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機動警察パトレイバー#39

「模倣は真作に及ばないの巻」

篠原重工から特車二課に新型パトレイバーを導入する話が再び起きた.以前黒いレイバーにボロ負けして使い物にならないと判断された機体に大幅に改良を加え,新しい量産機を作ろうというのだ.篠原重工から依頼を受けて,次期パトレイバー候補の新型機のテストを手伝うことになった野明たち.研究所まで足を運んで量産機を動かしてみるのだが,回を重ねれば動きは滑らかに良くなっていくものの,動作感覚がどうにもしっくり来ないことに野明は戸惑ってしまう.実山が目指しているのは最良の動作パターンを全ての量産機に持たせ,初心者でも熟練者並に動かせるレイバーを作ること.野明たちパイロットはその動作パターンを集めるために呼ばれていたのだ.

派手派手しくケレン味溢れるレイバー戦が去った後,再びシリーズ全体を貫く縦軸が響きはじめる「パトレイバー」.グリフォン戦での成果によって当時の量産機に対するイングラムの優位性ははっきりと証明されたわけですが,日進月歩,爆発的に進歩する技術による最新技術の急激な陳腐化からは,どんなレイバーも決して逃れることはできないのです.
今回の主役は開発者である篠原重工の実山と,特車二課の若い衆を取り仕切る榊.野明は榊の代理として「しっくりこない」を言い続ける役となっております(笑).同じレイバーを扱う技術屋の,最先端を自ら作り出そうとする開発者と現行の機械をできるだけ長く現役でいさせようとする運用・整備者の静かな戦いの行方はいかに. …そして,もちろんこの作品がかの「プロジェクトX」の遥か以前に制作されているってのも大事なポイント!

前半.夜の特車二課,野明と遊馬は勤務が終わったようで揃って帰宅.しかしハンガーはまだまだ明るくて,整備班は残業している様子.F1ほどではないけれど,特殊な任務に従事するイングラムの維持運用にはそれなり以上の手間がかかるのです.そんなおろそかには乗れない愛機を整備班に任せて帰ろうとする二人は仲良し.バイクに乗る野明の肩に掴まって「頼まぁ」と遊馬.もちろん道交法違反なんだけどやっちゃう.…BS2とはいえNHKで再放送しているあたりが豪気だな(笑).
仲良しの二人はドーナツ屋での夕食も一緒.とはいえ話題は量産機計画に関するもので色気はなし.新型が入れば榊さんたちも楽になるのかと聞く野明に,「今よりはな」と遊馬.もちろん晴海のアレは論外だけど….耳が早い御曹司は「警察用にあれをバージョンアップした改良型が開発中なんだってよ」と,とても気楽に機密をバラしており(笑)けれど野明はそれを聞いても,前ほど激しく動揺はしない.
警察用レイバーがまったく足りてないのは自明.第1小隊だけでなく,全国規模でパトレイバー隊を作っていくにはもっと沢山の比較的廉価な機体が必要.…けれど野明は,いいとも悪いとも言わずに無言でジュースを飲む.この件の真偽については「遊馬が言うから本当なんでしょ」くらいの認識は当然.問題はその改良型の性能の方だけど,これも乗ってみなきゃわからないってな冷静な見解.…そんな野明をにやにやと見る遊馬.落ち着きっぷりも成長の証だと思い笑ってるんだろうけれど,野明にはわからなくて「…変な奴」.
そんな噂が流れた後,野明は昼間っから足のお手入れをしている後藤から(笑)出張命令を出されます.行き先はやっぱり篠原重工の研究所.次期量産機のテストに来て欲しいと要請されたのです.しかもこのテスト,他に太田や五味丘まで別日に出るという本格的なもの.トップバッターだけど「ま,気楽にやってこいや」と気楽そのもののような後藤に言われてもなぁ….
なかなか気楽とはいかない野明は,頼りになりそうな榊のところに行って相談.彼のところにも当然話は伝わっており,テストなんてどうやっていいかわからないという彼女に「テストなんてものはなぁ,乗り手の使いやすい機体にするためにやるもんだ」と優しく忠告.整備員や第2小隊の若い衆には相当厳しい彼ですが,野明への態度はちょっと甘い.年の離れた娘とか孫って気分なのかもしれないな.「お前さんの意見や考えが,次の警察用レイバーに反映する.しっかり頼むぜ!」と励まされ,野明は新型機を試してみるのです.
早速研究所にやってきた野明と,テストも担当する実山.篠原の社長とは昵懇の間柄で,八王子の工場長を務める実力者.普段は遊馬のわがままに翻弄されたり,ぶっ壊したイングラムの修理で大変にお世話になってたりする人ですが(笑)今回は誇り高い開発者としての顔を見せます.
実山も相当気合を入れているらしい新型量産機.黒い奴にくちゃくちゃにやられた汚名を返上するために相当の改善をしているようですが,聞いているのが野明ではどこまでわかってもらえるものやら…(苦笑).とりあえず新型機の売りはソフトウェア側の工夫で,情報を漏らさないためか,それとも情報を取り逃さないためか,わざわざテストのためだけにでかいドームまで建てちゃって気合十分です.
待っていたのは,グレーを基調としたカラーリングの尖った顔の新型機.前のがちょっと頼りない印象だったのに比べると「…迫力ありますね」と野明は苦笑い.色も鋭角的なスタイルも,もちろん篠原らしいデザインは踏襲してるけど,なんとなくあの黒い奴の影響を受けているような….
開発者たちが見守る中,野明が動かしてみる量産機.AVS98 MARK IIと盾にはあるけど,これは開発中のコードで正式名称ではないんだろうな.で,この新型量産機の試作機は…なんだか手ごたえがない.そもそも動きそのものがぎくしゃくとぎこちなく,重量物を持ち上げる際に操縦者側に戻ってくる手ごたえも軽すぎて…「こいつムキムキだ!」 パワー自体はイングラムより上なのかも知れないけれど,その他の点ではまったくしっくりこない機械なのです.
後日,一度乗ってみた隊員などが集まって,新製品についての座談会.時代遅れのパイソンに乗る五味丘が新型機を80点と評価したのに対し,現行最新鋭機のイングラムに乗る野明の評価は60点と厳しい.アクションフィードバックの貧弱さ,動作のぎこちなさなんかが相当のマイナスになったご様子.…五味丘はまっさらな機種としてはいいと評価しているけれど,そりゃパイソンに比べたら改良前の量産機だって全然マシだからなぁ.
試作機のストロングポイントは間違いなくイングラムにもないあのパワー.そこんとこを太田は物凄く評価して「泉,えこひいきはいかんな!」とか言いきっちゃう.テストパイロットは偏見なく客観的に見るべきとか偉そうに言う太田の評価は…「あれのどこがイマイチなんだ! あのパワーのどこがイマイチなんだ!」…力だけあればいいのかあんたは(苦笑).けれど,パワーだけでイングラムと単純比較するのもおかしいし…聞いていた熊耳も「雲を掴むような話になってきたわね」と困ります.
そんな掴みどころのない試作機でのテストはさらに続きます.二回目は大分印象が変わってるはずと実山は言い,実際に歩かせると…前回と全然違う.同じ機体とは思えないくらい滑らかな動きになっていて,このことは野明も高評価.全然違っていたでしょうと実山も喜んでおります.最も,野明が最初から凄く気にしている手ごたえのなさは改善されてないわけですが….
この劇的な改善は全てテストパイロットのおかげ.わざわざ作ったテスト場内で動作状況だけでなく,パイロットの癖まで分析し,そこから無駄のない動き,最良の運動アルゴリズムを学習させてるってのが動作がスムーズになった理由.今回のテストは機体の乗り心地について現役操縦者から意見をもらうだけでなく,熟練操縦者の技術を盗んでそのまま量産機に与えるためのものでもあったわけです.
前の機体には圧倒的に欠けていたパワーを補い,そこにさらに熟練者の操縦技術を付加する.これが実山たちが新しいパトレイバーを作るために選んだ方法.目標は新米でもあのパワーを熟練者のように使いこなせるレイバー! …そんな実山に言いたいことがあるものの,うまく言葉にならなくて「やっぱり,コーヒーください」になっちゃう野明.体を動かすのは得意でも言葉はそれほどでもない彼女は,自分が感じている解決し難い違和感をうまく説明できないのです.

