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デジモンセイバーズ#42

「あなたは僕よりも弱いの巻」

人間界を滅ぼすことを決めた大門博士の真意を拳で質すため,マサルはシャイングレイモンとともにデジタルワールドへと旅立った.残ったトーマたちは人間界を守るために奮闘するが,相手の数は多く守るべき範囲も広い.さらに湯島からノルシュタイン家の自家用機がデジモンたちに襲われたという報告が入る.ミラージュガオガモンとともに妹たちを救いに向かったトーマは,こんな危険な状況でオーストリアに戻ろうとした父と衝突する.
常にノルシュタイン家の家名を優先する父にトーマは怒る.母が事故で死んだ後,ノルシュタイン家に引き取られたトーマは常に家名とその家名に従う父の態度に苦しんできた.名家にとってトーマは望まれぬ子どもであり,死んだ母も侮蔑の対象にされたのだ.これまでの怒りを父にぶつけるトーマだが,父は家長としての尊大な態度を崩さない.それでもトーマはノルシュタインの全てを憎んでいるわけではなかった.幼い頃から見守ってきた妹のことは,家名など関係なく守りたいと思ってきたのだ.

勢い増して近づく終末を前に,本気で戦うつもりなら覚悟を決めなきゃならない「セイバーズ」.主役のマサルは一足早く覚悟を決めてデジタルワールドに飛んでいき,ここからは残った3人の話が2回続きます.今回は当初は明らかにマサルより格上だったはずがあっという間に追い抜かれ,今もマサルとの差が開きつつある気の毒なトーマの回.もちろんあんな滅茶苦茶の真似をしろとは言わないけども(苦笑)もうちょっと自分に自信を持たないと,最後の決め手がデジソウルという名の精神力勝負なデジモンバトルじゃ活躍できないぞ?
バーストモードを引き出す純粋なデジソウルの発動には憎しみや怒りのような黒い感情は邪魔.自分の生まれによってその黒い感情を抱えてきたトーマがもう1段上に上がるには,それを捨て去らねばなりません.自力で今のマサルと同じ領域に到達したそのときこそ,適当な言い分で自分たちを置いていったあの頼りない奴に「もうお前ら父子だけの問題じゃないだろ」と正面から反論するだけの自信が得られるはず.脚本は掛け合いが面白く繊細な横手氏.作画監督も伊藤氏でさすがに気合が入っていますね.

