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機動警察パトレイバー#44

「思う存分おふざけの極みの巻」

2週間のニューヨーク出張を命じられた特車二課整備班のシバシゲオ.はじめてのニューヨークで市警察のレイバー隊本部へ向かおうとするシゲを,香貫花が迎えにやってきた.彼女が案内したのはダウンタウンのレンタルビデオショップ.そこで身分証明を見せパスワードに答えなければ,ハドソン湾地下の秘密基地には入れないのだ.
香貫花に案内されるCLAT基地は,とても現実とは思えないような仰々しい近未来SFの世界.そこで働く隊員たちはいちいち誰かに似ていて,出動するエンジェル隊に至っては全員が第2小隊の隊員たちそっくりな上,その仕事ぶりは第2小隊が可愛らしく見えるほどに滅茶苦茶.特撮人形劇の如き出動シーンでエネルギー研究所を守りに行ったはずなのに,結局その研究所をぶっ壊した上平気で帰ってしまうのだ.

終了目前ということで,これまでテレビシリーズを支えてくれたキャラたちに光を当ててねぎらっている「パトレイバー」.今回はもう見るからに作り手の趣味全開なおふざけ話って言うか夢オチで(笑)主役を務めるのは整備班の若頭であるシゲ.他メディアの同作品に比べると整備班がやたら目立っているってのもテレビ版の大きな特徴の1つ.特に押井氏が整備班に注いだ愛情がどれほど深かったかについては,彼の脚本回を並べるだけでも十分にご理解頂けるんじゃないかと思います(苦笑).
ちなみに今回は脚本伊藤和典,絵コンテ吉永尚之,作画監督・原画土器手司で無駄に豪華すぎ.この先シリーズのクライマックスが待っているのに,こんなところで全力を出し尽くしてどうするんだとつくづくツッコみたい布陣! そしてこの色々なところから凄く怒られそうな徹底したパロディっぷり遊びっぷりは,現代においてもサンライズの強みの1つとして色濃く継承されちゃって…本当にいいのかなぁ(苦笑)?