後半.違和感に悩む野明はまたも榊に相談.レイバーの機体そのものに関する問題なので,日々レイバーと触れ合っているわけではない遊馬にはどうやら相談しにくいようです.コンピュータと同様に万能ではなく,車のように駆動部分や部品の数も多いレイバー.同機種でもパーツの差の集成としての個体の癖が出るから,それを理解して乗りこなすのがパイロットの仕事で腕…のはず.けれど量産機はそんな熟練の腕すら学習し,扱うものの技量を問わず自在に操ることができるってのが気にかかる.それは特定の局面でのみ出現する種の問題ではないから,どうしても野明はうまく言葉にできない.表面的な改良の奥にある問題に向かって,「でも,なんか違うんだよなぁ…」
微妙なひっかかりを抱えながらもテストは続く.学習が進んでかなり滑らかに動くようになり,元々の出力からさらに15%も力が引き出せるようになり…けれど野明の感じるひっかかりは未だに消えない.テストに参加している3パイロットの中では,なにげにテスト機の真価を最大に引き出しているのも野明のはずなんだけど….問題は狙ったところにすぱっと行かないこと.実山はセンチ単位の誤差しかないから十分に正確と言うけれど,プロが時には命を預けるようなことをする機械で,センチ単位の誤差を安易に受け入れてしまってもいいんだろうか? 毎度センチ単位でずれられちゃ,うまくいかないと野明が悩むのは逆によくわかるかも….
とりあえず当初の目標どおりにテスト機が動くようになったのを見計らい,実山は上層部の許可を取り付けてイングラムとの格闘戦を提案! なかなか自信溢れる申し出をあっさり受け入れた後藤の作ったくじで選ばれたパイロットは野明.…後藤が作った段階で間違いなくインチキなんだろうけど(笑)決まったものは覆らないんだから諦めろ太田.お前野明の勝敗とかはぶっちゃけどうでもよくて単に格闘戦がやりたいだけじゃねえか(苦笑).そんなわけで後藤はあっさり太田を置き去り.「留守番頼んだよー」ってなもんですよ.
逆に選ばれた野明は,そんなにやりたいなら代わるのにとこちらも選ばれて複雑な気分.そして後藤のくじについてはやっぱり信頼してないのな(笑).もちろん改良型と戦うのは怖い.けれど野明が戸惑っているのは戦いそのものの怖さよりは,この戦いの結果として,あのしっくりこない改良型の導入が本決まりするかもしれないこと.「アルフォンスは! …負けませんよ…」と弱い語尾.実山が語っていたレイバーが理想通りに完成したとすれば,それは簡単に勝てる相手ではなさそうなんですが….
市街地戦を想定するテスト場で待っていたのは,実山とテスト機と研修が終わったばかりの新人,山本君.その声を最近整備員役でお馴染みの真殿光昭氏が担当してますが,やっぱり当時からいい声だな(笑).今回は改良型が襲い掛かるのをイングラムが捕らえるという状況でテスト.万が一負ければイングラムの未来が閉ざされそうな大一番を前にして,野明も気合を入れて準備完了!
見守る一同の前ではじまる実戦テスト.野明のイングラムと,野明と五味丘とついでに太田の行動パターンを学習した改良型の戦いは…事前の予想以上に圧倒的.鉄パイプ持って襲い掛かる改良型をイングラムは華麗にかわして武器を奪い,バランスを崩ししゃがみこんだ改良型の首元に後ろからさっと突きつける! 改良型の売りのパワーを見せる隙すらない,煌くような早業だ! このふがいない結果に「まだ終わったわけじゃない!」と山本君はなおも背後から襲うんだけど…その手を器用に外して逆に腕をキメてしまうイングラム.黒い奴とあんだけの激戦を繰り広げた腕は伊達じゃない! 「それまでだ!」という実山の敗北宣言に,やっと野明は少し笑うのです.