他所の世界の神になっちまった父も父ですが,その父の真意を確認するために弟分とふたりきりで殴りこみをかける息子もどうかしています.しかしその滅茶苦茶理論を覆すだけの気合がなかった仲間たちは,おめおめとマサルたちをデジタルワールドに行かせてしまったのでありました.…多勢に無勢な状況で戦力をさらに分散させることがいかに愚かかこれまで散々学んできているはずじゃないのかお前ら.…もういい加減学べ(苦笑)!
もちろん人間界にはデジタルワールドから次々にデジモンたちが送り込まれて来てはいるものの,だからこそ,それを根本的に止められる唯一の可能性であるマサルを守らなくてどうすんだってなもんですよ.飛来するナイトモンの数はとても小チームで防ぎきれるようなもんじゃないんだから….雲霞のようなナイトモン相手に奮戦するミラージュガオガモン,レイヴモン,ロゼモン.不利はわかっていても少しずつでも対抗するしかないかと思われたところで,リリーナたちとともに行動していた湯島から緊急連絡が.
飛行能力を持つデジモンたちによって人間界の空は既に支配されているってのに,空港から飛び立とうとするのはノルシュタイン家の自家用機.もちろんナイトモンたちに襲われて離陸失敗.湯島がガワッパモンでフォローしてくれてるからなんとかなったものの,このままでは飛ぶ以前に飛行機ごと消されたっておかしくない…なぜこんな危険を冒しても飛びたいのか,父の考えは娘のリリーナにもよくわからないはず.血相変えて機長に怒る父はただ怖いばかり….
状況はやっぱし悪化しさらに爆発と衝撃! 機内の明かりは消えてリリーナも倒れ,これ以上の助けなどもはや期待できないこの状況.飛行機ごと命を吹っ飛ばす危機に取り乱した父は「誰か,誰か助けてくれー!」とみっともなく叫ぶ! …激しい爆発音と衝撃,そして急激に静かになっていく機外.父が見たのはミラージュガオガモン.彼が息子の指示を受けて命を救ってくれたのです.
ただでも悪かったリリーナの容態はさっきの衝撃でさらに悪化.こんな酷い状況に大事な妹を追い込んだ父にトーマは顔をしかめます.「リリーナを無用な危険にさらすのはやめてください!」と怒るトーマに,ノルシュタイン家を守るために「オーストリアに帰る」と言う父.離陸禁止令なんか家の名でなんとかなるとかそういう問題じゃなく,飛ぶと殺されるから禁止されているってのに! …親子喧嘩に同席するガオモンがなんか気の毒.トーマの荒れる心もよく伝わってくるから,なおさら心配になるんだろうなぁ….
たぶんこれがマサルなら,絶対もう父をぶん殴っているはず.しかし悲しいことに激情には飲まれないトーマは,「…第2陣の恐れがあります.早く退避してください」とぐっと我慢.けれど父は妹をこんなにした上で,なおも無理を通そうとする.「だったらお前が警護しろ」とか「妹の命くらい守ろうと思わないのか」とか,もう一々父の言ってくることが癇に障ってたまらずに…ついにトーマもキレました.「そういうあなたはどうなんですか」と,「何を守ってきたというんですか」と,大嫌いな父に彼らしくない感情的な言葉をぶつけるのです.
トーマとノルシュタイン家の辛い関係のはじまりは,母が事故で死んだ後から.ひとりきりになったトーマを父が迎えに来たわけですが,その頃から既に父と息子の心は食い違っていたようです.母との深い思い出の残る家から離れるときも,その思い出や気持ちを息子と共有するような余裕は父にはなさそうだったし,トーマ自身もそんな自分の欲求を無理やり押し切れるほど,強情でもバカでもなかったのが苦しみのはじまり.
オーストリアのノルシュタイン家に引き取られたトーマは,望まれぬ私生児であるという理由で祖母は逢う事を拒否.厳格な彼女は血の繋がりだけではノルシュタイン家の人間とは言えないと断言し…なんかどっかのホスト部の部長のお祖母さまがこんな感じだったっけ(笑).ノルシュタインを継ぐ大事な息子にお前たちが傷をつけたのだとでも言わんばかりに,優しい母を失ったばかりで,父以外に知る人もいない外国に連れられてきた心細い少年に向かい,母親を罵倒するのです.
若い物知らずな留学生をたぶらかした女と自分の母を罪びとのように言う祖母は,「お前はノルシュタイン家の人間であって,ノルシュタイン家の人間ではない」と言うのだ.それはこの家以外に行き場のないトーマに,この家には入れてやらないと宣告するのと同じことで….しかもそんな酷い仕打ちを受けるトーマを,どんなときでも無条件に救ってくれるはずの父が救ってくれない.…自分に顔を向けてくれない.母は侮辱されたまま.トーマは本当にひとりぼっちだ….
今もトーマはあのときのことを忘れられない.「あなたは母さんを侮辱したんだ! 沈黙という,最も卑劣な方法で!」…ずっと抱えていた黒い怒りと憎しみ.こんな重いものを抱えながらデジソウルをオーバードライブしてきたトーマは結構偉い.でも純粋なデジソウルに至るには克服しなきゃダメそうだ….ナイトモン第2陣の飛来にも,ノルシュタイン家の人間ならばなんとかしてみせろ!としか言えない父にイラつくトーマ.しかし大事な妹が発作を起こしたとなれば,嫌いな父と同じように衝撃を受けるのだ.
自分を嫌うノルシュタイン家で,唯一トーマに好意を向けてくれていたのが妹のリリーナ.トーマとは違いリリーナは「ノルシュタイン家の大事な子」で,生まれる前から望まれていたうらやましい存在.けれどそんな面倒な家庭の事情など知らない彼女はとてもかわいくて,トーマの手を欲しがって泣いたのだ….つい妹に差し出した手に触られてあわてて手を上げた上に,ぐずられてうろたえる幼いトーマが微笑ましい.立場の違いはあるけれど,それでも彼女は自分と同じ父を持つ妹で,自分は彼女の兄なのだと感じたんだろうなぁ….
外では湯島が既にフルチャージでシャウジンモンに進化させて奮戦中だから,トーマもすぐに援護に向かいます.「なんとかします.リリーナのために」とトーマ.「だけど僕は,ノルシュタイン家の人間だからじゃない!」と父に反発することも忘れない! …こんな言い方している間はきっとバーストモードは無理だ(苦笑).父と通じ合えるもの,共感できるものが見つからないトーマは,どのようにして黒い心を捨て去るのだろうか.

