどころか,孵るかどうかすらわからない.「きっとこいつはすぐに孵る!」とマサルは信じ込もうと必死だけれど,「孵ったとしても,元の記憶は残ってはいまい」とバンチョーレオモンはさらに悪いことを告げるのです.
デジモンは一度卵に戻ったら,それまでの記憶を全て失ってしまう.だから,これまでの相棒はもう絶対に戻らない.「アグモンの助けもなしに,どう倉田と戦うつもりだ」と詰問するバンチョーレオモン.けれど今のマサルにも,仲間たちにも,この事態を切り開くための手がまったく見つからない.こんなときにトーマがいてくれたら,彼の明晰な頭脳が何かのきっかけを見つけ出してくれるのかもしれないけれど…「あいつの! あいつの話はするな…」とマサル.地の底は八方塞がりだ.
その頃,シャイングレイモンを暴走させたきっかけであるトーマとガオモンは倉田の研究所入り.ガオモンは前の戦いでシャイングレイモンにやられた傷が未だに痛んでいるようです.勤勉で生真面目なトーマはマサルの暴走についてもきちんと分析.あれはデジヴァイスデジソウルを爆発的に引き上げていたようだから,デジヴァイスをさらに解析することでミラージュガオガモンもあの凄まじい力を手に入れられるかもしれない….以前バンチョーレオモンが教えてくれたとおり,莫大な力はデジモンではなく人間の中に眠っているのだということは,あの暴走によって証明されたようです.
けれどそんな重要な発見を倉田は重く見ない.敵の主力がデジタマに戻ったという結果ばかりに気をとられ,その過程を省みない彼は研究者としてどうかしている.しかもこいつ.同じ人間として恥ずかしいくらい下卑た野望を抱いてやがります.水槽の中に浮かんで眠っている,究極体のベルフェモン.7大魔王の1という超強力なデジモンこそ,野望を抱く倉田の最終兵器.そして彼がここまでひどい行いを続けてきた動機そのものでもあるのです.
デジタルワールドの遺跡の奥深くで発見された卵から生まれたベルフェモン.死の概念のないデジモンたちが厳重に封印するほどに恐ろしいのに,愚かで恐れを知らぬ倉田はそれを暴いて持ち帰り育成した….これまでの生体エネルギー収集という名も大量虐殺も,このベルフェモンを育成するための手段.聖なる都を潰したことで十分なエネルギーが集まったから,もはやベルフェモンを使ったデジモンの殲滅は目前だ!
…けれど身の丈に合わない力を手に入れた倉田は,さらに余計なことを考えていました.強大なベルフェモンの力があればデジモンの殲滅などちっぽけなこと.「この力を持ってすれば,私はこの人間界を牛耳ることができる!」…トーマたちに語るその表情には既に狂気が漂っている.デジモンたちを殺して手に入れた血塗られた力によって,「デジタルワールドと人間界,2つの世界を束ねる王となるのです!」と言い切る倉田.…パートナーのガオモンと同じデジモンたちの命を野望のために費やした邪悪に笑うトーマは,一体何を考えているのか….
そして,あまりにも野蛮な考えについに黙っていられなくなり,「そんなこと,させるものか!」と潜んでいた天井から飛び込んできたイクトとファルコモン! トーマたちの後を追ってここに侵入していた彼らは,ユキダルモンやメルクリモンも殺した仇に襲いかかる! この奇襲はガオモンに止められたから,イクトたちはすぐにこの研究所から脱出することに.一刻も早くベルフェモンのことをマサルたちに伝えなければ,2つの世界は倉田によって滅茶苦茶にされてしまう!

