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機動警察パトレイバー#42

「侮れぬ地方の動物たちの巻」

最近続くレイバーによるキャッシュディスペンサー強盗.CD機ごとレイバーで引っこ抜いて持っていくという荒っぽい手口が3回連続しているが,都下で稼動しているレイバーは八千台もあり犯人の目星もついていない.犯行現場に残された顔のいたずら書きも気になるこの事件には,実は以前第2小隊に逮捕された2人の犯人が関わっていた.
酒田で赤いレイバーが暴れたときに逮捕された犬走と,そんな犬走を救おうとハイジャックをやらかした猫渡.さらに2人を率いる,格言好きで東北訛りの猿滑.犬走と猫渡の古くからの友人で保釈金を支払ってくれたのも彼.キャッシュディスペンサー強盗は,払ってくれた保釈金を猿滑に返すための犯行だったのだ.

なんだかんだで1年近くも継続し,1話完結でもそれなりの歴史を積み上げてきた「パトレイバー」.テレビシリーズを代表する3人の脚本家が繋いできたどうでもよさげなサブエピソードの1つがここで完結.犬走の9話は押井守脚本で赤への愛に満ち(笑),猫渡の24話は伊藤和典脚本で香貫花への愛に満ち,そして42話は横手美智子脚本でおっさんへの愛に満ち満ちているのです.
相変わらず強面の犬走とどうしようもなく温和で流されやすい猫渡を率いる猿滑は,その名と格言と方言に反してなかなかの実力派.最終的には後藤を出し抜いて逃げ切るんだから,これまでに出てきたほとんどの犯罪者よりも間違いなく一枚上ではあるまいか.人物…というかおっさん中心の今回の作画監督は山田きさらか.当時は某作での華麗な少年キャラでおなじみであったはずだけど,おっさんを描くのは楽しそうだねぇ.