ナイトモン第2陣の襲来から飛行機を守るため孤軍奮闘するシャウジンモンに合流するミラージュガオガモン.いきなり割と打ち解けて戦う2体は獅子奮迅の働きぶり! すいませんと言いながらトーマも湯島と合流.彼が家庭の事情にやられているのを知っている湯島は「何のことじゃ?」ととぼけてくれていい人だ.大変なのはこれから.ナイトモンどもの後にやってきたのは…ロイヤルナイツのロードナイトモン! 尊大な態度に見合った恐ろしい実力を持つ難敵です!
ミラージュガオガモンが早速仕掛けるけれど,敵のミラージュマスカレイドの見えない速さであっという間にぼろぼろに! 気合勝負なデジモンバトルでは出鼻をくじいて精神的な主導権を取る事は相当重要なんだけど,トーマはそれに思い切り失敗….同じ究極体でも実力差のありすぎる相手と戦うにはどうしてもバーストモードが欲しい.けれど今彼が背負う複雑な状況が心を乱し,純粋なデジソウルどころか冷静な判断すらも難しい….
もちろん悩み苦しむのはトーマだけではありません.これまでトーマが露骨に反発しなかったのをいいことに散々傷つけてしまった父の後悔も相当深い.「家のため」という便利な言葉で息子に自分たちがどれほどひどいことをしてきたのか,憎しみを真っ直ぐぶつけられたことで今更ながら気づきます.…生まれたときからノルシュタイン家に飲み込まれてきた父にとって,家の決定に従うのはごく自然なこと.だからトーマにとっても当然なのだと思い込んでいたのが,ここで完全にひっくり返ったのです.
もちろん父だって家の決定に逆らいたいことは山ほどあったはず.特に立場の違いで結ばれなかった愛する人と,その人との間にできた大事な息子については格別に….それでも父はノルシュタイン家の権化である母の言葉に反発を貫くことはできなかった.リリーナが生まれた後で,体の弱い彼女ではなくトーマに後を継がせることも,その妻にはしかるべき家柄の娘を当てることにも反対できなかった.子どもを家のための道具扱いすることがどれほど酷い話なのかわかっていたのに,家名に翻弄される息子を守るどころか放置してしまった….
力及ばぬミラージュガオガモンとシャウジンモンの悲壮なバトルは継続中.ついにシャウジンモンの進化が解けて,残るはミラージュガオガモン1体のみ.もちろんこっちのダメージは相当激しいのに相手は無傷.ついには滑走路に倒されてしまうミラージュガオガモン.…その背後では具合の悪いリリーナが飛行機から下ろされストレッチャーで運ばれていくわけですが,ふいに目を覚ました彼女が走るトーマの後姿を見たのがまずかった! …ノルシュタイン家から離れていった兄の幻を追うように…「行かないで!」と追いかけてしまう!
幼い頃と同じ気持ちでどんな打算も強制もなく,ひたすらに兄を求めるリリーナ.そんな彼女を巻き込むようなロードナイトモンの攻撃が! このままでは父の手の届かないところで彼女が殺されてしまう! …そんな弱い命をその身で守ってくれたのは,トーマとミラージュガオガモン.ノルシュタイン家を離れ人ならざる力を持った彼らは,父が守りきれなかったものを見事守ってみせたのです.
…どんな無茶をしても,うさんくさい倉田の手を借りてでも守りたかった娘の命を救われて,父は息子の前で膝を落とし手を突いて…「私だって,私だって必死にやってきたんだ…」と泣き言を言い出します.家の名を守るために必死にやってきたんだと泣く姿に,トーマは昔の自分を思い出しました.幼い自分が泣いていたのと同じように泣いている.家に苦しめられて何もできずにいる.けれど今のトーマは前の自分や今の父とは違う.もう泣いていない.孤独でもない.それに…泣いているのを止める力だって手にしたはずだ!
だからトーマは行く.父にリリーナを任せて守るべきものを守りに行く.「僕が,あなたを守ります!…絶対に守りますから.リリーナにも,指一本触れさせません!」…もちろん「イエス,マスター」とミラージュガオガモンも言葉に従う! 「もうお前の好きにはさせない! トーマ・ノルシュタインの名にかけて,お前を倒す!」…デジモンバトルは元から計算だけで勝てるものじゃない.どれだけ力量差があろうとも,デジソウルという名の気合さえあれば事態はいくらでもひっくり返せる.それがこれまでの経験でトーマが覚えた,大門マサルの方法だ!
ロードナイトモンに対する侮辱のようなトーマの宣言.家族を守るという意思を明確な言葉にすることで,ついに全身からデジソウルが噴出! ロイヤルナイツすらその圧力で吹っ飛ばす純粋な願い…自分の力で守りたいのだ! 「チャージ! デジソウルバースト!」ってなわけでついに来たバーストモード! 月光に輝く青銀の戦士へと変わったミラージュガオガモンは,圧倒的なデジソウルで宙を駆けロードナイトモンを圧倒する.人間界を守る.2人の意思には欠片ほどのずれもない!
真っ直ぐに同じ方向を見る2人の力はフルムーンメテオインパクトとして結実.やっぱり最後は根性と覚悟の勝負.弱い家族を守りたいという一心によって,とても勝てないと思われたロードナイトモンだってやっぱり撃破! …ここで他の卵とは違って,上空へと向かっていくロードナイトモンの卵.ロイヤルナイツゆえの特別扱いらしいけど,一体どこに向かって飛んでいくんだろうか.やっぱりイグドラシルかなぁ?

