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機動警察パトレイバー#43

「自分なりに自分らしくの巻」

ドキュメント「働くお嬢さん」の撮影が,あの桜山リポーターとともに第2小隊にやってきた.取材対象は女だてらにレイバーを駆る泉野明巡査.3日間の密着取材に全面協力するということで,主役だけでなく周囲もかなり浮き立っていた.訓練の柔道にもカメラが入り,野明が熊耳に見事に投げられる様もカメラに収められ,さらに頬に傷までつくってしまった.
熊耳に比べたら美人でも有能でもないことは知っているけれど,元気なところがいいのだと言われるのは女性としてどうしてもうれしく思えない野明.頬の傷を気にしながら出た番組予告の生中継では「七転び八起き」を「七転八倒」と間違われてしまってなお悲しい.しかし,不本意な取材は終わらないどころかさらにエスカレートしていくのだった.

シリーズの終わりを目前に,なんとなく野明が話の中心にいることが多くなってきた「パトレイバー」.本作の主役と言えば,周囲のアクがあまりに強すぎて普段は迷彩並みに背景に埋もれていることでおなじみであるわけですが(笑)それでもシリーズ全体に縦糸を通すのは主役の存在と成長であることは間違いない.この回もまたちょっとした1話完結のエピソードではありますが,時を経て,アルフォンス以外にもちょっと目が行くようになってきている野明の成長ぶりが見られるような気がしなくもないかも….
今回のゲストはヘルメットでおなじみの桃子さん.6話の初登場から34話40話そしてこの43話と案外よく働いている彼女もまた,前回のテロリストどもと同じく本作を支えるゲストキャラクターの一人…に勝手に昇格しちゃったみたいですね(苦笑).声の林原めぐみは,当時は幼女役で当たり役を掴んだくらいの新人であったわけですが,その当たり役方向だけに突っ走ることなくこういう大人の女性も演じていたってことが,きっと後の凄いキャリアに繋がっていったに違いない.