前半.後藤が課長と一緒にわざわざ訪れたのはCD機強奪の現場検証.残った物証からすればレイバーの仕業に間違いない.しかも3回目の犯行で金額も相当.…これは優れた未来予測で,現実での建機を使ったATM強盗のことが思い起こされますね.けれど現実とは違いレイバーの操縦ができなければ実行不可能なので,建機を使うよりはやはり敷居は高くなりそうだ.後藤が気にしているのは現場に残されたいたずら書きで,どうやら見覚えがあるらしい.
まだまだ犯人の目星すらついてない現在の捜査状況.ここ数日かければレイバーの種類が判明するから,わかり次第都下八千台を洗い出す…ってな具合でどうにも手が遅い.とはいえCD機全てを見張るわけにもいかないしなぁ….そして万一の際は特車隊にお願いしたいと根回ししてくる捜査担当者.逮捕するターゲットが特定されることを「万一」と表現するってのは,最初から見つからない気満々のような(苦笑).で,後藤が「気になるといえば,気になりますね」ってな落書きについてはノーマークなのか.
さて,警察をすっかり悩ませる窃盗・器物損壊事件の犯人たちは,のどかな上野公園に集っておりました.一人は猫顔で丸っこい行商人姿の猫渡.猫がパンダ売ってるのか…(笑).さらにポップコーンを食う小柄でも精悍な犬走.「パンダ,全部くれ」ってのが待ち合わせの合図であったようですね.以前猫渡が犬走を救うためにハイジャックを起こしたのは皆様もご存知の通り.猫は犬が好きなのに,犬は猫と仲良くしてくれないと猫が愚痴っていたっけ.
おもちゃに見とれていた子どものことなど気にしつつ,猫渡が犬走とともにやってきたのは上野動物園の猿山の前.待っていたのが3人目の猿滑,テロリストとハイジャック犯の友達は,一所懸命でもとろくさい猫渡や熱心だけどかりかりしすぎな犬走と違って随分と落ち着いていて,「ひとっつもバカなことばすねで生きてく人間ってのは,ずぶんで考えてるほど賢明ではねえ」とフーコーの格言をさらっと口に出すインテリぶり.…これ凄くいい言葉だなぁ.なまってるけど(笑).
犬猫猿の3人組が今回の事件の犯人たち.猫渡が買って来たアイスを食いつつ次をやるかどうか相談しています.まだまだ金が欲しいからもう1回やりたい犬走は「もう1勝負,行こうぜ!」と実に熱心.それに対しさんちゃんこと猿滑はそれほど乗り気ではない様子.そして買ってきたアイス以外を要求されて泣きそうになったり,色つきアイスを2人に取られてしまう猫渡は…なんでこんなとこにいるんだろうなぁ(苦笑).余程犬走への愛が深いようで,共犯の癖に犯行に対する自分の意見ってものはあまりない様子.
3人揃ってベンチでアイスを舐める犯罪者たち.犬走はもう1回やる!と宣言.しかも今度はもっとでかいところを狙いたい.現在2人が保釈中でしかも続けざまの犯行となれば,捕まったらきっと後はない.ヤバい橋を渡って保釈金を返したんだからここで手を引きたいと猫渡は思うんだけど,ツンの犬走は「うっせえなぁ手前はよ!」と猿滑を乗せ,それにほだされた猿滑も「大胆また大胆そして常に大胆,ダントン.やるべ!」とついに立つ! …で,2人が行くと猫も行かざるを得ないわけです.
てなわけで,4度目が来るとはまだ知らない炎天下の特車二課.草むしりしてる太田がストレス溜まりすぎで吼えてますが,しつけの悪い犬が苛ついて吼えるようなもんなので,うんざりするけど放っておきましょう(笑).その太田の飼い主である熊耳が隊長室で,CD機強盗の件について打ち合わせ中.…今回の犯人はタイラントと報じられているらしいけど,冒頭のシルエットは菱井じゃなくて篠原のボクサーじゃないのか? これは作り手側の単純ミスかなぁ….
機体が判明するのと同時に一応犯人候補もリストアップされているようですが,その山のような容疑者候補たちからさくさくと無関係を外す熊耳.…外された中には犬走の顔も.単独犯のテロリストは他との連携を嫌うから複数犯にはならないという彼女の理論.けれど人の縁ってのは固定観念を遥かに越えるものなんだよな.…後藤は例の落書きが未だに気になっていて,しかも猿に見えるらしい.ごつい男の顔っぽいそれを「猿」と後藤が判断しているのは,書いた容疑者の顔を忘れきっていないからでしょう.
相変わらず上野で待ち合わせしている三人の犬猫猿のうち,あの落書きは西郷像の側で寝ている猿の顔に結構似ています.猫を待ってまたかりかりしている犬の肩にふいに置かれる手.「犬走一直だな」と声をかけるのは…「おどろいた?」と無邪気な猫で(笑)笑えぬ冗談に本気で怒って叩く犬と,叩かれて謝る猫はどっちも犯罪者としての緊張感がなさすぎる.そんな頼りない2人を率いる一番大物っぽい猿滑は先に進み,「さーんちゃーん!」と理想家の猿を必死で犬猫が追っていくのです.