発作を起こしたり走ったりしたもののなんとか命を取り留めたリリーナは,病院の一室で寝かされることになりました.恐らく戦いが終わるまで,彼女たちはここからもう動くことはできないはず.…そしてトーマは家族をここに置いてデジタルワールドに向かう覚悟を決めます.「大丈夫なのか」と聞く父に,リリーナはもう落ち着きましたと答えるトーマ.けれど違うと父は言う.「お前のことだ.無事に帰ってこられるのか」と…自分のことを心配してくれた!
子どもの前で泣き子どもの心配をする,厳格なはずの父の情けなさや人間らしさに微笑むトーマは,「大丈夫です.僕は,ノルシュタイン家の人間ですから」と,父に宣言して部屋を出る.…もちろん家名を誇るわけじゃなく,子どものためにみっともなく右往左往した父と同じくらいには頑張れるってくらいの意思表明なんでしょう.これほど心が大きく強くなったトーマなら,きっと将来もノルシュタイン家の事情なんか無視して,自分の道を勝手に切り開いていくような気がします.
湯島に礼を言った後,トーマはガオモンとともに早速新たな道を進みはじめます.「行こう! マサルを助けに!」「イエス,マスター!」…一度はマサルの気合に負けて居残ってしまったけれど,やっぱりあんな無謀が服着て歩いてるような奴らを放っておいていいわけがない(苦笑).いきなり言葉を翻す格好の悪さなんか無視すればいい.どれだけ矛盾してても間抜けでも,己のやるべきことを…やりたいことを貫くのだ! てなわけで,前言撤回第2弾となる次回に続きます!

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