前半.2週間のニューヨーク出張命令を受けたシゲはすっかり有頂天! パトレイバーの運用についてはアメリカは未だ黎明期で,技術支援のために若手のエースとして送り込まれることになったのです.仕事でも外国旅行となれば気も浮き立ち,「NY行きの辞令を手に…!」とかはしゃいでいたら足元がお留守になって階段から落下! 派手に落っこちて「あい,らぶ,にゅーよーく…」と言い残し意識はそのままホワイトアウト….
夜空を飛ぶ飛行機の中,既に機中の人であったシゲは悪夢から目覚めます.「随分うなされてたわよ」と隣席のおばさまに言われるシゲ.掴んでいる本にはなぜかダーティペアが…(笑).生まれたばかりのレイバー隊に技術を伝えるという重要な仕事でここに来たシゲの眼下に広がるのは,ニューヨークの夜景と自由の女神! 浮き立つ気持ちを反映するかのような派手派手しい音楽の中で降り立った空港は…なんかどっかで見たような巨漢が並んで歩いているあたりから,既におかしい(苦笑).
早速タクシーでニューヨーク市警察レイバー隊本部を目指そうとするシゲ.しかし運転手に行き先を告げたらどこだそれ知らんと異様に冷たい反応.しまいには文句があるなら降りなとまで言われ,シゲことバナナ坊やは無理やり車から落とされる.横暴に腹を立てたシゲが「リメンバースーパー301!」と叫んだら,いきなり機関銃が出てきてびっくり.さすが銃社会(笑)! …スーパー301条は1988年に施行された,アメリカが他国の不公正な貿易慣行や輸入障壁を改善させるための手法を定めた強力な条項で,要するに当時の時事ネタなんですね.
普通のタクシーの運転手がシゲを狙って機関銃連射! 背後で同じ顔の男たちが丸まって身を守る前を爆走するシゲ.異様に映像のテンポがいいぞ! 明らかに殺す気で狙ってきているタクシーは…突如爆発.一体何がどうしたのかと思ったら,赤と紺のかっこいい制服を着た上になぜかバズーカを持った香貫花が「Welcome to NewYork city!」と迎えに来てくれたのでありました! …どこもかしこもどっかで見たことがあるような気はするけれど,あまりに現実離れした展開にシゲは呆然だ.
香貫花が運転する車の中,銃社会アメリカの洗礼につくづく驚いたシゲだけど,本当に驚くのはこれから.そこにはレイバー隊の知名度が異様に低かった理由も絡んでいるのだ….香貫花がシゲを連れてやってきたのはダウンタウンのビデオショップ.「日本の特撮フィルムの新作は入っているかしら?」と店員に聞いたなら,身分証明を見た上でビデオテープと一番奥のブースを勧められます.…そこに2人で入っていきなりはじまる鑑賞会.なぜつまらないビデオなんかわざわざ見るのかと思ったら,スクリーンに浮かび上がるのは日本で一番有名な怪獣のシルエット.
シルエットが聞く今週のパスワード.香貫花は「スペインでは主に平野部に雨が降る」と答えて合格.そのまま部屋ごとどこかへ超高速で運ばれていく!…画面の中を右往左往した末にたどり着いたのは一体どこ? 「マンハッタンエキスプレスのご利用,ありがとうございました」ってあの部屋が超特急? つうかこのニューヨーク,明らかに全部おかしくね(笑)? シゲにはわからないことが山のよう! でも香貫花はしれっと「ついたのよ」なんて言うのです.
ブースから出た先はレトロフューチャーな秘密基地,Crime Labor Attack Team略してC.L.A.Tの基地! ハドソン湾地下90メートルに作られたここへの入口は,隊員の家族にすら秘密なのです! …とても現実とは思えない基地でシゲが見たのは,でかいハンガーに仰々しく並ぶ青と白のイングラム5機.やたらケーブルに繋がっているのがいかにもな感じだ(笑).基地にはもちろん香貫花以外の隊員たちも勤務してます.ミニスカに特徴的な紫のボブで,妙にUFOが似合いそうな美人たちもおりますね(笑).
さらに司令官や整備班長は,もう性の悪いコスプレとしか思えないほどに後藤や榊にそっくり.さらにタイミング良く出動要請が入って出て行くエンジェル隊もまた,劣化パロディな感じで似てるんだよなぁ….「ハドソン湾に叩っ込むぞー!」とサングラスのかっこいい榊が怒鳴る中で出て行く2機のイングラム.1号機のアンダンテさんは色指定とそばかす以外は野明であり,2号機のフォルテシモはもうそのまま太田.派手に動く天井にせり上がるイングラム.公園にサイレンが響いて湖が裂けて…あれはイギリスじゃなかったっけ(苦笑)?
出動先はすげえうさんくさいデザインのエネルギー研究所.シャフト社のエイブラハムに襲われていて,状況は「ヨクナイデスネィ!」とヤンキー喋りで報告する,金髪巻き毛の遊馬もどき.しかしこの能天気バカはまだマシな方.本当に危険なのは情けない声で発砲許可を求める進士もどきだ.周囲の被害を最小限に抑えるために早く撃てという香貫花理論の破綻ぶりも酷いですが(苦笑),エイブラハムに緊張して眼鏡光らせて(笑)支援車から全弾発射した上に全部後ろのエネルギー研究所に当てちまう進士もどきは凄いや! 色んな意味で!
ネイティブアメリカンのひろみもどきは「ヒガイ大きい,ワタシ,嘘ツカナーイ」と嘆じ,「オー,マイ,ガー!」と進士もどきはパニックに.ちなみにエイブラハムは太田…じゃなくてフォルテシモがすぐさま発砲して爆砕.結局犯人には逃げられてしまうんだけど,これを他部署にあっさりお任せした上で「さ,帰りましょ」とか言っちゃう香貫花.他の連中が極端な劣化コピーであるように,彼女もまた本物の香貫花のもどきであるようです.