前半.冒頭から後半クライマックスの内容を先取り! この無駄に凝った構成はマスコミ絡みの回だからか(笑).ガスタンクの側でタイラントが桜山桃子を人質に! レイバーで人質を握り締めた犯人の耳には説得が届くことはなく,彼女と一緒に死ぬつもり.問答無用だとぎゅっと握り締められた桃子さんはそれでも「最後の時が近づいて参りました!」と実況を続け,そして…「幸せでした…」と美しく意識を失ってしまう彼女の生死については20分後を待て!
本当のはじまりは2日程前の平和な特車二課.地の果て13号埋立地にテレビカメラがやってきた! しかもいつもの不祥事の取材じゃなくて(笑)衛星ドキュメント「働くお嬢さん」の取材ってんだから椿事です.警視庁のお荷物,正義の破壊集団…と桃子さんは相変わらず立て板に水で酷いことを言ってますが,羨望と賞賛と罵声ならたぶん罵声が9割という第2小隊で誰を取材するのかと思ったら,常に埋もれる泉野明巡査ですか.それはなかなか,マニアックなセレクションですね!
第2小隊を割と好意的に扱ってくれる取材は珍しいので,撮影に全面協力する隊員たち.わざわざ点呼を取る様子を撮影させてみたり「気をつけよう暗い夜道と逆上レイバー,この顔にぴんときたら特車二課!」と全員で斉唱してみたりともう違和感バリバリ.そこにわざとらしく桃子さん一同が登場してこのシーンの撮影はOK.これから3日間慣れない緊張にやられるのはなかなか辛そうだよなぁ,
あのプレッシー事件もご一緒した桜山さんが興味を持ったということで,この独立愚連隊に白羽の矢を立てたテレビ局も相当豪気だ.プレッシー事件なんて爆発オチに近い形で終わったってのに,命知らずにも程があるなぁ….一番うきうきしている課長は設立の理由を聞かせるべくセールスするけれど,露骨に目を逸らして聞きたくなさそうなスタッフがおかしい.マスコミの言う「ぜひ!お聞きします!…いずれ」ってのは絶対聞かないと一緒だよね?
オフィスではさっき撮影したものを眺めている隊員たち.太ってるとか言われて写真映りの気になる野明に,泉さんは自然でいいと桃子さんやひろみがフォロー.さらに太田までフォロー?してくれるんだけど…気の効かない彼らしく慰め方が明後日の方向.顔で勝負ならミスユニバースは警視総監ものって,とりあえずそういう問題じゃないんだ(苦笑).
隊長室ではご苦労様と榊が後藤をねぎらいます.頑固一徹な職人なら,命懸けの職場に仕事を邪魔する奴が来ることを凄く嫌うのかと思ったら,昔テレビ映りだけで大統領になったアメリカ人もいたっけ…なんて案外のんきな雰囲気.第2小隊が望まずに巻き込まれてるってのをよく理解してくれているからだろうなぁ.「後藤さんも参議院に出たらどう?」なんて南雲体調に言われて「ご機嫌取れるかなぁ」とまんざらでもないふりの後藤.…放映当時の参院選は泡沫候補が面白かったよな.
さて,次の撮影は柔道の練習.畳の上にばったばったと仲間を倒していく熊耳巡査部長は大変に華麗! …最後に控える野明は主役なので気合を入れて戦うわけですが,カメラが気になってできた隙を熊耳さんが見逃してくれるわけがない.颯爽と崩して投げる!…かと思ったら,いきなりスタッフがストップ入れてきます.カメラワークとか汗とか準備を整えた上で…やっぱり放り投げられる野明(笑).事前にどうなるかはっきりわかっていても,シナリオは覆せないものだなぁ.
この投げは野明が途中で気を抜いてしまった分ひどく効きすぎてしまって,吹っ飛ばされた野明の頬には痛々しい傷が.女の子の顔に傷ということで女性陣はすぐ心配してくれるんだけど,女心のわからないスタッフは美人の熊耳さんと元気な野明ちゃんでいいなんて無神経なフォローの言葉がどうにも複雑.元気だって顔の傷はやっぱり嫌なんだけどなぁ….
夕方,野明はイングラムの前で自分の頬の傷にがっくり.そこに桃子さんがやってきて,さっきのスタッフの失言を謝ってくれます.無神経な野郎にはわからない気持ちを彼女はわかってくれてるんだけど,たとえ美人じゃなくても仕事ができる人は輝いて見える!ってなフォローも実は野明の心をえぐるのです.
もちろん野明だって自分を熊耳みたいな美人と思うほどに現実が見えていないわけじゃない.けれど,完全に自分が仕事しか能がないような奴だとも思っていない(苦笑).しかも仕事でも熊耳の方が全然できることまで知っているから,「やっぱ素材が問題…だよねぇ」とどんどん憂鬱な気分に.だって折角主役なのに,横にいる熊耳の方がずっと主役みたいなんだもの.
この放送の予告編だけは生中継なので,不自然な笑顔を禁止される課長とともに第2小隊全員がカメラの前に勢揃い.次回はこの泉野明さんをお送りします!と桃子さんの案内でカメラに大写しになる野明は,頬の傷に手を当てて隠しているのがいじましい(笑).パトレイバーのパイロットで数々の難事件を解決した…ってな紹介まではいいんだけれど,「彼女の七転八倒の活躍にご期待ください!」ってのは明らかに失言(苦笑).しかもある意味間違ってないからなお悲しい.スタッフたちは後で埋め合わせすると押し切るけれど,元々そんなに自信家ではない野明の心はへこんでいくばかり….
…さて,そんな予告生中継が流されていた某病院.宿直の看護婦たちは野明のことを男の子みたいと,本人が聞いたらさらにべっこりいきそうな感想で笑っているわけですが,そこに腹を押さえてやってきた男が「何がそんなにおかしいんだよバカ!」と怒鳴る.腹を抱えてさまようこの男,今日の野明以上に不幸そうな顔で「終わったな…」と流れ星見て思うのです.