後半.東京出身でない彼らが集合するのはいつものように上野公園.でも池のボートの中で密談するのは,物騒な話を周囲に聞かれないからいいかも.腹を決めた猿滑が狙うのは鬼門.3年前に猿滑が失敗した警視庁の目の前! …犯罪者の仲間は犯罪者で,3年前に大それた犯行を既にやらかしていた猿滑.現場に警官が駆けつけるのに10分,犯行は3分で十分と夢想家は大きな賭けに出る! 「希望は人ば成功さ導く信仰だす.希望なくしては何事も成就するもんではねっす.ヘレン・ケラー」と,力強い格言とともに!
3年前,犬走と同じく海の家シンパである猿滑は霞ヶ関に爆弾をしかけたことがありました.もちろん前回のなんちゃってテロリストとは違い,最も効果的なところに侵入し仕掛けて全部うまくいった…はずだったのに,「時限装置が作動しねかっただ…」…そんな大事な所だけなんちゃってテロリスト以下ではなぁ(苦笑).仕掛けるリベンジ,勝算は五分五分.この面子ならと希望を持って,木曜日に霞ヶ関ビルに仕掛ける!
しかし,3年前の失敗した事件を思い出すのは犯人たちだけではない.警察側の後藤にとっては,あの霞ヶ関ビル爆破予告事件は幸運な一件.爆破されるはずが奇跡の爆弾故障で不発だったあの一件で,CD機強盗と同じマーキングがあったことをついに思い出したのです! 早速取り寄せた追加の容疑者リストには,いたずら書きや犬走の保釈に来た男と「似てる…かなぁ」な猿滑三吉の顔写真.青森県出身の36歳で海の家シンパ.組むなんて普通はありえない一匹狼の犬走とつるんでやらかしたっておかしくない男だ.
さくさく時間は過ぎて決行日の決行時直前!…なのにおしっこしたくなったらどうしようとか犬走に相談してる猫渡がもうかなりダメ(笑).犬走に凄い片思いしてるのはわかるけど,犯罪者とかテロリストには絶対向いていなさそう.…でも案外こういうタイプの方が,早死にしそうな犬走よりも最終的には偉くなるような気もしなくはない.「賽は投げられた.シーザー!」と猿滑のリベンジスタート.敷地内の警備ロボットを犬走のレイバーは無常に踏み潰し,そしてCD機を襲う!
キャッシュディスペンサーごと現金を盗み,警備員が駆けつけても振り切って逃げるつもりの犬走.…保釈中なのにレイバーに「犬」って思いっきり書いてあるのはどうだろう(苦笑).犬が盗んで猫が運んで猿が仕切る完全無欠のはずの計画.しかし警察は予測よりも5分も早く駆けつけて大変! 街灯をパトカーに投げつけて足止めして逃げるボクサーだけれど…猫渡の運転するトレーラーの前には,第2小隊のイングラム登場!
思い出した後藤の采配で,こんな夏の夜更けに犯行を待っていたらしい第2小隊.行く道を塞がれ,戻る道も抑えられ,巨大トレーラーの荷台に乗った犬走のボクサーは2号機を吹っ飛ばして足止めし,金を持って逃げろと猫渡に命令! 体を張って自分を逃がそうとする犬走に猫は泣きながら逃走! …本当は猫より金が大事なんだろうけど(苦笑).しかも犬走のレイバー操縦技術はは相当のもの.あの黒い奴と互角の戦いをやってのけた1号機すらその速さで止めるのだ!
「この人速い!」と舌を巻く野明に,「レイバーにばっかり構うんじゃない!」と案外冷静な遊馬.大事なのはレイバーよりも持っていかれつつある金の方だから.先に逃げるトラックを追おうとしたら…突如上から飛んで来て爆弾が爆発! 続く爆発にトレーラーだけでなく犯人レイバーも煙に巻かれて…煙が切れたときにはもうトレーラーはない.レイバーもない.
ビルの上から指揮し,異常に気づいて迅速に地上をフォローしてくれたのはもちろん猿滑.彼は犬走にレイバーを捨てるように命じます.「特車二課ってのはバカにできねえだよ!」ってな判断は実に正しい! ここであっさり犯行機を捨てたのは正解.置き去りにされたボクサーに誰も乗っていないと警察が気づいたときには,既に3人の犯人は犯行現場から姿を完全に消すことに成功していたのです.

第2小隊と猿滑たちの勝負は結局引き分け.捕まることを恐れた犯人たちはレイバーやトレーラーだけでなく金の入ったCD機まで置き去りに.しかし警察は犯人を捕らえることには失敗.とはいえ目星も既についてるし,程なく全国に指名手配されることになるんだろうけど…あの3人ならうまく逃げ切ってしまいそうな気もするな.
猿滑のリターンマッチを返り討ちにしたのは後藤の記憶ゆえ.いたずら書きで当時の事件を思い出し,現金強奪ということで残高の多そうな木曜日に来るだろうと山を張った.金曜は下ろす人が増えるからその直前に狙うなんてのは,現実でも使われそうな言い回し.でも世の中が理論どおりに動くわけない.「なんか嘘臭いですよ?それ…」という遊馬に後藤は「うん」なんてさっぱりしたもんで(笑).理論と現実の両方を知る後藤にとっては,本当にちょっとした暇つぶしのつもりだったんだろうなぁ.
そして,リベンジに失敗した犯罪者たちは公共交通機関で早速散っていきます.「まあ,しょうがねえよな」と諦め顔の犬走.「ああ」という猿滑の手には,犯行時間を計るはずのストップウォッチが.理論値の3分どころか既に1時間57分が経過.「だどもよ,気分は悪くねえだな」と,やりきって逃げ延びた彼らは妙に晴れ晴れとしているのです(笑).
生きてりゃまたできるさくらいの心境の3人はお別れ.「友と葡萄酒は古いほどええ」とイギリスの諺で渋く決める猿滑.今回の件で現実を痛感した上でさらにテロ活動に戻ったら,きっと本当に厄介な敵になるんだろうけど…現実を知ればテロの空しさにも気づくことになるのかも.次回に続きます.

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