後半! 恐らくは翌日.とても眠そうなシゲに.ぐっすり眠れた?と聞くアンダンテ.「それがいつ寝ていつ起きたやら」と答える彼の頭は夢現を彷徨っております.CLATの詰め所ではアメリカンジョークを放つ遊馬もどき.これが壮絶につまらないので(苦笑)シゲが面白い話を1つ.「Mr.Kuma said,"TONARI NO AKICHI NI KAKOI GA DEKITATTE NE". Mr.Hachi answer, "HE. KAKKO II".」…そのつまらなさ,場の読めてなさは寝言としか思えない(笑).
ここに司令官こと後藤もどきが香貫花とともに登場.ちょっといい知らせと激しく悪い知らせをセットでお届け.いい方は今日の昼飯はスシセット! そして悪い方は昨日のエイブラハムはオトリでした! 昨晩の犯人はエネルギー研究所から地球そのもののエネルギーの結晶体,ジオクリスタルを既に持ち去っていたと言うのです.…確かに本作はなんでもありで超常現象を受け入れる度量すらあるけれど,そのプラネットエナジーみたいなのは明らかにジャンルが違わないか(笑)?
当然ジオクリスタルは至極危険な代物で,核爆弾がお手軽に作れちゃう危険物質.この先は相当危険な事態が待っていそうなので,適度に緊張してちょうだいと司令官は指示.…凄い爆発物が出てきた時点で,この荒唐無稽な話のオチはもう見えたようなもんだよね(笑).
さらにシゲは榊もどきことMr.ゴッドウッドに呼ばれます.シゲと榊もどきが歩いて行くCLATの中では,どこかで見たことのある天本さんたちが苦悩していたり謎の薬品を作っていたり…今回は貪欲に仕込むなぁ(笑).いろいろツッコミどころが満載なこの国でも「ボルトはボルト,ナットは水戸…」榊もどきはオリジナルと違い,随分と笑いに寛容であるらしい.
機械のことは機械に聞けと主張するミスターには,わざわざシゲから技術指導してもらうほどのことはない.しかし別件でちょいとした問題が.図面を引いたはいいけれど,これをどう実現しようかと話を持ちかけられてシゲの目が輝く! それはマニアならばぜひとも手掛けたい夢のプロジェクト.「やります! やらせてください!」
てなわけでシゲはマニアな技術者としての夢の中.折角のスシランチも置き去りにして開発に勤しむことに.隊員たちは帰ってこないシゲよりも,ぱさぱさになっていくシゲのスシランチが気になるようです(苦笑).しかしここで国連ビルに所属不明の巨大レイバー出現の報! さらにそれに合わせるように戻ってきたシゲがいきなりやせてる…昼食抜いた程度なのにな(笑).
新スクランブルを完成させるために昼飯を抜くという大きな犠牲を払ったシゲ.しかしその身に残るわずかな力で,出動シーンを見たがるぞ(笑)! 日本からやってきた彼が榊もどきとともに作り上げたスクランブルは,確かに日本文化…っていうかシゲの趣味とついでに制作会社の心意気が滲み出す出来となっておりました.「イングラム,GO!」
カタパルトに乗るイングラム.この時点でもう嫌な予感がするわけですが(笑)その予感は当然のように成就され,パイロットが「行きまーす!」と叫んだ後で射出される! …自社作品でパロディをやるというお家芸は,こんな頃から培われてきたのだなぁ(苦笑).元ネタは通常リアルロボットとして扱われてますが,より現実寄りなこの作品から見れば十分にスーパーロボットなんですね.
リニアカタパルトシステムに運ばれた先は海中! ここでしげ・ふぃーるどをオンにすれば,機体と水の摩擦係数が0になっちゃう! さらに…ごっどうっどどらいぶをオーンにすれば海中より水上へと機体が浮上!背中に装着した羽根がばっと広がり,どっかのサンライズロボットみたいにかっこよく夕焼け空の下を飛んでいくのだ! そのイカれた光景にシゲ感涙,隊内では沸き起こる歓声!