後半.行き過ぎなテレビ局の取材はなおも続きます.普通なら全員熟睡してそうな夜明けから,遊馬の先導で宿直棟を行く一堂.この時間にテレビとなれば相場は決まっているわけですが,やらせではなくリアリズムがモットーってお題目は立派だけどやっぱり趣味悪い(苦笑),国民にも知る権利はあるけどさ,それと野明のプライバシー権なら,この場合プライバシー完勝だ(笑).
趣味の悪いスタッフは部屋で寝こける野明をばっちり撮影.…「あるふぉんす」って寝言だって,そりゃ男の名前よりはいいかもしれないけれど,これはこれで相当恥ずかしいような(笑).さらに起こそうとする桃子さんの顔をアルフォンスのつもりで拭くという奇行も披露して寝てるのに絶好調! …化粧を壊すレベルで拭きまくったことで出たOK.けれど,目覚めた野明は自分が凄い寝癖なのに気づいてさらに悲しくなる!
取材という名目でテレビ局によってたかっておもちゃにされて,ついに我慢の限界が来た野明.「年頃なんだぞぉ!」と鏡の前でがっくりし…ここで一念発起! そう見てくれないなら意地でも見えるようにしてやろうと,普段なら絶対やらないことを無理してやって見せるのです!
きっちり髪にばっちり化粧,慣れぬ姿でオフィスに出た野明!…なんかいつもらしくなくて相当おかしな感じだけれど,太田だけには随分好印象.とはいえ誉める言葉が「ついに色気に目覚めたか!」は壮絶に失礼.身だしなみって言ってよね,と普段その「身だしなみ」が全然できてない奴が言っても説得力はなく,「馬子にも衣装」という悪意のない罵倒の方が真実に近い.今この瞬間,野明は相当イタい子になっているわけですが(笑)そこまでは本人が気づいてないのが悲しいよなぁ(苦笑).
もちろんこの程度の異変は,異変の塊みたいな太田を擁する第2小隊ではちょっとした話題に過ぎません.仕事にさえ差し支えなければ問題はなし.しかし川崎のコンビナートでレイバーが暴れているのを鎮圧する時には,やっぱりちょっと差し支えちゃうんだよな.…出掛ける後藤は南雲隊長に馬券を渡して「次のレース,聞いといて」とお願い.500円で当たったら奢るということは,彼らしく穴狙いなんですね.
川崎まで急行することになった第2小隊.取材陣には渡りに船の素敵なアクシデントなわけですが,取材のおかげで今日はいつも通りじゃない奴が1名いるのが若干不安.榊は通り過ぎる野明の化粧水の匂いを嗅ぎつけて,暑くて空気の篭るコックピットにその匂いは向いていないと忠告してくれるんだけど,「でも,大丈夫です」と野明は化粧を落とすこともなくそのまま行ってしまうのです.
今回の犯人はレイバー盗んで自殺志願.自殺するんなら別にレイバーなんか盗まなくてもよくね?とか,不治の病ならどうせ死ぬんだからそのままにしときゃいいのになんで生き急ぐ?とかいろいろおかしな彼ですが,きっと激しいテンパリゆえの自暴自棄な行動なんだろう.で,ナチュラルにテンパったテンションな太田はそんな犯人に「富士の樹海にでも行っちまえ!」と警察官なのに本当にひどいことを言う(苦笑).今回は太田の暴言がいつもに増してひどいなぁ.
とはいえいつもの調子なら,きっと太田が突進して野明がフォローに回ってすぐになんとかなりそうだけど,今回の現場には足を引っ張るために来たような奴がいたから困ったことに.桃子さんは爆走の末に警察と犯人の中間地点に位置取り.報道が紛争の最前線に出たがるのは本能みたいなもんですが,犯人に背を向けて事件に関して盛り上げまくった末に「犯人逮捕までに総額いくらの被害が出るでしょうか!」って不謹慎なクイズなんか出しちゃダメだよ(苦笑).犯人機はむんずと彼女を掴み,こうしてようやく,冒頭の光景に繋がったわけです.