後日.結局改良量産機を次期警察用レイバーとして導入する話は立ち消えに.あの力は確かに魅力的ではあったけど,現行機に圧倒的に負けてしまっては無理だよな(笑).ともかく力が欲しかった太田も,同僚の野明の大勝利の結果としてあのレイバーが来なくなることは結構うれしいらしくて,「で,太田さん,感想を一言!」「…俺に,何を言わせたいんだ」「別に?」と遊馬に茶化される.プログラムよりは人間の方が遥かに腕は上! …現在のところ.
けれどこの結果に困るのは第1小隊.改良型が入れば五味丘隊長での新小隊設立って話まであったから,五味丘の承服できかねるっぷりは普段の彼の落ち着きからすると異様.もちろん彼が必死になる気持ちは南雲隊長もよくわかるけど…「もう少し待とう!」と部下を諌める.いずれ街にはあの改良型が量産機として溢れるだろう.それとほぼ変わらぬ機体で,今後どこまで仕事が続けられるのか? …暴れるレイバーを圧倒的な力と技で封じねばならないこの仕事では,1年程度で現行機に負けてしまうような機種では絶対に困るのです.
いくらパイソンよりはマシだとしても,このままではイングラムと同程度の機種が出た時点で間違いなく負けるような機種なんかいらない.第1小隊に配備されるのは,最低でもイングラムを超える機体でなければならない.今回の計画中止はそういう意味で,もちろん篠原重工では既にその道の模索がはじまっているはず…しかもしのぶの予測としては,イングラムを正常進化で超える機体が生み出されるのは「もう少し」先に違いない.決して遠い未来ではないから,十分に待つ価値があるのです.
イングラムを護りきった野明は久々に上機嫌.改良型にずっと感じていた違和感の正体は,ハードとソフトの両面で蓄積された野明と整備班の試行錯誤.新型には,プロの整備士たちによる自分のための長期の繊細な調整がなかったからしっくりこなかったのだ.…イングラムは整備士たちの手によって野明の体に近づき,野明も日々の訓練と経験によってイングラムの脳として完成してきている.動作によっては,きっとイングラムの誤差はミリ単位まで突き詰められているんだろうなぁ….
思いっきり敗北した実山はマシンとしての改良型には今でも自信を持っているけれど「警察用レイバーのように予測できない動きを強いられるレイバーの場合,パイロットの技量とそれを支えるメンテナンスの重要性を改めて認識させられた」という敗者の弁を電話でよこしておりました.ただの機械を凄いパトレイバーに変えるには,やはり使い手たちの熟練の技が不可欠! …だから次期パトレイバーは,イングラムの正常進化型に方向転換.
野明は「新型機なんて必要ありませんよ!」とアルフォンスが一番!な笑顔を見せておりますが,技術の進化著しいこの業界では,次期機種のイングラム越えはそう遠くない将来に間違いなく現実となるはず.では,現在のイングラムの持つ優位性を全て越える次期機種が彼女の前に姿を現したとき,イングラムが一番と信じる野明は一体どうするんだろう…なんて話はもう少し先.割とお気楽な次回に続きます.

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