…まるで話が終わったかのような盛り上がりっぷりですが,実際はイングラムが出動しただけで,巨大ロボットは当然健在(笑).どっかで見たことのある寸胴なシルエットのロボットには,胸にSCHAFT!と思いきり入っております.ゆっくり動く悪のロボットの手には問題のジオクリスタル.さらにもう片方の手には飛行機で隣の席だったおばちゃんが悪の幹部として御登場!
色っぽい役柄はやはり自分の年齢を考えるべきで,無茶にやったってラズベリー賞を与えられて晒し者になるだけだと思います(笑).特に悪の女首領スタイルは露出度が高い上に馬鹿馬鹿しいので,若さなしでは押し切れないほどに過酷.全世界はただちにひれ伏せ,さもなくばジオクリスタルの炎が穢れた街を焼き尽くす…とどっかの悪の元助手みたいなことを言い出したおばちゃん.「世界はひとつ,人間皆他人!」と披露したそのボディは!…ああ,それは絶対ダメだ…(苦笑).
なんかもう痛々しいおばちゃんの指示で動き出す巨大ロボット,メガアイアン! もうスケールに差がありすぎでイングラムは逃げるしかない.アンダンテなんかワニに追われたときのように気を失いながら走ってるぞ(笑)! 司令官たちもここでは逃げの一手しか選べない.知恵と勇気でなんとかなる領域を遥かに越えてて,あんなでかいのどうしようもないよ!
イタい悪のおばちゃんは自分で壊したがれきに当たって腹を立て,潰しておしまい!と2号機を思い切り踏みつける!…けれど間抜けな悪役は踏んだはいいもののそのまま地面に足がめりこんで,1話限りのゲストメカとはいえもう本当にどうしようもないメガアイアン(笑).主役たちはとりあえず何の手も打つことができずひたすら逃げてただけだけど,事態を引っ繰り返す大チャンスが転がり込んできたような気が!
動けない上にメカのコントローラーまで落としちゃったおばちゃん.野明もどきは「州条例によって,あなたには黙秘する権利があります.大人しく指示に従いなさい! 」とかかっこ良く警告するんだけれど…もう遅い.既にジオクリスタルを使った自爆装置が作動を開始! 爆発物エキスパートである香貫花でも解除が無理ということで,なぜかシゲがこれを分解することに.…失敗すればアメリカ大陸ごと消えるというこの一大事に日本から来た1エンジニアが抜擢される状況が異常!
アメリカが救えるかどうかはシゲの腕にかかってる.重責を与えられた日本の1整備員はひたすら頑張って…ついに「わかったぁ!」と解発見! これでアメリカは救われる.自由の女神像の横にあなたの銅像が並んで立つわ!なんて香貫花はまるで彼女とは思えないほどにシゲをベタ褒め.しかしそれで照れ隠しに外しちゃった基盤は大ハズれ.結局自爆装置作動で大爆発!アメリカが世界地図から消滅した! という,夢.

自分を呼ぶ声で目覚めたシゲが「おー,Mr.ゴッドウッド?」と挨拶したら,馬鹿野郎!と頭から榊班長に叱られる(笑).ここは日本の某病院の某病室.しかもシゲの足にはがっつりギプスはまって天井から釣られており,今回がほぼ全編夢であったことが明らかになったのでありました.辞令受け取って浮かれて階段から落ちてから先はもちろん全て夢であり,現実は全治3週間で当然NY行きも取り消し!
…しかしマニアなシゲはちっとも落ち込むことがなく,むしろご機嫌で「いい夢見させてもらいまった!」と感謝の言葉.確かに本当のNYに行ったって,あんな体験は絶対できないもんなぁ(苦笑).フィクションの中でフィクションを描く入れ子の構造や,夢を現実よりも上のものだと作中人物に評価させるねじれっぷりがとっても伊藤脚本.シゲの笑顔は,どさくさにまぎれてこんな怒られそうな回をやってのけた作り手たちの会心の笑顔でもあるに違いない(笑).…てなわけでおふざけはここで打ち止め.再び野明に焦点を当て,最終エピソードに向けて掘り下げていく次回に続きます.

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