ヘラクレスの手に掴まれて,本気で握られたら即死な状況でも口だけは動き続ける凄いプロ根性の桃子さん.けれどこのままじゃ犯人に一方的に握りつぶされ殺されそうで,どこが戦うレポーターなんだかわかんねえ(苦笑).握り締められる手の中で,可憐にぱたっと倒れる桃子さんだけど,「一人でバカやってんじゃねえ!」って犯人に怒られる.…これはアレですか? 現実の現在でも大問題になっているヤラセですか(笑)?
実はここまで本気で握ってなかった犯人は,今度は本気でぎゅっと握り締めはじめちゃって痛い! 演技なんかやってる余裕なんかないくらいに痛い! あまりの痛さに桃子さん,いっそひと思いに殺してよ!なんて言い出すもんだからもう大混乱(苦笑).いくらキレた犯人だって,こんなぎゃーぎゃーわけわからんことを言う奴とご一緒するのは勘弁だよなぁ(笑).そんな様子に後藤の感想は「しばらく持ちそうだねぇ」という的確なもの.人間,横で本気でキレてる奴がいると嫌でも段々冷静になっていくものです.
犯人の身元を洗っていた熊耳が報告する犯人の名はルドルフ・シンボリ.職業フリーター…名前は仮名? ただの胃潰瘍なのに深く悲観的に不治の病と思い込み,こんな凶行に至ったってんだからもう迷惑! 呆れつつも隊長はルドルフさんを説得しようとするけれど,元々の後藤の口調がなんか嘘くさいために(笑)変な雰囲気.「それはね,胃潰瘍って言うんだよ!」なんてやさしく教えてあげる後藤.でも…ここにマスコミさえいなきゃ,事件は終わってたんだけどなぁ.
保険証を持っていかなかったせいでたらいまわしにされちゃって,勘違いで悲観してこんな大事件の犯人になってしまったアホ犯人.しかも彼にとって本当に不幸だったのは,この恥ずかしい件がリアルタイムで全国に公開されてるってこと(苦笑).「死んで花見を咲かせるか,はたまた恥ずかしながらも生きながらえるか!」なんてまだ手の中にいる桃子さんは無駄に煽るし,自分の使った英語に対する抗議にお詫びもするし(笑).ああ,もうぐだぐだだ…そんな茶番の中,案の定コックピットで蒸らされた野明は自分の化粧の匂いから逃げるために表に顔を出してます.
全国に恥を曝し,さらに追い詰められていくルドルフさん.このままじゃ明日からコンビニにも行けないというコメント聞いてまたも逆上! 「本当に死んでやる!」と桃子さん掴んだままでガスタンクに向かって爆走! それを1号機があわてて追いかける! 今度こそさすがにもうダメかな?…と思ったら,ぎりぎりのところで1号機が必死で止めている! 敵レイバーの腕の関節を強く掴み,油圧系のパイプを切って動きを封じ,これ以上面倒なことをできなくする!
…パイプを切ったせいで人質もイングラムも野明もオイルまみれになってしまったけれど,この程度の汚れは命に比べれば全然軽い.大規模な被害も出さずに済んだし,自分にできることを可能な限りきっちりやり遂げた野明は犯人機を綺麗にぶん投げて終わり! やっと自分らしいところを見せられたから「桃子さん,OK?」と聞き,桃子さんも「OKです!」と答える.野明らしさは見た目ではなくて,行いによって表現される種類のものだったのでありました.

取材が去った次週の水曜夜.ついに先日撮影したものが放映される日がやってきた! 野明にとっては色々恥ずかしいものが映っているはずなんだけど(笑)それでも職場で全員で放映をわくわくしながら待ってたら…野球延長で今回はお休みというどうでもよさげなオチに熊耳除いて全員ががっくり! …結果的には似合わないことは無理してやるもんじゃないってな感じの教訓に落ち着いて終わった今回.けれど,最後にイングラムが汚れてもまったく動揺しなかった野明は,確実に前よりも成長してきてるんだよなぁ….クライマックスを前に本シリーズ最後のおふざけが爆裂する,次回に続きます.

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