忍び込んでいたイクトたちは情報抱えて泡食って逃走! トーマたちは「地下の秘密を見たものを生かしておくわけにはいかないでしょう」とそれを追いかける.倉田のギズモンを下げさせてオーバードライブし,ミラージュガオガモンへと究極進化.ファルコモンもヤタガラモンには進化しているんですが,そもそも完全体が究極体とまともに勝負できるわけがない上に,トーマたちは元々強いから困ってしまう.裏切った彼らと対等に勝負できるのはシャイングレイモンくらいしかいないはずで,しかも彼らはついさっき無力化されたばかり.…トーマの命令に忠実に従うミラージュガオガモン.デジモンを道具扱いする倉田を守ろうとするトーマに従う彼は,一体どんな気持ちなんだろう.
イクトたちが逃げ出してこっちに向かっていた頃,マサルはデジタマを調べてもらっていました,しかしデータバンクにも孵し方については掲載なし.こういう時にいい助言をしてくれそうな湯島もいないし,言わないけれどトーマもいないし.…もし倉田がベルフェモンを孵したことを知っていれば,デジタマにデジソウルを注ぐようなことを思いついたのかもしれないけれど.しかしデジモン反応が近づいてきているので診断や推測は中断.ヤタガラモンがミラージュガオガモンに追われてきている!
ただでも思いっきり弱体化している今だからこそ,一刻も早くイクトを助けてトーマを退けたいマサルたち.しかし他の連中はともかく,マサルの同行は許さないバンチョーレオモン.どれだけ本人が行きたかろうともバンチョーは決して許可しない.アグモンを失ったマサルは一人きりでも未だにトーマを殴るつもりで,悔いて泣いたはずが未だにこりてない…わかってないマサルを師匠は叱る.「お前には聞こえなかったのか! アグモンの悲鳴が!」
暴走したとき,怒りに我を忘れたマサルの感情に押し潰されて,その苦しみにアグモンの魂は叫んだ.…人の心が持つ力は莫大で,デジモンはその力を無条件に受け取るばかり.デジヴァイスを介して,マサルとの間に通じた太い信頼のパイプを通じ莫大な力を無理やり注ぎ込まれたら苦しくないわけがない! けれどマサルには相棒の魂の叫びなど聞こえなかった.自分の怒りを表出することに夢中で,受けねばならないアグモンのことなど忘れていた….「警告したはずだ.バーストモードは諸刃の剣,使い方を誤れば己を傷つけることもあると!」…自分の誤りがアグモンをデジタマに戻してしまったのだと,マサルはようやく理解します.
相棒を苦しめた自分を悔やみ…けれどそれでもマサルは「やっぱり俺は行く」と心を曲げない.憎しみがアグモンをデジタマにしたことはわかっている.それでも「トーマと決着をつけない限り,この気持ちは消せやしねえんだ!」と憎しみを捨てることができない.そのためならばバンチョーと戦うことすら厭わない覚悟の拳ではあるけれど,受け止めてもデジソウルは輝かない.己の憎しみに囚われたままの不肖の弟子に,「スグルの拳は,お前のこの拳よりも何倍も輝いていたぞ!」と師匠は叱る!
様子からするとここまでこの件をわざと伏せていたバンチョーレオモンは,どうしようもないマサルを止めるために切り札を切りました.「憎しみの拳では,純粋なデジソウルは生まれはしない.ましてや! バーストモードを使いこなすことなど夢のまた夢!」とダメ弟子を叱責した上に,「お前なら,スグルをも越えられる男になってくれるのではないかと思っていたが…残念だ」と見限る! …片手間にずっと探していた人と比較されて劣ると判断されて,見捨てられて,マサルは呆然.

その頃,逃走するイクトたちを追うミラージュガオガモンは,周囲への被害を気にすることもなくふたりを追い詰めていました.賢く正しい心を持つミラージュガオガモンは,明らかに間違った道を進んでいるトーマに「私はマスターの命令に従うだけだ!」とひたすら忠義を貫き通す.「たとえその行き着く先が,地獄だったとしてもだ!」…忠義の犬は元仲間たちを迷いなく苦しめる!
もちろんヤタガラモンだって負けてはいられない.前の戦いでミラージュガオガモンが負った傷が癒えていないのに目をつけて,不利な中でも傷跡目掛けて集中攻撃! 食らえば死んでもおかしくないフルムーンブラスターをぎりぎりに避け,イクトのブーメランが傷を叩く! …これにはさすがに苦しむミラージュガオガモン.絶対不利なイクトたちの奮闘ぶりをトーマは見直し,本気の攻撃がヤタガラモンたちを海へと吹っ飛ばす! …マサルたちが目にしたのは帰還目前に海へと消えたイクトたち.そして仲間に対し容赦なく技を放ったミラージュガオガモン….
元仲間を始末して倉田の元へと戻ったトーマ.これで野望を実現するのに障害なし.「新しい世界への第1歩を踏み出すとしましょう!」と笑ってすっかり倉田の腹心ぶりが板についてきています.…ナナミ戦ではデジモンのことをあれほど熱く語っていた彼は一体どこに消えたのか.未だにガオモンが見捨てずに付き従う彼の本心は….さらに倉田の研究所内でも新たな動きが! 既にリリーナのすぐそばまで潜り込んでいた,湯島とカメモン! …真実はそんなに悪いものじゃない.次回に続きます.

|

« 機動警察パトレイバー#36 | トップページ | ライオン丸G#11 »

レビュー◆デジモンセイバーズ」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5112/13461083

この記事へのトラックバック一覧です: デジモンセイバーズ#35:

« 機動警察パトレイバー#36 | トップページ | ライオン丸G#11 »